JP2000516268A

JP2000516268A - トリグリセリドの分別

Info

Publication number: JP2000516268A
Application number: JP06509598A
Authority: JP
Inventors: ハリス、ジョン・バーナード; ムーア、スティーブン・レイモンド; ローリンズ、クリストファー
Original assignee: ロダース‐クロックラーン・ビー・ブイ
Priority date: 1992-10-16
Filing date: 1993-10-08
Publication date: 2000-12-05
Also published as: DE69303826D1; MY109839A; US5849940A; ZA937603B; DE69303826T2; AU670336B2; ATE140722T1; CA2146141C; EP0664828A1; KR0182273B1; AU5176493A; WO1994009098A1; EP0664828B1; CA2146141A1; DE69303826T3; EP0664828B2

Abstract

(57)【要約】本発明は、ＳＳＵ（Ｓ＝飽和脂肪酸；Ｕ＝不飽和脂肪酸）含量５重量％以上の脂肪を分別して、ＳＳＵ濃縮率が１.５倍以上とすることにより、ＳＳＵ含量１２重量％以上のトリグリセリドを生産するための分別方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】トリグリセリドの分別英国特許出願第９１２１５７８.０号において、本出願人は最小実効量のＳＳＯ型脂肪を含有するノンテンパー型菓子用脂肪について開示した。このような脂肪組成物は実効量のＳＳＯを外部から添加することによって得られる。しかし、この方法にはＳＳＯ型トリグリセリドが随意に入手できることを要するという欠点がある。この種の脂肪を合成することのできる方法も幾つか知られているが、例えば分別技術だけを用いるなど、合成法以外の経路によって、多形脂肪（かかる脂肪はＳＳＯ成分を添加しない限りテンパリングを必要とする）用の添加剤として十分な量のＳＳＯ成分を含んだトリグリセリド混合物を得ることができればそれに越したことはない。さらに、ＳＳＯトリグリセリドが十分量存在していて、テンパリングを全く必要としない脂肪混合物を得ることができれば一段と好都合である。実際に、本発明はこのような所望の脂肪混合物の生産をもたらす方法に関する。本発明は非ラウリン系・非水添・低温融解性・ノンテンパー・非トランス型フィリング用又はコーティング用脂肪中の脂肪成分として好適な脂肪分別画分の製造法に関する。この方法は、５重量％以上のＳＳＵトリグリセリド（Ｓ＝Ｃ₁₆〜Ｃ₂₂飽和脂肪酸、好ましくはＣ₁₆〜Ｃ₁₈飽和脂肪酸；Ｕ＝Ｃ₁₈〜Ｃ₂₂モノ又はポリ不飽和脂肪酸、好ましくはオレイン酸）を含有するトリグリセリド組成物の分別を実施して、トリ飽和トリグリセリド（飽和脂肪酸３残基からなるトリグリセリド）の少なくとも一部及び／又はジ不飽和トリグリセリド（不飽和脂肪酸２残基含んだトリグリセリド）とトリ不飽和トリグリセリド（不飽和脂肪酸３残基からなるトリグリセリド）の少なくとも一部を除去し、原料トリグリセリド組成物のＳＳＵ含量の少なくとも１.５倍、好ましくは１.７倍以上、最も好ましくは２ .０倍以上となるようなＳＳＵ含量１２重量％以上、好ましくは１２〜２０重量％のトリグリセリド組成物を単離することを特徴とする。同時に、単離された生成物のＳＵＳ含量は６５重量％以上であるべきであり、好ましくは７０重量％以上である。原料トリグリセリドは好ましくは６重量％以上のＳＳＵトリグリセリドを含有する。最終生成物を菓子用脂肪として使用する場合、原料脂肪にはＳＵＳトリグリセリドも多量に含まれる。上述の基準を満足する好適な脂肪は、パーム油、パーム油分別画分、これらの混合油であるが、特にパーム油ステアリン、とりわけパーム油の乾式分別で得られるステアリン画分である。パーム油と乾式分別パーム油ステアリンの混合油、特にステアリン含量が２０重量％を超えるものを使用すると、非常に有益な結果を得ることができる。欧州特許第８１８８１号から、パーム油ステアリンを溶剤分別に付す方法が知られている。３つの分別画分、すなわち、融点４５℃以上の第一画分と融点３３ ℃〜４４℃の第二画分と第三の液体画分とが得られる。この分別は次のようにして実施される。脂肪１ｇに対して１〜６ｌの溶剤を５０℃で混合し、得られた溶液を１２〜１４℃に冷却して生じた沈殿を回収し、この沈殿を１０℃の溶剤を用いて所定の条件下で抽出し、この抽出工程で得られたスラリーを濾過して高融点生成物と濾液を得て、濾液を１〜３℃に冷却して新たな沈殿を回収し、この新たな沈殿を非常に特殊な条件下で再度抽出し、この第二の抽出工程で得られたスラリーを濾過して中融点生成物を分離し、同時に得られた濾液を溶剤除去処理に付して液体油を得る。上記欧州特許第９頁２２〜４２行には、抽出工程は洗浄工程とは比較の対象にならず、洗浄よりも格段に優れている旨記載されている。原料パーム油ステアリンのＳＳＵ含量についても、最終生成物のＳＳＵ含量についても、ノンテンパー型の菓子用脂肪の製造についても何等開示されていない。本発明の方法では、上記欧州特許第８１８８１号に記載されているような非常に特殊な抽出（＝非洗浄式）工程は用いない。パーム油系の原料の湿式分別は、特に、***特許第２９２１４９９号及び同第１７９２６０６号、米国特許第３６８６２４０号及び同第４０５５６７９号並びに欧州特許第３４７００６号及び同第７８５６８号などから公知である。しかし、これらのどの文献にも、得られる生成物が１２重量％以上のＳＳＵ含量を有していて、ＳＳＵ含量が１.５倍も濃縮されることは記載されていない。分別は、乾式分別法又は湿式分別法のいずれかの方法で実施することもできるし、乾式分別法と湿式分別法を併用してもよい。乾式分別を実施する場合、欧州特許出願公開第３９９５９７号に開示されているような多段乾式分別法で実施するのが好ましい。出発原料の種類によっては、分別は二段階の多段式分別法とすることができる。二段階湿式分別法を用いた場合に最良の結果が得られる。パーム油ステアリンを原料とする二段階法では、以下の段階を用いることができる。１．パーム油ステアリンの重量を基準にして好ましくは４５〜８５重量％、さらに好ましくは４５〜７５重量％の収率でステアリン画分を生じるような、有機溶剤（ヘキサン、石油エーテル、特にアセトンなど）による−５ ℃〜５℃での湿式分別。この画分はＳＳＳ型、ＳＵＳ型及びＳＳＵ型トリグリセリドを主成分とする。２．段階１のステアリン画分を有機溶剤（この場合も、ヘキサン、石油エーテル又はアセトン）による１５℃〜２５℃での第二の湿式分別に付す。このとき、オレイン画分（すなわち、最下層画分）が、ＳＳＵの濃縮された（１２重量％以上）生成物として回収される。このオレイン画分は、段階１のステアリン画分の重量を基準にして２５〜８０重量％、好ましくは３５〜８０重量％の収率で分離される。これに代わる代替法は、第一の湿式分別を１５〜２５℃で行って、ＵＵＵ型、ＳＵＵ型、ＳＳＵ型及びＳＵＳ型トリグリセリドを主成分とするオレイン画分を回収し、このオレイン画分を−５℃〜５℃の第二の湿式分別に付してステアリン画分を生成物画分として回収するものである。この場合、第一段階でオレイン画分が４５〜９０重量％、好ましくは５５〜８５重量％の収率で分離され、第二段階でのステアリン画分は２５〜８０重量％、好ましくは４０〜５０重量％の収率で分離される。湿式分別では、使用するトリグリセリド原料１kg当り１〜８ｌ、好ましくは３〜７ｌの量の溶剤を使用する。抽出量は、溶剤の種類並びに適用分別温度によって変わる。上述のプロセスパラメーターで作業すると、一般に、ＳＳＵを１２重量％以上含んだ生成物が得られ、生成物中のＳＳＵ含量と出発原料中のＳＳＵ含量の重量比は１.５以上となる。同時に、そのＳＵＳ含量は６５重量％以上となる。湿式分別工程について詳細に説明したが、乾式分別工程、特に多段法を用いることもできる。この方法で得られる生成物は、チョコレートバーやボンボンのような菓子製品のフィリングやコーティングの脂肪成分に応用するのに非常に適している。このような化合物を使用すると、菓子製品のフィリングやコーティングに低温融解性及びノンテンパー特性が付与される。したがって、菓子製品用のフィリング又はコーティング組成物にして、その脂肪成分の少なくとも一部が本発明にしたがって得られる脂肪であるような組成物も本発明の一部をなす。実施例表１に記載の組成を有する４種類の異なるトリグリセリド組成物Ａ，Ｂ，Ｃ及びＤを二段階湿式分別に付した。湿式分別の条件は表２に示す。段階２のオレイン画分を回収した。そのＳＳＵ含量を表３に示す。 S=飽和C₁₆/C₁₈ O=オレイン酸 Ln=リノール酸 DB＝二重結合 ^*出発原料を基準上記の結果から、出発原料ＤはＳＳＵ含量の要件を満足するがこの原料Ｄから得られた生成物はＳＳＵ含量が低すぎることが明らかである。これは、この脂肪については、最終生成物のＳＳＵ含量の要件に対処させるためには、別の収率又は温度を適用する必要があることを意味している。比較例以下のトリグリセリド組成をもつパーム油ステアリンを出発原料として、欧州特許第８１８８１号の例１を実施した。Ｓ₃：３０.３重量％ＳＬｎＳ：６.６重量％ＳＯＳ：２９.１ＳＳＬｎ：１.８ＳＳＯ：７.３ＳＯＯ：１３.９ＯＳＯ：１.３ＳＯＬｎ：５.４Ｏ₃：２.０欧州特許第８１８８１号に記載の条件を使用した。ＳＳＵの濃縮された生成物が得られた。この生成物は以下の組成を有していた。Ｓ₃：１.９重量％ＳＬｎＳ：７.９重量％ＳＯＳ：５８.９ＳＳＬｎ：１.４ＳＳＯ：１１.５ＳＯＯ：１０.４ＯＳＯ：１.０ＳＯＬｎ：３.６Ｏ₃：１.５このように、この方法では、ＳＳＵ成分を１.５倍を超える濃縮率を達成することができなかった（実測値：１.４１）。さらに、この画分のＳＵＳ含量はかなり低い（６６.８重量％）。

【手続補正書】特許法第１８４条の８【提出日】平成６年６月９日（１９９４．６．９）【補正内容】菓子製品のフィリングやコーティングに低温融解性及びノンテンパー特性が付与される。実施例表１に記載の組成を有する４種類の異なるトリグリセリド組成物Ａ，Ｂ，Ｃ及びＤを二段階湿式分別に付した。湿式分別の条件は表２に示す。段階２のオレイン画分を回収した。そのＳＳＵ含量を表３に示す。 S=飽和C₁₆/C₁₈ O=オレイン酸 Ln=リノール酸 DB=二重結合

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＴ，ＡＵ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＨＵ，ＪＰ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＫ，ＬＵ，ＭＧ，ＭＮ，ＭＷ，ＮＬ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＫ，ＵＡ，ＵＳ，ＶＮ (72)発明者ローリンズ、クリストファー英国、エヌエヌ10・０イージェイ、ノーザンツ、ラッシュデン、ベイカー・クロウス９

Claims

【特許請求の範囲】１．非ラウリン系・非水添・低温融解性・ノンテンパー型・非トランス型フィリング用又はコーティング用脂肪中の脂肪成分として好適な脂肪分別画分の製造方法にして、５重量％以上のＳＳＵトリグリセリド（Ｓ＝Ｃ₁₆〜Ｃ₂₂飽和脂肪酸；Ｕ＝Ｃ₁₈〜Ｃ₂₂モノ又はポリ不飽和脂肪酸）を含有するトリグリセリド組成物の分別を実施して、トリ飽和トリグリセリドの少なくとも一部及び／又はジ不飽和トリグリセリドとトリ不飽和トリグリセリドの少なくとも一部を除去し、原料トリグリセリド組成物のＳＳＵ含量の少なくとも１．５倍、好ましくは１．７倍以上、最も好ましくは２．０倍以上となるような、ＳＳＵ含量１２重量％以上、好ましくは１２〜２０重量％のトリグリセリド組成物を単離することを特徴とする方法。２．請求項１記載の方法において、原料トリグリセリド組成物のＳＳＵ含量が６重量％以上であることを特徴とする方法。３．請求項１記載の方法において、単離された生成物のＳＵＳ含量（Ｓ及びＵは請求項１に規定するＳ及びＵと同一）が６５重量％以上、好ましくは７０重量％以上であることを特徴とする方法。４．請求項１又は請求項２記載の方法において、原料トリグリセリド組成物がパーム油、パーム油の分別画分又はそれらの混合油、特にパーム油のステアリン画分、とりわけパーム油の乾式分別で得られるステアリン画分であることを特徴とする方法。５．請求項１記載の方法において、パーム油ステアリンを二段階で分別することを特徴とする方法。６．請求項５記載の方法において、上記二段階が共に湿式分別からなることを特徴とする方法。７．請求項５又は請求項６記載の方法において、分別が下記段階：１）ＳＳＳ型、ＳＵＳ型及びＳＳＵ型トリグリセリドを主成分とするステアリン画分を生じるような、有機溶剤による−５℃〜５℃でのパーム油ステアリンの湿式分別、２）有機溶剤による１５℃〜２５℃での段階１のステアリン画分の湿式分別並びにＳＳＵの濃縮された生成物としてのオレイン画分の回収を含んでなることを特徴とする方法。８．請求項７記載の方法において、段階１のステアリン画分がパーム油ステアリンの重量を基準にして４５〜８５重量％、好ましくは４５〜７５重量％の収率で分離され、かつ段階２のオレイン画分が段階１のステアリン画分の重量を基準にして２５〜８０重量％、好ましくは３５〜８０重量％の収率で分離されることを特徴とする方法。９．請求項５又は請求項６記載の方法において、分別が下記段階：１）Ｕ₃型、ＳＵＵ型、ＳＳＵ型及びＳＵＳトリグリセリドを主成分とするオレイン画分を分離するための、有機溶剤による１５℃〜２５℃でのパーム油ステアリンの湿式分別、２）有機溶剤による−５℃〜５℃での段階１のオレイン画分の湿式分別並びにＳＳＵの濃縮された生成物としてのステアリン画分の回収を含んでなることを特徴とする方法。１０．請求項９記載の方法において、段階１のオレイン画分がパーム油ステアリンの重量を基準にして４５〜９０重量％、好ましくは５５〜８５重量％の収率で分離され、かつ段階２のステアリン画分が段階１のオレイン画分の重量を基準にして２５〜８０重量％、好ましくは４０〜５０重量％の収率で分離されることを特徴とする方法。１１．請求項６乃至請求項１０のいずれか１項記載の方法において、湿式分別を、溶剤としてヘキサン又は石油エーテル又は好ましくはアセトンをトリグリセリド原料１kg当り１〜８ｌの量で用いて実施することを特徴とする方法。１２．菓子製品用のフィリング又はコーティング組成物にして、その脂肪成分の少なくとも一部が請求項１乃至請求項１１のいずれか１項記載の方法によって得られる脂肪であることを特徴とする組成物。１３．ＳＳＵ型トリグリセリドを含有するトリグリセリド組成物の菓子用脂肪における用途にして、当該トリグリセリド組成物が請求項１乃至請求項１１のいずれか１項記載の方法によって得られるものであって、菓子製品のフィリング又はコーティング組成物に低温融解性及びノンテンパー特性を付与するために当該トリグリセリド組成物を使用することを特徴とする方法。