JP2001004731A - 広帯域干渉計 - Google Patents

広帯域干渉計

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JP2001004731A
JP2001004731A JP11170666A JP17066699A JP2001004731A JP 2001004731 A JP2001004731 A JP 2001004731A JP 11170666 A JP11170666 A JP 11170666A JP 17066699 A JP17066699 A JP 17066699A JP 2001004731 A JP2001004731 A JP 2001004731A
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pulse
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electromagnetic wave
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Zenichiro Kawasaki
善一郎 河崎
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    • G01B9/00Measuring instruments characterised by the use of optical techniques
    • G01B9/02Interferometers
    • G01B9/0209Low-coherence interferometers

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 雷放電の単発パルスやバースト状パルスなど
の多様な電磁波パルス放射に広く適用できて、低いコス
トで精度よく放射源位置を二次元あるいは三次元的に標
定できる観測手段を実現することにある。 【構成】 電磁波パルスが多くの周波数成分を含んでい
ることから、干渉計を広帯域で構成し、多様な電磁波パ
ルスの特性に適応できるようにして、高い精度での標定
を可能にするものである。そのため複数の広帯域アンテ
ナを設置して電磁波パルスの信号を広帯域で受信し、各
アンテナの受信信号中に含まれる複数の周波数成分のそ
れぞれについて並行して干渉解析を行い、電磁波パルス
の放射源位置を多重に標定して表示するようにした。ま
たアンテナからの信号は有効な情報を含む一定期間だけ
取り込んで、メモリが浪費されないように工夫した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、雷放電などの空中
で発生する電磁波パルスの放射源位置を遠方から標定す
るための広帯域干渉計に関するものであり、特に単発性
パルスやバースト状パルスなどの多様な電磁波パルスの
入力に応答して、その放射源の二次元あるいは三次元的
位置を低コストで精度よく標定可能にするものである。
【0002】
【従来の技術】雷放電現象の概要 地球は窒素や酸素などの大気に取り囲まれた惑星であ
る。この大気は通常、鉛直方向に温度により分類され、
地表面から順に対流圏、成層圏、中間圈、熱圈と呼称さ
れている。我々が日々接する天気の変化をもたらすのは
平均して約10kmの厚さをもつ対流圏内の現象であ
る。この対流圏の大気が地表からの加熱により不安定な
成層を成すとき、その不安定を解消するため積乱雲ある
いは雷雲が発達する。その構造や発達は気象状況によっ
て異なり、特に風向、風速の高度に対する変化の割合
(これをシアという)が雷雲の形態に大きく作用する。
雷雲の形態はシアが弱い時に発生する気団性雷雲、シア
が強い場合に発生するマルチセル型雷雲やスーパーセル
型雷雲と3種類に大別される。しかし、一般的に雷雲は
スーパーセル型雷雨を除いていずれも対流セルあるいは
降水セルと呼ばれる秒速数メートル程度の激しい上昇気
流、下降気流を含む対流の単位の集合体で構成されてい
る。各々の対流セルは発達期、成熟期、消滅期という特
有のライフサイクルを持ち、発達期のあられを主成分と
する降水の形成に伴い雲内で電荷分離が進行し電荷が蓄
積される。そして、大気の絶縁破壊強度を越えたとき放
電という形態をとって、雲内の電荷が中和される。これ
を雷放電と呼び、以上を総称して雷放電現象と呼んでい
る。
【0003】雷放電は対地放電(落雷)と雲放電の2種
類に大別される。雷害の主要な原因になっている対地放
電は、雲中の電荷が大地に放電する過程であり、例えば
雲内の負電荷が中和される場合これを慣習的に負極性落
雷と呼んでいる。落雷に先行する前駆放電は雲内で開始
し、雲外に伸びた前駆放電路は枝分かれしながら数十マ
イクロ秒間隔で発光しながら伸びていく。これをステッ
プトリーダと呼ぶ。リーダの下端が大地に達すると、帰
還雷撃あるいはリターンストロークと呼ばれる現象が発
生し、リーダ上を光速に近い速度で強い発光部分が上昇
していくとともに、リーダから大地に継続時間が100
マイクロ秒程度のパルス状の電流が流れる。その後、数
十から数百ミリ秒経過してから再びリーダが以前に形成
された放電路をたどって大地へ進展する。これをダート
リーダと呼び、その速度はステップトリーダの10倍程
度速く、ステップを踏むことなく連続的に持続進展する
場合が多い。ダートリーダが大地へ到達すると第2の帰
還雷撃が起こり、放電は同様な過程を経て継続してい
く。これを後続雷撃と呼び、後続雷撃のある落雷を多重
雷と呼んでいる。夏季の落雷は負極性落雷が90%以上
を占めているが、日本海沿岸に発生する冬季雷では正極
性落雷が半数以上を占めている。
【0004】雷放電現象は電力工学と密接に関連してい
る。送配電線の供給支障を伴う総事故件数のうち、雷事
故は電圧・年度により異なるものの、送電線では25か
ら64%、配電線で11から45%を占めており、最大
の事故原因となっている。特に、原子力発電所、大容量
火力発電所につながる基幹送電線の事故はひとたび発生
すると広範囲に影響を及ぼすことからその対策は重要で
ある。このような理由により、昭和50年代の初頭より
電力会社、大学を中心として冬季雷の観測が精力的に行
われ、冬季雷の性状が明らかにされてきている。例え
ば、夏季雷に比べ冬季雷の特徴としてよくあげられる性
状として以下がある。 (1) 正極性落雷の割合が高い。 (2) 一つの雷雲セル当たりの放電数が少ない。 (3) 上向き雷放電が発生する。 (4) 多地点同時雷撃。 (5) スーパボルトが発生する。 (6) 雷雲下の長い水平放電路、など。
【0005】スーパボルトとは、米国の人工衛星からの
光学観測により発見された通常の雷放電の光エネルギー
より1から2桁高い電光のことをいい、冬季日本上空で
比較的多く観測されている。地上での観測結果からスー
パボルトは大きな中和電荷量や雷撃電流値を有する正極
性落雷と考えているが、統計的な扱いは未だ十分ではな
い。このような特異性とくに正極性落雷の性状は送配電
線路の冬季雷による事故の大きな要因の一つと考えられ
る。
【0006】以上の様な雷害を防止するための手法は多
岐にわたる。例えば、鉄塔への雷撃を防止するための遮
蔽、送電線へ雷撃したときのフラッシオーバの防止、酸
化亜鉛避雷器の適用、再開路による短時間の事故除去、
復旧さらには、広域雷位置標定システムや気象レーダを
用いた雷予知などがある。
【0007】このような雷害防止手法に関する研究は、
雷撃後の耐雷と雷の制御そしてそれらの基礎知識となる
雷性状の把握の3つに大きく分類することができる。耐
雷に関する研究では、特に電力会社を中心として送、
変、配電設備の合理化、精緻化を目的として雷撃様相の
把握や酸化亜鉛避雷器の適用、解析に基づく変電機器の
絶縁合理化、サージ解析などが現在も精力的に行われて
いる。また、雷制御に関する研究では、日本において
は、ロケット誘雷グループ(現在名古屋工業大学グルー
プを中心とする)を中心に現在も北陸地方の冬季雷を対
象としてロケットを用いての誘雷が行われており、多く
の知見が得られている。最近では別のグループがレーザ
誘雷や水誘雷などの研究を行っており、実際に野外実験
も実施されている。それらに対して、雷予知や雷性状の
把握に関する研究には一般的にあまり関心が寄せられて
いないのが現状である。そもそも雷現象は気象現象であ
るため、気象学者らにより研究が行われるのが通常であ
るが、わが国においてはそのような例は非常に少ない。
しかしながら、雷害防止を考える上で、雷現象そのもの
についての研究は必要不可欠であると考えられ、その結
果得られた知見に基づき、雷抑制さらには雷予知の糸口
を見いだす可能性もあると考えられる。
【0008】従来の雷放電観測技術 雷放電を観測する場合、その生起は場所、時間を特定し
難いことから遠隔計測、リモートセンシングが主たる手
段となる。物理量として観測されるのは電界、磁界、光
を含む電磁波などである。元来、雷放電は電荷移動を伴
う現象なので電磁界計測により雷放電に関する多くの情
報が得られる。その雷放電に伴って放射あるいは変化す
る電界は、周波数領域で見ると非常に広く、直流からマ
イクロ波帯に至るため、どのような放電過程を観測の対
象にするかによって、測定方法も異なる。
【0009】放電前の雷雲の接近に伴う電界や、雷放電
前後の電界変化等の数百ヘルツまでの電界の測定にはフ
ィールドミルと呼称されている回転セクタ型の電界計が
用いられる。一方、これより周波数の高い数十メガヘル
ツまでの電界変化の測定にはスローアンテナやファース
トアンテナと呼称される容量性アンテナが用いられるの
が一般的である。これらはアンプの入力の抵抗とコンデ
ンサが時定数を決めていて、時定数が数秒以上のものを
スローアンテナ、数ミリ秒程度のものをファーストアン
テナと便宜的に呼んでいる。しかしながら、最近では大
容量のメモリーや高速で分解能の高いA/D変換システ
ムが比較的安価に手に入るようになってきており、実際
上ファーストアンテナとスローアンテナの両方の性質を
兼ね備えたダイナミックレンジの広い広帶域スローアン
テナともいうべき測定システムが用いられるようになっ
てきている。
【0010】この領域の測定は、測定が容易なことや雷
放電に伴って変化あるいは放射される電磁波のスペクト
ルの大部分がこの領域であることから1950年代より
行われており、雷放電に関する知見の多くはこの領域の
測定により得られている。しかし、これらの知見の多く
は夏季雷とくに負極性落雷や雲放電に関するものがほと
んどであり、近年問題となっている冬季雷や正極性落雷
に関する報告は少ない。そこで、本論文の前半において
はスローアンテナやファーストアンテナを用いた静電場
から数MHz付近までの電界観測を冬季正極性落雷、特
にその放電開始過程に適用したその結果について述べる
こととする。
【0011】一方、数十メガヘルツ以上の高周波帯の領
域では、近年の高周波技術の進歩とともにその測定技術
は発展してきている。この周波数帯の電磁波は雷放電の
微小な放電過程から放射されていると考えられており、
落雷の発生予兆となる雲内での放電現象を高い時間、空
間分解能で可視化するのに応用されている。その結果、
今まで直接見ることが出来なかった雲内の放電進展様相
が明らかになってきており、今後この領域での観測によ
り放電過程や雷雲の電気的構造など雷放電現象の基礎的
な事項の解明、さらに雷予知の糸口を見いだす可能性が
高いと思われる。
【0012】VHF/UHF放射を用いての電磁放射源
標定手法は到達時間差法と干渉法の二つに大別される。
到達時間差法は複数地点において同時観測された波形の
到達時間差を測定し、これから電波源を求める方法のこ
とをいい、時間差の代わりに対象とする電磁波の中心周
波数の波長程度離れたアンテナ対で位相差を計測し到来
方位を求めるものを干渉法と呼んでいる。これらの手法
を用いての雷放電の研究は主にアメリカやフランスを中
心として活発になされており、LDARシステム(参考
文献1、2)やSAFIRシステム等実用化されている
ものもある。しかしながら、雷放電はその一連の過程に
おいてステップトリーダによる枝分かれなど高速に同時
に進行する現象を伴うこともあり、こうした現象に対し
て到達時間差法や干渉法では十分な時間分解能をもち得
ない。
【0013】一方、こうした手法に対して、近年のデジ
タル、高周波技術の進歩の結果、超高速サンプリング技
術が開発され、VHF/UHF帯の電磁波を高速サンプ
リングすることが出来るようになってきている。この技
術は電気機器の診断などに応用されている(参考文献
3)が、サンプリング周波数が極めて速いため時間分解
能がよい。さらに、この手法では電磁波の信号を直接記
録するので、様々なソフトウエア処理の適用が考えられ
る。しかしながら、この手法を実際の雷放電の観測に適
用し、電磁波放射源の標定を行った例はなく、一次元で
その可能性を論じている(参考文献4)に過ぎないのが
現状である。 <参考文献> 1.Taylor,W.,A VHF technique for space-time mappi
ng of lightning discharge processes,J.Geophys.Re
s.,83,3575-3583,1978 2.Rustan,P.L.,M.A.Uman,D.G.Childers,and W.H.Beas
ley,Lightning sourcelocations from VHF radiation d
ata for a flash at Kennedy Space Center,J.Geophys.
Res.,85,4893-4903,1980 3.Kawasaki,Z.-I.,J.-M.Li,K.Matsuura,M.Kawasaki,a
nd O.Sugimoto,Localization of partial discharges u
sing time difference of arrival of radiation field
s,Proc.3rd International Conference on Properties
and Applications of Dielectric Materials,Tokyo,Jap
an,1991 4.Shao,X.M.,D.N.Holden,and C.T.Rhodes,Broad band
radio interferometry for lightning observations,G
eophys.Res.Lett.,23,1917-1920,1996干渉計の原理 図23、図24、図25により、従来の干渉法に基づく
狭帯域干渉計の原理を説明する。
【0014】狭帯域干渉計は、図23の(a)に示すよ
うに、所定の間隔Dで配置した2本の狭帯域アンテナを
基本として構成される。狭帯域アンテナには、1/4λ
モノポールアンテナが用いられる。2本のアンテナを結
ぶ直線に対して遠方からφの角度で雷放電に基づく電磁
波が入射した場合、各アンテナが受信する電磁波間には
行程差に基づく位相差θが生じる。したがって、逆に2
本のアンテナでそれぞれ受信した同じ周波数の信号の間
に位相差θが検出されたなば、放電点は、2本のアンテ
ナを結ぶ直線を軸として頂角をφとする円錐の底面円周
上のどこかに存在することになる。このφとθの間に
は、数1に示す式(1)の関係が成り立つ。
【0015】
【数1】
【0016】そこで、図23の(b)に示すようにA0
−A1 とA0 −A2 の2組のアンテナ対を直交させて2
次元配置することにより、放電点の方位と仰角方向とを
一方向に推定する。図24は、その推定方法を図示した
ものである。
【0017】図24において、2組のアンテナ対のそれ
ぞれで求めた電磁波の入射角をφ1 およびφ2 とする
と、放電点の方向は、各アンテナ対においてアンテナ間
を結ぶ直線を回転軸として( 図ではX軸とY軸とす
る)、回転角をφ12 とする2つの円錐C1,C2 の交
点として求められる。
【0018】このとき放電点の座標(x,y)は、アン
テナから放電点までの距離をrとし、入射角φ1 、φ2
を用いて求めると、次式(2)、(3)のようになる。 x=r×cos φ1 (2) y=r×cos φ2 (3) 一方、放電点の座標(x,y)を方位角αと仰角βで表
わすと、次式(4)、(5)のようになる。
【0019】 x=r×cos β×cos α (4) y=r×cos β×sin α (5) 式(2)〜(5)を連立させて方位角αと仰角βについ
て解くと、数2に示す式(6)、(7)、(8)と求め
られる。
【0020】
【数2】
【0021】このように、アンテナ間の受信信号位相差
θを求めることにより、雷放電点などの電磁波放射源の
方向を特定することができる。複数の観測点でそれぞれ
電磁波放射源の方向を特定することができれば、電磁波
放射源の三次元の位置を標定することが可能となる。図
25により、三次元標定の方法を説明する。
【0022】図25において、観測点1の座標を( X1,
1)、観測点2の座標を( X2,2)、観測点1から放射
源を見た方位と仰角をそれぞれα1 、β1 、観測点2か
ら放射源を見た方位と仰角をそれぞれα2 、β2 、観測
点1で得られる放射源の座標を(x ,y ,z1 ) 、観測
点2で得られる放射源の座標を(x ,y ,z2 ) とし、 a1 =tan α1 (9) a2 =tan α2 (10) とおけば、次式(11)が成り立つ。
【0023】 y=a1 (x−X1 )+Y1 =a2 (x−X2 )+Y2 (11) 式(11)をx,yについて解くと、次式(12)、
(13)が得られる。
【0024】 x=(a1 1 −a2 2 −Y1 +Y2 )/(a1 −a2 ) (12) y=(a1 2 (X1 −X2 )+a1 2 −a2 1 )/(a1 −a2 ) (13) またz1 ,z2 は、x,yとβ1 ,β2 を用いて、次の
数3に示す式(14)、(15)で表わされる。
【0025】
【数3】
【0026】
【発明が解決しようとする課題】雷放電による電磁波パ
ルスの放射源位置を標定観測するには、従来は到達時間
差法や干渉法が用いられていたが、到達時間差法の場
合、孤立した単発性パルスの放射源位置を標定するには
有効であっても、バースト状の持続性パルスの放射源位
置を三次元的イメージで標定するのは困難であった。一
方、干渉法の場合は、バースト状の持続性パルスについ
て放射源位置を標定し可視化するのは比較的容易である
反面、孤立した単発性パルスの放射源位置を標定するの
は困難であった。このように、従来は、一つの標定観測
方法で多様な雷放電に対応することができないという問
題があった。
【0027】本発明は、雷放電の単発パルスやバースト
状パルスなどの多様な電磁波パルス放射に広く適用でき
て、低いコストで精度よく放射源位置を二次元あるいは
三次元的に標定できる観測手段を実現することを目的と
している。
【0028】
【課題を解決するための手段】本発明は、電磁波パルス
が多くの周波数成分を含んでいることから、干渉計を広
帯域で構成し、多様な電磁波パルスの特性に適応できる
ようにして、高い精度での標定を可能にするものであ
る。そのため複数の広帯域アンテナを設置して電磁波パ
ルスの信号を広帯域で受信し、各アンテナの受信信号中
に含まれる複数の周波数成分のそれぞれについて並行し
て干渉解析を行い、電磁波パルスの放射源位置を多重に
標定して表示するようにした。またアンテナからの信号
は有効な情報を含む一定期間だけ取り込んで、メモリが
浪費されないように工夫した。
【0029】本発明の広帯域干渉計は、次のように構成
される。 (1) 所定の間隔で設置された広帯域アンテナと、こ
れら複数の広帯域アンテナで受信した電磁波パルスの信
号を処理してその放射源の位置を標定する観測処理装置
とからなり、該観測処理装置は、電磁波パルスの到来を
検出してトリガ信号を発生する信号入力検出部と、前記
トリガ信号の発生に応じて、一定時間に限って各広帯域
アンテナからの受信信号を取り込み蓄積する信号取り込
み部と、蓄積された各広帯域アンテナの受信信号をそれ
ぞれフーリエ変換するフーリエ変換部と、複数の広帯域
アンテナの対について、それぞれフーリエ変換された各
アンテナの受信信号の間で、同じ周波数の信号同士の位
相差を求める位相差検出部と、求めた各周波数の位相差
に基づいて、周波数ごとに電磁波パルスの放射源の位置
を標定する標定演算部と、を備えていること。 (2) 前項(1)において、信号取り込み部が取り込
んだ複数の広帯域アンテナの受信信号は、それぞれGP
Sによって時間同期をとられること。 (3) 前項 (1) において、電磁波パルスの放射源の
位置を三次元で標定し画像表示すること。
【0030】図1により、本発明の基本構成を説明す
る。なお、図示されている構成は例示的なものである。
【0031】雷放電のような任意の場所に現れる電磁波
パルス放射源1を位置標定するために、それぞれ広帯域
アンテナ2a〜2eが、地表面に東西方向と南北方向な
どの直交する2方向に分けて一定間隔で地表面に設置さ
れる。広帯域アンテナ2a〜2eは、それぞれたとえば
VHF〜HFの広帯域で電磁波パルス信号を受信し、観
測器3a〜3eでそれぞれ増幅およびA/D変換され、
観測処理装置4へ入力される。各広帯域アンテナ2a〜
2eと観測処理装置4の間の距離が近ければ、増幅器や
A/D変換器を観測処理装置4に持たせて、各アンテナ
2a〜2eを同軸ケーブルで観測処理装置4に直結して
もよい。A/D変換のサンプリング周波数は、受信帯域
の上限周波数の2倍以上に設定する必要があり、たとえ
ば上限周波数が250MHzであれば、サンプリング周
波数を500MHzに設定する。
【0032】信号取り込み部5は、各アンテナ2a〜2
eからの受信信号をデジタル信号形式で一定時間取り込
み、データメモリ6に蓄積する。この信号取り込みは、
信号入力検出部7からのトリガ信号入力により開始さ
れ、一定時間持続される。この信号の取り込みを一定時
間に限って行なうのは、データメモリ6の限られたメモ
リ資源が、無信号時の冗長なデータによって無駄に浪費
されないようにするためであり、取り込み時間の長さ
は、電磁波パルスの観測に有効な長さ、たとえば雷放電
の場合は放電の最大持続時間、とデータメモリ6の容量
とを考慮して決めればよい。
【0033】信号入力検出部7は、広帯域アンテナ2f
が受信した電磁波パルスの先頭部を検出し、信号取り込
み部5にトリガ信号を送る。信号入力検出部7は、低域
フィルタの一種である積分型の時定数回路(たとえばC
R積分回路)と閾値回路で構成される。時定数回路によ
り広帯域アンテナ2fが受信した信号からゆっくりした
変化を取り出し、閾値回路であらかじめ設定された閾値
と比較することにより、弱い雑音には応答せず、強い単
発パルスやバースト状のパルスの立ち上がりのみを検出
してトリガ信号を発生する。なお、信号入力検出専用の
広帯域アンテナ2fを設ける代わりに、広帯域アンテナ
2a〜2eの任意の1つの受信信号あるいは各受信信号
を論理和合成した信号を利用してトリガ信号を発生させ
てもよい。
【0034】信号取り込み部5が各観測器3a〜3eか
ら取り込む受信信号は、GPS受信装置8が受信したG
PSパルスによって同期をとられ、それぞれの受信時刻
を高精度に識別可能にされる。
【0035】処理装置9は、データメモリ6から各広帯
域アンテナ2a〜2eの受信データを取り出して放射源
位置の標定処理を行なう。まずフーリエ変換部10で、
広帯域アンテナ2a〜2eの受信データごとにフーリエ
変換し、各成分周波数の振幅と位相を求める。位相差検
出部11では、同じ方向に配列されたアンテナの対ごと
に、同じ成分周波数の信号の間の位0相差を検出する。
標定演算部12では、各アンテナ対の位置と同じ成分周
波数間の位相差とに基づいて、後述する三角法により二
次元あるいは三次元での放射源位置を標定する演算を行
なう。画像出力部13は、演算結果の標定位置の情報を
画像処理し、表示装置14に表示する。
【0036】次に、図2を用いて標定処理各部の解析過
程を順に説明する。
【0037】図2ではアンテナ1とアンテナ2のアンテ
ナ対を使用しているが、まず1つのアンテナで記録され
る波形を考える。例えばアンテナ1において検出される
信号を時間をパラメータとしてf1 (t) と表すこととす
る。
【0038】f1 (t) は実際は離散信号であるため離散
フーリエ変換を適用すると以下の数4の式(15)のよ
うに表せる。
【0039】
【数4】
【0040】アンテナ1から距離dメートル離れたアン
テナ2に同じ信号が同じ入射角で到達すると、アンテナ
2での検出信号f2 (t) はf1 (t+kΔt)に等しくな
る。これを離散信号系で表すと数5の式(16)のよう
になる。
【0041】
【数5】
【0042】式(16)の関係を考慮して、アンテナ2
での信号に同様に離散フーリエ変換を適用すると、以下
の数6の式(17)のようになる。
【0043】
【数6】
【0044】ここで、データポイント数Nをパルスの全
体波形が含まれるくらいにkに対して十分大きくとる
と、数7の式(18)が得られる。
【0045】
【数7】
【0046】式(18)の左辺は式(11)の右辺、式
(18)の右辺は式(17)の右辺にそれぞれ含まれる
項であるので、アンテナ1の波形に対して離散フーリエ
変換を適用した値でアンテナ2の波形に対して離散フー
リエ変換を適用した値を割ると、各周波数での2πkΔ
tの値が算出できる。kΔtはアンテナへの到達時間差
d cosθ/cに等しいので、既知の値であるベースライ
ン長dと光速度cを代入することにより、到達電磁波の
アンテナ対に対する各周波数での入射角を求めることが
できる。以上が図1に示すフーリエ変換部10と位相差
検出部11の解析手順となる。
【0047】一組のアンテナ対に対する入射角が求めら
れているとき、その電磁波放射源はその2本のアンテナ
を結ぶ直線を軸とし、頂角を入射角とする円錐の底面円
周上に存在することになる。今、二組のアンテナ対は直
角にそれぞれ東西、南北を指すように配置されているの
で、電波源はそれぞれのベースラインを回転軸とし、回
転角がそれぞれのアンテナ対での算出された入射角とす
る二つの円錐の交点として求めることができる。これ
が、図1に示す標定演算部12の解析手順である。以上
のような手順により電磁波放射源が2次元で標定される
こととなる。なお、この標定演算部12の手順は、図2
3、図24で述べた狭帯域干渉計での電磁波放射源標定
の手順と同じである。
【0048】
【発明の実施の形態】広帯域干渉計の実施例構成 図3に、本発明実施例による広帯域干渉計のシステム構
成を示す。図中のシステムは、それぞれコンピュータ端
末18aと18bを中心に構成した2組の広帯域干渉計
を、離れた2カ所の地点に設置し、各広帯域干渉計で求
めた電磁波パルス到来方向の方位と仰角のデータを、そ
れぞれ回線網22を介してホストコンピュータ23へリ
アルタイムで伝送し、ホストコンピュータ23におい
て、各広帯域干渉計からそれぞれ送られた方位と仰角の
データに基づいて電磁波パルス到来方向の交点を求め、
放射源の三次元位置を標定する。
【0049】図の左上部に示す広帯域干渉計を例にして
詳細を説明する。図には4本の広帯域アンテナ15−1
a〜15−4aが示されているが、アンテナは最低3本
あればよく、東西と南北に直角に配置される。各アンテ
ナはVHF波帯(20〜250MHz)を受信できるも
のであり、たとえば円板型の容量性アンテナが使用でき
る。しかし容量性アンテナの場合は、誘導により蓄積さ
れる電荷の飽和のため直ぐにセンサとして応答できなく
なるので、電荷をゆっくり逃がすための時定数回路を作
る必要がある。たとえば約5秒程度の放電時定数が得ら
れるように、接地との間に抵抗を接続すればよい。これ
により、一時的に飽和することがあっても容易にセンサ
機能を回復できるようになる。
【0050】各アンテナが受信した信号は、広帯域の対
数増幅器16−1a〜16−4aで対数圧縮して増幅さ
れ、サンプリング周波数500MHzの高速のA/D変
換器17−1a〜17−4aでそれぞれデジタル信号に
変換され、4チャネルの入力インタフェースをもつコン
ピュータ端末18aに入力される。
【0051】コンピュータ端末18aでは、信号入力検
出処理19aにより4チャネルの入力インタフェースへ
の信号入力を監視し、所定の閾値以上の信号入力を検出
すると、信号取り込みタイマ処理20aにより、各チャ
ネルの入力インタフェースへ入力された信号を、たとえ
ば2マイクロ秒間連続して取り込み、メモリに格納す
る。取り込みを行なった信号には、GPS受信装置21
bからのGPSパルスを用いて、1μsの精度で時間同
期化のラベル付けを行なう。メモリに格納する信号デー
タは1ワード8ビットで構成され、1チャネル当たりの
メモリ長は50キロバイトである。なお、ここでは信号
入力検出処理19aと信号取り込みタイマ処理20a
は、プログラムを用いてソフト上で実行するものとした
が、専用のハードウエア回路で実現してもよいことはも
ちろんである。コンピュータ端末18aは、メモリに格
納された各チャネルの入力信号データをリアルタイムで
取り出し、フーリエ変換および位相差検出を行って方位
と仰角を算出し、算出結果のデータを回線網22を介し
てホストコンピュータ23へ送出する。図の右上の広帯
域干渉計も、上述した左上の広帯域干渉計と同じ動作を
同時に行っている。
【0052】観測実験例 次に、VHF広帯域干渉計を用いてロケット誘雷による
雷放電の観測実験を行なった事例について説明する。
【0053】図4は、観測実験システムの概要を示す。
VHF広帯域干渉計を設置した観測点は、ロケット発射
台のある誘雷実験場から3.6km離れており、3本の
円板状容量性アンテナを5mの間隔で配置している。
【0054】図5の(a)に,記録された波形の一例を
示す。各アンテナの波形は振幅に差が認められるものの
同様な波形を示しており、その波形間には時間差が存在
することが表示されている。この波形に対して、FFT
(Fast Fourier Transformation)でフーリエ変換を数値
的に行い、スペクトルを求めた結果を図5の(b)に示
す。各アンテナ入力に対して、求められるスペクトル
は、それぞれ同様な傾向を示していることがわかる。い
ずれの波形においても高周波ほどスペクトル強度が減少
する傾向を示している。30MHz付近にいずれの波形
においてもスペクトル強度の低い箇所が認められるが、
これはアンテナの周波数特性によるものと考えられる。
【0055】図6に、各アンテナ対(東西、南北方向)
について位相差を抽出した結果を示す。位相差が±2π
の範囲内において約120MHz付近までの間、周期的
な特徴を示していることがわかる。120MHz以降、
位相差はランダムになり、これはスペクトルの強度が小
さい領域に対応している。
【0056】本実施例においてはFFTを使用している
ため、抽出されている位相差は±2πに限定される。し
かし、高周波成分ほどその位相差は大きくなるため、実
際の位相差は±2π以上の値をとっても計算上では±2
π以内の値をとることになる。これをフリンジという
が、正しいフリンジを選択するためには求められた位相
差に対して±2π、±4π、±8π等の加算を行う必要
がある。この加算を行った結果を図7の(a)に示す。
2π倍の加算、減算を行うことにより位相差が周波数に
応じて連続的に変化することがわかる。
【0057】電磁波の到来方向は一つに限定されるの
で、このパターンの中から正しいフリンジを選択する必
要がある。本実施例の場合、ベースライン長は5メート
ルであるので最も位相差の大きい入射角をとるように電
磁波が到来したとすると、これらの不定性つまりフリン
ジが存在しない周波数は30MHzまでに限られる。そ
こで、この領域の位相差を基準にしてフリンジの選択を
行うことにより正しい位相差検出が行えることになる。
実際、図7の(b)に示す様に、位相差の選択が正しく
行われていることが確認できる。
【0058】図8に、フリンジ選択の後、入射角を算出
した結果を示す。このように、周波数に対する依存性は
顕著ではなく、方位角、仰角とも周波数に対してほぼ一
定の傾向を示している。
【0059】図9の(a)に、11月15日20時59
分34秒に地上誘雷の電界変化の全体図を示す。同波形
は緩やかな負方向の変化に多数のパルスが重畳した特徴
を示し、そのパルス列は放電初期に多くみられ、記録の
終焉に向かって緩やかに減少していることがわかる。こ
の波形全体の電界変化の極性からこの誘雷により上空の
正電荷の中和が行われたことが示唆される。また、自然
雷に見られるような正極性の帰還雷撃によると思われる
立ち上がりの速い変化は記録されていない。正極性ロケ
ット誘雷では、夏季,冬季を問わず帰還雷撃が存在しな
いことが確認できる。
【0060】図9の(b)に,この誘雷の放電開始部分
の時間軸を拡大した図を示す。図中で縦棒で示したもの
は広帯域パルスが記録された時間を示している。放電開
始前に変化は見られず信号はほぼ平坦なノイズレベルを
示しており、その後電界変化は緩やかに負方向に変化し
始めその変化に重畳しているパルスの振幅も同様に徐々
に大きくなっていることがわかる。この顕著な電界変化
に先行して広帯域パルスが放射されている。一方、同時
にシャント抵抗により測定された電流波形はその持続時
間が約13ミリ秒であり、これは電界変化の持続時間と
ほぼ一致し、その極性は正、即ちこの誘雷が負極性の上
向き放電で開始し上空の正電荷が中和されていることを
示している。従って、電界変化に見られるパルス列及び
その時間に対応して放射されている広帯域パルスは地上
から上空に向けて持続進展している負極性のステップト
リーダによるものと思われる。また、電流波形において
同様に記録されているパルス列は数キロアンペアから十
数キロアンペアを示しており、電界変化に記録されてい
るパルス列は冬季正極性トリガード雷に特有な大電流パ
ルスであると考えられる。
【0061】図10に,広帯域パルスの時間間隔のヒス
トグラムを示す。平均時間間隔は約22マイクロ秒であ
る。
【0062】図11に、算出した方位角と仰角対周波数
のグラフを示す。同図からわかるように、周波数が上が
ると同時に方位角と仰角に数度程度の傾向が存在する。
この傾向は放射源の微視的な放射過程と関係があると思
われるが詳細な検討は今後の課題としたい。数十メガヘ
ルツ以上においては電磁波放射源の方位角、仰角はほぼ
一定の傾向を示しており、この領域において平均値を算
出し一放電点とすることにより以後は解析を行ってい
る。
【0063】上記の負極性ステップトリーダから放射さ
れていると思われる広帯域信号の仰角の時間推移を図1
2に示す。同図から電磁波放射源が上向きに進展する様
子がわかる。観測点からロケット発射台までの距離が既
知であるので、その速度を評価することができ、6×1
5 m/sと算出されている。この値は負極性落雷の光
学観測により決定された2次元の速度6×105 m/
s、電界観測による5.7×105 m/sに類似してい
る。これらの値から電磁波の放射源はリーダ先端である
ことも示唆される。
【0064】ところで、リーダ開始部での標定された放
射点はロケット発射台の位置と数度程度以内で合致して
おり、方位角方向での放射源標定のばらつきの標準偏差
は1.6度で標定誤差が数度以内であることがわかる。ま
た、本観測地点付近に周波数にして58MHz付近の通
信用電波塔が存在し、雷放電が生起していない時にこの
周波数を抽出して位置標定を行った。その結果、概ねそ
の方向は一致しており、標定点のばらつきは2から3度
で標準偏差は1度以下と算出されている。電波塔の正確
な位置を測量することが出来なかったため正確な評価は
難しいが、鉄塔誘雷での電波放射源がロケット発射台の
位置と数度以内で一致していること、またその標準偏差
が数度以内であること、通信波の標定のばらつきが数度
程度であることを併せて考慮すると、本観測システムが
数度程度の標定精度を有することがわかる。
【0065】図13に,11月15日20時54分22
秒に鉄塔誘雷の電界変化の全体図を示す。本実験の場
合、これは50mの試験鉄塔への誘雷であり、上空に打
ち上げられたロケットおよびワイヤーは地面とは絶縁さ
れている。なお、この方式の誘雷はフランスでのAltitu
de lightningと同種のものであることを付記しておく。
同図からわかるように、最初緩やかな電界変化で始ま
り、正方向への変化の後60ミリ秒付近から幾つかの階
段状の変化が続いている。この特徴は欧米での負極性の
ロケット誘雷での電界変化の特徴と類似しており、この
階段状の変化は負極性の後続雷撃によるものと思われ
る。一方、電界変化の全体の極性はこの誘雷により上空
の負電荷の中和が行われたことを示しており矛盾はな
い。なお、鉄塔誘雷の雷撃電流の直接測定は不可能であ
るため、電流波形との照合は行っていない。
【0066】上空の負電荷が中和されるとした鉄塔誘雷
の誘雷過程を欧米での場合と日本の場合と対比させた模
式図を図14に示す。同図上段が欧米とくにフロリダで
のロケット誘雷を指しており、下段が日本の冬季北陸地
方でのロケット誘雷実験のものである。顕著な違いはそ
の誘雷高度である。欧米での鉄塔誘雷のワイヤー下端の
高度は400メートル近くあるのに対して、日本の北陸
地方での鉄塔誘雷では高々100メートルまでである。
さらに、日本の場合、鉄塔の高さは約50メートルあ
り、実際鉄塔へ向けて進展するリーダの長さは50メー
トル程度である。
【0067】次に、具体的な鉄塔誘雷の誘雷過程を説明
する。鉄塔誘雷では、地上から約100メートルまでは
ナイロン釣り糸で絶縁され、その先にスチールワイヤ
(ピアノ線)がロケットに付けたボビンから引き出され
る。即ち、ロケットとその後に続くワイヤーは鉄塔や地
面から絶縁されていることになる。そのため、例えば上
空の負電荷が中和される負極性誘雷の場合、正極性リー
ダがロケット先端からまず上空に向けて進展し、ワイヤ
ー下端からはその数ミリ秒後に地面に向けて負極性のリ
ーダが進展する。日本でのロケット誘雷の場合、ワイヤ
ー下端の高度は欧米でのロケット誘雷の高度に比べ10
倍程度低く、また冬季の山岳地帯であり実験場付近の視
界も悪いことからこの部分の過程についてはよくわかっ
ていないが、反対極性のリーダが同時に進展する過程は
同一である。そして、ワイヤー下端から開始したリーダ
は通常、鉄塔または避雷針からのコネクティングリーダ
と結びつき、Partial return stroke またはSmall retu
rnstrokeと呼称される下向きリーダの放電路に蓄えられ
た負電荷の中和過程を経て上向きの正極性リーダとなっ
て、雲へ向けさらに上昇進展する。そして、数十ミリ秒
の後ダートリーダが雲から降下し、後続雷撃が起こりこ
の過程が何回か繰り返される。これが、負極性の鉄塔誘
雷の過程である。
【0068】図15 に、この誘雷の開始部分の電界変化
の拡大図を示す。図中の数字が付記された縦棒は広帶域
パルスの生起時刻である。同図よりこの誘雷が両極性パ
ルスで開始し、そのパルスに先行して広帶域パルスが放
射されていることがわかる。
【0069】これらのパルスに対して2次元での標定を
行った結果を図16 に示す。同図からわかるように、こ
れら1から6までの番号のパルスは鉄塔付近から放射さ
れている。正極性リーダは負極性リーダに比べて、VH
F放射強度は弱いのでこれらのパルスはワイヤー下端か
ら鉄塔に向けて持続進展している負極性リーダから放射
されていると考えられる。また、日本のロケット誘雷の
場合、誘雷高度は約100メートルで欧米での400メ
ートルに比べ極めて低い。即ち、鉄塔付近に標定されて
いる本解析結果は実験事実とよく合致している。また、
このことから電界変化に記録されている両極性パルスは
負極性リーダが鉄塔へ雷撃したときのsmall return str
oke により放射されていると考えられる。
【0070】最初の両極性パルスの後、約46ミリ秒は
VHF放射は記録されていない。この間は正極性リーダ
が雲へ向けて進展している過程に相当すると考えられ、
電界変化の正方向への振れは正極性のリーダが上昇進展
しているときの振れの方向と一致している(図17 参
照)。その後398ミリ秒付近で、図17 からわかるよ
うにVHFパルスが短い時間間隔で記録されている。
【0071】図18に、これらのVHFパルスの電波放
射源の標定結果を示す。この図に示されるように、これ
らのパルスの放射源は誘雷鉄塔から約30度、距離に換
算して約2キロメートル離れた地点で数度以内の領域に
標定されている。このことから、正極性リーダの進展速
度が4.4×104 m/sと算出される。これらのパルス
の起源については、この集中的な放射の後130マイク
ロ秒後に帰還雷撃に相当すると思われる早い変化が記録
されているため、これらのパルスはダートリーダの形成
に伴う負極性の絶縁破壊過程または雲内の負電荷領域を
進展する正極性リーダからの放射であると考えられる。
また、パルスの時間間隔の平均値は77マイクロ秒とな
っている。そのヒストグラムを図19に示す。
【0072】第一後続雷撃に先行して放射されているパ
ルスバーストの後の電界変化を図20に示す。同図から
わかるように電界変化の速い変化に対応して幾つかの広
帶域信号が記録されている。これらの拡大図を図21の
(a),(b),(c)に示す。さらにこれらのパルス
の2次元標定結果を図22に示す。電界変化の速い変化
に同期してパルス34および38が放射されている。そ
して、これらのパルス放射源は鉄塔付近に標定されてい
る。このことはこのR1,R3と記した変化が帰還雷撃
によるものであることを示している。この変化の波形が
典型的な夏季の負極性落雷にみられる波形と異なる様相
を示すのは放電路の折れ曲がり等のためと考えられる。
【0073】R1に先行して約130マイクロ秒前にダ
ートリーダによると思われるパルス放射列の33番目の
パルスが放射されている。この間にダートリーダが鉄塔
へ向けて進展しているとすると、その速度は1.5×10
7 m/sとなる。
【0074】R1の変化の後、広帯域パルス35および
36が放射され、その位置はダートリーダの開始点付近
である。これは、帰還雷撃が上空の負電荷層へ到達しそ
の後正極性のストリーマが負電荷層内を持続進展してい
く正極性の絶縁破壊過程と考えられる。この傾向はR3
の変化におけるパルス39の標定についても見られる。
R2およびパルス37についてはその標定点は鉄塔付近
ではないため、このパルスは雲内の放電活動に起因して
いるものと考えられる。以上パルス39までの標定結果
とその解釈について述べたが、残りのパルスについても
同様な標定結果が示されている。
【0075】以上の観測結果から、以下の結論が得られ
た。 (1)広帯域干渉計が数度以内の精度で動作しているこ
と。 (2)観測した範囲内において、負極性上向きリーダか
ら放射される広帯域パルスの時間間隔は平均22マイク
ロ秒で、その進展速度は6×105 m/sであること。 (3)正極性ロケット誘雷には帰還雷撃に相当する速い
変化は存在しないこと。 (4)負極性ロケット誘雷の放電開始部の両極性パルス
に先行する広帶域パルスは、ワイヤー下端から鉄塔へ向
けて進展する負極性リーダにより放射され、両極性パル
スは負極性リーダの鉄塔へのコネクティング過程により
放射されること。 (5)広帶域干渉計はパルスバーストと単発パルスの両
方のタイプのパルスに対して標定が可能であること。 (6)負極性ロケット誘雷の観測から、解析事例の範囲
内において正極性上向きリーダの速度は4×104 m/
sであること。 (7)観測した範囲内において、負極性ロケット誘雷の
観測から、下向きダートリーダに先行する広帶域パルス
放射の時間間隔は平均78マイクロ秒で、ダートリーダ
の速度が1.5×104 m/sであること。
【0076】
【発明の効果】本発明の広帯域干渉計によれば、アンテ
ナに広帯域アンテナを用いるとともに、受信信号からフ
ーリエ変換により帯域内の各成分周波数信号を取り出し
て、対のアンテナ間で同一成分周波数の信号同士の位相
差をそれぞれ検出し、成分周波数ごとの標定演算を多重
に実行するというやり方により、観測機器コストの少な
い増加で、雷放電などの電磁波パルス放射源の位置を従
来方法よりも精度よく標定観測することができる。特
に、各アンテナからの受信信号の取り込みは、信号入力
を検出したあとの一定時間の長さに限るようにしたの
で、各チャネルについてVHF帯の信号を数マイクロ秒
間ずつ取り込んだとしても、必要とされるメモリの容量
は数十キロバイトから数百キロバイトに過ぎず、また有
効な信号データのみが取り込まれることによって、CP
Uは無駄な処理に時間をとられずに済み、ハードウエア
の節減と観測処理の高速化とが図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本構成図である。
【図2】標定処理の説明図である。
【図3】本発明実施例による広帯域干渉計の構成図であ
る。
【図4】観測実験のシステムの概要図である。
【図5】広帯域信号とスペクトルの例の波形図である。
【図6】各アンテナ対における信号の位相差を示すグラ
フである。
【図7】アンテナ間の信号位相差を示すグラフである。
【図8】東西、南北方向に配置されている各アンテナ対
に入射する広帯域信号の算出された入射角を示すグラフ
である。
【図9】地上誘電の電界変化の波形図である。
【図10】負極性上向きリーダから放射される広帯域パ
ルスの時間間隔のヒストグラムである。
【図11】広帯域パルスの算出された方位角、抑角の周
波数依存性を示すグラフである。
【図12】負極性上向きリーダにより放射される広帯域
パルス列の仰角の時間変化を示すグラフである。
【図13】鉄塔誘雷の電界変化の全体図である。
【図14】鉄塔誘雷の誘雷過程の模式図である。
【図15】鉄塔誘雷の放電開始部分の拡大図である。
【図16】広帯域パルスの2次元標定結果を示すグラフ
である。
【図17】鉄塔誘雷の電界変化の前半部を示すグラフで
ある。
【図18】広帯域パルスの2次元標定結果を示すグラフ
である。
【図19】ダートリーダ形成に伴って放射される広帯域
パルスの時間間隔ヒストグラムである。
【図20】鉄塔誘雷に伴う電界変化の後続雷撃部分の拡
大図である。
【図21】鉄塔誘雷の電界変化の拡大図である。
【図22】広帯域パルスの2次元標定結果を示すグラフ
である。
【図23】干渉計の原理説明図である。
【図24】電磁波パルス到来方向の推定方法説明図であ
る。
【図25】三次元標定の説明図である。
【符号の説明】
1:電磁波パルス放射源 2a〜2f:広帯域アンテナ 3a〜3e:観測器 4:観測処理装置 5:信号取り込み部 6:データメモリ 9:処理装置 10:フーリエ変換部 11:位相差検出部 12:標定演算部 13:画像出力部 14:表示装置

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の間隔で設置された広帯域アンテナ
    と、これら複数の広帯域アンテナで受信した電磁波パル
    スの信号を処理してその放射源の位置を標定する観測処
    理装置とからなり、 該観測処理装置は、 電磁波パルスの到来を検出してトリガ信号を発生する信
    号入力検出部と、 前記トリガ信号の発生に応じて、一定時間に限って各広
    帯域アンテナからの受信信号を取り込み蓄積する信号取
    り込み部と、 蓄積された各広帯域アンテナの受信信号をそれぞれフー
    リエ変換するフーリエ変換部と、 複数の広帯域アンテナの対について、それぞれフーリエ
    変換された各アンテナの受信信号の間で、同じ周波数の
    信号同士の位相差を求める位相差検出部と、 求めた各周波数の位相差に基づいて、周波数ごとに電磁
    波パルスの放射源の位置を標定する標定演算部と、を備
    えていることを特徴とする広帯域干渉計。
  2. 【請求項2】 請求項1において、信号取り込み部が取
    り込んだ複数の広帯域アンテナの受信信号は、それぞれ
    GPSによって時間同期をとられることを特徴とする広
    帯域干渉計。
  3. 【請求項3】 請求項1において、電磁波パルスの放射
    源の位置を三次元で標定し画像表示することを特徴とす
    る広帯域干渉計。
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