JP2000342238A - 冷凍食品の殺菌処理方法 - Google Patents

冷凍食品の殺菌処理方法

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JP2000342238A
JP2000342238A JP11158311A JP15831199A JP2000342238A JP 2000342238 A JP2000342238 A JP 2000342238A JP 11158311 A JP11158311 A JP 11158311A JP 15831199 A JP15831199 A JP 15831199A JP 2000342238 A JP2000342238 A JP 2000342238A
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frozen food
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food
treatment
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Akira Yamazaki
彬 山崎
Akihiko Sasagawa
秋彦 笹川
Takahiro Shiroyama
隆博 城山
Katsuya Watanabe
勝也 渡辺
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Echigo Seika Co Ltd
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Echigo Seika Co Ltd
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  • Freezing, Cooling And Drying Of Foods (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高圧処理によって殺菌処理を行うことによっ
て食味を低下させずに冷凍食品中に生息する細菌を殺菌
処理でき、且つ処理に時間も経費も要しない画期的な冷
凍食品の殺菌処理方法を提供すること。 【解決手段】 冷凍食品1を加熱解凍することなく、冷
凍食品1に1000気圧以上の高圧処理を施し、この高圧下
における水の相変化によって冷凍食品1を液体化し、こ
の高圧状態を保持することにより静水圧によって冷凍食
品1中の雑菌などを殺菌し、この高圧状態を解除するこ
とで冷凍食品1を再び元の冷凍状態に戻す冷凍食品の殺
菌処理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷凍食品の殺菌処
理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】冷凍食
品は、冷凍することで食材中に存在する微生物の増殖が
略完全に阻止されるため、長期保存が可能である。
【0003】しかしながら、この凍結状況下であって
も、凍結前から食材に存在している微生物は死滅せずに
そのほとんどが生息しているので、食品衛生法では各種
の冷凍食品に対して生息する細菌数(微生物数)の規格
を定めている。即ち、大腸菌群やサルモネラ属菌や黄色
ブドウ球菌やクロストリジウム属菌などの食中毒菌はも
ちろんのこと、一般の生菌数にまで厳しい成分規格が設
けられているという現状である。
【0004】ところで、冷凍食品は、全く加熱処理を施
さない無加熱摂取冷凍食品と、解凍後加熱処理した後に
食する加熱後摂取冷凍食品と、生食用冷凍魚介類とに大
別され、このうち加熱後冷凍食品は、更に凍結させる直
前に加熱処理するものと、凍結させる直前には加熱処理
していないものとに区別されており、この各々の食品に
対して細菌数が規制されている。
【0005】そのため、どのような冷凍食品であって
も、殺菌処理を行うことは必要不可欠であり、例えば、
圧搾された果汁の殺菌はpH4.0未満のものにあっては、
その中心温度を65℃で10分間加熱して殺菌を行い、pH4.
0以上のものにあっては、その中心温度を85℃で30分間
加熱して殺菌を行うことが規定されているし、また、氷
菓にあっては、その融解水1ml当たりの細菌数が10000
以下、大腸菌群は陰性でなければならず、氷菓の原料は
68℃で30分間加熱して殺菌を行うわなければならない。
(尚、いずれの殺菌処理も加熱殺菌方法だけではなく、
これらと同等以上の効力を発揮する方法での殺菌処理を
行っても良いとされているのであるが、この種冷凍食品
の殺菌処理としては現状では加熱殺菌処理以外のことは
行われていない。) しかし、たとえこのように殺菌処理を施した冷凍食品で
あっても、製造出荷の時点で食中毒菌や一般生菌がこの
規格を逸脱していた場合には廃棄処分するかまたは再加
熱による殺菌処理を行わなければならない。
【0006】ここで再加熱による殺菌処理を行うことを
選んだ場合、一度冷凍した食品を加熱殺菌するためには
冷凍状態から解凍して更に所定の温度まで加熱しなけれ
ばならず、この加熱処理を行うために経費と時間とがか
かってしまうし、また、このように加熱殺菌処理を行う
と、食材の食感や風味が損なわれてしまい、特に生食用
魚介類などの非加熱加工食品に対しての加熱殺菌は生感
覚が失われて品質が低下してしまうなどの問題もある。
【0007】一方、この種冷凍食品には海外から輸入さ
れるものも多いが、日本と海外との前記生菌数規格の相
違から、多量の雑菌などを含んだままで輸入されるもの
が非常に多い。とすると、このような製品を日本で流通
させるためには、輸入業者などはこの冷凍食品に対して
経費と時間をかけて上記したような加熱殺菌処理を行わ
なければならないし、また、この加熱殺菌処理によって
品質の低下も招いてしまっているという現状であった。
【0008】本発明は、このような現状に鑑み、これま
での殺菌処理といえば加熱処理という考え方から発想の
転換を図り、冷凍食品を加熱解凍しないで殺菌処理でき
ないだろうか、また殺菌処理は購入者に委ねるのではな
く、流通する冷凍食品に対して行えないだろうか、即
ち、流通に適した冷凍食品をコストや手間をかけること
なく殺菌でき、且つ熱を加えずに品質や食味や風味を変
えない殺菌手法がないかについて研究を行い、高圧食品
をテーマに研究を重ねる中で高圧処理によって殺菌処理
を行うことによって食味を低下させずに冷凍食品中に生
息する細菌を殺菌処理でき、且つ処理に時間も経費も要
しない画期的な冷凍食品の殺菌処理方法を完成させたの
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】添付図面を参照して本発
明の要旨を説明する。
【0010】冷凍食品1を加熱解凍することなく、冷凍
食品1に1000気圧以上の高圧処理を施し、この高圧下に
より凝固点が降下することによって冷凍食品1を液体化
し、この高圧状態を保持することにより静水圧によって
冷凍食品1中の雑菌などを殺菌し、この高圧状態を解除
することで冷凍食品1を再び元の冷凍状態に戻すことを
特徴とする冷凍食品の殺菌処理方法に係るものである。
【0011】また、前記冷凍食品1は、15%以上の水分
を含有した冷凍食品1を採用して前記高圧処理によって
固相から液相に相変化させ、この液体化水分によって高
圧を雑菌などに付与し、有効な殺菌効果が発揮されるよ
うにしたことを特徴とする請求項1記載の冷凍食品の殺
菌処理方法に係るものである。
【0012】また、前記1000気圧以上の高圧処理は、冷
凍食品1中の雑菌などに対する殺菌効果が良好に発揮さ
れる高圧であって、且つ過度の高圧により再び相変化が
起こり液体化した冷凍食品1が冷凍状態(固体)に戻っ
てしまうほどの高圧とはならない高圧下での高圧処理と
したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記
載の冷凍食品の殺菌処理方法に係るものである。
【0013】
【発明の実施の形態】好適と考える本発明の実施の形態
(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいてそ
の作用効果を示して簡単に説明する。
【0014】冷凍食品1を加熱解凍することなく、この
冷凍食品1に1000気圧以上の高圧処理を施すと、図2の
グラフに示すように、この高圧下における相変化によっ
て冷凍食品1が液体化する(固相Sから液相Lへ相変化
する。)。
【0015】引き続いてこの高圧状態を保持することに
より液体化水分を介し静水圧によって冷凍食品1中の雑
菌などを殺菌し、この殺菌処理終了後、高圧状態を解除
して大気圧とすると液相が固相に戻るので、冷凍食品1
は再び元の冷凍状態に戻る。 従って、単に高圧を施すことで熱解凍することなく解凍
(液相化)と殺菌とが行われ、高圧を解除することで元
の凍結状態(冷凍食品1)に戻ることとなる。即ち、従
来のように加熱による殺菌処理を行わないから、時間も
経費も削減する上に、食材の品質の変化や食味、風味の
低下などもない極めて実用性に秀れた画期的な冷凍食品
の殺菌処理方法となる。
【0016】しかも従来は、食材を加熱殺菌処理した後
に再び冷凍してから流通させなければならなかったが、
本発明では、単に冷凍しておいた冷凍食品1に上記のよ
うな高圧処理による殺菌処理を施すと、この殺菌処理後
は冷凍食品1の温度が殺菌処理前と略同等な冷凍状態と
なるので、そのまま流通できることになる。
【0017】従って、従来例と比べて冷凍食品1を加熱
解凍することなく、いわば冷温を保った冷凍食品のまま
殺菌でき、その殺菌効果は絶大な上、殺菌に十分な時間
(数秒或いは数分)高圧状態を保持して解除するだけで
元の冷凍食品1に戻るため、冷凍食品1をそのまま流通
させることができる秀れた冷凍食品の殺菌処理方法とな
る。
【0018】よって、例えば、海外から冷凍状態で輸入
されてきて多量の雑菌などを含んでいる冷凍食品1であ
っても、単に上記のような高圧処理による殺菌処理を施
すだけで、食味を低下させることなく殺菌できて冷凍状
態のまま容易に流通させることができることになる秀れ
た冷凍食品の殺菌処理方法となる。
【0019】また、例えば、15%以上の水分を含有した
冷凍食品1を採用すれば、この冷凍食品1中の15%以上
の水分が前記高圧処理によって固相から液相に相変化し
て、この液体化水分によって高圧を雑菌などに極めて良
好に付与し、有効な殺菌効果が発揮されることになる。
【0020】また、この高圧処理は、1000気圧以下でも
冷凍食品1に状態変化が起こるが、これでは殺菌効力が
低下して十分な殺菌作用が得られないことが確認されて
いるし、圧力が高すぎると、図2のグラフに表されてい
るように液相化した状態から更に状態変化して固相化
(冷凍状態)してしまうことになるので、この1000気圧
以上の高圧処理は、例えば、冷凍食品1中の雑菌などに
対する殺菌効果が良好に発揮される高圧であって、且つ
過度の高圧により液体化した冷凍食品1が再び冷凍状態
に戻ってしまうほどの高圧とはならない高圧下での高圧
処理とすれば、前記高圧処理によって極めて良好な殺菌
処理効力が確実に発揮されることになる。
【0021】
【実施例】本発明の具体的な実施例について図面に基づ
いて説明する。
【0022】本実施例は、冷凍食品1を加熱解凍するこ
となく、冷凍食品1に1000気圧以上の高圧処理を施
し、この高圧下における相変化によって冷凍食品1を液
体化し、この高圧状態を保持することにより静水圧によ
って冷凍食品1中の雑菌などを殺菌し、この高圧状態を
解除することで冷凍食品1を再び元の冷凍状態に戻すこ
とを特徴とする冷凍食品の殺菌処理方法に係るもので、
以下、イチゴ果実をミキシングした果汁を軟質樹脂製の
袋に封入した冷凍食品1の殺菌処理方法を例に更に詳し
く説明する。
【0023】このような冷凍果実飲料や冷凍した原料用
果汁などの冷凍食品1は−15℃以下で保存しなけれなな
らない規定があるので、本実施例では、図1の(a)に
示すように、冷凍庫2などで予め−20℃で冷凍保存して
ある。
【0024】この冷凍食品1を凍結したままの状態で高
圧処理用のベッセル(容器)3に投入し、このベッセル
3内に液状の圧力媒体4を満水状態に注入する。
【0025】この際、被処理品即ち冷凍食品1の温度上
昇を防止するため、容器3内の圧力媒体4を冷却してお
いても良い。
【0026】次に、図1の(b)に示すように、高圧発
生装置5などによってこの容器2内を2000気圧以上に加
圧して1分間保持する。
【0027】すると、相変化が起こり、図2のグラフに
表されているように先ずは冷凍食品1中の冷凍固化して
いる水分が液体へと状態変化する。
【0028】ここで、図2を説明すると、温度(縦軸)
と圧力(横軸)との関係による水の相変化を表したグラ
フであり、このグラフ線の上方にある記号LはLiquid,
即ち液体(液相)であることを示し、グラフ線の下方に
ある記号SはSolid,即ち固体(固相)であることを示
している。
【0029】従って、このグラフから2000気圧以上に加
圧すると凝固点が−20℃以下となり、このとき冷凍食品
1中の冷凍固化している水分が液体へと状態変化するこ
とがわかる。
【0030】尚、冷凍食品1に含まれている水分はその
他の不純物によって凝固点降下が生じるので、図2にお
ける縦軸である温度に補正が必要となる。また、容器3
に冷凍食品1を投入する際に冷凍食品1自体の温度が上
昇したり、加圧時に断熱圧縮によって圧力媒体4が数℃
上昇しこれに伴って冷凍食品1自体も数℃上昇すること
になるので、この点でも温度に補正が必要となる。
【0031】そしてこの高圧状態を保持することで付加
した高圧が液体化水分を介し静水圧によって冷凍食品1
内に伝達し、これにより冷凍食品1内の雑菌などが滅菌
される。
【0032】詳しい実験データを述べると、この本実施
例の冷凍食品1は、処理前に測定した細菌数が、一般生
菌数50000個/ml、大腸菌群陽性であったが、このよう
にして高圧殺菌処理を行った後で再び細菌数を測定した
ところ、一般生菌数が50個/mlに低減し、大腸菌群陰性
となった。即ち、食品衛生法の規定を下回る細菌数にま
で殺菌処理できたことが確認された。
【0033】また、食味の試験を行ったところ、高圧処
理を施しても、味、色、香りとも変化がなかった。
【0034】この比較例として同様の冷凍食品1(一般
生菌数50000個/ml、大腸菌群陽性)を20℃の水で加温
し解凍させ、更に68℃の温浴中で30分間加熱したとこ
ろ、一般生菌数が50個/mlに低減し、大腸菌群陰性とな
ったものの、食味試験を行ったところ、果実と水分が分
離し食感が低下し、更に外観はくすんだ色となり香りも
悪化したという結果が得られ、本実施例の殺菌処理方法
で処理した冷凍食品1よりも商品性に劣るものとなっ
た。また、この殺菌処理方法では解凍、加温によるコス
ト(光熱費・人件費)がかかっってしまうという問題も
生じた。
【0035】尚、状態変化せずに固体のままでは圧力が
表面でしか付加されず、固体内部に存在していた微生物
は殺菌されないことが確認されている。
【0036】また、1000気圧以下でも状態変化して液体
化するが、殺菌効力の点で不十分となってしまうことが
確認されているし、逆に圧力が高すぎると、図2のグラ
フに示されているように液相化した状態からさらに固相
化した状態へと状態変化して殺菌効力が低下してしまう
ので、およそ1000気圧〜4000気圧位の高圧処理とするこ
とが望ましい。
【0037】高圧を解除し、大気圧まで減圧すると、再
度状態変化が起こり、図1の(c)に示すように、液体
化水分が固体に戻る(元の凍結状態に戻る)。また、こ
のとき、加圧時に断熱圧縮により数℃上昇していた圧力
媒体4の温度は、減圧時の断熱膨張により高圧処理前の
温度と略同等になり、これに伴って冷凍食品1の温度も
高圧処理前の温度と略同等になる。
【0038】従って、この高圧処理による殺菌処理後
は、冷凍食品1が再度凍結した状態に戻るため、この凍
結した冷凍食品1としてそのまま流通できることにな
る。
【0039】従って、従来例と比べて冷凍食品1を加熱
解凍することなく、いわば冷温を保った冷凍食品のまま
で殺菌でき、その殺菌効果は絶大な上、殺菌に十分な時
間(数秒或いは数分)高圧状態を保持して解除するだけ
で元の冷凍食品1に戻るため、冷凍食品1をそのまま流
通させることができる秀れた冷凍食品の殺菌処理方法と
なる。
【0040】よって、例えば、海外から冷凍状態で輸入
されてきて多量の雑菌などを含んでいる冷凍食品1であ
っても、単に上記のような高圧処理による殺菌処理を施
すだけで、食味を低下させることなく殺菌できて冷凍状
態のまま容易に流通させることができることになる秀れ
た冷凍食品の殺菌処理方法となる。
【0041】また、別例として、軟質樹脂製の袋に封入
し−20℃で保存してある生イカ(冷凍食品1)でも同様
の実験を行った。
【0042】処理前のこの冷凍食品1の細菌数を測定し
た結果は、一般生菌数200000個/ml,大腸菌群陽性であ
ったが、この冷凍食品1を−20℃のまま1000気圧の高圧
処理を1分間施すことにより、一般生菌数が100個/ml
に低減し、大腸菌群陰性となった。
【0043】また、食味試験の結果、高圧処理を施して
も、生イカと比較して味、色、香りとも変化がなかっ
た。
【0044】この比較例として同様の生イカ(一般生菌
数200000個/ml、大腸菌群陽性)を20℃の水で加温し解
凍させ、更に68℃の温浴中で30分間加熱したところ、一
般生菌数が100個/mlに低減し大腸菌群陰性となったも
のの、食味試験の結果、生イカと比較して若干硬くなり
食感が低下し、外観はくすんだ白色となって商品性が低
下した。また、この殺菌処理方法では解凍、加温による
コスト(光熱費・人件費)がかかった。尚、この高圧処
理による殺菌処理方法を行う冷凍食品1としては、本実
施例で示した冷凍食品のように、15%以上の水分を含有
した冷凍食品1であることが望ましく、このように15%
以上の水分を含有した冷凍食品1であれば、高圧下にお
ける相変化によって冷凍食品1が十分に液体化し、良好
な殺菌効果が得られることが確認されている。
【0045】
【発明の効果】本発明は上述のように、冷凍食品を加熱
解凍することなく、冷凍食品に1000気圧以上の高圧処理
を施し、この高圧下における水の相変化によって冷凍食
品を液体化し、この高圧状態を保持することにより静水
圧によって冷凍食品中の雑菌などを殺菌するから、従来
のように加熱による殺菌処理を行わないために時間も経
費も削減する上に、食材の品質の変化や食味、風味の低
下などもない極めて実用性に秀れた画期的な冷凍食品の
殺菌処理方法となる。
【0046】しかも従来は、食材を加熱殺菌処理した後
に再び冷凍してから流通させなければならなかったが、
本発明では、単に冷凍しておいた冷凍食品に上記のよう
な高圧処理による殺菌処理を施すと、この殺菌処理後は
冷凍食品の温度が殺菌処理前と略同等な冷凍状態となる
ので、そのまま流通できることになり、従って、従来例
と比べて冷凍食品を加熱解凍することなく、いわば冷温
を保った冷凍食品のまま殺菌でき、その殺菌効果は絶大
な上、殺菌に十分な時間(数秒或いは数分)高圧状態を
保持して解除するだけで元の冷凍食品に戻るため、冷凍
食品をそのまま流通させることができる秀れた冷凍食品
の殺菌処理方法となる。
【0047】よって、例えば、海外から冷凍状態で輸入
されてきて多量の雑菌などを含んでいる冷凍食品であっ
ても、単に上記のような高圧処理による殺菌処理を施す
だけで、食味を低下させることなく殺菌できて冷凍状態
のまま容易に流通させることができることになる秀れた
冷凍食品の殺菌処理方法となる。
【0048】また、請求項2記載の発明においては、15
%以上の水分を含有した冷凍食品を採用したから、この
冷凍食品中の15%以上の水分が前記高圧処理によって固
相から液相に相変化して、この液体化水分によって高圧
を雑菌などに極めて良好に付与されて極めて有効な殺菌
効果が発揮されることになる秀れた冷凍食品の殺菌処理
方法となる。
【0049】また、請求項3記載の発明においては、前
記高圧処理によって極めて有効な殺菌効果が発揮される
こになる極めて実用性に秀れた冷凍食品の殺菌処理方法
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の処理工程を示す説明図である。
【図2】本実施例の温度と圧力との関係による凝固点変
化を表したグラフである。
【符号の説明】
1 冷凍食品
【手続補正書】
【提出日】平成12年7月21日(2000.7.2
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 冷凍食品の殺菌処理方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷凍食品の殺菌処
理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】冷凍食
品は、冷凍することで食材中に存在する微生物の増殖が
略完全に阻止されるため、長期保存が可能である。
【0003】しかしながら、この凍結状況下であって
も、凍結前から食材に存在している微生物は死滅せずに
そのほとんどが生息しているので、食品衛生法では各種
の冷凍食品に対して生息する細菌数(微生物数)の規格
を定めている。即ち、大腸菌群やサルモネラ属菌や黄色
ブドウ球菌やクロストリジウム属菌などの食中毒菌はも
ちろんのこと、一般の生菌数にまで厳しい成分規格が設
けられているという現状である。
【0004】ところで、冷凍食品は、全く加熱処理を施
さない無加熱摂取冷凍食品と、解凍後加熱処理した後に
食する加熱後摂取冷凍食品と、生食用冷凍魚介類とに大
別され、このうち加熱後冷凍食品は、更に凍結させる直
前に加熱処理するものと、凍結させる直前には加熱処理
していないものとに区別されており、この各々の食品に
対して細菌数が規制されている。
【0005】そのため、どのような冷凍食品であって
も、殺菌処理を行うことは必要不可欠であり、例えば、
圧搾された果汁の殺菌はpH4.0未満のものにあっては、
その中心温度を65℃で10分間加熱して殺菌を行い、pH4.
0以上のものにあっては、その中心温度を85℃で30分間
加熱して殺菌を行うことが規定されているし、また、氷
菓にあっては、その融解水1ml当たりの細菌数が10000
以下、大腸菌群は陰性でなければならず、氷菓の原料は
68℃で30分間加熱して殺菌を行うわなければならない。
(尚、いずれの殺菌処理も加熱殺菌方法だけではなく、
これらと同等以上の効力を発揮する方法での殺菌処理を
行っても良いとされているのであるが、この種冷凍食品
の殺菌処理としては現状では加熱殺菌処理以外のことは
行われていない。) しかし、たとえこのように殺菌処理を施した冷凍食品で
あっても、製造出荷の時点で食中毒菌や一般生菌がこの
規格を逸脱していた場合には廃棄処分するかまたは再加
熱による殺菌処理を行わなければならない。
【0006】ここで再加熱による殺菌処理を行うことを
選んだ場合、一度冷凍した食品を加熱殺菌するためには
冷凍状態から解凍して更に所定の温度まで加熱しなけれ
ばならず、この加熱処理を行うために経費と時間とがか
かってしまうし、また、このように加熱殺菌処理を行う
と、食材の食感や風味が損なわれてしまい、特に生食用
魚介類などの非加熱加工食品に対しての加熱殺菌は生感
覚が失われて品質が低下してしまうなどの問題もある。
【0007】一方、この種冷凍食品には海外から輸入さ
れるものも多いが、日本と海外との前記生菌数規格の相
違から、多量の雑菌などを含んだままで輸入されるもの
が非常に多い。とすると、このような製品を日本で流通
させるためには、輸入業者などはこの冷凍食品に対して
経費と時間をかけて上記したような加熱殺菌処理を行わ
なければならないし、また、この加熱殺菌処理によって
品質の低下も招いてしまっているという現状であった。
【0008】本発明は、このような現状に鑑み、これま
での殺菌処理といえば加熱処理という考え方から発想の
転換を図り、冷凍食品を加熱解凍しないで殺菌処理でき
ないだろうか、また殺菌処理は購入者に委ねるのではな
く、流通する冷凍食品に対して行えないだろうか、即
ち、流通に適した冷凍食品をコストや手間をかけること
なく殺菌でき、且つ熱を加えずに品質や食味や風味を変
えない殺菌手法がないかについて研究を行い、高圧食品
をテーマに研究を重ねる中で高圧処理によって殺菌処理
を行うことによって食味を低下させずに冷凍食品中に生
息する細菌を殺菌処理でき、且つ処理に時間も経費も要
しない画期的な冷凍食品の殺菌処理方法を完成させたの
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】添付図面を参照して本発
明の要旨を説明する。
【0010】水分を含有した冷凍食品1を加熱解凍する
ことなく、冷凍食品1に1000気圧以上の高圧処理を施
し、この高圧処理により凝固点が降下を生じさせて冷凍
食品1中の冷凍固化している水分を液体へと状態変化さ
、この高圧状態を保持することにより前記液体化水分
を介した静水圧によって相液に相変化させた液相化食品
1中の雑菌などを殺菌し、この高圧状態を解除すること
前記液体化水分を再度固体へと状態変化させて冷凍食
品1を再び元の固相の凍結状態に戻すことを特徴とする
冷凍食品の殺菌処理方法に係るものである。
【0011】また、前記冷凍食品1は、15%以上の水分
を含有した冷凍食品1を採用して前記高圧処理によって
固相から液相に相変化させ、この液体化水分によって高
圧を雑菌などに付与し、有効な殺菌効果が発揮されるよ
うにしたことを特徴とする請求項1記載の冷凍食品の殺
菌処理方法に係るものである。
【0012】また、前記1000気圧以上の高圧処理は、冷
凍食品1中の雑菌などに対する殺菌効果が良好に発揮さ
れる高圧であって、且つ過度の高圧により再び相変化が
起こり液体化した冷凍食品1が冷凍状態(固体)に戻っ
てしまうほどの高圧とはならない高圧下での高圧処理と
したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記
載の冷凍食品の殺菌処理方法に係るものである。
【0013】
【発明の実施の形態】好適と考える本発明の実施の形態
(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいてそ
の作用効果を示して簡単に説明する。
【0014】冷凍食品1を加熱解凍することなく、この
冷凍食品1に1000気圧以上の高圧処理を施すと、図2の
グラフに示すように凝固点降下を生じ、この高圧下にお
ける相変化によって冷凍食品1中の冷凍固化している水
が液体へと状態変化する(固相Sから液相Lへ相変化
する。)。
【0015】引き続いてこの高圧状態を保持することに
より液体化水分を介し静水圧によって冷凍食品1中の雑
菌などを殺菌し、この殺菌処理終了後、高圧状態を解除
して大気圧とすると前記液体化水分が再度固体へと状態
変化する(液相が固相に戻るので、冷凍食品1は再び
元の冷凍状態に戻る。 従って、単に高圧を施すことで熱解凍することなく解凍
(液相化)と殺菌とが行われ、高圧を解除することで元
の凍結状態(冷凍食品1)に戻ることとなる。即ち、従
来のように加熱による殺菌処理を行わないから、時間も
経費も削減する上に、食材の品質の変化や食味、風味の
低下などもない極めて実用性に秀れた画期的な冷凍食品
の殺菌処理方法となる。
【0016】しかも従来は、食材を加熱殺菌処理した後
に再び冷凍してから流通させなければならなかったが、
本発明では、単に冷凍しておいた冷凍食品1に上記のよ
うな高圧処理による殺菌処理を施すと、この殺菌処理後
は冷凍食品1の温度が殺菌処理前と略同等な冷凍状態と
なるので、そのまま流通できることになる。
【0017】従って、従来例と比べて冷凍食品1を加熱
解凍することなく、いわば冷温を保った冷凍食品のまま
殺菌でき、その殺菌効果は絶大な上、殺菌に十分な時間
(数秒或いは数分)高圧状態を保持して解除するだけで
元の冷凍食品1に戻るため、冷凍食品1をそのまま流通
させることができる秀れた冷凍食品の殺菌処理方法とな
る。
【0018】よって、例えば、海外から冷凍状態で輸入
されてきて多量の雑菌などを含んでいる冷凍食品1であ
っても、単に上記のような高圧処理による殺菌処理を施
すだけで、食味を低下させることなく殺菌できて冷凍状
態のまま容易に流通させることができることになる秀れ
た冷凍食品の殺菌処理方法となる。
【0019】また、例えば、15%以上の水分を含有した
冷凍食品1を採用すれば、この冷凍食品1中の15%以上
の水分が前記高圧処理によって固相から液相に相変化し
て、この液体化水分によって高圧を雑菌などに極めて良
好に付与し、有効な殺菌効果が発揮されることになる。
【0020】また、この高圧処理は、1000気圧以下でも
冷凍食品1に状態変化が起こるが、これでは殺菌効力が
低下して十分な殺菌作用が得られないことが確認されて
いるし、圧力が高すぎると、図2のグラフに表されてい
るように液相化した状態から更に状態変化して固相化
(冷凍状態)してしまうことになるので、この1000気圧
以上の高圧処理は、例えば、冷凍食品1中の雑菌などに
対する殺菌効果が良好に発揮される高圧であって、且つ
過度の高圧により液体化した冷凍食品1が再び冷凍状態
に戻ってしまうほどの高圧とはならない高圧下での高圧
処理とすれば、前記高圧処理によって極めて良好な殺菌
処理効力が確実に発揮されることになる。
【0021】
【実施例】本発明の具体的な実施例について図面に基づ
いて説明する。
【0022】本実施例は、冷凍食品1を加熱解凍するこ
となく、冷凍食品1に1000気圧以上の高圧処理を施し、
この高圧下における相変化によって冷凍食品1を液体化
し、この高圧状態を保持することにより静水圧によって
冷凍食品1中の雑菌などを殺菌し、この高圧状態を解除
することで冷凍食品1を再び元の冷凍状態に戻すことを
特徴とする冷凍食品の殺菌処理方法に係るもので、以
下、イチゴ果実をミキシングした果汁を軟質樹脂製の袋
に封入した冷凍食品1の殺菌処理方法を例に更に詳しく
説明する。
【0023】このような冷凍果実飲料や冷凍した原料用
果汁などの冷凍食品1は−15℃以下で保存しなけれなな
らない規定があるので、本実施例では、図1の(a)に
示すように、冷凍庫2などで予め−20℃で冷凍保存して
ある。
【0024】この冷凍食品1を凍結したままの状態で高
圧処理用のベッセル(容器)3に投入し、このベッセル
3内に液状の圧力媒体4を満水状態に注入する。
【0025】この際、被処理品即ち冷凍食品1の温度上
昇を防止するため、容器3内の圧力媒体4を冷却してお
いても良い。
【0026】次に、図1の(b)に示すように、高圧発
生装置5などによってこの容器2内を2000気圧以上に加
圧して1分間保持する。
【0027】すると、相変化が起こり、図2のグラフに
表されているように先ずは冷凍食品1中の冷凍固化して
いる水分が液体へと状態変化する。
【0028】ここで、図2を説明すると、温度(縦軸)
と圧力(横軸)との関係による水の相変化を表したグラ
フであり、このグラフ線の上方にある記号LはLiquid,
即ち液体(液相)であることを示し、グラフ線の下方に
ある記号SはSolid,即ち固体(固相)であることを示
している。
【0029】従って、このグラフから2000気圧以上に加
圧すると凝固点が−20℃以下となり、このとき冷凍食品
1中の冷凍固化している水分が液体へと状態変化するこ
とがわかる。
【0030】尚、冷凍食品1に含まれている水分はその
他の不純物によって凝固点降下が生じるので、図2にお
ける縦軸である温度に補正が必要となる。また、容器3
に冷凍食品1を投入する際に冷凍食品1自体の温度が上
昇したり、加圧時に断熱圧縮によって圧力媒体4が数℃
上昇しこれに伴って冷凍食品1自体も数℃上昇すること
になるので、この点でも温度に補正が必要となる。
【0031】そしてこの高圧状態を保持することで付加
した高圧が液体化水分を介し静水圧によって冷凍食品1
内に伝達し、これにより冷凍食品1内の雑菌などが滅菌
される。
【0032】詳しい実験データを述べると、この本実施
例の冷凍食品1は、処理前に測定した細菌数が、一般生
菌数50000個/ml、大腸菌群陽性であったが、このよう
にして高圧殺菌処理を行った後で再び細菌数を測定した
ところ、一般生菌数が50個/mlに低減し、大腸菌群陰性
となった。即ち、食品衛生法の規定を下回る細菌数にま
で殺菌処理できたことが確認された。
【0033】また、食味の試験を行ったところ、高圧処
理を施しても、味、色、香りとも変化がなかった。
【0034】この比較例として同様の冷凍食品1(一般
生菌数50000個/ml、大腸菌群陽性)を20℃の水で加温
し解凍させ、更に68℃の温浴中で30分間加熱したとこ
ろ、一般生菌数が50個/mlに低減し、大腸菌群陰性とな
ったものの、食味試験を行ったところ、果実と水分が分
離し食感が低下し、更に外観はくすんだ色となり香りも
悪化したという結果が得られ、本実施例の殺菌処理方法
で処理した冷凍食品1よりも商品性に劣るものとなっ
た。また、この殺菌処理方法では解凍、加温によるコス
ト(光熱費・人件費)がかかっってしまうという問題も
生じた。
【0035】尚、状態変化せずに固体のままでは圧力が
表面でしか付加されず、固体内部に存在していた微生物
は殺菌されないことが確認されている。
【0036】また、1000気圧以下でも状態変化して液体
化するが、殺菌効力の点で不十分となってしまうことが
確認されているし、逆に圧力が高すぎると、図2のグラ
フに示されているように液相化した状態からさらに固相
化した状態へと状態変化して殺菌効力が低下してしまう
ので、およそ1000気圧〜4000気圧位の高圧処理とするこ
とが望ましい。
【0037】高圧を解除し、大気圧まで減圧すると、再
度状態変化が起こり、図1の(c)に示すように、液体
化水分が固体に戻る(元の凍結状態に戻る)。また、こ
のとき、加圧時に断熱圧縮により数℃上昇していた圧力
媒体4の温度は、減圧時の断熱膨張により高圧処理前の
温度と略同等になり、これに伴って冷凍食品1の温度も
高圧処理前の温度と略同等になる。
【0038】従って、この高圧処理による殺菌処理後
は、冷凍食品1が再度凍結した状態に戻るため、この凍
結した冷凍食品1としてそのまま流通できることにな
る。
【0039】従って、従来例と比べて冷凍食品1を加熱
解凍することなく、いわば冷温を保った冷凍食品のまま
で殺菌でき、その殺菌効果は絶大な上、殺菌に十分な時
間(数秒或いは数分)高圧状態を保持して解除するだけ
で元の冷凍食品1に戻るため、冷凍食品1をそのまま流
通させることができる秀れた冷凍食品の殺菌処理方法と
なる。
【0040】よって、例えば、海外から冷凍状態で輸入
されてきて多量の雑菌などを含んでいる冷凍食品1であ
っても、単に上記のような高圧処理による殺菌処理を施
すだけで、食味を低下させることなく殺菌できて冷凍状
態のまま容易に流通させることができることになる秀れ
た冷凍食品の殺菌処理方法となる。
【0041】また、別例として、軟質樹脂製の袋に封入
し−20℃で保存してある生イカ(冷凍食品1)でも同様
の実験を行った。
【0042】処理前のこの冷凍食品1の細菌数を測定し
た結果は、一般生菌数200000個/ml,大腸菌群陽性であ
ったが、この冷凍食品1を−20℃のまま1000気圧の高圧
処理を1分間施すことにより、一般生菌数が100個/ml
に低減し、大腸菌群陰性となった。
【0043】また、食味試験の結果、高圧処理を施して
も、生イカと比較して味、色、香りとも変化がなかっ
た。
【0044】この比較例として同様の生イカ(一般生菌
数200000個/ml、大腸菌群陽性)を20℃の水で加温し解
凍させ、更に68℃の温浴中で30分間加熱したところ、一
般生菌数が100個/mlに低減し大腸菌群陰性となったも
のの、食味試験の結果、生イカと比較して若干硬くなり
食感が低下し、外観はくすんだ白色となって商品性が低
下した。また、この殺菌処理方法では解凍、加温による
コスト(光熱費・人件費)がかかった。尚、この高圧処
理による殺菌処理方法を行う冷凍食品1としては、本実
施例で示した冷凍食品のように、15%以上の水分を含有
した冷凍食品1であることが望ましく、このように15%
以上の水分を含有した冷凍食品1であれば、高圧下にお
ける相変化によって冷凍食品1が十分に液体化し、良好
な殺菌効果が得られることが確認されている。
【0045】
【発明の効果】本発明は上述のように、冷凍食品を加熱
解凍することなく、冷凍食品に1000気圧以上の高圧処理
を施し、この高圧下における水の相変化によって冷凍食
中の冷凍固化している水分を液体化し、この高圧状態
を保持することにより前記液体化水分を介した静水圧に
よって冷凍食品中の雑菌などを殺菌するから、従来のよ
うに加熱による殺菌処理を行わないために時間も経費も
削減する上に、食材の品質の変化や食味、風味の低下な
どもない極めて実用性に秀れた画期的な冷凍食品の殺菌
処理方法となる。
【0046】しかも従来は、食材を加熱殺菌処理した後
に再び冷凍してから流通させなければならなかったが、
本発明では、単に冷凍しておいた冷凍食品に上記のよう
な高圧処理による殺菌処理を施すと、この殺菌処理後は
冷凍食品の温度が殺菌処理前と略同等な冷凍状態となる
ので、そのまま流通できることになり、従って、従来例
と比べて冷凍食品を加熱解凍することなく、いわば冷温
を保った冷凍食品のまま殺菌でき、その殺菌効果は絶大
な上、殺菌に十分な時間(数秒或いは数分)高圧状態を
保持して解除するだけで元の冷凍食品に戻るため、冷凍
食品をそのまま流通させることができる秀れた冷凍食品
の殺菌処理方法となる。
【0047】よって、例えば、海外から冷凍状態で輸入
されてきて多量の雑菌などを含んでいる冷凍食品であっ
ても、単に上記のような高圧処理による殺菌処理を施す
だけで、食味を低下させることなく殺菌できて冷凍状態
のまま容易に流通させることができることになる秀れた
冷凍食品の殺菌処理方法となる。
【0048】また、請求項2記載の発明においては、15
%以上の水分を含有した冷凍食品を採用したから、この
冷凍食品中の15%以上の水分が前記高圧処理によって固
相から液相に相変化して、この液体化水分によって高圧
を雑菌などに極めて良好に付与されて極めて有効な殺菌
効果が発揮されることになる秀れた冷凍食品の殺菌処理
方法となる。
【0049】また、請求項3記載の発明においては、前
記高圧処理によって極めて有効な殺菌効果が発揮される
こになる極めて実用性に秀れた冷凍食品の殺菌処理方法
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の処理工程を示す説明図である。
【図2】本実施例の温度と圧力との関係による凝固点変
化を表したグラフである。
【符号の説明】 1 冷凍食品
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 城山 隆博 新潟県長岡市呉服町1丁目4番地5 越後 製菓株式会社内 (72)発明者 渡辺 勝也 新潟県長岡市呉服町1丁目4番地5 越後 製菓株式会社内 Fターム(参考) 4B021 LA41 LP07 LT03 LT06 LW03 4B022 LB01 LN05 LT02 LT06

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷凍食品を加熱解凍することなく、冷凍
    食品に1000気圧以上の高圧処理を施し、この高圧下にお
    ける凝固点降下によって冷凍食品を液体化し、この高圧
    状態を保持することにより静水圧によって冷凍食品中の
    雑菌などを殺菌し、この高圧状態を解除することで冷凍
    食品を再び元の冷凍状態に戻すことを特徴とする冷凍食
    品の殺菌処理方法。
  2. 【請求項2】 前記冷凍食品は、15%以上の水分を含有
    した冷凍食品を採用して前記高圧処理によって固相から
    液相に相変化させ、この液体化水分によって高圧を雑菌
    などに付与し、有効な殺菌効果が発揮されるようにした
    ことを特徴とする請求項1記載の冷凍食品の殺菌処理方
    法。
  3. 【請求項3】 前記1000気圧以上の高圧処理は、冷凍食
    品中の雑菌などに対する殺菌効果が良好に発揮される高
    圧であって、且つ過度の高圧により再び相変化によって
    液体化した冷凍食品が冷凍状態に戻ってしまうほどの高
    圧とはならない高圧下での高圧処理としたことを特徴と
    する請求項1,2のいずれか1項に記載の冷凍食品の殺
    菌処理方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100726831B1 (ko) * 2007-02-16 2007-06-11 김춘배 압착형 음식물 성형 기구
JP2014023520A (ja) * 2012-06-22 2014-02-06 House Foods Group Inc 容器に充填・密封された加熱殺菌処理済食品
KR101390478B1 (ko) 2012-11-28 2014-04-29 부경대학교 산학협력단 초정수압 처리에 의한 고등어 내 히스타민 생성 억제 방법
JP2016202009A (ja) * 2015-04-15 2016-12-08 独立行政法人水産大学校 加圧解凍殺菌法

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KR100726831B1 (ko) * 2007-02-16 2007-06-11 김춘배 압착형 음식물 성형 기구
JP2014023520A (ja) * 2012-06-22 2014-02-06 House Foods Group Inc 容器に充填・密封された加熱殺菌処理済食品
KR101390478B1 (ko) 2012-11-28 2014-04-29 부경대학교 산학협력단 초정수압 처리에 의한 고등어 내 히스타민 생성 억제 방법
JP2016202009A (ja) * 2015-04-15 2016-12-08 独立行政法人水産大学校 加圧解凍殺菌法

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