JP2000354637A - 荷電粒子照射装置 - Google Patents

荷電粒子照射装置

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JP2000354637A
JP2000354637A JP11168562A JP16856299A JP2000354637A JP 2000354637 A JP2000354637 A JP 2000354637A JP 11168562 A JP11168562 A JP 11168562A JP 16856299 A JP16856299 A JP 16856299A JP 2000354637 A JP2000354637 A JP 2000354637A
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charged particle
particle beam
irradiation
beams
irradiation apparatus
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Manabu Mizota
学 溝田
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Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 照射時間を短縮し、患者への負担と危険性と
を低減することが可能な大強度短時間照射の荷電粒子照
射装置を得る。 【解決手段】 エネルギーの異なる複数の荷電粒子ビー
ム1A、1Bを供給する線源と、このエネルギーの異な
る複数の荷電粒子ビーム1A、1Bをそれぞれのエネル
ギーに応じた曲率半径で偏向する偏向電磁石10と、エ
ネルギーの異なる複数の荷電粒子ビーム1A,1Bをそ
れぞれのエネルギーに応じた異なる導入角で偏向電磁石
10に導入する輸送系と、偏向電磁石10から出射され
る荷電粒子ビーム6を被照射体に照射する照射系11と
を備え、エネルギーの異なる複数の荷電粒子ビーム1
A、1Bが偏向電磁石10により偏向され、ほぼ同一軌
跡に合成されて出射されるように構成したものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、深さ方向に広が
りをもつ荷電粒子ビームを照射する荷電粒子照射装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】図8ないし図10は、例えばHIMAC
用重粒子線治療・照射機器(三菱電機技報・Vol69
・No.2・1995)に記載された従来の荷電粒子照
射装置を示すもので、図8は楔形フィルタ(高速レンジ
フター)を使用した荷電粒子照射装置の説明図、図9は
図8の荷電粒子照射装置の特性図、図10はリッジフィ
ルタを使用した荷電粒子照射装置の説明図である。図8
において、1は図示しない荷電粒子の加速器から導かれ
る荷電粒子ビーム、2は荷電粒子を照射する被照射体、
3は荷電粒子ビーム1と被照射体2との間に設けられる
楔形フィルタであり、楔形フィルタ3はACサーボモー
タなどにより駆動されて図の矢印の方向に直線状に移動
することができ、この移動により荷電粒子ビーム1と被
照射体2との間において楔形フィルタ3の厚みが変化
し、被照射体2に照射される荷電粒子ビームの運動エネ
ルギー(以下単にエネルギーと称す)が変えられるよう
に構成されている。
【0003】図9は人体や水に単一のエネルギーを持つ
荷電粒子ビーム、特に陽子線ビームや重粒子線ビームを
照射したときの、深さ方向の相対線量を示す特性図であ
り、荷電粒子ビームの到達するほぼ最深部付近に相対線
量のピークが現れる。これはブラッグピークと呼ばれる
ものであり、図の曲線Aは比較的にエネルギーが高い荷
電粒子ビームが照射された場合、曲線Bは比較的にエネ
ルギーが低い荷電粒子ビームが照射された場合を示し、
荷電粒子ビームのもつエネルギーによりブラッグピーク
の現れる深さが変わることを示している。このように、
陽子線ビームや重粒子線ビームなどの荷電粒子ビームの
照射においては被照射体2の内部の特定の深さに相対線
量のピークをもたせることができ、この深さは荷電粒子
ビームのエネルギーにより制御が可能であることから、
放射線治療においてはX線治療のように正常組織にまで
影響を与えることなく、例えばガン組織などの部位にの
み集中して照射し、効果的に治療することが可能にな
る。
【0004】荷電粒子ビームのエネルギーを変えて照射
深さを調整する方法としては、加速器のエネルギーは一
定で、フィルタを線源と被照射体との間に挿入して擬似
的に被照射体の厚みを変える方法、すなわち、フィルタ
でエネルギーを低下させる方法と、加速器自体のエネル
ギーを可変にする方法との2種類があり、上記の図8に
示す方法は、楔形フィルタ3を移動させることにより荷
電粒子ビームの通過するフィルタの厚さを変え、荷電粒
子が物質中を通過することによるエネルギーの低下量を
調整する方法である。このような荷電粒子ビームを患部
の治療などに使用するとき、通常は被照射体内部におい
て、照射したい部位には深さ方向に厚みがある場合が多
く、従来の装置では楔形フィルタ3を移動させて荷電粒
子ビームの通過厚さを連続的に変化させるか、または、
加速器のエネルギーを連続的に変化させることによりブ
ラッグピークの深さを連続的に変化させ、所定の深さの
範囲を照射していた。
【0005】また、図10に示すリッジフィルタを使用
するものでは、荷電粒子ビーム1と被照射体2との間に
リッジフィルタ4が設けられる。リッジフィルタ4は図
に示すように、略三角柱が荷電粒子ビーム1の軸に対し
て直角方向の面に連続して形成されたフィルタであり、
このように空間的にフィルタの厚さを変えることによ
り、図10に付記したグラフの曲線Cに示すように、ブ
ラッグピークを深さ方向に厚みをもたせることができ
る。しかし、このようなリッジフィルタ4ではミクロ的
には照射量が不均一にならざるを得ず、均一な照射を行
うためにはリッジフィルタ4を荷電粒子ビーム1の軸に
対して直角方向に揺動させるか回転させ、荷電粒子ビー
ムの通過厚さを連続的に変化させる必要がある。この方
法によればリッジフィルタ4の略三角柱の形状と厚さと
を変えることにより任意の深さと深さの範囲とに荷電粒
子ビームを照射することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上のように従来の荷
電粒子照射装置では、荷電粒子ビームの照射源と被照射
体との間に挿入するフィルタの厚さを時間的または空間
的に変化させるか、あるいは、加速器の荷電粒子ビーム
のエネルギーを時間的に変化させることにより、所定の
深さと所定の深さの範囲とに荷電粒子ビームを集中して
照射することが可能であった。しかし、時間的にフィル
タの厚みを変えたり、加速器のエネルギーを変えたりし
て治療を行う場合、所定の範囲に完全に照射をするため
には治療時間が増加することになり、患者の負担が増加
したり、長い治療時間中に患者が動くことにより不必要
な部位へ照射が行われる危険性があった。また、空間的
にフィルタの厚みを変えるリッジフィルタを使用する場
合には均一な照射が不可能であり、均一な照射をするた
めにはリッジフィルタを揺動または回転させる必要があ
って長時間の照射が必要となり、患者の負担の増加と不
必要な部位への照射による危険性とは避けられないもの
であった。
【0007】この発明は、このような課題を解決するた
めになされたものであり、照射時間すなわち治療時間を
短縮して患者への負担と危険性を低減することが可能
な、大強度短時間照射の荷電粒子照射装置を得ることを
目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明に係わる荷電粒
子照射装置は、エネルギーの異なる複数の荷電粒子ビー
ムを供給する線源と、このエネルギーの異なる複数の荷
電粒子ビームをそれぞれのエネルギーに応じた曲率半径
で偏向する偏向装置と、エネルギーの異なる複数の荷電
粒子ビームをそれぞれのエネルギーに応じた異なる導入
角で偏向装置に導入する輸送系と、偏向装置から出射さ
れる荷電粒子ビームを被照射体に照射する照射系とを備
え、エネルギーの異なる複数の荷電粒子ビームが偏向装
置により偏向され、ほぼ同一軌跡に合成されて出射され
るように構成したものである。
【0009】また、複数の荷電粒子ビームを供給する線
源が複数の加速器により構成され、それぞれの荷電粒子
ビームの強度とパルス幅と偏向装置に対する導入タイミ
ングとが制御されるように構成したものである。さら
に、線源から供給される複数の荷電粒子ビームの少なく
とも一つが異なるイオン種をもつ荷電粒子ビームとなる
ようにしたものである。さらにまた、線源から供給され
る複数の荷電粒子ビームの少なくとも一つがターゲット
物質により核変換された荷電粒子ビームであるようにし
たものである。
【0010】また、複数の荷電粒子ビームを供給する線
源が、加速器と、この加速器より出射される荷電粒子ビ
ームを複数の荷電粒子ビームに分岐する分岐部と、この
分岐された荷電粒子ビームのエネルギーを調整する散乱
体と、コリメータとを有しているものである。さらに、
複数の荷電粒子ビームを供給する線源が、加速器と、こ
の加速器より出射される荷電粒子ビームを複数の荷電粒
子ビームに分岐する分岐部と、この分岐された荷電粒子
ビームの少なくとも一つを核変換するターゲットと、コ
リメータとを有しているものである。さらにまた、偏向
装置は偏向電磁石であって、偏向電磁石の磁場の強さが
制御され、偏向電磁石から出射される荷電粒子ビームの
軌跡が可変となるように構成したものである。
【0011】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1はこの発明の
荷電粒子照射装置の動作原理を、また、図2はこの発明
の実施の形態1の荷電粒子照射装置の構成を示すもので
ある。図1において、1Aは図示しない加速器などの線
源Aから入射される荷電粒子ビーム、1Bは図示しない
加速器などの線源Bから入射される荷電粒子ビーム、5
は偏向電磁石が作る磁場領域を示し、磁場領域5の磁場
は図に示すように図の紙面に対して垂直方向に加わって
いる。荷電粒子ビーム1Aと1Bとは同一イオン、また
は異種イオンであり、図のエネルギー分布曲線に示すよ
うにイオン価当たりのエネルギーが異なり、図の例では
荷電粒子ビーム1Aは強度・エネルギー共に荷電粒子ビ
ーム1Bより大きく設定されると共に、磁場領域5に対
しては異なる角度で導入される。これらの荷電粒子ビー
ムの強度とエネルギーとはそれぞれの線源、つまり、そ
れぞれ加速器、または、ビーム輸送系にて作り出され、
または、調整されるものである。
【0012】磁場領域5に導入された各荷電粒子ビーム
1Aおよび1Bは、磁場内においてそれぞれのビームの
イオン価当たりのエネルギーの大きさTにより異なる曲
率半径ρをもって偏向される。つまり、磁場の磁束密度
をBとすると曲率半径ρは、ρ=f(T、B)の関係を
もって偏向されるため、異なるエネルギーを持つ荷電粒
子ビーム1Aと1Bとをそれぞれのエネルギー差に対応
する角度差で磁場領域5に導入することにより、磁場内
では荷電粒子ビーム1Aが大きな曲率半径ρAで、ま
た、荷電粒子ビーム1Bは小さな曲率半径ρBで偏向さ
れ、磁場領域5の出口では図に示すように同一軌跡を通
る合成荷電粒子ビーム6となり、合成荷電粒子ビーム6
は荷電粒子ビーム1Aと荷電粒子ビーム1Bとの合成で
あるため、図の6の曲線に示すように、二つの異なる強
度とエネルギー分布、従って二つのブラッグピークをも
つ合成荷電粒子ビームとなる。なお、この例では二つの
線源を用いた場合を示したが、線源の数を増加し、それ
ぞれの線源の強度とエネルギーとを調整することにより
任意の分布を持つ合成荷電粒子ビームを作り出すことが
できる。
【0013】図2はこのような荷電粒子照射装置の構成
を示すもので、7Aおよび7Bは陽子や炭素などの重粒
子を加速するサイクロトロンやシンクロトロンなどより
なる加速器、8Aおよび8Bは加速器7Aおよび7Bの
制御系、9は両加速器と両制御系とを一括して制御する
全体制御系、1Aは加速器7Aより出射される荷電粒子
ビーム、1Bは加速器7Bより出射される荷電粒子ビー
ムである。制御系8Aおよび8Bは、それぞれの加速器
7Aおよび7Bから取り出される荷電粒子ビーム1Aと
1Bのエネルギーと出射時間幅であるパルス長さとタイ
ミングと強度などを制御し、全体制御系9は各制御系8
Aおよび8Bに所定のタイミングで所定のエネルギーと
パルス長さと強度とを有する荷電粒子ビームを出射する
ように指令する。10は図1に示した磁場領域5を有す
る偏向電磁石、11は治療台やコリメータなどから構成
される照射系である。なお、図2の荷電粒子照射装置の
構成では荷電粒子ビームの輸送系を省略し、輸送系を通
るビームの軌跡のみを示している。
【0014】このように構成されたこの発明の実施の形
態1の荷電粒子照射装置においては、加速器7Aおよび
7Bから取り出される荷電粒子ビーム1Aおよび1Bの
エネルギーに応じて偏向電磁石10の磁束密度と、輸送
系から偏向電磁石10に導入される各荷電粒子ビーム1
Aと1Bの導入角とを設定することにより、偏向電磁石
10から照射系11に供給される荷電粒子ビームは各ビ
ーム1Aと1Bとがほぼ同一軌跡に合成された合成荷電
粒子ビーム6となり、荷電粒子ビーム1Aおよび1Bの
強度とエネルギーとを変えることにより、任意の強度と
二つのブラッグピークとをもつ合成荷電粒子ビーム6が
得られることになる。
【0015】また、荷電粒子ビーム1Aおよび1Bのエ
ネルギーと偏向電磁石10に対する導入角とを制御する
ことにより、ブラッグピークも任意の深さと深さ方向の
幅とに設定することができ、従来装置のように深さ方向
に幅を持たせた照射を行うために長い時間を必要とせ
ず、極めて短時間で所定の領域に照射ができるので、患
者の負担を軽減させることが可能となり、また、不必要
な部位への照射が防止できて安全性が高く、大線量で短
時間治療が可能な荷電粒子照射装置を得ることができる
ものである。また、加速器の数を増加させることによ
り、ブラッグピークの深さ方向の幅を拡大したり、より
均一な照射を行うことが可能になる。
【0016】実施の形態2.図3はこの発明の実施の形
態2の荷電粒子照射装置の構成を示すもので、7はサイ
クロトロンやシンクロトロンなどよりなり、陽子や炭素
などの重粒子を加速して荷電粒子ビームを発生する加速
器、12は例えばセプタム電磁石などを使用して荷電粒
子ビームを分岐する分岐部であり、分岐部12にて分岐
された荷電粒子ビーム13と14との内、一方の荷電粒
子ビーム14はエネルギーを減少させるためのデグレー
ダ15を通して輸送系に導入される。16は分岐された
それぞれの荷電粒子ビーム13と14とを輸送する輸送
系に設けられ、荷電粒子ビームを上下および左右からそ
の軌道を狭めて強度や広がりを抑制するコリメータ、1
0と11とは実施の形態1と同様の偏向電磁石と照射系
である。
【0017】このように構成されたこの発明の実施の形
態2の荷電粒子照射装置において、デグレーダ15は金
属やアクリル樹脂など、通過する荷電粒子ビームのエネ
ルギーを減少させる物質により構成されているため、加
速器7より出射される荷電粒子ビームはエネルギーの減
少されない荷電粒子ビーム13とエネルギーが減少され
た荷電粒子ビーム14とに分かれ、それぞれの輸送系に
設けられたコリメータ16を通過する。コリメータ16
は任意に荷電粒子ビーム強度を制御できるので、偏向磁
石10には大エネルギーの荷電粒子ビーム13と小エネ
ルギーの荷電粒子ビーム14とがそれぞれの強度に調整
されて同時に導入され、また、それぞれのエネルギーに
対応した導入角で導入することにより、偏向電磁石10
から出射される荷電粒子ビームは強度が任意に調整され
た二種類のエネルギーを持つ合成荷電粒子ビーム6とな
り、被照射体内では異なる深さに二つのブラッグピーク
を形成する。
【0018】このように、この実施の形態の荷電粒子照
射装置によれば、1台の加速器7からエネルギーの異な
る複数の荷電粒子ビームを取り出すことができ、それぞ
れのビームの強度を個別にコリメータ16で変えること
ができる。また、荷電粒子ビームのエネルギーはデグレ
ーダ15の材質または厚みにより変更でき、加速器7が
1台で操作ができるので、複雑なタイミング制御を行う
ことなく複数の荷電粒子ビームを同時に発生させ、実施
の形態1と同等の効果を得ることができるものである。
なお、エネルギーの変換にここではデグレーダを使用し
て説明したが、核変換をさせるためのターゲット物質を
用いて異なる核種のビームを作っても同様の効果を得る
ことができるものである。また、図3では分岐部12を
1段のみとしたが、複数段の分岐部を設けてエネルギー
の異なる多数の荷電粒子ビームに分岐し、これらを偏向
電磁石10で合成することもできる。
【0019】実施の形態3.図4は、この発明の実施の
形態3の荷電粒子照射装置の構成を示すもので、この実
施の形態による荷電粒子照射装置は、実施の形態1の荷
電粒子照射装置に対し、一方の、例えば加速器7Bから
の輸送系の途中に核変換させるためのターゲット17を
設けるようにしたものである。例えば加速器7Bが炭素
12の荷電粒子ビーム1Bを発生し、輸送系の途中にお
いて例えばタングステンなどからなるターゲット17に
照射することにより、炭素12の荷電粒子ビーム1Bは
核変換されて炭素11の荷電粒子ビーム1Cに変換され
る。この変換後の荷電粒子ビーム1Cは加速器7Aから
出射される荷電粒子ビーム1Aと同時に偏向電磁石10
に導入され、偏向されて一つの合成荷電粒子ビーム6と
なって照射系11に供給され、図示しない被照射体に照
射される。
【0020】このように構成された実施の形態3の荷電
粒子照射装置において、ターゲット17により炭素12
の荷電粒子ビーム1Bを炭素11の荷電粒子ビーム1C
に核変換させた場合、炭素11は崩壊時にポジトロンを
発生する放射性の核種であるため、この荷電粒子ビーム
が体内で停止した位置をポジトロンカメラなどで測定す
ることが可能になり、照射しながらブラッグピークの位
置を検出することができる。すなわち、二種類の異なる
核種の荷電粒子ビームを合成して照射することにより、
一方のビームで治療しながら他方のビームで治療位置を
検出でき、治療位置を確認しながら治療を進めることが
可能になるものである。
【0021】実施の形態4.図5ないし図7は、この発
明の実施の形態4の荷電粒子照射装置の構成と動作内容
とを示すもので、この実施の形態は、所定の面積と厚さ
とをもつ三次元的な範囲に対し短時間に荷電粒子ビーム
を照射するためのものである。図5において、7Aおよ
び7Bは陽子や炭素などの重粒子を加速するサイクロト
ロンやシンクロトロンなどよりなる加速器、8Aおよび
8Bは加速器7Aおよび7Bの制御系、10は偏向電磁
石、11は治療台やコリメータなどから構成される照射
系、18は偏向電磁石10の磁場の強さ、すなわち、磁
束密度を制御する磁場制御装置、9は制御系8Aおよび
8Bと磁場制御装置18とを一括して制御する全体制御
系、1Aは加速器7Aより出射される荷電粒子ビーム、
1Bは加速器7Bより出射される荷電粒子ビームであ
り、実施の形態1の図2に対して磁場制御装置18が付
加され、全体制御系9が磁場制御装置18をも制御する
ようにしたものである。
【0022】このように構成されたこの発明の実施の形
態4の荷電粒子照射装置において、全体制御系9は磁場
制御装置18を制御して偏向電磁石10の磁場の強さを
制御し、例えば図7のグラフの磁束密度Bに示すように
磁場を変化させると共に、制御系8Aおよび8Bを操作
して加速器7Aおよび7Bの荷電粒子ビーム1Aと1B
のパルスを例えば図7の枠1Aおよび枠1Bに示すよう
に、そのパルス長さと出射タイミングとを制御する。こ
のように制御することにより、荷電粒子ビーム1Aおよ
び1Bは図6に示すように、最初に加速器7Aより出射
される荷電粒子ビーム1Aは偏向電磁石10の磁場が弱
いために偏向度が小さく図の点線61として偏向電磁石
10から照射系11に出射され、続いて出射されるビー
ム1Aおよび1Bは偏向度が大きくなって実線の合成荷
電粒子ビーム62となり、さらに続けて出射される荷電
粒子ビーム1Aおよび1Bは磁場強度の増加と共に偏向
度がさらに大となって合成荷電粒子ビーム63として出
射される。
【0023】このように、この実施の形態の荷電粒子照
射装置では複数の異なるエネルギーないしは複数の異な
る核種をもつ荷電粒子ビームを合成して合成荷電粒子ビ
ーム61ないし63を出射する偏向電磁石10の磁場の
強さと、加速器7Aおよび7Bからの出射タイミングと
パルス長さとを制御するようにしたので、磁場の強さを
掃引することにより、所定の深さ方向にブラッグピーク
の幅を持つ合成荷電粒子ビーム61ないし63を照射方
向を変えながら照射することができ、さらに、これに加
えて照射系11の治療台を合成荷電粒子ビーム61ない
し63の振れ方向とは直角方向に制御して移動させるこ
とにより、所定の面積と深さとをもつ三次元の範囲に荷
電粒子ビームを照射することができ、短時間に広い三次
元範囲の治療を行うことができるものである。
【0024】
【発明の効果】以上に説明したように、この発明の荷電
粒子照射装置によれば、線源よりエネルギーの異なる、
または、イオン種の異なる複数の荷電粒子ビームを偏向
電磁石に導入し、荷電粒子ビームのもつエネルギーに対
応してその導入角と磁場の強さとを制御することによ
り、偏向電磁石から照射系に出射される荷電粒子ビーム
をエネルギーの異なる複数の荷電粒子ビームをほぼ同一
軌跡上に合成した合成荷電粒子ビームとして得られるよ
うにしたので、治療に使用するとき、深さ方向に所定の
幅を持つブラッグピークが得られ、短時間で所定の範囲
に照射することが可能となって患者に負担をかけること
なく安全に治療ができる大線量で短時間治療が可能な荷
電粒子照射装置を得ることができるものである。
【0025】また、荷電粒子ビームを一台の加速器より
得てこれを分岐し、分岐された荷電粒子ビームをエネル
ギー制御するようにしたので、簡単な照射タイミングの
操作で深さ方向に所定幅のブラッグピークを有する荷電
粒子ビームが得られ、さらに、合成された複数の荷電粒
子ビームの内の少なくとも一つを核種変換した荷電粒子
ビームとしたので治療部位の確認を容易とすることがで
き、さらにまた、偏向電磁石の磁場の強さを掃引して変
えるようにしたので、所定の面積と深さの幅とを有する
三次元の範囲に対しても短時間内に照射ができるなど、
優れた荷電粒子照射装置を得ることができるものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の荷電粒子照射装置の動作原理の説
明図である。
【図2】 この発明の実施の形態1の荷電粒子照射装置
の構成説明図である。
【図3】 この発明の実施の形態2の荷電粒子照射装置
の構成説明図である。
【図4】 この発明の実施の形態3の荷電粒子照射装置
の構成説明図である。
【図5】 この発明の実施の形態4の荷電粒子照射装置
の構成説明図である。
【図6】 この発明の実施の形態4の荷電粒子照射装置
の動作説明図である。
【図7】 この発明の実施の形態4の荷電粒子照射装置
の動作説明図である。
【図8】 従来の荷電粒子照射装置の構成説明図であ
る。
【図9】 従来の荷電粒子照射装置の動作説明図であ
る。
【図10】従来の荷電粒子照射装置の構成説明図であ
る。
【符号の説明】
1A、1B 荷電粒子ビーム、5 磁場領域、6 合成
荷電粒子ビーム、7、7A、7B 加速器、8A、8B
制御系、9 全体制御系、10 偏向電磁石、11
照射系、12 分岐部、13、14 荷電粒子ビーム、
15 デグレーダ、 16 コリメータ、17 ターゲ
ット、18 磁場制御装置、61、62、63 合成荷
電粒子ビーム。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エネルギーの異なる複数の荷電粒子ビー
    ムを供給する線源、このエネルギーの異なる複数の荷電
    粒子ビームをそれぞれのエネルギーに応じた曲率半径で
    偏向する偏向装置、前記エネルギーの異なる複数の荷電
    粒子ビームをそれぞれのエネルギーに応じた異なる導入
    角で前記偏向装置に導入する輸送系、前記偏向装置から
    出射される荷電粒子ビームを被照射体に照射する照射系
    を備え、前記エネルギーの異なる複数の荷電粒子ビーム
    が前記偏向装置により偏向され、ほぼ同一軌跡に合成さ
    れて出射されるように構成したことを特徴とする荷電粒
    子照射装置。
  2. 【請求項2】 複数の荷電粒子ビームを供給する線源が
    複数の加速器により構成され、各加速器から出射される
    それぞれの荷電粒子ビームの強度と出射時間幅と偏向装
    置に対する導入タイミングとが制御されるように構成さ
    れたことを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子照射装
    置。
  3. 【請求項3】 線源から供給される複数の荷電粒子ビー
    ムの少なくとも一つが異なるイオン種をもつ荷電粒子ビ
    ームであることを特徴とする請求項1あるいは請求項2
    に記載の荷電粒子照射装置。
  4. 【請求項4】 線源から供給される複数の荷電粒子ビー
    ムの少なくとも一つがターゲット物質により核変換され
    た荷電粒子ビームであることを特徴とする請求項1ある
    いは請求項2に記載の荷電粒子照射装置。
  5. 【請求項5】 複数の荷電粒子ビームを供給する線源
    が、加速器と、この加速器より出射される荷電粒子ビー
    ムを複数の荷電粒子ビームに分岐する分岐部と、この分
    岐された荷電粒子ビームのエネルギーを調整する散乱体
    と、コリメータとを有していることを特徴とする請求項
    1に記載の荷電粒子照射装置。
  6. 【請求項6】 複数の荷電粒子ビームを供給する線源
    が、加速器と、この加速器より出射される荷電粒子ビー
    ムを複数の荷電粒子ビームに分岐する分岐部と、この分
    岐された荷電粒子ビームの少なくとも一つを核変換する
    ターゲットと、コリメータとを有していることを特徴と
    する請求項1に記載の荷電粒子照射装置。
  7. 【請求項7】 偏向装置は偏向電磁石であって、偏向電
    磁石の磁場の強さが制御され、偏向電磁石から出射され
    る荷電粒子ビームの軌跡が可変となるように構成された
    ことを特徴とする請求項1ないしは請求項6のいずれか
    一項に記載の荷電粒子照射装置。
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