JP2001006165A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法

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JP2001006165A
JP2001006165A JP11169382A JP16938299A JP2001006165A JP 2001006165 A JP2001006165 A JP 2001006165A JP 11169382 A JP11169382 A JP 11169382A JP 16938299 A JP16938299 A JP 16938299A JP 2001006165 A JP2001006165 A JP 2001006165A
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film
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Fumiyoshi Kirino
文良 桐野
Nobuyuki Inaba
信幸 稲葉
Teruaki Takeuchi
輝明 竹内
Koichiro Wakabayashi
康一郎 若林
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Hitachi Maxell Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】磁性膜における結晶粒子サイズの分散を抑制
し、かつ、微細化し、結晶粒子サイズの分散を抑制し、
低ノイズ、低熱揺らぎ、低熱減磁で、40Gbit/inch2を超
える超高密度磁気記録媒体。 【解決手段】ガラス基板表面に酸化コバルト、酸化クロ
ム、酸化鉄あるいは酸化ニッケルの内より選ばれる1種
類の酸化物(溶質)を酸化シリコン、酸化アルミニウム、
酸化チタン、酸化タンタルあるいは酸化亜鉛の内より選
ばれる少なくとも1種類の酸化物(溶媒)に溶解し、ハニ
カム構造を有しかつ規則的に配列した溶質物質の結晶粒
子と、該粒子を取り囲むように粒界に溶媒物質を析出さ
せた構造の無機化合物の基板あるいは薄膜をECR法によ
り形成した後に、磁気記録媒体を作製した構造の磁気記
録媒体を形成することにより実現できる。ここで、該無
機化合物の基板あるいは薄膜は、溶質物質が結晶粒子と
して析出し、溶媒物質がその結晶粒界に存在している構
造である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大量の情報を迅速
かつ正確に格納するための磁気記録媒体の製造方法にか
かり、特に、高性能でかつ高信頼性を有する磁気ディス
ク用の磁気記録媒体、磁気ディスク用円板の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年の高度情報化社会の進展にはめざま
しいものがあり、各種形態の情報を統合したマルチメデ
ィアが急速に普及してきている。これを支える情報記録
装置の1つに磁気ディスク装置がある。現在、磁気ディ
スク装置は、記録密度を向上させつつ小型化が図られて
いる。それと並行して、ディスク装置の低価格化が急速
に進められている。ところで、磁気ディスクの高密度化
を実現するためには、1)ディスクと磁気ヘッドとの距
離をつめること、2)媒体の保磁力を増大させること、
3)信号処理方法を工夫することなどが必須の技術であ
る。
【0003】中でも、磁気記録媒体においては、高密度
記録を実現するために、保磁力の増大が必須である。こ
れに加えて、20Gbit/inch2を超える記録密度を実現する
ためには、磁化反転が生じる単位を小さくしなければな
らない。そのためには、磁性粒子のサイズを微細化する
ことが必要である。さらに、磁性粒子のサイズの微細化
と同時に、そのサイズの分布を低減することが、熱揺ら
ぎの観点から重要となってきている。これらを実現する
方法として、磁性膜の下にシード薄膜を設けることが提
案されている。その一例としてUSP-4652499をあげるこ
とができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術では、
情報記録用磁性膜の結晶粒子サイズの制御には限度があ
り、シード層上に形成した磁性膜でも粒子サイズの分布
は小さくなるものの、20Gbit/inch2を超える記録密度を
実現するためには熱揺らぎを十分に抑制できなかった。
これは、この記録密度を実現するには、微小な粒子や粗
大化した粒子の分布を更に抑制する必要があった。これ
らの粒子は、情報を記録する場合(磁化を反転させる場
合)に、周囲の磁性粒子からの漏洩磁界の影響を受けた
り、逆に、大きな粒子では相互作用を与えるために、20
Gbit/inch2を超える超高密度記録を行う場合、安定した
記録が行えない場合があった。
【0005】そこで、本発明の第1の目的は、磁性膜に
おける結晶粒子サイズを微細化することにより、ノイズ
の発生が小さい高性能な磁気記録媒体を提供することに
ある。本発明の第2の目的は、結晶粒子サイズの分散を
抑制することにより、低ノイズ、低熱揺らぎ、ならびに
低熱減磁の磁気記録媒体を提供することにある。本発明
の第3の目的は、磁性膜の結晶配向性を制御することに
より、高密度記録に適した磁気記録媒体を提供すること
にある。さらに、本発明の第4の目的は、磁性粒子間の
磁気的相互作用を低減することにより、記録や消去時の
磁化反転単位を低減できるので、高密度な磁気記録媒体
を提供することができる。以上のことから、20Gbit/inc
h2を超える超高密度磁気記録媒体を提供することができ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、酸化コバ
ルト、酸化クロム、酸化鉄あるいは酸化ニッケルの内よ
り選ばれる少なくとも1種類の酸化物を結晶粒子として
析出させ、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化チタ
ン、酸化タンタルあるいは酸化亜鉛の内より選ばれる少
なくとも1種類の酸化物を該結晶粒子の周囲を取り囲む
ように結晶粒界相として存在させた構造を有する無機化
合物の製造をマイクロ波を用いたECRスパッタ法により
行うことにより、得られた無機化合物およびその薄膜に
おける結晶粒子の形状が六角形であり、その集合体がハ
ニカム構造を有しており、かつ、その粒子が2次元的に
規則的に配列している無機化合物ならびにその薄膜を形
成することにより実現できる。この方法で作製した無機
化合物あるいはその薄膜は、無機化合物中に析出してい
る結晶粒子がX線的に結晶質であり、該結晶粒子の粒界
に存在している溶媒物質がX線的に非晶質である。
【0007】ECRスパッタ法により作製した無機化合物
およびその薄膜の構造は、その結晶粒子のサイズの分布
が、統計学的な標準偏差:σが粒子サイズの10%以下で
あり、しかも、粒子サイズの分布が正規分布であるなど
その構造の規則性は非常に高い。このように、ECRスパ
ッタ法を用いることにより、得られる材料の構造の規則
性の制御を高精度で行えることが特徴である。そして、
ECR法により励起して作製した無機化合物をECRスパッタ
法によりその薄膜を作製しても、その構造および形態を
保持したまま薄膜化し、しかも、薄膜の膜厚方向の組織
が柱状組織であることが好ましい。
【0008】この薄膜を磁気ディスク用の磁性膜を作製
する場合の下地膜に用いることを考えると、膜厚が、10
nm以上、100nm以下であることが最も好ましい。特に、E
CRスパッタ法を用いると、膜厚の薄い領域でも高い精度
で規則性を有した薄膜が得られる。さらにこの材料は、
無機化合物およびその薄膜中に析出している結晶粒子が
結晶配向させることができる。この結晶粒子上から薄膜
をエピタキシャル的に別の薄膜が成長するように、この
無機化合物薄膜の結晶配向性ならびに結晶粒子の格子面
間隔を制御することができる。ここで、この薄膜の結晶
粒子間の距離(粒界距離)が0.5nm以上で、2nm以下で、
任意に制御できる。この無機化合物およびその薄膜の構
造、配向性、結晶粒子サイズのうちから選ばれる少なく
とも1つのパラメータを制御するためには、結晶粒子を
形成する物質の濃度(組成)の選択、材料を構成する化合
物の選択、作製方法の選択、作製条件の選択などにより
行うことができる。勿論、この材料を板状に成形して基
板として用いても良い。この場合、無機化合物における
析出した結晶粒子が板の厚さ方向に柱状の組織を有し、
かつ、結晶粒子の形状が六角形を有しており、しかも該
結晶粒子がに二次元的に規則的に配列したハニカム構造
を有していることは言うまでもない。
【0009】ところで、ECRスパッタ法により作製した
無機化合物の薄膜は、基板上に形成すると、得られた薄
膜における結晶粒子が形成した基板に対して垂直な方向
に粒子成長し、かつ、その組織が柱状組織であり、しか
も、一定方向に結晶配向していることが好ましい。
【0010】ところで、この無機化合物およびその薄膜
を磁気ディスクへ応用することが最も好適である。磁気
ディスクは、少なくとも円形のディスク基板と情報を記
録するための磁性膜を有しており、円形のディスク基板
上に酸化コバルト、酸化クロム、酸化鉄あるいは酸化ニ
ッケルの内より選ばれる少なくとも1種類の酸化物を結
晶粒子として存在させ、この結晶粒子を取囲むように酸
化シリコン、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タン
タルあるいは酸化亜鉛の内より選ばれる少なくとも1種
類の酸化物を結晶粒界に析出させた構造を有する無機化
合物およびその薄膜を形成した後に磁性膜を作製する。
このようにして作製した無機化合物およびその薄膜の構
造および組織は、結晶粒子の形状が六角形であり、か
つ、その粒子が2次元的に規則的に配列したハニカム構
造を有しており、無機化合物を薄膜化して円形のディス
ク基板上に形成した後に、磁気記録用の磁性膜を該無機
化合物における結晶粒子からエピタキシャル成長するよ
うに作製することが最も好ましい。
【0011】ここで、この無機化合物薄膜で析出した粒
子がX線的には結晶質であり、粒界相の化合物がX線的
に非晶質で、しかも、析出した結晶粒子が一定の方位に
配向しており、その粒子の結晶構造が磁気記録媒体の結
晶構造あるいは結晶面間隔と同じか類似していることが
最も好ましい。さらに、この無機化合物薄膜の析出粒子
がX線的には結晶質であり、しかも、該結晶粒子の結晶
配向性を所望の方向に積極的に制御したことが好まし
い。この場合、このECRスパッタ法により作製した無機
化合物薄膜の析出粒子がX線的には結晶質であり、しか
も、その結晶粒子の結晶配向性の方位を結晶粒子上にエ
ピタキシャル成長させる薄膜の結晶構造に合わせて制御
することが最も好ましい。
【0012】ところで、ECR法を用いることが有利なの
は、六角形の結晶粒子が二次元的に規則的に配列したハ
ニカム構造を有し、かつ、結晶粒子を取囲むように非晶
質材料を存在させた無機化合物薄膜の製造において、EC
R法を用いて製造を行うことにより、粒子の形状、配列
状態ならびに結晶粒子の配向性を高精度に制御が可能で
あり、その結果、1つの結晶粒子の周囲に析出している
結晶粒子の数に着目すると、5.8以上、6.2以下である。
そして、少なくとも円形のディスク基板上に無機化合物
薄膜と情報を記録するための磁性膜とそれを保護するた
めの保護膜とをこの順序に有する磁気ディスクにおい
て、先のECRスパッタ法により作製した無機化合物の薄
膜中の結晶粒子から磁性膜をエピタキシャル的に成長さ
せ、その結果、無機化合物薄膜の結晶粒子により磁気記
録媒体の結晶成長が制御され、それと同時に無機化合物
薄膜の結晶粒子とそれを取囲むように存在する非晶質粒
子とにより、磁性膜の構造を制御することができる。そ
れは、結晶粒子上と非晶質粒子上とで薄膜の成長メカニ
ズムが異なるためで、磁性膜の結晶構造や組織を抑制す
ることができる。
【0013】円形のディスク基板上に無機化合物薄膜と
情報を記録するための磁性膜とそれを保護するための保
護膜とを有する磁気ディスクにおいて、特に、基板上に
無機化合物薄膜をECRスパッタ法により形成した後に無
機化合物薄膜の結晶粒子からエピタキシャル成長させて
磁性膜を形成することにより、その磁性膜の結晶粒子の
サイズを無機化合物薄膜の結晶粒子と等しくすることに
効果がある。ここで、繰返しになるが、磁気ディスクに
適用したECRスパッタ法により作製した無機化合物薄膜
が、先のECRスパッタ法により作製した無機化合物およ
びその薄膜に等しい材料であり、その無機化合物の薄膜
上に磁性膜をエピタキシャル成長させたことになる。こ
こで、ECRスパッタ法により作製した無機化合物膜と磁
性膜の結晶構造とが類似しているとは、ECRスパッタ法
により作製した無機化合物における析出させた結晶粒子
の結晶形と磁性膜の結晶形(結晶構造、結晶形状、結晶
サイズなど)とが等しく、かつ、ECRスパッタ法により作
製した無機化合物薄膜の結晶粒子の格子定数と磁性膜の
格子定数の差が、比で±10%以内である必要がある。こ
れにより、無機化合物膜の結晶粒子から磁性膜をエピタ
キシャル成長させる場合に、結晶格子の整合性を確保す
ることができる。もちろん、格子面間隔の差が、比で±
10%以上の場合、無機化合物膜と磁性膜の間に、格子面
間隔を調整するための層を一層あるいは複数層設けても
良いことは言うまでもない。
【0014】ところで、先のハニカム構造を有するECR
スパッタ法により作製した無機化合物と同じ構造を有す
る材料を基板として用いても良い。少なくとも円形の基
板と情報を記録するための磁性膜とそれを保護するため
の保護膜とを有する磁気ディスクにおいて、ディスク基
板の材料として酸化コバルト、酸化クロム、酸化鉄ある
いは酸化ニッケルの内より選ばれる少なくとも1種類の
酸化物の結晶粒子とそれを取囲むように酸化シリコン、
酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタルあるいは
酸化亜鉛の内より選ばれる少なくとも1種類の酸化物を
その結晶粒子の粒界部分に存在させた無機化合物であ
り、しかも、その無機化合物の結晶粒子をECR法により
該結晶粒子を二次元的に規則的に配列させ、かつ、その
結晶粒子の形状がハニカム構造であり、この材料を用い
てディスク用の基板を作製してもよい。この場合も、材
料の合成にECR法を用いて励起すると粒子サイズや粒子
形状に与える効果が大きい。すなわち、結晶粒子を二次
元的に規則的に配列させ、かつ、その結晶粒子の形状が
ハニカム構造を有する無機化合物の結晶粒子を取り囲む
結晶粒子の数が5.8以上、6.2以下となる。この場合も、
材料の構造としては、ECR法により作製することによ
り、結晶粒子を二次元的に規則的に配列させ、かつ、こ
の結晶粒子の形状がハニカム構造を有する。
【0015】この無機化合物の基板上に形成する磁性膜
との格子定数との差を比で±10%以下であることが最も
好ましい。逆に、ECR法により作製した結晶粒子を二次
元的に規則的に配列させ、かつ、この結晶粒子の形状が
ハニカム構造を有する無機化合物の基板上に形成する磁
性膜との格子定数との差が、比で±10%以上の場合は、
無機化合物基板と磁性膜の間に、両層と格子定数の差が
±10%以内である格子定数の差を緩和するための薄膜層
を設けることにより、磁気記録媒体が該無機化合物薄膜
における結晶粒子層からエピタキシャル成長を促進する
ようにすればよい。
【0016】無機化合物を構成している無機化合物を用
いて作製した基板において、析出させた結晶粒子がX線
的に結晶質であり、粒界相の物質がX線的に非晶質であ
ることは言うまでもない。しかも、析出粒子の結晶構造
が、この基板上に形成する磁気記録媒体の磁性結晶粒子
の結晶構造と同じか、あるいは類似した構造であること
が必要である。ここで、結晶形状が類似しているとは結
晶構造が同一であり、格子面間隔の差が±10%以内であ
ることを差している。
【0017】磁気ディスクの記録に用いる磁性膜とし
て、Coを主体とし、これにCr、Pt、Ta、Nb、Ti、Siの内
より選ばれる少なくとも2種類の元素を含む合金の強磁
性薄膜を用いることが最も好ましい。この強磁性薄膜
は、Coを主体とし、これにCr、Pt、Ta、Nb、Ti、Siの内
より選ばれる少なくとも2種類の元素を含む合金の薄膜
であり、しかも、その薄膜がX線的に結晶質である。結
晶粒子は、Co合金であり、これを先のECR法により作製
した無機化合物あるいはその薄膜の結晶相からエピタキ
シャル成長させればよい。この合金系は、Coを主体と
し、これにCr,Pt,Ta,Nb,Ti,Siの内より選ばれる少なく
とも2種類の元素を含む磁性合金の薄膜であり、この中
で、Cr,Ta,Nb,Ti,Siの内より選ばれる少なくとも1種類
の元素がCoの粒界近傍あるいは粒界に偏析している。
【0018】この材料系以外に、磁性膜の構造は異なる
が、磁気記録媒体が結晶質相と非晶質相の二相から構成
され、結晶相がCoを主体とし、これにNd,Pr,Y,La,Sm,G
d,Tb,Dy,Ho,Pt,Pdの内より選ばれる少なくとも1種類の
元素を含んた相であり、非晶質相として酸化シリコン、
酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化アルミニウムの内より選
ばれる少なくとも1種類の化合物相が結晶粒子を取囲む
ように存在した構造の磁性膜を用いても良い。この磁性
膜を成膜するのにあたり、先のECR法により作製した無
機化合物あるいはその薄膜の結晶質層にCo粒子が、非晶
質相に対応して酸化物が析出、成長させればよい。その
結果、無機化合物の結晶粒子サイズと磁性膜のサイズと
もに等しくできる。逆に言えば、上記の2種類の磁性材
料ともに、結晶粒子サイズやサイズ分布を支配するのは
無機化合物あるいはその薄膜の構造や組織に依存してい
ることにある。それは、ECR法により作製した無機化合
物あるいはその薄膜の結晶粒子からエピタキシャル成長
させることにより実現できる。その無機化合物薄膜をEC
Rスパッタ法により作製することで、結晶粒子サイズや
その分布を一定値以下に制御することが可能になる。
【0019】以上、述べてきた無機化合物あるいはその
薄膜を基板あるいは下地膜として用い、この無機化合物
上に磁性膜、そして、保護膜を形成して作製したディス
ク状に形成した。少なくとも磁気ディスク円板、磁気ヘ
ッド、電気回路からなる磁気ディスク装置において、こ
の磁気ディスク円板を用いる。そして、この磁気ディス
ク装置を用いて、情報を記録、再生あるいは消去を行
う。すなわち、このような磁気記録媒体を形成した磁気
ディスク円板に、磁気ヘッドや電気回路を組み合わせて
磁気ディスク装置を構成する。そして、この装置に画像
やコードデータ、オーディオなどの各種の情報を記録、
再生あるいは消去を行なう。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の詳細を実施例を用いて説
明する。
【0021】《実施の形態1》本実施例は、ECRスパッ
タ法により作製した無機化合物薄膜の場合である。作製
した試料の断面構造を示す模式図を図1に示す。ガラス
基板(1)上に、無機化合物の薄膜(2)をECRスパッタ法に
より作製した。CoOとSiO2を2:1に混合して焼結したもの
をターゲットに、放電ガスには純Arをそれぞれ使用し
た。スパッタ時の圧力は3 mTorr、投入マイクロ波電力
は1kWである。また、ターゲットには500WのRFバイアス
を印加した。作製した薄膜の膜厚は30 nmである。得ら
れた無機化合物薄膜(2)の表面をTEMにより観察した結果
の略図を図2に示す。この図より、この薄膜は、10nmの
正六角形のハニカム構造を有する結晶粒子が二次元に規
則的に配列した結晶粒子の集合体であることがわかる。
【0022】結晶粒子間の距離は、0.5〜1.0nmであっ
た。この値は、ターゲットの組成(CoOとSiO2の比など)
を変化させることにより所望の値を容易かつ任意に選択
することができる。ところで、粒界距離として最大で2n
m以上とすることは困難である。また、結晶粒子はコバ
ルトの酸化物で、結晶粒界に存在しているのが酸化シリ
コンである。
【0023】この無機化合物薄膜の格子像観察から、コ
バルト酸化物は結晶質であり、酸化シリコンは非晶質で
あることがわかった。格子定数を求めたところ、Coの値
にほぼ等しい値であった。格子定数は、成膜条件、さら
には、CoOにイオン半径の異なる金属(例えば、クロム、
鉄、あるいはニッケルなど)を添加することで制御でき
る。あるいは、これらの金属の酸化物を添加しても同様
である。
【0024】また、この薄膜の断面を観察したところ、
基板に対して垂直方向に柱状の組織が観察された。柱状
組織は、途中で結晶粒子が大きくなるなど異常成長する
ことなく成長していることがわかった。
【0025】次に、無機化合物薄膜表面のTEM観察結
果を用いて、ある1つの結晶粒子の周囲に存在している
結晶粒子の数を解析した。まず、結晶粒子サイズを求め
たところ、平均粒径で10nmであった。粒子サイズの分布
は、正規分布をしており、標準偏差を求めるとσで0.6n
m以下であった。
【0026】次に、1つの結晶粒子の周囲に存在してい
る結晶粒子数を求めた。280個の結晶粒子について調べ
たところ、平均で6.02個であった。このことは、サイズ
のそろった六角形を有する結晶粒子が、二次元的に規則
的に配列している(ハニカム構造)ことを示している。1
つの結晶粒子の周囲に存在している結晶粒子数は、結晶
粒子間隔に依存して変化する。すなわち、溶媒のSiO2
度を低くすると、粒子間隔は狭くなる(結晶粒子どうし
が接近する)。それと同時に、粒子形状に乱れが観測さ
れた。1つの結晶粒子の周囲に存在している結晶粒子数
は、7個台の粒子があったり、逆に、4〜5個台の粒子が
存在しており、ばらつきが大きくなった。また、二次元
の配列に乱れが生じ、ハニカム構造が崩れた。
【0027】このように、結晶粒子間に存在する溶媒物
質は、構造に規則性を持たせる重要な役割を有してい
る。また、この膜をECRスパッタ法以外の方法で作製し
た。通常のマグネトロンスパッタ法により作製した無機
化合物薄膜の構造を解析したところ、平均粒径で10nmで
あったが、粒子サイズの分布は、正規分布をしており、
標準偏差を求めるとσで1.2nmであり、分布が大きいこ
とが分かる。また、1つの結晶粒子の周囲に存在してい
る結晶粒子数を求めたところ、280個の結晶粒子につい
て調べたところ、平均で6.3個であり、やや規則性が低
下していることがわかる。このように、ECRスパッタ法
を用いると、無機化合物の構造の規則性を大きく改善で
きることがわかる。
【0028】最後に、この無機化合物薄膜の結晶構造を
X線回折法により解析した。得られたプロファイルを図
3に示す。これによると、2θ=62.5°付近にCoOの(220)
の回折ピークが観測された。この他のピークは観測され
なかった。この構造は、成膜条件や組成を制御すること
により、所望の構造を有する無機化合物膜が得られる。
すなわち、配向性の制御が可能である。さらに、μ-EDX
により結晶粒子とその粒界を分析したところ、結晶粒子
はCoの酸化物であり、その粒界に存在しているのはSiO2
であった。
【0029】上述の実験では、ターゲットとして、CoO
とSiO2との混合したものを焼結して用いた。これらの各
化合物を単体で焼結したものをターゲットに用い、二元
同時スパッタにより成膜してもよく、成膜法やターゲッ
トの種類には依存しない。ここで重要なことは、マイク
ロ波を用いたECRスパッタ法を用い、スパッタ粒子のエ
ネルギーを精密に制御することである。また、膜厚を5n
m程度としても、逆に、100nmと厚くしても得られる膜の
表面および断面の組織や構造、粒子サイズおよびサイズ
分布などに、膜厚に依存した変化は見られなかった。さ
らに、成膜初期に、初期成長層なども観察されなかっ
た。5nm以下の膜厚では、成膜装置の都合上、安定して
作製することが困難であり、また、100nm以上では成膜
に時間がかかるので製造上の制限がある。
【0030】《実施の形態2》本実施例は、ECRスパッ
タ法を用いて作製した無機化合物薄膜を下地膜に用い、
Co系合金磁性膜をその上にエピタキシャル成長させた磁
気ディスクの例である。ディスクの断面構造を図4に示
す。基板(1)として、ディスクは2.5゛直径のガラス円板
を用いた。ここで用いたガラス基板はほんの1例であ
り、いずれのサイズのディスク基板を用いても、また、
AlやAl合金基板を用いても、本発明の効果を左右するも
のではない。この上に、無機化合物薄膜(2)をECRスパッ
タ法により作製した。CoOとSiO2を2:1に混合して焼結し
たものをターゲットに、放電ガスには純Arをそれぞれ使
用した。スパッタ時の圧力は3 mTorr、投入マイクロ波
電力は1kWである。また、ターゲットには500WのRFバイ
アスを印加した。作製した薄膜の膜厚は30 nmである。
【0031】得られた無機化合物薄膜(2)の表面をTEMに
より観察したところ、この薄膜は10nmの正六角形のハニ
カム構造を有する結晶粒子が二次元に規則的に配列した
粒子の集合体であることがわかる。結晶粒子間の距離
は、0.6nmであった。この値は、ターゲットの組成(CoO
とSiO2の比など)を変化させることにより所望の値を選
択することができる。また、結晶粒子はコバルトの酸化
物で、結晶粒界に存在しているのが酸化シリコンであ
る。格子像観察から、コバルト酸化物は結晶質であり、
酸化シリコンは非晶質であることがわかった。格子定数
を求めたところ、Coの値にほぼ等しかった。格子定数
は、成膜条件、さらには、CoOにイオン半径の異なる金
属(例えば、クロム、鉄、あるいはニッケルなど)を添加
することで制御できる。あるいは、これらの金属の酸化
物を添加しても同様である。
【0032】また、この薄膜の断面を観察したところ、
基板に対して垂直方向に柱状の組織が観察された。柱状
組織は、途中で結晶粒子が大きくなることなく成長して
いることがわかった。次に、無機化合物薄膜表面のTEM
観察結果を用いて、ある1つの結晶粒子の周囲に存在し
ている結晶粒子の数を解析した。まず、結晶粒子サイズ
を求めたところ、平均粒径で10nmであった。粒子サイズ
の分布は、正規分布をしており、標準偏差を求めるとσ
で0.6nm以下であった。次に、1つの結晶粒子の周囲に存
在している結晶粒子数を求めた。280個の結晶粒子につ
いて調べたところ、6.02個であった。このことは、サイ
ズのそろった六角形を有する結晶粒子が、二次元的に規
則的に配列している(ハニカム構造)ことを示している。
1つの結晶粒子の周囲に存在している結晶粒子数は、粒
子サイズの分布や粒子形状に加えて、結晶粒子間隔に依
存しても変化する。
【0033】この上に、磁性膜(3)として、Co69Cr19Pt
12膜を15nm膜厚にDCスパッタ法により形成した。磁性膜
を作製中は、基板を300℃に加熱した。ターゲットにはC
o-Cr-Pt合金を、放電ガスには純Arをそれぞれ使用し
た。スパッタ時の圧力は、3mTorrである。投入DC電力は
1kW/150mmφである。最後に、保護膜(4)として、C膜を
5nmの膜厚に形成した。スパッタの条件は、投入DC電
力密度が1kW/150mmφ、放電ガス圧力が5mTorrである。
ここでは、スパッタガスにArを使用したが、窒素を含
むガスを用いてもよいことは言うまでもない。これは、
粒子が微細化するために、得られる膜が緻密化し、保護
性能を向上させることができる。この膜の膜質は、この
ようなスパッタの方法に加えて、得られる膜の性質が装
置に大きく依存しているので、この条件や手法は絶対的
なものではない。また、作製法としてECRスパッタ法を
用いると、保護性能を向上できると同時に、磁性膜など
が成膜時に受けるダメージをさらに小さくすることがで
きる。
【0034】次に、この磁性膜の構造をTEM観察により
調べたところ、無機化合物薄膜の構造ならびに形状を反
映して、ハニカム構造を有していた。電子顕微鏡による
平面の観察から求めた粒子の平均粒子径は10nmであり、
粒子径分布を求めたところ、標準偏差:σで0.8nm以下で
あった。このように、磁性膜の粒子は微細化して、か
つ、サイズの分布が小さく、無機化合物薄膜と同一の形
態であることがわかる。次に、1つの結晶粒子の周囲に
存在している結晶粒子の数を求めた。250個の結晶粒子
について調べたところ、6.01個で、先の実施の形態1の
無機化合物の薄膜における値と良く一致していた。この
ことは、サイズのそろった六角形を有する磁性結晶粒子
が、無機化合物の薄膜層から連続して二次元的に規則的
に配列している(ハニカム構造)ことを示している。
【0035】この膜の断面構造をTEMにより観察したと
ころ、無機化合物薄膜と磁性膜層との間には、格子のつ
ながりが見られ、磁性膜は無機化合物薄膜からエピタキ
シャル成長していることがわかった。また、結晶相と粒
界相とでは、磁性膜の成長機構が異なり、異なる金属組
織を有していることがわかった。特に、無機化合物の結
晶粒子からは良好な柱状組織が成長していたが、粒界相
からは、明確な組織は見られず、多結晶体の集合体であ
った。このような組織は、非磁性的な挙動を示すことが
知られている。X線的には、2θ=62.5°付近のピークに
加えて、2θ=72.5°付近に弱いピークが観測され、TEM
観察結果と合わせて考えると、このピークはCoの(11.0)
が強く配向していることがわかる。
【0036】この磁性膜の磁気特性を測定した。得られ
た磁気特性は、保磁力が3.5kOe、Isvが2.5×10-16emu、
M-Hループにおけるヒステリシスの角型性の指標であるS
が0.8、S†が0.86であり、良好な磁気特性を有してい
た。このように、角型性を示す指標が大きい(角型に近
い)のは、無機化合物薄膜の結晶粒界層を反映して磁性
膜の成長機構が異なったために、磁性結晶粒子間の相互
作用が低減されたためである。
【0037】次に、このような磁気特性を有する磁性膜
を用いた磁気ディスクの媒体表面に潤滑剤を塗布してデ
ィスクの記録再生特性を評価した。記録には、2.1Tの高
飽和磁束密度を有する軟磁性膜を用いた磁気ヘッドを記
録ヘッドの用いた。また、巨大磁気抵抗効果を有するヘ
ッドにより再生した。ヘッド面と磁性膜との距離は20nm
である。このディスクに40Gbit/inch2に相当する信号を
記録してディスクのS/Nを評価したところ、32dBの再生
出力が得られた。ここで、磁気力顕微鏡(MFM)により磁
化反転単位を測定したところ、粒子2から3個分程度であ
り、通常の磁気ディスクと比較して、十分に小さいこと
がわかった。これと合わせて、磁化遷移領域に存在する
ジグザグパターンも従来の媒体より著しく小さかった。
また、熱揺らぎや熱による減磁も発生しなかった。これ
は、磁性膜の結晶粒子サイズの分布が小さいことに起因
している。また、このディスクの欠陥レートを測定した
ところ、信号処理を行わない場合の値で、1×10-5以下
であった。
【0038】ここでは、ガラス基板上に結晶質の格子定
数を制御するための薄膜を形成した例を述べたが、この
薄膜を形成した材料を用いて基板を作製し、この上に磁
性膜を形成してもよいことは言うまでもない。また、本
例では溶質物質に酸化コバルトを用いた例を述べたが、
この効果は酸化クロム、酸化鉄あるいは酸化ニッケルを
用いても同様の効果が得られた。さらに、溶媒の酸化物
として酸化シリコンを用いたが、これ以外に、酸化アル
ミニウム、酸化チタン、酸化タンタルあるいは酸化亜鉛
を用いても同様の結果が得られた。ここで、酸化シリコ
ンと酸化亜鉛を混合させたもの溶媒分子として用いる
と、その混合比により結晶粒子どうしの間隔を制御する
ことができる。
【0039】《実施の形態3》本例は、基板上に形成し
た無機化合物の薄膜の結晶粒子の格子定数と磁性膜の格
子定数とが、10%以上異なっている場合である。作製し
た磁気ディスクの断面構造の模式図を図5に示す。ま
ず、磁気ディスク用の基板として、2.5″直径のガラス
基板を用いた。ここで用いたガラス基板はほんの1例で
あり、いずれのサイズのディスク基板を用いても、ま
た、AlやAl合金基板を用いても、本発明の効果を左右す
るものではない。この基板(1)上に、実施の形態1と同
一条件で無機化合物薄膜(2)として、CoOとZnOを3:1に混
合したものをターゲットに用いて、スパッタ法により30
nm膜厚に形成した。この膜厚は、磁気記録媒体全体の内
部応力を考慮して、基板から剥離などがない膜厚であ
る。この無機化合物薄膜(2)の表面をTEMにより観察した
ところ、10nmの正六角形の結晶粒子の集合体であること
がわかった。
【0040】次に、1つの結晶粒子の周囲に存在してい
る結晶粒子の数を求めた。250個の結晶粒子について調
べたところ、6.01個で、先の実施の形態1の無機化合物
の薄膜における値と良く一致していた。このことは、サ
イズのそろった六角形を有する磁性結晶粒子が、無機化
合物の薄膜層から連続して二次元的に規則的に配列して
いる(ハニカム構造)ことを示している。
【0041】ところで、この結晶粒子のCoOの格子定数
が磁性膜のそれより20%大きかった。結晶粒子が酸化コ
バルトで実施例1と同じであるにもかかわらず、結晶粒
子サイズ以外に格子定数も変化させることが出来る。こ
れは、溶媒物質が溶質物質である結晶粒子に固溶するか
らであることがμ-EDX分析により明らかになった。
【0042】そこで、この無機化合物薄膜(2)と磁性膜
と中間の格子定数を有する材料として、Cr85Ti15合金薄
膜を磁性膜の作製に先立って形成した。この材料は、Ti
濃度を制御することにより、Crの格子定数から格子定数
を任意に選択できるので、無機化合物薄膜(2)と磁性膜
(3)との格子定数の差を10%以内に抑制することができ
る。この格子定数制御薄膜(5)としてCr85Ti15合金薄膜
を50nm膜厚に形成した。ターゲットにはCr-Ti合金を、
放電ガスには純Arをそれぞれ使用した。スパッタ時の圧
力は、3mTorrである。投入DC電力は1kW/150mmφであ
る。この上に、磁性膜(3)として、Co69Cr19Pt12膜を12n
m膜厚に形成した。ターゲットにはCo-Cr-Pt合金を、放
電ガスには純Arをそれぞれ使用した。スパッタ時の圧力
は、3mTorrである。投入DC電力は1kW/150mmφである。
最後に、保護膜(4)として、C膜を5nmの膜厚に形成し
た。スパッタの条件は、投入DC電力密度が1kW/150mm
φ、放電ガス圧力が5mTorrである。ここでは、スパッ
タガスにArを使用したが、窒素を含むガスを用いても
よいことは言うまでもない。これは、粒子が微細化する
ために、得られる膜が緻密化し、保護性能を向上させる
ことができるからである。この膜の膜質は、このような
スパッタの方法に加えて、得られる膜の性質が装置に大
きく依存しているので、この条件や手法は絶対的なもの
ではない。
【0043】次に、この磁性膜の構造をX線回折法によ
り調べた結果を図5に示す。この図に示すように、Coの
(11.0)が強く配向していることがわかる。媒体表面の観
察から、磁性膜の平均粒子径が10nmであり、無機化合物
薄膜の値とほぼ同じであった。この粒子の粒子径分布を
求めたところ、σで0.8nm以下であった。このように、
磁性膜の結晶粒子は微細化しており、かつ、粒径分布が
小さいことがわかる。また、断面観察から、無機化合物
薄膜と磁性膜は、エピタキシャル成長していることがわ
かった。その組織も良好な柱状構造であり、基板表面か
ら媒体表面まで結晶粒子サイズが変化していなことがわ
かった。
【0044】この磁性膜の磁気特性を測定した。得られ
た磁気特性は、保磁力が3.0kOe、Isvが2.5×10-16emu、
M-Hループにおけるヒステリシスの角型性の指標であるS
が0.81、S†が0.85であり、良好な磁気特性を有してい
た。
【0045】次に、このような磁気特性を有する磁性膜
を用いた磁気ディスクの媒体表面に潤滑剤を塗布してデ
ィスクの記録再生特性を評価した。磁気ディスク装置の
構成は実施の形態2と同じで、概略を図6に示す。磁気
ヘッド(53)として、記録には、2.1Tの高飽和磁束密度を
有する軟磁性膜を用いた磁気ヘッドを記録ヘッドとして
用いた。また、巨大磁気抵抗効果を有するヘッドにより
再生した。磁気ヘッドは駆動系(54)により制御される。
磁気ディスク(51)はスピンドル(52)により回転し、ヘッ
ド面と磁性膜との距離を15nmに保った。このディスクに
40Gbit/inch2に相当する信号を記録してディスクのS/N
を評価したところ、32dBの再生出力が得られた。ここ
で、磁気力顕微鏡(MFM)により磁化反転単位を測定した
ところ、粒子2から3個分程度であり、十分に小さいこと
がわかった。これと合わせて、磁化遷移領域に存在する
ジグザグパターンも従来の媒体より著しく小さかった。
また、熱揺らぎや熱による減磁も発生しなかった。これ
は、磁性膜の結晶粒子サイズの分布が小さいことに起因
している。また、このディスクの欠陥レートを測定した
ところ、信号処理を行わない場合の値で、1×10-5以下
であった。
【0046】ここでは、ガラス基板上に結晶質の格子定
数を制御するための薄膜を形成した例を述べたが、この
薄膜を形成した材料を用いて基板を作製し、この上に磁
性膜を形成してもよいことは言うまでもない。また、本
例では結晶粒子として酸化コバルトを用いた例を述べた
が、この効果は酸化コバルト以外に、酸化鉄あるいは酸
化ニッケルを用いても同様の効果が得られた。さらに、
結晶粒子を取囲むように存在させた酸化物として酸化シ
リコンを用いたが、これ以外に、酸化アルミニウム、酸
化チタン、酸化タンタルあるいは酸化亜鉛を用いても同
様の効果が得られた。
【0047】《実施の形態4》本実施例では、磁気記録
用の磁性膜にCo-SiO2系のグラニュラ型磁性膜を用いた
場合である。作製した磁気ディスクの構造は、実施の形
態2と同じで、その断面構造の模式図は図4に示すとお
りである。
【0048】磁気ディスク用の基板(1)として、2.5″直
径のガラス基板を用いた。この上に、2次元的に規則配
列したハニカム構造を有する無機化合物膜(2)をECRスパ
ッタ法により作製した。作製の条件は、実施の形態2と
同様である。引き続き、磁性膜(3)として、グラニュラ
構造を有するCo-SiO2系の磁性膜をECRスパッタ法により
作製した。ターゲットにはCo-SiO2系混合(混合比:Co:Si
O2=1:1)ターゲットを、放電ガスにはArをそれぞれ使用
した。スパッタ時の放電ガス圧力は3mTorr、投入マイク
ロ波電力は1kWであり、マイクロ波を引き込むためのRF
バイアスを印加し、その値は500Wである。成膜中は、基
板を300℃に加熱した。形成した磁性膜の膜厚は10nmで
ある。
【0049】この膜を高分解能透過型電子顕微鏡にて平
面および断面を観察した。その結果、無機化合物薄膜
(2)の結晶相から磁性膜のCoがエピタキシャル成長して
おり、結晶相を取囲む非晶質相(粒界相)からはSiO2がそ
れぞれ成長していた。断面は柱状組織であり、CoはSiO2
に囲まれ、粒子どうしが分離されており、磁気的相互作
用が大きく低減されていた。これは、高密度磁気記録に
とって有効な磁性膜の構造である。また、磁気記録媒体
の表面の凹凸は、水平方向が6μm、垂直方向が10nm以下
(AFMの測定下限以下)であった。この凹凸は、無機化合
物層の凹凸を反映している。ここでは、磁性膜の作製に
ECRスパッタ法を用いたが、Co-SiO2混合(あるいは複合)
のターゲットを用いてマグネトロンスパッタ法などを用
いても良い。しかし、この場合は、結晶粒子形状がECR
スパッタ法を用いた場合よりやや劣化することがある。
この磁性膜の上に実施の形態1および2と同じ保護膜
(4)をECRスパッタ法により作製した。保護膜厚は2nmで
ある。保護膜形成後の磁気記録媒体表面をTEM観察した
ところ、磁性膜表面と同じであり、しかも、磁性膜表面
は保護膜で完全に覆われていた。
【0050】このようにして作製した磁気記録媒体の磁
気特性を測定した。得られた磁気特性は、保磁力が4.0k
Oe、Isvが2.5×10-16emu、M-Hループにおけるヒステリ
シスの角型性の指標であるSが0.85、S†が0.90であり、
良好な磁気特性を有していた。このことは、磁性膜の結
晶粒子サイズが小さく、そのばらつきが小さいこと、さ
らに、結晶粒子間の磁気的相互作用が低減した結果を反
映しているためであることがわかる。また、微小な結晶
粒子がほとんど存在しないので、耐熱揺らぎに優れた媒
体であることがわかる。また、本発明のECRスパッタ法
を用いないで保護膜を作製したサンプルと磁気特性を比
較した。用いた手法は、マグネトロン型RFスパッタ法で
ある。この手法で作製した磁性膜の磁気特性は、保磁力
が2.5〜1.8kOeに低下していた。その保磁力は、1枚の磁
気ディスク円板上に大きな分布が生じていた。このよう
に、ECRスパッタ法はカバレージや膜の密度に加えて磁
性膜への損傷も抑制できる。
【0051】次に、このような磁気特性を有する磁性膜
を用いた磁気ディスクの媒体表面に潤滑剤を塗布して磁
気ディスク(51)の記録再生特性を評価した。磁気ディス
ク装置の構成は実施の形態2と同じで、概略を図6に示
す。磁気ヘッド(53)として、記録には、2.1Tの高飽和磁
束密度を有する軟磁性膜を用いた磁気ヘッドを記録ヘッ
ドとして用いた。また、巨大磁気抵抗効果を有するヘッ
ドにより再生した。磁気ヘッドは駆動系(54)により制御
される。磁気ディスクはスピンドル(52)により回転し、
ヘッド面と磁性膜との距離は15nmである。このディスク
に40Gbit/inch2に相当する信号を記録してディスクのS/
Nを評価したところ、32dBの再生出力が得られた。
【0052】ここで、磁気力顕微鏡(MFM)により磁化反
転単位を測定したところ、粒子2から3個分程度であり、
十分小さいことがわかった。これと合わせて、磁化遷移
領域に存在するジグザグパターンも従来の媒体より著し
く小さかった。また、熱揺らぎや熱による減磁も発生し
なかった。これは、磁性膜の結晶粒子サイズの分布が小
さいことに起因している。また、このディスクのエラー
レートを測定したところ、信号処理を行わない場合の値
で、1×10-12以下であった。ここで、ヘッドと磁気記
録媒体表面との距離は15nmとしたところ、安定に浮上し
た。しかし、ECRスパッタ法により作製した無機化合物
層を有していない磁気ディスク円板を同様の条件で駆動
したところ、安定した再生信号が得られなかったり、ヘ
ッドクラッシュが発生した。安定した再生信号が得られ
ないのは、記録媒体表面の凹凸が磁気ヘッド‐媒体の距
離を一定に制御できる範囲を超えているためで、ヘッド
と磁気記録媒体表面との距離が一定していないからであ
る。
【0053】ここでは、磁気記録媒体としてCo-SiO2
用いたが、CoにPt、Pd、Gd、Sm、Pr、Nd、Tb、Dy、Ho、
Y、Laなどの元素を添加して磁気異方性を向上させる
と、さらに性能が向上することは言うまでもない。
【0054】《実施の形態5》本実施例は、無機化合物
薄膜中の結晶相の格子定数を制御した場合である。作製
した磁気ディスクの断面構造の模式図は実施の形態2と
同様で、図4に示すとおりである。
【0055】まず、磁気ディスク用の基板として、2.
5″直径のガラス基板を用いた。ここで用いたガラス基
板はほんの1例であり、いずれのサイズのディスク基板
を用いても、また、AlやAl合金基板を用いても、本発明
の効果を左右するものではない。この基板(1)上に、CoO
にFe2O3を3:1に混合して焼結したものとZnOの二元のタ
ーゲットを用いた同時スパッタ法により、無機化合物薄
膜(2)を形成した。膜厚は30nm、両者の混合比が2:1にな
るようにスパッタのパワーを調整した。また、スパッタ
時の圧力は3mTorr、放電ガスは純Arである。得られた無
機化合物薄膜(2)の表面をTEMにより観察したところ、実
施例1と同じであった。この膜は、10nmの正六角形のハ
ニカム構造の結晶粒子が規則的に配列した集合体であ
る。結晶粒子どうしの間隔は、0.5〜1.0nmであった。結
晶粒子はコバルトの酸化物の格子の隙間に鉄が存在して
いた。また、結晶粒界に存在しているのが酸化シリコン
であった。格子像を観察してみると、コバルト酸化物は
結晶質であり、酸化シリコンは非晶質であった。
【0056】次に、1つの結晶粒子の周囲に存在してい
る結晶粒子の数を求めた。250個の結晶粒子について調
べたところ、6.01個で、先の実施の形態1の無機化合物
の薄膜における値と良く一致していた。このことは、サ
イズのそろった六角形を有する磁性結晶粒子が、無機化
合物の薄膜層から連続して二次元的に規則的に配列して
いる(ハニカム構造)ことを示している。また、格子定数
を求めたところ、CoOのそれにほぼ等しかった。酸化コ
バルトと酸化亜鉛系に酸化鉄を添加することにより格子
定数が制御できることがわかる。
【0057】この上に、磁性膜(3)として、Co69Cr19Pt
12膜を12nm膜厚に形成した。ターゲットにはCo-Cr-Pt合
金を、放電ガスには純Arをそれぞれ使用した。スパッタ
時の圧力は、3mTorrである。投入DC電力は1kW/150mmφ
である。成膜中は、基板を300℃に加熱した。最後に、
保護膜(4)として、C膜を5nmの膜厚に形成した。スパッ
タの条件は、投入DC電力密度が1kW/150mmφ、放電ガ
ス圧力が5mTorrである。ここでは、スパッタガスにA
rを使用したが、窒素を含むガスを用いてもよいことは
言うまでもない。これは、粒子が微細化するために、得
られる膜が緻密化し、保護性能を向上させることができ
る。この膜の膜質は、このようなスパッタの方法に加え
て、得られる膜の性質が装置に大きく依存しているの
で、この条件や手法は絶対的なものではない。
【0058】次に、この磁性膜の構造をX線回折法によ
り調べたところ、Coの(102)が強く配向していた。ここ
で、無機化合物薄膜と磁性膜の格子定数は0.402nmでほ
ぼ同じであった。また、電子顕微鏡による平面の観察か
ら、平均粒子径が10nmであり、粒子径分布を求めたとこ
ろ、標準偏差:σで2nm以下であった。このように、磁性
膜の粒子は微細化しており、かつ、サイズの分布が小さ
いことがわかる。1つの結晶粒子の周囲に存在している
結晶粒子の数を求めた。250個の結晶粒子について調べ
たところ、6.01個で、先の実施の形態1の無機化合物の
薄膜における値と良く一致していた。このことは、サイ
ズのそろった六角形を有する磁性結晶粒子が、無機化合
物の薄膜層から連続して二次元的に規則的に配列してい
る(ハニカム構造)ことを示している。また、断面観察か
ら、無機化合物薄膜と磁性膜はエピタキシャル成長して
おり、しかも、無機化合物薄膜の溶質である結晶相と同
じサイズであることがわかる。また、その断面の組織も
良好な柱状構造であり、基板表面から媒体表面まで結晶
粒子サイズは変化していなことがわかった。
【0059】この磁性膜の磁気特性を測定した。得られ
た磁気特性は、保磁力が3.5kOe、Isvが2.5×10-16emu、
M-Hループにおけるヒステリシスの角型性の指標であるS
が0.8、S†が0.86であり、良好な磁気特性を有してい
た。
【0060】次に、このような磁気特性を有する磁性膜
を用いた磁気ディスクの媒体表面に潤滑剤を塗布してデ
ィスクの記録再生特性を評価した。用いた装置は実施の
形態2と同様のものを用いた。記録には、2.1Tの高飽和
磁束密度を有する軟磁性膜を用いた磁気ヘッドを記録ヘ
ッドの用いた。また、巨大磁気抵抗効果を有するヘッド
により再生した。ヘッド面と磁性膜との距離は20nmであ
る。このディスクに20Gbit/inch2に相当する信号を記録
してディスクのS/Nを評価したところ、32dBの再生出力
が得られた。ここで、磁気力顕微鏡(MFM)により磁化反
転単位を測定したところ、粒子2から3個分程度であり、
十分小さいことがわかった。これと合わせて、磁化遷移
領域に存在するジグザグパターンも従来の媒体より著し
く小さかった。また、熱揺らぎや熱による減磁も発生し
なかった。これは、磁性膜の結晶粒子サイズの分布が小
さいことに起因している。また、このディスクの欠陥レ
ートを測定したところ、信号処理を行わない場合の値
で、1×10-5以下であった。
【0061】ここでは、ガラス基板上に結晶質の格子定
数を制御するための薄膜を形成した例を述べたが、この
薄膜を形成した材料を用いて基板を作製し、この上に磁
性膜を形成してもよいことは言うまでもない。また、本
例では溶質物質に酸化コバルトに酸化鉄を含有させた例
を述べたが、この効果は酸化クロムや酸化ニッケルを用
いても同様で、用いる磁性膜の結晶粒子の格子定数によ
り溶質として用いる化合物や添加する化合物や添加量を
決定すればよい。さらに、溶媒の酸化物として酸化亜鉛
を用いたが、これ以外に、酸化アルミニウム、酸化チタ
ン、酸化タンタルあるいは酸化シリコンを用いても同様
の結果が得られた。
【0062】《実施の形態6》本実施例は、無機化合物
薄膜中の溶媒相の材料を制御することにより、結晶粒子
間隔を制御した場合である。成膜には二元同時スパッタ
法を用いて、ガラス基板上に無機化合物層を30nm膜厚に
形成した。ターゲットには、溶質物質としてCoOを焼結
したターゲットを、また、溶媒物質としてSiO2にZnOを
3:1の割合に混合して焼結したターゲットの2つを用い
た。無機化合物膜の組成は、二元のターゲットに投入す
る電力により制御できる。放電ガスには純Arを使用し、
スパッタ時の圧力は3mTorrとした。投入RF電力は、CoO
とSiO2-ZnOの比が2:1になるように調整した。得られた
無機化合物層の表面のTEM観察結果の概略図を図2に示す
とおりである。この図より、10nmの六角形の結晶粒子
(ハニカム構造)が二次元的に規則配列していることがわ
かる。また、結晶粒子の周囲には1nm程度の粒界相が存
在していた。結晶粒子と粒界相をμ-EDXにより分析した
ところ、結晶粒子は溶質物質のコバルトの酸化物で、結
晶粒界に存在しているのが溶媒の酸化シリコンと酸化亜
鉛であることがわかった。
【0063】次に、1つの結晶粒子の周囲に存在してい
る結晶粒子の数を求めた。250個の結晶粒子について調
べたところ、6.01個で、先の実施の形態1の無機化合物
の薄膜における値と良く一致していた。このことは、サ
イズのそろった六角形を有する磁性結晶粒子が、無機化
合物の薄膜層から連続して二次元的に規則的に配列して
いる(ハニカム構造)ことを示している。
【0064】ところで、結晶粒子間の距離(粒界距離)
は、溶質濃度(相対的に溶媒濃度を変化させても良い)な
らびに溶媒物質の組成を制御(ここではSiO2とZnOとの
比)することにより変化させることができる。例えば、C
o酸化物の濃度を薄くしていくと、結晶粒界の距離は短
くなった。溶媒:溶質=1:5の場合が0.5nmであった。
そして、これより溶質濃度を薄くすると、粒界がはっき
りしなくなった。それと同時に、ハニカム構造が崩れて
しまった。このことから、ハニカム構造を維持するいた
めには、少なくとも15%程度以上の溶媒物質が必要であ
ることがわかる。また、逆に、溶媒物質濃度を増大させ
ていくと、溶媒:溶質=5:1の場合が3.0nmになった。
これより溶媒濃度を高くすると、溶媒物質は結晶粒子間
に存在するのではなく、円形に近い形状で析出するよう
になる。この場合も、ハニカム構造が崩れてくる。ま
た、溶媒物質の組成を変化させて結晶粒子間距離を制御
する場合は、混合している材料間のスパッタ速度の違い
を用いたり、イオン半径の異なる原子を侵入させること
による体積変化を用いる。そのメカニズムは異なるが、
結果として得られる効果は同じである。
【0065】ところで、結晶粒間の距離を制御すること
は、以下の点から重要である。すなわち、実施の形態1
〜5に示したように、この無機化合物膜上に磁性膜をエ
ピタキシャル成長させて磁気記録媒体を形成する場合、
磁性結晶粒子相互の磁気的相互作用を低減することが重
要である。結晶粒子間の距離を制御できると、磁気的相
互作用を変化させることができる。特に、結晶粒子上と
粒界相とでは、形成される磁性粒子の組織や構造が異な
るので、有する磁性がまったく異なる。結晶粒子上の磁
性粒子は無機化合物層の結晶粒子の構造を反映し、良好
な結晶性を有しているのに対して、粒界部分ではランダ
ム配向でしかも非晶質に近い状態であった。このよう
に、磁性膜や磁気記録媒体の磁気特性がは磁性膜の膜構
造を反映しることがわかった。
【0066】結晶粒子上では通常のハードな磁性を示
し、粒界相では非磁性に近くなる。これにより、簡易な
手法を用いて、磁気的相互作用を容易に制御できた。相
互作用の程度というのは、この粒界間距離に依存して変
化しているので、粒間距離を制御することが重要であ
る。
【0067】《実施の形態7》本実施例は、本発明の規
則的に配列したハニカム構造の無機化合物を用いて作製
したディスク基板を用いた場合である。作製した磁気デ
ィスクの断面構造の模式図を図7に示す。ここでは、磁
気ディスク用の基板(1)として、2.5″直径のガラス基板
に成型した。ここで用いたガラス基板はほんの1例であ
り、いずれのサイズのディスク基板を用いても、本発明
の効果を左右するものではない。この基板材として、Co
OにSiO2混合してマイクロ波により励起したECR法を用い
て作製した。得られた基板の断面をTEMにより観察し
た。この基板は、10nmの正六角形のハニカム構造の結晶
粒子が規則的に配列した集合体である。結晶粒子どうし
の間隔は、0.5〜0.8nmであった。また、結晶粒子はコバ
ルトの酸化物である。また、結晶粒界に存在しているの
が酸化シリコンである。格子像を観察してみると、コバ
ルト酸化物は結晶質であり、酸化シリコンは非晶質であ
った。次に、1つの結晶粒子の周囲に存在している結晶
粒子の数を求めた。250個の結晶粒子について調べたと
ころ、6.01個で、先の実施の形態1の無機化合物の薄膜
における値と良く一致していた。このことは、サイズの
そろった六角形を有する磁性結晶粒子が、無機化合物の
薄膜層から連続して二次元的に規則的に配列している
(ハニカム構造)ことを示している。また、格子定数を求
めたところ、磁気記録媒体の磁性粒子のCoのそれにほぼ
等しかった。
【0068】この上に、磁性膜(3)として、Co69Cr19Pt
12膜を12nm膜厚に形成した。ターゲットにはCo-Cr-Pt合
金を、放電ガスには純Arをそれぞれ使用した。スパッタ
時の圧力は、3mTorrである。投入DC電力は1kW/150mmφ
である。成膜中は、基板を300℃に加熱した。最後に、
保護膜(4)として、C膜を5nmの膜厚に形成した。スパッ
タの条件は、投入DC電力密度が1kW/150mmφ、放電ガ
ス圧力が5mTorrである。ここでは、スパッタガスにA
rを使用したが、窒素を含むガスを用いてもよいことは
言うまでもない。これは、粒子が微細化するために、得
られる膜が緻密化し、保護性能を向上させることができ
る。この膜の膜質は、このようなスパッタの方法に加え
て、得られる膜の性質が装置に大きく依存しているの
で、この条件や手法は絶対的なものではない。
【0069】次に、この磁性膜の構造をX線回折法によ
り調べた。それによると、Coの(11.0)が強く配向してい
ることがわかる。また、電子顕微鏡による平面の観察か
ら、平均粒子径が10nmであり、粒子径分布を求めたとこ
ろ、標準偏差:σで2nm以下であった。このように、磁性
膜の粒子は微細化しており、かつ、その形状はディスク
基板と同じで、しかも、粒子サイズの分布が小さいこと
がわかる。1つの結晶粒子の周囲に存在している結晶粒
子の数を求めた。250個の結晶粒子について調べたとこ
ろ、6.01個であった。このことは、サイズのそろった六
角形を有する磁性結晶粒子が、無機化合物の薄膜層から
連続して二次元的に規則的に配列している(ハニカム構
造)ことを示している。また、断面観察から、無機化合
物を用いた基板と磁性膜はエピタキシャル成長してお
り、しかも、無機化合物薄膜の溶質である結晶相と同じ
サイズであることがわかる。また、その断面の組織も良
好な柱状構造であり、基板表面から媒体表面まで結晶粒
子サイズは変化していなことがわかった。
【0070】この磁性膜の磁気特性を測定した。得られ
た磁気特性は、保磁力が3.5kOe、Isvが2.5×10-16emu、
M-Hループにおけるヒステリシスの角型性の指標であるS
が0.8、S†が0.86であり、良好な磁気特性を有してい
た。このことは、磁性膜の結晶粒子サイズが小さく、そ
のばらつきが小さいことを反映しているがわかる。
【0071】次に、このような磁気特性を有する磁性膜
を用いた磁気ディスクの媒体表面に潤滑剤を塗布してデ
ィスクの記録再生特性を実施の形態2と同様の装置を用
いて評価した。記録には、2.1Tの高飽和磁束密度を有す
る軟磁性膜を用いた磁気ヘッドを記録ヘッドの用いた。
また、巨大磁気抵抗効果を有するヘッドにより再生し
た。ヘッド面と磁性膜との距離は20nmである。このディ
スクに20Gbit/inch2に相当する信号を記録してディスク
のS/Nを評価したところ、32dBの再生出力が得られた。
ここで、磁気力顕微鏡(MFM)により磁化反転単位を測定
したところ、粒子2から3個分程度であり、十分小さいこ
とがわかった。これと合わせて、磁化遷移領域に存在す
るジグザグパターンも従来の媒体より著しく小さかっ
た。また、熱揺らぎや熱による減磁も発生しなかった。
これは、磁性膜の結晶粒子サイズの分布が小さいことに
起因している。また、このディスクの欠陥レートを測定
したところ、信号処理を行わない場合の値で、1×10-5
以下であった。
【0072】ここでは、ガラス基板にこの無機化合物を
用いた例を述べた。本実施例では、結晶粒子として析出
させる材料に酸化コバルトを、粒界相に存在させる物質
に酸化シリコンを用いた例を述べたが、この効果は酸化
コバルトに限らず、酸化クロム、酸化ニッケルを用いて
も同様で、用いる磁性膜の結晶粒子の格子定数により添
加する化合物や添加量を決定すればよい。さらに、粒界
相に存在させる物質として酸化シリコンを用いたが、こ
れ以外に、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタ
ルあるいは酸化亜鉛を用いても同様の結果が得られた。
【0073】《実施の形態8》本実施例は、ECR法によ
り作製した無機化合物薄膜の格子面間隔と情報記録用の
磁性膜の格子面間隔が10%以上異なる場合である。作製
した磁気ディスクの断面構造を示す模式図を図8に示
す。磁気ディスク用の基板(1)として、2.5″直径のガラ
ス基板を用いた。ここで用いた基板の材質やサイズはほ
んの1例であり、いずれのサイズのディスク基板を用い
ても、また、AlやAl合金などの金属、さらにはアモルフ
ァスポリオレフィンやポリカーボネイトなどの樹脂の基
板を用いても、その材質やサイズに本発明の効果は左右
されるものではない。また、ガラス、樹脂、AlやAl合金
の基板上にNiPをメッキ法により形成しても良いことは
言うまでもない。
【0074】この基板(1)上に、無機化合物層(2)をマイ
クロ波を用いたECRスパッタ法により形成した。NiOとAl
2O3を2:1に混合したものをターゲットに、純Arを放電ガ
スにそれぞれ使用した。スパッタ時の圧力は3mTorr、投
入マイクロ波電力は1kWであり、マイクロ波を引き込む
ためのRFバイアスを印加し、その値は500Wである。形成
した無機化合物層の膜厚は30nmである。ここでは、NiO
とAl2O3を2:1に混合して焼結したターゲットを用いた
が、Al2O3上にNiOを貼り付けた複合体ターゲットを用い
ても良いことは言うまでもない。また、組成やスパッタ
の条件は、装置に依存しており、絶対的なものではな
い。ここで、ECRスパッタ法を用いたのは、DCスパッタ
法やRFスパッタ法と比較して、スパッタ粒子の有するエ
ネルギーを制御しやすいからである。このエネルギーを
制御することにより、無機化合物層表面の凹凸を所望の
値に制御できる。また、先の製法以外に、NiOとAl2O3
ECR二源を用いて、これを同時にスパッタする方法によ
り作製しても良いことは言うまでもない。
【0075】このようにして得られた無機化合物層(2)
の表面をTEMにより観察した。得られた像の概略図を図2
に示す。この図より、10nmの正六角形の結晶粒子の集合
体(ハニカム構造)であり、その粒子が規則的に配列して
いることがわかる。結晶粒子間の距離は2nmであった。
また、各層をμ-EDX法により分析したところ、六角形の
粒子はニッケルの酸化物で、結晶質粒子であった。その
結晶粒子の周囲を取り囲むように結晶粒界が形成されて
おり、粒界に存在しているのが酸化アルミニウムで、非
晶質であった。
【0076】この膜の断面を高分解能TEMにより観察し
た。それによると、形成した無機化合物膜の断面は、途
中扇状に成長することなく柱状の組織であった。このこ
とは、薄膜が成長しても結晶粒子サイズは変化していな
いことを示している。この変化は無機化合物薄膜の膜厚
が厚くなっても同様である。また、基板表面近傍には、
初期成長層のような組織は存在していなかった。このこ
とは、極薄の薄膜でも図2に示すような組織を有する膜
が得られることを示している。この膜の表面には凹凸が
存在していることがわかる。凸部は結晶質相であり、凹
部は非晶質相であった。また、高さについて見ると、あ
る山に着目し、その山に最も近い谷との高さの差をAFM
により測定したところ、平均で10nmであった。これは、
500個のサンプリングについて調べた結果の平均値であ
る。測定値に対して、統計処理を行ったところ、測定値
の標準偏差は電子顕微鏡の観察下限の0.5nm以下と著し
く小さかった。また、山と谷の距離は5nmであった。こ
の薄膜は、結晶粒子が二次元的に規則的に配列している
ので、しかも、この凹凸の形状やその分布が良好である
ので、磁気ディスク用の基板として用いると、テクスチ
ャ付き基板として用いることができる。凹凸の形状は成
膜温度やスパッタの速度、スパッタ時の雰囲気ガスの圧
力を制御することにより、任意の所望の値が得られる。
【0077】無機化合物薄膜(2)を形成した基板表面の
凹凸を測定した。測定に先立ち、まず、用いたガラス基
板の凹凸をAFMにより調べた。その結果、水平方向であ
る凸部に着目し、それに最も近い凸部までに距離の平均
(約500個所)を取ったところ50nmであった。また、垂直
方向にある凸部から最も近い凹部との高さの差の平均を
測定(約500個所)したところ、60nmであった。この値
は、300μm四方を数箇所調べた結果の平均である。この
基板上に無機化合物膜(2)を形成した後の表面の凹凸
は、水平方向が6μm、垂直方向が10nm以下(AFMの測定下
限以下)であった。ここで、さらに凹凸が大きい(水平:3
0nm、垂直:100nm)基板上に形成しても、表面の凹凸は同
じで水平方向が6μm、垂直方向が10nm以下(AFMの測定下
限以下)であった。このように、ECRスパッタ法により無
機化合物膜(2)を作製することにより、基板表面の凹凸
に関係なく平坦な面が得られた。
【0078】この膜の上に、磁性膜(3)と無機化合物膜
(2)との格子面間隔の差が10%以上あったので、その差
が10%以下になるように格子面間隔調整層(5)としてCr
90Ti10合金薄膜を介して磁性膜(3)をDCスパッタ法によ
り形成した。ターゲットにはCr-Ti合金を、放電ガスに
純Arをそれぞれ用いた。基板温度は300℃、放電ガス圧
力は3mTorr、投入DC電力密度は1kW/150mmφである。作
製した膜厚は75nmである。引き続いて、磁性膜(3)とし
てCo69Cr12Pt19なる組成の磁性膜をDCスパッタ法により
形成した。放電ガスには純Arを、ターゲットにはCo69Cr
12Pt19合金ターゲットをそれぞれ使用した。スパッタ時
の圧力は、3mTorrである。投入DC電力は1kW/150mmφで
ある。成膜中は、基板を300℃に加熱した。磁性膜の膜
厚は15nmである。
【0079】得られた磁性膜の表面の組織をTEMにより
観察したところ、形成した磁性膜の組織は、無機化合物
(2)の構造を反映した形状を有していた。すなわち、無
機化合物層(2)の結晶相に対応してNiが結晶粒子として
析出し、その形状は正六角形であり、そのサイズ分布も
無機化合物膜と同様であった。また、断面構造を調べて
みると、無機化合物層から格子面間隔制御層を介して結
晶的なつながりを持って磁性膜が成長し、結果として柱
状組織であることがわかった。
【0080】このように、磁性膜を無機化合物の結晶相
からエピタキシャル成長させることにより、磁性膜の結
晶粒子サイズを制御できる。格子面間隔制御層を介して
磁性膜を形成しないと、粒径、粒子サイズ、粒子サイズ
の分布、断面組織ともに無機化合物層に依存していなか
った。磁性膜の配向性は、柱状組織は得られず、多結晶
状態になっていた。この磁性膜は、磁気特性、特に、保
磁力や異方性が大きく劣化しており、20Gbit/inch2を超
える超高密度な磁気記録に用いることが困難であった。
また、結晶粒界に存在している非晶質領域に形成した磁
性膜は、結晶質部分に成長した磁性膜と異なる組織であ
り、結晶質部分のような柱状組織は観察されなかった。
このような磁性膜は、柱状組織を有する部分と異なる磁
性を有しており、磁気的にはセミハードな磁性を示し
た。これにより、磁性粒子間の磁気的な結合を低減で
き、粒子サイズの分布の低減と合わせて、高密度記録に
有利な磁性膜である。この他に、磁性膜をECRスパッタ
法を用いて作製すると、磁性膜の結晶粒子のサイズや規
則性を精密に制御することが可能である。
【0081】最後に、保護膜(4)として、C膜を5nmの膜
厚にスパッタ法により形成した。スパッタの条件は、投
入DC電力密度が1kW/150mmφ、放電ガス圧力が5mTorr
である。ここでは、スパッタガスにArを使用したが、
窒素を含むガス、あるいは窒素と水素を含むガスを用い
てもよいことは言うまでもない。これは、粒子が微細化
するために、得られる膜が緻密化し、保護性能を向上さ
せることができる。この膜の膜質は、このようなスパッ
タの方法に加えて、得られる膜の性質が装置に大きく依
存しているので、この条件や手法は絶対的なものではな
い。
【0082】次に、このようにして作製した磁気記録媒
体の構造をX線回折法により調べた。その結果、2θ=6
2.5°付近に観測された回折ピークは、無機化合物層の
中の溶質物質のCoOの(220)に対応している。また、2θ=
73°付近に観測されたピークは、磁性膜のCoの(11.0)に
相当している。このように、Coが配向するのは、無機化
合物膜中の結晶相からエピタキシャル成長したためで、
その配向を反映した結果である。また、この無機化合物
膜(2)が存在しない場合は、Coの(110)面は観測されず、
Coの(002)が観測された。このことから、この無機化合
物膜は磁性膜の配向性制御に大きく寄与していることが
わかる。この他、回折プロファイルには変化が見られな
かった。
【0083】次に、電子顕微鏡による平面の観察から、
磁性膜の平均粒子径が10nmであり、粒子径分布を求めた
ところ、標準偏差:σで0.7nm以下と粒径分布が著しく小
さかった。この分布は、無機化合物膜における値と同じ
であり、磁性膜の結晶粒子サイズやその分布は、無機化
合物膜における値を反映している。また、磁性膜の構造
は、磁性粒子の結晶形態と無機化合物の結晶形態を反映
して、二次元に規則的に配列したハニカム構造であっ
た。
【0084】次に、この磁性膜の磁気特性を測定した。
得られた磁気特性は、保磁力が3.5kOe、Isvが2.5×10
-16emu、M-Hループにおけるヒステリシスの角型性の指
標であるSが0.85、S†が0.90であり、良好な磁気特性を
有していた。このことは、磁性膜の結晶粒子サイズが小
さく、そのばらつきが小さいこと、さらに、結晶粒子間
の磁気的相互作用が低減した結果を反映しているためで
あることがわかる。また、微小な結晶粒子がほとんど存
在しないので、耐熱揺らぎに優れた磁気記録媒体である
ことがわかる。
【0085】次に、このような磁気特性を有する磁性膜
を用いた磁気ディスクの媒体表面に潤滑剤を塗布してデ
ィスク(51)の記録再生特性を評価した。磁気ディスク装
置の概略を図4に示す。磁気ヘッド(53)として、記録に
は、2.1Tの高飽和磁束密度を有する軟磁性膜を用いた磁
気ヘッドを記録ヘッドとして用いた。また、巨大磁気抵
抗効果を有するヘッドにより再生した。磁気ヘッドは駆
動系(54)により制御される。ヘッド面と磁性膜との距離
は15nmである。このディスクに40Gbit/inch2に相当する
信号を記録してディスクのS/Nを評価したところ、32dB
の再生出力が得られた。
【0086】ここで、磁気力顕微鏡(MFM)により磁化反
転単位を測定したところ、粒子2から3個分程度であり、
十分小さいことがわかった。これと合わせて、磁化遷移
領域に存在するジグザグパターンも従来の媒体より著し
く小さかった。また、熱揺らぎや熱による減磁も発生し
なかった。これは、磁性膜の結晶粒子サイズの分布が小
さいことに起因している。また、このディスクの欠陥レ
ートを測定したところ、信号処理を行わない場合の値
で、1×10-5以下であった。ここで、ヘッドと磁気記録
媒体表面との距離は15nmとしたところ、安定に浮上し
た。しかし、ECRスパッタ法により作製した無機化合物
層を有していない磁気ディスク円板を同様の条件で駆動
したところ、安定した再生信号が得られなかったり、ヘ
ッドクラッシュが発生した。安定した再生信号が得られ
ないのは、記録媒体表面の凹凸が磁気ヘッド‐媒体の距
離を一定に制御できる範囲を超えているため、ヘッドと
磁気記録媒体表面との距離が一定していないからであ
る。
【0087】
【発明の効果】本発明によれば、粒子サイズの分布が著
しく小さい無機化合物基板あるいは薄膜上に磁気記録媒
体をエピタキシャル成長させることにより、磁気記録媒
体の結晶粒子の微細化、配向性の制御、結晶粒子サイズ
の分布の低減、結晶粒子の規則的な配列が可能になる。
特に、結晶粒子の配列において、1つの結晶粒子の周囲
に存在している結晶粒子の数が重要である。このこと
は、サイズのそろった六角形を有する磁性結晶粒子の二
次元的な配列性を決定できるからである。これにより、
磁性膜の結晶粒子サイズおよびその分布を小さくするこ
とにより、ディスクを形成したときのノイズの低減、熱
揺らぎや熱減磁の低減に効果がある。また、磁性膜の配
向性の制御により、高密度記録に適した配向を有した磁
性膜を得ることができる。さらに、磁性膜の結晶粒子間
の距離を制御できるので、磁性結晶粒子間の相互作用を
低減することができる。これにより、媒体ノイズの低
減、形成される磁区サイズの微細化により高密度記録が
可能になる。
【0088】以上の技術を総合することにより、40Gbit
/inch2を超える超高密度磁気記録を実現できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】無機化合物薄膜の断面構造を示す模式図。
【図2】無機化合物薄膜のTEM観察結果を示す模式図。
【図3】無機化合物薄膜のX線回折プロファイル。
【図4】磁気ディスクの断面構造を示す模式図。
【図5】磁気記録媒体のX線回折プロファイル。
【図6】磁気ディスク装置の構成図。
【図7】磁気ディスクの断面構造を示す模式図。
【図8】磁気ディスクの断面構造を示す模式図。
【符号の説明】
1 基板 2 無機化合物膜 3 磁性膜 4 保護膜 5 格子面間隔制御膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹内 輝明 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 若林 康一郎 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 Fターム(参考) 5D006 BB01 BB04 BB07 CA01 CA05 DA03 EA03 FA09 5D112 AA03 AA05 AA24 BB05 BB06 BD03 FA04

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも基板と無機化合物薄膜と磁性
    膜と保護膜を有する磁気記録媒体の製造方法において、
    該無機化合物薄膜をマイクロ波を用いたECRスパッタ法
    により成膜することを特徴とする磁気記録媒体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方
    法において、前記無機化合物薄膜が、酸化コバルト、酸
    化クロム、酸化鉄あるいは酸化ニッケルの内より選ばれ
    る少なくとも1種類の酸化物を結晶粒子であり、酸化シ
    リコン、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル
    あるいは酸化亜鉛の内より選ばれる少なくとも1種類の
    酸化物を該結晶粒子の周囲を取り囲むように結晶粒界相
    として存在させた構造を有する無機化合物であることを
    特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の磁気記録媒体の製造方
    法において、前記無機化合物薄膜は、さらに、前記結晶
    粒子の形状が六角形であり、その集合体がハニカム構造
    を有しており、かつ、その粒子が2次元的に規則的に配
    列していることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の磁気記録媒体の製造方
    法において、前記無機化合物薄膜中に析出している結晶
    粒子がX線的に結晶質であり、該結晶粒子の粒界に存在
    している化合物がX線的に非晶質であることを特徴とす
    る磁気記録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載の磁気記録媒体の製造方
    法において、前記結晶粒子のサイズの標準偏差が粒子サ
    イズの10%以下であり、しかも、粒子サイズの分布が正
    規分布であることを特徴とする磁気記録媒体の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項3に記載の磁気記録媒体の製造方
    法において、前記無機化合物薄膜の膜厚方向の組織が柱
    状組織であることを特徴とする磁気記録媒体の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 請求項3に記載の磁気記録媒体の製造方
    法において、前記無機化合物薄膜中に析出している結晶
    粒子が結晶配向していることを特徴とする磁気記録媒体
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項3に記載の磁気記録媒体の製造方
    法において、前記無機化合物薄膜における結晶粒子上か
    ら薄膜をエピタキシャル的に成長するように該無機化合
    物薄膜の結晶配向性ならびに結晶粒子の格子面間隔を制
    御したことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項3に記載の磁気記録媒体の製造方
    法において、前記結晶粒子を形成する物質の濃度(組成)
    の選択、溶質あるいは/および溶媒の物質の選択、作製
    方法の選択、あるいは/および作製条件の選択により、
    該無機化合物薄膜の構造、配向性、結晶粒子サイズのう
    ちから選ばれる少なくとも1つのパラメータを制御した
    ことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項3に記載の磁気記録媒体の製造
    方法において、前記無機化合物薄膜を板状に成形したこ
    とを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の磁気記録媒体の製
    造方法において、前記無機化合物における析出した結晶
    粒子が板の厚さ方向に柱状の組織を有していることを特
    徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項3に記載の磁気記録媒体の製造
    方法において、前記無機化合物薄膜を基板上に形成し、
    得られた薄膜における結晶粒子が形成した基板に対して
    垂直な方向に粒子成長させ、かつ、その組織が柱状組織
    であり、しかも、一定方向に結晶配向していることを特
    徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項3に記載の磁気記録媒体の製造
    方法において、前記無機化合物薄膜の粒界相の溶媒物質
    の析出粒子が一定の方位に配向しており、その粒子の結
    晶構造が前記無機化合物薄膜の結晶構造あるいは結晶面
    間隔と同じか類似していることを特徴とする磁気記録媒
    体の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項13に記載の磁気記録媒体の製
    造方法において、前記無機化合物薄膜の結晶粒子の結晶
    配向性を所望の方向に制御したことを特徴とする磁気記
    録媒体の製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項13に記載の磁気記録媒体の製
    造方法において、前記無機化合物薄膜の結晶粒子の結晶
    配向性の方位を、その上に成長させる磁性膜膜の結晶構
    造に合わせて制御したことを特徴とする磁気記録媒体の
    製造方法。
  16. 【請求項16】 請求項13に記載の磁気記録媒体の製
    造方法において、前記無機化合物薄膜中の結晶粒子から
    磁性膜をエピタキシャル的に成長し、該結晶粒子により
    磁気記録媒体の成長が抑制され、あるいは、結晶粒子と
    それを取囲むように存在する非晶質粒子とで得られた膜
    の構造を変化させたことを特徴とする磁気記録媒体の製
    造方法。
  17. 【請求項17】 請求項16に記載の磁気記録媒体の製
    造方法において、前記磁性膜の結晶粒子のサイズを前記
    無機化合物薄膜の結晶粒子と等しくしたことを特徴とす
    る磁気記録媒体の製造方法。
  18. 【請求項18】 請求項13に記載の磁気記録媒体の製
    造方法において、前記無機化合物薄膜と磁性膜の結晶構
    造とが類似しているか、または等しく、かつ、該無機化
    合物薄膜の結晶粒子の格子定数と磁性膜の格子定数の差
    が、±10%以内であることであることを特徴とする磁気
    記録媒体の製造方法。
  19. 【請求項19】 請求項18に記載の磁気記録媒体の製
    造方法において、前記無機化合物薄膜と磁性膜の間に、
    両層との格子定数の差が10%以内である格子定数の差を
    緩和するための薄膜層を設けることにより、磁気記録媒
    体が該無機化合物薄膜における結晶粒子層からエピタキ
    シャル成長を行うことを促進したことを特徴とする磁気
    記録媒体の製造方法。
  20. 【請求項20】 請求項13に記載の磁気記録媒体の製
    造方法において、前記磁性膜はCoを主体とし、これにC
    r,Pt,Ta,Nb,Ti,Siの内より選ばれる少なくとも2種類の
    元素を含む合金の強磁性薄膜であることを特徴とする磁
    気記録媒体の製造方法。
  21. 【請求項21】 請求項13に記載の磁気記録媒体の製
    造方法において、前記磁性膜が結晶質相と非晶質相の二
    相から構成され、結晶相がCoを主体とし、これにNd、P
    r、Y、La、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Pt、Pdの内より選ばれ
    る少なくとも1種類の元素を含んた相であり、非晶質相
    として酸化シリコン、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化ア
    ルミニウムの内より選ばれる少なくとも1種類の化合物
    相が結晶粒子を取囲むように存在していることを特徴と
    する磁気記録媒体の製造方法。
  22. 【請求項22】 請求項21に記載の磁気記録媒体の製
    造方法において、前記磁性層の形態が前記無機化合物薄
    膜の有する組織およびサイズともに等しい構造の磁性膜
    であることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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