JP2000314939A - 熱現像感光材料 - Google Patents

熱現像感光材料

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JP2000314939A
JP2000314939A JP11124003A JP12400399A JP2000314939A JP 2000314939 A JP2000314939 A JP 2000314939A JP 11124003 A JP11124003 A JP 11124003A JP 12400399 A JP12400399 A JP 12400399A JP 2000314939 A JP2000314939 A JP 2000314939A
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Makoto Ishihara
信 石原
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に写真製版用、特にスキャナー、イメージ
セッター用として、カブリが低く、Dmax(最高濃
度)が高く、かつ保存時のカブリの上昇および感度変動
の少ない画像を得ることが可能で、さらに膜脆性が良好
な熱現像感光材料を提供すること。 【解決手段】 支持体上に非感光性銀塩、感光性ハロゲ
ン化銀、バインダーおよび造核剤を有する熱現像感光材
料において、ホルムアルデヒド類と反応して該ホルムア
ルデヒド類を固定させることができる1種以上の化合物
を含有する塗布液を塗布し、乾燥を開始してから下記式
で定義される含水率が200%に至るまでの時間が5秒
以上5分以内になる条件で乾燥させることにより形成さ
れる層を、前記感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成
層が存在する支持体面側に少なくとも1層有することを
特徴とする熱現像感光材料。 【数1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱現像感光材料に関
するものであり、特に写真製版用に適したスキャナー、
イメージセッター用熱現像感光材料に関し、さらに詳し
くは、カブリが低く、Dmax(最高濃度)が高く、か
つ保存時のカブリの上昇および感度変動の少ない画像を
得ることが可能な写真製版用熱現像感光材料に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】支持体上に感光性層を有し、画像露光す
ることで画像形成を行う感光材料は、数多く知られてい
る。それらの中でも、環境保全や画像形成手段が簡易化
できるシステムとして、熱現像により画像を形成する技
術が挙げられる。近年写真製版分野において環境保全、
省スペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれてい
る。そこで、レーザー・スキャナーまたはレーザー・イ
メージセッターにより効率的に露光させることができ、
高解像度および鮮鋭さを有する鮮明な黒色画像を形成す
ることができる写真製版用途の熱現像感光材料に関する
技術が必要とされている。これら熱現像感光材料では、
溶液系処理化学薬品の使用をなくし、より簡単で環境を
損なわない熱現像処理システムを顧客に対して供給する
ことができる。
【0003】熱現像により画像を形成する方法は、例え
ば米国特許第3,152,904号、同3,457,075号、およびD.
モーガン(Morgan)とB.シェリー(Shely)による
「熱によって処理される銀システム(Thermally Proces
sed Silver Systems)A」(イメージング・プロセッシ
ーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Processes and M
aterials)Neblette 第8版、スタージ(Sturge)、V.
ウォールワーズ(Walworth)、A.シェップ(Shepp)
編集、第2頁、1969年)に記載されている。このような
感光材料は、還元可能な非感光性の銀源(例えば有機銀
塩)、触媒活性量の光触媒(例えばハロゲン化銀)、お
よび銀の還元剤を通常有機バインダーマトリックス中に
分散した状態で含有している。感光材料は常温で安定で
あるが、露光後高温(例えば、80℃以上)に加熱した場
合に、還元可能な銀源(酸化剤として機能する)と還元
剤との間の酸化還元反応を通じて銀を生成する。この酸
化還元反応は露光で発生した潜像の触媒作用によって促
進される。露光領域中の還元可能な銀塩の反応によって
生成した銀は黒色画像を提供し、これは非露光領域と対
照をなし、画像の形成がなされる。また、従来から前記
熱現像感光材料は知られているが、これらの多くはトル
エン、メチルエチルケトン(MEK)、メタノールなど
の有機溶剤を溶媒とする塗布液を塗布することにより感
光性層を形成している。有機溶剤を溶媒として用いるこ
とは、製造工程での人体への悪影響だけでなく溶剤の回
収その他のためコスト上も不利である。
【0004】そこで、このような心配のない水溶媒の塗
布液を用いて感光性層(以降「水系感光性層」ともい
う。)を形成する方法が考えられている。例えば特開昭
49-52626号、特開昭53-116144号などにはゼラチンをバ
インダーとする例が記載されている。また特開昭50-151
138号にはポリビニルアルコールをバインダーとする例
が記載されている。さらに特開昭60-61747号にはゼラチ
ンとポリビニルアルコールを併用した例が記載されてい
る。これ以外の例として特開昭58-28737号には水溶性ポ
リビニルアセタールをバインダーとする感光層の例が記
載されている。確かにこのようなバインダーを用いると
水溶媒の塗布液を用いて感光性層を形成することができ
て環境面、コスト面のメリットは大きい。
【0005】しかしながら、ゼラチン、ポリビニルアル
コール、水溶性ポリアセタールなどのポリマーをバイン
ダーとして用いると、有機銀塩との相溶性が悪く、塗布
面質上実用に耐える塗布物が得られないばかりでなく、
現像部の銀色調が本来好ましいとされる黒色からかけ離
れた茶色や黄色になったり、露光部の黒化濃度が低く未
露光部の濃度が高い等商品価値の著しく損なわれたもの
しか得られなかった。欧州特許762,196号、特開平9-905
50号公報等に熱現像感光材料に用いる感光性ハロゲン化
銀粒子に周期律表第VII族もしくはVIII族(第7族〜第
10族)の金属イオンまたは金属錯体イオンを含有させ
ること、および感光材料中にヒドラジン誘導体を含有さ
せて高コントラストな写真特性を得ることができること
が開示されている。しかし、前述の水溶媒の塗布液で用
いるバインダーとヒドラジン誘導体のような造核剤を併
用すると、高コントラストな画像を得ることができる
が、同時にカブリと感度変動が生じやすく、特に保存時
のカブリの上昇および感度変動が大きいという問題があ
った。そこで、カブリが低く、Dmax(最高濃度)が
高く、かつ保存時のカブリの上昇および感度変動の少な
い画像を得ることが可能で、環境面・コスト面で有利な
熱現像感光材料を提供する技術が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこれらの従来
技術の問題点を解決することを課題とした。すなわち、
本発明は、特に写真製版用、特にスキャナー、イメージ
セッター用として、カブリが低く、Dmax(最高濃
度)が高く、かつ保存時のカブリの上昇および感度変動
の少ない画像を得ることが可能で、さらに膜脆性が良好
な熱現像感光材料を提供することを解決すべき課題とし
た。さらに、本発明は、環境面・コスト面で有利な水系
塗布可能な熱現像感光材料を提供することも解決すべき
課題とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決するために鋭意検討を重ねた結果、本明細書に記載の
式(S)で表される環状ケトンまたは環状イミン化合物
等のように、ホルムアルデヒド類と反応してこれを固定
させることができる化合物を、画像形成層が存在する支
持体面側に含有させることによって、保存時の写真性能
の変化を抑制することができることを見出し、また、こ
の層を一定の条件下で急速に乾燥させて形成させること
により、ホルムアルデヒド類と反応してこれを固定させ
ることができる化合物の添加量を少なくすることがで
き、保存環境等の保存条件変化による写真性能の変化も
小さくすることができることを見出し、本発明を提供す
るに至った。即ち、本発明によれば、支持体上に非感光
性銀塩、感光性ハロゲン化銀、バインダーおよび造核剤
を有する熱現像感光材料において、ホルムアルデヒド類
と反応して該ホルムアルデヒド類を固定させることがで
きる1種以上の化合物を含有する塗布液を塗布し、乾燥
を開始してから下記式で定義される含水率が200%に
至るまでの時間が5秒以上5分以内になる条件で乾燥さ
せることにより形成される層を、前記感光性ハロゲン化
銀を含有する画像形成層が存在する支持体面側に少なく
とも1層有することを特徴とする熱現像感光材料が提供
される。
【数2】
【0008】本発明において好ましくは、ホルムアルデ
ヒド類と反応して該ホルムアルデヒド類を固定化させる
ことができる化合物として下記式(S)で表される化合
物を少なくとも一種使用する。
【0009】
【化3】
【0010】[式(S)中、X1は酸素原子または=N
H基を表す。R1およびR2は各々独立に水素原子、アシ
ル基、炭化水素基またはカルバモイル基を表す。ただ
し、X1が酸素原子の時、R1およびR2の少なくとも1
つは水素原子である。L1は環状構造を形成するために
必要な2価の有機基を表す。]
【0011】本発明において好ましくは、感光性ハロゲ
ン化銀を含有する画像形成層のバインダーの50重量%
以上としてガラス転移温度が−30℃以上40℃以下で
あるポリマーのラテックスを使用する。本発明において
好ましくは、造核剤として下記式(1)で表される置換ア
ルケン誘導体、下記式(2)で表される置換イソオキサゾ
ール誘導体、および下記式(3)で表される特定のアセタ
ール化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物を使用
する。
【0012】
【化4】
【0013】[式(1)においてR11、R12およびR
13は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Z
は電子吸引性基またはシリル基を表す。式(1)において
11とZ、R12とR13、R11とR12、およびR13とZ
は、それぞれ互いに結合して環状構造を形成していても
よい。式(2)において、R14は置換基を表す。式(3)に
おいて、XおよびYは、それぞれ独立に水素原子または
置換基を表し、AおよびBはそれぞれ独立にアルコキシ
基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリールオキ
シ基、アリールチオ基、アニリノ基、ヘテロ環オキシ
基、ヘテロ環チオ基またはヘテロ環アミノ基を表す。式
(3)において、XとY、およびAとBは、それぞれ互い
に結合して環状構造を形成していてもよい。]
【0014】
【発明の実施の形態】以下において、本発明の熱現像感
光材料の実施態様および実施方法について詳細に説明す
る。 本発明の熱現像感光材料は、支持体の少なくとも
一方の面上に、非感光性銀塩として有機酸銀、感光性ハ
ロゲン化銀およびバインダーを含有する画像形成層(即
ち感光性層)を有するものであり、画像形成層が存在す
る支持体面側の層(以下において「画像形成層側の層」
ともいう)が造核剤を含む硬調感光材料である。本発明
は、このような硬調な画像を与える熱現像感光材料にお
いて、式(S)で表される環状ケトンまたは環状イミン
化合物のようなホルムアルデヒド類と反応してこれを固
定させることのできる化合物を、画像形成層側の層に含
有することを特徴とするものであり、これによって保存
時の写真性能の変化を抑制することができる。また、本
発明においては、ホルムアルデヒド類と反応してこれを
固定させることができる化合物を含む層を、塗布液を塗
布し乾燥を開始してから含水率が200%に達するまで
の時間が5秒以上5分以内である条件で乾燥して形成す
ることを特徴とするものであり、これにより、ホルムア
ルデヒド類と反応してこれを固定させることのできる化
合物の添加量を少なくすることができ、保存環境等の保
存条件変化による写真性能の変化も小さくできる。この
乾燥条件についての詳細は後述する。
【0015】画像形成層の主バインダーとしては、良好
な写真性能が得られ、かつ水系塗布を可能にするポリマ
ーラテックスを用いることが好ましく、具体的には−3
0℃以上40℃以下のガラス転移温度を有するポリマー
のラテックスが好ましい。造核剤としては、より硬調な
画像を得る上で式(1)〜(3)で表される化合物(詳
細については後述する)を用いることが好ましい。本発
明で用いられるホルムアルデヒド類と反応して固定する
化合物(以下、ホルマリンスカベンジャーとも称され
る)としては、このような作用のある任意の化合物を用
いることができる。 本明細書で「ホルムアルデヒド
類」とは、ホルムアルデヒドおよびその誘導体で熱現像
感光材料に対し悪影響を及ぼすものを総称する。本明細
書で「固定する」とは、ホルムアルデヒド類と結合し
て、これを保存時の写真性(特にカブリの増大)に影響
を及ぼさない物質にすることである。本発明に用いるホ
ルマリンスカベンジャーの種類は特に限定されないが、
好ましくは下記式(S)で表されるものである。
【0016】
【化5】
【0017】以下に式(S)で表される環状化合物につ
いて更に詳しく説明する。R1、R2は各々独立に水素原
子、アシル基、炭化水素基またはカルバモイル基を表
す。炭化水素基としてはアルキル基(アラルキル基を含
む)、アリール基が好ましい。R1、R2で示される基と
しては水素原子、炭素数1〜10の置換もしくは無置換
のアシル基(例えば、アセチル、プロピオニル)、炭素
数1〜10の置換もしくは無置換のアルキル基(例え
ば、メチル、エチル、プロピル、ベンジル)、炭素数6
〜10の置換もしくは無置換のアリール基(例えば、フ
ェニル、4−エトキシフェニル、ナフチル)、または置
換もしくは無置換のカルバモイル基(例えば、カルバモ
イル、N、N−ジメチルカルバモイル)が好ましく、水
素原子、炭素数1〜3のアルキル基、またはカルバモイ
ル基が特に好ましい。また、R1、R2が炭化水素基であ
って、炭化水素基が式(S)で表される環状化合物の部
分構造(式(S)で表される環状化合物から誘導される
基)を有するものであってもよい。X1は酸素原子、イ
ミノ基(=NH)を表すが、X1が酸素原子であると
き、R1およびR2の少なくとも一方は水素原子である。
1で表される2価の基は含窒素複素環構造を形成する
のに必要な非金属原子群であり、L1の内部にも環構造
を有していても良く、式(S)中の下記構造の部分と共
に縮合環を形成しても良い。
【0018】
【化6】
【0019】L1としては例えば、エチレン、トリメチ
レン、下記構造のものが好ましい。
【0020】
【化7】
【0021】また、L1の上記の例示において、メチル
基、アミノ基、ウレイド基、メチレン基(=CH2)な
どで置換されたものであってもよい。以下に本発明に用
いられる式(S)で表される環状化合物の例を挙げる
が、本発明はこれに限定されるものではない。
【0022】
【化8】
【0023】
【化9】
【0024】
【化10】
【0025】
【化11】
【0026】これらの環状化合物は当業界では、ホルム
アルデヒドガスによる写真性能劣化の防止剤として知ら
れている。そのような化合物が熱現像感光材料におい
て、特に以下で述べる造核剤を用いた熱現像感光材料に
おいて保存時のカブリ防止および感度変動に顕著な効果
を示したことは極めて興味深く、予測し難いことであっ
た。この一連の化合物の具体的な例は特開昭61−73
150号、同58−10738号、同50−87028
号などの公報に記載されている化合物群に含まれる。ま
た、これらの化合物は市販されているほか、例えば英国
特許717,287号、米国特許2,731,472号、同3,187,004
号、特開昭58-79248号等に記載の方法で合成することが
できる。本発明においては、上記式(S)で表される化
合物を1種使用しても2種以上組合わせて使用してもよ
く、あるいは上記式(S)の化合物以外のホルマリンス
カベンジャーを1種またはそれ以上使用するものでも、
あるいは式(S)の化合物とそれ以外のホルマリンスカ
ベンジャーを併用してもよい。
【0027】本発明においてホルムアルデヒド類と反応
してこれを固定させることのできる化合物を少なくとも
1種含有する層は、塗布液を急速乾燥して形成する。該
化合物を含有させる層は任意であり、例えばホルムアル
デヒドガス類の影響を防止したい層、または該層の隣接
層、または該層よりも外側に位置する層に含有させるこ
とができる。具体的には、ホルマリンスカベンジャーを
画像形成層よりも上層である層(例えば保護層)、ハロ
ゲン化銀乳剤を含有する画像形成層、中間層、下塗り
層、その他の補助層の少なくとも1層に含有させる。本
発明で用いられるホルマリンスカベンジャーをこれらの
層中に添加するには、塗布液中にそのまま、あるいは
水、アルコール等の溶剤に溶解して添加することができ
る。また、ホルマリンスカベンジャーの添加量は熱現像
感光材料1m2につき、0.001g〜1gが適当であり、0.005g
〜0.5gが特に好ましい。
【0028】次に、ホルマリンスカベンジャーを含有す
る層についての、塗布および乾燥の各種態様について述
べる。本発明における熱現像感光材料を構成する各層
は、例えばスライドビード塗布、カーテン塗布、エクス
トルージョン塗布などの塗布方法によって塗布された
後、第一乾燥ゾーンにおいて塗布液が予備乾燥されて増
粘し、その流動が停止され、さらに、第二乾燥ゾーンに
導かれ、恒率乾燥、減率乾燥、調湿を経て成膜(製造)
される。恒率乾燥とは、単位期間当たりの溶媒の蒸発量
すなわち溶媒の蒸発速度が一定である乾燥プロセスを言
い、減率乾燥とは恒率乾燥が終了した後に溶媒の蒸発速
度が徐々に低下して、蒸発がほとんどなくなる(つま
り、塗膜がほぼ外気の温湿度条件下における平衡含水率
となる)までの乾燥プロセスを言う。恒率乾燥として
は、乾燥時の液膜表面温度が25℃以上40℃以下で、
かつ乾球温度が50℃以上で使用支持体のガラス転移温
度以下で行うのが好ましい。ここで、液膜表面温度と
は、支持体に塗布された塗布液膜の恒率乾燥時の溶媒液
膜表面温度を言い、乾球温度とは乾燥ゾーンの乾燥風の
温度を意味する。また、少なくとも恒率乾燥が終了する
までの間は水平乾燥ゾーンで乾燥させることが好まし
い。
【0029】本発明の実施の際における乾燥条件は、乾
燥開始から上記式で定義される含水率が200%以下の
限界含水率付近の含水率に達する時点までの時間が5分
以内となるような条件であり、より好ましくは3分以
内、さらに好ましくは2分以内である。また、この乾燥
時間は製造設備上の観点から5秒以上であり、塗布液増
粘の関係で10秒以上であることが好ましい。なお、上
記式において、支持体上の塗布層とは、支持体上に塗布
された例えば画像形成層、保護層のごとき各層を意味す
る。上記のような乾燥条件でホルマリンスカベンジャー
を含有する層を構成することにより、ホルマリンスカベ
ンジャーの添加量が少なくてよく、しかもホルマリン耐
性が良好で、かつ膜脆性の優れた熱現像感光材料を得る
ことができる。
【0030】本発明の熱現像感光材料は、非感光性銀塩
を含む。本発明に用いることのできる有機銀塩は、光に
対して比較的安定であるが、露光された光触媒(感光性
ハロゲン化銀の潜像など)および還元剤の存在下で、80
℃あるいはそれ以上に加熱された場合に銀画像を形成す
る銀塩である。有機銀塩は銀イオンを還元できる源を含
む任意の有機物質であってよい。有機酸の銀塩、特に
(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の)長鎖脂肪カルボ
ン酸の銀塩が好ましい。配位子が4.0〜10.0の範囲の錯
安定定数を有する有機または無機銀塩の錯体も好まし
い。銀供給物質は、好ましくは画像形成層の約5〜70重
量%を構成することができる。好ましい有機銀塩はカル
ボキシル基を有する有機化合物の銀塩を含む。これらの
例は、脂肪族カルボン酸の銀塩および芳香族カルボン酸
の銀塩を含むがこれらに限定されることはない。脂肪族
カルボン酸の銀塩の好ましい例としては、ベヘン酸銀、
アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウ
リン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン
酸銀、マレイン酸銀、フマル酸銀、酒石酸銀、リノール
酸銀、酪酸銀および樟脳酸銀、これらの混合物などを含
む。
【0031】本発明においては、上記に挙げられる有機
酸銀ないしは有機酸銀の混合物の中でも、ベヘン酸銀含
有率85モル%以上の有機酸銀を用いることが好まし
く、95モル%以上がさらに好ましい。ここでベヘン酸
銀含有率とは、使用する有機酸銀に対するベヘン酸銀の
モル分率を示す。本発明に用いる有機酸銀中に含まれる
ベヘン酸銀以外の有機酸銀としては上記に挙げたものを
好ましく用いることができる。本発明に好ましく用いら
れる有機酸銀は、上記に示した有機酸のアルカリ金属塩
(Na塩,K塩,Li塩等が挙げられる)溶液または懸
濁液と硝酸銀を反応させることで調製される。有機酸ア
ルカリ金属塩は、上記有機酸をアルカリ処理することに
よって得られる。有機酸銀は任意の好適な容器中で回分
式でまたは連続式で行うことができる。反応容器中の攪
拌は粒子の要求される特性によって任意の攪拌方法で攪
拌することができる。有機酸銀の調製法としては、有機
酸アルカリ金属塩溶液あるいは懸濁液の入った反応容器
に硝酸銀水溶液を徐々にあるいは急激に添加する方法、
硝酸銀水溶液の入った反応容器に予め調製した有機酸ア
ルカリ金属塩溶液あるいは懸濁液を徐々にあるいは急激
に添加する方法、予め調製した硝酸銀水溶液および有機
酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液を反応容器中に同時
に添加する方法のいずれもが好ましく用いることができ
る。
【0032】硝酸銀水溶液および有機酸アルカリ金属塩
溶液または懸濁液は調製する有機酸銀の粒子サイズの制
御のために任意の濃度の物を用いることができ、また任
意の添加速度で添加することができる。硝酸銀水溶液お
よび有機酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液の添加方法
としては、添加速度一定で添加する方法、任意の時間関
数による加速添加法あるいは減速添加法にて添加するこ
とができる。また反応液に対し、液面に添加してもよ
く、また液中に添加してもよい。予め調製した硝酸銀水
溶液および有機酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液を反
応容器中に同時に添加する方法の場合には、硝酸銀水溶
液あるいは有機酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液のい
ずれかを先行させて添加することもできるが、硝酸銀水
溶液を先行させて添加することが好ましい。先行度とし
ては総添加量の0から50vol%が好ましく、0から
25vol%が特に好ましい。また特開平9-127643号公
報等に記載のように反応中の反応液のpHないしは銀電
位を制御しながら添加する方法も好ましく用いることが
できる。
【0033】添加される硝酸銀水溶液や有機酸アルカリ
金属塩溶液または懸濁液は粒子の要求される特性により
pHを調整することができる。pH調整のために任意の
酸やアルカリを添加することができる。また、粒子の要
求される特性により、例えば調製する有機酸銀の粒子サ
イズの制御のため反応容器中の温度を任意に設定するこ
とができるが、添加される硝酸銀水溶液や有機酸アルカ
リ金属塩溶液または懸濁液も任意の温度に調整すること
ができる。有機酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液は液
の流動性を確保するために、50℃以上に加熱保温する
ことが好ましい。
【0034】本発明に用いる有機酸銀は第3アルコール
の存在下で調製されることが好ましい。第3アルコール
としては好ましくは総炭素数15以下のものが好まし
く、10以下が特に好ましい。好ましい第3アルコール
の例としては、tert-ブタノール等が挙げられるが、本
発明はこれに限定されない。本発明に用いられる第3ア
ルコールの添加時期は有機酸銀調製時のいずれのタイミ
ングでも良いが、有機酸アルカリ金属塩の調製時に添加
して、有機酸アルカリ金属塩を溶解して用いることが好
ましい。また、第3アルコールの使用量は有機酸銀調製
時の溶媒としての水に対して重量比で0.01〜10の範囲で
任意に使用することができるが、0.03〜1の範囲が好ま
しい。
【0035】本発明に用いることができる有機銀塩の形
状としては特に制限はないが、短軸と長軸を有する針状
結晶が好ましい。本発明においては短軸0.01μm以上0.2
0μm以下、長軸0.10μm以上5.0μm以下が好ましく、短
軸0.01μm以上0.15μm以下、長軸0.10μm以上4.0μm以
下がより好ましい。有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散
であることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれ
の長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の10
0分率が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、
更に好ましくは50%以下である。有機銀塩の形状の測定
方法としては有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より
求めることができる。単分散性を測定する別の方法とし
て、有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差を求める方
法があり、体積加重平均直径で割った値の百分率(変動
係数)が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、
更に好ましくは50%以下である。測定方法としては例え
ば液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その
散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求め
ることにより得られた粒子サイズ(体積加重平均直径)か
ら求めることができる。本発明に用いることのできる有
機銀塩は、好ましくは脱塩をすることができる。脱塩を
行う方法としては特に制限はなく公知の方法を用いるこ
とができるが、遠心濾過、吸引濾過、限外濾過、凝集法
によるフロック形成水洗等の公知の濾過方法を好ましく
用いることができる。
【0036】本発明では、高S/Nで、粒子サイズが小さ
く、凝集のない有機銀塩固体分散物を得る目的で、画像
形成媒体である有機銀塩を含み、かつ感光性銀塩を実質
的に含まない水分散液を高速流に変換した後、圧力降下
させる分散法を用いることが好ましい。そして、このよ
うな工程を経た後に、感光性銀塩水溶液と混合して感光
性画像形成媒体塗布液を製造する。このような塗布液を
用いて熱現像感光材料を作製するとヘイズが低く、低カ
ブリで高感度の熱現像感光材料が得られる。これに対
し、高圧、高速流に変換して分散する時に、感光性銀塩
を共存させると、カブリが上昇し、感度が著しく低下す
る。また、分散媒として水ではなく、有機溶剤を用いる
と、ヘイズが高くなり、カブリが上昇し、感度が低下し
やすくなる。一方、感光性銀塩水溶液を混合する方法に
かえて、分散液中の有機銀塩の一部を感光性銀塩に変換
するコンバージョン法を用いると感度が低下する。上記
において、高圧、高速化に変換して分散される水分散液
は、実質的に感光性銀塩を含まないものであり、その含
水量は非感光性の有機銀塩に対して0.1モル%以下であ
り、積極的な感光性銀塩の添加は行わないものである。
【0037】本発明において、上記のような分散法を実
施するのに用いられる固体分散装置およびその技術につ
いては、例えば『分散系レオロジーと分散化技術』(梶
内俊夫、薄井洋基 著、1991、信山社出版(株)、p357
〜p403)、『化学工学の進歩第24集』(社団法人 化学
工学会東海支部 編、1990、槙書店、p184〜p185)、
等に詳しいが、本発明での分散法は、少なくとも有機銀
塩を含む水分散物を高圧ポンプ等で加圧して配管内に送
入した後、配管内に設けられた細いスリットを通過さ
せ、この後に分散液に急激な圧力低下を生じさせること
により微細な分散を行う方法である。本発明が関連する
高圧ホモジナイザーについては、一般には、(a)分散質
が狭間隙を高圧、高速で通過する際に生じる『剪断
力』、(b)分散質が高圧下から常圧に解放される際に生
じる『キャビテーション力』、等の分散力によって微細
な粒子への分散が行われると考えられている。この種の
分散装置としては、古くはゴーリンホモジナイザーが挙
げられるが、この装置では高圧で送られた被分散液が円
柱面上の狭い間隙で、高速流に変換され、その勢いで周
囲の壁面に衝突し、その衝撃力で乳化・分散が行われ
る。使用圧力は一般には100〜600kg/cm2、流速は数m〜3
0m/秒の範囲であり、分散効率を上げるために高流速部
を鋸刃状にして衝突回数を増やすなどの工夫を施したも
のも考案されている。これに対して、近年更に高圧、高
流速での分散が可能となる装置が開発されてきており、
その代表例としてはマイクロフルイダイザー(マイクロ
フルイデックス・インターナショナル・コーポレーショ
ン社)、ナノマイザー(特殊機化工業(株))などが挙
げられる。
【0038】本発明の実施に適した分散装置としては、
マイクロフルイデックス・インターナショナル・コーポ
レーション社製マイクロフルイダイザーM−110S−
EH(G10Zインターラクションチャンバー付き)、
M−110Y(H10Zインターラクションチャンバー
付き)、M−140K(G10Zインターラクションチ
ャンバー付き)、HC−5000(L30ZまたはH2
30Zインターラクションチャンバー付き),HC−8
000(E230ZまたはL30Zインターラクション
チャンバー付き)等が挙げられる。これらの装置を用
い、少なくとも有機銀塩を含む水分散液を高圧ポンプ等
で加圧して配管内に送入した後、配管内に設けられた細
いスリットを通過させることにより所望の圧力を印加
し、この後に配管内の圧力を大気圧に急速に戻す等の方
法で分散液に急激な圧力降下を生じさせることにより本
発明に最適な有機銀塩分散物を得ることが可能である。
分散操作に先だって、原料液を予備分散することが好ま
しい。予備分散する手段としては公知の分散手段(例え
ば、高速ミキサー、ホモジナイザー、高速衝撃ミル、バ
ンバリーミキサー、ホモミキサー、ニーダー、ボールミ
ル、振動ボールミル、遊星ボールミル、アトライター、
サンドミル、ビーズミル、コロイドミル、ジェットミ
ル、ローラーミル、トロンミル、高速ストーンミル)を
用いることができる。機械的に分散する以外にも、pHコ
ントロールすることで溶媒中に粗分散し、その後、分散
助剤の存在下でpHを変化させて微粒子化させても良い。
このとき、粗分散に用いる溶媒として有機溶媒を使用し
ても良く、通常有機溶媒は微粒子化終了後除去される。
【0039】有機銀塩分散においては、流速、圧力降下
時の差圧と処理回数の調節によって所望の粒子サイズに
分散することが可能であるが、写真特性と粒子サイズの
点から、流速が200m/秒〜600m/秒、圧力降下時の差圧が
900〜3000kg/cm2の範囲が好ましく、流速が300m/秒〜60
0m/秒、圧力降下時の差圧が1500〜3000kg/cm2の範囲で
あることが更に好ましい。分散処理回数は必要に応じて
選択できるが、通常は1回〜10回の処理回数が選ばれる
が、生産性の点からは1回〜3回程度の処理回数が選ばれ
る。高圧下でこのような水分散液を高温にすることは、
分散性、写真特性の点から好ましくなく、90℃を越える
ような高温では粒子サイズが大きくなりやすくなると共
に、カブリが高くなる傾向がある。従って、本発明では
前記の高圧、高流速に変換する前の工程もしくは、圧力
降下させた後の工程、あるいはこれらの両工程に冷却工
程を含み、このような水分散の温度が冷却工程により5
〜90℃の範囲に保たれていることが好ましく、更に好ま
しくは5〜80℃の範囲、特に5〜65℃の範囲に保たれてい
ることが好ましい。特に、1500〜3000kg/cm2の範囲の高
圧の分散時には前記の冷却工程を設置することが有効で
ある。冷却器は、その所要熱交換量に応じて、二重管や
二重管にスタチックミキサーを使用したもの、多管式熱
交換器、蛇管式熱交換器等を適宜選択することができ
る。また、熱交換の効率を上げるために、使用圧力を考
慮して、管の太さ、肉厚や材質など好適なものを選べば
よい。冷却器に使用する冷媒は、熱交換量から、20℃の
井水や冷凍機で処理した5〜10℃の冷水、また必要に応
じて-30℃のエチレングリコール/水等の冷媒を使用する
こともできる。
【0040】本発明における分散操作では、平均重合度
1000以上2500以下のポリビニルアルコールの存在下で有
機銀塩を分散する。ポリビニルアルコールの詳細につい
ては、例えば『ポバール』(長野浩一、山根三郎、豊島
賢太郎 著、1981、高分子刊行会(株))等に記載され
ている。本発明に好ましく用いられるポリビニルアルコ
ールとしては、例えば、クラレ(株)製ポバールPVA
−217,同PVA−117,PVA−420等が挙げ
られる。有機銀塩の分散時に用いられるポリビニルアル
コールの使用量は、有機銀塩に対して重量比1:50か
ら1:1の範囲で用いることができるが、好ましくは
1:25から1:5の範囲である。本発明の実施におけ
る分散操作では、水性溶媒可溶な分散剤(分散助剤)の
存在下で有機銀塩を分散することが好ましい。分散助剤
としては、例えば、ポリアクリル酸、アクリル酸の共重
合体、マレイン酸共重合体、マレイン酸モノエステル共
重合体、アクリロメチルプロパンスルホン酸共重合体な
どの合成アニオンポリマー、カルボキシメチルデンプ
ン、カルボキシメチルセルロースなどの半合成アニオン
ポリマー、アルギン酸、ペクチン酸などのアニオン性ポ
リマー、特開平7-350753号に記載の化合物、あるいは公
知のアニオン性、ノニオン性、カチオン性界面活性剤や
その他のポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
ン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の
公知のポリマー、或いはゼラチン等の自然界に存在する
高分子化合物を適宜選択して用いることができるが、ポ
リビニルアルコール類、水溶性のセルロース誘導体が特
に好ましい。
【0041】分散助剤は、分散前に有機銀塩の粉末また
はウェットケーキ状態の有機銀塩と混合し、スラリーと
して分散機に送り込むのは一般的な方法であるが、予め
有機銀塩と混ぜ合わせた状態で熱処理や溶媒による処理
を施して有機銀塩粉末またはウェットケーキとしても良
い。分散前後または分散中に適当なpH調整剤によりpHコ
ントロールしても良い。機械的に分散する以外にも、pH
コントロールすることで溶媒中に粗分散し、その後、分
散助剤の存在下でpHを変化させて微粒子化させても良
い。このとき、粗分散に用いる溶媒として有機溶媒を使
用しても良く、通常有機溶媒は微粒子化終了後除去され
る。調製された分散物は、保存時の微粒子の沈降を抑え
る目的で撹拌しながら保存したり、親水性コロイドによ
り粘性の高い状態(例えば、ゼラチンを使用しゼリー状
にした状態)で保存したりすることもできる。また、保
存時の雑菌などの繁殖を防止する目的で防腐剤を添加す
ることもできる。
【0042】本発明で用いる有機銀塩固体微粒子分散物
の粒子サイズ(体積加重平均直径)は、例えば液中に分散
した固体微粒子分散物にレーザー光を照射し、その散乱
光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めるこ
とにより得られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求
めることができる。平均粒子サイズ0.05μm以上10.0μ
m以下の固体微粒子分散物が好ましい。より好ましくは
平均粒子サイズ0.1μm以上5.0μm以下、更に好ましく
は平均粒子サイズ0.1μm以上2.0μm以下である。有機
銀塩の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。
具体的には、体積加重平均直径の標準偏差を体積加重平
均直径で割った値の百分率(変動係数)が80%以下、より
好ましくは50%以下、更に好ましくは30%以下である。有
機銀塩の形状の測定方法としては有機銀塩分散物の透過
型電子顕微鏡像より求めることができる。
【0043】本発明に用いる有機銀塩固体微粒子分散物
は、少なくとも有機銀塩と水から成るものである。有機
銀塩と水との割合は特に限定されるものではないが、有
機銀塩の全体に占める割合は5〜50重量%であること
が好ましく、特に10〜30重量%の範囲が好ましい。
前述の分散助剤を用いることは好ましいが、粒子サイズ
を最小にするのに適した範囲で最少量使用するのが好ま
しく、有機銀塩に対して0.5〜30重量%、特に1〜
15重量%の範囲が好ましい。本発明では有機銀塩水分
散液と感光性銀塩水分散液を混合して感光材料を製造す
ることが可能であるが、有機銀塩と感光性銀塩の混合比
率は目的に応じて選べるが、有機銀塩に対する感光性銀
塩の割合は1〜30モル%の範囲が好ましく、更に3〜
20モル%、特に5〜15モル%の範囲が好ましい。混
合する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感
光性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の調節の
ために好ましく用いられる方法である。本発明において
有機銀塩は所望の量で使用できるが、感光材料1m2当た
りの塗布量で示すと、銀量として0.1〜5g/m2が好まし
く、さらに好ましくは1〜3g/m2である。
【0044】本発明にはCa、Mg、ZnおよびAgか
ら選ばれる金属イオンを非感光性有機銀塩へ添加するこ
とが好ましい。Ca、Mg、ZnおよびAgから選ばれ
る金属イオンの非感光性有機銀塩への添加については、
ハロゲン化物でない、水溶性の金属塩の形で添加するこ
とが好ましく、具体的には硝酸塩や硫酸塩などの形で添
加することが好ましい。ハロゲン化物での添加は処理後
の感光材料の光(室内光や太陽光など)による画像保存
性、いわゆるプリントアウト性を悪化させるので好まし
くない。このため、本発明では前述のハロゲン化物でな
い、水溶性の金属塩の形で添加することが好ましい。本
発明に好ましく用いるCa、Mg、ZnおよびAgから
選ばれる金属イオンの添加時期としては、該非感光性有
機銀塩の粒子形成後の、粒子形成直後、分散前、分散後
および塗布液調製前後など塗布直前までであればいずれ
の時期でもよく、好ましくは分散後、塗布液調製前後で
ある。本発明におけるCa、Mg、ZnおよびAgから
選ばれる金属イオンの添加量としては、非感光性有機銀
1モルあたり10-3〜10-1モルが好ましく、特に5×10-3
5×10-2モルが好ましい。
【0045】本発明の熱現像感光材料は、感光性ハロゲ
ン化銀を含む。本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀
は、ハロゲン組成として特に制限はなく、塩化銀、塩臭
化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀を用いること
ができる。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一で
あってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したも
のでもよく、或いは連続的に変化したものでもよい。ま
た、コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を好ま
しく用いることができる。構造としては好ましくは2〜
5重構造、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル
粒子を用いることができる。また塩化銀または塩臭化銀
粒子の表面に臭化銀を局在させる技術も好ましく用いる
ことができる。感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界
ではよく知られており例えば、リサーチディスクロージ
ャー1978年6月の第17029号、および米国特許第3,700,45
8号に記載されている方法を用いることができるが、具
体的にはゼラチンあるいは他のポリマー溶液中に銀供給
化合物およびハロゲン供給化合物を添加することにより
感光性ハロゲン化銀を調製し、その後で有機銀塩と混合
する方法を用いる。感光性ハロゲン化銀の粒子サイズ
は、画像形成後の白濁を低く抑える目的のために小さい
ことが好ましく具体的には0.20μm以下、より好ましく
は0.01μm以上0.15μm以下、更に好ましくは0.02μm以
上0.12μm以下がよい。ここでいう粒子サイズとは、ハ
ロゲン化銀粒子が立方体あるいは八面体のいわゆる正常
晶である場合にはハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。
また、ハロゲン化銀粒子が平板状粒子である場合には主
表面の投影面積と同面積の円像に換算したときの直径を
いう。その他正常晶でない場合、たとえば球状粒子、棒
状粒子等の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な
球を考えたときの直径をいう。
【0046】ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、
八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ
状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特
に立方体状粒子、平板状粒子が好ましい。平板状ハロゲ
ン化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比は好ましく
は100:1〜2:1、より好ましくは50:1〜3:1がよい。更
に、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ま
しく用いることができる。感光性ハロゲン化銀粒子の外
表面の面指数(ミラー指数)については特に制限はない
が、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率が高い
[100]面の占める割合が高いことが好ましい。その割合
としては50%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、
80%以上が更に好ましい。ミラー指数[100]面の比率は増
感色素の吸着における[111]面と[100]面との吸着依存性
を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29、165(1985年)に記
載の方法により求めることができる。本発明で用いる感
光性ハロゲン化銀粒子は、周期律表の第VII族あるいは
第VIII族(第7族〜第10族)の金属または金属錯体を
含有する。周期律表の第VII族あるいは第VIII族の金属
または金属錯体の中心金属として好ましくはロジウム、
レニウム、ルテニウム、オスニウム、イリジウムであ
る。これら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属およ
び異種金属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい
含有率は銀1モルに対し1×10-9モルから1×10-3
モルの範囲が好ましく、1×10-8モルから1×10-4
モルの範囲がより好ましい。具体的な金属錯体の構造と
しては特開平7-225449号等に記載された構造の金属錯体
を用いることができる。
【0047】本発明に用いられるロジウム化合物として
は、水溶性ロジウム化合物を用いることができる。たと
えば、ハロゲン化ロジウム(III)化合物、またはロジ
ウム錯塩で配位子としてハロゲン、アミン類、オキザラ
ト等を持つもの、たとえば、ヘキサクロロロジウム(II
I)錯塩、ペンタクロロアコロジウム(III)錯塩、テト
ラクロロジアコロジウム(III)錯塩、ヘキサブロモロ
ジウム(III)錯塩、ヘキサアンミンロジウム(III)錯
塩、トリオキザラトロジウム(III)錯塩等が挙げられ
る。これらのロジウム化合物は、水あるいは適当な溶媒
に溶解して用いられるが、ロジウム化合物の溶液を安定
化させるために一般によく行われる方法、すなわち、ハ
ロゲン化水素水溶液(たとえば塩酸、臭酸、フッ酸
等)、あるいはハロゲン化アルカリ(たとえばKCl、NaC
l、KBr、NaBr等)を添加する方法を用いることができ
る。水溶性ロジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製
時に、あらかじめロジウムをドープしてある別のハロゲ
ン化銀粒子を添加して溶解させることも可能である。こ
れらのロジウム化合物の添加量はハロゲン化銀1モル当
り1×10-8モル〜5×10-4モルの範囲が好ましく、
特に好ましくは5×10-8モル〜1×10-5モルであ
る。これらの化合物の添加は、ハロゲン化銀乳剤粒子の
製造時および乳剤を塗布する前の各段階において適宜行
うことができるが、特に乳剤形成時に添加し、ハロゲン
化銀粒子中に組み込まれることが好ましい。
【0048】本発明に用いられるレニウム、ルテニウ
ム、オスミウムは特開昭63-2042号、特開平1-285941号、
同2-20852号、同2-20855号等に記載された水溶性錯塩の
形で添加される。特に好ましいものとして、以下の式で
示される六配位錯体が挙げられる。[ML6n-ここで
MはRu、Re、またはOsを表し、Lは配位子を表
し、nは0、1、2、3または4を表す。この場合、対
イオンは重要性を持たず、アンモニウムもしくはアルカ
リ金属イオンが用いられる。また好ましい配位子として
はハロゲン化物配位子、シアン化物配位子、シアン酸化
物配位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子等
が挙げられる。以下に本発明に用いられる具体的錯体の
例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0049】 [ReCl6]3- [ReBr6]3- [ReCl5(NO)]2- [Re(NS)Br5]2- [Re(NO)(CN)5]2- [Re(O)2(CN)4]3- [RuCl6]3- [RuCl4(H2O)2]- [RuCl5(H2O)]2- [RuCl5(NO)]2- [RuBr5(NS)]2- [Ru(CO)3Cl3]2- [Ru(CO)Cl5]2- [Ru(CO)Br5]2- [OsCl6]3- [OsCl5(NO)]2- [Os(NO)(CN)5]2- [Os(NS)Br5]2- [Os(O)2(CN)4]4-
【0050】これらの化合物の添加量はハロゲン化銀1
モル当り1×10-9モル〜1×10 -4モルの範囲が好ま
しく、特に好ましくは1×10-8モル〜1×10-5モル
である。これらの化合物の添加は、ハロゲン化銀乳剤粒
子の製造時および乳剤を塗布する前の各段階において適
宜行うことができるが、特に乳剤形成時に添加し、ハロ
ゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましい。これら
の化合物をハロゲン化銀の粒子形成中に添加してハロゲ
ン化銀粒子中に組み込むには、金属錯体の粉末もしくは
NaCl、KClと一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水
溶性塩または水溶性ハライド溶液中に添加しておく方
法、あるいは銀塩とハライド溶液が同時に混合されると
き第3の溶液として添加し、3液同時混合の方法でハロ
ゲン化銀粒子を調製する方法、あるいは粒子形成中に必
要量の金属錯体の水溶液を反応容器に投入する方法など
がある。特に粉末もしくはNaCl、KClと一緒に溶解した
水溶液を、水溶性ハライド溶液に添加する方法が好まし
い。粒子表面に添加するには、粒子形成直後または物理
熟成時途中もしくは終了時または化学熟成時に必要量の
金属錯体の水溶液を反応容器に投入することもできる。
【0051】本発明で用いられるイリジウム化合物とし
ては種々のものを使用できるが、例えばヘキサクロロイ
リジウム、ヘキサアンミンイリジウム、トリオキザラト
イリジウム、ヘキサシアノイリジウム、ペンタクロロニ
トロシルイリジウム等が挙げられる。これらのイリジウ
ム化合物は、水あるいは適当な溶媒に溶解して用いられ
るが、イリジウム化合物の溶液を安定化させるために一
般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶
液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、あるいはハロゲン
化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加す
る方法を用いることができる。水溶性イリジウムを用い
る代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじめイリジウ
ムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶
解させることも可能である。
【0052】さらに本発明に用いられるハロゲン化銀粒
子に、コバルト、鉄、ニッケル、クロム、パラジウム、
白金、金、タリウム、銅、鉛、等の金属原子を含有して
もよい。コバルト、鉄、クロム、さらにルテニウムの化
合物については六シアノ金属錯体を好ましく用いること
ができる。具体例としては、フェリシアン酸イオン、フ
ェロシアン酸イオン、ヘキサシアノコバルト酸イオン、
ヘキサシアノクロム酸イオン、ヘキサシアノルテニウム
酸イオンなどが挙げられるが、これらに限定されるもの
ではない。ハロゲン化銀中の金属錯体の含有相は均一で
も、コア部に高濃度に含有させてもよく、あるいはシェ
ル部に高濃度に含有させてもよく特に制限はない。上記
金属はハロゲン化銀1モルあたり1×10-9〜1×10
-4モルが好ましい。また、上記金属を含有せしめるには
単塩、複塩、または錯塩の形の金属塩にして粒子調製時
に添加することができる。
【0053】感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フ
ロキュレーション法等、当業界で知られている方法の水
洗により脱塩することができるが本発明においては脱塩
してもしなくてもよい。ハロゲン化銀乳剤に金増感を施
す場合に用いられる金増感剤としては、金の酸化数が+1
価でも+3価でもよく、金増感剤として通常用いられる金
化合物を用いることができる。代表的な例としては塩化
金酸、カリウムクロロオーレート、オーリックトリクロ
ライド、カリウムオーリックチオシアネート、カリウム
ヨードオーレート、テトラシアノオーリックアシド、ア
ンモニウムオーロチオシアネート、ピリジルトリクロロ
ゴールドなどが挙げられる。金増感剤の添加量は種々の
条件により異なるが、目安としてはハロゲン化銀1モル
当り10-7モル以上10-3モル以下、より好ましくは1
-6モル以上5×10-4以下である。
【0054】本発明で用いるハロゲン化銀乳剤は金増感
と他の化学増感とを併用することが好ましい。他の化学
増感の方法としては、硫黄増感法、セレン増感法、テル
ル増感法、貴金属増感法などの知られている方法を用い
ることができる。金増感法と組み合わせて使用する場合
には、例えば、硫黄増感法と金増感法、セレン増感法と
金増感法、硫黄増感法とセレン増感法と金増感法、硫黄
増感法とテルル増感法と金増感法、硫黄増感法とセレン
増感法とテルル増感法と金増感法などが好ましい。本発
明に好ましく用いられる硫黄増感は、通常、硫黄増感剤
を添加して、40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌す
ることにより行われる。硫黄増感剤としては公知の化合
物を使用することができ、例えば、ゼラチン中に含まれ
る硫黄化合物のほか、種々の硫黄化合物、例えばチオ硫
酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、ローダニン類等を用
いることができる。好ましい硫黄化合物は、チオ硫酸
塩、チオ尿素化合物である。硫黄増感剤の添加量は、化
学熟成時のpH、温度、ハロゲン化銀粒子の大きさなど
の種々の条件の下で変化するが、ハロゲン化銀1モル当
り10-7〜10-2モルであり、より好ましくは10-5
10-3モルである。
【0055】本発明に用いられるセレン増感剤として
は、公知のセレン化合物を用いることができる。すなわ
ち、通常、不安定型および/または非不安定型セレン化
合物を添加して40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌
することにより行われる。不安定型セレン化合物として
は特公昭44-15748号、同43-13489号、特開平4-25832号、同
4-109240号、同3-121798号等に記載の化合物を用いるこ
とができる。特に特開平4-324855号中の一般式(VIII)お
よび(IX)で示される化合物を用いることが好ましい。本
発明に用いられるテルル増感剤は、ハロゲン化銀粒子表
面または内部に、増感核になると推定されるテルル化銀
を生成させる化合物である。ハロゲン化銀乳剤中のテル
ル化銀生成速度については特開平5-313284号に記載の方
法で試験することができる。テルル増感剤としては例え
ばジアシルテルリド類、ビス(オキシカルボニル)テルリ
ド類、ビス(カルバモイル)テルリド類、ジアシルテルリ
ド類、ビス(オキシカルボニル)ジテルリド類、ビス(カ
ルバモイル)ジテルリド類、P=Te結合を有する化合物、
テルロカルボン酸塩類、Te−オルガニルテルロカルボ
ン酸エステル類、ジ(ポリ)テルリド類、テルリド類、テ
ルロール類、テルロアセタール類、テルロスルホナート
類、P-Te結合を有する化合物、含Teヘテロ環類、テル
ロカルボニル化合物、無機テルル化合物、コロイド状テ
ルルなどを用いることができる。具体的には、米国特許
第1,623,499号、同第3,320,069号、同第3,772,031号、英国
特許第235,211号、同第1,121,496号、同第1,295,462号、同
第1,396,696号、カナダ特許第800,958号、特開平4-20464
0号、同3-53693号、同3-131598号、同4-129787号、ジャー
ナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・ケミカル・コ
ミュニケーション(J.Chem.Soc.Chem.Commun.) 635(198
0),ibid 1102(1979),ibid 645(1979)、ジャーナル・オ
ブ・ケミカル・ソサイアティー・パーキン・トランザク
ション(J.Chem.Soc.Perkin.Trans.) 1,2191(1980)、S.
パタイ(S.Patai) 編、ザ・ケミストリー・オブ・オーガ
ニック・セレニウム・アンド・テルリウム・カンパウン
ズ(The Chemistry of Organic Serenium and Telluniu
m Compounds),Vol 1(1986)、同 Vol 2(1987)に記載の化
合物を用いることができる。特に特開平5-313284号中の
一般式(II),(III),(IV)で示される化合物が好まし
い。
【0056】本発明で用いられるセレンおよびテルル増
感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成
条件等によって変わるが、一般にハロゲン化銀1モル当
たり10-8〜10-2モル、好ましくは10-7〜10-3
ル程度を用いる。本発明における化学増感の条件として
は特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとし
ては6〜11、好ましくは7〜10であり、温度として
は40〜95℃、好ましくは45〜85℃である。本発
明に用いるハロゲン化銀乳剤にはハロゲン化銀粒子の形
成または物理熟成の過程においてカドミウム塩、亜硫酸
塩、鉛塩、タリウム塩などを共存させてもよい。本発明
においては、還元増感を用いることができる。還元増感
法の具体的な化合物としてはアスコルビン酸、二酸化チ
オ尿素の他に例えば、塩化第一スズ、アミノイミノメタ
ンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シ
ラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることができ
る。また、乳剤のpHを7以上またはpAgを8.3以下に保持
して熟成することにより還元増感することができる。ま
た、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分
を導入することにより還元増感することができる。本発
明で用いるハロゲン化銀乳剤には、欧州特293,917号に
示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加して
もよい。
【0057】本発明に用いられる感光材料中のハロゲン
化銀乳剤は、一種だけでもよいし、二種以上(例えば、
平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるも
の、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの)
併用してもよい。感光性ハロゲン化銀の使用量としては
有機銀塩1モルに対して感光性ハロゲン化銀0.01モル以
上0.5モル以下が好ましく、0.02モル以上0.3モル以下が
より好ましく、0.03モル以上0.25モル以下が特に好まし
い。別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混
合方法および混合条件については、それぞれ調製終了し
たハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速撹拌機やボールミ
ル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイ
ザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製中の
いずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化
銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があるが、本発
明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はな
い。
【0058】本発明で用いる増感色素としてはハロゲン
化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀
粒子を分光増感できるもので有ればいかなるものでも良
い。増感色素としては、シアニン色素、メロシアニン色
素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロ
シアニン色素、ホロホーラーシアニン色素、スチリル色
素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソ
ノール色素等を用いることができる。本発明に使用され
る有用な増感色素は例えばRESEARCH DISCLOSURE Item17
643IV-A項(1978年12月p.23)、同Item1831X項(1979年8月
p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されてい
る。特に各種レーザーイメージャー、スキャナー、イメ
ージセッターや製版カメラの光源の分光特性に適した分
光感度を有する増感色素を有利に選択することができ
る。赤色光への分光増感の例としては、He-Neレーザ
ー、赤色半導体レーザーやLEDなどのいわゆる赤色光源
に対しては、特開昭54-18726号に記載のI-1からI-38の
化合物、特開平6-75322号に記載のI-1からI-35の化合物
および特開平7-287338号に記載のI-1からI-34の化合
物、特公昭55-39818号に記載の色素1から20、特開昭62-
284343号に記載のI-1からI-37の化合物および特開平7-2
87338号に記載のI-1からI-34の化合物などが有利に選択
される。
【0059】750〜1400nmの波長領域の半導体レーザー
光源に対しては、シアニン、メロシアニン、スチリル、
ヘミシアニン、オキソノール、ヘミオキソノールおよび
キサンテン色素を含む種々の既知の色素により、スペク
トル的に有利に増感させることができる。有用なシアニ
ン色素は、例えば、チアゾリン核、オキサゾリン核、ピ
ロリン核、ピリジン核、オキサゾール核、チアゾール
核、セレナゾール核およびイミダゾール核などの塩基性
核を有するシアニン色素である。有用なメロシアニン染
料で好ましいものは、上記の塩基性核に加えて、チオヒ
ダントイン核、ローダニン核、オキサゾリジンジオン
核、チアゾリンジオン核、バルビツール酸核、チアゾリ
ノン核、マロノニトリル核およびピラゾロン核などの酸
性核も含む。上記のシアニンおよびメロシアニン色素に
おいて、イミノ基またはカルボキシル基を有するものが
特に効果的である。例えば、米国特許3,761,279号、同
3,719,495号、同3,877,943号、英国特許1,466,201号、
同1,469,117号、同1,422,057号、特公平3-10391号、同6
-52387号、特開平5-341432号、同6-194781号、同6-3011
41号に記載されたような既知の色素から適当に選択して
よい。
【0060】本発明に用いられる色素の構造として特に
好ましいものは、チオエーテル結合含有置換基を有する
シアニン色素(例としては特開昭62-58239号、同3-13863
8号、同3-138642号、同4-255840号、同5-72659号、同5-
72661号、同6-222491号、同2-230506号、同6-258757
号、同6-317868号、同6-324425号、特表平7-500926号、
米国特許5,541,054号に記載された色素) 、カルボン酸
基を有する色素(例としては特開平3-163440号、6-30114
1号、米国特許5,441,899号に記載された色素)、メロシ
アニン色素、多核メロシアニン色素や多核シアニン色素
(特開昭47-6329号、同49-105524号、同51-127719号、同
52-80829号、同54-61517号、同59-214846号、同60-6750
号、同63-159841号、特開平6-35109号、同6-59381号、
同7-146537号、同7-146537号、特表平55-50111号、英国
特許1,467,638号、米国特許5,281,515号に記載された色
素)が挙げられる。また、J-bandを形成する色素として
米国特許5,510,236号、同3,871,887号の実施例5記載の
色素、特開平2-96131号、特開昭59-48753号が開示され
ており、本発明に好ましく用いることができる。
【0061】これらの増感色素は単独に用いてもよく、
2種以上組合せて用いてもよい。増感色素の組合せは特
に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素と
ともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは
可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を
示す物質を乳剤中に含んでもよい。有用な増感色素、強
色増感を示す色素の組合せおよび強色増感を示す物質は
Research Disclosure176巻17643(1978年12月発行)第23
頁IVのJ項、あるいは特公昭49-25500号、同43-4933号、
特開昭59-19032号、同59-192242号等に記載されてい
る。増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加させるには、
それらを直接乳剤中に分散してもよいし、あるいは水、
メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メ
チルセルソルブ、2,2,3,3-テトラフルオロプロパノー
ル、2,2,2-トリフルオロエタノール、3-メトキシ-1-プ
ロパノール、3-メトキシ-1-ブタノール、1-メトキシ-2-
プロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド等の溶媒の単
独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤に添加してもよい。
【0062】また、米国特許3,469,987号明細書等に開
示されているように、色素を揮発性の有機溶剤に溶解
し、この溶液を水または親水性コロイド中に分散し、こ
の分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44-23389号、
同44-27555号、同57-22091号等に開示されているよう
に、色素を酸に溶解し、この溶液を乳剤中に添加した
り、酸または塩基を共存させて水溶液として乳剤中へ添
加する方法、米国特許3,822,135号、同4,006,025号明細
書等に開示されているように界面活性剤を共存させて水
溶液あるいはコロイド分散物としたものを乳剤中に添加
する方法、特開昭53-102733号、同58-105141号に開示さ
れているように親水性コロイド中に色素を直接分散さ
せ、その分散物を乳剤中に添加する方法、特開昭51-746
24号に開示されているように、レッドシフトさせる化合
物を用いて色素を溶解し、この溶液を乳剤中へ添加する
方法を用いることもできる。また、溶解に超音波を用い
ることもできる。
【0063】増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加する
時期は、これまで有用であることが認められている乳剤
調製のいかなる工程中であってもよい。例えば米国特許
2,735,766号、同3,628,960号、同4,183,756号、同4,22
5,666号、特開昭58-184142号、同60-196749号等の明細
書に開示されているように、ハロゲン化銀の粒子形成工
程または/および脱塩前の時期、脱塩工程中および/ま
たは脱塩後から化学熟成の開始前までの時期、特開昭58
-113920号等の明細書に開示されているように、化学熟
成の直前または工程中の時期、化学熟成後、塗布までの
時期の乳剤が塗布される前ならばいかなる時期、工程に
おいて添加されてもよい。また、米国特許4,225,666
号、特開昭58-7629号等の明細書に開示されているよう
に、同一化合物を単独で、または異種構造の化合物と組
み合わせて、例えば粒子形成工程中と化学熟成工程中ま
たは化学熟成完了後とに分けたり、化学熟成の前または
工程中と完了後とに分けるなどして分割して添加しても
よく、分割して添加する化合物および化合物の組み合わ
せの種類を変えて添加してもよい。本発明における増感
色素の使用量としては感度やカブリなどの性能に合わせ
て所望の量でよいが、感光性層のハロゲン化銀1モル当
たり10-6〜1モルが好ましく、10-4〜10-1モルがさらに
好ましい。
【0064】本発明においては赤外分光増感効率を向上
させるため、強色増感剤を用いることができる。本発明
に用いられる強色増感剤は、欧州特許第587338号、米国
特許第3877943号、同4873184号に開示されている化合
物、複素芳香族あるいは脂肪族メルカプト化合物、複素
芳香族ジスルフィド化合物、スチルベン、ヒドラジン、
トリアジンから選択される化合物などが挙げられる。特
に好ましい強色増感剤は、特開平5-341432号に開示され
ている複素芳香族メルカプト化合物、複素芳香族ジスル
フィド化合物、特開平10-73899号に開示されているスチ
ルベン化合物、特願平10-78168号に記載の一般式(I)
で表される化合物で具体的には同公報に記載の化合物1
〜57である。これらのメルカプト化合物などの強色増
感剤の添加量としては、乳剤層中に銀1モル当たり0.00
01〜1.0モルの範囲が好ましく、さらに好ましくは、銀
の1モル当たり0.001〜0.3モルの量である。なお、メル
カプト化合物の具体例としては後述のものが挙げられ
る。
【0065】本発明の熱現像感光材料は造核剤を含む。
本発明に用いられる造核剤の種類は特に限定されない
が、例えば置換アルケン誘導体、置換イソオキサゾール
誘導体および特定のアセタール化合物が好ましく、以下
の式(1)〜(3)で表される化合物がより好ましい。
以下、式(1)で表される置換アルケン誘導体、式
(2)で表される置換イソオキサゾール誘導体、および
式(3)で表される特定のアセタール化合物について説
明する。
【0066】
【化12】
【0067】式(1)においてR11、R12、R13は、それ
ぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Zは電子吸引
性基またはシリル基を表す。式(1)においてR11とZ、
12とR13、R11とR12、あるいはR13とZは、互いに
結合して環状構造を形成していてもよい。式(2)におい
てR14は置換基を表す。式(3)においてX、Yは、それ
ぞれ独立に水素原子または置換基を表し、A、Bはそれ
ぞれ独立に、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル
アミノ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アニリ
ノ基、ヘテロ環オキシ基、ヘテロ環チオ基またはヘテロ
環アミノ基を表す。式(3)においてXとY、あるいはA
とBは、互いに結合して環状構造を形成していてもよ
い。
【0068】式(1)で表される化合物について詳しく説
明する。式(1)においてR11、R12、R13は、それぞれ
独立に水素原子または置換基を表し、Zは電子吸引性基
またはシリル基を表す。式(1)においてR11とZ、R12
とR13、R11とR12、あるいはR13とZは、互いに結合
して環状構造を形成していてもよい。R11、R12、R13
が置換基を表す時、置換基の例としては、例えばハロゲ
ン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子、または沃
素原子)、アルキル基(アラルキル基、シクロアルキル
基、活性メチン基等を含む)、アルケニル基、アルキニ
ル基、アリール基、ヘテロ環基(N−置換の含窒素ヘテ
ロ環基を含む)、4級化された窒素原子を含むヘテロ環
基(例えばピリジニオ基)、アシル基、アルコキシカル
ボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル
基、カルボキシ基またはその塩、イミノ基、N原子で置
換したイミノ基、チオカルボニル基、スルホニルカルバ
モイル基、アシルカルバモイル基、スルファモイルカル
バモイル基、カルバゾイル基、オキサリル基、オキサモ
イル基、シアノ基、チオカルバモイル基、ヒドロキシ基
(またはその塩)、アルコキシ基(エチレンオキシ基も
しくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含
む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオ
キシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボ
ニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキ
シ基、アミノ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ
環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウ
レイド基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシも
しくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファ
モイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジ
ド基、ヒドラジノ基、4級のアンモニオ基、オキサモイ
ルアミノ基、(アルキルもしくはアリール)スルホニル
ウレイド基、アシルウレイド基、アシルスルファモイル
アミノ基、ニトロ基、メルカプト基またはその塩、(ア
ルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、アシルチ
オ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(ア
ルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基また
はその塩、スルファモイル基、アシルスルファモイル
基、スルホニルスルファモイル基またはその塩、ホスホ
リル基、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構造を含
む基、シリル基、スタニル基等が挙げられる。これら置
換基は、これら置換基でさらに置換されていてもよい。
【0069】式(1)においてZで表される電子吸引性基
とは、ハメットの置換基定数σpが正の値を取りうる置
換基のことであり、具体的には、シアノ基、アルコキシ
カルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモ
イル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、チオカ
ルボニル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル
基、アリールスルホニル基、ニトロ基、ハロゲン原子、
パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルカンアミド
基、スルホンアミド基、アシル基、ホルミル基、ホスホ
リル基、カルボキシ基(またはその塩)、スルホ基(ま
たはその塩)、ヘテロ環基、アルケニル基、アルキニル
基、アシルオキシ基、アシルチオ基、スルホニルオキシ
基、またはこれら電子吸引性基で置換されたアリール基
等である。ここにヘテロ環基としては、飽和もしくは不
飽和のヘテロ環基で、例えばピリジル基、キノリル基、
ピラジニル基、キノキサリニル基、ベンゾトリアゾリル
基、イミダゾリル基、ベンツイミダゾリル基、ヒダント
インー1―イル基、スクシンイミド基、フタルイミド基
等がその例として挙げられる。式(1)においてZで表さ
れる電子吸引性基は、さらに置換基を有していてもよ
く、その置換基としては、式(1)のR11、R12、R13
置換基を表す時に有していてもよい置換基と同じものが
挙げられる。式(1)においてR11とZ、R12とR13、R
11とR12、あるいはR13とZは、互いに結合して環状構
造を形成していてもよいが、この時形成される環状構造
とは、非芳香族の炭素環もしくは非芳香族のヘテロ環で
ある。
【0070】次に式(1)で表される化合物の好ましい範
囲について述べる。式(1)においてZで表されるシリル
基として好ましくは、具体的にトリメチルシリル基、t
−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル
基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、
トリメチルシリルジメチルシリル基等である。式(1)に
おいてZで表される電子吸引性基として好ましくは、総
炭素数0〜30の以下の基、即ち、シアノ基、アルコキ
シカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバ
モイル基、チオカルボニル基、イミノ基、N原子で置換
したイミノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル
基、アリールスルホニル基、ニトロ基、パーフルオロア
ルキル基、アシル基、ホルミル基、ホスホリル基、アシ
ルオキシ基、アシルチオ基、または任意の電子吸引性基
で置換されたフェニル基等であり、さらに好ましくは、
シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、
イミノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、
アリールスルホニル基、アシル基、ホルミル基、ホスホ
リル基、トリフルオロメチル基、または任意の電子吸引
性基で置換されたフェニル基等であり、特に好ましくは
シアノ基、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニ
ル基、イミノ基またはカルバモイル基である。式(1)に
おいてZで表される基は、電子吸引性基がより好まし
い。
【0071】式(1)においてR11、R12、およびR13
表される置換基として好ましくは、総炭素数0〜30の
基で、具体的には上述の式(1)のZで表される電子吸引
性基と同義の基、およびアルキル基、ヒドロキシ基(ま
たはその塩)、メルカプト基(またはその塩)、アルコキ
シ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキル
チオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アミノ基、
アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ
基、ウレイド基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、
または置換もしくは無置換のアリール基等が挙げられ
る。さらに式(1)においてR11は、好ましくは電子吸引
性基、アリール基、アルキルチオ基、アルコキシ基、ま
たはアシルアミノ基、水素原子、またはシリル基であ
る。
【0072】R11が電子吸引性基を表す時、好ましくは
総炭素数0〜30の以下の基、即ち、シアノ基、ニトロ
基、アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、
アリールオキシカルボニル基、チオカルボニル基、イミ
ノ基、N原子で置換したイミノ基、アルキルスルホニル
基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、スルファ
モイル基、トリフルオロメチル基、ホスホリル基、カル
ボキシ基(またはその塩)、または飽和もしくは不飽和
のヘテロ環基であり、さらにシアノ基、アシル基、ホル
ミル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イ
ミノ基、N原子で置換したイミノ基、スルファモイル
基、カルボキシ基(またはその塩)、または飽和もしく
は不飽和のヘテロ環基が好ましい。特に好ましくはシア
ノ基、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル
基、カルバモイル基、または飽和もしくは不飽和のヘテ
ロ環基である。R11がアリール基を表す時、好ましくは
総炭素数6〜30の、置換もしくは無置換のフェニル基
であり、置換基としては、任意の置換基が挙げられる
が、中でも電子吸引性の置換基が好ましい。式(1)にお
いてR11は、より好ましくは、電子吸引性基またはアリ
ール基を表す時である。
【0073】式(1)においてR12およびR13で表される
置換基として好ましくは、具体的に、上述の式(1)のZ
で表される電子吸引性基と同義の基、アルキル基、ヒド
ロキシ基(またはその塩)、メルカプト基(またはその
塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキ
シ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ
基、アミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、ヘテロ
環アミノ基、アシルアミノ基、置換もしくは無置換のフ
ェニル基等である。式(1)においてR12およびR13は、
さらに好ましくは、どちらか一方が水素原子で、他方が
置換基を表す時である。その置換基として好ましくは、
アルキル基、ヒドロキシ基(またはその塩)、メルカプト
基(またはその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、
ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、
ヘテロ環チオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アニリ
ノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基(特にパーフ
ルオロアルカンアミド基)、スルホンアミド基、置換も
しくは無置換のフェニル基、またはヘテロ環基等であ
り、さらに好ましくはヒドロキシ基(またはその塩)、メ
ルカプト基(またはその塩)、アルコキシ基、アリールオ
キシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリール
チオ基、ヘテロ環チオ基、またはヘテロ環基であり、特
に好ましくはヒドロキシ基(またはその塩)、アルコキシ
基、またはヘテロ環基である。式(1)においてZと
11、あるいはまたR12とR13とが環状構造を形成する
場合もまた好ましい。この場合に形成される環状構造
は、非芳香族の炭素環もしくは非芳香族のヘテロ環であ
り、好ましくは5員〜7員の環状構造で、置換基を含め
たその総炭素数は1〜40、さらには3〜30が好まし
い。
【0074】式(1)で表される化合物の中で、より好ま
しいものの1つは、Zがシアノ基、ホルミル基、アシル
基、アルコキシカルボニル基、イミノ基、またはカルバ
モイル基を表し、R11が電子吸引性基またはアリール基
を表し、R12またはR13はのどちらか一方が水素原子
で、他方がヒドロキシ基(またはその塩)、メルカプト基
(またはその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘ
テロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘ
テロ環チオ基、またはヘテロ環基を表す化合物である。
さらにまた式(1)で表される化合物の中で特に好ましい
ものの1つは、ZとR11とが非芳香族の5員〜7員の環
状構造を形成していて、R12またはR13はのどちらか一
方が水素原子で、他方がヒドロキシ基(またはその塩)、
メルカプト基(またはその塩)、アルコキシ基、アリール
オキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリー
ルチオ基、ヘテロ環チオ基、またはヘテロ環基を表す化
合物である。この時、R11と共に非芳香族の環状構造を
形成するZとしては、アシル基、カルバモイル基、オキ
シカルボニル基、チオカルボニル基、スルホニル基等が
好ましく、またR11としては、アシル基、カルバモイル
基、オキシカルボニル基、チオカルボニル基、スルホニ
ル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、アシルア
ミノ基、カルボニルチオ基等が好ましい。
【0075】次に式(2)で表される化合物について説明
する。式(2)においてR14は置換基を表す。R14で表さ
れる置換基としては、式(1)のR11〜R13の置換基につ
いて説明したものと同じものが挙げられる。R14で表さ
れる置換基は、好ましくは電子吸引性基またはアリール
基である。R14が電子吸引性基を表す時、好ましくは、
総炭素数0〜30の以下の基、即ち、シアノ基、ニトロ
基、アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、
アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、
アリールスルホニル基、カルバモイル基、スルファモイ
ル基、トリフルオロメチル基、ホスホリル基、イミノ
基、または飽和もしくは不飽和のヘテロ環基であり、さ
らにシアノ基、アシル基、ホルミル基、アルコキシカル
ボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキ
ルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環基が
好ましい。特に好ましくはシアノ基、ホルミル基、アシ
ル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、また
はヘテロ環基である。R14がアリール基を表す時、好ま
しくは総炭素数0〜30の、置換もしくは無置換のフェ
ニル基であり、置換基としては、式(1)のR11、R12
13が置換基を表す時にその置換基として説明したもの
と同じものが挙げられる。R14は、特に好ましくはシア
ノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ヘテ
ロ環基、または置換もしくは無置換のフェニル基であ
り、最も好ましくはシアノ基、ヘテロ環基、またはアル
コキシカルボニル基である。
【0076】次に式(3)で表される化合物について詳し
く説明する。式(3)においてX,Yはそれぞれ独立に水
素原子または置換基を表し、A,Bはそれぞれ独立に、
アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、ア
リールオキシ基、アリールチオ基、アニリノ基、ヘテロ
環チオ基、ヘテロ環オキシ基、またはヘテロ環アミノ基
を表す。XとY、あるいはAとBは、互いに結合して環
状構造を形成していてもよい。式(3)においてX,Yで
表される置換基としては、式(1)のR11〜R13の置換基
について説明したものと同じものが挙げられる。具体的
には、アルキル基(パーフルオロアルキル基、トリクロ
ロメチル基等を含む)、アリール基、ヘテロ環基、ハロ
ゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルケニル基、アルキ
ニル基、アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル
基、アリールオキシカルボニル基、イミノ基、N原子で
置換したイミノ基、カルバモイル基、チオカルボニル
基、アシルオキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、
アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルフ
ァモイル基、ホスホリル基、カルボキシ基(またはその
塩)、スルホ基(またはその塩)、ヒドロキシ基(また
はその塩)、メルカプト基(またはその塩)、アルコキ
シ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキル
チオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アミノ基、
アルキルアミノ基、アニリノ基、ヘテロ環アミノ基、シ
リル基等が挙げられる。これらの基はさらに置換基を有
していてもよい。またXとYは、互いに結合して環状構
造を形成していてもよく、この場合に形成される環状構
造としては、非芳香族の炭素環でも、非芳香族のヘテロ
環であってもよい。
【0077】式(3)においてX,Yで表される置換基
は、好ましくは総炭素数1〜40の、より好ましくは総
炭素数1〜30の基であり、シアノ基、アルコキシカル
ボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル
基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、チオカルボ
ニル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、ア
リールスルホニル基、ニトロ基、パーフルオロアルキル
基、アシル基、ホルミル基、ホスホリル基、アシルアミ
ノ基、アシルオキシ基、アシルチオ基、ヘテロ環基、ア
ルキルチオ基、アルコキシ基、またはアリール基等が挙
げられる。式(3)においてX,Yは、より好ましくはシ
アノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモ
イル基、アシル基、ホルミル基、アシルチオ基、アシル
アミノ基、チオカルボニル基、スルファモイル基、アル
キルスルホニル基、アリールスルホニル基、イミノ基、
N原子で置換したイミノ基、ホスホリル基、トリフルオ
ロメチル基、ヘテロ環基、または置換されたフェニル基
等であり、特に好ましくはシアノ基、アルコキシカルボ
ニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリ
ールスルホニル基、アシル基、アシルチオ基、アシルア
ミノ基、チオカルボニル基、ホルミル基、イミノ基、N
原子で置換したイミノ基、ヘテロ環基、または任意の電
子吸引性基で置換されたフェニル基等である。
【0078】XとYが、互いに結合して非芳香族の炭素
環、または非芳香族のヘテロ環を形成している場合もま
た好ましい。この時、形成される環状構造は5員〜7員
環が好ましく、その総炭素数は1〜40、さらには3〜
30が好ましい。環状構造を形成するXおよびYとして
は、アシル基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、
チオカルボニル基、スルホニル基、イミノ基、N原子で
置換したイミノ基、アシルアミノ基、カルボニルチオ基
等が好ましい。式(3)においてA,Bはそれぞれ独立
に、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ
基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アニリノ基、
ヘテロ環チオ基、ヘテロ環オキシ基、またはヘテロ環ア
ミノ基を表し、これらは互いに結合して環状構造を形成
していてもよい。式(3)においてA,Bで表される基
は、好ましくは総炭素数1〜40の、より好ましくは総
炭素数1〜30の基であり、さらに置換基を有していて
もよい。
【0079】式(3)においてA,Bは、これらが互いに
結合して環状構造を形成している場合がより好ましい。
この時形成される環状構造は5員〜7員環の非芳香族の
ヘテロ環が好ましく、その総炭素数は1〜40、さらに
は3〜30が好ましい。この場合に、A,Bが連結した
例(−A−B−)を挙げれば、例えば-O-(CH2)2-O-,-O-
(CH2)3-O-,-S-(CH2)2-S-,-S-(CH2)3-S-,-S-ph-S-,-
N(CH3)-(CH2)2-O-,-N(CH3)-(CH2)2-S-,-O-(CH2)2-S
-,-O-(CH2)3-S-,-N(CH3)-ph-O-,-N(CH3)-ph-S-,-N
(ph)-(CH2)2-S-等である。
【0080】本発明で用いる式(1)〜式(3)で表される
化合物は、ハロゲン化銀に対して吸着する吸着性の基が
組み込まれていてもよい。こうした吸着基としては、ア
ルキルチオ基、アリールチオ基、チオ尿素基、チオアミ
ド基、メルカプト複素環基、トリアゾール基などの米国
特許第4,385,108号、同4,459,347
号、特開昭59−195233号、同59−20023
1号、同59−201045号、同59−201046
号、同59−201047号、同59−201048
号、同59−201049号、特開昭61−17073
3号、同61−270744号、同62−948号、同
63−234244号、同63−234245号、同6
3−234246号に記載された基があげられる。また
これらハロゲン化銀への吸着基は、プレカーサー化され
ていてもよい。その様なプレカーサーとしては、特開平
2−285344号に記載された基が挙げられる。本発
明で用いる式(1)〜式(3)で表される化合物は、その中
にカプラー等の不動性写真用添加剤において常用されて
いるバラスト基またはポリマーが組み込まれているもの
でもよい。特にバラスト基が組み込まれているものは本
発明の好ましい例の1つである。バラスト基は8以上の
炭素数を有する、写真性に対して比較的不活性な基であ
り、例えばアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、
フェニル基、アルキルフェニル基、フェノキシ基、アル
キルフェノキシ基などの中から選ぶことができる。また
ポリマーとしては、例えば特開平1−100530号に
記載のものが挙げられる。
【0081】本発明で用いる式(1)〜式(3)で表される
化合物は、その中にカチオン性基(具体的には、4級の
アンモニオ基を含む基、または4級化された窒素原子を
含む含窒素ヘテロ環基等)、エチレンオキシ基もしくは
プロピレンオキシ基の繰り返し単位を含む基、(アルキ
ル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、あるいは塩基
により解離しうる解離性基(カルボキシ基、スルホ基、
アシルスルファモイル基、カルバモイルスルファモイル
基等)が含まれていてもよい。特にエチレンオキシ基も
しくはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を含む基、あ
るいは(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基
が含まれているものは、本発明の好ましい例の1つであ
る。これらの基の具体例としては、例えば特開平7ー2
34471号、特開平5−333466号、特開平6−
19032号、特開平6−19031号、特開平5−4
5761号、米国特許4994365号、米国特許49
88604号、特開平3−259240号、特開平7−
5610号、特開平7−244348号、独国特許40
06032号等に記載の化合物が挙げられる。次に式
(1)〜式(3)で表される化合物の具体例を以下に示す。
ただし、本発明は以下の化合物に限定されるものではな
い。
【0082】
【化13】
【0083】
【化14】
【0084】
【化15】
【0085】
【化16】
【0086】本発明で用いる式(1)〜式(3)で表される
化合物は、水または適当な有機溶媒、例えばアルコール
類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化
アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケト
ン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、
メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブ
チルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセ
リルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどの
オイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒
を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いる
ことができる。あるいは固体分散法として知られている
方法によって、化合物の粉末を水等の適当な溶媒中にボ
ールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散
し用いることができる。本発明で用いる式(1)〜式(3)
で表される化合物は、支持体に対して画像形成層側の
層、即ち画像形成層あるいは他のどの層に添加してもよ
いが、画像形成層あるいはそれに隣接する層に添加する
ことが好ましい。
【0087】本発明で用いる式(1)〜式(3)で表される
化合物の添加量は、銀1モルに対し1×10-6〜1モル
が好ましく、1×10-5〜5×10-1モルがより好まし
く、2×10-5〜2×10-1モルが最も好ましい。式
(1)〜式(3)で表される化合物は公知の方法により容易
に合成することができるが、例えば、米国特許5545
515号、米国特許5635339号、米国特許565
4130号、国際特許WO−97/34196号、或い
は特願平9−309813号、特願平9−272002
号に記載の方法を参考に合成することができる。本発明
で用いる式(1)〜式(3)で表される化合物は、1種のみ
用いても、2種以上を併用しても良い。また上記のもの
の他に、米国特許5545515号、米国特許5635
339号、米国特許5654130号、国際公開WO9
7/34196号、米国特許5686228号に記載の
化合物、或いはまた特願平9−228881号、特願平
9−273935号、特願平9−309813号、特願
平9−296174号、特願平9−282564号、特
願平9−272002号、特願平9−272003号、
特願平9−332388号に記載された化合物を併用し
て用いても良い。
【0088】本発明には造核剤としてヒドラジン誘導体
を併用して用いても良い。その場合には下記のヒドラジ
ン誘導体が好ましく用いられる。本発明に用いられるヒ
ドラジン誘導体はまた、下記の特許に記載された種々の
方法により、合成することができる。特公平6-77138号
に記載の(化1)で表される化合物で、具体的には同公
報3頁、4頁に記載の化合物。特公平6-93082号に記載の
一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報8
頁〜18頁に記載の1〜38の化合物。特開平6-230497号に
記載の一般式(4)、一般式(5)および一般式(6)で
表される化合物で、具体的には同公報25頁、26頁に記載
の化合物4-1〜化合物4-10、28頁〜36頁に記載の化合物5
-1〜5-42、および39頁、40頁に記載の化合物6-1〜化合
物6-7。特開平6-289520号に記載の一般式(1)および一
般式(2)で表される化合物で、具体的には同公報5頁〜
7頁に記載の化合物1-1)〜1-17)および2-1)。特開平6
-313936号に記載の(化2)および(化3)で表される化
合物で、具体的には同公報6頁〜19頁に記載の化合物。
特開平6-313951号に記載の(化1)で表される化合物
で、具体的には同公報3頁〜5頁に記載の化合物。特開平
7-5610号に記載の一般式(I)で表される化合物で、具
体的には同公報5頁〜10頁に記載の化合物I-1〜I-38。
特開平7-77783号に記載の一般式(II)で表される化合
物で、具体的には同公報10頁〜27頁に記載の化合物II-1
〜II-102。特開平7-104426号に記載の一般式(H)およ
び一般式(Ha)で表される化合物で、具体的には同公
報8頁〜15頁に記載の化合物H-1〜H-44。特開平9-2208
2号に記載の,ヒドラジン基の近傍にアニオン性基また
はヒドラジンの水素原子と分子内水素結合を形成するノ
ニオン性基を有することを特徴とする化合物で、特に一
般式(A),一般式(B),一般式(C),一般式
(D),一般式(E),一般式(F)で表される化合物
で,具体的には同公報に記載の化合物N-1〜N-30。特開
平9-22082号に記載の一般式(1)で表される化合物で、
具体的には同公報に記載の化合物D-1〜D-55。
【0089】さらに1991年3月22日発行の「公知技術(1〜
207頁)」(アズテック社刊)の25頁から34頁に記載の種々
のヒドラジン誘導体。特開昭62-86354号(6頁〜7頁)の
化合物D-2およびD-39。本発明に用いられるヒドラジ
ン誘導体は、適当な有機溶媒、例えばアルコール類(メ
タノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコ
ール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、
ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチル
セルソルブなどに溶解して用いることができる。また、
既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフ
タレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルト
リアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイ
ル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用
いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いること
ができる。あるいは固体分散法として知られている方法
によって、ヒドラジン誘導体の粉末を水の中にボールミ
ル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散し用い
ることができる。
【0090】本発明に用いられるヒドラジン誘導体は、
支持体に対して画像形成層側の該画像形成層あるいは他
のバインダー層のどの層に添加してもよいが、該画像形
成層あるいはそれに隣接するバインダー層に添加するこ
とが好ましい。本発明に用いられるヒドラジン誘導体の
添加量は、銀1モルに対し1×10-6〜1×10-2モルが好ま
しく、1×10-5〜5×10-3モルがより好ましく、2×10-5
〜5×10 -3モルが最も好ましい。また、本発明は超硬調
画像形成のために、前記の造核剤とともに硬調化促進剤
を併用することができる。例えば、米国特許第5,545,50
5号に記載のアミン化合物、具体的にはAM-1〜AM-
5、同5,545,507に記載のヒドロキサム酸類、具体的には
HA-1〜HA-11、同5,545,507に記載のアクリロニトリ
ル類、具体的にはCN-1〜CN-13、同5,558,983に記載
のヒドラジン化合物、具体的にはCA-1〜CA-6、特開
平9−297368に記載のオニュ−ム塩類、具体的に
はA-1〜A-42、B-1〜B-27、C-1〜C-14などを用い
ることができる。これらの硬調化促進剤の合成方法、添
加方法、添加量等は、それぞれの前記引用特許に記載さ
れているように行うことができる。
【0091】本発明には五酸化二リンが水和してできる
酸またはその塩を造核剤と併用して用いることが好まし
い。五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩とし
ては、メタリン酸(塩)、ピロリン酸(塩)、オルトリ
ン酸(塩)、三リン酸(塩)、四リン酸(塩)、ヘキサ
メタリン酸(塩)などである。特に好ましく用いられる
五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩としては
オルトリン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)であり、
具体的な塩としてはオルトリン酸ナトリウム、オルトリ
ン酸二水素ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、
ヘキサメタリン酸アンモニウムなどがある。本発明に好
ましく用いることができる五酸化二リンが水和してでき
る酸またはその塩は、少量で所望の効果を発現するとい
う点から画像形成層あるいはそれに隣接するバインダー
層に添加する。本発明に用いる五酸化二リンが水和して
できる酸またはその塩の使用量(感光材料1m2あたり
の塗布量)としては感度やカブリなどの性能に合わせて
所望の量でよいが、0.1〜500mg/m2が好ましく、0.5
〜100mg/m2がより好ましい。
【0092】本発明の熱現像感光材料には有機銀塩のた
めの還元剤を含むことが好ましい。有機銀塩のための還
元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質、好ま
しくは有機物質であってよい。フェニドン、ハイドロキ
ノンおよびカテコールなどの従来の写真現像剤は有用で
あるが、ヒンダードフェノール還元剤が好ましい。還元
剤は、画像形成層を有する面の銀1モルに対して5〜50モ
ル%含まれることが好ましく、10〜40モル%で含まれるこ
とがさらに好ましい。還元剤の添加層は画像形成層を有
する面のいかなる層でも良い。画像形成層以外の層に添
加する場合は銀1モルに対して10〜50モル%と多めに使用
することが好ましい。また、還元剤は現像時のみ有効に
機能を持つように誘導化されたいわゆるプレカーサーで
あってもよい。
【0093】有機銀塩を利用した熱現像感光材料におい
ては広範囲の還元剤が特開昭46-6074号、同47-1238号、
同47-33621号、同49-46427号、同49-115540号、同50-14
334号、同50-36110号、同50-147711号、同51-32632号、
同51-1023721号、同51-32324号、同51-51933号、同52-8
4727号、同55-108654号、同56-146133号、同57-82828
号、同57-82829号、特開平6-3793号、米国特許3,679,42
6号、同3,751,252号、同3,751,255号、同3,761,270号、
同3,782,949号、同3,839,048号、同3,928,686号、同5,4
64,738号、独国特許2321328号、欧州特許692732号など
に開示されている。例えば、フェニルアミドオキシム、
2-チエニルアミドオキシムおよびp-フェノキシフェニル
アミドオキシムなどのアミドオキシム;例えば4-ヒドロ
キシ-3,5-ジメトキシベンズアルデヒドアジンなどのア
ジン;2,2'-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオニル-β-
フェニルヒドラジンとアスコルビン酸との組合せのよう
な脂肪族カルボン酸アリールヒドラジドとアスコルビン
酸との組合せ;ポリヒドロキシベンゼンと、ヒドロキシ
ルアミン、レダクトンおよび/またはヒドラジンの組合
せ(例えばハイドロキノンと、ビス(エトキシエチル)ヒ
ドロキシルアミン、ピペリジノヘキソースレダクトンま
たはホルミル-4-メチルフェニルヒドラジンの組合せな
ど);フェニルヒドロキサム酸、p-ヒドロキシフェニル
ヒドロキサム酸およびβ-アリニンヒドロキサム酸など
のヒドロキサム酸;アジンとスルホンアミドフェノール
との組合せ(例えば、フェノチアジンと2,6-ジクロロ-4-
ベンゼンスルホンアミドフェノールなど);エチル-α-
シアノ-2-メチルフェニルアセテート、エチル-α-シア
ノフェニルアセテートなどのα-シアノフェニル酢酸誘
導体;2,2'-ジヒドロキシ-1,1'-ビナフチル、6,6'-ジブ
ロモ-2,2'-ジヒドロキシ-1,1'-ビナフチルおよびビス(2
-ヒドロキシ-1-ナフチル)メタンに例示されるようなビ
ス-β-ナフトール;ビス-β-ナフトールと1,3-ジヒドロ
キシベンゼン誘導体(例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾ
フェノンまたは2',4'-ジヒドロキシアセトフェノンな
ど)の組合せ;3-メチル-1-フェニル-5-ピラゾロンなど
の、5-ピラゾロン;ジメチルアミノヘキソースレダクト
ン、アンヒドロジヒドロアミノヘキソースレダクトンお
よびアンヒドロジヒドロピペリドンヘキソースレダクト
ンに例示されるようなレダクトン;2,6-ジクロロ-4-ベ
ンゼンスルホンアミドフェノールおよびp-ベンゼンスル
ホンアミドフェノールなどのスルホンアミドフェノール
還元剤;2-フェニルインダン-1,3-ジオンなど; 2,2-ジ
メチル-7-t-ブチル-6-ヒドロキシクロマンなどのクロマ
ン;2,6-ジメトキシ-3,5-ジカルボエトキシ-1,4-ジヒド
ロピリジンなどの1,4-ジヒドロピリジン;ビスフェノー
ル(例えば、ビス(2-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-メチルフ
ェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェ
ニル)プロパン、4,4-エチリデン-ビス(2-t-ブチル-6-メ
チルフェノール) 、1,1,-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメ
チルフェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサンおよび2,2-ビ
ス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンな
ど);アスコルビン酸誘導体(例えば、パルミチン酸1-ア
スコルビル、ステアリン酸アスコルビルなど);ならび
にベンジルおよびビアセチルなどのアルデヒドおよびケ
トン;3-ピラゾリドンおよびある種のインダン-1,3-ジ
オン;クロマノール(トコフェロールなど)などがある。
特に好ましい還元剤としては、ビスフェノール、クロマ
ノールである。
【0094】本発明で用いる還元剤は、溶液、粉末、固
体微粒子分散物などいかなる方法で添加してもよい。固
体微粒子分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミ
ル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェ
ットミル、ローラーミルなど)で行われる。また、固体
微粒子分散する際に分散助剤を用いてもよい。
【0095】画像を向上させる「色調剤」として知られ
る添加剤を含むと光学濃度が高くなることがある。ま
た、色調剤は黒色銀画像を形成させるうえでも有利にな
ることがある。色調剤は画像形成層を有する面に銀1モ
ルあたりの0.1〜50%モルの量含まれることが好ましく、
0.5〜20%モル含まれることがさらに好ましい。また、色
調剤は現像時のみ有効に機能を持つように誘導化された
いわゆるプレカーサーであってもよい。有機銀塩を利用
した熱現像感光材料においては広範囲の色調剤が特開昭
46-6077号、同47-10282号、同49-5019号、同49-5020
号、同49-91215号、同49-91215号、同50-2524号、同50-
32927号、同50-67132号、同50-67641号、同50-114217
号、同51-3223号、同51-27923号、同52-14788号、同52-
99813号、同53-1020号、同53-76020号、同54-156524
号、同54-156525号、同61-183642号、特開平4-56848
号、特公昭49-10727号、同54-20333号、米国特許3,080,
254号、同3,446,648号、同3,782,941号、同4,123,282
号、同4,510,236号、英国特許1380795号、ベルギー特許
841910号などに開示されている。色調剤の例は、フタル
イミドおよびN-ヒドロキシフタルイミド;スクシンイミ
ド、ピラゾリン-5-オン、ならびにキナゾリノン、3-フ
ェニル-2-ピラゾリン-5-オン、1-フェニルウラゾール、
キナゾリンおよび2,4-チアゾリジンジオンのような環状
イミド;ナフタルイミド(例えば、N-ヒドロキシ-1,8-ナ
フタルイミド);コバルト錯体(例えば、コバルトヘキサ
ミントリフルオロアセテート);3-メルカプト-1,2,4-ト
リアゾール、2,4-ジメルカプトピリミジン、3-メルカプ
ト-4,5-ジフェニル-1,2,4-トリアゾールおよび2,5-ジメ
ルカプト-1,3,4-チアジアゾールに例示されるメルカプ
タン;N-(アミノメチル)アリールジカルボキシイミド、
(例えば、(N,N-ジメチルアミノメチル)フタルイミドお
よびN,N-(ジメチルアミノメチル)-ナフタレン-2,3-ジカ
ルボキシイミド);ならびにブロック化ピラゾール、イ
ソチウロニウム誘導体およびある種の光退色剤(例え
ば、N,N'-ヘキサメチレンビス(1-カルバモイル-3,5-ジ
メチルピラゾール)、1,8-(3,6-ジアザオクタン)ビス(イ
ソチウロニウムトリフルオロアセテート)および2-トリ
ブロモメチルスルホニル)-(ベンゾチアゾール));なら
びに3-エチル-5[(3-エチル-2-ベンゾチアゾリニリデン)
-1-メチルエチリデン]-2-チオ-2,4-オキサゾリジンジオ
ン;フタラジノン、フタラジノン誘導体もしくは金属
塩、または4-(1-ナフチル)フタラジノン、6-クロロフタ
ラジノン、5,7-ジメトキシフタラジノンおよび2,3-ジヒ
ドロ-1,4-フタラジンジオンなどの誘導体;フタラジノ
ンとフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4-メチルフタ
ル酸、4-ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水フタル
酸など)との組合せ;フタラジン、フタラジン誘導体(た
とえば、4-(1-ナフチル)フタラジン、6-クロロフタラジ
ン、5,7-ジメトキシフタラジン、6-iso-ブチルフタラジ
ン、6-tert-ブチルフタラジン、5,7-ジメチルフタラジ
ン、および2,3-ジヒドロフタラジンなどの誘導体)もし
くは金属塩、;フタラジンおよびその誘導体とフタル酸
誘導体(例えば、フタル酸、4-メチルフタル酸、4-ニト
ロフタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)との
組合せ;キナゾリンジオン、ベンズオキサジンまたはナ
フトオキサジン誘導体;色調調節剤としてだけでなくそ
の場でハロゲン化銀生成のためのハライドイオンの源と
しても機能するロジウム錯体、例えばヘキサクロロロジ
ウム(III)酸アンモニウム、臭化ロジウム、硝酸ロジウ
ムおよびヘキサクロロロジウム(III)酸カリウムなど;
無機過酸化物および過硫酸塩、例えば、過酸化二硫化ア
ンモニウムおよび過酸化水素;1,3-ベンズオキサジン-
2,4-ジオン、8-メチル-1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジ
オンおよび6-ニトロ-1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオン
などのベンズオキサジン-2,4-ジオン;ピリミジンおよ
び不斉-トリアジン(例えば、2,4-ジヒドロキシピリミジ
ン、2-ヒドロキシ-4-アミノピリミジンなど)、アザウラ
シル、およびテトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6
-ジメルカプト-1,4-ジフェニル-1H,4H-2,3a,5,6a-テト
ラアザペンタレン、および1,4-ジ(o-クロロフェニル)-
3,6-ジメルカプト-1H,4H-2,3a,5,6a-テトラアザペンタ
レン)などがある。
【0096】本発明で用いる色調剤は、溶液、粉末、固
体微粒子分散物などいかなる方法で添加してもよい。固
体微粒子分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミ
ル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェ
ットミル、ローラーミルなど)で行われる。また、固体
微粒子分散する際に分散助剤を用いてもよい。本発明の
熱現像感光材料の熱現像処理前の膜面pHは6以下であ
ることが保存時のカブリを低減させる上で好ましく、特
に5.5以下、さらに好ましくは5.3以下である。そ
の下限には特に制限はないが、3程度である。膜面pH
の調節はフタル酸誘導体などの有機酸や硫酸などの不揮
発性の酸、アンモニアなどの揮発性の塩基を用いること
が、膜面pHを低減させるという観点から好ましい。特
にアンモニアは揮発しやすく、塗布する工程や熱現像さ
れる前に除去できることから低膜面pHを達成する上で
好ましい。なお、本発明の熱現像感光材料の膜面pHを
測定する場合には、熱現像処理前の熱現像感光材料2.
5cm×2.5cmを舟形に折り、その画像形成層側に
300μlの蒸留水を滴下し、30分静置した後に、そ
の滴下液をpH BOY−P2(新電元工業株式会社
製、半導体方式のpH計)にて1分間測定することが好
ましい。
【0097】本発明で用いるバインダーとしては以下に
述べるポリマーラテックスを用いることが好ましい。本
発明の熱現像感光材料の感光性ハロゲン化銀を含有する
画像形成層のうち少なくとも1層は以下に述べるポリマ
ーラテックスを全バインダーの50重量%以上として用い
た画像形成層であることが好ましい。(以降この画像形
成層を「本発明における画像形成層」、バインダーに用
いるポリマーラテックスを「本発明で用いるポリマーラ
テックス」と表す。)また、ポリマーラテックスは画像
形成層だけではなく、保護層やバック層に用いてもよ
く、特に寸法変化が問題となる印刷用途に本発明の熱現
像感光材料を用いる場合には、保護層やバック層にもポ
リマーラテックスを用いることが好ましい。ただしここ
で言う「ポリマーラテックス」とは水不溶な疎水性ポリ
マーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したも
のである。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化
されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散され
たもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構
造を持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどいずれで
もよい。なお本発明で用いるポリマーラテックスについ
ては「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高
分子刊行会発行(1978))」、「合成ラテックスの応用(杉
村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊
行会発行(1993))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一
著、高分子刊行会発行(1970))」などに記載されてい
る。分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、より好ましくは
5〜1000nm程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布
に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つもので
も単分散の粒径分布を持つものでもよい。
【0098】本発明で用いるポリマーラテックスとして
は通常の均一構造のポリマーラテックス以外、いわゆる
コア/シェル型のラテックスでもよい。この場合コアと
シェルはガラス転移温度を変えると好ましい場合があ
る。本発明においてバインダーとして好ましく用いるポ
リマーラテックスのガラス転移温度(Tg)は保護層、
バック層と画像形成層とでは好ましい範囲が異なる。画
像形成層にあっては熱現像時に写真有用素材の拡散を促
すため、-30〜40℃であることが好ましい。保護層やバ
ック層に用いる場合には種々の機器と接触するために25
〜70℃のガラス転移温度が好ましい。本発明で用いるポ
リマーラテックスの最低造膜温度(MFT)は-30℃〜90℃、
より好ましくは0℃〜70℃程度が好ましい。最低造膜温
度をコントロールするために造膜助剤を添加してもよ
い。造膜助剤は可塑剤ともよばれポリマーラテックスの
最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常有機溶剤)
で、例えば前述の「合成ラテックスの化学(室井宗一
著、高分子刊行会発行(1970))」に記載されている。
【0099】本発明で用いるポリマーラテックスに用い
られるポリマー種としてはアクリル樹脂、酢酸ビニル樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹
脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフ
ィン樹脂、またはこれらの共重合体などがある。ポリマ
ーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーで
も、また架橋されたポリマーでも良い。またポリマーと
しては単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマー
でも良いし、2種以上のモノマーが重合したコポリマー
でも良い。コポリマーの場合はランダムコポリマーでも
ブロックコポリマーでも良い。ポリマーの分子量は数平
均分子量で5000〜1000000、好ましくは10000〜100000程
度が好ましい。分子量が小さすぎるものは画像形成層の
力学強度が不十分であり、大きすぎるものは成膜性が悪
く好ましくない。
【0100】本発明の熱現像感光材料における画像形成
層のバインダーとして用いられるポリマーラテックスの
具体例としては以下のようなものがある。メチルメタク
リレート/エチルアクリレート/メタクリル酸コポリマ
ーのラテックス、メチルメタクリレート/ブタジエン/
イタコン酸コポリマーのラテックス、エチルアクリレー
ト/メタクリル酸のコポリマーのラテックス、メチルメ
タクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/スチ
レン/アクリル酸コポリマーのラテックス、スチレン/
ブタジエン/アクリル酸コポリマーのラテックス、スチ
レン/ブタジエン/ジビニルベンゼン/メタクリル酸コ
ポリマーのラテックス、メチルメタクリレート/塩化ビ
ニル/アクリル酸コポリマーのラテックス、塩化ビニリ
デン/エチルアクリレート/アクリロニトリル/メタク
リル酸コポリマーのラテックスなど。さらに具体的に
は、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/メタ
クリル酸=33.5wt%/50wt%/16.5wt
%のコポリマーラテックス、メチルメタクリレート/ブ
タジエン/イタコン酸=47.5wt%/47.5wt
%/5wt%のコポリマーラテックス、エチルアクリレ
ート/メタクリル酸=95wt%/5wt%のコポリマ
ーラテックスなどが挙げられる。また、このようなポリ
マーは市販もされていて、以下のようなポリマーが利用
できる。例えばアクリル樹脂の例として、セビアンA-46
35,46583、4601(以上ダイセル化学工業(株)製)、Nipo
l Lx811、814、821、820、857(以上日本ゼオン(株)
製)、VONCORT-R3340、R3360、R3370、4280(以上大日本
インキ化学(株)製)など、ポリエステル樹脂として
は、FINETEX ES650、611、675、850(以上大日本インキ
化学(株)製)、WD-size、WMS(以上イーストマンケミカ
ル製)など、ポリウレタン樹脂としてはHYDRAN AP10、2
0、30、40(以上大日本インキ化学(株)製)など、ゴム
系樹脂としてはLACSTAR 7310K、3307B、4700H、7132C
(以上大日本インキ化学(株)製)、 Nipol Lx410、43
0、435、438C、(以上日本ゼオン(株)製)など、塩化ビ
ニル樹脂としてはG351、G576(以上日本ゼオン(株)製)
など、塩化ビニリデン樹脂としてはL502、L513(以上旭
化成工業(株)製)、アロンD7020、D504、D5071(以上三
井東圧(株)製)など、オレフィン樹脂としてはケミパー
ルS120、SA100(以上三井石油化学(株)製)などを挙げ
ることができる。これらのポリマーは単独で用いてもよ
いし、必要に応じて2種以上ブレンドして用いても良
い。
【0101】本発明における画像形成層は全バインダー
の50重量%以上として上記ポリマーラテックスが好まし
く用いられるが、70重量%以上として上記ポリマーラテ
ックスが用いられることがさらに好ましい。本発明にお
ける画像形成層には必要に応じて全バインダーの50重量
%以下の範囲でゼラチン、ポリビニルアルコール、メチ
ルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボ
キシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセル
ロースなどの親水性ポリマーを添加しても良い。これら
の親水性ポリマーの添加量は画像形成層の全バインダー
の30重量%以下、さらには5重量%以下が好ましい。
【0102】本発明における画像形成層は水系の塗布液
を塗布後乾燥して調製することが好ましい。ただし、こ
こで言う「水系」とは塗布液の溶媒(分散媒)の60重量%
以上が水であることをいう。塗布液の水以外の成分はメ
チルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアル
コール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ジメチ
ルホルムアミド、酢酸エチルなどの水混和性の有機溶媒
を用いることができる。具体的な溶媒組成の例としては
以下のようなものがある。水/メタノール=90/10、水
/メタノール=70/30、水/エタノール=90/10、水/イ
ソプロパノール=90/10、水/ジメチルホルムアミド=95
/5、水/メタノール/ジメチルホルムアミド=80/15/
5、水/メタノール/ジメチルホルムアミド=90/5/5。
(ただし数字は重量%を表す。) 本発明における画像形成層は全バインダー量は0.2〜30g
/m2、より好ましくは1〜15g/m2の範囲が好ましい。本
発明における画像形成層には架橋のための架橋剤、塗布
性改良のための界面活性剤などを添加してもよい。
【0103】本発明におけるハロゲン化銀乳剤または/
および有機銀塩は、カブリ防止剤、安定剤および安定剤
前駆体によって、付加的なカブリの生成に対して更に保
護され、在庫貯蔵中における感度の低下に対して安定化
することができる。単独または組合せて使用することが
できる適当なカブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体
は、米国特許第2,131,038号および同第2,694,716号に記
載のチアゾニウム塩、米国特許第2,886,437号および同
第2,444,605号に記載のアザインデン、米国特許第2,72
8,663号に記載の水銀塩、米国特許第3,287,135号に記載
のウラゾール、米国特許第3,235,652号に記載のスルホ
カテコール、英国特許第623,448号に記載のオキシム、
ニトロン、ニトロインダゾール、米国特許第2,839,405
号に記載の多価金属塩、米国特許第3,220,839号に記載
のチウロニウム塩、ならびに米国特許第2,566,263号お
よび同第2,597,915号に記載のパラジウム、白金および
金塩、米国特許第4,108,665号および同第4,442,202号に
記載のハロゲン置換有機化合物、米国特許第4,128,557
号および同第4,137,079号、第4,138,365号および同第4,
459,350号に記載のトリアジンならびに米国特許第4,41
1,985号に記載のリン化合物などがある。
【0104】本発明に好ましく用いられるカブリ防止剤
は有機ハロゲン化物であり、例えば、特開昭50-119624
号、同50-120328号、同51-121332号、同54-58022号、同
56-70543号、同56-99335号、同59-90842号、同61-12964
2号、同62-129845号、特開平6-208191号、同7-5621号、
同7-2781号、同8-15809号、米国特許第5,340,712号、同
5,369,000号、同5,464,737号に開示されているような化
合物が挙げられる。本発明で用いるカブリ防止剤は、溶
液、粉末、固体微粒子分散物などいかなる方法で添加し
てもよい。固体微粒子分散は公知の微細化手段(例え
ば、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイ
ドミル、ジェットミル、ローラーミルなど)で行われ
る。また、固体微粒子分散する際に分散助剤を用いても
よい。本発明を実施するために必要ではないが、乳剤層
にカブリ防止剤として水銀(II)塩を加えることが有利な
ことがある。この目的に好ましい水銀(II)塩は、酢酸水
銀および臭化水銀である。本発明に使用する水銀の添加
量としては、塗布された銀1モル当たり好ましくは1×10
-9モル〜1×10-3モル、さらに好ましくは1×10 -8モル〜
1×10-4モルの範囲である。
【0105】本発明の熱現像感光材料は高感度化やカブ
リ防止を目的として安息香酸類を含有しても良い。安息
香酸類はいかなる安息香酸誘導体でもよいが、好ましい
構造の例としては、米国特許4,784,939号、同4,152,160
号、特開平9−329863号、同9−329864
号、同9−281637号などに記載の化合物が挙げら
れる。安息香酸類は感光材料のいかなる部位に添加して
も良いが、添加層としては感光性層を有する面の層に添
加することが好ましく、有機銀塩含有層に添加すること
がさらに好ましい。安息香酸類の添加時期としては塗布
液調製のいかなる工程で行っても良く、有機銀塩含有層
に添加する場合は有機銀塩調製時から塗布液調製時のい
かなる工程でも良いが有機銀塩調製後から塗布直前が好
ましい。安息香酸類の添加法としては粉末、溶液、微粒
子分散物などいかなる方法で行っても良い。また、増感
色素、還元剤、色調剤など他の添加物と混合した溶液と
して添加しても良い。安息香酸類の添加量としてはいか
なる量でも良いが、銀1モル当たり1×10-6モル以上2モ
ル以下が好ましく、1×10-3モル以上0.5モル以下がさら
に好ましい。
【0106】本発明の熱現像感光材料には現像を抑制あ
るいは促進させ現像を制御するため、分光増感効率を向
上させるため、現像前後の保存性を向上させるためなど
にメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合
物を含有させることができる。本発明においてメルカプ
ト化合物を使用する場合、いかなる構造のものでも良い
が、Ar-SM、Ar-S-S-Arで表されるものが好ましい。式
中、Mは水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは
1個以上の窒素、イオウ、酸素、セレニウムまたはテル
リウム原子を有する芳香環または縮合芳香環である。好
ましくは、複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフスイ
ミダゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベ
ンズオキサゾール、ナフスオキサゾール、ベンゾセレナ
ゾール、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾ
ール、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テ
トラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピ
ラジン、ピリジン、プリン、キノリンまたはキナゾリノ
ンである。この複素芳香環は、例えば、ハロゲン(例え
ば、BrおよびCl)、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、
アルキル(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4
個の炭素原子を有するもの)、アルコキシ(例えば、1個
以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有す
るもの)およびアリール(置換基を有していてもよい)
からなる置換基群から選択されるものを有してもよい。
メルカプト置換複素芳香族化合物をとしては、2-メルカ
プトベンズイミダゾール、2-メルカプトベンズオキサゾ
ール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプト-5
-メチルベンズイミダゾール、6-エトキシ-2-メルカプト
ベンゾチアゾール、2,2'-ジチオビス-(ベンゾチアゾー
ル、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、4,5-ジフェニ
ル-2-イミダゾールチオール、2-メルカプトイミダゾー
ル、1-エチル-2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メ
ルカプトキノリン、8-メルカプトプリン、2-メルカプト
-4(3H)-キナゾリノン、7-トリフルオロメチル-4-キノリ
ンチオール、2,3,5,6-テトラクロロ-4-ピリジンチオー
ル、4-アミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジンモ
ノヒドレート、2-アミノ-5-メルカプト-1,3,4-チアジア
ゾール、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、
4-ヒドキロシ-2-メルカプトピリミジン、2-メルカプト
ピリミジン、4,6-ジアミノ-2-メルカプトピリミジン、2
-メルカプト-4-メチルピリミジンヒドロクロリド、3-メ
ルカプト-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール、1-フェニル
-5-メルカプトテトラゾール、3-(5-メルカプトテトラゾ
ール)-ベンゼンスルフォン酸ナトリウム、N-メチル-N'-
[3-(5-メルカプトテトラゾリル)フェニル]ウレア、2-メ
ルカプト-4-フェニルオキサゾールなどが挙げられる
が、本発明はこれらに限定されない。これらのメルカプ
ト化合物の添加量としては乳剤層中に銀1モル当たり0.0
001〜1.0モルの範囲が好ましく、さらに好ましくは、銀
の1モル当たり0.001〜0.3モルの量である。
【0107】本発明における画像形成層(感光性層)に
は、可塑剤および潤滑剤として多価アルコール(例え
ば、米国特許第2,960,404号に記載された種類のグリセ
リンおよびジオール)、米国特許第2,588,765号および同
第3,121,060号に記載の脂肪酸またはエステル、英国特
許第955,061号に記載のシリコーン樹脂などを用いるこ
とができる。
【0108】本発明においては、画像形成層上に保護層
を設けることが好ましく、保護層のバインダーとして
は、前述のように、ガラス転移温度が25℃以上70℃以下
のポリマーのラテックスを用いることが好ましい。この
場合保護層の全バインダーの50重量%以上、好ましくは
70重量%以上として前述のポリマーラテックスを用いる
ことが好ましい。本発明ではこのような保護層を少なく
とも1層設けることが好ましい。このような保護層のバ
インダー構成や塗設方法等については画像形成層と同様
である。保護層用のポリマーラテックスとしてはアクリ
ル系、スチレン系、アクリル/スチレン系、塩化ビニル
系、塩化ビニリデン系のポリマーラテックスが好ましく
用いられ、具体的にはアクリル樹脂系のVONCORT R337
0、4280、Nipol Lx857、メチルアクリレート/2−エチ
ルヘキシル(メタ)アクリレート/ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸
コポリマー、塩化ビニル樹脂のNipol G576、塩化ビニリ
デン樹脂のアロンD5071が好ましく用いられる。本発明
に用いられる保護層用の全バインダー量は0.2〜5.0g/
2、より好ましくは0.5〜4.0g/m2の範囲である。
【0109】本発明における表面保護層としては、いか
なる付着防止材料を使用してもよい。付着防止材料の例
としては、ワックス、シリカ粒子、スチレン含有エラス
トマー性ブロックコポリマー(例えば、スチレン-ブタジ
エン-スチレン、スチレン-イソプレン-スチレン)、酢酸
セルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロ
ースプロピオネートやこれらの混合物などがある。ま
た、表面保護層には架橋のための架橋剤、塗布性改良の
ための界面活性剤などを添加してもよい。本発明におけ
る画像形成層もしくは画像形成層の保護層には、米国特
許第3,253,921号、同第2,274,782号、同第2,527,583号
および同第2,956,879号に記載されているような光吸収
物質およびフィルター染料を含む写真要素において使用
することができる。また、例えば米国特許第3,282,699
号に記載のように染料を媒染することができる。フィル
ター染料の使用量としては露光波長での吸光度が0.1〜3
が好ましく、0.2〜1.5が特に好ましい。
【0110】本発明における画像形成層(感光性層)に
は色調改良、イラジエーション防止の観点から各種染料
や顔料を用いることができる。感光性層に用いる染料お
よび顔料はいかなるものでもよいが、例えばカラーイン
デックス記載の顔料や染料があり、具体的にはピラゾロ
アゾール染料、アントラキノン染料、アゾ染料、アゾメ
チン染料、オキソノール染料、カルボシアニン染料、ス
チリル染料、トリフェニルメタン染料、インドアニリン
染料、インドフェノール染料、フタロシアニンをはじめ
とする有機顔料、無機顔料などが挙げられる。本発明に
用いられる好ましい染料としてはアントラキノン染料
(例えば特開平5-341441号記載の化合物1〜9、特開平5-1
65147号記載の化合物3-6〜18および3-23〜38など)、ア
ゾメチン染料(特開平5-341441号記載の化合物17〜47な
ど)、インドアニリン染料(例えば特開平5-289227号記載
の化合物11〜19、特開平5-341441号記載の化合物47、特
開平5-165147号記載の化合物2-10〜11など)およびアゾ
染料(特開平5-341441号記載の化合物10〜16)が挙げられ
る。これらの染料の添加法としては、溶液、乳化物、固
体微粒子分散物、高分子媒染剤に媒染された状態などい
かなる方法でも良い。これらの化合物の使用量は目的の
吸収量によって決められるが、一般的に1m2当たり1×10
-6g以上1g以下の範囲で用いることが好ましい。
【0111】本発明の熱現像感光材料は、支持体の一方
の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤を含む感光性
層(画像形成層)を有し、他方の側にバック層を有す
る、いわゆる片面感光材料であることが好ましい。本発
明においてバック層は、所望の範囲での最大吸収が約0.
3以上2.0以下であることが好ましい。所望の範囲が750
〜1400nmである場合には、750〜360nmにおいての光学濃
度が0.005以上0.5未満であることが好ましく、さらに好
ましくは0.001以上0.3未満の光学濃度を有するハレーシ
ョン防止層であることが好ましい。所望の範囲が750nm
以下である場合には、画像形成前の所望範囲の最大吸収
が0.3以上2.0以下であり、さらに画像形成後の360〜750
nmの光学濃度が0.005以上0.3未満になるようなハレーシ
ョン防止層であることが好ましい。画像形成後の光学濃
度を上記の範囲に下げる方法としては特に制限はない
が、例えばベルギー特許第733,706号に記載されたよう
に染料による濃度を加熱による消色で低下させる方法、
特開昭54-17833号に記載の光照射による消色で濃度を低
下させる方法等が挙げられる。
【0112】本発明でハレーション防止染料を使用する
場合、該染料は所望の範囲で目的の吸収を有し、処理後
に可視領域での吸収が充分少なく、上記バック層の好ま
しい吸光度スペクトルの形状が得られればいかなる化合
物でも良い。例えば以下に挙げるものが開示されている
が本発明はこれに限定されるものではない。単独の染料
としては特開昭59-56458号、特開平2-216140号、同7-13
295号、同7-11432号、米国特許5,380,635号記載、特開
平2-68539号公報第13頁左下欄1行目から同第14頁左下欄
9行目、同3-24539号公報第14頁左下欄から同第16頁右下
欄記載の化合物があり、処理で消色する染料としては特
開昭52-139136号、同53-132334号、同56-501480号、同5
7-16060号、同57-68831号、同57-101835号、同59-18243
6号、特開平7-36145号、同7-199409号、特公昭48-33692
号、同50-16648号、特公平2-41734号、米国特許4,088,4
97号、同4,283,487号、同4,548,896号、同5,187,049号
に記載の染料がある。
【0113】本発明においてバック層の好適なバインダ
ーは透明または半透明で、一般に無色であり、天然ポリ
マー合成樹脂やポリマーおよびコポリマー、その他フィ
ルムを形成する媒体、例えば:ゼラチン、アラビアゴ
ム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロ
ース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブ
チレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプ
ン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポ
リ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレ
ン-無水マレイン酸)、コポリ(スチレン-アクリロニトリ
ル)、コポリ(スチレン-ブタジエン)、ポリ(ビニルアセ
タール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)およびポリ
(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタ
ン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ
(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニル
アセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類
がある。バインダーは水または有機溶媒またはエマルシ
ョンから被覆形成してもよい。
【0114】本発明の熱現像感光材料が片面感光材料で
ある場合、搬送性改良のために感光性乳剤層の表面保護
層および/またはバック層またはバック層の表面保護層
にマット剤を添加しても良い。マット剤は、一般に水に
不溶性の有機または無機化合物の微粒子である。マット
剤としては任意のものを使用でき、例えば米国特許第1,
939,213号、同2,701,245号、同2,322,037号、同3,262,7
82号、同3,539,344号、同3,767,448号等の各明細書に記
載の有機マット剤、同1,260,772号、同2,192,241号、同
3,257,206号、同3,370,951号、同3,523,022号、同3,76
9,020号等の各明細書に記載の無機マット剤など当業界
で良く知られたものを用いることができる。例えば具体
的にはマット剤として用いることのできる有機化合物の
例としては、水分散性ビニル重合体の例としてポリメチ
ルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアク
リロニトリル、アクリロニトリル-α-メチルスチレン共
重合体、ポリスチレン、スチレン-ジビニルベンゼン共
重合体、ポリビニルアセテート、ポリエチレンカーボネ
ート、ポリテトラフルオロエチレンなど、セルロース誘
導体の例としてはメチルセルロース、セルロースアセテ
ート、セルロースアセテートプロピオネートなど、澱粉
誘導体の例としてカルボキシ澱粉、カルボキシニトロフ
ェニル澱粉、尿素-ホルムアルデヒド-澱粉反応物など、
公知の硬化剤で硬化したゼラチンおよびコアセルベート
硬化して微少カプセル中空粒体とした硬化ゼラチンなど
好ましく用いることができる。無機化合物の例としては
二酸化珪素、二酸化チタン、二酸化マグネシウム、酸化
アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、公知の
方法で減感した塩化銀、同じく臭化銀、ガラス、珪藻土
などを好ましく用いることができる。上記のマット剤は
必要に応じて異なる種類の物質を混合して用いることが
できる。マット剤の大きさ、形状に特に限定はなく、任
意の粒径のものを用いることができる。本発明の実施に
際しては0.1μm〜30μmの粒径のものを用いるのが好ま
しい。また、マット剤の粒径分布は狭くても広くても良
い。一方、マット剤は感光材料のヘイズ、表面光沢に大
きく影響することから、マット剤作製時あるいは複数の
マット剤の混合により、粒径、形状および粒径分布を必
要に応じた状態にすることが好ましい。
【0115】本発明においてバック層にマット剤を添加
するのは好ましい態様であり、バック層のマット度とし
てはベック平滑度が1200秒以下10秒以上が好ましく、さ
らに好ましくは700秒以下50秒以上である。本発明にお
いて、マット剤は感光材料の最外表面層もしくは最外表
面層として機能する層、あるいは外表面に近い層に含有
されるのが好ましく、またいわゆる保護層として作用す
る層に含有されることが好ましい。また、乳剤面保護層
のマット度は星屑故障が生じなければいかようでも良い
が、ベック平滑度が500秒以上10,000秒以下が好まし
く、特に500秒以上2,000秒以下が好ましい。
【0116】本発明に用いる熱現像写真用乳剤は、支持
体上に一またはそれ以上の層で構成される。一層の構成
は有機銀塩、ハロゲン化銀、現像剤およびバインダー、
ならびに色調剤、被覆助剤および他の補助剤などの所望
による追加の材料を含まなければならない。二層の構成
は、第1乳剤層(通常は基材に隣接した層)中に有機銀塩
およびハロゲン化銀を含み、第2層または両層中にいく
つかの他の成分を含まなければならない。しかし、全て
の成分を含む単一乳剤層および保護トップコートを含ん
でなる二層の構成も考えられる。多色感光性熱現像写真
材料の構成は、各色についてこれらの二層の組合せを含
んでよく、また、米国特許第4,708,928号に記載されて
いるように単一層内に全ての成分を含んでいてもよい。
多染料多色感光性熱現像写真材料の場合、各乳剤層は、
一般に、米国特許第4,460,681号に記載されているよう
に、各感光層の間に官能性もしくは非官能性のバリアー
層を使用することにより、互いに区別されて保持され
る。米国特許第4,460,681号および同第4,374,921号に示
されるような裏面抵抗性加熱層(backside resistive he
ating layer)を感光性熱現像写真画像系に使用すること
もできる。
【0117】本発明の熱現像感光材料における感光性
層、保護層、バック層など各層には硬膜剤を用いても良
い。硬膜剤の例としては、米国特許4,281,060号、特開
平6-208193号などに記載されているポリイソシアネート
類、米国特許4,791,042号などに記載されているエポキ
シ化合物類、特開昭62-89048号などに記載されているビ
ニルスルホン系化合物類などが用いられる。本発明には
塗布性、帯電改良などを目的として界面活性剤を用いて
も良い。界面活性剤の例としては、ノニオン系、アニオ
ン系、カチオン系、フッ素系などいかなるものも適宜用
いられる。具体的には、特開昭62-170950号、米国特許
5,380,644号などに記載のフッ素系高分子界面活性剤、
特開昭60-244945号、特開昭63-188135号などに記載のフ
ッ素系界面活性剤、米国特許3,885,965号などに記載の
ポリシロキサン系界面活性剤、特開平6-301140号などに
記載のポリアルキレンオキサイドやアニオン系界面活性
剤などが挙げられる。
【0118】本発明における熱現像用写真乳剤は、一般
的には種々の支持体上に被覆させることができる。典型
的な支持体は、ポリエステルフィルム、下塗りポリエス
テルフィルム、ポリ(エチレンテレフタレート)フィル
ム、ポリエチレンナフタレートフィルム、硝酸セルロー
スフィルム、セルロースエステルフィルム、ポリ(ビニ
ルアセタール)フィルム、ポリカーボネートフィルムお
よび関連するまたは樹脂状の材料、ならびにガラス、
紙、金属などを含む。可撓性基材、特に、部分的にアセ
チル化された、もしくはバライタおよび/またはα-オ
レフィンポリマー、特にポリエチレン、ポリプロピレ
ン、エチレン−ブテンコポリマーなどの炭素数2〜10の
α-オレフィンのポリマーによりコートされた紙支持体
が、典型的に用いられる。該支持体は透明であっても不
透明であってもよいが、透明であることが好ましい。こ
れらのうちでも75〜200μm程度の2軸延伸したポリエチ
レンテレフタレートが特に好ましい。
【0119】一方、プラスチックフィルムを80℃以上の
処理の熱現像機に通すと一般にフィルムの寸法が伸縮す
る。処理後の材料を印刷製版用途として使用する場合、
この伸縮は精密多色印刷を行う時に重大な問題となる。
よって、本発明では二軸延伸時にフィルム中に残存する
内部歪みを緩和させ、熱現像中に発生する熱収縮歪みを
なくす工夫をした、寸法変化の小さいフィルムを用いる
ことが好ましい。例えば、熱現像用写真乳剤を塗布する
前に100℃〜210℃の範囲で熱処理したポリエチレンテレ
フタレートなどが好ましく用いられる。ガラス転移点の
高いものも好ましく、ポリエーテルエチルケトン、ポリ
スチレン、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、
ポリアリレート、ポリカーボネート等が使用できる。
【0120】本発明の熱現像感光材料は、帯電防止のた
め、例えば、可溶性塩(例えば塩化物、硝酸塩など)、
蒸着金属層、米国特許第2,861,056号および同第3,206,3
12号に記載のようなイオン性ポリマーまたは米国特許第
3,428,451号に記載のような不溶性無機塩、特開昭60-25
2349号、同57-104931号に記載されている酸化スズ微粒
子などを含む層を有してもよい。本発明の熱現像感光材
料を用いてカラー画像を得る方法としては特開平7-1329
5号10頁左欄43行目から11左欄40行目に記載の方法があ
る。また、カラー染料画像の安定剤としては英国特許第
1,326,889号、米国特許第3,432,300号、同第3,698,909
号、同第3,574,627号、同第3,573,050号、同第3,764,33
7号および同第4,042,394号に例示されている。
【0121】本発明で用いる熱現像写真乳剤は、浸漬コ
ーティング、エアナイフコーティング、フローコーティ
ングまたは、米国特許第2,681,294号に記載の種類のホ
ッパーを用いる押出コーティングを含む種々のコーティ
ング操作により被覆することができる。所望により、米
国特許第2,761,791号および英国特許第837,095号に記載
の方法により2層またはそれ以上の層を同時に被覆する
ことができる。本発明の熱現像感光材料の中に追加の
層、例えば移動染料画像を受容するための染料受容層、
反射印刷が望まれる場合の不透明化層、保護トップコー
ト層および光熱写真技術において既知のプライマー層な
どを含むことができる。本発明の感光材料はその感光材
料一枚のみで画像形成できることが好ましく、受像層等
の画像形成に必要な機能性層が別の感光材料とならない
ことが好ましい。
【0122】本発明において、像様露光に用いられる露
光装置は露光時間が10-7秒未満の露光が可能な装置で
あればいずれでもよいが、一般的にはLaser Diode(L
D)、Light Emitting Diode(LED)を光源に使用
した露光装置が好ましく用いられる。特に、LDは高出
力、高解像度の点でより好ましい。これらの光源は目的
波長範囲の電磁波スペクトルの光を発生することができ
るものであればいずれでもよい。例えばLDであれば、
色素レーザー、ガスレーザー、固体レーザー、半導体レ
ーザーなどを用いることができる。露光は光源の光ビー
ムをオーバーラップさせて露光し、オーバーラップとは
副走査ピッチ幅がビーム径より小さいことをいう。オー
バーラップとは例えば、ビーム径をビーム強度の半値幅
(FWHM)で表わしたときFWHM/副走査ピッチ幅
(オーバーラップ係数)で定量的に表現することがで
きる。本発明ではこのオーバラップ係数が0.2以上で
あることが好ましい。
【0123】本発明に使用する露光装置の光源の走査方
式は特に限定はなく、円筒外面走査方式、円筒内面走査
方式、平面走査方式などを用いることができる。また、
光源のチャンネルは単チャンネルでもマルチチャンネル
でもよいが、円筒外面方式の場合にはマルチチャンネル
が好ましく用いられる。本発明の熱現像感光材料は露光
時のヘイズが低く、干渉縞が発生しやすい傾向にある。
この干渉縞発生防止技術としては、特開平5-113548号な
どに開示されているレーザー光を感光材料に対して斜め
に入光させる技術や、国際公開WO95/31754号などに開
示されているマルチモードレーザーを利用する方法が知
られており、これらの技術を用いることが好ましい。
【0124】本発明の熱現像感光材料の画像形成におけ
る加熱現像工程はいかなる方法で現像されても良いが、
通常イメージワイズに露光した感光材料を昇温して現像
される。用いられる熱現像機の好ましい態様としては、
熱現像感光材料をヒートローラーやヒートドラムなどの
熱源に接触させるタイプとして特公平5-56499号、特許
公報第684453号、特開平9-292695号、特開平9-297385号
および国際公開WO95/30934号に記載の熱現像機、非接
触型のタイプとして特開平7-13294号、国際公開WO97/
28489号、同97/28488号および同97/28487号に記載の熱
現像機がある。特に好ましい態様としては非接触型の熱
現像機である。好ましい現像温度としては80〜250℃で
あり、さらに好ましくは100〜140℃である。現像時間と
しては1〜180秒が好ましく、10〜90秒がさらに好まし
い。本発明の熱現像感光材料の熱現像時の寸法変化によ
る処理ムラを防止する方法として、80℃以上115℃未満
の温度で画像が出ないようにして5秒以上加熱した後、1
10℃以上140℃以下で熱現像して画像形成させる方法
(いわゆる多段階加熱方法)が有効である。
【0125】本発明の熱現像感光材料の熱現像処理に用
いられる熱現像機の一構成例を図1に示す。図1は熱現
像機の側面図を示したものである。図1の熱現像機は熱
現像感光材料10を平面状に矯正および予備加熱しなが
ら加熱部に搬入する搬入ローラー対11(下部ローラー
がヒートローラー)と熱現像後の熱現像後の熱現像感光
材料10を平面状に矯正しながら加熱部から搬出する搬
出ローラー対12を有する。熱現像感光材料10は搬入
ローラー対11から搬出ローラー対12へと搬送される
間に熱現像される。この熱現像中の熱現像感光材料10
を搬送する搬送手段は画像形成層を有する面が接触する
側に複数のローラー13が設置され、その反対側のバッ
ク面が接触する側には不織布(たとえばポリフェニレン
サルファイトやテフロンから成る)等が貼り合わされた
平滑面14が設置される。熱現像感光材料10は画像形
成層を有する面に接触する複数のローラー13の駆動に
より、バック面は平滑面14の上を滑って搬送される。
加熱手段はローラー13の上部および平滑面14の下部
に熱現像感光材料10の両面から加熱されるように加熱
ヒーター15が設置される。この場合の加熱手段として
は板状ヒーター等が挙げられる。ローラー13と平滑面
14とのクリアランスは平滑面の部材により異なるが、
熱現像感光材料10が搬送できるクリアランスに適宜調
整される。好ましくは0〜1mmである。
【0126】ローラー13の表面の材質および平滑面1
4の部材は、高温耐久性があり、熱現像感光材料10の
搬送に支障がなければ何でも良いが、ローラー表面の材
質はシリコンゴム、平滑面の部材は芳香族ポリアミドま
たはテフロン(PTFE)製の不織布が好ましい。加熱
手段としては複数のヒーターを用い、それぞれ加熱温度
を自由に設定することが好ましい。なお、熱現像処理部
の上流の予備加熱部は、熱現像温度よりも低く(例えば
10〜20℃程度程度低く)、熱現像感光材料中の水分
量を蒸発させるのに十分な温度および時間に設定するこ
とが望ましく、熱現像感光材料10の支持体のガラス転
移温度(Tg)よりも高い温度で、現像ムラが出ないよ
うに設定することが好ましい。また、熱現像処理部Bの
下流にはガイド板16が設置され、さらに、徐冷部Cが
設置される。ガイド板は熱伝導率の低い素材が好まし
く、冷却は徐々に行うのが好ましい。
【0127】以上、図示例に従って説明したが、これに
限らず、例えば特開平7-13294号に記載のものなど、本
発明に用いられる熱現像機は種々の構成のものであって
もよい。また、本発明において好ましく用いられる多段
加熱方法の場合は、上述のような装置において、加熱温
度の異なる熱源を2個以上設置し、連続的に異なる温度
で加熱するようにすればよい。
【0128】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、
操作等は、本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更す
ることができる。したがって、本発明の範囲は以下に示
す具体例に制限されるものではない。 <実施例1>1. ハロゲン化銀乳剤の調製(乳剤A) 水700mlにアルカリ処理ゼラチン(カルシウム含有量と
して2700ppm以下)11gおよび臭化カリウム30mg、ベンゼ
ンチオスルホン酸ナトリウム10mgを溶解して温度40℃に
てpHを5.0に合わせた後、硝酸銀18.6gを含む水溶液159m
lと臭化カリウムを1モル/リットル(NH42RhCl5
(H2O)を5×10-6モル/リットル及びK3IrCl6
2×10-5モル/リットルで含む水溶液をpAg7.7に保ちな
がらコントロールダブルジェット法で6分30秒間かけて
添加した。ついで、硝酸銀55.5gを含む水溶液476mlと臭
化カリウムを1モル/リットル及びK3IrCl6を2×10
-5モル/リットルで含むハロゲン塩水溶液をpAg7.7に保
ちながらコントロールダブルジェット法で28分30秒間か
けて添加した。その後pHを下げて凝集沈降させて脱塩処
理をし、化合物Aを0.17g、平均分子量1万5千の低分
子量ゼラチン(カルシウム含有量として20ppm以下)51.
1g加え、pH5.9、pAg8.0に調製した。得られた粒子は平
均粒子サイズ0.08μm、投影面積変動係数9%、(100)面比
率90%の立方体粒子であった。こうして得たハロゲン化
銀粒子を60℃に昇温して銀1モル当たりベンゼンチオス
ルホン酸ナトリウム76μモルを添加し、3分後にトリエ
チルチオ尿素71μモルを添加して、100分熟成し、4−
ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザ
インデンを5×10-4モル加えた後、40℃に降温させた。
その後、40℃に温度を保ち、ハロゲン化銀1モルに対し
て12.8×10-4モルの下記増感色素A、6.4×10-3モルの
化合物Bを攪拌しながら添加し、20分後に30℃に急冷し
てハロゲン化銀乳剤Aの調製を終了した。
【0129】
【化17】
【0130】2. 有機酸銀分散物の調製<有機酸銀A
ヘンケル社製ベヘン酸(製品名EdenorC22-85R)8
7.6g、蒸留水423ml、5N−NaOH水溶液49.2ml、tert−ブ
チルアルコール120mlを混合し、75℃にて1時間攪拌し反
応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液を得た。別に、硝酸銀
40.4gの水溶液206.2mlを用意し、10℃にて保温した。63
5mlの蒸留水と30mlのtert-ブチルアルコールを入れた反
応容器を30℃に保温し、攪拌しながら先のベヘン酸ナト
リウム溶液の全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそ
れぞれ62分10秒と60分かけて添加した。この時、硝酸銀
水溶液添加開始後7分20秒間は硝酸銀水溶液のみが添加
されるようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液を添
加開始し、硝酸銀水溶液添加終了後9分30秒間はベヘン
酸ナトリウム溶液のみが添加されるようにした。このと
き、反応容器内の温度は30℃とし、液温度が上がらない
ようにコントロールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶
液の添加系の配管は、スチームトレースにより保温し、
添加ノズル先端の出口の液温度が75℃になるようにスチ
ーム量をコントロールした。また、硝酸銀水溶液の添加
系の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることによ
り保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液の添加位置と硝酸
銀水溶液の添加位置は攪拌軸を中心として対称的な配置
とし、また反応液に接触しないような高さに調節した。
ベヘン酸ナトリウム溶液を添加終了後、そのままの温度
で20分間攪拌放置し、25℃に降温した。その後、吸引濾
過で固形分を濾別し、固形分を濾水の伝導度が30μS/cm
になるまで水洗した。こうして得られた固形分は、乾燥
させないでウエットケーキとして保管した。得られたベ
ヘン酸銀の粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価した
ところ、平均投影面積径0.52μm、平均粒子厚み0.14μ
m、平均球相当径の変動係数15%の鱗片状の結晶であっ
た。
【0131】つぎに、以下の方法でベヘン酸銀の分散物
を作成した。乾燥固形分100g相当のウエットケーキに
対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA-217,平均重
合度:約1700)7.4gおよび水を添加し、全体量を385g
としてからホモミキサーにて予備分散した。次に予備分
散済みの原液を分散機(商品名:マイクロフルイダイザ
ーM−110S−EH、マイクロフルイデックス・イン
ターナショナル・コーポレーション製、G10Zインタ
ラクションチャンバー使用)の圧力を1750kg/cm2に
調節して、三回処理し、ベヘン酸銀分散物を得た。冷却
操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャンバーの
前後に各々装着し、冷媒の温度を調節することで所望の
分散温度に設定した。こうして得たベヘン酸銀分散物に
含まれるベヘン酸銀粒子は体積加重平均直径0.52μm、
変動係数15%の粒子であった。粒子サイズの測定は、Mal
vern Instruments Ltd.製MasterSizerXにて行った。ま
た電子顕微鏡撮影により評価すると、長辺と短辺の比が
1.5、粒子厚み0.14μm、平均アスペクト比(粒子の投影
面積の円相当径と粒子厚みの比)が5.1であった。
【0132】3. 1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチ
ルフェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサン:還元剤固体微
粒子分散物の調製 1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,5,5-
トリメチルヘキサン25gに対してクラレ(株)製MPポリ
マーのMP-203の20%水溶液を25g、日信化学(株)製サフ
ィノール104Eを0.1g、メタノール2gと水48ml添加してよ
く撹拌して、スラリーとして3時間放置した。その後、1
mmのジルコニアビーズを360g用意してスラリーと一緒に
ベッセルに入れ、分散機(1/4Gサンドグラインダーミ
ル:アイメックス(株)製)にて3時間分散し還元剤固体
微粒子分散物を調製した。粒子径は、粒子の80重量%が
0.3μm以上1.0μm以下であった。
【0133】4. ポリハロゲン化合物の固体微粒子分
散物の調製 ポリハロゲン化合物−Aの25gに対してクラレ(株)製
MPポリマーのMP-203を5g、化合物Cを0.21gと、水70g
を添加し良く撹拌し、その後0.5mmのジルコニアシリケ
ートビーズを200g用意してスラリーと一緒にベッセルに
入れ、分散機(1/16Gサンドグラインダーミル:アイメ
ックス(株)製)にて5時間分散し、固体微粒子分散物
Aを調製した。粒子径は、粒子の80重量%が0.3μm以上
1.0μm以下であった。ポリハロゲン化合物−Bの20gに
対してクラレ(株)製MPポリマーのMP-203を2g、化合
物Cを0.17gと、水78gを添加し良く撹拌し、ポリハロゲ
ン化合物−Aと同様に固体微粒子分散物Bを調製し、同
様な粒子径となった。
【0134】5. 6-iso-プロピルフタラジンの固体微
粒子分散物の調製 6-iso-プロピルフタラジンの5gに対してクラレ(株)製
MPポリマーのMP-203を4g、化合物C0.14gと、水91gを
添加し良く撹拌し、固体微粒子分散物Aを調製した。粒
子径は、粒子の80重量%が0.3μm以上1.0μm以下であっ
た。
【0135】6. 化合物Zの固体微粒子分散物の調製 化合物Zの10gに対して、クラレ(株)製MPポリマー
のMP-203を3.2gと水87ml添加してよく攪拌して、スラリ
ーとして3時間放置した。その後、上記還元剤固体微粒
子分散物の調製と同様にして、化合物Zの固体微粒子分
散物を調製した。粒子径は、粒子の80wt%が0.3μm以上
1.0μm以下であった。
【0136】7. 造核剤の固体微粒子分散物の調製 表1に記載の造核剤10gに対して、ポリビニルアルコー
ル(クラレ(株)製PVA-217)2.5g、水87.5gを添加し良
く攪拌してスラリーとして3時間放置した。その後、0.5
mmのジルコニアビーズを240g用意してスラリーと一緒に
ベッセルに入れ、分散機(1/4Gサンドグラインダーミ
ル:アイメックス(株)製)にて10時間分散し、固体微
粒子分散物を調製した。粒子径は、粒子の80重量%が0.1
μm以上1.0μm以下で、平均粒径0.5μmであった。
【0137】8. 乳剤層塗布液の調製 上記で作成した有機酸銀微結晶分散物の銀1モルに対し
て、以下のバインダー、素材、およびハロゲン化銀乳剤
Aを添加して、水を加えて、乳剤層塗布液とした。 バインダー;ラックスター3307B 固形分として 397g (大日本インキ化学工業(株)製;SBRラテックスでガラス転移温度17℃) 1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサン 固形分として 149g ポリハロゲン化合物-A 固形分として 34.8g ポリハロゲン化合物-B 固形分として 9.0g エチルチオスルホン酸ナトリウム 0.30g ベンゾトリアゾール 1.04g ポリビニルアルコール(クラレ(株)製PVA-235) 10.8g 6-iso-プロピルフタラジン 15.0g オルトりん酸二水素ナトリウム・2水和物 0.37g 化合物Z 固形分として 9.7g 造核剤 表1に記載の種類。但し、量は固形分として0.03モル 染料A 783nmの光学濃度が0.3になる塗布量(目安として0.37g) ハロゲン化銀乳剤A Ag量として0.06モル
【0138】
【化18】
【0139】9. 乳剤面下層保護層塗布液の調製 メチルメタクリレート/スチレン/2-エチルヘキシルア
クリレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート/アク
リル酸=58.9/8.6/25.4/5.1/2(wt%)のポリマー
ラテックス溶液(共重合体でガラス転移温度46℃(計算
値)、固形分濃度として21.5%、造膜助剤として化合物
Dをラテックスの固形分に対して15wt%含有、平均粒子
径116nm)956gに水を加え、化合物E 1.62g、表1記載
の式(S)の化合物および量、マット剤(ポリスチレン
粒子、平均粒径7μm)1.98gおよびポリビニルアルコー
ル(クラレ(株)製,PVA-235)23.6gを加え、さらに水を
加えて、塗布液を調製とした。
【0140】10. 乳剤面上層保護層塗布液の調製 メチルメタクリレート/スチレン/2-エチルヘキシルア
クリレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート/アク
リル酸=58.9/8.6/25.4/5.1/2(wt%)のポリマー
ラテックス溶液(共重合体でガラス転移温度46℃(計算
値)、固形分濃度として21.5%、造膜助剤として化合物
Dをラテックスの固形分に対して15wt%含有、平均粒子
径72nm)630gに水を加え、カルナヴァワックス(中京油
脂(株)製、セロゾール524)30wt%溶液6.30g、化合物
E 0.72g、化合物F 7.95g、表1記載の式(S)の化
合物および量、マット剤(ポリスチレン粒子、平均粒径
7μm)1.18gおよびポリビニルアルコール(クラレ(株)
製,PVA-235)8.30gを加え、さらに水を加えて、塗布液
を調製とした。
【0141】
【化19】
【0142】11. バック/下塗り層のついたPET支
持体の作製 (1)支持体 テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従
い、IV(固有粘度)=0.66(フェノール/テトラクロル
エタン=6/4(重量比)中25℃で測定)のPETを得
た。これをペレット化した後、130℃で4時間乾燥した
後、300℃で溶融後T型ダイから押し出した後急冷し、
熱固定後の膜厚が120μmになるような厚みの未延伸フ
イルムを作成した。これを周速の異なるロールを用い、
3.3倍に縦延伸、ついでテンターで4.5倍に横延伸を実施
した。このときの温度はそれぞれ、110℃、130℃であっ
た。この後、240℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で
横方向に4%緩和した。この後、テンターのチャック部を
スリットした後、両端にナール加工を行い、4.8kg/cm2
で巻きとった。このようにして、幅2.4m、長さ3500m、
厚み120μmのロールを得た。
【0143】 (2)下塗り層(a) ポリマーラテックス-(1)(コア部90重量%、シェル部10重量%のコアシェルタ イプのラテックスで、コア部:塩化ビニリデン/メチルアクリレート/メチルメ タクリレート/アクリロニトリル/アクリル酸=93/3/3/0.9/0.1(重量%)、シ ェル部:塩化ビニリデン/メチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリ ロニトリル/アクリル酸=88/3/3/3/3(重量%)から成る重量平均分子量38000の ポリマーラテックス) 固形分量として 3.0g/m2 2,4-ジクロロ-6-ヒドロキシ-s-トリアジン 23mg/m2 マット剤(ポリスチレン、平均粒子径2.4μm) 1.5mg/m2
【0144】 (3)下塗り層(b) 脱イオン処理ゼラチン (Ca2+含量0.6ppm、ゼリー強度230g) 50mg/m2
【0145】 (4)導電層 ジュリマーET-410(日本純薬(株)製) 96mg/m2 アルカリ処理ゼラチン(分子量約10000、Ca2+含量30ppm ) 42mg/m2 脱イオン処理ゼラチン(Ca2+含量0.6ppm) 8mg/m2 化合物A 0.2mg/m2 ポリオキシエチレンフェニルエーテル 10mg/m2 スミテックスレジンM-3 (水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製) 18mg/m2 染料A 783nmの光学濃度が1.2になる塗布量 SnO2/Sb(9/1重量比、針状微粒子、長軸/短軸=20〜30、 石原産業(株)製) 160mg/m2 マット剤(ポリメチルメタクリレート、平均粒子径5μm) 7mg/m2
【0146】 (5)保護層 ポリマーラテックス−(2) (メチルメタクリレート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート/ 2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸 =59/9/26/5/1(重量%の共重合体)) 固形分量として 1000mg/m2 ポリスチレンスルホン酸塩(分子量1000〜5000) 2.6mg/m2 セロゾール524(中京油脂(株)) 25mg/m2 スミテックスレジンM-3 (水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製) 218 mg/m2
【0147】(6)バック/下塗り層のついたPET支
持体の作製 支持体(ベース)の両面に下塗り層(a)と下塗り層(b)を
順次塗布し、それぞれ180℃、4分間乾燥した。つい
で、下塗り層(a)と下塗り層(b)を塗布した上の一方の側
の面に導電層と保護層を順次塗布し、それぞれ180℃、4
分間乾燥して、バック/下塗り層のついたPET支持体を
作製した。下塗り層(a)の乾燥厚みは2.0μmであっ
た。
【0148】(7)搬送熱処理 (7-1)熱処理 このようにして作製したバック/下塗り層のついたPET
支持体を160℃設定した全長200m熱処理ゾーンに入れ、
張力3kg/cm2、搬送速度20m/分で搬送した。 (7-2)後熱処理 上記熱処理に引き続き、40℃のゾーンに15秒間通して後
熱処理を行い、巻き取った。この時の巻き取り張力は10
kg/cm2であった。
【0149】
【化20】
【0150】12. 熱現像感光材料の作製 前記下塗り層(a)と下塗り層(b)を塗布した側のPET支持
体の下塗り層の上に前記の乳剤層塗布液を塗布銀量1.7g
/m2になるように塗布した。さらにその上に、前記乳剤
面下層保護層塗布液をポリマーラテックスの固形分塗布
量が1.31g/m2になるように乳剤塗布液と共に同時重層塗
布した。この時、上記式で定義される含水率が200%
になるまでの乾燥条件は、乾球温度71℃、露点23℃
でT1分間(表1に記載)で通過させ、減率乾燥時は乾
球温度65℃、露点21℃で乾燥・成膜した。その後で
その上に前記乳剤面上層保護層塗布液をポリマーラテッ
クスの固形分塗布量が3.02g/m2になるように塗布し、熱
現像感光材料を作製した。この時、含水率200%まで
の乾燥条件は乾球温度75℃、露点22℃でT2分間で
通過させ、減率乾燥時は乾球温度65℃、露点21℃で
乾燥・成膜した。得られた熱現像感光材料の画像形成側
の膜面pHは4.9、ベック平滑度が660秒であり、反対側
の膜面pHは5.9、ベック平滑度は560秒であった。
【0151】13. 写真性能の評価 (露光処理)得られた熱現像感光材料を、ビーム径(ビー
ム強度の1/2のFWHM)12.56μm、レーザー出力50m
W、出力波長783nmの半導体レーザーを搭載した単チャン
ネル円筒内面方式のレーザー露光装置を使用し、ミラー
の回転数を変化させることにより露光時間を、出力値を
変えることにより露光量を調整し、2×10-8秒で露光し
た。この時のオーバーラップ係数0.449にした。 (熱現像処理)露光済みの熱現像感光材料を図1の熱現像
機を用いて、熱現像処理部のローラー表面材質はシリコ
ンゴム、平滑面はテフロン不織布にして予備加熱部90〜
100℃で5秒、熱現像処理部120℃で20秒間熱現像処理を
行った。なお、幅方向の温度精度は±1℃であった。 (写真性能の評価)得られた画像の評価をマクベスTD904
濃度計(可視濃度)により行った。測定の結果は、Dminお
よび感度(Dminより1.5高い濃度を与える露光量の比の
逆数の相対値で評価し、表1に記載の熱現像感光材料4を
100とした)で評価した。また、保存性の評価について
は熱現像感光材料を25℃、湿度30%RH調湿してシート
状態に裁断後に3枚重ねて防湿袋に入れてたものをそれ
ぞれ2組作り、それらを45℃に5日および35℃に20日保存
し、その後で保存する前の熱現像感光材料と保存後の3
枚重ねた中央部(2枚目)について前記の露光と熱現像
処理を行い、Dminおよび感度を評価した。
【0152】14. 膜脆性の評価 生サンプルを25℃10%RHの雰囲気下に2時間放置
後、ISO 6077「 Wedgebrittleness test」と同様の方法
にて、画像形成層を含む側にクラックが最初に発生した
点の平均値(mm)を求め、相対値で評価した(表1に記
載の熱現像感光材料4を100とし、数値が低い方が良好で
あることを示す)。
【0153】15. 結果 各熱現像感光材料について上記評価を実施した結果を表
1に示す。
【0154】
【表1】
【0155】表1のホルマリンスカベンジャーを含有し
ていないサンプルNo.1〜4およびNo.17〜19のデータから
明らかなように、ホルマリンスカベンジャーフリー系で
は乾燥依存性はない。しかし、サンプルNo.5〜16, 20〜
35のデータより、ホルマリンスカベンジャーを添加した
系では、塗布から含水率が200%以下になるまでの時
間(T1あるいはT2)を短く、特に5分以下にするこ
とによって、ホルマリン耐性が良くなっていることがわ
かる。なお、ホルマリンスカベンジャーの添加量を多く
してやれば、ホルムアルデヒドガス類に対する効果はあ
るが、膜脆性が劣る傾向がある。本発明を用いると、ス
カベンジャーの量を必ずしも多くしなくとも効果を発揮
させることができ、Dmin(カブリ)が低く、保存時
のカブリ上昇が少なく、かつ感度変動小さい良好な性能
が得られることがわかる。以上より、本発明の効果は明
らかである。
【0156】<実施例2>実施例1の熱現像感光感光材
料4(比較)と23(本発明)について、特開平6-214350
号に記載のロール包装を適用し、幅61m×長さ59m巻き
の遮光用ロール包装(製品形態包装)を行った。この製
品形態包装の包装体内の湿度は熱現像感光材料の含水量
から25℃で25%RHと見積もられた。実施例1と同様に
して、この製品形態包装で45℃、5日および35℃、20日
の保存性試験を行って、実施例1と同様に評価した。得
られた結果は実施例1の結果をほぼ再現し、本発明の熱
現像感光材料23はDminの上昇が少なく、感度変動も
小さいことが製品形態でも発現することが確認できた。
よって、本発明の効果は明らかである。
【0157】
【発明の効果】本発明により、特に写真製版用、特にス
キャナー、イメージセッター用として、カブリが低く、
保存時のカブリの上昇および感度変動の少ない画像を得
ることが可能で、かつ膜脆性が良好な熱現像感光材料を
提供することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱現像機の一構成例を示す側面図である。
【符号の説明】
10 熱現像感光材料 11 搬入ローラー対 12 搬出ローラー対 13 ローラー 14 平滑面 15 加熱ヒーター 16 ガイド板 A 予備加熱部 B 熱現像処理部 C 徐冷部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に非感光性銀塩、感光性ハロゲ
    ン化銀、バインダーおよび造核剤を有する熱現像感光材
    料において、 ホルムアルデヒド類と反応して該ホルムアルデヒド類を
    固定させることができる1種以上の化合物を含有する塗
    布液を塗布し、乾燥を開始してから下記式で定義される
    含水率が200%に至るまでの時間が5秒以上5分以内
    になる条件で乾燥させることにより形成される層を、前
    記感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成層が存在する
    支持体面側に少なくとも1層有することを特徴とする熱
    現像感光材料。 【数1】
  2. 【請求項2】 前記化合物が下記式(S)で表される少
    なくとも一種の化合物であることを特徴とする請求項1
    記載の熱現像感光材料。 【化1】 [式(S)中、X1は酸素原子または=NH基を表す。
    1およびR2は各々独立に水素原子、アシル基、炭化水
    素基またはカルバモイル基を表す。ただし、X1が酸素
    原子の時、R1およびR2の少なくとも1つは水素原子で
    ある。L1は環状構造を形成するために必要な2価の有
    機基を表す。]
  3. 【請求項3】 前記画像形成層のバインダーの50重量
    %以上が、ガラス転移温度が−30℃以上40℃以下で
    あるポリマーのラテックスであることを特徴とする請求
    項1または2に記載の熱現像感光材料。
  4. 【請求項4】 下記式(1)で表される置換アルケン誘導
    体、下記式(2)で表される置換イソオキサゾール誘導
    体、および下記式(3)で表されるアセタール化合物から
    選ばれる少なくとも一種の化合物を造核剤として使用す
    ることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の
    熱現像感光材料。 【化2】 [式(1)においてR11、R12およびR13は、それぞれ独
    立に水素原子または置換基を表し、Zは電子吸引性基ま
    たはシリル基を表す。式(1)においてR11とZ、R12
    13、R11とR12、およびR13とZは、それぞれ互いに
    結合して環状構造を形成していてもよい。式(2)におい
    て、R14は置換基を表す。式(3)において、XおよびY
    は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Aお
    よびBはそれぞれ独立にアルコキシ基、アルキルチオ
    基、アルキルアミノ基、アリールオキシ基、アリールチ
    オ基、アニリノ基、ヘテロ環オキシ基、ヘテロ環チオ基
    またはヘテロ環アミノ基を表す。式(3)において、Xと
    Y、およびAとBは、それぞれ互いに結合して環状構造
    を形成していてもよい。]
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1435298A3 (en) * 2002-12-19 2004-07-14 Agfa-Gevaert Toning agents for use in thermographic and photothermographic recording materials

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