JP2001009947A - 伸縮性を有する複合シート及び該複合シートの製造方法 - Google Patents

伸縮性を有する複合シート及び該複合シートの製造方法

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JP2001009947A
JP2001009947A JP11179959A JP17995999A JP2001009947A JP 2001009947 A JP2001009947 A JP 2001009947A JP 11179959 A JP11179959 A JP 11179959A JP 17995999 A JP17995999 A JP 17995999A JP 2001009947 A JP2001009947 A JP 2001009947A
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stretching
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JP11179959A
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Kazuhiko Kurihara
和彦 栗原
Hiroshi Yazawa
宏 矢沢
Kenichi Kobayashi
健一 小林
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Polymer Processing Research Institute Ltd
Eneos Corp
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Nippon Petrochemicals Co Ltd
Polymer Processing Research Institute Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゴム弾性素材を有効に使用しつつ一方向に大
きな伸縮性を有し、かつ、通気性、透湿性を有する複合
シートを提供する。 【解決手段】 複合シート10は、ファイバー11aが
ほぼ縦方向に配列された不織布11と、不織布11上に
接合された網状化フィルム12とを有する。網状化フィ
ルム12は、熱可塑性エラストマーからなるもので、フ
ァイバー11aの配列方向と直角な方向に伸張させた状
態でエラストマーの流動開始温度以上の温度に保たれる
ことで、開口12aが横方向に拡大されるとともに、復
元力を消失している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不織布と熱可塑性
エラストマーウェブとを接合させた、一方向に伸縮性を
有する複合シートおよびその製造方法に関するもので、
特に、伸縮性包帯、サポータ、衣類の袖口、オムツ等の
伸縮弾性部等の衣料、医療、衛生材料等に使用される通
気性、透湿性のある伸縮性複合シートに関する。
【0002】
【従来の技術】この種の伸縮性複合シートに関しては、
従来から種々のシートが提案されている(特開平8−1
74764号公報、特開平9−132856号公報、特
開平9−279453号公報、特願平10−34242
号等)。
【0003】しかし、これらの複合シートは、ゴム弾性
体が伸張方向に効率よく配列していないため、使用して
いるゴム弾性体の量の割合に比較して、伸縮特性が良く
ない。また、これらの製品を安価に製造するためには、
広幅のゴム弾性ウェブが必要であるが、ゴム素材は一般
に成形加工が困難であり、広幅ウェブを製造することは
装置費ばかりでなく、作業性、歩留等を考慮しても安価
に製造することは困難である。
【0004】伸縮性複合シートとしては、オムツ等の衛
生材料であっても、その使用される部位により、縦方向
に伸縮性が必要なものと横方向に伸縮性が必要なものと
が存在する。
【0005】これらの伸縮性を有する複合シートは、衣
料品、医療用品、衛生材料、オムツ等として人体や動物
に使用されるが、これらに共通する特性として、通気
性、透湿性を有することにより人体にムレがないことが
必要である。また、これらの用途においては、布的な柔
らかい触感を有することが要求される。したがって、ゴ
ム弾性体のフィルムをそのまま不織布等と接合したので
は、上記したムレの解消や布的触感を確保できない。ま
た、ネット状の素材を使用し表面層をフィルム層として
いる例もあるが(特開昭59−59901号公報)、ネ
ットの場合は、目的としない方向のゴム弾性素材が無駄
であり、また、ファインで柔軟なウェブを安価に製造す
ることが困難である。
【0006】本発明の目的は、ゴム弾性素材を有効に使
用しつつ一方向に大きな伸縮性を有し、かつ、通気性、
透湿性を有する複合シートを提供することである。
【0007】本発明の他の目的は、上記の複合シートを
簡便に製造することのできる、複合シートの製造方法を
提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明の複合シートは、非弾性ファイバーが一方向に配
列され、前記ファイバーの配列方向と直角な方向での伸
度が100%以上である不織布と、前記不織布上に接合
された、熱可塑性エラストマーからなり、通気孔を有す
るウェブであって、前記非弾性ファイバーの配列方向と
直角な方向に伸張させた状態で前記熱可塑性エラストマ
ーの流動開始温度以上の温度に保たれることで復元力を
消失させたウェブとを有する。
【0009】本発明では非弾性ファイバーが一方向に配
列している不織布が使用されるが、このファイバーの配
列は完全に一方向に配列している場合ばかりでなく、大
部分のファイバーが一方向に配列することにより、ほぼ
一方向に配列している場合も含まれる。なお、配列の程
度は種々の表現方法があるが、タテ強度とヨコ強度の
比、すなわちタテ強度をヨコ強度で割った値で示す場合
が多く、この値が少なくとも3以上で望ましくは10以
上である。
【0010】本発明の複合シートは、非弾性ファイバー
が一方向に配列された不織布に、熱可塑性エラストマー
からなり通気孔を有するウェブが接合されているので、
ファイバーの配列方向には殆ど変形しないが、それと直
角な方向には大きな伸縮性を有する。しかも、エラスト
マーからなるウェブは通気孔を有するので、エラストマ
ーウェブを用いていても通気性は損なわれない。
【0011】エラストマーウェブの通気孔は微細であっ
ても構わない。伸張によって通気孔が拡大するからであ
る。特に、本発明の複合シートに使用されるエラストマ
ーウェブは、不織布を構成するファイバーの配列方向と
直角な方向に伸張させた状態で、その伸張張力が消失さ
れて、不織布に接合されている。従って、エラストマー
ウェブの通気孔は、ファイバーの配列方向と直角な方向
(複合シートの伸縮方向)に拡大するので、複合シート
の伸縮方向におけるエラストマーの使用効率が向上す
る。さらに、エラストマーウェブが不織布に接合された
状態では、既にその伸張張力が消失しているので、エラ
ストマーウェブの伸張が複合シートの伸縮性に影響を及
ぼすことはない。
【0012】熱可塑性エラストマーウェブの伸張方向
は、複合シートの目的とする伸張方向に応じて決められ
る。すなわち、縦方向に伸縮性を有する複合シートでは
縦方向に伸張され、横方向に伸縮性を有する複合シート
では横方向に伸張される。また、熱可塑性エラストマー
ウェブは2軸方向に伸張されてもよく、その場合には、
一方向への伸張倍率を他方向への伸張倍率よりも高くし
て相対的に一方向への伸張倍率を高くすれば、本発明で
いう一方向への伸張に含まれる。
【0013】本発明の複合シートにおいて、不織布は、
ファイバーがその配列方向に延伸されたものであっても
よい。これにより、ファイバーの配列方向への不織布の
伸びが抑えられる。また、ウェブは、通気孔として開口
が設けられたフィルムであってもよいし、熱可塑性エラ
ストマーのファイバーからなる不織布であってもよい。
この場合、複合シートの伸縮方向におけるエラストマー
の使用効率をより向上させるために、ウェブがフィルム
のときは、開口は非弾性ファイバーの配列方向と直角な
方向に長い形状であることが好ましく、ウェブが不織布
のときは、そのファイバーの配列方向が上記非弾性ファ
イバーの配列方向と直角な方向であることが好ましい。
【0014】本発明の複合シートの製造方法は、非弾性
ファイバーが一方向に配列された不織布を形成する工程
と、熱可塑性エラストマーからなるウェブを通気孔を有
して形成する工程と、前記ウェブを一方向に伸張する工
程と、伸張している前記ウェブを前記熱可塑性エラスト
マーの流動開始温度以上の温度に加熱して前記ウェブの
復元力を消失させる工程と、前記不織布と、前記復元力
が消失した前記ウェブとを、前記非弾性ファイバーの配
列方向と前記ウェブの伸張方向とが直角になるように接
合する工程とを有する。
【0015】本発明の複合シートの製造方法によれば、
上記本発明の複合シートが簡便かつ効率良く製造され
る。不織布と熱可塑性エラストマーのウェブとは、それ
ぞれ別々に製造し、製造と接合とを別々の工程で行って
もよいし、製造と接合とを一連の工程で行ってもよい。
【0016】なお、本発明において、複合シートの伸縮
方向等を説明する場合に用いる「縦方向」とは、不織
布、ウェブ及び複合シートの一連の製造過程におけるこ
れらの送り方向を意味し、「横方向」とは、縦方向と直
角な方向、すなわち不織布、ウェブの幅方向を意味す
る。
【0017】また、本発明におけるファイバーとは、短
繊維と連続フィラメントとの両方を含む広義のファイバ
ーを意味するものである。
【0018】本発明の非弾性ファイバーからなる不織布
は、このファイバーが一方向に配列した不織布であるこ
とが必要であり、その配列方向と直角方向の不織布の伸
度が100%以上である不織布である必要がある。ファ
イバーが配列していない不織布は、100%以上の伸度
を出すことが困難で、熱可塑性エラストマーと複合する
意味がない。
【0019】本発明の100%以上の伸度は、ファイバ
ーの配列した方向と直角方向であり、ファイバーの配列
方向は、数%から数十%の伸度で、伸張応力も大きく、
この方向では寸法安定性のある複合シートとなる。
【0020】本発明の非弾性ファイバーからなる不織布
が、スパンボンド不織布またはメルトブロー不織布を延
伸した不織布や、本発明者らの先発明の縦延伸不織布、
横延伸不織布(特公平3−36948号公報、特開平1
0−204767号公報等)に詳述した不織布、または
トウを開繊した一方向に配列した不織布等の長繊維フィ
ラメントから不織布が使用される。これらの長繊維フィ
ラメントは、数百回の繰り返し伸縮に対しても繊維の抜
け落ちがなく、いわゆるリントフリーな用途に適合す
る。また、延伸した不織布は延伸方向に強度、寸法安定
性があり、さらに延伸した不織布は光沢のある不織布と
なることにより、衣料等でこの延伸による特性も利用す
ることができる。
【0021】本発明に使用される非弾性ファイバーから
なる不織布として使用される繊維が短繊維の場合には、
カード上がりのウェブや、湿式、乾式の短繊維不織布、
ニードルパンチ不織布等からなる短繊維不織布も利用す
ることができる。とくに紡績工程で使用されるカード機
によるウェブは、短繊維が既に縦に配列しているので、
本発明に特に適する。
【0022】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。
【0023】(第1の実施形態)図1は、本発明の第1
の実施形態である複合シートの平面図である。図1に示
す複合シート10は、非弾性のファイバー11aがほぼ
縦方向に配列され延伸された不織布11の片面に、熱可
塑性のエラストマーからなる網状化フィルム12を接合
したものである。網状化フィルム12には、通気孔とし
て、横方向に長い多数の開口12aが設けられている。
【0024】この複合シート10に用いられる不織布1
1は、ファイバー11aが縦方向に配列されて延伸され
ているので、縦方向への変形は小さいものの、ファイバ
ー11aの配列方向とほぼ直角な方向である横方向へは
大きく変形可能である。すなわちファイバー11aが一
方向に配列され延伸された不織布11は、それ単体で、
ファイバー11aの配列方向と直角な方向には、欠損す
ることなく均一に大きな伸びを示すが、ファイバー11
aの配列方向には殆ど変形しない(数%程度の伸度)性
質を有する。ファイバー11aの配列方向と直角な方向
での不織布11の破断伸度は100%以上、望ましくは
200%以上、最も望ましくは300%以上である。フ
ァイバー11aが配列していない不織布は100%以上
の破断伸度を出すことが困難で、熱可塑性のエラストマ
ーと複合する意味がない。破断伸度が100%以上であ
れば、エラストマーとの複合体としては200%以上の
繰り返しての伸縮性を示すことが、実験の結果確認でき
た。
【0025】不織布11は、ファイバー11aが一方向
に配列していれば特に制限を受けるものではない。な
お、ファイバー11aが縦横両方向に配列され延伸され
た不織布であっても、一方向の延伸倍率を高くすること
によって縦横のバランスが崩れている場合には、本発明
でいう一方向に延伸された不織布として利用することが
できる。
【0026】このような不織布11に、熱可塑性のエラ
ストマーからなる網状化フィルム12が接合されること
により、横方向へは伸縮自在であるが、縦方向へは殆ど
伸びず寸法安定性に優れた複合シート10が得られる。
【0027】また、網状化フィルム12には多数の開口
12aが設けられているので、複合シート10に伸縮機
能を持たせるためにエラストマーを使用したとしても、
通気性及び透湿性を有する。しかも、これら開口12a
は横方向に長い形状であるので、伸縮方向すなわち横方
向でのエラストマーの利用効率が高くなり、少ないエラ
ストマー量で効率の良い伸縮特性を得ることができる。
【0028】熱可塑性のエラストマーとしては、ポリオ
レフィン系、合成ゴム、ポリエステル系、ポリアミド
系、ポリウレタン系等のエラストマーが使用される。こ
れらのうち、スチレンとオレフィン系モノマーとが共重
合された合成ゴム系やポリウレタン系が高倍率に伸縮し
かつ伸縮時の応力が小さい点で、本発明で用いられる熱
可塑性エラストマーとして好適である。特にSEBSの
合成ゴムが最適である。
【0029】ファイバー11aとしては、不織布とした
ときに通気性、透湿性を有する構造とすることができる
ものであれば、長繊維フィラメント、短繊維(ショウト
ファイバー)のいずれも使用できる。長繊維フィラメン
トで構成した不織布は、数百回の繰り返し伸縮に対して
も繊維の抜け落ちがなく、いわゆるリントフリーな用途
に適合する。長繊維フィラメントで構成した不織布とし
ては、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布を延伸
した不織布、トウを開繊した不織布等がある。一方、短
繊維で構成した不織布は、綿のような風合いで感触がよ
く、肌に直接触れる用途に適している。短繊維で構成し
た不織布としては、カード上がりのウェブ等がある。
【0030】ファイバー11aに適合するポリマーとし
ては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、
ポリアミド、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン、フ
ッ素系樹脂等の熱可塑性樹脂およびこれらの変性樹脂な
どを使用することができる。また、ポリビニルアルコー
ル系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂等、湿式または
乾式の紡糸手段を適用し得る樹脂も使用することがで
き、特に、ポリエステル、ポリプロピレンが好ましい。
なお、ポリウレタン等の、ゴム弾性を有するポリマーか
らなるファイバーは除外する。
【0031】次に、上述した複合シート10の製造方法
の一例について、図2の工程図を参照しつつ説明する。
【0032】複合シート10の製造工程は、大きく分け
て、不織布11を製造する工程と、エラストマーウェブ
を製造する工程と、これらを接合する工程とからなる。
【0033】不織布11を製造する工程では、まず、適
宜の紡糸装置を用いて、ファイバー11aがほぼ縦方向
に配列したウェブを得る(ステップ101)。次いで、
このウェブをファイバー11aの配列方向に延伸し、こ
れによって縦延伸不織布を得る(ステップ102)。
【0034】一方、エラストマーウェブを製造する工程
では、まず、エラストマーからなるフィルムに横方向の
スリットを形成する(ステップ103)。次いで、スリ
ットが形成されたフィルムを横方向に伸張すなわち引き
伸ばす(ステップ104)。これによりフィルムは縦方
向には縮むとともに、スリットが形成された部分が横方
向に拡大し、開口12aとなる。スリットは横方向に形
成されているので、開口12aはより横方向に長いもの
となる。また、スリットを千鳥状に形成することによ
り、図1に示したような開口パターンが得られる。
【0035】次いで、横方向に引き伸ばしたフィルム
を、そのままの状態で、フィルムを構成する材料の流動
開始温度以上の温度で加熱する(ステップ105)。こ
の状態を保持することによりフィルムの復元力は消滅
し、フィルムに与えている張力を除去してもフィルムは
図1に示した形状を維持し、これにより網状化フィルム
12が形成される。つまり、この工程での加熱は、フィ
ルムに張力が加えられている状態で、この張力が消失す
るまで行われる。加熱の時間を短くするため、加熱温度
は、上記流動開始温度以上10〜20℃が好ましく、よ
り好ましくは、上記流動開始温度以上30〜50℃であ
る。
【0036】流動開始温度は、エラストマーのハードセ
グメントが非結晶性ポリマーの場合はガラス転移温度で
あり、その温度以上でエラストマーの流動が始まる。ハ
ードセグメントが結晶性ポリマーである場合は、その流
動開始温度は結晶の融解温度であり、その温度以上でエ
ラストマーの流動が始まる。熱可塑性ポリマーのガラス
転移温度及び融解温度は、JISK7121によるDS
C装置により測定される。なお、ガラス転移温度または
融解温度は、ハードセグメントのポリマー単体で測定し
た場合よりも、熱可塑性エラストマーとなった場合の方
が一般に低い。
【0037】最終的なフィルムの幅(横方向の長さ)
は、初期段階のフィルムを横方向に引き伸ばして得られ
るので、初期段階のフィルムの幅は、最終的なフィルム
の幅及びフィルムの引き伸ばし倍率を考慮して決定され
る。
【0038】ここでは、フィルムの横方向への引き伸ば
しと加熱とを別々に行っているが、これらは同時に行っ
てもよい。ただし、フィルムが、ゴム弾性物質であるエ
ラストマーからなるものであり、室温、または低い温度
の加熱下で引き伸ばすことにより均一に伸張するので、
引き伸ばし工程と加熱工程とは別工程とすることが好ま
しい。
【0039】そして、以上のようにして得られた不織布
11と、網状化フィルム12とを、それぞれの幅方向の
位置を一致させて接合する(ステップ106)。網状化
フィルム12は熱可塑性エラストマーからなるので、網
状化フィルム12を加熱するだけで網状化フィルム12
が不織布11に容易に接着する。従って、接着剤等を用
いることなく簡単かつ安価に不織布11と網状化フィル
ム12とを接合することができる。
【0040】なお、この接合工程において、伸張前のフ
ィルムを供給し、このフィルムを伸張させた状態で不織
布11と重ね合わせて加熱し、フィルムの復元力の消失
と、フィルムと不織布11との接合とを同時に行っても
よい。
【0041】以下に、上述した各工程について詳細に説
明する。
【0042】(1a)不織布製造工程 本発明で用いられる不織布は、通常の不織布の紡糸法で
あるメルトブロー法やスパンボンド法を用いて製造する
ことができる。以下に、これらメルトブロー(MB)法
による製法とスパンボンド(SB)法による製法つい
て、製造装置と併せて説明する。
【0043】まず、メルトブロー法による不織布の製造
方法の一例について、図3〜5を参照して説明する。
【0044】図3に示す装置は、ファイバーの紡糸及び
延伸を行う装置であり、主にメルトブローダイ20ス1
とコンベア207とで構成される紡糸ユニットと、延伸
シリンダ211、引取ニップロール214a,214b
等で構成される延伸ユニットとを有する。
【0045】メルトブロー(MB)ダイス201は、先
端に多数のノズル203を有し、ギアポンプ(不図示)
から送入された溶融樹脂50がノズル203から押出さ
れることで、多数のファイバー51が形成される。な
お、図1ではメルトブローダイス201は構造を明瞭に
するため断面を示している。また、ノズル203の両側
にはエアー溜205a、205bが設けられている。樹
脂の融点以上に加熱された高圧加熱エアーは、これらエ
アー溜205a、205bに送入され、エアー溜205
a、205bの先端のスリット206a、206bから
噴出される。これにより、ノズル203から押し出され
たファイバー51はドラフト可能な溶融状態に維持さ
れ、熱風の噴出による摩擦力によりファイバー51にド
ラフトが付与され、ファイバー51が細径化される。上
記の機構は、通常のMB法と同様である。高圧加熱エア
ーの温度は、ファイバー51の紡糸温度よりも80℃以
上、望ましくは120℃以上、さらに望ましくは200
℃以上高くする。
【0046】メルトブローダイス101を用いてファイ
バー51を形成する方法では、加熱エアーの温度を高く
することにより、ノズル203から押し出された直後の
ファイバー51の温度をファイバー51の融点よりも十
分に高くすることができるため、ファイバー51の分子
配向を小さくすることができる。
【0047】エアー溜205a、205bの両エアーの
流量に差を設け、一方のエアー溜205aからの流量を
他方のエアー溜205bからのそれより小さくすること
により、ファイバー51の流出方向をノズル203から
の押出し方向に対して角度αだけ傾斜させる。このよう
にファイバー51の流出方向に角度αを付与すること
は、メルトブローダイス201自体を傾斜することによ
っても実現することができ、また両者を併用することも
できる。
【0048】メルトブローダイス201の下方には、ノ
ズル203から押出されたファイバー51を搬送するコ
ンベア207が配置される。ここで、メルトブローダイ
ス201とコンベア207の中間には、スプレーノズル
208a、208bが設けられている。スプレーノズル
208a、208bは、コンベア207側へ向け、ファ
イバー51の表側及び裏側からそれぞれ霧状の水を噴霧
するもので、これによりファイバー51が冷却され、凝
固される。スプレーノズル208a、208bは実際に
は各複数個設置するが、煩雑さを避けるため、図3では
各1個のみを示した。この霧状の水の噴霧する勢いで、
ファイバー51は、αよりさらに大きい角度βに傾斜し
て、コンベア207の上にウェブ52として集積され
る。
【0049】コンベア207は、水平面から角度γの傾
斜を設けて、ファイバー51の着地点より引取方向を低
くして設置されている。なお、スプレーノズル208
a、208bから噴出される冷却媒体は必ずしも水分を
含む必要はなく、冷エアーでもよい。上記のように、コ
ンベア207の傾斜およびエアーや霧状の水の勢いなど
の効果により、コンベア207上のウェブ52のファイ
バー5は縦方向に配列する。
【0050】紡糸ユニットにおいては、コンベア面に対
して傾斜させて紡糸することにより、ファイバー51を
コンベア207上で良好に配列させることができる。こ
のように紡糸を斜行させる手段としては、ノズル203
をコンベア207に対して傾けること、流体の補助によ
りファイバー51を斜行させること、コンベア207を
ファイバー51の押し出し方向に対して傾斜させること
などが有効である。また、上記斜行方法の一つのみで
は、十分に配列させることが困難な場合には、複数の手
段を組み合わせて実施してもよい。
【0051】流体の補助によりファイバー51を斜行さ
せる場合、流体がノズル近傍において使用されるときは
流体が加熱されていることが望ましい。また、ノズル近
傍で流体を使用しない場合は、ファイバー51をノズル
近傍で積極的に加熱する必要がある。これはファイバー
51がドラフトにより細径化される際に、できるだけ分
子配向を伴わないようにするためである。なお、紡糸段
階ではファイバー51の分子配向ができるだけ生じない
ようにするが、個々のファイバー51はできるだけ縦方
向に配列していることが望ましい。
【0052】ファイバー51を斜行させるために使用す
る流体としては、コンベア近傍では冷流体、特に霧状の
水を含んだ流体が最も望ましい。紡糸されたファイバー
51を急冷することにより、熱の影響を防ぎ、結晶化を
進行させないようにするためである。紡糸や加熱流体な
どの熱の影響が残留すると、コンベア207上のファイ
バー51が熱処理を受けることになるため、ファイバー
51の結晶化が進み、延伸性が低下する。延伸性は、特
にファイバー51がポリエステルの場合には熱の影響が
顕著であり、ポリプロピレンにおいても影響が見られ
る。本実施形態では水を吹き付けているが、これは、溶
融しているファイバー51を水で冷却することによる急
冷効果により、高延伸倍率や高強度の達成等の延伸適性
が向上する。さらに、スプレーノズル208a、208
bで水を吹き付けることにより、紡糸されたウェブ52
をコンベア207に貼付けることができるので、紡糸の
安定性およびファイバー51の配列性の向上にも効果が
ある。
【0053】また、スプレーノズル208a、208b
から吹き付ける液体に、いわゆる紡糸延伸用油剤、すな
わち延伸性や静電気除去等の性質を付与することができ
る油剤を添加してもよい。これにより、ファイバー51
の延伸性が向上し、毛羽が少なくなり、延伸後の強度お
よび伸度も向上する。
【0054】冷却されたウェブ52は、自己粘着性を有
していないので、そのままではエアーの流れ等によりコ
ンベア207上で飛散する場合もあるが、コンベア20
7の裏側にコンベアの幅方向に直線状に設けた負圧吸引
ノズル210で吸引することにより、飛散が防止され
る。
【0055】コンベア207の種類としては、図示した
フラットベルトタイプのコンベア以外にもメルトブロー
不織布に多用されているドラムスクリーンタイプがあ
る。ドラムスクリーンタイプにおける傾斜とは、ファイ
バー51のノズル203からの噴出方向が垂直から巻取
機方向へ傾斜していることを意味する。コンベア207
の材質としては、メタルワイヤーやプラスチックワイヤ
ー等の不織布の製造に使用されている種々の素材を使用
することができ、またその網目を構成する織方等につい
ても、平織や綾織等不織布の製造に使用される種々の方
法を使用することができる。さらに特に有効なネットの
織方として、縦に網目が配列した朱子織がある。これに
よりファイバー51の縦配列効果が高まり、ウェブ52
の強度が向上する。
【0056】また、負圧吸引ノズル210によりウェブ
52を吸引することは、斜行させて不安定になったウェ
ブ52を安定化させることの他に、ウェブ52に残留し
ている熱を除去する効果もある。この場合の負圧吸引
は、コンベア207の幅方向に直線状に、かつ狭い幅で
行うことが重要である。つまり、メルトブロー方式にお
けるウェブ52の負圧吸引は、ファイバー51の配列を
高めることを主眼としており、さらにファイバー51が
コンベア207上で飛散することを防止し、コンベア2
07上でのファイバー51の熱を除去して延伸性を高め
ることを目的としている。さらに負圧吸引は、ウェブ5
2に付着した水分も除去するため、次に行われる延伸工
程において水分の影響を低下させる効果もある。ポリエ
ステルにおいては水分が延伸性に大きく影響し、延伸倍
率や延伸後のウェブ強度が低くなるので、負圧吸引は好
ましいものである。
【0057】コンベア207上のウェブ52は、延伸温
度に加熱された延伸シリンダ211とコンベア積載面の
裏側の押えゴムロール212により挟持され、延伸シリ
ンダ211上に移され、さらに押えゴムロール213で
挟持されて、延伸シリンダ211に密着する。延伸シリ
ンダ211に密着したウェブ52は、延伸シリンダ21
1とその後の引取ニップロール214a、214b(2
14bはゴムロール)との速度差により近接延伸され、
縦延伸不織布53となる。
【0058】近接延伸とは、隣接する2組のロールの表
面速度の差によりウェブを延伸する方法において、短い
延伸間距離(延伸の開始点より終了点までの距離)を保
って延伸を行う方式であり、延伸間距離が100mm以
下であることが望ましい。特に、ファイバーが縦方向に
直線的には配列しておらず、ある程度屈曲している場合
には、近接延伸においてできるだけ延伸間距離を短く保
つことが、個々のファイバーを有効に延伸する上で重要
である。近接延伸に必要な熱量は、通常延伸するロール
を加熱することにより供給され、さらに延伸点において
は熱風や赤外線による加熱を補助的に使用する。また、
温水、蒸気等を使用することもできる。
【0059】上記のように、延伸シリンダ211、押さ
えゴムロール213、及び引取ニップロール214a、
214bは、延伸ユニットを構成している。ここで、こ
の延伸ユニットについて、図4を参照してより詳しく説
明する。
【0060】延伸シリンダ211は延伸適温に加熱され
ている。例えば、ウェブ52の材料がポリプロピレンで
あれば110℃、ポリエステルであれば85℃である。
押さえゴムロール213によりウェブ52は延伸シリン
ダ211に密着し、密着の程度が適当であれば、延伸点
はウェブ52が延伸シリンダ211から離れる点bにお
いて幅方向に一直線となり、理想的な近接延伸となる。
密着が弱い場合には、延伸点が延伸シリンダ211側の
a点に移行し、不安定となる。また密着が強すぎると延
伸点はb点とc点との間で変動するためやはり不安定で
ある。この密着性は、押えゴムロール213を赤外線ヒ
ータ等で加熱したり、延伸シリンダ211の表面の接着
性を変えることにより変化させることができ、それによ
り延伸点をb点近傍に固定することができる。なお、ラ
インスピードや坪量等によりこれらの条件は変化する。
そこで、延伸点をb点に固定するために、図4(a)の
ように熱風発生機215により、b点上に断面が直線状
の熱風を吹きかけることが有効であり、また図4(b)
のように赤外線ヒータによる光を線状に集光する赤外線
ラインヒータ216でb線上を加熱することも効果があ
る。
【0061】以上のようにして得られた縦延伸不織布5
3は、例えば図5に示すような延伸装置によってさらに
縦方向に延伸される。以下に、図5を参照して、不織布
の延伸工程について説明する。なお、図5に示す延伸装
置には、図3に示す装置で得られた縦延伸不織布53を
供給してもよいし、延伸前のウェブ51を供給してもよ
いので、図5では、これらを代表して単にウェブ54と
して表記する。
【0062】ウェブ54は、ニップロール301a、3
01bにより延伸装置に導入され、予熱ロール302で
予熱され、ウェブ55として延伸ロール303に導かれ
る。延伸ロール303にはニップゴムロール304が対
向配置されており、ウェブ56は、延伸ロール303と
延伸ロール305の間で縦方向に延伸される。延伸間距
離は、1段目の延伸ロール303とニップロール304
とのニップ点Pと、2段目のの延伸ロール305とニッ
プロール306とのニップ点Qで決められるウェブの走
行距離PQであり、その間でウェブ56は延伸される。
【0063】この装置による多段延伸が必要である場合
は、延伸ロール305と延伸ロール307との間でさら
に延伸を行う。この場合の延伸間距離は、点Qと、延伸
ロール307およびニップロール308のニップ点Rで
定められるウェブ57の走行距離QRである。縦延伸の
後に熱処理が必要な場合には、ウェブ58を熱処理ロー
ル309で熱処理することができる。ウェブ58は、ニ
ップロール310a、310bに引き取られ、延伸され
たウェブ59として得られる。
【0064】上述のように、不織布の縦延伸には、延伸
間距離のできるだけ短い装置が適当である。図5に示し
たように、各延伸ロール303、305、307に対
し、それぞれニップロール304、306、308を設
置することにより、延伸点が固定し、延伸が安定するの
で、より高倍率の延伸が可能になる。ニップロール30
4等がない場合には、延伸点はP点より予熱ロール側に
移動し、延伸間距離が長くなるばかりでなく、延伸点が
移動して延伸切れの原因となる。縦延伸に適するウェブ
としては、上記の原理から、ファイバーができるだけ縦
に配列しているものが適当である。すなわち、ファイバ
ーが縦方向に長いため、延伸間距離が一定でも、両端が
把持されるファイバーの割合が多くなり、また、延伸後
のウェブの強度が向上する。図5に示す装置において、
延伸のための熱は、基本的には加熱されたロールによっ
て与えられるが、図4に示すような熱風や赤外線も併用
することができる。さらに、ウェブの走行距離PQまた
はQRの間をカバーで覆い、その内部を蒸気加熱するこ
ともできる。図3に示す装置で得られたウェブの幅が狭
い場合であっても、それらを並列させ図5に示す延伸装
置を用いて延伸することにより、広幅の延伸ウェブとす
ることができる。
【0065】一般にウェブの延伸においては、延伸点を
固定することが重要である。延伸点が一定していないと
全体が均一に延伸されないため、延伸倍率を高めること
ができず、また、延伸されたウェブに延伸倍率の異なる
部分が混在し、十分なウェブ強度が得られない。縦延伸
不織布の最終製品の幅は、1mから2mあるいはそれ以
上あるものもある。このような幅広の延伸不織布を製造
する場合は、狭い幅のダイスで紡糸し、その紡糸ウェブ
製造装置において予備延伸を行うと、近接延伸が容易で
ある。このように予備延伸したウェブを平行に並べてさ
らに主延伸を行うことにより、幅広の不織布が得られ
る。その際、主延伸は延伸倍率が低いため、ウェブの幅
の収縮が小さく、却って予備延伸ウェブを平行に並べる
際のオーバラップは少なくてすむため、オーバーラップ
部が目立つことがない。また、予備延伸されたウェブは
すでに縦に延伸されているために、主延伸では、近接延
伸の延伸間距離は比較的長くてもよい。
【0066】多段延伸において、2段目以降の延伸手段
としては、近接延伸のみならず、通常のウェブの延伸に
用いられる種々の手段を適用することができる。すなわ
ちロール延伸、温水延伸、蒸気延伸、熱盤延伸等の各種
延伸方式が挙げられる。近接延伸が必ずしも必要でない
のは、1段目の延伸においてすでに個々のファイバーが
長さ方向に長く渡っているためである。
【0067】縦延伸不織布の製法において、延伸倍率は
ウェブを構成するファイバーのポリマーの種類、ウェブ
の紡糸手段や配列手段などによって異なる。しかし、い
ずれの種類や手段を用いる場合にも、ウェブの高配向度
および高強度を達成し得る延伸倍率が選択される。上記
の延伸倍率は、延伸前のウェブの延伸方向に所定の間隔
で付与したマークにより、以下の式で定義される。延伸
倍率=〔延伸後のマーク間の長さ〕/〔延伸前のマーク
間の長さ〕この延伸倍率は、通常の長繊維フィラメント
ヤーンの延伸のように、必ずしもここのファイバーの延
伸倍率を意味しない。
【0068】次に、スパンボンド法による不織布の製法
の例について図6を参照して説明する。図6は、狭義の
スパンボンド法による紡糸装置の一例の概略構成図であ
る。なお、図6において、図3と同じ構成については図
3と同一の符号を付して説明する。
【0069】SB紡糸では、多数の紡糸孔を有するスパ
ンボンドダイス221から紡糸された多数のファイバー
222は、エジェクター223でエアー224により吸
引され、エジェクター223のノズルにより加速された
エアーに伴われてコンベア207の上に集積される。ス
パンボンドダイス221の下方に図に示すように保温壁
226を設け、その中にヒータ227を設置し、紡糸し
たファイバー222の流れに融点以上に加熱した加熱エ
アー228を随伴させて、ノズル直下でファイバー22
2が冷却されないようにする。
【0070】ファイバー222は、エジェクター223
に入る直前で、スプレーノズル208からの霧状の水分
を含むエアーにより冷却されながらエジェクター223
に導かれる。スプレーノズル208がなければ、ファイ
バー222はエジェクター223内で相互に融着する。
なお、スプレーノズル208の代わりに、エジェクター
223においてエアー224に霧状水分含ませることも
可能である。
【0071】エジェクター223で加速されたファイバ
ー222は、コンベア207の積載面に傾斜して設置し
た障壁板229により方向を変えられ、さらに負圧吸引
ノズル210により吸引されて、図3に示す例と同様
に、傾斜したコンベア207の上に集積される。これに
より、ファイバー222の配列性が向上する。なお、図
6においては、エジェクター223は垂直に設置されて
いるが、エジェクター223の流出方向自体を傾斜させ
てもよい。
【0072】図6に示すスパンボンドダイス221のノ
ズル直下の保温壁226は、ヒータ227で加熱された
加熱エアー228の導入路であり、保温筒の役目を果た
す。ただし、ノズル直下を高温に保つ他の方法として、
赤外線ランプ等でノズル直下を直接加熱することも可能
である。いずれの場合も、ノズル直下を高温に維持する
ことによって、ドラフトによりファイバー222が細径
化されても、ファイバー222の分子配向が少ない点に
特徴がある。図6に示す加熱エアー228の温度を、フ
ァイバー22の紡糸温度(ダイス温度)よりも80℃以
上、さらに望ましくは120℃以上高くすることによ
り、ファイバー222の分子配向が小さくなり、その後
の延伸性が向上する。
【0073】以上、不織布の代表的な製法としてメルト
ブロー法及びスパンボンド法について説明したが、本実
施形態で用いる縦延伸不織布の製法はこれらに限定され
るものではない。
【0074】(1b)網状化フィルム製造工程 網状化フィルムは、熱可塑性のエラストマーからなる原
膜を出発点として、前述したように、この原膜にスリッ
トを形成し、横方向に引き伸ばし、加熱して復元力を消
滅させることによって製造される。原膜としては、一般
的なフィルム、例えば、Tダイ法で作られたものや、管
状膜を切り開いて作られたもの等が用いられる。
【0075】まず、原膜へのスリットの形成は、例え
ば、図7に示す装置で行うことができる。図7におい
て、フィルム9は、室温のまままたは予熱されてニップ
ローラ401、401’の間を経て回転ローラ402上
に案内される。回転ローラ402の周面には、例えば図
8に示すように斜辺に切刃を有する三角刃403aが一
列に並んだカッタ403が放射状に固定されている。ま
た、隣り合うカッタ403は、三角刃403aの位置
が、互いに三角刃403aの配列ピッチの半ピッチ分だ
けずれて配置されている。
【0076】回転ローラ402の表面速度は、ニップロ
ーラ401、401’によるフィルム9の供給速度より
も速く、カッタ403はフィルム9を張力下で切膜す
る。これにより、図10(a)に示すように、フィルム
9には横方向のスリット9aが千鳥パターンで形成され
る。回転ローラ402を通過してスリット9aが形成さ
れたフィルム9は、ニップローラ404、404’によ
り引取られ、次工程に送られる。なお、ニップローラ4
04、404’によるフィルム9の引取り速度は、カッ
タ403の刃先の周速よりも速い。こうすることによ
り、カッタ403の刃先がフィルム9から抜け去り易く
なる。
【0077】以上のようにしてフィルム9にスリット9
aが形成されたら、次に、フィルム9は横方向に引き伸
ばされる。
【0078】図9は、フィルムを横方向に拡幅する場合
に好適な装置の一例の概略斜視図である。
【0079】図9に示すように、スリットが形成された
フィルム9は、ターンロール410を経て、2つのプー
リ411、411’に導かれる。2つのプーリ411、
411’は、フィルム9の移送方向に対して上流から下
流に向かって広がる軌道を持つように配置されており、
フィルム9はその一番狭くなっている箇所に導かれる。
無端ベルト(またはロープ)412、412’は、プー
リ411、411’の軌道を通るように張られている。
プーリ411、411’に導かれたフィルム9は、プー
リ411、411’と無端ベルト412、412’とで
幅方向両端部を挟まれつつ送られ、プーリ411、41
1’の作る軌道により、横方向に引き伸ばされる。そし
て、横方向に引き伸ばされたフィルム9は、プーリ41
1、411’の軌道の一番広がった所でベルト412、
412’より離れ、ターンロール414を経て引き取ら
れる。
【0080】末広がりの拡幅部はチャンバ415で覆わ
れており、熱風や温浴、赤外線などで加熱される。ここ
でフィルム9は、その材料の流動開始温度以上の温度に
加熱されており、ベルト412、412’より離れる前
に復元力が消滅している。その結果、ターンロール41
4を経て引き取られた後も、フィルム9は広げられた幅
を保ち、図10(b)に示すように網目状の開口12a
が形成された網状化フィルム12となる。
【0081】なお、ここではフィルムの原膜にカッター
を用いてスリットを形成した例を示したが、フィルムへ
のスリットの形成方法はこれに限定されるものではな
く、例えば、特開平5−228669号公報に開示され
ているような、レーザビーム、赤外線、あるいは紫外線
をフィルムに照射することによってスリットを形成して
もよい。
【0082】(1c)接合工程 縦延伸不織布と網状化フィルムとの接合には、カレンダ
ロール法、あるいはエンボスロール法などを用いること
ができる。
【0083】図11に、縦延伸不織布と網状化フィルム
との接合装置の一例を示す。図11に示す装置では、フ
ァイバーが縦方向に配列され延伸された縦延伸不織布1
1と、横方向に長い開口が設けられた網状化フィルム1
2とは、互いに重ね合わされた状態でピンチロール50
1、502’を経由した後、加熱シリンダ503に供給
され、加熱シリンダ503と熱圧着ロール504との間
で熱圧着されて複合シート10となる。
【0084】縦延伸された不織布11と網状化フィルム
12との接合には熱を用いるのが、最も効率的かつ安価
な方法である。しかし、エラストマーの種類によって
は、一般に使用されているEVAなどの接着性のある第
3の層を縦延伸不織布と網状化フィルムとの間に介在さ
せて両者を接合することも可能である。この場合には、
ピンチロール501、501’のいずれか一方に糊バス
を設け、この糊バスにより接着剤を供給することで、不
織布11と網状化フィルム12とを接合することができ
る。
【0085】また、不織布11と網状化フィルム12と
の接合には、上述した方法の他に、超音波接着や高周波
接着、あるいは、ニードルパンチやウォータジェット等
の物理的接合方法を用いることができる。
【0086】以上述べたように本実施形態では、熱可塑
性エラストマーウェブの伸張及び加熱によってウェブの
復元力を消滅させた状態で、エラストマーウェブと非弾
性ファイバーからなる不織布とを接合している。このよ
うに、エラストマーウェブを伸張することにより、エラ
ストマーウェブの開口が拡大し、十分な通気性及び透湿
性を有する複合シートとすることができる。エラストマ
ーウェブの伸張倍率は、通常は2倍であり、望ましくは
3倍以上である。
【0087】また、エラストマーウェブを伸張すること
により、エラストマーウェブは厚みが薄くなり、しかも
網を構成するストランドが細くなり、柔軟性が増すの
で、衣料等の用途に特に好ましい、伸縮性の複合シート
となる。伸張するということは、エラストマーウェブの
原反の厚みが伸張倍率だけ厚くてよいということであ
る。熱可塑性のエラストマーでは厚みの薄いウェブを均
一な厚みで製造することが困難であるので、伸張により
ウェブの厚みを薄くすることにより、エラストマーウェ
ブの原反を容易に製造することができる。
【0088】さらに、本実施形態では、エラストマーウ
ェブを横方向に伸張しているが、これにより、狭い原反
幅から広幅の製品を作ることができる。従って、エラス
トマーウェブの横方向への伸張は、設備コストも安く、
成形性の悪い熱可塑性エラストマーを用いた幅広ウェブ
の製造に好適である。
【0089】(第2の実施形態)図12は、本発明の第
2の実施形態である複合シートの平面図である。図12
に示す複合シート20は、ファイバー21aがほぼ横方
向に配列され延伸された不織布21の片面に、縦方向に
長い多数の開口22aが設けられた、熱可塑性のエラス
トマーからなる網状化フィルム22を接合したものであ
る。
【0090】本実施形態の複合シート20は、不織布2
1と網状化フィルム22との縦と横との関係を第1の実
施形態と逆にしたものであり、従って、その特性も、第
1の実施形態で述べた複合シートと縦と横との関係が逆
になっている。すなわち、本実施形態の複合シート20
は、縦方向へは伸縮自在であるが、横方向へは殆ど伸び
ず寸法安定性に優れたものである。その他、通気性(透
湿性)を有する点、エラストマーの利用効率が高い点等
は、第1の実施形態と同様である。また、不織布11を
構成する材料やエラストマーは、第1の実施形態と同じ
ものを用いることができる。
【0091】次に、本実施形態の複合シート20の製造
方法の一例について、図13の工程図を参照しつつ説明
する。
【0092】本実施形態でも、第1の実施形態と同様
に、複合シート20の製造工程は大きく分けて、不織布
22を製造する工程と、エラストマーウェブを製造する
工程と、これらを接合する工程とからなる。
【0093】不織布22を製造する工程では、まず、適
宜の紡糸装置を用いて、ファイバーがほぼ横方向に配列
したウェブを得る(ステップ111)。次いで、このウ
ェブをファイバーの配列方向に延伸し(ステップ11
2)、横延伸した不織布22を得る。
【0094】一方、エラストマーのウェブを製造する工
程では、まず、エラストマーからなるフィルムに縦方向
に長いスリットを形成する(ステップ113)。次い
で、スリットが形成されたフィルムを、縦方向に引き伸
ばし、フィルムの材料の流動開始温度以上の温度で加熱
する(ステップ114)。これによりフィルムの復元力
が消滅する。次いで、スリットが形成されたフィルムを
拡幅する(ステップ115)。このときフィルムは、そ
の材料の流動開始温度以上の温度で加熱される。これに
より、フィルムの復元力が消滅し、図12に示したよう
な、縦長の開口22aが設けられた網状化フィルム22
が得られる。
【0095】そして、以上のようにして得られた不織布
21と、網状化フィルム22とを、それぞれの幅方向の
位置を一致させて接合し(ステップ116)、複合シー
ト20とする。
【0096】以下に、上述した各工程について詳細に説
明する。 (2a)不織布製造工程 不織布の製法としては、例えば、特公平3−36948
号公報、特開平7−6126号公報、特許第26122
03号公報、再公表特許WO9617121号公報、特
開平10−204764号公報等に開示された方法が挙
げられる。また、先願として、特願平10−34242
号に記載された方法もある。
【0097】本実施形態では、ファイバーがほぼ横方向
に配列し延伸している不織布を用いているので、不織布
の製造には、第1の実施形態とは異なる装置が用いられ
る。
【0098】図14は、横方向に配列した成分の多いフ
ァイバーを紡糸するのに適した装置を示す図であり、同
図(A)は、その噴射ヘッドを下から見た図、同図
(B)は噴射ヘッドの側断面図、同図(C)は噴射ヘッ
ドを正面から見た断面図である。
【0099】図14において、噴射口231は、不織布
を構成する樹脂の融液を吐出するものであり、この噴射
口231の周囲に、エアー孔(233−1、233−
2、233−3、・・・通常は3〜8個)が設けられて
いる。これらのエアー孔は、エアーを、噴射口231か
ら吐出されたファイバー232と噴射口231より数セ
ンチ〜数十センチ以内で交差するように、若干斜めに設
けられている。これにより、ファイバー232は、スパ
イラル状に回転される。
【0100】噴射ヘッドの下方には、スクリーンメッシ
ュ235が配置されている。エアー孔233−1、23
3−2、・・・の外側には、別の2つのエアー孔23
4、234’が、スクリーンメッシュ235の移動方向
と平行、かつ、互いにエアーの噴射方向が向き合うよう
に設けられている。各エアー孔234、234’から噴
射されたエアーは互いに衝突して、スクリーンメッシュ
235の移動方向と直角の方向に拡がり、そのエアーの
勢いで、回転されてきたファイバー232は、スクリー
ンメッシュ235の移動方向に直角に散らされながらス
クリーンメッシュ235上に蓄積する。これにより、ス
クリーンメッシュ235上には、形成される不織布の幅
方向に配列した成分を多くしたかたちでファイバー23
2が蓄積され、横方向の配列を主体とした不織布が得ら
れる。
【0101】1つの噴射口231によるファイバーの散
布幅は通常100〜300ミリメートルの範囲であるか
ら、目的とする不織布の幅に応じて、この噴射口231
を複数個設けてもよい。また、不織布の搬送速度を低下
させることなくファイバー232の密度を高くしたい場
合には、噴射ヘッドを不織布の搬送方向にも多段に設置
すればよい。
【0102】なお、縦方向におけるファイバー232の
密度ばらつきが少なく、しかもファイバー232の分子
配向をできるだけ少なくするためには、各エアー孔から
噴射するエアーの温度を、ファイバー232の融点より
も数十度以上高くすることが好ましい。また、ファイバ
ー232を構成するポリマーの種類によっては、2種類
のエアー孔のうち一方の種類のエアー孔から噴射するエ
アーについてのみ加熱すればよい場合もある。
【0103】上述のようにして得られた不織布は、横方
向に延伸されて横延伸不織布とされる。不織布の横方向
への延伸は、図9に示した装置をそのまま利用して行う
ことができる。すなわち、図9に示した装置に、フィル
ムの代りに不織布を供給すれば、横延伸した不織布を得
ることができる。 (2b)網状化フィルムの製造工程 本実施形態で用いられる網状化フィルム22は、熱可塑
性のエラストマーからなるフィルムを出発点として、前
述したように、フィルムにスリットを形成し、縦方向に
引き伸ばし、拡幅することによって製造される。
【0104】まず、フィルムに縦方向のスリットを形成
する。スリットの形成は、第1の実施形態と同様に、フ
ィルムを、周面にカッターが設けられた回転ローラ上を
通過させることで行うことができる。なお、本実施形態
では縦長のスリットを形成するので、カッターは第1の
実施形態と直交する向きに取り付けられる。
【0105】次に、フィルムを縦方向に引き伸ばすが、
フィルムの縦方向への引き延ばしには、第1の実施形態
で不織布の縦延伸に用いたものと同様の装置、あるいは
一般的な縦延伸装置を用いることができる。この場合、
フィルムを縦方向に引き伸ばすと、その引き伸ばし倍率
に応じてフィルムの幅が狭まり、その分だけスリットが
開いてフィルムが網状となる。この際、フィルムは流動
開始温度以上の温度に加熱され、復元力を消滅させられ
る。
【0106】次いで、スリットが形成されたフィルムを
拡幅するわけであるが、この工程では、第1の実施形態
におけるフィルムの拡幅に用いた装置と同じ装置、すな
わち図11に示した装置を使ってフィルムを拡幅するこ
とができる。このときフィルムは、その材料の流動開始
温度以上の温度で加熱されて復元力が消滅し、これによ
って、図12に示したような縦長の開口22aを有する
網状化フィルム22が得られる。なお、このときの拡幅
倍率は、縦方向に引き伸ばしたときの倍率よりも小さ
い。つまり、フィルムは相対的に縦方向に伸張される。
【0107】ここでは、フィルムに縦長のスリットを形
成してから縦方向に引き伸ばし、その後、拡幅する例に
ついて述べたが、図15に示すように、まず、フィルム
を縦方向に引き伸ばし(ステップ113’)てから縦ス
リットを形成し(ステップ114’)、次に、スリット
が形成されたフィルムを横方向に拡幅(ステップ11
5’)しても良い。
【0108】(2c)接合工程 ファイバーが横方向に配列され延伸された不織布と、縦
長の開口を有する網状化フィルムとの接合は、第1の実
施形態と同様にして行うことができる。
【0109】(その他の実施形態)以上、本発明の複合
シートの製造に好適な方法及び装置について、いくつか
の代表的な例を挙げて説明したが、これらの方法及び装
置は、目的とする複合シートの用途及び構成に応じて適
宜組み合わせて採用することができる。
【0110】また、複合シートの構造も、上述した代表
的な2つの実施形態に示したものに限定されるものでは
なく、種々の構造を採用することができる。以下に、上
述した方法及び装置を応用した、本発明のその他の実施
形態について説明する。
【0111】〈エラストマーウェブの開口パターンの
例〉第1及び第2の実施形態では、エラストマーウェブ
として、網状の開口パターンを有するフィルムを用いた
例を示したが、開口パターンは網状に限定されるもので
はない。ただし、エラストマーの使用効率の観点から
は、複合シートの伸縮方向に比べて、それと直交する方
向でのエラストマーの使用量が少ないほうが好ましい。
以下に、好ましい開口パターンの例をいくつか示す。な
お、以下に示す例は、横方向に伸縮する複合シート、つ
まりファイバーが縦方向に配列され延伸された不織布に
接合されるフィルムの例である。したがって、縦方向に
伸縮する複合シートの場合には、以下に示すパターンを
90度回転させたパターンとなる。
【0112】図16に示す例は、梯子状の開口パターン
を有する梯子状化フィルム31の例である。図16
(a)に示すように、開口31aは梯子状化フィルム3
1の横方向のほぼ全域にわたる長さを有し、この開口3
1aが梯子状化フィルム31の縦方向に並べられて配列
している。このような梯子状化フィルム31を製造する
には、図16(b)に示すように、その原膜となるフィ
ルム30の幅方向のほぼ全域にわたるスリット30a
を、縦方向に間隔をおいて形成すればよい。
【0113】図17に示す例は、互いに太さの異なる幹
部分41bと枝部分41cとが交差した開口パターンを
有する枝状化フィルム41の例である。図17(a)に
示すように、枝状化フィルム41は、横方向とほぼ平行
な幹部分41bと、この幹部分41bよりも太さが細
く、幹部分41bと斜めに交差した枝部分41cとを有
し、開口41aは、これら幹部分41bと枝部分41c
とで囲まれて形成されている。このような枝状化フィル
ム41を製造するには、図17(b)に示すように、原
膜であるフィルム40に階段状のスリット40aを横方
向に形成すればよい。
【0114】〈エラストマーウェブとして不織布を用い
た例〉エラストマーウェブとしては、開口を有するフィ
ルムに限らず、熱可塑性のエラストマーで形成された不
織布を用いることもできる。
【0115】熱可塑性エラストマー不織布を使用した場
合の複合シートの製造工程の例を図18及び図19に示
す。
【0116】図18に示す例において、非弾性不織布を
製造する工程の、ファイバー紡糸工程(ステップ12
1)及び縦延伸工程(ステップ122)は、第1の実施
形態と同様である。一方、エラストマー不織布を製造す
る工程では、まず、エラストマーのファイバーを横方向
に配列させた不織布を形成し(ステップ123)、次い
で、それを横方向に引き伸ばし(ステップ124)、エ
ラストマーの流動開始温度以上の温度に加熱する(ステ
ップ125)。そして、非弾性不織布とエラストマー不
織布とを接合して(ステップ126)、複合シートを製
造する。
【0117】このようにして得られた複合シートを図2
0に示す。図20に示す複合シート50は、非弾性のフ
ァイバーがほぼ縦方向に配列された非弾性不織布51
と、エラストマーのファイバーがほぼ横方向に配列され
たエラストマー不織布52とで構成される。
【0118】図19に示す例は、非弾性不織布とエラス
トマー不織布のファイバーの配列を図20に示したもの
と逆にした例である。図19に示す例において、非弾性
不織布を製造する工程の、ファイバー紡糸工程(ステッ
プ131)及び横延伸工程(ステップ132)は、第2
の実施形態と同様である。一方、エラストマー不織布を
製造する工程では、まず、エラストマーのファイバーを
縦方向に配列させた不織布を形成し(ステップ13
3)、次いで、それを縦方向に引き伸ばし(ステップ1
34)、エラストマーの流動開始温度以上の温度に加熱
する(ステップ135)。そして、非弾性不織布とエラ
ストマー不織布とを接合して(ステップ136)、複合
シートを製造する。
【0119】エラストマー不織布は、通常のメルトブロ
ー法やスパンボンド法による不織布(特開昭61−55
249号公報等)、あるいは本発明者らによる先発明
(特開平2−242960号公報、特開平10−204
767号公報等)の紡糸法を利用することもでききる
が、これらに限定されるものではない。エラストマー不
織布の伸張、また、非弾性不織布とエラストマー不織布
との接合は、第1の実施形態または第2の実施形態で述
べた手段を用いて行うことができる。
【0120】エラストマーウェブを不織布で構成する場
合、通気性等のための開口は、エラストマーのファイバ
ー間の隙間で形成されるため、微細なものとなる。しか
し、開口が微細なものであっても、その後の伸張工程で
開口が拡大されるので、通気性や透湿性が損なわれるこ
とはない。また、エラストマーウェブを不織布で構成し
た場合のエラストマーのファイバーの配列方向は、伸張
工程で拡大された後の開口の形状を考慮すると、複合シ
ートの伸縮方向におけるエラストマーの使用効率の観点
からは、接合される不織布の非弾性ファイバーの配列方
向と直角となる方向あることが好ましい。言い換えれ
ば、エラストマーの不織布の伸張工程では、エラストマ
ーのファイバーの配列方向にエラストマーウェブを伸張
するのが好ましい。これにより、エラストマーファイバ
ーからなる不織布の開口を、容易に一方向に長い開口と
することができる。また、エラストマーの不織布であっ
ても、フィルムの場合と同様に、エラストマー不織布に
スリットを形成して開口部をさらに付加してもよい。
【0121】このように、エラストマーウェブを不織布
で構成した場合であっても、その伸張(伸張応力消失の
ための熱処理も含む)、及び非弾性ファイバーからなる
不織布との接合には、それらのファイバーの配列方向に
応じて、上述した種々の装置を適宜選択して用い、上述
した方法で行うことができる。
【0122】なお、非弾性ファイバーからなる不織布の
ファイバーの配列方向と、エラストマーのファイバーの
配列方向とが等しい場合には、図21に示すように、非
弾性ファイバーからなる不織布71の搬送方向に対して
直角方向からエラストマーからなる不織布81を供給す
れば、非弾性ファイバーの配列方向とエラストマーのフ
ァイバーの配列方向とが直交した複合シートを得ること
ができる。この方法によって得られる複合シートの幅は
不織布の幅である。したがって、エラストマーファイバ
ーからなる不織布81の供給の際は、非弾性ファイバー
からなる不織布71の幅に合わせて不織布81を切断し
た状態で、先に供給した不織布81aとの重なりが最小
となるように連続的に不織布に重ねていく。
【0123】エラストマーのウェブは、上述した、開口
を有するフィルムや不織布の他に、ネット、熱可塑性の
エラストマーのヤーンから作った編み物や織物といった
形態であってもよい。
【0124】以上説明したように本発明は、一方向に伸
縮性を有し、かつ、通気性及び透湿性を有する複合シー
ト及びその製造方法を提供するものであり、本発明の複
合シートは、特に、伸縮性包帯、サポータ、衣類の袖
口、伸縮テープ、ストレッチベルト、ブラジャーの肩
紐、腹巻き、妊婦帯、手袋や靴下のほつれ止め、おむつ
や失禁パッド等の衛生材料の伸縮弾性部等の、衣料品、
医療品等に適している。
【0125】本発明により、通気性及び透湿性を有しな
がらも効率よく伸縮性を発揮することがきで、しかも簡
便かつ効率的な成形方法で複合シートを製造することが
できるので、本発明の複合シートは量産性に優れてい
る。
【0126】また、本発明で用いる非弾性ファイバーの
不織布はファイバーが一方向に配列されかつ延伸された
不織布であり、ファイバーの配列方向と直角方向に破断
伸度を大きくとるのに適しており、不織布の目付量が少
なくてもその伸度特性が損なわれることはない。したが
って不織布の量を低減することができ、その面からもコ
ストの安いシートを提供することができる。
【0127】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、非
弾性ファイバーが一方向に配列された不織布に、通気孔
を有する、熱可塑性エラストマーからなるウェブを接合
することで、ファイバーの配列方向には殆ど変形しない
がそれと直角の方向には大きく伸縮する伸縮特性を有
し、しかも通気性を有する複合シートを提供することが
できる。また、不織布の目付量及び熱可塑性エラストマ
ーの使用量が少なくても上記の伸縮特性が損なわれない
ので、結果的に安価な複合シートとすることができる。
さらに、本発明の複合シートの製造方法によれば、上述
した本発明の複合シートを簡便かつ効率良く製造するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態である複合シートの平
面図である。
【図2】図1に示す複合シートの製造方法の一例を示す
工程図である。
【図3】メルトブロー法によりファイバーの紡糸及び延
伸を行う装置の一例の概略斜視図である。
【図4】図3に示す近接延伸ユニットを詳細に説明する
図である。
【図5】ウェブを縦方向に延伸する延伸装置の一例の概
略構成図である。
【図6】スパンボンド法によりファイバーを防止する装
置の一例の概略断面構成図である。
【図7】フィルムにスリットを形成する装置の一例の概
略構成図である。
【図8】図7に示すカッタの正面図である。
【図9】フィルム(ウェブ)を横方向に伸張する装置の
一例の概略斜視図である。
【図10】図1に示す網状化フィルムの伸張前及び横方
向への伸張後の平面図である。
【図11】非弾性ファイバーからなる不織布とエラスト
マーウェブとの接合装置の一例の該略図である。
【図12】本発明の第2の実施形態である複合シートの
平面図である。
【図13】図12に示す複合シートの製造方法の一例を
示す工程図である。
【図14】図12に示す不織布の製造に用いられる、横
方向に配列している成分の多いファイバーを紡糸する装
置を示す図である。
【図15】図12に示す複合シートの製造方法の他の例
を示す工程図である。
【図16】本発明の複合シートに用いられるフィルムの
開口パターンの他の例の、伸張後及び伸張前の平面図で
ある。
【図17】本発明の複合シートに用いられるフィルムの
開口パターンのさらに他の例の、伸張後及び伸張前の平
面図である。
【図18】熱可塑性エラストマー不織布を使用した場合
の複合シートの製造方法の一例を示す工程図である。
【図19】熱可塑性エラストマー不織布を使用した場合
の複合シートの製造方法の他の例を示す工程図である。
【図20】図18に示す工程で製造された複合シートの
概略斜視図である。
【図21】ともにファイバーが縦方向に配列された不織
布同士を、ファイバーを直交させて接合する場合の接合
方法を説明するための図である。
【符号の説明】
9、30、40 フィルム 9a、30a、40a スリット 10、20、50 複合シート 11、21 不織布 11a、21a ファイバー 12、22 網状化フィルム 12a、22a、31a、41a 開口 31 梯子状化フィルム 41 枝状化フィルム 41b 幹部分 41c 枝部分 51 非弾性不織布 52 エラストマー不織布 201 メルトブローダイス 203 ノズル 207 コンベア 210 負圧吸引ノズル 211 延伸シリンダ 212、213 押さえゴムロール 214a、214b 引取ニップロール 231 噴射口 233−1〜233−6、234、234’ エアー
孔 235 スクリーンメッシュ 302 与熱ロール 303、305、307 延伸ロール 309 熱処理ロール 401、401’、404、404’ ニップロール 402 回転ローラ 403 カッタ 403a 三角刃 410、414 ターンロール 411、411’ 延伸プーリ 412、413 無端ベルト 415 チャンバ 501、502’ ピンチロール 503 加熱シリンダ 504 熱圧着ロール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 健一 東京都小平市花小金井3−35−4 Fターム(参考) 4F100 AL09B AT00B BA02 BA22 DC12 DC12B DC13B DG01 DG01B DG15 DG15A EJ37A EJ42 EJ90B GB66 GB72 GB87 JB16B JD02 JD04 JK08 4L047 BD02 CA02 CA10 CB01 CB08 CB10 CC03 CC04 CC05

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非弾性ファイバーが一方向に配列され、
    前記ファイバーの配列方向と直角な方向での伸度が10
    0%以上である不織布と、 前記不織布上に接合された、熱可塑性エラストマーから
    なり、通気孔を有するウェブであって、前記非弾性ファ
    イバーの配列方向と直角な方向に伸張させた状態で前記
    熱可塑性エラストマーの流動開始温度以上の温度に保た
    れることで復元力を消失させたウェブとを有する複合シ
    ート。
  2. 【請求項2】 前記不織布は、ファイバーがその配列方
    向に延伸された不織布である、請求項1に記載の複合シ
    ート。
  3. 【請求項3】 前記ウェブは、通気のための開口が設け
    られたフィルムである、請求項1または2に記載の複合
    シート。
  4. 【請求項4】 前記開口は、前記非弾性ファイバーの配
    列方向と直角な方向に長い形状である、請求項3に記載
    の複合シート。
  5. 【請求項5】 前記ウェブは、熱可塑性エラストマーの
    ファイバーからなる不織布である、請求項1または2に
    記載の複合シート。
  6. 【請求項6】 前記熱可塑性エラストマーのファイバー
    の配列方向は、前記非弾性ファイバーの配列方向と直角
    な方向である、請求項5に記載の複合シート。
  7. 【請求項7】 非弾性ファイバーが一方向に配列された
    不織布を形成する工程と、 熱可塑性エラストマーからなるウェブを通気孔を有して
    形成する工程と、 前記ウェブを一方向に伸張する工程と、 伸張している前記ウェブを前記熱可塑性エラストマーの
    流動開始温度以上の温度に加熱して前記ウェブの復元力
    を消失させる工程と、 前記不織布と、前記復元力が消失した前記ウェブとを、
    前記非弾性ファイバーの配列方向と前記ウェブの伸張方
    向とが直角になるように接合する工程とを有する複合シ
    ートの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記ウェブとして、熱可塑性エラストマ
    ーからなるフィルムを用い、 前記ウェブを形成する工程は、前記フィルムに前記通気
    孔となるスリットを形成する工程を有する、請求項8に
    記載の複合シートの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記スリットを形成する工程では、前記
    ウェブの伸張方向に長いスリットを形成する、請求項8
    に記載の複合シートの製造方法。
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