JP2000318185A - プリンターインク吸液体及びその製造方法 - Google Patents

プリンターインク吸液体及びその製造方法

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JP2000318185A
JP2000318185A JP13074999A JP13074999A JP2000318185A JP 2000318185 A JP2000318185 A JP 2000318185A JP 13074999 A JP13074999 A JP 13074999A JP 13074999 A JP13074999 A JP 13074999A JP 2000318185 A JP2000318185 A JP 2000318185A
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JP
Japan
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fiber
hydrophobic
fibers
ink absorbing
hydrophilic
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JP13074999A
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English (en)
Inventor
Nobuhiro Matsunaga
伸洋 松永
Kiyotake Itami
清武 伊丹
Hisao Arai
久夫 荒井
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MARUSHIN FELT BOSHOKU KK
Unitika Ltd
Original Assignee
MARUSHIN FELT BOSHOKU KK
Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸液速度が速く、吸液保持量の大きいプリン
ターインク吸液体を提供する。 【解決手段】 このプリンターインク吸液体は、繊維集
積中層1と、この両面に積層された繊維集積上下層2,
3とよりなる。中層1は、公定水分率5%以上の親水性
繊維を主体としてなるものである。上下層2,3は、繊
度1デニール以下で公定水分率5%未満の疎水性極細繊
維を含んでなるものである。中層1と上下層2,3と
は、親水性繊維及び疎水性極細繊維相互間が絡合されて
いることにより、一体化されている。疎水性極細繊維
は、疎水性分割型繊維の分割発現により、生成したもの
であるのが好ましい。また、このプリンターインク吸液
体の目付は、400〜3500g/m2で厚さが4〜2
5mmであるのが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットプ
リンターの漏れインク及び/又は吐出インクを吸収する
ためのプリンターインク吸液体及びその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、インクジェットプリンタ
ーは、記録ヘッドに設けられた多数のオリフィス中、印
字又は印画に対応するオリフィスからインクが吐出さ
れ、これが紙等の被記録材に付着して印刷されるもので
ある。吐出されたインクは、その全てが被記録材に付着
するとは限らず、その一部が飛散するということがあっ
た。例えば、オリフィスに紙粉等の汚れが付いている
と、インクを吸収した汚れが下方に落下するということ
があった。そして、これが、インクジェットプリンター
に下部に溜まり、紙等の被記録材を汚したり、或いは外
部に漏れ出して、インクジェットプリンターの設置箇所
周辺を汚すということがあった。
【0003】このため、インクジェットプリンターに
は、そのフレーム,下ケース,漏れインク遮蔽用カバー
等の任意の箇所に、不織布よりなるプリンターインク吸
液体を配することが知られている(特開平7−1252
49号公報)。しかしながら、不織布として、どのよう
な不織布が適しているかについては、特開平7−125
249号公報には、何も記載されていない。
【0004】このような状況下、本発明者等は、一般に
市販され容易に入手しうる不織布を、プリンターインク
吸液体として用いて実験を行ったが、いずれも満足のゆ
く結果を得られなかった。例えば、セルロース系繊維1
00%で構成された不織布は、プリンターインクは良く
吸収するが、吸液体の表裏面にプリンターインクが滲み
出しやすく、プリンター内面がインクで汚れやすいとい
うことがあった。また、合成繊維100%で構成された
不織布は、吸収したインクを平面方向に拡散する能力に
乏しく、その結果、特定の箇所に多量のインクが落下す
ると、たちまちインクが漏れ出てしまうということがあ
った。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者等
は、プリンターインク吸液体としては、図1に示す如き
機能を有するものが望ましいと考えた。図1は、インク
がプリンターインク吸液体に吸収されるときの状態を示
した模式図であり、矢印がインクの移行状態を示したも
のである。即ち、プリンターインク吸液体の表面に落下
したインクは、速やかに吸液体の内部に吸収され、その
後、吸液体の平面方向に移行しつつ、徐々に吸液体の表
裏方向に吸収されるような機能を有するものが望ましい
と考えた。このような機能を持てば、プリンターインク
吸液体の全体でインクを保持でき、前記した合成繊維1
00%で構成された不織布で生じる不具合を解消しう
る。また、インクは、プリンターインク吸液体内部を平
面方向に移行しつつ、徐々に吸液体の表裏方向に吸収さ
れるので、前記したセルロース系繊維100%で構成さ
れた不織布で生じる不具合を解消しうるのである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、このよう
な考え方で研究を進めて、図1に示すような機能を持つ
プリンターインク吸液体を得ることに成功し、本発明に
到ったのである。即ち、本発明は、公定水分率5%以上
の親水性繊維を主体として含む繊維集積中層と、該繊維
集積中層の両面に積層された、繊度1デニール以下で公
定水分率5%未満の疎水性極細繊維を含む繊維集積上下
層とで形成され、該繊維集積中層と該繊維集積上下層と
は、各層を構成している該親水性繊維及び該疎水性極細
繊維相互間が絡合することにより、一体化されてなるこ
とを特徴とするプリンターインク吸液体及びその製造方
法に関するものである。
【0007】本発明に係るプリンターインク吸液体は、
図2に示す如く、繊維集積中層1の両面に繊維集積上下
層2,3が積層一体化されてなるものである。繊維集積
中層1は、公定水分率5%以上の親水性繊維を主体とし
て含むものであり、この親水性繊維が集積されてなるも
のである。公定水分率5%以上の親水性繊維としては、
セルロース系繊維や獣毛繊維等が用いられる。セルロー
ス系繊維としては、湿式紡糸法で得られるレーヨン,強
力レーヨン,ポリノジック,キュプラ等や、溶剤紡糸法
で得られるリヨセル(商標),テンセル(商標)等の再
生繊維、アセテート,トリアセテート等の半合成繊維、
コットン,麻等の天然繊維が用いられる。また、獣毛繊
維としては、ウール,モヘヤ,カシミヤ,アンゴラ,ら
くだ,アルパカ等が用いられる。セルロース系繊維及び
獣毛繊維以外の親水性繊維としては、絹や親水性ポリビ
ニルアルコール繊維等が用いられる。
【0008】親水性繊維の繊度は、一般的に1〜10デ
ニール程度である。また、親水性繊維は、短繊維でも長
繊維でも良いが、一般的には10〜100mm程度の繊
維長を持つ短繊維が用いられる。繊維集積中層1は、こ
のような親水性繊維を単独で又は2種以上を混合し、集
積されてなるものである。繊維集積中層1は、親水性繊
維の他に、50重量%未満程度であれば、ポリエステル
繊維等の疎水性繊維が含有されていても良い。また、繊
維集積中層1の目付も任意であるが、100〜1000
g/m2程度で良く、特に100〜300g/m2程度が
最も好ましい。
【0009】繊維集積上下層2,3は、繊度1デニール
以下で公定水分率5%未満の疎水性極細繊維を含むもの
であり、この極細繊維が集積されてなるものである。公
定水分率5%未満の疎水性極細繊維としては、ポリエス
テル系極細繊維,ポリアミド系極細繊維,ポリオレフィ
ン系極細繊維,ポリアクリロニトリル系極細繊維等が単
独で又は混合して用いられる。ポリエステル系極細繊維
の素材としては、ポリエチレンテレフタレートやポリブ
チレンテレフタレートが用いられ、或いはこれを主成分
として、酸成分としてイソフタル酸,5−スルホイソフ
タル酸,アジピン酸等のカルボン酸を共縮重合したも
の、或いはアルコール成分としてジエチレングリコー
ル,プロピレングリコール,ネオペンチルグリコール等
のグリコールを共縮重合したものも用いられる。ポリア
ミド系極細繊維の素材として、ナイロン6,ナイロン6
6,ナイロン610,ナイロン12等が用いられ、或い
はこれらの共重合物も用いられる。ポリオレフィン系極
細繊維の素材として、低密度ポリエチレン(LDP
E),線状低密度ポリエチレン(LLDPE),高密度
ポリエチレン(HDPE),ポリプロピレン等が用いら
れ、或いはエチレン若しくはプロピレンにアクリル酸等
の不飽和カルボン酸を共重合した変性ポリエチレン若し
くは変性ポリプロピレン等も用いられる。
【0010】疎水性極細繊維の繊度は1デニール以下で
あり、好ましくは0.5デニール以下であり、最も好ま
しくは0.1デニール以下である。疎水性極細繊維の繊
度が細いほど、極細繊維相互間に生じる間隙が小さくな
り、毛細管現象によって、吸収したインクを良好に保持
しうるため、好ましい。1デニールを超える疎水性繊維
を集積して繊維集積上下層を作成しても、疎水性繊維相
互間の間隙が大きくなり、毛細管現象が働きにくくなっ
て、吸収したインクを保持しにくくなるので、好ましく
ない。繊度1デニール以下の疎水性極細繊維は、一般
に、通常の溶融紡糸法で製造しにくい傾向があるが、以
下の方法によれば、容易に得ることができる。図3乃至
図5は、疎水性分割型繊維の横断面図であり、ポリマー
成分Aとポリマー成分Bとが貼り合わされて、一本の繊
維を構成しているものである。このような繊維は、一般
に繊度が1デニールを超えるものであり、通常の複合溶
融紡糸法で製造しやすいものである。そして、この疎水
性分割型繊維を、任意の手段で分割させると、ポリマー
成分Aよりなる繊維と、ポリマー成分Bよりなる繊維と
に分割する。従って、ポリマー成分A又はポリマー成分
Bよりなる部分を、繊度1デニール以下としておけば、
容易に、繊度1デニール以下の疎水性極細繊維が得られ
るのである。
【0011】疎水性分割型繊維を構成しているポリマー
成分Aとポリマー成分Bとは、後で分割剥離するもので
あるから、相互に相溶性の低いものであるのが好まし
い。例えば、ポリマー成分AとBとが、いずれも同種の
ポリエステルで形成されていると、相互に相溶性が良好
で分割剥離しにくいのである。従って、ポリマー成分A
がポリエステルであれば、ポリマー成分Bはポリエステ
ル以外のポリオレフィンやポリアミドを用いるのが好ま
しい。特に、ポリマー成分Aがポリエステルで、ポリマ
ー成分Bがポリエチレンやポリプロピレンの如きポリオ
レフィンであるのが好ましい。従って、このような疎水
性分割型繊維を用いて、疎水性極細繊維を得た場合に
は、繊維集積上下層2,3を構成している極細繊維は、
少なくとも2種以上の極細繊維が混合されていることに
なる。
【0012】疎水性極細繊維は、短繊維でも長繊維でも
良いが、一般的には10〜100mm程度の繊維長を持
つ短繊維が用いられる。繊維集積上下層2,3は、この
ような疎水性極細繊維を単独で又は2種以上を混合した
ものを含むものである。繊維集積上下層2,3中に含ま
れる疎水性極細繊維の重量割合は、任意であるが、一般
的に10〜70重量%程度が好ましい。そして、疎水性
極細繊維以外に、繊度が1デニールを超える任意の繊維
が、90〜30重量%程度が含まれていても良い。この
ように、繊度が1デニールを超える任意の繊維が含まれ
ている方が、繊維集積上下層2,3が緻密になりすぎ
ず、インクの移行を促進しうるからである。即ち、疎水
性極細繊維100重量%で繊維集積上下層2,3が形成
されていると、極細繊維相互間の間隙が狭くなりすぎ
て、インクは良好に保持しうるものの、インクの移行が
速やかに行われない傾向となるのである。疎水性極細繊
維以外の任意の繊維としては、ポリエステル繊維,ポリ
エチレン繊維,ポリプロピレン繊維,アクリル繊維等を
用いることができる。また、インクの移行を速やかに行
わしめるため、他の任意の繊維表面が、公知の方法で親
水化処理されていても良い。
【0013】繊維集積上下層2,3は、同一の繊維集積
層であっても、異なる繊維集積層であっても良い。要す
るに、繊維集積上下層2,3共に、繊度1デニール以下
で公定水分率5%未満の疎水性極細繊維を含むものであ
れば、その種類を問わず、用いることができるものであ
る。繊維集積上下層2,3の目付は任意であるが、10
0〜2000g/m2程度で良く、特に100〜100
0g/m2程度が最も好ましい。また、繊維集積上下層
2,3の目付も、両層同一であっても良いし、異なって
いても良い。
【0014】繊維集積中層1と、繊維集積上下層2,3
とは、積層され一体化されている。この一体化は、繊維
集積中層1中の構成繊維と、繊維集積上下層2,3中の
構成繊維とを、相互に絡合させ(絡み合わせ)て行う。
絡合するための具体的手段としては、繊維集積中層1
と、繊維集積上下層2,3とを積層した後、ニードルパ
ンチやウォーターニードリング等の手段を施せば良い。
例えば、ニードルパンチは、ニードル針を各層に貫通さ
せて行うものであり、このニードル針に構成繊維が引っ
掛かり、各層の構成繊維が他層の構成繊維と絡み合うの
である。従って、繊維集積上下層2,3を構成している
疎水性極細繊維は、繊維集積中層1を構成している親水
性繊維と絡み合い、この結果、繊維集積上下層2,3と
繊維集積中層1とは一体化するのである。また、ニード
ルパンチで絡合を施せば、ニードル針に引っ掛かった構
成繊維は、各層の厚み方向に配列する傾向となり、イン
クを厚み方向に移行させやすくなる。従って、インクが
繊維集積上層2又は下層3の表面に溜まりにくくなり、
内部に速やかに移行するので、好ましいことである。
【0015】以上の如き、繊維集積中層1の両面に繊維
集積上下層2,3が積層一体化されてなる、本発明に係
るプリンターインク吸液体の目付及び厚みは任意である
が、実用的には、目付が400〜3500g/m2であ
り、厚みが4〜25mmであるのが好ましい。目付が4
00g/m2未満であったり、或いは厚みが4mm未満
であると、インクの吸液保持量が少なくなり、プリンタ
ーインク吸液体の取り替えの必要性が多くなる。また、
目付が3500g/m2を超えると、相対的に厚みも2
5mmを超えることが多く、インクジェットプリンター
に配しにくくなる。
【0016】次に、本発明に係るプリンターインク吸液
体の好ましい製造方法について、説明する。この製造方
法は、公定水分率5%以上の親水性繊維を主体として含
む親水性繊維ウェブの両面に、公定水分率5%未満の未
分割の疎水性分割型繊維又は一部分割させた疎水性分割
型繊維を含む疎水性繊維ウェブを積層して三層積層物を
得た後、該三層積層物にニードリングを施すことによ
り、該疎水性分割型繊維を分割させ又は分割を促進させ
て、繊度1デニール未満の極細繊維を生成させると共
に、該親水性繊維及び該疎水性極細繊維相互間を絡合さ
せることを特徴とするものである。
【0017】親水性繊維ウェブは、従来公知の任意の方
法で得ることができる。親水性繊維が長繊維の場合は、
例えば、移動するコンベア上に長繊維を振り落として集
積させることによって、得ることができる。この際、他
の繊維を親水性繊維ウェブ中に含有させたいときは、他
の繊維も同時にコンベア上に振り落とせば良い。また、
親水性繊維が短繊維の場合は、例えば、ランダムウェバ
ーにより開繊及び集積して、或いはカード機で開繊しク
ロスラッパーで集積して得ることができる。この際、他
の繊維を親水性繊維ウェブ中に含有させたいときは、他
の繊維を親水性繊維と混合して、ランダムウェバーやカ
ード機に通せば良い。親水性繊維ウェブは、単に親水性
繊維等が堆積集積したものであっても良いし、堆積集積
させた後、ニードリング等の手段で繊維相互間を絡合さ
せ、ある程度の形態安定性を持った親水性繊維ウェブと
しても良い。
【0018】一方、疎水性繊維ウェブは、疎水性分割型
繊維を用いて作成する。この疎水性分割型繊維は、分割
した場合、少なくとも繊度1デニール未満の疎水性極細
繊維を生成するものを用いる。例えば、図3乃至図5に
示したような疎水性分割型繊維の場合、ポリマー成分A
又はBで形成される繊維の繊度を1デニール未満とした
ものを用いる。そして、疎水性分割型繊維が長繊維の場
合は、親水性繊維ウェブと同様の要領で、疎水性繊維ウ
ェブを得ることができ、また、他の繊維を含有させたい
ときも、同様の要領で得ることができる。また、疎水性
分割型繊維が短繊維の場合も、親水性繊維ウェブと同様
の要領で得ることができ、また、他の繊維を含有させた
いときも、同様の要領で得ることができる。更に、疎水
性繊維ウェブも、親水性繊維ウェブの場合と同様に、単
に疎水性分割型繊維等が堆積集積したものであっても良
いし、堆積集積させた後、ニードリング等の手段で繊維
相互間を絡合させ、ある程度の形態安定性を持った疎水
性繊維ウェブとしても良い。疎水性繊維ウェブの場合
は、ニードリングを施すと、疎水性分割型繊維を用いて
いるので、ニードリングの衝撃で疎水性分割型繊維の少
なくとも一部が分割し、疎水性極細繊維が生成する。
【0019】この後、親水性繊維ウェブの両面に、疎水
性繊維ウェブを積層し、三層積層物を得る。この三層積
層物にニードリングを施す。ニードリングは、三層積層
物の厚み方向に、ニードル針が貫通する態様で行われ
る。そうすると、親水性繊維ウェブ中の構成繊維、及び
疎水性繊維ウェブ中の構成繊維は、ニードル針に引っ掛
かり、相互に絡み合うのである。また、疎水性分割型繊
維もニードル針に引っ掛かり衝撃を与えられるため、分
割が発現し、繊度が1デニール未満の疎水性極細繊維が
生成するのである。また、既に一部、疎水性極細繊維が
生成している場合にも、更に分割が促進せしめられるの
である。この結果、親水性繊維ウェブ中の親水性繊維
と、疎水性繊維ウェブ中の疎水性極細繊維とが相互に絡
合し、三層積層物は一体化するのである。以上のように
して得られたシート状物を任意の大きさに切断し、所望
のプリンターインク吸液体が得られるのである。
【0020】以下、実施例によって本発明を説明する
が、本発明は実施例に限定されるものではない。本発明
は、プリンターインク吸液体は、表面に落下したインク
が、速やかに吸液体の内部に吸収され、その後、吸液体
の平面方向に移行しつつ、徐々に吸液体の表裏方向に吸
収されるような機能を有するべきであるとの知見に基づ
くものとして、解釈されるべきである。
【0021】
【実施例】実施例1 親水性の表面処理剤で処理した、繊度6デニールで繊維
長51mmのポリエチレンテレフタレート短繊維(ユニ
チカ株式会社製、商品名「H38S」)35重量%と、
繊度2デニールで繊維長51mmのポリエチレンテレフ
タレート短繊維(ユニチカ株式会社製、商品名「38
F」)35重量%と、繊度2デニールで繊維長51mm
の疎水性分割型短繊維(ユニチカ株式会社製、商品名
「E91」。図3に示した横断面形状を持つもので、ポ
リマー成分Aがポリエチレンテレフタレート、ポリマー
成分Bがポリエチレンであり、この重量比がポリマー成
分A:ポリマー成分B=2:1のもの。分割すると、繊
度0.33デニールのポリエチレンテレフタレート極細
繊維4本と、繊度0.67デニールのポリエチレン繊維
1本となる。)30重量%とを、混合し、カード機で開
繊した後、クロスラッパーで折り畳んで重ね合わせ、繊
維ウェブを得た。そして、この繊維ウェブに、軽くニー
ドリングを施して、目付720g/m2の疎水性繊維ウ
ェブを得た。一方、平均繊度2デニールで平均繊維長5
1mmのコットンを用いて、カード機で開繊した後、ク
ロスラッパーで折り畳んで重ね合わせ、繊維ウェブを得
た。そして、この繊維ウェブに、軽くニードリングを施
して、目付200g/m2の親水性繊維ウェブを得た。
【0022】以上の方法で得られた親水性繊維ウェブの
両面に、以上の方法で得られた疎水性繊維ウェブを積層
し、三層積層物を得た。そして、この三層積層物に、2
00回/cm2のパンチ密度でニードルパンチを施し
て、各層を一体化し、目付1600g/m2で厚み8.
5mmのプリンターインク吸液体を得た。
【0023】実施例2 コットンに代えてウールを用いる他は、実施例1と同様
にして、プリンターインク吸液体を得た。
【0024】実施例3 コットンに代えてレーヨン繊維を用いる他は、実施例1
と同様にして、プリンターインク吸液体を得た。
【0025】実施例4 疎水性繊維ウェブの目付を410g/m2とする他は、
実施例1と同様にして、プリンターインク吸液体を得
た。
【0026】実施例5 疎水性繊維ウェブの目付を155g/m2とする他は、
実施例1と同様にして、プリンターインク吸液体を得
た。
【0027】実施例6 疎水性繊維ウェブの目付を1030g/m2とする他
は、実施例1と同様にして、プリンターインク吸液体を
得た。
【0028】実施例7 疎水性繊維ウェブの目付を80g/m2とする他は、実
施例1と同様にして、プリンターインク吸液体を得た。
【0029】実施例8 疎水性繊維ウェブの目付を1700g/m2とする他
は、実施例1と同様にして、プリンターインク吸液体を
得た。
【0030】比較例1 実施例1で用いた、「H38S」27.4重量%と、
「38F」27.4重量%と、「E91」23.5重量
%と、コットン21.7重量%とを、均一に混合し、カ
ード機で開繊した後、クロスラッパーで折り畳んで重ね
合わせ、繊維ウェブを得た。そして、この繊維ウェブ
に、ニードリングを施して、目付1620g/m2で厚
み8.7mmのプリンターインク吸液体を得た。
【0031】比較例2 実施例1で用いた、「H38S」35重量%と、「38
F」75重量%とを、均一に混合し、カード機で開繊し
た後、クロスラッパーで折り畳んで重ね合わせ、繊維ウ
ェブを得た。そして、この繊維ウェブに、軽くニードリ
ングを施して、目付410g/m2のパンチウェブを得
た。実施例1で用いた疎水性繊維ウェブに代えて、この
パンチウェブを用いる他は、実施例1と同様の方法で、
プリンターインク吸液体を得た。
【0032】実施例1〜8及び比較例1,2に係るプリ
ンターインク吸液体の吸液保持量及び吸液速度を、以下
の方法で測定し、その結果を表1に示した。なお、表1
には、実施例及び比較例に係るプリンターインク吸液体
の目付及び厚みも記載しておいた。 (1)〔吸液保持量〕:20cm×20cmの大きさの
プリンターインク吸液体試料片を準備し、この乾燥重量
(W0)を測定する。次いで、この試料片を水中に10
分間浸漬する。その後、水中から試料片を引き上げて、
金網上に1分間放置してから、その重量(W1)を測定
する。(W1−W0)の値を、吸液保持量とする。なお、
吸液保持量を測定するのに、水を使用した理由は、イン
クジェットプリンターに用いるインクは、水を主体とす
るものだからである。勿論、水の他に、油分,顔料,染
料,界面活性剤等が含有されているが、吸液保持量につ
いては、概ね、水と同等視しうるものである。 (2)〔吸液速度〕:幅1cmの長尺状のプリンターイ
ンク吸液体試料片を準備し、この試料片の幅方向が水平
方向となるように、鉛直に吊り下げ、下端を赤インクに
ひたして、1分後に、長尺方向に吸い上げた高さをmm
単位で測定した。この吸い上げ高さを吸液速度とした。
【0033】
【表1】
【0034】表1の結果から明らかなように、実施例1
〜6に係るプリンターインク吸液体は、吸液保持量及び
吸液速度共に、優れているものである。実施例7に係る
プリンターインク吸液体は、その目付が小さいので、吸
液保持量が少ないが、比較例2との対比から、目付が小
さいわりには、吸液保持量が多いことが分かる。また、
実施例8に係るプリンターインク吸液体は、その厚みが
厚すぎて、実用性には欠けるが、吸液保持量及び吸液速
度共に、優れたものであり、プリンターの種類によって
は、十分に使用可能なものである。なお、比較例1に係
るプリンターインク吸液体は、公定水分率5%以上の親
水性繊維を主体として含む繊維集積中層が不存在である
ため、吸液速度の遅いものである。また、比較例2に係
るプリンターインク吸液体は、繊度1デニール以下で公
定水分率5%未満の疎水性極細繊維を含む繊維集積上下
層が不存在であるため、吸液保持量に劣るものである。
【0035】
【作用】本発明に係るプリンターインク吸液体は、イン
クを面方向に良く移行させ拡散させる、公定水分率5%
以上の親水性繊維を主体として含む繊維集積中層と、イ
ンクは撥きやすいが繊維間隙へのインク保持能に優れ
た、繊度1デニール以下で公定水分率5%未満の疎水性
極細繊維を含む繊維集積上下層とが絡合一体化したもの
である。従って、繊維集積上層に落下したインクは、速
やかに上層を通過し、中層に達し、中層で面方向にイン
クが移行し拡散する。そして、面方向に拡散する際に、
徐々に、上下層にインクが吸収保持される。従って、プ
リンターインク吸液体全体で、インクを保持することが
でき、インクの吸液保持量が大きくなる。また、インク
は中層で面方向に拡散するので、特定の箇所にインクの
落下が集中しても、速やかに面方向に拡散され、特定の
箇所で吸液が飽和状態になって、インクが漏れ出るとい
うことを防止しうる。
【0036】
【発明の効果】従って、本発明に係るプリンターインク
吸液体を使用すれば、インクジェットプリンターの内面
を汚したり、或いは紙等の被記録材が汚れることを防止
しうるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例に係るプリンターインク吸液体
が、インクを吸収するときの状態を示した模式図であ
る。
【図2】本発明の一例に係るプリンターインク吸液体の
模式的断面図である。
【図3】本発明で用いる疎水性分割型繊維の横断面図の
一例である。
【図4】本発明で用いる疎水性分割型繊維の横断面図の
一例である。
【図5】本発明で用いる疎水性分割型繊維の横断面図の
一例である。
【符号の説明】
1 繊維集積中層 2 繊維集積上層 3 繊維集積下層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荒井 久夫 東京都足立区西新井本町3−10−14 Fターム(参考) 2C056 EA27 JC11 4F100 AJ04A AJ08A AK03B AK03C AK04 AK27B AK27C AK41B AK41C AK42 AK46B AK46C AK62B AK62C AK66B AK66C BA03 BA06 BA10B BA10C BA13 DG01A DG01B DG01C DG06 DG06A EC092 EH012 GB90 JA13 JA20 JA20B JA20C JB05A JB06B JB06C JL06 YY00 YY00A YY00B YY00C

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 公定水分率5%以上の親水性繊維を主体
    として含む繊維集積中層と、該繊維集積中層の両面に積
    層された、繊度1デニール以下で公定水分率5%未満の
    疎水性極細繊維を含む繊維集積上下層とで形成され、該
    繊維集積中層と該繊維集積上下層とは、各層を構成して
    いる該親水性繊維及び該疎水性極細繊維相互間が絡合す
    ることにより、一体化されてなることを特徴とするプリ
    ンターインク吸液体。
  2. 【請求項2】 疎水性極細繊維の繊度が0.5デニール
    以下である請求項1記載のプリンターインク吸液体。
  3. 【請求項3】 親水性繊維が、セルロース系繊維及び/
    又は獣毛繊維であり、疎水性極細繊維が、ポリエステル
    系極細繊維,ポリオレフィン系極細繊維,ポリアミド系
    極細繊維及びポリアクリロニトリル系極細繊維よりなる
    群から選ばれた少なくとも1種以上である請求項1又は
    2記載のプリンターインク吸液体。
  4. 【請求項4】 目付が400〜3500g/m2で厚み
    が4〜25mmである請求項1乃至3のいずれか一項に
    記載のプリンターインク吸液体。
  5. 【請求項5】 公定水分率5%以上の親水性繊維を主体
    として含む親水性繊維ウェブの両面に、公定水分率5%
    未満の未分割の疎水性分割型繊維又は一部分割された疎
    水性分割型繊維を含む疎水性繊維ウェブを積層して三層
    積層物を得た後、該三層積層物にニードリングを施すこ
    とにより、該疎水性分割型繊維を分割させ又は分割を促
    進させて、繊度1デニール未満の疎水性極細繊維を生成
    させると共に、該親水性繊維及び該疎水性極細繊維相互
    間を絡合させることを特徴とするプリンターインク吸液
    体の製造方法。
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