JP2000342676A - 炭酸カルシウム複合体、製造方法および用途 - Google Patents

炭酸カルシウム複合体、製造方法および用途

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基体に炭酸カルシウムを形成させてなる炭酸
カルシウム複合体、製造方法および用途を提供する。 【解決手段】 基体を(イ)のカルシウムイオン溶液に
浸漬した後さらに(ロ)炭酸イオン溶液に浸漬すること
による炭酸カルシウム複合体の製造方法。その製造方法
による炭酸カルシウム複合体。この複合体は生体適合性
があり、医療用の用途に適する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基体の少なくとも
表面に炭酸カルシウムを生成させる炭酸カルシウム複合
体の製造方法、その製造方法により生成される炭酸カル
シウム複合体およびその生体適合性材料としての用途に
関する。
【0002】
【従来の技術】生体組織の中には骨、歯等の無機固体物
質を主要構成層とするものがあり、これらが損傷した場
合の組織の修復にはセラミックスが最も適している。こ
れはセラミックスの中には生きている骨と自然に結合す
るものがあることからもわかる。たとえば、主に歯周充
填剤としてBioglass(Nippon Elec
tric Glass Co.Ltd.,Otsu.S
iga.Japan,商品名、成分;Na2O−CaO
−SiO2−P25)や、主に骨充填剤として焼結ヒド
ロキシアパタイト(Ca10(PO46(OH)2)、人
工すい体や腸骨スペーサーなどとしてアパタイトとウォ
ラストナイト(CaO−SiO2)を含む結晶化ガラス
Cerabone A−W(Nippon Elect
ric Glass Co.Ltd.,Otsu.Si
ga.Japan,商品名)などが一般に知られてい
る。しかしながら例えば、ヒドロキシアパタイト、カー
ボネートアパタイトに関して、骨と結合する性質はその
組成だけでなく構造によっても変化することも知られて
おり、骨のアパタイトに近い組成や構造を造りだすこと
が重要な研究テーマとなっている。
【0003】生体親和性セラミックスである前記ガラス
やハイドロキシアパタイトや炭酸カルシウムを、金属の
ように強度の大きな材料の表面に作成し、大きな荷重下
でも使用可能な生体親和性材料を得るための試みが行わ
れてきた。また、有機ポリマー材料表面に同様なコーテ
ィングを行い、生体親和性に優れた有機ポリマー材料を
得るための研究も行われてきた。それまで炭酸カルシウ
ムは、生体組織との親和性が高いことは知られていた
が、応用例は少なかった。これは炭酸カルシウムが柔軟
性やねじれなどに対する耐久性に乏しく、軟組織におけ
る使用が困難であるためである。
【0004】また一方、鼻や耳などの軟骨組織を損傷し
た際の軟骨状の補強材や、骨折時の骨状の補強材あるい
は生体内で手術時の固定具等で留置可能な材料でさらに
組織の再生等に好影響を与える素材が求められてきた。
ハイドロキシアパタイト、カーボネートアパタイトと同
様に、炭酸カルシウムにおいても、前記のように生体組
織と親和性があるが、単独での使用が難しく、成形体が
可能な炭酸カルシウム複合体が求められている。炭酸カ
ルシウムの複合体として、例えばガラス基板上のキトサ
ンのフイルムに炭酸カルシウム飽和溶液から薄膜結晶を
析出させることが示されている(1999年高分子年
会)。しかしこれらは炭酸カルシウムの飽和水溶液を用
いており、各種の結晶が存在するなどの問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、基体と炭酸カルシウムからなる複合体を製造する方
法を提供することにある。本発明の第2の目的は、前記
の製造方法により製造される有機高分子重合体−炭酸カ
ルシウム複合体を提供することにある。本発明の第3の
目的は、前記基体が有機高分子重合体である有機高分子
重合体−炭酸カルシウム複合体を用いてなる生体適合性
材料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点に鑑み鋭意検討した結果、ハイドロゲル等の有機高分
子重合体をカルシウムイオン水溶液と炭酸イオン水溶液
あるいは炭酸水素イオン水溶液に浸漬すると有機高分子
重合体の表面若しくは内部に炭酸カルシウムが形成する
ことを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、
本発明は次の(1)〜(5)である。 (1)カルシウムイオンを含み実質的に炭酸イオンを含
まない第1の水溶液と、炭酸イオンを含み実質的にカル
シウムイオンを含まない第2の水溶液とに、基体を順次
に浸漬させる工程からなる基体−炭酸カルシウム複合体
の製造方法。
【0007】(2)前記の基体−炭酸カルシウム複合体
の製造方法により得られた炭酸カルシウム複合体。
【0008】(3)基体が親水性架橋高分子重合体であ
る前記の基体−炭酸カルシウム複合体。
【0009】(4)親水性架橋高分子重合体が架橋ポリ
ビニルアルコールのハイドロゲルである前記の基体−炭
酸カルシウム複合体。
【0010】(5)前記の基体−炭酸カルシウム複合体
からなる生体適合性材料。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明で用いる基体とは、前記の
カルシウムイオンを含みかつ実質的に炭酸イオンを含ま
ない第1の水溶液と、炭酸イオンを含み、かつ実質的に
カルシウムイオンを含まない第2の水溶液とに対して、
不溶性であれば、特に限定されないが、例えば、有機高
分子重合体、各種金属、各種セラミックス等が挙げられ
る。より好ましくは、その用途等から有機高分子重合体
が挙げられる。前記の有機高分子重合体としては、例え
ば、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リエステル、ナイロン、ポリカーボネート、テフロン、
シリコーン系エラストマー等が挙げられる。これらの有
機高分子重合体は、単独重合体でも共重合体でもよく、
その形状としては、例えば、板状、フイルム状、膜状、
筒状等の形状、あるいはメッシュ状等の繊維状のものが
好ましく挙げられる。より好ましくは、有機高分子重合
体水溶液でゲルをつくる親水性の架橋高分子重合体が挙
げられる。
【0012】特に原料のハイドロゲル等の有機高分子重
合体としては、緩衝液中等のカルシウムイオンや炭酸イ
オンなどが溶解する溶液に膨潤するなど親和性があるも
のが好ましく、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエ
チレングリコール、ポリ-γ-グルタミン酸、コラーゲン
等の合成または天然有機ポリマーおよびその共重合体を
主要な構成成分とした材料を好ましく挙げることができ
る。さらには、グリコシルエチルメタクリレート(GE
MA)の共重合体、そのGEMA共重合体の部分硫酸化
物、ヒアルロン酸等のムコ多糖、フイブロネクチン等を
主要な構成成分とした材料を好ましく挙げることができ
る。好ましくは、ハイドロゲルを形成する一部架橋した
親水性の樹脂である。具体的には、例えば、架橋ポリビ
ニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンア
ガロース、コラーゲン等が挙げられる。架橋ポリビニル
アルコールとしては、ポリビニルアルコールを一部グル
タルアルデヒド等の2官能のアルデヒドで架橋したもの
が好ましい。
【0013】また、前記基体としての各種金属として
は、ステンレススチール、チタン、プラチナ、タンタ
ル、コバルト、クロム、モリブデンまたは、これらの金
属の合金類、チタニアゲル等のゾル−ゲル反応生成物等
が挙げられる。またさらに、基体のセラミックスとして
は、例えば、アルミナ系やシリカ系、酸化ジルコニウム
系等のものが挙げられる。
【0014】本発明の基体と炭酸カルシウムの複合体
は、基体特に有機高分子重合体の表面もしくは内部に炭
酸カルシウムを形成してなる複合体を意味する。ここ
で、有機高分子重合体の表面に炭酸カルシウムを形成し
てなるとは、例えば平面状や繊維状の固体の非水膨潤性
高分子重合体の表面に炭酸カルシウムが付着形成される
ものを意味する。また、有機高分子重合体の表面もしく
は内部に炭酸カルシウムを形成してなるとは、例えば架
橋された高分子重合体の水で膨潤した表面部分とさらに
水で膨潤した空隙部分の高分子重合体の内部に炭酸カル
シウムが付着形成されるものも含んで意味する。
【0015】炭酸カルシウム複合体の製造方法は、次の
ようにして容易に製造することができる。即ち、基体と
しての有機高分子重合体を(イ)カルシウムイオン水溶
液に浸漬し、(ロ)炭酸イオン水溶液に浸漬することに
よって基体に前記の炭酸カルシウムを容易に製造するこ
とができる。基体としての有機高分子重合体を浸漬する
(イ)のカルシウムイオン水溶液としては、例えば、具
体的には、塩化カルシウム、酢酸カルシウム等の水溶液
が挙げられる。またその後さらに、基体としての有機高
分子重合体を浸漬する(ロ)の炭酸イオン水溶液として
は、例えば、具体的には、炭酸ナトリウム、炭酸カリウ
ム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素
カリウム、炭酸水素アンモニウム等の水溶液が挙げられ
る。 (イ)カルシウムイオン水溶液に浸漬して置く時間とし
ては、例えば、具体的には、10分間〜7日間、好まし
くは、30分間〜3日間、さらに好ましくは1時間〜2
4時間が挙げられる。また、基体としての有機高分子重
合体を浸漬する(ロ)炭酸イオン水溶液に浸漬して置く
時間としては、例えば、具体的には、10分間〜7日
間、好ましくは、30分間〜3日間、さらに好ましくは
1時間〜24時間が挙げられる。またさらに、基体とし
ての有機高分子重合体を浸漬する(イ)カルシウムイオ
ン水溶液および(ロ)炭酸イオン水溶液に浸漬する場合
の温度としては、例えば、具体的には、0℃〜90℃、
好ましくは、4℃〜80℃が挙げられる。
【0016】溶液のイオン濃度としては、(イ)のカル
シウムイオン水溶液および(ロ)の炭酸イオン水溶液の
イオン濃度としては、例えば、具体的には、0.01〜
10モル/リットル、好ましくは、0.1〜1モル/リ
ットルが挙げられる。また使用する溶液のpHとしては
前記のようにトリス緩衝溶液を用いる場合、6〜9のp
Hが好ましい。より好ましくは、pHが7.4のトリス
緩衝溶液である。
【0017】溶液の使用に際しては、(イ)のカルシウ
ムイオン水溶液および(ロ)の炭酸イオン水溶液への浸
漬回数は必要とする炭酸カルシウムの量に応じて決めら
れるが、少量であれば1サイクルで炭酸カルシウム複合
体を製造することができる。好ましくは2〜20回のサ
イクル、さらに好ましくは、5〜15回のサイクルを行
って炭酸カルシウム複合体を製造することが望ましい。
【0018】一般に医療用に用いられる有機高分子重合
体の成形体を用いて、その有機高分子重合体の表面ある
いは繊維状の表面に前記のように炭酸カルシウムを製造
してもよいし、あるいは有機高分子重合体のハイドロゲ
ルを構成する親水性の架橋高分子重合体からなる材料を
基体として用いて、その表面および内部へ炭酸カルシウ
ムを形成させてもよい。一般に医療用の柔軟性を有する
有機高分子重合体の成形体を用いた場合は、その表面に
炭酸カルシウムを形成させると、例えば、炭酸カルシウ
ムの生体適合性により生体内で肉組織との密着性もよ
く、軟骨状の形状維持と生体適合性を有する構成となる
ことが考えられ、用途が拡大するものと推定される。さ
らになお、炭酸カルシウムの用途としては、炭酸カルシ
ウムの結晶(燒結体)の加工は微細加工が困難であるの
で、ハイドロゲルを目的の形状に作成しておき、そのゲ
ルに炭酸カルシウムを形成させ、複合体を600℃程度
の高温で焼結させて、有機高分子重合体部分を除けば微
細加工も容易にできると考えられる。
【0019】
【発明の効果】本発明の炭酸カルシウム複合体の製造方
法は、従来の方法に比較して容易にカルシウムイオン水
溶液と炭酸イオン水溶液に基体を浸漬するだけで速く多
量に製造することができる。また、その操作を繰り返す
ことによりより一層炭酸カルシウムの製造速度を速める
ものである。本発明の製造方法により製造される有機高
分子重合体−炭酸カルシウム複合体は、有機高分子重合
体の強度や形状保持の効果にさらに表面の炭酸カルシウ
ムによる生体適合性が付与できる材料である。本発明の
有機高分子重合体−炭酸カルシウム複合体で、有機高分
子重合体としてハイドロゲルを使用した場合は、炭酸カ
ルシウムがハイドロゲルの表面および内部に形成するこ
とができる。そのため前記の複合体は弾力性があり、骨
置換材料としての用途展開の可能性が広がる材料であ
る。本発明の有機高分子重合体−炭酸カルシウム複合体
は、有機高分子重合体の材料表面に生体組織親和性の高
い炭酸カルシウムを容易に形成することが可能で、柔軟
性やねじれなどの耐久性に優れた有機ポリマー材料表面
に薄膜状に炭酸カルシウムが密着形成されているため、
結果的に生体親和性に優れた表面をもった柔軟な生体適
合性材料を得ることができる。このため医療用材料、生
体内の骨の代替え材料等に用いる可能性が増大する。
【0020】
【実施例】次に本発明を実施例に基づいて説明する。 1.ハイドロゲルの膨潤度の測定; 条件;25℃で、架橋高分子重合体を各水溶液に所定時
間浸漬して架橋ゲルを形成させ、表面に残存する水分を
拭き除いて重量を測定した。計算式は次のとおり。 ハイドロゲルの膨潤度{=SR1(%)}={(W−W
0)/W0}×100 ただし、W0は処理前の試料重量、Wは含水させた後の
試料重量を示す。 2.炭酸カルシウムの形成量の測定; 条件;架橋重合体のゲルを(イ)および(ロ)の各水溶
液に所定時間浸漬して架橋ゲルの表面および内部に炭酸
カルシウムを形成させ、表面に残存する水分を拭き除い
て重量を測定した。計算式は次のとおり。 CaCO3形成量=[PVA−CaCO3(乾燥重量)]
−[PVA(反応前、乾燥重量)]=[PVA−CaC
3(乾燥重量)]−[PVA(湿潤重量)/(1+S
R2)] ここでSR2は前記のゲルの膨潤度の割合で、SR2=
(SR1/100)を示す。
【0021】合成例1:PVAゲルの調製 平均重合度2,000、ケン化度99.5%のポリビニ
ルアルコール(和光純薬製)の10重量%水溶液に、所
定濃度のグルタルアルデヒド(半井化学製、架橋剤濃度
を0.2〜3モル%で変化させた。)、1N−HCl
(和光純薬製)を添加し、2日間放置して厚さ1mmの
ゲルを得た。このゲルを3日間水中で膨潤した結果、膨
潤度5.6、9.8、15.6および36.0のもので
あった。このゲルを洗浄した後、円形(直径1cm)に
打ち抜き以下の実施例の試料として使用した。
【0022】実施例1;PVAハイドロゲルの交互浸漬 約100mgのポリビニルアルコール(PVA)ゲル
(架橋剤濃度を0.2〜3モル%で変化させ、膨潤度5
〜36のもの)のディスク状ゲルを、37℃で200m
M CaCl2/Tris−HCl(pH7.4)水溶
液10mlに2時間浸漬し、その後ゲル表面の水分をキ
ムワイプで拭き取り、200mM Na2CO3水溶液1
0mlに2時間浸漬した。この操作後凍結乾燥したゲル
の重量の測定を行った。なお、必要によって1〜15サ
イクル浸漬を交互に繰り返した。含水状態のPVA架橋
ゲル基材−CaCO3の複合体を観察すると、サイクル
数を増加させると徐々に白くなっていく状態が認められ
た。5サイクル反応を行うと、ゲルの収縮がわずかに認
められた。
【0023】なお、図1に本発明の実施例の塩化カルシ
ウム溶液、炭酸ナトリウム溶液を用いてPVAゲルを浸
漬する際の概略図を示した。図2には(イ)の塩化カル
シウム溶液および(ロ)の炭酸ナトリウム溶液に浸漬し
たサイクルと炭酸カルシウムの生成の写真を示した。図
3に例として膨潤度9.8のPVAゲルの、1回交互浸
漬、5回交互浸漬10回交互浸漬および15回交互浸漬
で反応をしたときの各々のゲルの切断面の顕微鏡写真
(倍率×約13倍)を示した。含水状態におけるPVA
−CaCO3複合体のゲルの断面を観察すると、サイク
ルが増加するに従いゲルの極表面にCaCO3の白色結
晶が認められ、5,10,15サイクルとサイクル数を
多くするとゲル表面から内部へ結晶形成が進んでいる様
子が認められた。
【0024】なお、図4に膨潤度5.6、9.8、1
5.6および36.0におけるゲルの1〜6サイクル
(イ)と(ロ)のイオン溶液に浸漬したときのCaCO
3の形成量の図を示した。膨潤度5〜36のPVAゲル
を用いサイクル反応数毎のCaCO3の形成量を測定し
た。CaCO3の形成量は前記の式に示すようにゲルの
膨潤度からゲルの乾燥重量を算出し、凍結乾燥した後の
PVA−CaCO3複合体からゲルの乾燥重量を差し引
いたものをCaCO3形成量とした。
【0025】以上の結果から、図4で示されるようにC
aCO3の形成量は、たとえば、反応時間24時間、温
度37℃、6サイクルにおいては本発明の方法(交互浸
漬法)では約50mgの値となった。この値は従来の生
体模倣反応のリン酸カルシウム生成の場合の0.08m
gに比べて、約600倍のCaCO3の量が形成された
ことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の実施例の塩化カルシウム溶
液、炭酸ナトリウム溶液を用いてPVAゲルを浸漬する
際の概略図である。
【図2】 図2は、PVAゲルに炭酸カルシウムを形成
させた時の写真を示した。
【図3】 図3は、膨潤度15.6におけるゲルの1〜
15サイクル(イ)と(ロ)のイオン溶液に浸漬したと
きの炭酸カルシウムの形成されたゲル断面の写真を示し
た。
【図4】 図4は、膨潤度5.6〜36.0のPVAゲ
ルを用いてサイクル毎の炭酸カルシウムの形成量と膨潤
度の関係を示した図である。
フロントページの続き (72)発明者 林 昭男 千葉県柏市根戸421−3 Fターム(参考) 4C081 AB03 CA021 CA051 CA081 CA101 CA131 CA161 CA181 CA201 CA211 CA231 CA241 CA271 CB051 CC04 CC05 CD011 CD081 CD121 CD171 CE11 CF112 CF121 CF131 CF151 CF21 CG02 CG04 CG05 CG06 CG07 DA02 DA03 DA05 DA06 DA12 DC03 DC14 EA04 EA06 4D075 AB01 AE01 DB31 DC30 EA06 EB01 4F006 AA01 AA12 AA18 AA19 AA22 AA35 AA36 AA37 AA38 AA42 AB73 BA00 CA09 DA00 4G076 AA16 AA24 AA26 BA22 BA43 BE03 CA10 DA30

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カルシウムイオンを含み実質的に炭酸イオ
    ンを含まない第1の水溶液と、炭酸イオンを含み実質的
    にカルシウムイオンを含まない第2の水溶液とに、基体
    を順次に浸漬させる工程からなる炭酸カルシウム複合体
    の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の製造方法により得られた炭
    酸カルシウム複合体。
  3. 【請求項3】基体が親水性架橋高分子重合体である請求
    項2記載の炭酸カルシウム複合体。
  4. 【請求項4】親水性架橋高分子重合体が架橋ポリビニル
    アルコールのハイドロゲルである請求項3記載の炭酸カ
    ルシウム複合体。
  5. 【請求項5】請求項3または4に記載の炭酸カルシウム
    複合体からなる生体適合性材料。
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