【発明の詳細な説明】
過形成および関連疾患の治療におけるブレフェルジンAおよびその誘導体の使用発明の背景
血管壁中の平滑筋細胞(SMC)の増殖は、アテローム硬化症によるか、血管
再建後かまたは他の血管損傷に関連した血管病変の形成にかかわる重要な現象で
ある。例えば、アテローム硬化症の治療はしばしば、アテローム硬化斑をカテー
テル挿入によって圧迫もしくは除去し(血管形成術)、切開によって動脈壁から
取り除き(動脈内膜切除術)、または自然もしくは人工移植片を使ってバイパス
形成するという外科的手法である、血管形成術、動脈内膜切除術、整腹アテロー
ム切除術またはバイパス移植術による、閉塞血管の清浄化を含む。これらの手法
は、血管内皮を除去し、その下にある内膜層を破壊し、そして内側のSMCを致
死せしめる。この損傷の後に、内側のSMCの増殖と内膜への移動が起こり、そ
れに細胞外マトリックスの過剰な沈着が付随する。この病変発生は、特徴的には
外傷後最初の数週間以内で且つ6カ月まで起こり、そして上に内皮層が再形成さ
れると止まる。ヒトの場合、それらの病変は細胞約20%と細胞外基質約80%から
成る。
血管形成術、動脈内膜切除術またはバイパス移植術により処置した患者の約30
%またはそれ以上において、血栓症および/または内膜中のSMC増殖が血管の
再閉塞を引き起こし、その結果として再形成術が失敗に終わる。この手術後の血
管の閉塞は再狭窄として知られている。
同様なSMC増殖過程が臓器移植片においても観察されており、
これは移植片アテローム硬化症および臓器機能不全の一因となり得る。この過程
の内膜肥厚は、移植した臓器のみが関係する。
血小板***促進因子(マイトジェン)、例えば血小板由来増殖因子(PDGF)は
アテローム硬化斑の発生に何らかの役割を果たすと推測されている(Ross他,Ce ll 46:155-169,1986;Harker,Am .J.Cardiol. 60:20B-28B,1987)。硬化
斑形成の1つの提唱された機序は、内皮露出部位における、SMC増殖を刺激す
る増殖因子の血小板による放出である(RossおよびGlomset,N .Eng.J.Med. 295
:369-377,420-425,1976;Ross,Arteriosclerosis 1: 293-311,1981)。M
oore他(Thrombos .Haemostas.(Stuttg.)35:70,1976)とFriedman他(J .Cl in.Invest. 60:1191-1201,1977)は、内在カテーテル損傷モデルを使って、
抗血小板血清の投与により誘導された長期血小板減少による、ウサギ動脈におけ
る実験的に導入した内膜損傷発生の抑制を報告した。SMCがオートクリン機構
を通して損傷形成を刺激するPDGFを自己生産し得るとも仮定されている(Ross他
,前掲;Walker他,Proc .Natl.Acad.Sci.USA 83:7311-7315,1986)。Fing
erle他(Proc .Natl.Acad.Scl.USA 86:8412-8416,1989)は血小板減少症ラ
ットにおいて内膜損傷形成を研究し、そして血小板がバルーン損傷後の内膜SM
C増殖に役割を果たすのではなくて内膜中へのSMCの移動を調節することがで
きると結論づけた。血小板は現在、PDGF、表皮増殖因子(EGF)、形質転換増
殖因子αおよひβ(TGFαおよびTGFβ)、インスリン様増殖因子I(IG
F−I)および血小板由来内皮細胞増殖因子をはじめとする多数の増殖因子、並
びに幾つかの化学誘引分子を放出することが知られている。ある実験はPDGFを損
傷発生に伴う過程に関係づけたけれども、霊長類の内膜過形成の病因は不明のま
まである。
血管形成術または動脈内膜切除術によるアテローム硬化斑の除去は限定された
効果を有し、処置した血管の再狭窄またはバイパス移植片の狭窄の効果的な治療
法はまだ開発されていない。従って、血管壁における高SMC損傷(バルーンカ
テーテル挿入、動脈内膜切除、血管内ステント据付、整腹アテローム切除術、並
びに血管移植、臓器移植およびカテーテル挿入による損傷のような血管損傷後の
血管の狭窄を含む)の発生を削減または防止する方法が当業界で要望されている
。本発明はそういった方法を提供し、且つ別の関連した要望を満たす。発明の要約
本発明は、非ペプチド性PDGFアンタゴニストとしてブレフェルジンA(1,6
,7,8,9,11a,12,13,14,14a−デカヒドロ−1,13−ジヒドロキシ−
6−メチル−4H−シクロペンタ〔f〕オキサシクロトリデシン−4−オン)お
よびその誘導体を使用する方法を提供する。
本発明は、式I,IIまたはIIIの化合物の抗過形成性有効量を投与することを
含んで成る、哺乳類の血管系における内膜過形成を抑制する方法を提供する:
構造I,IIおよびIIIにおいて、点線は単結合または二重結合を表し;R1およ
びR2は同一であり、そして単一基=Oであるか、あるいはHとOH、HとOR
、またはHとOCORであり;R3は単一基=Oであるか、あるいはHとOH、Hと
ORとまたはHとOCORであり;R4はCOOH、COOHの医薬上許容される塩、またはC
H2ORであり;R5とR6は両方とも酸素であるか、またはR5とR6の一方がOであ
りそして他方が二重結合を含み;そしてRはC1-5アルキル、フェニルまたはベ
ンジルである。
本発明の範囲内での使用に好ましい化合物は、点線が単結合または二重結合を
表し、R1およびR2が単一基=Oであるか、または
HとOHであるもの;点線が単結合または二重結合を表し、そしてR1およびR2
がHとOR、またはHとOCORであり、RがC1-5アルキル、フェニルまたはベン
ジルであるもの;R1およびR2が単一基=Oであるか、またはHとOHであり、
R5がOでありそしてR6が単結合または二重結合であるもの;R1およびR2が単
一基=Oであるか、またはHとOHであり、R5が単結合または二重結合であり
、そしてR6がOであるもの;点線が単結合または二重結合を表し、R1,R2お
よびR3が単一基=Oであるか、またはHとOHであり、そしてR4がCOOHまたは
COOHの医薬上許容される塩であるもの;点線が単結合または二重結合を表し、R1
,R2およびR3がHとOR、またはHとOCORであり、R4がCH2ORであり、そし
てRがC1-5アルキル、フェニルまたはベンジルであるものである。
好ましい態様では、本発明は、ブレフェルジンAの抗過形成性有効量を投与す
ることにより哺乳類の内膜過形成を抑制する方法を提供する。
本発明は更に、哺乳類の内膜過形成を抑制する方法であって、前記内膜過形成
が急性血管損傷、血管移植片または移植臓器の据付に起因する方法を提供する。
本発明はまた、哺乳類の血管損傷部位における内膜過形成を抑制する方法を提
供する。本発明の特定の態様では、前記血管損傷が、血管形成術、動脈内膜切除
術、整腹アテローム切除術、血管内レーザー剥離または血管移植片の吻合のよう
な血管再建によるものである。
本発明は、哺乳類の急性血管損傷の前、同時または後の抗過形成性有効期間内
での式I,IIまたはIIIの化合物の投与方法も提供する。関連した態様では、哺
乳類の急性血管損傷と同時またはその前の抗
過形成性有効期間内で前記化合物が投与される。
本発明は更に、ヘパリンと式I,IIまたはIIIの化合物の協同投与(coordinat
e administration)により哺乳類の内膜過形成を抑制する方法を提供する。
本発明はまた、例えば哺乳類においてPDGF活性を抑制するために、PDGFアンタ
ゴニストとして式I,IIまたはIIIの化合物を使用する方法も提供する。発明の詳細な説明
上述したように、血管の再狭窄は血管形成術、動脈内膜切除術またはバイパス
移植術を受けた患者に共通の問題である。再狭窄は、細胞外マトリックスの生成
(付着)はもちろん、外科手術によっても、損傷を受けた部位への血管平滑筋細
胞の増殖(有糸***)と移動の両方を含む過程により進行すると思われる、内膜
過形成の一例である。一般的には、Harker,Am .J.Cardiol. 60:20B-28B,19
87;およびDeFeudis,Drug News and Perspectives 5:49-51,1992を参照のこ
と。この増殖過程は、血管移植片(自系または同種異系を含む天然移植片、およ
び合成移植片の両方)および移植された臓器の閉塞の形でも現れる。この増殖過
程は平滑筋細胞に富む病変の発生を引き起こすので、本明細書中では内膜過形成
と呼ぶことにする。
本発明は、式I,IIまたはIIIの化合物の抗過形成性有効量の使用を通して高
SMC病変〔内膜の肥厚(過形成)による血管の一部または完全遮断〕の発生を
抑制する方法を提供する。それらの化合物は非ペプチド性PDGFアンタゴニストで
あることが判明した。この化合物は単独にまたは抗過形成性有効量のヘパリンと
組み合わせて使用することができる。本発明はまた、非ペプチド性PDGFアンタゴ
ニ
ストとしてブレフェルジンAおよびその誘導体を使用する方法も提供する。非ペ
プチド性PDGFアンタゴニストは、強皮症、肺過形成、腎線維症、慢性関節リウマ
チの治療法において、または骨肉腫、線維肉腫、神経膠腫もしくは他の増殖性細
胞疾患を含むがそれに限定されない固形癌の治療において治療薬として有用であ
る。
本発明の化合物を製造するのに使われる誘導体化方法は当業界で周知である。
R.C.Larock,Comprehensive Organic Transformat-ions,VCH Publishers,Inc
.,New York,1989;H.O.House,Modern Synthetic Reactions,W.A.Benjamin
,Inc.,Menlo Park,CA.1972;L.F.FieserおよびM.Fieser,Reagents for O rganic Synthesis
,John Wiley and Sons,Inc.,New York,Vol.1,1967;J.
March,Advanced Organic Chemistry :Reactions,Mechanisms,and Structure ,
McGraw-Hill Book Company,New York,1968;I.T.HarrisonおよびS.Harri
son,Compendium of Organic Synthetic Methods,Wiley-Interscience,New Yo
rk,Vol.1,1971;P.N.Rylander,Hydrogenation Methods,Academic Press,
New York,1985;D.J.PastoおよびC.R.Johnson,Organic Structure Determin ation
,Prentice-Hall,Inc.Englewood Cliffs,N.J.,1969。
式IVのブレフェルジンA誘導体は、α,β−不飽和ケトンの一部であるオレフ
ィンを、低温のもしくはピリジン中の水素化ホウ素ナ
トリウムで、アンモニア−エーテル中のリチウムで、または酢酸中の亜鉛で選択
的に還元することにより調製することができる。水素と触媒(好ましくは炭素上
のパラジウム)を使った水素化は、2つの二重結合を還元する。カルボニルへの
ヒドロキシル官能基の酸化は、クロム試薬、例えば三酸化クロムと硫酸(ジョー
ンズ試薬)もしくはクロロクロム酸ピリジニウムを使って、またはジメチルスル
ホキシドと無水酢酸を使って達成することができる。還元と酸化は選択的に行う
ことができる。 式VのブレフェルジンA誘導体は、適当な酸クロリドまたは酸無水物と塩基(
好ましくはピリジン)を使って、ヒドロキシルをアシル化することにより調製さ
れる。ヒドロキシルからエーテルへの変換は、塩基または酸化銀と、適当なハロ
ゲン化アルキルまたはハロゲン化ベンジルとを使って行うことができる。二重結
合の還元は上述した通りである。
式VIのブレフェルジンA誘導体は、ハロゲン化溶媒(例えばジクロロメタン)
中の4−クロロペルオキシ安息香酸を使って、孤立した二重結合をエポキシド化
することにより調製される。ヒドロキシルの酸化および共役二重結合の還元は上
述した通りである。
式VIIのブレフェルジンA誘導体は、エステルのカルボニルと共役したオレフ
ィンを、塩基性条件下で過酸化水素を使ってエポキシド化することにより調製さ
れる。ヒドロキシルの酸化および二重結合の還元は上述した通りである。
式VIIIのブレフェルジンA誘導体は、上記と同様な二重結合の還元とヒドロキ
シルの酸化により調製される。ラクトン基の加水分解はアルコール(例えばメタ
ノール)中の水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを使って行われる。
式IXのブレフェルジンA誘導体は、二重結合の(選択的)還元および上述した
ようなヒドロキシル官能基のアシルまたはアルキル誘導体の形成により調製され
る。テトラヒドロキシ誘導体の形成は、金属水素化物還元剤、好ましくは水素化
リチウムアルミニウムを使って行われる。
本明細書中で用いる「非ペプチド性PDGFアンタゴニスト」なる語は、PDGFで誘
導される応答経路の刺激を抑制する、ペプチド性化合物以外の化合物を言う。「
応答経路」は、必ずしも常にではないが一般的に、膜結合型レセプターに直接関
連づけられる外部刺激に応じて活性化される生化学経路である。応答経路は一般
に、応答性細胞系からの細胞外マトリックス分泌、ホルモン分泌、化学走性、分
化、または応答性細胞の細胞***の刺激、といった細胞性応答を誘導する。
PDGFレセプターは、通常その発現が中胚葉由来の細胞に限定される膜貫通型の
一体型糖タンパク質である。2つのPDGFレセプターポリペプチドが記載されてい
る。それらは「αレセプター」(Kelly他,WO 90/14425;Kelly他,米国特許第5
,371,205号;Claesson-Welsh他,Proc .Natl.Acad.Sci.USA 86:4917-4921,
1989)および「βレセプター」(Claesson-Welsh他,Mol .Cell.Blol. 8:3476
-3486,1988;Gronwald他,Proc .Natl.Acad.Scl.USA 85:
3435-3439,1988)と呼ばれる。PDGFリガンドの存在下で、レセプターポリペプ
チドは二量化する。よって3種のレセプターサブタイプが考えられる:αα、α
βおよびββ。βレセプターはPDGFのB鎖に特異的であり、一方αレセプターは
A鎖とB鎖に結合する。従って、PDGFへの細胞の増殖調節応答性は、PPDFのAA
、ABおよびBBリガンドイソ型タンパク質の利用可能性にだけでなく、異なる
PDGFレセプターサブタイプの発現および利用可能性にも依存する(Heldin他,Ce ll Regul
.1:555-566,1990)。ヒト平滑筋細胞はαレセプターとβレセプター
の両サブタイプを発現する(Heldin他,Cell Regul.1:555-566,1990)が、単
一のレセプターサブタイプのみを発現する他の細胞型が知られている(Gronwald
他,J .Biol.Chem. 264:8120-8125,1989)。
本発明は、抗過形成性有効量の非ペプチド性PDGFアンタゴニストと抗過形成性
有効量のヘパリンを協同して投与することにより、内膜過形成を抑制する方法も
提供する。本明細書で用いる「ヘパリン」という語は、グルコサミンおよびグル
クロン酸糖残基の反復構造により一般に特徴付けられる、構造的に複雑な硫酸化
グリコサミノグリカンの化合物群のいずれかの構成員を指す(Casu,Adv .Carbo -hyd.Chem.and Biochem. 47:578-583,1985)。最も広く知られているヘパリ
ンは、ウシ肺またはブタ腸から調製された「未分画の」または「市販の」ヘパリ
ンであって、それらは約8,000〜20,000ダルトンの分子量に及ぶヘパリン分子の
不均一混合物を包含する(Wolinsky他,J .Am.Coll.Cardiol. 15:475-481,1
990)。しかしながら、ヘパリンという語は広範囲のより均一なヘパリン調製物
、並びに硫酸ヘパランのようなヘパリン様分子も包含する。それらの特定のヘパ
リン例の中で、より具体的なヘパリンサプタイプも知られている。例えば、報告
によれば、平滑筋細胞の増殖を阻害す
ることに関して未分画ヘパリンよりも40倍まで活性である、内皮細胞(Castello
t他,J .Cell.Biol. 90:372-379,1981)および平滑筋細胞(Fritze他,J .Ce ll.Biol. 100:1041-1049,1985)により生産される硫酸ヘパラン成分が単離さ
れている。その上、天然に存在するヘパリンサイズ変異体の中で、抗凝固活性ま
たは抗増殖活性のいずれかを主として示す分画ヘパリン種が単離されている(Wo
linsky他,J .Am.Coll.Cardiol. 15:475-481,1990)。後者の活性は低分子
量ヘパリン種、例えば五(ペンタ)〜十(デカ)糖類の範囲内のヘパリンに存在
する傾向があり、それらの種はより大きな生体適合性とより長い半減期も与える
ことが報告されており(Id,Bacher他,Thrombosis Res.70:295-306,1993)、
従って本発明の特定態様において特に有用かもしれない。本発明を説明する目的
でのヘパリンの定義の中には合成ヘパリンおよびヘパリン誘導体も含まれ、多種
多様なヘパリンが常用の化学合成、修飾および分解技術を使って製造されている
〔例えばRoden,L.The Biochem-istry of Glycoproteins and Proteoglycans(
Lennarz,W.J.編)267-371頁,Plenum Publishing Corp.,New York,1980を参
照のこと。その内容は参考として本明細書中に組み込まれる〕。
化合物の「抗過形成性有効量」は、血管、血管移植片または移植臓器の血管成
分において内膜過形成を測定可能なほどに減少または防止するのに十分な化合物
の量として定義される。より詳しくは、「内膜過形成の抑制」は、技術の現状に
おいて説明されている内膜過形成過程、例えば血管平滑筋細胞(VSMC)移動、VS
MC増殖、および細胞外マトリックスの新生内膜沈着、のうちの1つまたは複数の
測定可能な抑制を含むものとして本明細書中では定義される。この状況下では、
内膜過形成のまたは内膜過形成に含まれる過形成過程の減少または防止は、当業
界で周知の試験管内、生体内および生体
外アッセイ方法を使って、特に霊長類のアッセイ方法(例えば、非ヒトもしくは
ヒト霊長類のVSMC培養物もしくは血管組織外植片、または非ヒト霊長類の生体内
試験)を使って、容易に評価することができる。PDGFがそれの刺激作用を及ぼさ
ないようにすることにより、SMC増殖およびその後のマトリックス沈着を減らす
ことができる。内膜過形成の減少は、急性血管損傷後の管腔容積の低下の有意な
減少として臨床的に表れる。そのような減少は一般的に、初期損傷部位における
再血管形成手術(例えば繰り返し血管形成術)の必要性の減少をもたらすだろう
。
本発明の方法は、急性血管損傷による内膜過形成の治療に特に有用である。急
性血管損傷は、生涯に渡って発達する慢性血管損傷(例えばアテローム硬化症)
とは対照的に、迅速に(即ち数日から数カ月の間に)起こる損傷である。急性血
管損傷はしばしば、血管形成術、動脈内膜切除術、整腹アテローム切除術、血管
内レーザー剥離、血管内ステント据付、血管移植片の吻合などの技術を使用する
、血管再建のような外科的処置から生じる。過形成は、例えば血管移植片の据付
または臓器移植に応答して、遅延反応として起こることもある。
式I,IIおよびIIIの化合物は、PDGFの過形成過程または他の生物学的作用を
抑制するのに有効な量で、内膜過形成の危険性があるかまたは他の形でPDGFアン
タゴニスト療法を必要とする哺乳類に投与される。一般に、該化合物は、特定化
合物の比活性、患者の年齢、体重および一般状態、並びに治療しようとする症状
の重さといった要因に応じて、1日あたり受容者の体重1kgあたり化合物1μg
〜10mgの量で、より普通には1mg/kg/日未満の量で投与されるだろう。致命的
症状は、一般に他の場合では許容されないような多量で治療されるだろう。特定
化合物の用量は、実験動物を使った研究と
組み合わせた試験管内または生体外研究から決定することができる。試験管内ま
たは生体外で有効であると認められた化合物の濃度は動物実験のための指針を与
え、その実験において作用部位に同様な濃度を与えるように用量が算定される。
動物実験において有効であると決定された用量は通常、1オーダーの範囲内でヒ
トの用量の予測値となる。用量決定は当業者の技術水準の範囲内であり、特定の
状況において使用する最終用量は臨床医により決定されるだろう。
単独でまたはヘパリンと併用して、非ペプチド性PDGFアンタゴニスト療法で治
療されるヒトの場合、該アンタゴニストは広範囲の条件のもとで投与され得る。
アンタゴニストは血管再生術の前とそのような手術後の複数回、ボーラス注射に
よって投与することができる。アンタゴニストは、手術前に(一般に手術前の24
時間以内に)ボーラス注射(静脈内、筋肉内、腹腔内または皮下)としておよび
手術後の連続した輸液(埋込式ポンプを通した輸液を含む)として与えることが
できる。多くの場合、入院中は一日量を投与し(輸液による投与を含む)、その
後で1〜2週間またはそれ以上の外来患者治療の期間の間、より少頻度のボーラ
ス注射を与えることが好ましいだろう。処置は最初の損傷後6カ月まで続けるこ
とができる。アンタゴニストは静脈内、筋肉内または皮下注射を含む複数のルー
トで投与することができる。加えて、灌流バルーンカテーテル、ステント上への
コーティング、またはゲルコーティングされたバルーンへの設置を使って、アン
タゴニストを血管損傷部位に局所的に投与することもできる。後者の場合、アン
タゴニストの用量は全身投与される時に必要であるものよりも実質的に少ないだ
ろうと期待される。アンタゴニストは徐放性デリバリーシステム、例えば血管移
植片もしくはステント中に組み込んだそのようなシステムにより、または灌流も
しくは二重バルーンカテーテルによって送達せしめる
こともできる。ポンプおよび他の既知のデリバリーシステムを使ってもよい。
本発明の別の態様では、非ペプチド性PDGFアンタゴニストは、哺乳類の血管系
での内膜過形成を協同して抑制するのに十分なアンタゴニストとヘパリンの各々
の単位用量で、哺乳類にヘパリンと協同投与される。本明細書の「協同投与(co
ordinate administration)」は、アンタゴニストとヘパリンの同時の、別々の
または連続した投与を含むつもりである。この場合、アンタゴニストとヘパリン
の両者は互いに関して限定された併用有効期間の中で投与される。「併用有効期
間」とは、2つの剤が併用すると過形成を抑制するのに有効であるようなアンタ
ゴニストの投与とヘパリンの投与の間に入る最大期間として定義される。「併用
すると有効である」という語は、他の点では同等の条件および用量の下で単独で
投与した抗体またはヘパリンのいずれかにより独立に与えられる最大抑制レベル
を上回る、内膜の肥厚もしくは損傷形成のまたは過形成過程の測定可能な抑制を
もたらすものとして定義される。
通常、ヘパリンの用量は約1μg〜100mg/kg/日であろう。好ましくは、ヘ
パリンの用量は20μg〜10mg/kg/日であり、より好ましくは約1mg/kg/日未
満であろう。当業者が知るように、実際の用量は患者のパラメーターや投与され
る抗体の特性(例えば、特異性、比活性、循環半減期)およびヘパリンの特性(
例えば血栓崩壊活性)をはじめとする、特定の状況を考慮しながら決定されるだ
ろう。
過形成の抑制は患者の臨床的事象の減少をもたらすと期待されるだろう。それ
らとしては、心筋梗塞、狭心症、血管再生術の必要性および死亡のうちの1つま
たは複数の減少が挙げられる。
次の実施例は例示目的で与えられるのであって限定目的ではない。実施例1 アンタゴニストアッセイ
SWISS3T3細胞中で発現される血清応答要素(SRE)−ルシフェラーゼレポー
ター遺伝子の発現を阻止することができる物質を同定するSRE−ルシフェラー
ゼ高処理量アッセイ系を通して、非ペプチド性PDGFアンタゴニストとしてのブレ
フェルジンAの初期特徴づけが可能になった。SRE−ルシフェラーゼ構成物で
あるpKZ67は、−360から+30までのヒトc-fos配列を含む合成セグメント(van S
traaten他,Proc .Natl.Acad.Sci USA 80:3183-3187,1983)(TATA、S
REおよびSIEプロモーター要素を含む)、ルシフェラーゼ配列(Delegeane
他,Mol .Cell Biol. 7:3994-4002,1987;deWet他,Mol .Cell Blol. 7:725-
737,1987)およびヒト成長ホルモン遺伝子ターミネーターを含有するルシフェ
ラーゼ発現単位を含んで成るpUC18由来の哺乳類細胞発現ベクターである。この
発現単位は、SV40プロモーター配列とターミネーター配列によって隣接されたネ
オマイシン耐性マーカーを含む第二の発現単位に対して反対の転写方向にある。
SWISS3T3細胞は、PDGF−AA,−ABおよび−BB;bFGF並びにEGFの内因性増殖因子
レセプターを発現する。
それらの増殖因子のいずれかによる該レセプターの刺激は、ルシフェラーゼの誘
導に至るシグナルカスケードを開始させる。PMA(ホルボール12−ミリステー
ト13−アセテート)は、プロテインキナーゼCを刺激することにより該レセプタ
ーを迂回しそして内部シグナルカスケードを開始させてルシフェラーゼの誘導を
もたらす。アンタゴニスト特異性の程度は、3つの増殖因子(PDGF,bFGFおよび
EGF)についての生成シグナルを比較することにより決定することができる。対
照に比べて50倍のシグナル低下をもたらす化合物を更なる分析に使った。
SWISS3T3/KZ67-G1-6細胞(SRE−ルシフェラーゼレポーター遺伝子でトラン
スフェクトされたもの)を、維持培地〔10%ウシ胎児血清(FBS)、2mML−
グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム、1mg/mlのG418が補足されたDMEM(G
IBCO BRL,Gaithersburg,MD)〕中での連続継代により維持した。アッセイの2
日前に、細胞をトリプシン処理し、増殖培地(1%FBS、2mML−グルタミン
、1mMピルビン酸ナトリウムが補足されたDMEM)中で5×104細胞/ウエルに
調整し、透明な白い96ウエルマイクロタイタープレートに200μl/ウエル(1×
104細胞/ウエル)を接種し、そして37℃,5%CO2で48時間増殖させた。
試験物質は4%DMSO中に調製した。ウエルから弱った培地を除去し、50μl/
ウエルのアッセイ培地〔0.5%第V画分 BSA(Sigma,St.Louis,Mo.)、2m
ML−グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム、20mM Hepesが補足されたハムF12
培地(GIBCO BRL)〕を添加することにより、誘導を開始した。アッセイ培地中
の試験試料25μlを添加した。アッセイ培地中に調製した次の対照を各プレート
に含めた:未処理のウエル(基底)、12.5ng/ml、より好ましくは6.25ng/mlの
PDGF−BB〔血小板由来増殖因子、原液10μg/ml、10mM酢酸,0.25% RSA/PBS〕
、2.0ng/mlのbFGF〔塩基性繊維芽細胞増殖因子(Genzyme Diagnostics,Cambri-
dge,MA)〕、4.5ng/mlのEGF〔表皮増殖因子(Sigma)〕または50ng/mlのPMA
(Sigma)。DMSOの最終アッセイ濃度は1%以下であった。プレートを37℃,5
%CO2で5時間インキュベートした。
誘導後、プロメガ社製ルシフェラーゼアッセイキット(E1500;Promega Corp.
,Madison,WI)を使ってアッセイキットプロトコールに従ってルシフェラーゼ
活性を測定した。簡単に言えば、プレートからアッセイ培地を除去し、そして無
菌水で1:5希釈した25μ
l/ウエルの細胞溶解緩衝液をプレートに添加した。プレートを15分間インキュ
ベートした。プレートをLumiskan(商標)マイクロタイタールミノメーター(IC
N Biomedical,Cleveland,OH)に移し、そこに40μl/ウエルのルシフェラー
ゼアッセイ基質(Promega Corp.)を添加した。1秒間の混合と1〜3のシグナ
ル積分の後、発光の量(相対光単位、RLU)を測定した。全ての測定値から基
底の(未誘導の)ルシフェラーゼシグナルを差し引き、そして試験試料により誘
導されたルシフェラーゼシグナルを、対照からのシグナルに対する百分率(%)
として表した。基底レベルを超えるシグナルを誘導する試料を、更なる特徴づけ
のために選択した。表1に与えるデータは、対照活性の50%を阻害するのに必要
なブレフェルジンAのおよその有効量(IC50)を示す。
表1
PDGF bFGF EGF PMA
EC50 (μM) EC50 (μM) EC50 (μM) EC50 (μM)
0.4 無活性 無活性 0.4
実施例2 ラット平滑筋細胞(SMC)への125I−PDGF−BB結合の阻害
ラットSMCの単層培養物への125DGF−BB結合を阻害する能力についてブレフ
ェルジンAを分析した。SMCを約20,000細胞/ウエルの密度で24ウエル培養皿
に接種した。接種後2〜7日目に細胞をアッセイに使った。試験化合物を結合培
地〔500mlのハムF-12(Gibco BRL),12mlの1M Hepes,pH7.4,5mlの100×PSN、1
gmのウサギ血清アルブミン(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)〕中で表2
に示す濃度に希釈し、次いで三重反復試験においてSMC(1ml/ウエル)に添
加した。次いでそれらのウエルに50μlの125I−PDGF−BB結合原液を添加した
。結合培地のみを陰性対
照として使用し、125I−PDGF−BBに対する非特異的結合を測定するのに200ng/m
lのPDGF−BBの添加を使った。4℃で約1.5時間細胞をインキュベートし、次いで
結合培地で洗浄して未結合のリガンドを除去した。次いで細胞を抽出緩衝液(20
mM Tris-HCl pH8.0,100mM NaCl,1mM EDTA,0.5%デオキシコール酸ナトリウム
,10mM NaI,1%ウシ血清アルブミン)と共にインキュベートし、抽出液を収集
し、γカウンター中でカウントした。
結合研究の結果を表2に示す。データは125I−PDGF−BBについての結合した
比放射能(cpm)として与えられる。200ng/mlの未標識のPDGF−BBの添加により
測定された非特異的結合は853cpmであり、与えられるデータからこの値が差し引
かれている。
表2 ラットSMCへの125I−PDGF−BB結合の阻害 実施例3 ヒヒ平滑筋細胞に対するPDGF−BB有糸***促進活性の阻害
ヒヒ平滑筋細胞に対するPDGFの有糸***促進活性を阻害する能力についてブレ
フェルジンAを分析した。ヒヒ血管平滑筋細胞(BVSMC)に対して行った全ての
有糸***アッセイは、13〜20継代培養した細胞の初代培養物に関して実施した。
出発培養物は大動脈性組織外植片の派生物から確立された。ヒヒ平滑筋細胞を、
10%ウシ胎児血清
が補足されたDMEM中、ウエルあたり約20,000細胞の密度で24ウエルの培養皿に接
種した。使用する1日前に培地を除去し、1mlのMito Media(表3)を各ウエル
に添加して、細胞を静止状態にした。実験開始時点で、細胞をPDGF−BBで刺激し
た。1,0.5,0.25,0.062および0ng/mlの濃度を使ってPDGF−BBについて標準曲
線を作成した。0.25%アルブミンを含む10mM酢酸中への希釈により各PDGF濃度に
ついて20×原液を作り、そして50μlのPDGFまたは希釈賦形剤のみを培養ウエル
に添加した。
表3 Mito Media
500ml溶液に対して:
250ml DMEM(GIBCO BRL)
250ml ハムF-12(GIBCO BRL)
0.25ml 10mg/mlインスリン原液(GIBCO BRL)で5μl/mlの最終濃度を与え
る
1ml 10mg/mlトランスフェリン原液(Collaborative Research,Bedford,M
A)で20μl/mlの最終濃度を与える
2ml 4μg/mlセレニウム原液(Aldrich Chemical,Milwaukee,WI)で5nM
の最終濃度を与える
5ml 10%ウシ血清アルブミン原液(GIBCO BRL)で0.1%の最終濃度を与える
PDGF−BB有糸***促進活性を中和するブレフェルジンAの活性を分析するため
に、1ng/mlのPDGFをブレフェルジンAの様々な希釈液と一緒にウエルに添加し
た。細胞を試験試料と共に37℃で約20時間インキュベートした。次いで各ウエル
に50μlの20×原液を添加して1μCi/mlの最終濃度を与えた。細胞を37℃で4
時間インキュベートし、PBSで洗浄し、次いでトリプシンを使って収穫し、
Wallac(Turku,Finland)Betaplate(商標)液体シンチレーションカウンター
中で〔3H〕チミジンの取込みについてカウントした。表3に与える結果は、PDG
F−BB有糸***促進活性が用量依存形式でブレフェルジンAにより阻害されるこ
とを証明する。この阻害のED50はブレフェルジンAの場合約25nMであった。
表4 ヒヒ平滑筋細胞に対するPDGF−BB有糸***促進活性の阻害 これらのデータは、ラットSMCへのPDGF結合を阻害するのに必要とされる用量
の1/1000であるブレフェルジンAの用量がヒヒ平滑筋
細胞に対するPDGF−BB有糸***促進活性を有意に阻害できることを証明する。
これと同じ実験の一部として、ヘパリンの存在下でブレフェルジンAの阻害活
性を分析し、ヘパリンがブレフェルジンAと協同形式でPDGF−BB有糸***促進活
性を阻害する作用をすることができるかどうかを調べた。ヒヒ平滑筋細胞を0.5U
/mlの未分画ヘパリンの存在下でブレフェルジンAを1ng/mlのPDGF−BBと共にイ
ンキュベートした。細胞を上記と同様に〔3H〕チミジンでパルス標識し、〔3H
〕チミジン取込みのレベルを測定した。表3に与える結果は、ブレフェルジンA
へのヘパリンの添加がブレフェルジンAのみにより達成されるものを超える大き
な〔3H〕チミジン取込みの阻害をもたらしたことを証明する。
【手続補正書】
【提出日】平成10年1月13日(1998.1.13)
【補正内容】
請求の範囲
1. 哺乳類の血管系における内膜過形成を抑制するための剤であって、式I,
IIまたはIII:
(上式中、点線は単結合または二重結合を表し;
R1およびR2は同一であり、そして単一基=Oであるか、あるいはHとOH、
HとOR、またはHとOCORであり;
R3は単一基=Oであるか、あるいはHとOH、HとOR、またはHとOCORで
あり;
R4はCOOH、COOHの医薬上許容される塩、またはCH2ORであり;
R5とR6は両方とも酸素であるか、またはR5とR6の一方がOでありそして他
方が二重結合を含み;そして
RはC1-5アルキル、フェニルまたはベンジルである)
により表される化合物の抗過形成性有効量を含んで成る剤。
2. 前記化合物が、式IV
(上式中、点線は単結合または二重結合を表し;そして
R1およびR2は単一基=Oであるか、またはHとOHである)
により表される化合物である、請求項1に記載の剤。
3. 前記化合物が、式V
(上式中、点線は単結合または二重結合を表し;そして
R1およびR2はHとOR、またはHとOCORであり、RはC1-5アルキル、フェ
ニルまたはベンジルである)
により表される化合物である、請求項1に記載の剤。
4. 前記化合物が、式VI
(上式中、点線は単結合または二重結合を表し;
R1およびR2は単一基=Oであるか、またはHとOHであり;そして
R5はOである)
により表される化合物である、請求項1に記載の剤。
5. 前記化合物が、式VII
(上式中、点線は単結合または二重結合を表し;
R1およびR2は単一基=Oであるか、またはHとOHであり;そして
R6はOである)
により表される化合物である、請求項1に記載の剤。
6. 前記化合物が、式VIII
(上式中、点線は単結合または二重結合を表し;
R1,R2およびR3は単一基=Oであるか、またはHとOHであり;そして
R4はCOOHまたはCOOHの医薬上許容される塩である)
により表される化合物である、請求項1に記載の剤。
7. 前記化合物が、式IX
(上式中、点線は単結合または二重結合を表し;
R1,R2およびR3はHとOR、またはHとOCORであり、ここでRはC1-5アル
キル、フェニルまたはベンジルであり;そして
R4はCH2ORである)
により表される化合物である、請求項1に記載の剤。
8. 前記化合物がブレフェルジンA:である、請求項1に記載の剤。
9. 前記哺乳類が霊長類である、請求項1に記載の剤。
10.前記化合物が、前記哺乳類における急性血管損傷と同時に、またはその前
の抗過形成性有効期間内に投与される、請求項1に記載の剤。
11.前記損傷が血管再建によるものである、請求項10に記載の剤。
12.前記血管再建が、血管形成術、動脈内膜切除術、整腹アテローム切除術、
血管内レーザー剥離、血管内ステント据付または血管移植片の吻合を含んで成る
、請求項11に記載の剤。
13.前記化合物が、前記哺乳類における急性血管損傷後の抗過形成性有効期間
内に投与される、請求項1に記載の剤。
14.前記損傷が血管再建によるものである、請求項13に記載の剤。
15.前記血管再建が、血管形成術、動脈内膜切除術、整腹アテローム切除術、
血管内レーザー剥離、血管内ステント据付または血管移植片の吻合を含んで成る
、請求項14に記載の剤。
16.前記化合物が、血管移植片または移植臓器の据付と同時に、またはその前
の抗過形成性有効期間内に投与される、請求項1に記載の剤。
17.前記化合物が、血管移植片または移植臓器の据付の後の抗過形成性有効期
間内に投与される、請求項1に記載の剤。
18.前記哺乳類に協同投与される式I,IIまたはIIIの非ペプチド性PDGFアン
タゴニストの抗過形成性有効量とヘパリンの抗過形成性有効量とを含んで成る剤 であって
、ここで前記協同投与される抗原とヘパリンは併用すると前記過形成を
抑制するのに有効である、請求項1に記載の剤。
19.前記非ペプチド性PDGFアンタゴニストおよびヘパリンが、経口、静脈内、
脈管周囲、経皮および直腸投与方法から成る群より選ばれた投与方法により前記
哺乳類に投与される、請求項18に記載の剤。
20.哺乳類においてPDGF活性を抑制するための剤であって、式I,IIまたはII
I:
(上式中、点線は単結合または二重結合を表し;
R1およびR2は同一であり、そして単一基=Oであるか、あるいはHとOH、
HとOR、またはHとOCORであり;
R3は単一基=Oであるか、あるいはHとOH、HとOR、またはHとOCORで
あり;
R4はCOOH、COOHの医薬上許容される塩、またはCH2ORであり;
R5とR6は両方とも酸素であるか、またはR5とR6の一方がOでありそして他
方が二重結合を含み;そして
RはC1-5アルキル、フェニルまたはベンジルである)
により表される化合物のPDGF抑制量を含んで成る剤。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ
,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ,
DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I
S,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LR
,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,
MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,S
D,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR,TT
,UA,UG,UZ,VN
(72)発明者 エムシー コネル,オリバー,ジェイ.
アメリカ合衆国,ワシントン 98199,シ
アトル,フォーティース アベニュ ウエ
スト 2642
(72)発明者 マルティネツ,テレサ
アメリカ合衆国,ワシントン 98277,オ
ーク ハーバー,ノース ベントン プレ
イス 2722
(72)発明者 ウエスト,ロバート,アール.
アメリカ合衆国,ワシントン 98117,シ
アトル,シックスティース アベニュ ノ
ース ウエスト 7737