JP2001013237A - キャリア位相相対測位装置および測位システム - Google Patents

キャリア位相相対測位装置および測位システム

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JP2001013237A
JP2001013237A JP2000113143A JP2000113143A JP2001013237A JP 2001013237 A JP2001013237 A JP 2001013237A JP 2000113143 A JP2000113143 A JP 2000113143A JP 2000113143 A JP2000113143 A JP 2000113143A JP 2001013237 A JP2001013237 A JP 2001013237A
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Kenji Itani
健二 井澗
Tadao Hayashi
忠夫 林
Yoshiharu Yoshida
由治 吉田
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Furuno Electric Co Ltd
Original Assignee
Furuno Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 測位用衛星より送信される信号のキャリア位
相に基づいて相対測位を行う際、受信可能な衛星数が少
ないときでもサイクルスリップの発生有無の判定を可能
とする。 【解決手段】 キャリア位相二重位相差により求めた測
位結果の高さ情報と、潮位観測値や船舶上下動観測値か
ら求めた受信点の高さ情報との差を求め、これを基にサ
イクルスリップの有無を判定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、測位用衛星から
送信される信号を受信して、キャリア位相相対測位を行
う測位装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、GPSにおいては、数cm程度の
高い測位精度が要求される場合に、キャリア位相を用い
た相対測位が行われている。
【0003】例えば測量船や海洋土木船などにおいて、
GPS衛星から送信される電波のキャリア位相をそれぞ
れ観測する受信機を、既に位置が正確に判明している基
地局と、位置を求めるべき移動局とにそれぞれ設けて、
実時間で受信点の位置を測位する、いわゆるリアルタイ
ムキネマティック(RTK)GPS測位が行われてい
る。
【0004】このリアルタイムキネマティック(RT
K)GPS測位では、先ず、基地局の受信機で観測した
基準衛星のキャリア位相と、移動局の受信機で観測した
基準衛星のキャリア位相との差(一重位相差)を求め、
また基地局の受信機で観測した他の衛星のキャリア位相
と、移動局の受信機で観測した、それらの衛星のキャリ
ア位相との差(一重位相差)を求め、両者の差(二重位
相差)を求める。そして、これを基に、受信点位置を未
知数とする方程式を立て、それを解くことによって受信
点の位置を求める。ただし上記二重位相差はキャリア位
相の小数点以下の値についてのみ正しく求められるだけ
であり、整数波長の値(整数値バイアス)は当初は不明
である。そこで、まずOTF (On The Fly calibratio
n) と呼ばれるキャリア位相の整数バイアスを求める初
期化処理を行って、以降は上記各二重位相差の整数部の
値と小数点以下の値を基にして受信点の位置を求める。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記キャリ
ア位相の測定は、GPS衛星から受信した信号からキャ
リア信号を再生し、そのキャリア信号の位相を、波長の
端数に相当する位相角を含めた波数を位相カウンタで測
定するものであり、衛星電波に対する障害物や雑音電
波、多重反射などの影響で、受信が瞬間的に中断される
ことがあると、上記波数の整数部分の増減に関する情報
が失われてしまう。この現象は「サイクルスリップ」と
呼ばれる。例えば0.1秒以下の瞬断でも受信機のキャ
リア位相同期ループの同期がはずれて波数の整数部分の
増減に関する情報が失われる。
【0006】このようなサイクルスリップが生じると、
上記二重位相差による双曲面が、二重位相差の整数値の
スリップ分だけジャンプして、測位結果に大きな誤差が
入ることになる。そこで従来は、測位に用いた(観測に
よる)二重位相差と、測位結果から逆算した二重位相差
との隔たり(残差)の大きさを常にチェックし、その残
差が或るしきい値を超えたときサイクルスリップが生じ
たものと見なすようにしていた。
【0007】図8の(A)において、実線は、観測によ
る二重位相差から求めた3つの双曲面のうち2つの双曲
面の交差によってそれぞれできる曲線を平面上に描いた
線(キャリア位相位置線)であり、この例では3本のキ
ャリア位相位置線が交わってできる三角形の重心位置を
受信点の位置とする。破線は測位結果から逆算したキャ
リア位相位置線であり、この受信点の位置から各キャリ
ア位相位置線までの隔たりが残差である。二重位相差の
整数値が異なることによって隣接する複数のキャリア位
相位置線の間隔は略キャリア位相の1波長分であり、約
20cmである。これを1レーンと呼ぶと、例えば0.
5レーン(約10cm)以上の残差が生じたとき、サイ
クルスリップが生じたものと見なす。
【0008】しかし、基準とする衛星以外に他に2つの
衛星しか受信できない状況では、図8の(B)に示すよ
うに、キャリア位相位置線が2本しか引けないことにな
って、残差を求めることはできない。
【0009】但し、図8の例ではキャリア位相位置線を
平面上に描いたので、基準とする衛星と他の3つの衛星
との計4衛星により求められる二重位相差によるキャリ
ア位相位置線が3本となって残差が求められるが、実際
には3次元の測位を行う必要があるため、5衛星以上の
衛星からの電波が受信できなければならない。すなわ
ち、4衛星の場合には、3枚の双曲面の交点が1点だけ
となり、残差が生じない。そのため、4衛星からの電波
しか受信できない状況では上記残差のチェックによるサ
イクルスリップの判定ができず、この状態で実際にサイ
クルスリップが生じると、誤差が生じていることが分か
らないままとなってしまう。
【0010】この発明の目的は、4つの衛星しか利用で
きないような場合でも、サイクルスリップの発生有無を
的確に検知できるようにしたキャリア位相相対測位装置
を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明のキャリア位相
相対測位装置は、基地局で求められた複数の測位用衛星
のキャリア位相情報を受信する手段と、前記複数の測位
用衛星からの信号を受信して各々のキャリア位相を求め
るとともに、当該キャリア位相と前記基地局から受信し
た前記複数の測位用衛星のキャリア位相とからキャリア
位相の二重位相差を求め、該二重位相差および前記複数
の測位用衛星の位置から受信点を測位する手段と、当該
受信点の高さと前記測位用衛星からの受信信号を用いな
いで求められる受信点の高さとの差に基づいて、前記二
重位相差に生じるサイクルスリップの有無を判定する判
定手段とを設ける。
【0012】このように、測位用衛星からの受信信号を
用いないで求められる受信点の高さは、上記サイクルス
リップとは無関係であるので、この測位用衛星からの受
信信号を用いないで求められる受信点の高さと、測位用
衛星からの受信信号を用いて求めた受信点の高さとを比
較することによって、サイクルスリップの有無の判定が
可能となる。
【0013】最も単純には、予め定められた高さの平坦
な地面を移動する工事車両などのように、受信点の高さ
が予め判明している場合には、この高さと衛星からの信
号を受信して測位した受信点の高さとの差の値が所定値
を超えたとき、サイクルスリップが生じたものと見なせ
ば良い。
【0014】また、この発明のキャリア位相相対測位装
置は、前記判定手段が、応答性の高い平滑化フィルタと
応答性の低い平滑化フィルタとでそれぞれ求めた前記高
さの差の平均値同士の差が、予め定めたしきい値を超え
たとき、前記サイクルスリップが生じたものと見なすこ
ととする。
【0015】サイクルスリップによる高さの差の変動
は、上記応答性の高い平滑化フィルタによる平均値に大
きく現れ、応答性の低い平滑化フィルタによる平均値に
は大きく現れないため、この2つの高さの差の平均値同
士の差が所定値を超えたときにサイクルスリップが生じ
たものと見なすことができる。これにより、船舶のよう
に潮位や波浪によって受信点の高さが常に変動するよう
な場合でも、受信点の実際の高さの変動の影響を受ける
ことなくサイクルスリップの発生有無が的確に判定され
る。
【0016】そのため、上記平均値同士の差をもとにサ
イクルスリップの発生有無を判定する場合には、「測位
用衛星からの受信信号を用いないで求めた受信点の高
さ」を常に0に固定しておいてもよい。
【0017】また、この発明のキャリア位相相対測位装
置は、前記判定手段が、前記高さの差の短期的変化速度
と、長期的変化速度とを求め、両変化速度同士の差が、
予め定めたしきい値を超えたとき、前記サイクルスリッ
プが生じたものと見なすこととする。
【0018】このような構成により、前記2つの高さの
差の平均値同士の差が比較的小さく現れる場合であって
も、サイクルスリップによる高さの差の変化は、上記短
期的変化速度として大きく現れ、長期的変化速度として
は大きく現れないため、サイクルスリップが的確に検知
できる。
【0019】また、この発明のキャリア位相相対測位装
置は、前記測位用衛星からの受信信号を用いないで求め
られる受信点の高さを、船舶上下動観測装置により求め
られる船舶上下動観測値または潮位観測装置もしくは潮
汐表により求められる潮位とする。
【0020】例えば、測量船において、測位用衛星から
の信号を受信する受信アンテナの位置を測位するもので
ある場合、船に設けられている、高さ(鉛直)方向の運
動の加速度を求めるバーチカルジャイロ等により船舶の
上下動を観測し、また検潮所から無線送信される情報を
受信して、これを潮位観測値とする。そして、この両者
の和を受信点の高さとして求める。
【0021】また、この発明のキャリア位相相対測位装
置は、基地局で求められた複数の測位用衛星のキャリア
位相情報を受信する手段と、前記複数の測位用衛星から
の信号を受信して各々のキャリア位相を求めるととも
に、当該キャリア位相と前記基地局から受信した前記複
数の測位用衛星のキャリア位相とからキャリア位相の二
重位相差を求め、該二重位相差および前記複数の測位用
衛星の位置から受信点の高さ方向の変化速度を測定する
手段と、当該受信点の高さ方向の変化速度と前記測位用
衛星からの受信信号を用いないで求められる受信点の高
さ方向の変化速度との差に基づいて、前記二重位相差に
生じるサイクルスリップの有無を判定する判定手段とを
設ける。
【0022】このように、測位用衛星からの受信信号を
用いないで求められる受信点の高さ方向の変化速度は、
上記サイクルスリップとは無関係であるので、この測位
用衛星からの受信信号を用いないで求められる受信点の
高さ方向の変化速度と、測位用衛星からの受信信号を用
いて求めた受信点の高さ方向の変化速度とを比較するこ
とによって、サイクルスリップの有無の判定が可能とな
る。
【0023】また、この発明のキャリア位相相対測位装
置は、前記測位用衛星からの受信信号を用いないで求め
た受信点の高さ方向の変化速度は、船舶上下動観測装置
により求められる単位時間当たりの高さ方向の変化量ま
たは潮位観測装置もしくは潮汐表により求められる単位
時間当たりの潮位変化量とする。
【0024】また、この発明の測位システムは、前記基
地局に前記潮位のデータを無線送信する手段を設け、前
記潮位のデータを利用するキャリア位相相対測位装置と
前記基地局とから構成する。
【0025】同様に、この発明の測位システムは、前記
基地局に前記単位時間当たりの潮位変化量のデータを無
線送信する手段を設け、前記潮位変化量のデータを利用
するキャリア位相相対測位装置と前記基地局とから構成
する。
【0026】
【発明の実施の形態】図1はこの発明の第1の実施形態
であるキャリア位相相対測位装置および測位システムの
構成を示す図であり、(A)は基地局の構成、(B)は
移動局の構成を示す。基地局は(A)に示すようにGP
Sアンテナ1、GPS受信機2、データ送信機3および
データ送信用アンテナ4とから構成する。ここでGPS
受信機2は、各衛星からの電波を受信してそれぞれのキ
ャリア位相のデータを所定周期で繰り返し求める。デー
タ送信機3は衛星番号とキャリア位相情報を時刻情報と
共にデータ送信用アンテナ4から所定のサービスエリア
内に放送する。
【0027】一方、移動局は(B)に示す構成からな
り、GPSアンテナ11は複数の衛星からの信号を受け
て、L1帯増幅回路12はこれを増幅し、ミキサ回路1
4はこの信号と局部発振回路13による信号とをミキシ
ングして中間周波信号に変換する。中間周波増幅回路1
5はこれを増幅し、サンプラ16はこれを所定周期でサ
ンプリングし、ADコンバータ17はその値をディジタ
ルデータに変換する。CPU25はROM26に予め書
き込んだプログラムを実行して相対測位を行う。RAM
27はそのプログラムの実行に際してワーキングエリア
として用いる。データ受信機19は上記基地局から放送
されたデータを受信する。18はその受信用アンテナで
ある。またデータ受信機22は検潮所から無線送信され
る潮位観測値のデータを受信する。21はその受信用ア
ンテナである。CPU25は、インタフェース20を介
してデータ受信機19,22による受信データを読み取
る。バーチカルジャイロ23は船舶の高さ(鉛直)方向
の運動の加速度を検出するものであり、ジャイロ部と加
速度検出部およびその加速度の2回積分により瞬時高さ
のデータを求める演算部とから成る。CPU25はイン
ターフェース24を介してその検出データを読み取り、
潮汐の周期より短時間における船舶の高さ変化を求め
る。またCPU25は測位結果およびサイクルスリップ
情報をインタフェース28を介して外部へ出力する。
【0028】なお、上記潮位観測値のデータの代わり
に、予め推定した潮汐表に基づいて現在の潮位を求め、
そのデータを放送するようにしてもよい。
【0029】図2および図3は図1に示したCPU25
の処理手順を示すフローチャートである。図2は測位処
理に関するフローチャートである。まず現在受信中の各
衛星のキャリア位相情報を読み出す。このキャリア位相
情報は、位相カウンタの値である。基地局から送信され
た、各衛星のキャリア位相情報と、この移動局側で求め
た各衛星のキャリア位相情報に基づいて複数の二重位相
差を求める。このとき、基準とする衛星を、受信可能な
衛星のうちの最も仰角の大きな衛星に決める。これらの
二重位相差により定まる複数の双曲面の交点が受信点の
位置である。但し、受信開始直後は、二重位相差の整数
バイアスが未定であるので、上記双曲面の交点は受信点
の位置の候補として複数個存在する。これらの複数の候
補位置のうち正解の位置をOTF (On The Fly calibra
tion) によって求める。すなわち各二重位相差の整数バ
イアスを求める。
【0030】このOTFが完了した後は、正しく求めら
れた各二重位相差の整数バイアス値と小数点以下の値を
基にして受信点の位置を求める。ここで求められる位置
情報はECEF(Earth Center Earth Fixed) 座標での
値であるので、これを緯度,経度,高さの座標系に座標
変換して出力する。
【0031】以降はRTKの手法により測位結果を周期
的に出力するが、後述するように、高さ情報を基にその
都度サイクルスリップの発生有無を判定する。もし、サ
イクルスリップが発生したことを検出すれば、再び上記
OTFの処理へ戻る。
【0032】図3は上記測位処理の途中で行うサイクル
スリップの判定手順を示すフローチャートである。まず
検潮所から送信された電波を受信して得た潮位観測値
と、バーチカルジャイロにより求めた船舶上下動観測値
とから受信点の高さを求める。ここで、潮位観測値は約
12時間周期で変動する成分であり、船舶上下動観測値
は数秒〜数十秒周期で変動する成分であり、両者の和を
受信点の瞬時の高さとして求める。
【0033】次に、図2に示した測位処理による受信点
の高さ(以下「GPS高さ」という。)と、上記潮位観
測値と船舶上下動観測値とから求めた受信点の高さ(以
下「観測高さ」という。)との差を求める。続いて、こ
の高さの差を、応答性の高い平滑化フィルタと応答性の
低い平滑化フィルタとを用いてそれぞれ平均値を求め、
両者の差を求める。この値が、予め定めたしきい値を超
えるとき、サイクルスリップが発生したものと見なし
て、その情報を出力する。また上記しきい値を超えない
場合には、上記高さの差の短期的変化速度と長期的変化
速度とをそれぞれ求めて、両者の差を求める。すなわち
応答性の異なった2つの高さの差の変化速度同士の差を
求める。そしてこの値が、予め定めたしきい値を超えた
ときサイクルスリップが発生したものと見なしてその情
報を出力する。
【0034】図4は上記サイクルスリップ判定の手順を
ブロック図として示したものである。図4においてαβ
フィルタは、一般に同図の下部に示すように表され、次
の演算を行う。
【0035】 En =Rn −Pnn =Pn +αEnn ′=Sn-1 ′+βEnn+1 =Sn +Sn ′ ここで、 Rn :時刻nにおける入力値 Sn :時刻nにおける入力値の平均値 Sn ′:時刻nにおける入力値の変化速度 Pn :時刻nにおける推定値 En :時刻nにおける推定値と入力値とのずれ(推定誤
差) Pn+1 :次回に備えての推定値(次ステップでPn とな
る。) α:入力値の推定に関する補正係数 β:入力値の変化速度の推定に関する補正係数 である。
【0036】したがって、時間経過にともなって変動す
る入力値Rn の平滑した値がSn として求められるが、
αを小さくする程、その平滑化の応答性が遅くなり、α
を大きくする程、その平滑化の応答性が高くなる。
【0037】また、入力値Rn の変化速度がSn ′とし
て求められるが、βを小さくする程、その応答性が遅く
なって長期的変化速度が求まり、βを大きくする程、応
答性が高くなって短期的変化速度が求まる。
【0038】上記αとβを、 β=α2 /(2−α) の関係とすれば、推定値と入力値とのずれから入力値の
推定および入力値の変化速度の推定を行う際に、推定値
の追従の遅れや過応答がなく、安定した推定が行える。
【0039】この実施形態では、上記αβフィルタの入
力値を、GPS高さと観測高さとの差とし、図4の上部
に示すように用いる。このように、上記高さの差をRn
として入力することにより、高さの差の平均値がSn
して得られ、高さの差の変化速度がSn ´として得られ
る。
【0040】ここで、「軽いαβフィルタ」ではα=
0.2,β=0.022とし、「重いαβフィルタ」で
はα=0.05,β=0.0013としている。「軽い
αβフィルタ」は、上記高さの差の平均値を求める際の
応答性の高い平滑化フィルタとして作用し、また上記高
さの差の短期的変化速度を求めるフィルタとして作用す
る。逆に「重いαβフィルタ」は、上記高さの差の平均
値を求める際の応答性の低い平滑化フィルタとして作用
し、また上記高さの差の長期的変化速度を求めるフィル
タとして作用する。
【0041】尚、以上に示した実施形態では、測位用衛
星からの受信信号を用いないで、受信点の高さを求める
ためにバーチカルジャイロによる観測値と潮位観測値の
両方を用いたが、例えば短時間周期における船舶の上下
動を求め、高さの差の変化速度からサイクルスリップの
発生有無を判定する場合には、潮位観測値を用いること
なく、バーチカルジャイロによる観測値のみを用いても
よい。逆に、長時間周期における船舶の高さを求め、高
さの差の平均値からサイクルスリップの発生有無を判定
する場合には、バーチカルジャイロを用いることなく、
潮位観測値のみを用いてもよい。
【0042】また、実施形態では船舶の上下動を観測す
る装置としてバーチカルジャイロを用いたが、その他
に、3次元方向の加速度を検出する装置を用い、その検
出結果から船舶の上下(鉛直)方向の動きを抽出するよ
うにしてもよい。
【0043】また、以上に示した実施形態では、GPS
高さと観測高さの比較によってサイクルスリップの有無
を検出するようにしたが、5つ以上の衛星からの電波が
受信可能な状態であるときは、前記残差も求めて、残差
の大きさまたはその変化速度からサイクルスリップの有
無を検出するようにし、残差による方法と上記高さによ
る方法の両面からサイクルスリップの発生有無を判定す
るようにしても良い。これによりサイクルスリップの検
出漏れがより少なくなって安全性が高まる。
【0044】また、以上に示した実施形態では、測量船
や海洋土木船などの船舶に適用した例を示したが、高さ
の予め定められた平坦な地面を移動する工事車両などの
ように、受信点の高さが予め判明していて固定値である
場合には、その固定値を上記実施形態における「観測高
さ」として入力すればよい。または、単に、上記実施形
態における「GPS高さ」と上記固定値との差がキャリ
アの1波長分の距離の半分(約10cm)を超えたとき
に、サイクルスリップが生じたものと見なすように構成
してもよい。
【0045】例えば、上記「観測高さ」を常に0に固定
し、「GPS高さ」と「観測高さ」との差すなわち「G
PS高さ」そのものについて、応答性の高い平滑化フィ
ルタで求めた平均値と、応答性の低い平滑化フィルタに
よって求めた平均値との差が予め定めたしきい値を超え
たか否かによってサイクルスリップの発生有無を判定す
るようにしてもよい。
【0046】次に、第2の実施形態であるキャリア位相
相対測位装置および測位システムの構成を図5〜図7を
参照して説明する。図5はキャリア位相相対測位装置お
よび測位システムの構成を示す図であり、(A)は基地
局の構成、(B)は移動局の構成を示す。基地局は
(A)に示すようにGPSアンテナ1、GPS受信機
2、データ送信機3、潮位観測装置5およびデータ送信
用アンテナ4とから構成する。GPS受信機2は図1に
示したものと同様である。データ送信機3は衛星番号と
キャリア位相情報を時刻情報と共にデータ送信用アンテ
ナ4から所定のサービスエリア内に放送し、さらに、潮
位観測装置5により観測された潮位のデータを放送す
る。このとき、キャリア位相情報に関するデータと潮位
に関するデータは1つの電波を用いて多重化してもよい
し、独立して放送してもよい。
【0047】なお、上記潮位観測装置5の代わりに、予
め推定した潮汐表により現在の潮位または現在の単位時
間当たりの潮位変化量を求め、そのデータを放送するよ
うにしてもよい。
【0048】一方、移動局は(B)に示す構成からな
る。図1に示した構成と異なり、この例では、データ受
信機19は上記基地局から放送されたキャリア位相情報
に関するデータだけでなく、上記潮位に関するデータも
受信する。その他の各部は図1に示したものと同様であ
る。
【0049】図6および図7は図5に示したCPU25
の処理手順を示すフローチャートである。図6は測位処
理に関するフローチャートである。図2に示した実施形
態と異なり、ここでは、観測高さの変化速度とGPS高
さの変化速度との比較によりサイクルスリップの発生有
無を判定する。その他の各ステップにおける処理内容は
図2に示したものと同様である。
【0050】図6は上記測位処理の途中で行うサイクル
スリップの判定手順を示すフローチャートである。まず
バーチカルジャイロにより求めた船舶上下動観測値から
受信点の高さ方向の変化速度を求める。
【0051】次に、図6に示した測位処理による受信点
の高さ方向の変化速度と、上記船舶上下動観測値から求
めた受信点の高さ方向の変化速度との差を求める。続い
て、この差が、予め定めたしきい値を超えるとき、サイ
クルスリップが発生したものと見なして、その情報を出
力する。
【0052】なお、上記受信点の高さ方向の変化速度
は、データ受信機19により受信した潮位または単位時
間当たりの潮位変化量から求めてもよい。
【0053】
【発明の効果】請求項1,5,7,8に記載の発明によ
れば、4つの測位用衛星しか受信できずに、残差が求め
られない場合でも、サイクルスリップの発生有無を判定
できるため、多くの測位用衛星からの電波が受信できな
い領域や時間帯でも、サイクルスリップの発生有無を判
定しつつ正しくキャリア位相相対測位を行うことができ
る。そのため、キャリア位相相対測位可能な時間的また
は空間的な領域が広がる。
【0054】請求項2,3に記載の発明によれば、船舶
のように潮位や波浪によって受信点の高さが常に変動す
るような場合でも、受信点の実際の高さの変動の影響を
受けることなくサイクルスリップが的確に判定可能とな
る。
【0055】請求項4,6に記載の発明によれば、測量
船や海洋土木船などでは、検潮所等から無線送信される
潮位に関する情報を受信する手段、船舶上下動観測装
置、およびキャリア位相相対測位を行う測位装置は、元
々測量のために用いるものであるため、外部に新たな装
置を設けることなく、演算のみによって、サイクルスリ
ップの発生有無の判定を容易に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態に係るキャリア位相
相対測位装置の構成を示すブロック図
【図2】同装置における測位処理の手順を示すフローチ
ャート
【図3】同装置におけるサイクルスリップ発生有無判定
の処理手順を示すフローチャート
【図4】サイクルスリップ判定の処理手順を示すブロッ
ク図
【図5】この発明の第2の実施形態に係るキャリア位相
相対測位装置の構成を示すブロック図
【図6】同装置における測位処理の手順を示すフローチ
ャート
【図7】同装置におけるサイクルスリップ発生有無判定
の処理手順を示すフローチャート
【図8】キャリア位相位置線、受信点の位置および残差
の関係を示す図
【符号の説明】
1,11−GPSアンテナ 4−データ送信用アンテナ 18,21−データ受信用アンテナ
フロントページの続き (72)発明者 吉田 由治 東京都中央区日本橋室町1丁目9番4号 海上DGPS利用推進協議会内 Fターム(参考) 2F029 AA04 AB07 AC02 AC03 AD08 5J062 BB02 CC07 DD23 EE04 FF04 HH04

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基地局で求められた複数の測位用衛星の
    キャリア位相情報を受信する手段と、前記複数の測位用
    衛星からの信号を受信して各々のキャリア位相を求める
    とともに、当該キャリア位相と前記基地局から受信した
    前記複数の測位用衛星のキャリア位相とからキャリア位
    相の二重位相差を求め、該二重位相差および前記複数の
    測位用衛星の位置から受信点を測位する手段と、当該受
    信点の高さと前記測位用衛星からの受信信号を用いない
    で求めた受信点の高さとの差に基づいて、前記二重位相
    差に生じるサイクルスリップの有無を判定する判定手段
    とを設けたキャリア位相相対測位装置。
  2. 【請求項2】 前記判定手段は、応答性の高い平滑化フ
    ィルタと応答性の低い平滑化フィルタとでそれぞれ求め
    た前記高さの差の平均値同士の差が、予め定めたしきい
    値を超えたとき、前記サイクルスリップが生じたものと
    見なす請求項1に記載のキャリア位相相対測位装置。
  3. 【請求項3】 前記判定手段は、前記高さの差から、当
    該高さの差の短期的変化速度と、長期的変化速度とを求
    め、両変化速度同士の差が、予め定めたしきい値を超え
    たとき、前記サイクルスリップが生じたものと見なす請
    求項1に記載のキャリア位相相対測位装置。
  4. 【請求項4】 前記測位用衛星からの受信信号を用いな
    いで求められる受信点の高さは、船舶上下動観測装置に
    より求められる船舶上下動観測値または潮位観測装置も
    しくは潮汐表により求められる潮位である請求項1、2
    または3に記載のキャリア位相相対測位装置。
  5. 【請求項5】 基地局で求められた複数の測位用衛星の
    キャリア位相情報を受信する手段と、前記複数の測位用
    衛星からの信号を受信して各々のキャリア位相を求める
    とともに、当該キャリア位相と前記基地局から受信した
    前記複数の測位用衛星のキャリア位相とからキャリア位
    相の二重位相差を求め、該二重位相差および前記複数の
    測位用衛星の位置から受信点の高さ方向の変化速度を測
    定する手段と、当該受信点の高さ方向の変化速度と前記
    測位用衛星からの受信信号を用いないで求められる受信
    点の高さ方向の変化速度との差に基づいて、前記二重位
    相差に生じるサイクルスリップの有無を判定する判定手
    段とを設けたキャリア位相相対測位装置。
  6. 【請求項6】 前記測位用衛星からの受信信号を用いな
    いで求めた受信点の高さ方向の変化速度は、船舶上下動
    観測装置により求められる単位時間当たりの高さ方向の
    変化量または潮位観測装置もしくは潮汐表により求めら
    れる単位時間当たりの潮位変化量である請求項5に記載
    のキャリア位相相対測位装置。
  7. 【請求項7】 前記基地局に請求項4に記載の潮位デー
    タを無線送信する手段を設け、当該基地局と請求項4に
    記載のキャリア位相相対測位装置とから構成した測位シ
    ステム。
  8. 【請求項8】 前記基地局に請求項6に記載の単位時間
    当たりの潮位変化量のデータを無線送信する手段を設
    け、当該基地局と請求項6に記載のキャリア位相相対測
    位装置とから構成した測位システム。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009281896A (ja) * 2008-05-23 2009-12-03 Univ Of Tokyo Rtk異常測位データ処理を伴うgpsによる変位計測装置および変位計測方法
CN104155668A (zh) * 2014-08-28 2014-11-19 哈尔滨工程大学 一种长基线载波相位差分在航定位方法
CN104570011A (zh) * 2014-12-26 2015-04-29 中国电子科技集团公司第二十研究所 一种卫星导航相对定位装置及其载波相位周跳修复方法
CN105549056A (zh) * 2015-12-03 2016-05-04 中国电子科技集团公司第二十研究所 一种相对定位装置及其载波整周模糊度解算方法
JP2019105562A (ja) * 2017-12-13 2019-06-27 古野電気株式会社 データ処理装置、変位観測システム、データ処理方法、および、データ処理プログラム

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