JP2000507204A - C1―インヒビターの補体及び血液凝固阻害特性の強化 - Google Patents

C1―インヒビターの補体及び血液凝固阻害特性の強化

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Abstract

(57)【要約】 補体及び血液凝固の阻害に関してC1−エステラーゼインヒビターを選択的に強化するが、接触及び線維素溶解系の阻害に関しては強化しないためにデキストラン硫酸が用いられる。デキストラン硫酸により強化されるC1−エステラーゼインヒビターは、内因性のC1−エステラーゼインヒビターまたは外因性のC1−エステラーゼインヒビターであってもよく、これは、デキストラン硫酸と一緒にまたは別個に投与される。敗血症及び心筋梗塞症のような炎症疾患の予防または治療処置における、デキストラン硫酸の単独またはC1−エステラーゼインヒビターと一緒の使用。

Description

【発明の詳細な説明】 C1−インヒビターの補体及び血液凝固阻害特性の強化発明の分野 本発明は、免疫学及び生化学の分野であり、補体、接触、線維素溶解及び血液 凝固血漿カスケード系の多数のプロテアーゼの主要な血漿インヒビターであるC 1−インヒビターの阻害スペクトルを変えるための方法を開示する。より具体的 には、線維素溶解または接触系プロテアーゼに対する阻害特性を変えずに、C1 −インヒビターによる補体及び血液凝固プロテアーゼの阻害を100倍以上まで 強化することができることが示される。この強化は、C1−インヒビターを合成 硫酸化多糖デキストラン硫酸とインキュベートすることにより得られる。強化さ れたC1−インヒビターを含有する製薬学的組成物は、例えば、敗血症または心 筋梗塞の予防または治療処置のための抗炎症剤として、多くの用途がある。発明の背景 炎症反応は、多数のヒト及び動物の疾病の間に起こり、一連のいわゆる炎症メ ディエーターによりもたらされる。Gallin JI、Goldstein IM、Snyderman R(eds):Inflammation:Bas ic Principles and Clinical Correlate s、New York、Raven Press Ltd、1992。炎症メデ ィエーターは、活性化された単球、マクロファージ、好中球、好酸球、好塩基球 、肥満細胞、血小板及び内皮細胞;サイトカイン;プロスタグランジン;ロイコ トリエン;血小板活性化因子;ヒスタミン及びセロトニン;神経ペプチド:反応 性酸素種;並びに一酸化窒素及び関連化合物を含む。 また、血液凝固、線維素溶解、接触及び補体系を初めとする主要な血漿カスケ ード系の活性化の間にはフラグメントが生成され、それらは、有効な生物学的作 用を有し、それ故、炎症メディエーターであるとみなされるので、これらの系も 炎症反応に寄与する。これらの血漿カスケード系は各々、一連の血漿タンパク質 からなり、それらの大部分は、肝臓により合成され、因子とも呼ばれる不活性前 駆物質として血液中を循環する。系の第一因子の活性化は、不活性のしばしば単 鎖である前駆物質を切断されたしばしば2本鎖の活性タンパク質へ限定タンパク 質分解により転化することを含んでなる。続いて、この活性第一因子は、再び限 定タンパク質分解により多数の不活性第二因子を活性化し、次にこれらは各々、 多数の第三因子を活性化するという具合である。この反応様式はカスケードに似 ている。血漿カスケード系の過度な活性化は、多数に特異的なインヒビターであ るα2−マクログロブリン及びセリンプロテイナーゼインヒビター類(セルピン 類)のアンチトロンビンIII、α1−アンチトリプシン、α1−アンチキモトリ プシン、α2−アンチプラスミン、C1−インヒビター等を初めとする一連のイ ンヒビターの存在により調節される。補体系 補体系は、血漿カスケード系の一つを構成する。その生理学的役割は、侵入す る微生物に対して体を守り、壊死組織及び細胞残渣を除去することである。 古典的及び代替経路の2つの経路により補体系を活性化することができ、これ らは両方とも共通の末端経路(terminal pathw ay)の活性化を引き起こすことができる。Cooper N.R.、1985 、Adv Immunol 37:151;Muller−Eberhard H.J.等、1980、Adv Immunol 29:1;Muller−E berhard H.J.、1992、Gallin JI、Goldstei n IM、Snyderman R(eds):Inflammation:B asic Principles and Clinical Correla tes、New York、Raven Press Ltd、33頁。 補体の活性化は、アナフィラトキシンとしても知られている生物学的活性ペプ チドの生成をもたらす。これらのアナフィラトキシン、特にC3a及びC5aは 、好中球の走化性を引き起こし、これらの細胞を集め、活性化し、脱顆粒化する ことができる。Vogt W.、1986、Complement :177 ;Goldstein IM、1992、Gallin JI、Goldste in IM、Snyderman R(eds):Inflammation: Basic Principles and Clinical Correl ates、New York、Raven Press Ltd、63頁;Hu gli TE、1984、Springer Semin Immunopat hol :193。さらに、これらは、血管透過性を高め、好中球の内皮への 接着を刺激し、血小板及び内皮細胞を活性化し、肥満細胞の脱顆粒、並びに単核 細胞による血管作動性エイコサノイド、トロンボキサンA2並びにLTC4、L TD4及びLTE4のようなペプチドロイコトリエンの生産を誘導することがで きる。また、共通経路の活性化の際に形成されるいわゆる末端(termina l)補体複合体(T CC)は、標的細胞を溶解する能力、及び溶解以下の(sublytic)濃度 で細胞にサイトカイン、プロテイナーゼ及びエイコサノイドのようなメディエー ターを放出させる能力を初めとする重要な生物学的作用を有する。Muller −Eberhard H.J.、1986、Ann Rev Immunol :503;Hansch GM、1992、Immunopharmacol 24:107。最後に、補体活性化生成物は、細胞による組織因子の発現を誘 導し、それにより血液凝固を開始し、高めることができる。Osterud B 等、1984、Haemostasis 14:386;Hamilton K K等、1990、J Biol Chem 265:3809。従って、補体活 性化生成物は、炎症反応を誘導または高めることができる多数の生物学的作用を 有する。 補体の活性化は、敗血症及び敗血症性ショックを初めとする多数の炎症性疾患 ;サイトカインまたはモノクローナル抗体(mAb)のインビボ投与により誘導 される毒性;慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス及び血管炎(vasc ulitis)のような免疫複合体病;多発外傷;虚血再灌流障害;心筋梗塞症 等の発生において重要な役割を果たすと考えられる。これらの疾患における補体 活性化の病因の役割は、その活性化生成物の前述の生物学的作用になんらか関係 するようである。それ故、補体活性化の阻害は、これらの疾患の治療のプラスに なる可能性がある。 先程述べたように、古典的及び代替経路の2つの異なる経路により補体を活性 化することができる。C1−インヒビターが後者の経路に影響を及ぼすことは知 られていないので、ここでは後者を議論しない。古典 的経路の活性化は、第一成分の活性化から始まり、これは1個のC1q、2個の C1r及び2個のC1sタンパク質の5個のタンパク質の高分子複合体からなる 。C1複合体のC1qタンパク質は、アクチベーター、例えば免疫複合体に結合 し、これは、両方のC1r及び両方のC1sサブコンポーネントの活性化をもた らす。Schumaker VN等、1987、Ann Rev Immuno :21;Cooper N.R.、1985、Adv Immunol 37 :151。活性化の間に、C1r及びC1sは、単ペプチド鎖の不活性タン パク質から2本鎖の活性セリンプロテイナーゼに転化される。次に、活性C1複 合体は、C4及びC2補体因子を活性化し、これらは一緒になって二分子のC4 b,2a複合体を形成する。Polley MJ等、1968、J Exp M ed 128:533;Kerr MA、1980、Biochem J 18 :173。この複合体は、次に、補体の第三成分のC3を小さい方のC3aフ ラグメントと大きい方のC3bに切断することにより活性化する。それ故、C4 b,2a複合体は、C3−コンバーターゼ(convertase)と呼ばれる 。 C3−コンバーターゼにさらなるC3b分子が結合することにより生成される C5−コンバーターゼによるC5の切断は、アナフィラトキシンC5aと発生期 (nascent)C5bを生じ、後者はC6と一緒になって二分子のC5b, C6複合体を形成し、これは次にC7に結合する。このC5b,C6,C7複合 体は、膜に挿入されるか、またはSタンパク質と相互作用するかのいずれかであ る。Sタンパク質との相互作用は、最終的に可溶性の膜攻撃複合体(MAC)を 生じる。膜に挿入されたC5b,C6,C7は、C8のレセプターを形成する。 続いて、 四分子のC5b−8複合体はC9を結合し、これを重合させ、各々、C5b−8 複合体と1個以上のC9分子からなる完全に集合した膜挿入MAC複合体を生じ る。Muller−Eberhard H.J.、1992:Gallin J I、Goldstein IM、Snyderman R(eds):Infl ammation:Basic Principles and Clinic al Correlates、New York、Raven Press、3 3頁;Muller−Eberhard HJ、1986、Annu Rev Immunol :503。 いくつかの血漿タンパク質、顕著なものとしては、C1−インヒビター、C4 −結合タンパク質及びセリン−プロテイナーゼI因子は、補体の古典的経路の活 性化を阻害することができる。Muller−Eberhard H.J.、1 992:Gal1in JI、Goldstein IM、Snyderman R(eds):Inflammation:Basic Principle s and C1inical Corre1ates、New York、R aven Press、33頁;Schumaker VN等、1987、An n Rev Immunol :21;Cooper NR、1985、Ad v Immunol 37:151。これらのうち、C1−インヒビターを以下 により詳細に説明する。接触系 接触系は一組のタンパク質からなり、これらは、不活性前駆物質タンパク質と して血液中を循環する。この系は、血液凝固の接触系またはカリクレイン−キニ ン系としても知られている。Co1man R.W.、 1984、J Clin Invest 73:1249;Kaplan A. P.等、1987、Blood 70:1;Kozin F.等、1992、G allin JI、Goldstein IM、Snyderman R(ed s):Inflammation:Basic Principles and Clinical Correlates、New York、Raven Press、103頁。接触系は、主要な血漿カスケード系の一つを構成し、し ばしば、血液凝固の2つの経路の一つとみなされ、いわゆる血液凝固の外因性経 路がもう一方のものである。 接触系の活性化は、ハーゲマン因子としても知られている第XII因子のアクチ ベーターへの結合から始まる。続いて、結合した第XII因子は、活性化されるよ うになることができ、この工程の間に、単鎖の不活性型から2本鎖の活性セリン プロテイナーゼに転化される。Tans G.等、1987、Sem Thro mb Hemost 13:1。次に、活性化された第XII因子は、補因子の高 分子量キニノゲンを介してアクチベーターに結合するプレカリクレインを、活性 セリンプロテイナーゼのカリクレインに活性化する。カリクレインは、次に、結 合しているがまだ活性化されていない第XII因子を活性化することができる(逆 活性化)。第XIIa因子は、第XI因子を活性化することができ、これは、次に第I X因子を活性化して血液凝固の活性化を開始することができる。Cochran e C.G.等、1982、Adv Immunol 33:290;Colm an R.W.、1984、J C1in Invest 73:1249;K aplan A.P.等、1987、Blood 70;1;Kozin F. 等、1992:Gallin JI、G oldstein IM、Snyderman R(eds):Inflamm ation:Basic Principles and Clinical Correlates、New York、Raven Press、103頁 。接触系の活性化は、古典的補体経路も阻害する同じタンパク質のC1−インヒ ビターにより制御され、これを以下に説明する。接触系の活性化の間に、ブラジ キニン、カリクレイン及び活性第XII因子のようないくつかの生物学的活性フラ グメントが形成される。これらのフラグメントは、好中球の活性化及び脱顆粒を 高め、血管透過性を増大し、血管緊張を減少することができる。Colman R.W.、1984、J Clin Invest 73:1249:Kozi n F.等、1992、Gallin JI、Goldstein IM、Sn yderman R(eds):Inflammation:Basic Pr inciples and Clinical Correlates、New York、Raven Press、103頁。 接触系が炎症条件で活性化されるようになることは一般的に認められている。 Colman R.W.、1984、J Clin Invest 73:12 49;Kaplan A.P.等、1987、Blood 70:1;Kozi n F.等、1992、Gallin JI、Goldstein IM、Sn yderman R(eds):Inflammation:Basic Pr inciples and Clinical Correlates、New York、Raven Press、103頁。しかしながら、炎症及び生理 学的条件下でのその正確な役割は、よく理解されていない。第XII因子の遺伝的 欠損 を有する人々は、血栓塞栓疾患の増大した危険を有する可能性がある。このこと は、組織型プラスミノゲン様構造(Tans G.等、1987、Sem Th romb Hemost 13:1)と共に、第XII因子が線維素溶解に関与す ることを示唆する。ホモ及びヘテロの第XII因子欠損個体におけるプラスミノゲ ン活性化への第XII因子の寄与に関するインビボの報告は、これと一致する。L evi M.等、1991、J Clin Invest 88:1155。 第XI因子は、インビトロで第XII因子により活性化することができるので、し ばしば、接触系のメンバーとしてみなされる。Kurachi K.等、197 7、Biochemistry 16:5831。第XI因子は、ジスルフィド結 合によりつながれた2本の同一のポリペプチド鎖からなる二量体糖タンパク質で ある。活性化の際に、各ポリペプチド鎖を内部のペプチド結合で切断することが でき、ジスルフィド結合した重鎖及び軽鎖を生じ、後者は各々、1つの活性部位 を含んでいる。Bouma B.N.等、1977、J Biol Chem 252 :6432;Van der Graaf F.等、1983、J Bi ol Chem 258:9669;Fujikawa K.等、1986、 iochemistry 25:2417。第XIa因子の各活性部位の活性は、 各々セリンプロテアーゼインヒビター類(セルピン類)のスーパーファミリーの メンバーであるα1−アンチトリプシン、アンチトロンビンIII、C1−インヒ ビター及びα2−アンチプラスミンを初めとする血漿プロテアーゼインヒビター により調節される。Soons H.等、1987、Biochemistry 26:4624−4629;Heck L.W.等、1974、J Exp Med 14 :1615;Damus P.S.等、1973、Nature 246:3 55;Forbes C.D.等、1970、J Lab Clin Med 76 :809;Saito H.等、1979、Proc Natl Acad Sci USA 76:2013。初期の研究では、α1−アンチトリプシン が血漿における第XIa因子の主要なインヒビターであると示唆された。Scot t C.F.等、1982、J Clin Invest 69:844。しか しながら、血漿の第XIa因子とそのインヒビター間の複合体を定量するための固 相酵素免疫測定法を用いた研究により、C1−インヒビターが第XIa因子の主要 なインヒビターであることが示された。Wuillemin W.A.等、19 95、Blood 85:1517。 第XI因子のインビボの役割は、接触活性化に関係しない可能性があり、すなわ ち、最近の研究では、第XI因子の活性化がトロンビンを介して第XII因子から独 立して起こり、そして第IX因子の活性化に寄与する可能性があることが示唆され ている。Naito K.等、1991、J Biol Chem 266:7 353;Gailani D.等、1991、Science 253:909 。この観点において、第XI因子は、外因性経路により最初誘導されるトロンビン 生成を高めるように作用する。Davie E.W.等、1991、Bioch emistry 30:10363;Broze Jr.G.J.、1992、Seminars Hematol 29:159。血液凝固系における第XI因 子のこの推定される役割は、(軽い)出血疾患をもたらす接触系タンパク質の唯 一の欠損が、第XI因子のものであるという臨床データと一致する。このことは、 インビボで接触系が血液凝固工程に関与する証拠 がないことと共に、第XI因子を接触系タンパク質とみなすべきかどうかに関して 重大な疑念を引き起こす。とにかく、血液凝固機構における第XI因子の正確な役 割にかかわらず、第XIa因子の阻害により、例えばヘパリンがもたらすアンチト ロンビンIIIの強化により誘導されるような激しい出血傾向の危険なしに、血液 凝固が弱められる。C1−インヒビター C1−エステラーゼインヒビターとしても知られているC1−インヒビターは 、血液中に存在し、補体の古典的経路及び接触系の主要なインヒビターであるタ ンパク質をいう。C1−インヒビターは、補体の第一成分の活性型及び活性第XI I因子を阻害することができ、カリクレインの主要なインヒビターでもある。S chapira M.等、1985、Complement :111;Da vis A.E.、1988、Ann Rev Immunol :595; Sim R.B.等、1979、FEBS Lett 97:111:De A gostini A.等、1984、J Clin Invest 73:15 42;Pixley R.A.等、1985、J Biol Chem 260 :1723;Schapira M.等、1982、J Clin Inves 69:462;Van der Graaf F.等、1983、J Cl in Invest 71:149;Harpel P.C.等、1975、J Clin Invest:593。従って、C1−インヒビターは、 活性化の間に生物学的活性ペプチドを生成する2つの血漿カスケード系、すなわ ち、補体及び接触系の活性を調節する。それ故、C1−インヒビターは、炎症反 応の重要なレギュレーターである。さらに、C1−インヒビターは、活性第XI因 子の主要な インヒビターである。Meijers J.C.M.等、1988、Bioch emistry 27:959;Wuillemin W.A.等、1995、Blood 85:1517。従って、上に説明したような第XI因子の可能な機 能を考慮すると、C1−インヒビターは、血液凝固インヒビターともみなされる べきである。また、C1−インヒビターは、組織型プラスミノゲンアクチベータ ー及びプラスミンの主要なインヒビターではないけれども、これらのプロテイナ ーゼもこのインヒビターによりある程度阻害される。Harpel P.C.等 、1975、J Clin Invest 55:149;Booth N.A .等、1987、Blood 69;1600。それ故、C1−インヒビターは 、(弱い)線維素溶解インヒビターともみなされるべきである。 C1−インヒビターは、血漿から大規模に精製され、臨床用途のため、特に、 C1−インヒビターの遺伝的欠損により引き起こされる疾患である遺伝性血管浮 腫の治療に用いられている。さらに、C1−インヒビターの投与は、哺乳類にお ける全身性炎症反応[Fong S.、1992、WO第92/22320号( Genentech Inc)]のような他の疾病においても同様に、並びに重 い熱傷の合併症、膵炎、骨髄移植、サイトカイン治療及び体外循環の使用[Ei sele B.等、1994、DE−A−第4227762号(Behring werke AG)]に有益な効果を有することが請求されている。本発明は 、C1−インヒビターの阻害活性を高めるための新規な方法を提供し、それによ り、これらの治療のために必要なC1−インヒビターの量を減らす点で、C1− インヒビターのこれらの治療用途に関係する。 C1−インヒビターをコードする全長のゲノム及びcDNAはクロー ン化されている。Bock S.C.等、1986、Biochemistry 25:4292;Carter P.E.等、1988、Eur J Bio chem 173:163。機能的な組み換え体のC1−インヒビタータンパク 質がCOS細胞で発現され、血漿タンパク質と類似することが見いだされている 。Eldering E.等、1988、J Biol Chem 263:1 1776。反応中心のP1及びP3及び/またはP5位にアミノ酸突然変異を有 する組み換え体C1−インヒビターのいくつかの変異体、並びに遺伝性血管浮腫 の患者から単離された変異体が、同じ系で発現されている。ElderingE .等、1988、J Biol Chem 263:11776;Elderi ng E.等、1993、J Biol Chem 267:7013:Eld ering E.等、1993、J Clin Invest 91:1035 ;Patent Cetus Corp、US617920;Davis A. E.等、1992、Nature Genetics :354;Elde ring E.等、1995、J Biol Chem 270:2579;V erpy等、1995、J Clin Invest 95:350。 C1−インヒビターは、セルピン類とも呼ばれるセリン−プロテイナーゼイン ヒビター類として知られている同族タンパク質のスーパーファミリーに属する。 Travis J.等、1983、Ann RevBiochem 52:65 5;Carrel R.W.等、1985、Trends Bioch Sci 10:20。ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲルで、C1−イン ヒビターは、おおよそ105kDの見かけの分子量を有する。その血漿濃度は、 約270mg/l である。Schapira M等、1985、Complement :11 1;Nuijens JH等、1989、J Clin Invest 84: 443。C1−インヒビターは、合併症のない感染及び他の炎症条件中にそのレ ベルが2倍まで増加する可能性のある急性期応答タンパク質である。Kalte r ES等、1985、J Infect Dis 151:1019。炎症条 件におけるC1−インヒビターの増加した合成は、最もおそらくは、急性期応答 中の補体及び接触系の(血管内)活性化の有害な影響に対して生体を守ることを 意味する。慢性関節リウマチの患者では、C1−インヒビターの合成速度は、正 常な速度の2.5倍まで増加する可能性がある。Woo等、1985、Clin Exp Immunol 61:1.正常な志願者における放射性標識したC 1−インヒビターを用いた代謝研究では、1時間当たり血漿プールの2.5%の 部分分解代謝速度(fractional catabolic rate)( FCR)及び約20時間のクリアランスの見かけの血漿半減期が得られている。 Woo等、1985、Clin Exp Immunol 61:1;Quas tel M・等、1983、J Clin Invest 71:1041。 セルピン類は、類似した阻害機構を共有し、それは、阻害されるプロテイナー ゼと安定な二分子複合体を形成することを特徴とする。これらの複合体において 、プロテイナーゼの活性部位は、セルピンのいわゆる反応中心に結合され、それ により不活性にされる。Travis J.等、1983、Ann Rev B iochem 52:655。他のセルピン類のように、C1−インヒビターは プロテイナーゼと安定な複合体を形成することによりこれらのプロテイナーゼを 阻害し、複合体は 循環から迅速に取り除かれる。De Smet B.J.G.L・等、1993 、Blood 81:56。セルピン類は、ある種のプロテイナーゼに特異性を 有し、この特異性は、反応中心のアミノ酸配列によりある程度決定される。 セルピン類の活性は、タンパク質コアに結合した高分子の硫酸化糖複合体(g lycoconjugate)の混成群であるグリコサミノグリカンにより影響 される可能性がある。Kjellen L.等・1991、Annu Rev Biochem 60:443;Poole A.R.、1986、J Bio chem 236:1;Bourin M.−C.等、1993、Bioche mical J 289:313。この群は、生理学的化合物のヘパリン、ヘパ ラン硫酸及びデルマタン硫酸を含む。Poole A.R.、1986、J B iochem 236:1。例えば、ヘパラン硫酸及びヘパリン様分子は、血管 床(bed)の内皮細胞結合グリコサミノグリカンである。Ausprunk D.H.等、1981、Am J Pathol 103:353;Marcu m J.A.等、1985、Biochem Biophys Res Com 126:365;Ihrcke N.S.等、1993、Immunolo gy Today 14:500。グリコサミノグリカンは、エンドグリコシダ ーゼ、特にヘパリナーゼを阻害するそれらの特性に基づく抗転移及び/または抗 炎症活性を有することが請求されている。Parish C.R.等、1988 、WO第88/05301号(オーストラリア大学)。グリコサミノグリカンの この作用は、本発明に関係しない。 ヘパリンの治療用途の根底には、アンチトロンビンの機能に対するそ の増大効果がある。さらに、硫酸化多糖は、リポタンパク質結合血液凝固インヒ ビター(LACI)の存在下でさらなる抗凝血活性を出すことができ、この作用 は、治療用途のために特許を得ている。Tze−Chein Wun、1992 、EP−A−第0473564号(Monsanto Company)。半合 成の硫酸化多糖デキストラン硫酸は、プロテアーゼネキシン−1(PN−1)の ような血液凝固の他のインヒビターを強化することができるが、アンチトロンビ ンIIIに対してはヘパリンより低い増大作用を有する。Scott R.W.、 1991、WO第91/05566号(Invitron Corp.)。血液 凝固インヒビターに対する硫酸化多糖のこれらの作用は本発明に関係せず、本発 明は、デキストラン硫酸とC1−インヒビターの相互作用を扱っている。ヘパリ ン−アンチトロンビンIIIの相互作用は、おそらく、グリコサミノグリカンが増 大するセルピンの機能の最もよく研究された例である。しかしながら、多数の研 究は、グリコサミノグリカン、特にヘパリンが、C1−インヒビターを初めとす る他のセルピン類の機能も強化することができることも示している。すなわち、 精製されたタンパク質を用いた反応速度論アッセイにおいて、ヘパリンが、C1 −インヒビターによるC1sの阻害を15ないし35倍強化することが示されて おり、一方、活性C1またはC1rの阻害は、これより低く増大された。Ren t R.等、1976、Clin Exp Immunol 23:264;S im R.B.等、1980、Biochim Biophys Acta 12 :433;Caughman G.B.等・1982、Mol Immun ol 19:287;Nilsson T.等、1983、Eur J Bio chem 129:663;Len nick M.等、1986、Biochemistry 25:3890;H ortin G.L.等、1991、Immunol Invest 20:7 5。C1sのこの高められた相互作用は、C1−インヒビターの増大したタンパ ク質分解不活性化を犠牲にして起こる。Weiss V.等、1983、Hop pe−Seyler’s Z Physiol Chem 364:295。C 1−インヒビターに対するこれらの作用に加えて、ヘパリンは、アクチベーター へのC1qの結合、C1−エステラーゼの活性及び古典的C3−コンバーターゼ の形成に対する阻害作用のような補体系に対する多数の他の作用を有する。Ra epple E.等、1976、Immunochemistry 13:25 1;Loos M.等、1976、Immunochemistry 13:2 57:Strunk R.等、1976、Clin Immunol Immu nopathol :248。従って、ヘパリンは、治療的補体インヒビター とみなされるかもしれない。しかしながら、ヘパリンの補体阻害作用は、抗凝血 作用のために必要とされるものより少なくとも一桁高い濃度で見られ、インビボ でそのような用量を用いることは、容認できない出血の危険を伴う。抗凝血特性 を弱めるために、ヘパリンのN−脱硫酸化N−アセチル化型が開発されており、 この調製物は、顕著な補体阻害特性を有することが示されている。Weiler J.M.等、1992、J Immunol 148:3210;Fried richs G.S.等、1994、Circ Res 75:701。しか しながら、これは、ヘパリン(またはあらゆる他のグルコサミノグリカン)の使 用のもう一つの不都合な点、すなわち、動物の供給源から精製されなければなら ないことを回避していない。 グリコサミノグリカンが、C1−インヒビターをその標的プロテアーゼのC1 s及び第XIa因子の阻害に対して強化する機構は知られていない。しかしながら 、ヘパリンが促進するアンチトロンビンIIIによるトロンビンの阻害に関して知 られていることの類推により、いくつかの機構が仮定される。すなわち、(I) グリコサミノグリカンが、インヒビターの構造的変化を引き起こすことができ、 これをより活性にする;(II)グリコサミノグリカンが、インヒビター及び標的 プロテアーゼが集合することができる鋳型として働くことができる:(III)グ リコサミノグリカンが、インヒビターもしくはプロテアーゼのいずれかまたは両 方のプラスの電荷を中和することができ、これにより、より容易な相互作用を可 能にする。Evans D.L.等、1992、Biochemistry :12629;Bode W.等、1994、Fibrinolysis :161;Potempa J.等、1994、J Biol Chem 26 :15957。報告されたグリコサミノグリカンが誘導するC1−インヒビタ ー機能の増大にこれらの機構のいずれが当てはまるかは、さらなる研究において 示されなければならない。 本発明では、C1−インヒビターの阻害活性を高めるために合成の硫酸化多糖 デキストラン硫酸が用いられる。デキストラン硫酸及び関連化合物は、ヒト免疫 不全ウイルス1型の有効なインヒビターである可能性がある。De Clerc q E.D.A.等、1988、EP−A−第0293826号(Sticht ing Rega V.Z.W.)。さらに、デキストラン硫酸は、動脈硬化症 の治療のために有用である可能性がある。Herr D.、1988、EP−A −第0276370号(Knoll AG)。これらの作用は、本発明に関係し ない。さら に、デキストラン硫酸の高分子量種は、接触系の第XII因子の自己活性化を高め ることができるが、低分子量種はできない。Samuel M.等、1992、J Biol Chem 267:19691。発明の要約 今回、各種補体、血液凝固、接触系及び線維素溶解プロテアーゼの主要なイン ヒビターであるC1−インヒビターの阻害特性を、半合成ポリアニオン化合物の 硫酸化多糖デキストラン硫酸とのインキュベーションにより変え、補体及び血液 凝固阻害特性に関して100倍以上まで選択的に強化されたC1−インヒビター を生じることができることが見いだされた。従って、本発明は、選択的に高めら れた機能を有するC1−インヒビターを含有している製薬学的組成物を意図し、 インビボで補体及び/または血液凝固の活性化を阻害するためにこれを予防的ま たは治療的に用いることができる。製薬学的組成物は、C1−インヒビター及び デキストラン硫酸種を含んでなる。典型的な組成物は、ヒト血漿もしくはあらゆ る他の生物学的供給源由来のC1−インヒビター、または組み換え体のC1−エ ステラーゼインヒビター、またはそれ由来の突然変異体を含んでもよい。また、 典型的な組成物は、異なる分子量のデキストラン硫酸、または類似する作用を有 するあらゆる他の合成ポリアニオン化合物も含んでもよい。 本発明は、以下の本発明の説明の考察の後に、より完全に理解されるであろう 。図面の簡単な説明 図1. 第XIa因子のアミド分解活性に対するグリコサミノグリカンまたはD XSの影響。第XIa因子のアミド分解活性は、0.1mol/ l Tris−HCl、pH7.4、0.14mo1/l NaCl及び0.1% (wt/vol)Twを含むバッファー中、0.4mmol/lの最終濃度で発 色性基質S−2366を用いて、37℃で405nmの吸光度の初期変化として 測定された。DXS MW 500,000(黒丸)、DXS MW 5,000( 三角)、ヘパリン(白丸)、ヘパラン硫酸(黒四角)またはデルマタン硫酸(白 四角)の異なる量の効果が調べられた。結果は、異なるグリコサミノグリカンの 異なる量(μg/ml、最終濃度)を添加した後に残っている、あらゆるグリコ サミノグリカンの非存在下での1nmol/lの第XIa因子の活性のパーセンテ ージとして表される。 図2. グリコサミノグリカンまたはDXSの非存在下でのC1−インヒビタ ーによる第XIa因子の不活性化の反応速度論。第XIa因子(最終濃度6nmol /l)を0.1mol/l Tris−HCl、pH7.4、0.14mol/ l NaCl、0.1%Tw中で異なる濃度のC1−インヒビターと37℃でイ ンキュベートした。各時間にアリコートを取り出し、第XIa因子の残存するアミ ド分解活性に関してアッセイした。(パネルA)0(黒丸)、0.32(白丸) 、0.64(黒四角)、0.96(白四角)または1.28(プラス記号)μm ol/lのC1−インヒビターの存在下で、第XIa因子の不活性化を評価した。 残存する第XI因子のアミド分解活性の自然対数を時間に対してプロットした。( パネルB)擬一次速度定数(k、min-1)をパネルAに示したプロットの勾配 から計算し、C1−インヒビター濃度の関数としてプロットした。この線の勾配 は、二次速度定数(k2、min-1、M-1)を表す。 図3. グリコサミノグリカンまたはDXSの存在下でのC1−インヒビター による第XIa因子の不活性化の反応速度論。第XIa因子(最終濃度3ないし8n mol/l)を0.1mol/l Tris−HCl、pH7.4、0.14m ol/l NaCl、0.1%Tw中でC1−インヒビター(最終濃度0.32 μmol/l)と37℃でインキュベートし、擬一次速度定数を図2の説明文に 記述したように測定した。結果は、グリコサミノグリカンまたはDXSの非存在 下での阻害速度と比較した、異なる量のDXS MW 500,000、DXS MW 5,000、ヘパリン、ヘパラン硫酸またはデルマタン硫酸の存在下での C1−インヒビターによる第XIa因子の阻害の強化倍数として表される。 図4. グリコサミノグリカンまたはDXSの存在下でのC1−インヒビター による第XIa因子阻害の擬一次速度定数。異なる濃度のC1−インヒビターの存 在下で、そしてDXS MW 500,000、DXS MW 5,000、ヘパリ ン、ヘパラン硫酸もしくはデルマタン硫酸の存在下で、またはグリコサミノグリ カンもしくはDXSの非存在下で、図2の説明文に記述したように擬一次速度定 数を測定した。これらの線の勾配は、二次速度定数(k2、min-1、M-1)を 表す。 図5.各種グリコサミノグリカンまたはDXSの存在下でのC1−インヒビタ ーによるC1sの阻害。0.8mmol/lの最終濃度で発色性基質S2314 を含んでいるリン酸緩衝食塩水(PBS)−0.05%Tw中で、3nmol/ lの最終濃度のC1sをC1−インヒビター(最終濃度15nmol/l)及び 各種グリコサミノグリカン(各々10μg/mlで試験した)と37℃でインキ ュベートした。405nmの吸光度の時間変化を示す。 図6. C1−インヒビターによるC1sの阻害に対するDXS MW 500 ,000の増大効果の投与量反応。用いた条件は、図5に記述したものと同じで ある。 図7. C1−インヒビターによるC1sの阻害に対するDXS MW 5,0 00の増大効果の投与量反応。用いた条件は、図5に記述したものと同じである 。 図8. 集合(aggregated)ヒトIgGによる再石灰化(reca lcified)血漿における補体活性化のDXS MW 500,000による 阻害。10mM CaCl2(最終濃度)を添加することにより、クエン酸塩添加 血(10mmol/l、最終濃度)を再石灰化した。37℃で15分後に血餅が 生じ、4℃で2,000 x gで10分間遠心分離することによりこれを除いた 。次に、5mg/mlの濃度で集合ヒトIgGを含んでいるベローナール緩衝食 塩水1容量と再石灰化血漿1容量を37℃で20分間インキュベートした。次に 、C1s−C1−インヒビター複合体、C4及びC3の活性化生成物(それぞれ 、C4b/C4bi/C4c及びC3b/C3bi/C3c)の生成を評価する ことにより、このインキュベーション中の補体活性化を測定した。集合IgGを 記述されたように調製した。Hack C.E.等、1981、J Immun ol 127:1450。C1s−C1−インヒビター複合体並びにC3及びC 4の活性化生成物を以前に記述されたように測定した。Nuijens J.H .等、1989、J Clin Invest 84:443;Wolbink G.J.等、1993、J Immunol Meth 163:67。結果 (3回の実験の平均及び標準偏差)を阻害%として示し、0%は、DXSの非存 在下 での活性化生成物の生成であり、100%は、集合IgG及びDXSの非存在下 での補体活性化生成物の生成である。 図9. 集合ヒトIgGによる再石灰化血漿における補体活性化のDXS M W 5,000による阻害。DXS MW 5,000を用いたことを除いて、図 8に記述したものと同様に実験を実施した。 図10. 集合ヒトIgGによる再石灰化血漿における補体活性化のヘパリン による阻害。ヘパリンを用いたことを除いて、図8に記述したものと同様に実験 を実施した。 図11. 集合ヒトIgGによる再石灰化血漿における補体活性化のN−アセ チル−ヘパリンによる阻害。N−アセチル−ヘパリンを用いたことを除いて、図 8に記述したものと同様に実験を実施した。発明の詳細な説明 本発明を実現するために用いた材料及び方法の様々な特徴を説明するいくつか の特許/特許出願及び科学論文が、以下に引用される。これらの参考文献の全て は、引用することにより完全に組み込まれると解釈される。 本発明の要旨は、血漿における補体、血液凝固、接触系及び線維素溶解プロテ アーゼの主要なインヒビターであるC1−インヒビターを半合成化合物デキスト ラン硫酸(DXS)によりその阻害スペクトルに関して修飾することができる実 現であり、すなわち、補体及び血漿凝固系に対するC1−インヒビターの阻害特 性は100倍以上まで強化され、一方、接触及び線維素溶解系に対するものは変 化しない。DXSによりC1−インヒビターの阻害機能を変える実質的にあらゆ る方法が、本発明の範囲に入ると解釈される。C1sの阻害に対するグリコサミ ノグリカ ンの強化作用は、以前に記述されている(「本発明の背景」の項を参照)。しか しながら、これらのグリコサミノグリカンは、動物供給源から得られており、異 なる程度で、アンチトロンビンIII及びヘパリン補因子IIも強化する。これらの グリコサミノグリカンの低い投与量が、血栓塞栓疾患の治療のために臨床環境で 用いられている。患者において補体の阻害を得るためには、少なくとも1桁高い ヘパリンの投与量が必要とされ、これは、容認できない出血の危険を有する。本 発明の利点は、a)以下に例示するように、DXSは、いずれのグリコサミノグ リカンよりも第XIa因子及びC1sの阻害に対して強い増大効果を有する;b) DXSの大きい方の型のみがアンチトロンビンIIIに対するいくらかの刺激効果 を有する可能性があり、それ故、この化合物の低分子量型を用いた治療は、出血 傾向の危険がない;そして、c)ヘパリンのようなグリコサミノグリカンは動物 から精製されるが、DXSは半合成化合物であり、大量生産することができる。 本発明をより明確に定義するために、これを3つの項で説明する。第一項では 、精製された系でのC1−インヒビターによる標的プロテアーゼの第XIa因子、 第XIIa因子、カリクレイン及びC1sの阻害に対するDXSの効果を説明する 。グリコサミノグリカンを用いて得られた結果も比較のために示される。第二項 では、血漿における補体活性化に対するDXSの効果を説明する。補体インヒビ ターとして時々用いられるグリコサミノグリカンのヘパリン及びN−アセチル− ヘパリンの効果も比較のために示される。第三項では、C1−インヒビターを含 有する治療的組成物におけるDXSの応用を説明する。精製された系におけるC1−インヒビターによる標的プロテアーゼの阻 害に対するDXSの効果 この項では、C1−インヒビターによる標的プロテアーゼの第XIa因子、第XI Ia因子、カリクレイン及びC1sの阻害に対するDXSの効果が示される。示 される実験のタイプは、C1−インヒビターによる標的プロテアーゼの阻害の速 度反応論を表す擬一次及び二次速度定数の測定、及びこれらの速度定数に対する DXSの効果である。C1−インヒビターによる第XIa因子の阻害の速度定数の 測定は詳細に示され、一方、カリクレイン、第XIIa因子またはC1sの阻害を 示す定数のものはより簡潔に述べられる。DXSが、いずれのグリコサミノグリ カンよりもC1−インヒビターを強めることに有効であることを説明するために 、各種グリコサミノグリカンの速度定数に対する効果も示される。最後に、アン チトロンビンIII、α2−アンチプラスミン及びα1−アンチトリプシンは、血 漿において第XIa因子の阻害にかなり寄与しているので、第XIa因子の場合、こ れらのインヒビターによる阻害に対するDXSまたはグリコサミノグリカンの効 果も示される。 デキストラン硫酸(MW 500,000、硫黄含有量17%)は、Phar macia Fine Chemicals、Uppsala、Swedenか ら購入し;デキストラン硫酸(MW 5,000)、ヘパラン硫酸(ウシ腸粘膜 由来)及びダイズ−トリプシンインヒビター(SBTI、I−S型)は、Sig ma Chemical Co.、St.Louis、MOから;未分画ヘパリ ン(IU/mlは、7μg/mlに相当する)は、Kabi Vitrum、S tockholm、Swedenから;デルマタン硫酸(コンドロイチン硫酸B )臭化ヘキサジメトリン(ポリブレン(Polybrene))は、Janss e n Chimica、Beerse、Belgiumからであり:Tween− 20(Tw)は、J.T.Baker Chemical、Phillipsb urg、NJから購入した。発色性基質のGlu−Pro−Arg−p−ニトロ アニリド(S−2366:第XIa因子の基質)及びH−D−Pro−Phe−A rg−p−ニトロアニリド(S−2302;第XIIa因子及びカリクレインの基 質)は、Chromogeni r−Arg−p−ニトロアニリド(S−2314;C1sの基質)は、Kabi Diagnostica(Stockholm、Sweden)からであった 。 精製されたヒト第XIa因子をKordia Laboratory Supp lies、Leiden、The Netherlandsから購入し、0.1 mol/l Tris−HCl、pH7.4、0.14mol/l NaCl、0 .1%(wt/vol)Tw中で−70℃で保存した。第XI因子を第XIIa因子 とインキュベートし、その後、トウモロコシのトリプシンインヒビターカラムへ の吸収により第XIIa因子を除くことにより、この調製物は製造された。第XIa 因子調製物は、非還元SDS/10−15%(wt/vol)−ポリアクリルア ミドゲル電気泳動で160kDの単一バンドとして、そして還元SDS/10− 15%(wt/vol)−ポリアクリルアミドゲル電気泳動でそれぞれ50及び 30kDの2本のバンドとして移動した。活性第XII因子の軽鎖に対して向かい 、その触媒活性を妨げるモノクローナル抗体(mAb)OT−2(Dors D .M.等、1992、Thromb Haemost 67:644)を第XIa 因子調製物に添加し(80μg/mlの 最終濃度)、微量の残っている第XIIa因子をブロックした。第XIa因子の濃度 を80kDサブユニットのモル濃度として表した。精製されたヒトα−第XIIa 因子をKordia Laboratory Supplies、Leiden 、The Netherlandsから購入した。カリクレイン、β−第XIIa 因子及びC1sを記述されたように精製した(Nuijens J.H.等、1 987、Thromb Haemost 58:778;Nuijens J. H.等、1987、Immunology 61:387)。精製されたC1− インヒビター調製物をBehringwerke AG(Marburg、Ge rmany)及び我々の研究所(CLB)の血漿生成物の開発部門から、α1− アンチトリプシン、α2−アンチプラスミン及びアンチロトンビンIIIをCal biochem(La Jolla、CA)から購入した。 0.1mol/l Tris−HCl、pH7.4、0.14mol/l Na Cl及び0.1%(wt/vol)Twを含むバッファー中で0.4mmol/ lの最終濃度で発色性基質S−2366を用いることにより、マイクロタイター プレート(Greiner GmbH、Frickenhausen、Germ any)のウェル中で第XIa因子のアミド分解活性を測定した(200μlの全 容量)。タイターテックツインリーダー(Titertek twinread er)(Flow Laboratories、Irvine、UK)を用いて 、405nmの吸光度の初期変化(δA)を37℃で測定した。 グリコサミノグリカン及びDXSは、カリクレインのアミド分解活性に直接影 響を及ぼすことができる。Tankersley D.L.等、1983、Bl ood 62:448。ヘパリン、ヘパラン硫酸または デルマタン硫酸は、第XIa因子のアミド分解活性に対して測定できる効果を有さ ず、一方、DXS MW 500,000は、この活性を投与量に依存して50% まで阻害したが、DXS MW 5,000はそうしなかった(図1)。さらなる 実験において、DXSを用いて得られた結果は、この効果に関して修正された。 バッファーとして0.1mol/l Tris−Hcl、pH7.4、0.1 4mol/l NaCl、0.1%(wt/vol)Twを用いて37℃で0. 5mlのポリプロピレンチューブ中、グリコサミノグリカンまたはDXSの存在 または非存在下で第XIa因子及びインヒビターをインキュベートした。インキュ ベーション前に、これらの混合物の各種成分を37℃で5分間前もって温めた。 前もって温めた第XIa因子(最終濃度3ないし8nmol/l)を反応混合物に 添加した後、各時間で10μlのアリコートを取り出し、上記のように190μ lのバッファー及び基質に希釈することにより、第XIa因子の残存アミド分解活 性を評価した。観察されたδA/分は測定の期間中一定であり、これを第XIa因 子及びグリコサミノグリカンを含むがプロテアーゼインヒビターを含まない試料 のδA/分と比較することにより最大活性のパーセンテージに換算した。第XIa 因子に対して13ないし210倍モル過剰でインヒビターを用いる擬一次条件下 で阻害の速度反応論を調べた。実際、第XIa因子の残存アミド分解活性の自然対 数を時間に対してプロットした時に得られる直線から結論づけられるように(図 2A)、C1−インヒビターによる第XIa因子の不活性化は、擬一次条件下で一 次反応速度論に従うようであった。これらの条件下で、式ln(E/E0)=− k x t、式中、E0は第XIa因子の初期濃度であり、Eは時間tで残存し ている第XIa因子の濃度である、は、阻害反応速度論を表す(Soons H. 、1987、Biochemistry 26:4624)。この式により、見 かけの一次速度定数kの値は、これらの線の勾配から計算され、これらが、C1 −インヒビターの濃度に正比例することが見いだされた(図2B)。従って、以 前の研究と一致して、阻害は二次であることが見いだされた。Soons H. 、1987、Biochemistry 26:4624。反応を表す速度定数 を線形回帰分析により計算し、1.8 x 103-1-1であると求められた。 異なる量のデキストラン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸またはデルマタナ硫酸の 存在下でのC1−インヒビターによる第XIa因子の阻害も擬一次条件下で一次で あるようであった。しかしながら、これらの速度定数は、グリコサミノグリカン の増加する量と共に増加した(図3)。DXS MW 500,000及びDXS MW 5,000は、調べられた生理学的グリコサミノグリカンのいずれよりも C1−インヒビターによる第XIa因子の阻害を増大することに有効であるようで あった(図4)。二次速度定数を計算するために式k1=k2 x [C1−インヒ ビター]を用いたことを除いて、第XIa因子の他のインヒビターを用いて同様の 実験を実施した。第XIa因子の残存アミド分解活性の時間に対する半対数プロッ トにおいて再び直線が得られ、これは、反応が一次であることを示す。見かけの 二次速度定数の値を計算し、これらを表Iに示す。各速度定数を少なくとも2回 測定し、異なる測定間の変動は、9.6±0.5%(平均±平均の標準誤差)で あった。従って、各種グリコサミノグリカンはC1−インヒビターによる第XIa 因子の阻害を強化したが、半合成化合物DXSが、第XIa因子の阻害に関してC 1−インヒビターを最も よく、すなわち100倍以上まで強化する化合物であった。また、DXSは、ア ンチトロンビンIII(ATIII)による第XIa因子の阻害も強化したが、この効果 は5倍より大きくはなく、またATIIIに対するヘパリンのものよりかなり弱か った(表I)。α2−アンチプラスミン(α2AP)またはα1−アンチトリプ シン(αIAT)による第XIa因子の阻害は、DXSによりほとんど高められな かった。 表I. 各種グリコサミノグリカン(GAG)またはDXSの存在下でのC1− インヒビター(C1Inh)、α1−アンチトリプシン(α1AT)、α2−ア ンチプラスミン(α2AP)及びアンチトロンビンIII(ATIII)による第XIa 因子の不活性化の二次速度定数。 1 DXS MW 500,000[10μg/ml、最終濃度];2 DXS MW 5,000[10μg/ml]; *Hep、ヘパリン[50U/ml]; HS、ヘパラン硫酸[1mg/ml]; DS、デルマタン硫酸[1mg/ml]; nd=測定されない。 上記と同様にして、C1−インヒビターによる第XIIa因子またはカリクレイ ンの阻害に対するグリコサミノグリカン及びDXSの効果を調べ た。これらの実験では、C1−インヒビターの強化は見られなかった(表II)。 表II. 各種グリコサミノグリカン(GAG)またはDXSの存在下でのC1− インヒビターによるα−第XIIa因子、β−第XIIa因子及びカリクレインの不活 性化の二次速度定数。 1 DXS MW 500,000[125μg/ml、最終濃度];2 DXS MW 5,000[125μg/ml]; *HS、ヘパラン硫酸[1mg/ml]; DS、デルマタン硫酸[1mg/ml]。 このように、C1−インヒビターによる第XIa因子の阻害に対する増大効果に もかかわらず、DXS及びグリコサミノグリカンは、C1−インヒビターによる 第XIIa因子またはカリクレインの阻害に対しては、たとえあったとしても、ほ とんど効果を有さなかった。 二次条件を用いてC1sの阻害を分析した。各種グリコサミノグリカンは、C 1−インヒビターによるC1sの阻害も強化するようであった。図5は、DXS MW 500,000が、C1−Inh(15nM)によるC1s(3nM)の アミド分解活性に関してC1−インヒビター(15nM)の阻害活性を最もよく 強化することを示す。図6は、DXSのこの効果が、10−20μg/mlのD XS濃度で最高であること を示す。DXS MW 5,000を用いて同様の結果が得られた(図3参照)。 これらのデータをまとめると、表IIIに示される阻害の二次速度定数が得られる 。 表III. 各種グリコサミノグリカン(GAG)の存在下でのC1−インヒビタ ーによるC1sの不活性化の二次速度定数。*DXS、デキストラン硫酸; HS、ヘパラン硫酸; DS、デルマタン硫酸; CSA/CSC、コンドロイチン硫酸A/C。 #最終濃度。 このように、この項で示される実験で、C1−インヒビターをDXSとインキ ュベートすることによりC1−インヒビターによるC1sまたは第XIa因子の阻 害を強化でき、一方、接触系の阻害は変化しないことが示される。血漿における補体活性化に対するDXSの効果 この項及び次の項に示される実施例は、本発明をさらに具体的に説明 することを意味し、本発明の範囲を限定するとみなされるべきではない。例えば 、供給源、型またはDXS種の製造方法の変形;異なるアッセイ;異なる標識及 び/またはシグナル;異なる材料及び形態の試験サポート(supports) を本発明の範囲から外れることなしに利用することができる。 DXSを新しいヒト血清に添加し、続いてこの混合物を集合IgG、コブラ毒 因子、大腸菌バクテリアまたはザイモサンのような補体アクチベーターと37℃ でインキュベーションすることにより、血清におけるC1−インヒビターによる 補体の阻害に対するDXSの効果を試験することができる。このインキュベーシ ョン後、さらなる活性化を防ぐためにEDTAを添加し、C3a、C4a、C5 a、C3b/bi/c、C4b/bi/cまたはC5b−C9のような補体活性 化生成物の存在に関して混合物を調べる。これらの補体活性化生成物のアッセイ は、当該技術分野においてよく知られており、市販のものを購入することができ る。好ましいアッセイは、Hack C.E.等、1988、J Immuno l Meth 108:77;Hack C.E.等、1990、J Immu nol 144:4249;Nuijens J.H.等、1989、J Cl in Invest 84:443;及びWolbink G.J.等、199 3、J Immunol Meth 163:67により記述されたものである 。 図8及び図9に示されるように、DXS MW 500,000及びDXS M W 5,000は両方とも、集合IgGによる血清における補体活性化を顕著に 阻害した。すなわち、約100−200μg/mlの濃度の両DXS種は、古典 的経路のアクチベーターである集合IgGによ る血清における活性C4及びC3の生成をほとんど完全に阻害した。さらに、D XS MW 5,000ではなく、DXS MW 500,000は、C1s−C 1−インヒビター複合体の生成も阻害し、これは、おそらく、集合IgGへのC 1sの結合に対してDXS MW 500,000が直接作用することを表してい る。ヘパリン及びN−アセチル−ヘパリンの作用を同様の実験で調べた。図10 に示されるように、ヘパリンは、DXS MW 5,000と同様に集合IgGに よる血清における補体活性化を阻害した。それに反して、N−アセチル−ヘパリ ンは、ヘパリンまたはDXSより弱い補体インヒビターであるようであった(図 11)。減少した抗凝血特性を有するこのヘパリン種の活性C3の生成に対する 効果はほとんど見られず、一方、C4活性化の阻害は、1mg/mlの濃度を調 べなければ完全ではなかった。 DXSで処理したC1−インヒビターの効果をCH50測定の投与量反応曲線 のものと評価することにより、1Uの精製されたC1−インヒビターに対するD XSの効果を増加するC1−インヒビター濃度の効果と直接比較した。このため に、DXSと前もってインキュベートした1UのC1−インヒビター、またはD XSを含まない各種濃度のC1−インヒビターを再石灰化血漿に添加し、これら の混合物のCH50力価を測定した。表IVに示されるこれらの結果は、高投与量 、すなわち135UまでのC1−インヒビターを添加した際のCH50力価の減 少がほんのわずか、すなわち44から27U/mlまでであったことを示す。同 様の効果が、DXSで強化された1UのC1−インヒビターで見られた表IV. CH50アッセイにより測定される再石灰化血漿の溶血活性に対する、DXSで 強化された1UのC1−インヒビターと未処理のC1 −インヒビターの効果の比較。 *DXS、デキストラン硫酸;C1−Inh、C1−インヒビター このように、この項に記述した実験により、DXSが血清中のC1−インヒビ ターを強化し、補体活性化生成物の生成を減少することができることが示される 。C1−インヒビターを含有する治療的組成物におけるDXSの応用 本発明の好ましい態様において、治療的組成物は、例えば、Voogelaa r E.F.等、1974、Vox Sang 26:118に従って調製され るように、有効成分として血漿由来のC1−インヒビターを含む。この調製物の ウイルス安全性は、B型肝炎−免疫グロブリンの添加及び最終容器中での凍結乾 燥調製物の熱処理により保証される。Brummelhuis H.G.J.等 、1983、Vox Sang 45:205、Tersmette等、198 6、Vox Sang 51:239。以下の精製工程を含む方法により、ビタ ミンK依存 性血液凝固因子を欠いた、C1−インヒビターは、ヒト血漿から調製される。す なわち、1)開始する血漿を滅菌蒸留水で1対10希釈し;2)希釈した血漿を 2g/kgの濃度でDEAE−セファデックス(DEAE−Sephadex) A50(Pharmacia Fine Chemicals、Uppsala 、Sweden)と8−10℃で60分間インキュベートし;3)このDEAE −セファデックスを集め、150mM塩化ナトリウム、pH7.0で洗浄し、1 0mMクエン酸三ナトリウム、2M塩化ナトリウム、pH7.0で溶出し;4) 50%、v/vの最終濃度が得られるように溶出液に硫酸アンモニウムを添加し ;5)13,000rpmで遠心分離した後、65%、v/vの最終濃度が得ら れるように上清に硫酸アンモニウムを添加し;6)沈殿物を遠心分離により集め 、10mMクエン酸三ナトリウム、pH7.0に溶解し;7)硫酸アンモニウム を除き、溶液を40−50mg/mlのタンパク質濃度に濃縮するために分離濾 過(diafiltration)を実施し;8)B型肝炎免疫グロブリン(0 4IU/ml)を添加した後、溶液を0.22μmフィルターを通して濾過し、 バイアルに分注し、凍結乾燥し;9)凍結乾燥生成物を60℃で72時間熱処理 する。 本発明の好ましい態様において、C1−インヒビターをDXS(例えば、C1 −インヒビターの1ユニット当たり100μg)と混合し、1時間インキュベー トし、次に、静脈内注入により投与する。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】1997年10月30日(1997.10.30) 【補正内容】 請求の範囲 1. C1−エステラーゼインヒビター、補体及び血液凝固の阻害に関してC 1−エステラーゼインヒビターを選択的に強化するが、接触及び線維素溶解系の 阻害に関しては強化しないデキストラン硫酸種、並びに製薬学的に受容しうる担 体を含んでなる製薬学的組成物。 2. 該デキストラン硫酸種が低分子量のデキストラン硫酸である、請求の範 囲1の製薬学的組成物。 3. 該デキストラン硫酸種が約5,000の分子量を有するデキストラン硫 酸である、請求の範囲2の製薬学的組成物。 4. 該デキストラン硫酸種が約500,000の分子量を有するデキストラ ン硫酸である、請求の範囲1の製薬学的組成物。 5. 該C1−エステラーゼインヒビターが、血漿から精製されるC1−エス テラーゼインヒビター、血漿以外の生物学的材料から精製されるC1−エステラ ーゼインヒビター、組み換え体C1−エステラーゼインヒビター及び組み換え体 C1−エステラーゼインヒビターの突然変異体からなる群から選択される、請求 の範囲1の製薬学的組成物。 6. 該C1−エステラーゼインヒビターが、ヒト血漿から精製されるC1− エステラーゼインヒビター、血漿以外の生物学的ヒト材料から精製されるC1− エステラーゼインヒビター、ヒト組み換え体C1−エステラーゼインヒビター及 びヒト組み換え体C1−エステラーゼインヒビターの突然変異体からなる群から 選択される、請求の範囲1の製薬学的組成物。 7. 該C1−エステラーゼインヒビター及び該デキストラン硫酸種が互いに 化学的に結合される、請求の範囲1の製薬学的組成物。 8. 補体及び血液凝固の阻害に関してC1−エステラーゼインヒビターを選 択的に強化するが、接触及び線維素溶解系の阻害に関しては強化しないために有 効な量で該デキストラン硫酸種を含んでなる、請求の範囲1の製薬学的組成物。 9. 抗炎症組成物としての使用のための、請求の範囲1の製薬学的組成物。 10. 敗血症または心筋梗塞症の予防または治療処置のための、請求の範囲 1の製薬学的組成物。 11. 補体及び血液凝固の阻害に関してC1−エステラーゼインヒビターを 選択的に強化するが、接触及び線維素溶解系の阻害に関しては強化しないデキス トラン硫酸種の有効量を哺乳類に投与することを含んでなる、該哺乳類の予防ま たは治療処置方法。 12. 該哺乳類に生理学的に有効量のC1−エステラーゼインヒビターを投 与することをさらに含んでなる、請求の範囲11の方法。 13. 該デキストラン硫酸種及び該C1−エステラーゼインヒビターが、物 理的混合物の形態で、または互いに化学的に結合して、または別個の組成物で投 与される、請求の範囲12の方法。 14. 補体及び血液凝固の阻害に関してC1−エステラーゼインヒビターを 選択的に強化するが、接触及び線維素溶解系の阻害に関しては強化しないための 製薬学的組成物を調製するためのデキストラン硫酸種の使用。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 38/00 A61K 47/36 47/36 35/14 B // A61K 35/14 37/02

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 補体及び血液凝固の阻害に関してC1−エステラーゼインヒビターを選 択的に強化するが、接触及び線維素溶解系の阻害に関しては強化しないデキスト ラン硫酸種、並びに製薬学的に受容しうる担体を含んでなる製薬学的組成物。 2. 該デキストラン硫酸種が低分子量のデキストラン硫酸である、請求の範 囲1の製薬学的組成物。 3. 該デキストラン硫酸種が約5,000の分子量を有するデキストラン硫 酸である、請求の範囲2の製薬学的組成物。 4. 該デキストラン硫酸種が約500,000の分子量を有するデキストラ ン硫酸である、請求の範囲1の製薬学的組成物。 5. C1−エステラーゼインヒビターをさらに含んでなる、請求の範囲1の 製薬学的組成物。 6. 該C1−エステラーゼエンヒビターが、血漿から精製されるC1−エス テラーゼインヒビター、血漿以外の生物学的材料から精製されるC1−エステラ ーゼインヒビター、組み換え体C1−エステラーゼインヒビター及び組み換え体 C1−エステラーゼインヒビターの突然変異体からなる群から選択される、請求 の範囲5の製薬学的組成物。 7. 該C1−エステラーゼインヒビターが、ヒト血漿から精製されるC1− エステラーゼインヒビター、血漿以外の生物学的ヒト材料から精製されるC1− エステラーゼインヒビター、ヒト組み換え体C1−エステラーゼインヒビター及 びヒト組み換え体C1−エステラーゼインヒビターの突然変異体からなる群から 選択される、請求の範囲5の製薬学的組成物。 8. 該C1−エステラーゼインヒビター及び該デキストラン硫酸種が互いに 化学的に結合される、請求の範囲5の製薬学的組成物。 9. 補体及び血液凝固の阻害に関してC1−エステラーゼインヒビターを選 択的に強化するが、接触及び線維素溶解系の阻害に関しては強化しないために有 効な量で該デキストラン硫酸種を含んでなる、請求の範囲1または請求の範囲5 の製薬学的組成物。 10. 抗炎症組成物としての使用のための、請求の範囲1または請求の範囲 5の製薬学的組成物。 11. 敗血症または心筋梗塞症の予防または治療処置のための、請求の範囲 1または請求の範囲5の製薬学的組成物。 12. 補体及び血液凝固の阻害に関してC1−エステラーゼインヒビターを 選択的に強化するが、接触及び線維素溶解系の阻害に関しては強化しないデキス トラン硫酸種の有効量を哺乳類に投与することを含んでなる、該哺乳類の予防ま たは治療処置方法。 13. 該哺乳類に生理学的に有効量のC1−エステラーゼインヒビターを投 与することをさらに含んでなる、請求の範囲12の方法。 14. 該デキストラン硫酸種及び該C1−エステラーゼインヒビターが、物 理的混合物の形態で、または互いに化学的に結合して、または別個の組成物で投 与される、請求の範囲13の方法。 15. 補体及び血液凝固の阻害に関してC1−エステラーゼインヒビターを 選択的に強化するが、接触及び線維素溶解系の阻害に関しては強化しないための 哺乳類の予防または治療処置方法において使用するためのデキストラン硫酸種。 16. 補体及び血液凝固の阻害に関してC1−エステラーゼインヒ ビターを選択的に強化するが、接触及び線維素溶解系の阻害に関しては強化しな いための製薬学的組成物を調製するためのデキストラン硫酸種の使用。
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