JP2000297164A - イオン交換膜およびその製造方法 - Google Patents

イオン交換膜およびその製造方法

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Shoichi Doi
正一 土井
Kazuo Okuyama
和雄 奥山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 物理的欠陥を生じさせず、また、製膜操作上
も困難を伴わずに低い電気抵抗を有するイオン交換膜を
提供する。 【解決手段】 膜の内層部から、少なくとも一方の表面
へ向けて実質的に直線状の微多孔が開口していることを
特徴とするイオン交換膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体高分子型燃料
電池、水電気分解、食塩電気分解、各種センサー等の用
途に有用なイオン交換膜に関する。
【0002】
【従来の技術】イオン交換膜には水素が解離して生じた
プロトンを酸素側に移動させるイオン伝導体としての機
能があり、一般に膜の交換容量が大きいほどプロトン伝
導度が大きくなり、そして膜厚が薄いほど膜による電気
抵抗が小さくなり好ましい。従来、固体高分子型燃料電
池用電解質膜としてペルフルオロカーボンスルホン酸膜
が使用され比較的良好な性能を発揮している。実際に交
換容量が1.25ミリ当量/g程度の膜や、膜厚50μ
m程度のペルフルオロカーボン膜が作られ市販されてお
り、その代表的な例としてNafion<登録商標>
(米国DuPont社製。以下、単にNafion)、
Aciplex<登録商標>(旭化成工業製。以下、単
にAciplex)、Flemion<登録商標>(旭
硝子製。以下、単にFlemion)等がある。特に、
食塩電解用隔膜に使用されるイオン交換膜としては、ペ
ルフルオロカーボンカルボン酸層とペルフルオロカーボ
ンスルホン酸層の少なくとも2層以上の積層膜が有効で
あることは当該分野で公知である。
【0003】ところで、このような膜を用いた電解槽に
おいては、電流効率の向上と電解電圧の低減による電力
原単位低減が課題である事が、従来より指摘されてい
る。そこで、此の課題を解決する試みが、いくつかなさ
れており、例えば、特開平6−128782号公報に
は、イオン交換膜の陽極側表面に表面積の25%以上の
開口があり、膜内部に連通させる方法が開示されてい
る。この方法は仮補強繊維を埋め込んで製膜が完了した
後で、好ましくはサンダーなどを用いて表面を研磨する
ことによって開口率を制御しようとするものであった
が、著しく生産効率が悪く、また、膜表面に亀裂を生じ
させる恐れがあり、膜の力学物性を損ねるという問題が
あった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のよう
に膜上に物理的欠陥を生じさせず、また、製膜操作上も
困難を伴わずに低い電気抵抗を有するイオン交換膜とそ
の製造方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記の課題を
克服するために鋭意研究の結果、特定形状の微多孔を膜
層に形成させる事で、含フッ素重合体積層膜が当該課題
克服に著しく効果があることを見出し、本発明をなすに
至った。すなわち本発明は少なくとも1層の、一種又は
二種以上の官能基を有する一種または二種以上の含フッ
素重合体からなる膜であって、膜の内層部から少なくと
も膜の一方の表面へ向けて実質的に表面に対して直線状
の微多孔が開口していることを特徴とするイオン交換膜
である。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明につき詳述する。本
発明のイオン交換膜では少なくとも1層の、一種又は二
種以上の官能基を有する一種または二種以上の含フッ素
重合体からなる膜である。本発明における官能基を有す
る含フッ素重合体としては、広範なフッ素分子を有する
各種重合体から選ぶことができるが、特にペルフルオロ
カーボンが耐熱性、耐溶剤性が優れており好ましい。含
フッ素重合体が有する官能基とは、種々の化学活性を有
する原子または原子団からなる反応基を言う。官能基の
もつ化学活性としては、たとえば、イオン交換能、キレ
ート形成能、酸化還元能、触媒配位能などがある。
【0007】また、これらの化学活性を有する官能基の
例としては、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸
基、第1級から第3級までのアミン、ヒドロキノン基、
チオール基などがある。また、官能基の中でも特に、化
学反応性に富むものとしては、たとえば、イソシアネー
ト基、ジアゾニウム基、クロロメチル基、アルデヒド
基、エポキシ基、ハロゲン基、カルボキシル基、アミノ
基などがある。その中でも特に、プロトンやナトリウム
イオンを伝導する食塩電解では、その大きな酸性度から
スルホン酸基が低電圧となり、カルボン酸基が電流効率
を高くできるので好ましい。
【0008】これらの官能基を有する含フッ素樹脂の例
としては、イオン交換含フッ素樹脂、キレート配位子を
含むキレート含フッ素樹脂、ヒドロキノン、チオールな
どをもつ酸化還元含フッ素樹脂などが挙げられる。な
お、イオン交換含フッ素樹脂は、カチオン、又は、アニ
オンの交換基を有している含フッ素樹脂の他、カチオン
及びアニオン双方の交換基を有する含フッ素樹脂であっ
ても良い。カチオン交換基の例としては、スルホン酸
基、カルボキシル基またはホスホン酸基が挙げられる。
【0009】特に有用な含フッ素重合体の例として、下
記(化1)で表される重合性単量体の一種以上を使用
し、これに後述の重合性単量体群から選ばれた一種類ま
たは二種類以上の重合性単量体とを組み合わせて得られ
る共重合体があげられる。 (化1) Y-(CF2)a-(CFRt)b-(CFRt')c-O-(CF(CF2X)-CF2-O)n-CF=CF2 (式中、−Yは、−SO3H、−SO2F、−SO3
a、−SO3K、−SO2NH2、−SO2NH4、−CO
OH、−CN、−COF、−COOR(Rは炭素数1〜
10のアルキル基)、−PO32または−PO3Hであ
る。aは0〜6の整数、bは0〜6の整数、cは0また
は1であり、且つa+b+c≠0であり、nは0〜6の
整数である。Xは、n≧1のときCl、BrまたはFの
いずれか一種、または複数種の組合せである。Rtおよ
びRt′はいずれも1〜10個の炭素原子を有するパー
フルオロアルキル基又は、フルオロクロロアルキル基群
の中から選択される置換基である。) そして、これらに共重合させる重合性単量体群として
は、テトラフルオロエチレン、トリフルオロモノクロロ
エチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、
1,1−ジフルオロ−2,2−ジクロロエチレン、1,
1−ジフルオロ−2−クロロエチレン、ヘキサフルオロ
プロピレン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロ
ピレン、オクタフルオロイソブチレン、エチレン、塩化
ビニルおよびアルキルビニルエステル等が挙げられる。
【0010】官能基を有する含フッ素重合体の交換容量
は膜に充分な電気伝導性、及び機械強度を与えるため
に、0.50〜2.00ミリ当量/gであることが好ま
しく、更に好ましくは0.70〜1.50ミリ当量/g
である。官能基を有する含フッ素重合体膜の積層構造に
特に制限は無く、膜の用途に応じて、任意に選択でき
る。例えば食塩電解用途においては、陰極側にカルボン
酸層、陽極側にスルホン酸層がくるような少なくとも2
層からなる積層構造が用いられる。
【0011】これらの積層構造においては隣接する層と
の間に電気的に不導部分となる隙間がないよう、互いに
接着接触しているのが好ましい。層間に隙間が存在する
とその部分が電解装置の電圧上昇の原因となることがあ
る。すなわち、積層された各層は使用中に剥離するよう
なことがあってはならない。本発明のイオン交換膜は、
約0.25μmから約150μmの厚さを有する含フッ
素重合体フィルムを積層することにより製造される。膜
は一般に2層、または3層のそのような含フッ素重合体
フィルムから成る。膜を製造する際に使用される含フッ
素重合体フィルムの全厚は電圧と強度のバランスの関係
から一般に約50μmから250μm、より好ましくは
50μmから150μmである。
【0012】また、積層させるフィルムの含フッ素重合
体は必ずしも同一のものでなくとも良く、異なる含フッ
素重合体からなるフィルムどうしを積層させても良い。
本発明のイオン交換膜では、交換膜内層部から、交換膜
の一方の表面へ向けて実質的に直線状の微多孔が開口し
ていることが必要である。この微多孔開口部は、用途に
応じて膜の陽極側、陰極側いずれにあっても良いが、本
発明の目的においては陽極側にあった場合に特に効果が
高い。
【0013】ここで、膜はイオン交換基の前駆体である
場合と官能基を転化してイオン交換基となった場合のい
ずれをも含む。この微多孔は実質的に直線状であること
が必要である。ある厚みを有する層に微多孔が存する場
合、この層の厚みに対する孔の全長の比率を屈曲率とす
れば、この場合は屈曲率がほぼ1であることが好ましい
ということになる。微多孔が直線状でない、すなわち、
その屈曲率が高い場合は、膜内部での電解液のスムーズ
な移動が妨げられ、液置換抵抗が増加する上、イオンの
移動路長が長くなり電気抵抗が上がる。また、直線状微
多孔よりも孔の全長さが長くなる分、膜に占める微多孔
空隙量が増え、膜の強度低下につながる。
【0014】微多孔の内径は1μ〜数mm程度、好まし
くは10μ〜500μである。微多孔の深さは、10μ
m〜230μmの範囲で適宜決定される。微多孔の膜に
おける配列は任意に制御できるが、千鳥、格子、などの
規則的な配列が加工上好ましい。ピッチ(隣接孔間の間
隔)は特に制限はないが、好ましくは10〜500μで
ある。これら、微多孔の直径、深さ、配列、ピッチは膜
の強度を損なわず、電圧を低減できるバランスから決定
される。
【0015】本発明のイオン交換膜では、膜の強度向上
に寄与させるための補強材が介在してもよい。その場
合、補強材の形状には特に制限は無いが、その厚みは好
ましくは、25〜125μm、更に好ましくは50〜7
5μmである。また、成型加工性の良さから、一般に織
布または不織布が好ましい。この場合、これらの布は、
以下に述べる強化繊維及び仮補強繊維からなる。
【0016】強化繊維の素材に特に制限は無いが、含フ
ッ素重合体がその大きな強度および化学安定性から特に
適している。典型的には、そのような重合体としてテト
ラフルオロエチレンから作られる単独重合体及びテトラ
フルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレン及び/ま
たはアルキル基炭素原子数が1〜10個のペルフルオロ
アルキルビニルエーテル、例えば、ペルフルオロプロピ
ルビニルエーテル、との共重合体が包含される。最も好
適な素材の例はポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)である。
【0017】上記含フッ素重合体からなる、フッ素強化
繊維の径に特に制限は無いが、織布、及び積層後の膜に
充分な強度をもたせるためには、50〜600デニルが
好ましく、更に好ましくは200〜400デニルであ
る。仮補強繊維は、天然又は合成高分子からなる繊維で
あり、好適な素材としては、木綿、リンネル、絹、レー
ヨン、6ー6ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、
及びポリアクリロニトリルがある。
【0018】これらの仮補強繊維は、1〜20の範囲内
で縦横比を任意に選択でき、長方形、卵形、三角形、星
形、又は楕円形の断面を有することができる。例えばレ
ーヨン繊維又は再生セルロースフィルムから切り取った
細いリボンは好適には約40〜100デニルのものであ
る。フッ素強化繊維同様、仮補強繊維は好ましくは、1
2〜63μm、更に好ましくは25〜38μmの厚さを
有することができる。本発明の仮補強繊維は、本発明の
膜のイオン交換能を阻害することなく、膜から除去する
ことができ、これにより、膜の電気抵抗を更に抑えるこ
とができる。仮補強繊維の除去は、一般に知られた化学
的方法で行えば良く、例えば、レーヨンの様なセルロー
ス系の補強材の場合、次亜塩素酸ナトリウムを用いて除
去することができる。
【0019】織布あるいは不織布は上記フッ素強化繊維
及び/または仮補強繊維からなる。これらの布は、通常
のバスケット織り及びレノ織りのような織り方が適当で
ある。フッ素強化繊維及び仮補強繊維はいずれも単フィ
ラメントであってもまたマルチストランドであってもよ
い。このとき、フッ素強化繊維及び仮補強繊維に撚りを
かけてもよい。
【0020】この場合、織布から仮補強糸を除去した後
の織布中の開口率は、50%から95%の範囲であり、
開口率が大きいほど、電気抵抗抑制効果も大きい。ここ
で言う、開口率とは、織布単位面積当たりの織布内、隣
接繊維間の開口域面積である。不織布の場合、適当な成
分繊維の薄い開口したシートも使用できる。仮補強繊維
は上記織布の中だけでなく、積層する膜の中に単独に埋
めこまれていてもよい。補強材中の仮補強繊維が除去さ
れた跡の孔と、単独に埋め込まれた仮補強繊維が除去さ
れた跡の孔とが互いに連通することが望ましい。
【0021】次に、本発明のイオン交換膜の製造方法に
ついて述べる。本発明は少なくとも1層の、一種又は二
種以上の官能基を有する一種または二種以上の含フッ素
重合体からなる膜であって、少なくとも片方の表面を形
成する層に多数の剣山状の突起を押し付けることを特徴
とするイオン交換膜の製造方法である。
【0022】すなわち、既述した含フッ素重合体からな
る膜の製法において、2枚以上の含フッ素重合体フィル
ムを必要であればその間に支持体材料を介して互いに溶
融接着させて、単一の膜構造体を形成する。成型温度
は、通常約200〜300℃の範囲であるが、より正確
には、用いる含フッ素重合体の性質、フイルム成分層と
支持体部材間の接着性、溶融状態における含フッ素重合
体の流動性を考慮して最適化される。いずれにしても、
最終的に均一な厚みを有する成型膜が得られる成型温度
が選択される。成型圧力は通常、約2x104パスカル
程度の低い圧力から107パスカルを超える圧力まで使
用できる。
【0023】積層にあたっては、少なくとも1層の、一
種又は二種以上の官能基を有する一種または二種以上の
含フッ素重合体からなる膜、仮補強繊維を有する補強
材、直線状微多孔を設ける層の順に積層することが好ま
しい。さらに仮補強繊維のみを仮補強繊維を有する補強
材の周囲に追加しても良いが、その場合は、追加した仮
補強繊維と補強材は接触していることが、効果発現の観
点から好ましい。
【0024】本発明の製法においては、少なくとも片方
の表面を形成する層に多数の剣山状の突起を押し付ける
ことが特徴である。剣山状突起について説明する。基盤
上に突起を設け、これを膜面に突き刺し開口させるもの
である。基盤の材質は特に制限はないが、加熱する場合
もあることからステンレスが好ましい。突起は多角柱、
多角錘、円柱、円錐などの形状で、加工性によって選択
できる。円柱状が加工性の面から好ましい。直径は加工
できる範囲内であれば特に制限はないが、好ましくは、
1μ〜数mm程度、更に好ましくは10μ〜500μで
ある。高さは直線状多孔質層の厚みによって決まるが、
5μ〜1mm、好ましくは20μ〜300μである。そ
の配列は任意でも良いが、千鳥、格子、など従来公知の
配列が加工上好ましく使用できる。ピッチは加工できる
範囲内であれば、制限はなく好ましくは10〜500μ
である。これら、剣山突起の規格は、いずれも任意に変
える事ができ、それにより、電解条件に応じて微多孔の
大きさ、膜内における数、及びピッチを自在に制御でき
ることが大きな特徴である。
【0025】フィルムの開口させたい面を押し当てる際
に温度をかけて、直線状微多孔を設ける層に適度な流動
性を持たせることも可能である。その場合は、予め、該
層を形成するポリマーのメルトフローインデクスを測定
し、最適な条件を選択する。通常は200℃以上融点以
下が採用される。また、剣山突起間の谷に孔を空けてこ
こから減圧にして、フィルムが均一に引き込まれ剣山に
よって開口させられやすくすることも好ましい。この剣
山状の板をドラム状に形成することによって連続的に直
線状微多孔を形成させることが可能である。
【0026】上記のイオン交換膜は、この後、その用途
に応じて化学的手法により、膜中の官能基を別種の官能
基に転化することができる。例えば、電解膜を食塩電解
の隔膜として用いる場合には、膜の官能基を全てスルホ
ン酸及びカルボン酸基、又はそのアルカリ金属塩等の、
水溶液中でイオン化しうる官能基に転化することができ
る。かかる転化は通常、酸又は塩基の存在下での加水分
解により行える。
【0027】尚、仮補強繊維の膜からの除去は、この官
能基転化の前後、いずれの段階でおこなっても良いが、
仮補強繊維が加水分解可能な素材からなる場合、この官
能基転化の加水分解過程で、仮補強繊維の除去を同時に
おこなうこともできる。又、直線状微多孔の形成は官能
基の転化以降に行うことも可能であるが、作業性と加工
性からは転化以前に前駆体の状態で行うことがより好ま
しい。
【0028】さらに、本発明のイオン交換膜の表面に無
機物を塗布するなど気泡の付着を妨げる従来公知の技術
を組み合わせることが好ましい。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、実施例、比較例を挙げさら
に具体的に説明する。
【0030】
【実施例1】(化1)のひとつであるカルボン酸メチル
エステル墓を有するペルフルオロカーボンモノマーとテ
トラフルオロエチレンの共重合体(旭化成工業製)で交
換容量0.85ミリ当量/g、膜厚20μmの膜と(化
1)のひとつであるスルホニルフルオライド基を有する
ペルフルオロカーボンモノマーとテトラフルオロエチレ
ンの共重合体(旭化成工業製)で交換容量0.97ミリ
当量/g、膜厚75μmの膜とを共押し出し積層したフ
イルム(A)を作成した、一方、(化1)のひとつであ
るスルホニルフルオライド基を有するペルフルオロカー
ボンモノマーとテトラフルオロエチレンの共重合体(旭
化成工業製)で交換容量1.05ミリ当量/g、膜厚5
0μmのフイルム(B)を作成した。強化部材にポリテ
トラフルオロエチレン繊維(150デニル、太さ110
μm)を用い、平織り方式で支持体材料の織布を作成し
た。このとき、仮補強繊維として、ポリエチレンテレフ
タレートの繊維を同時に織り込んだ。
【0031】フィルム(A)と(B)でこの強化部材を
はさみ、加熱して積層した。このとき、フィルム(B)
の下にステンレス製の剣山盤を配した。ステンレス製の
基盤上には直径40μm、高さ100μm、剣山のピッ
チ200μmで格子状に配置した剣山を多数貼り付け、
また、格子の対角線上に直径100μmで、ステンレス
基盤を貫通する孔を設けた。ここから吸引しながら膜の
フィルム(B)側を剣山の突起に押しつけ、直線状微多
孔を形成させた。又、このとき、基盤を220℃に加熱
した。
【0032】得られた積層膜を、水酸化カリウム(和光
純薬株式会社製特級)16.8部とジメチルスルホキシ
ド(和光純薬株式会社製一級)30部及び純水70部の
混合溶解液に漬け、90℃、1時間反応させた、これに
より、スルホニルフルオライド型の官能基がスルホン酸
カリウム型に変換した。充分純水で洗浄した後、0.5
NNaOH水溶液に漬け85℃、30分保持し、スルホ
ン酸ナトリウム型とした。その後、剣山で開口した側を
陽極側として食塩電解を行った。測定条件は陽極液に
3.5NNaCl水溶液、陰極液に33%NaOH水溶
液とし、90℃の液温度で行った。その結果、電解電圧
は2.90Vであった、引っ張り強伸度測定(縦及び横
の支持体部材糸に対して45°方向)における破断強度
は1.2kg/cmであった。
【0033】断面を光学顕微鏡で観察すると剣山によっ
て作られた直線状の微多孔が膜中に形成されている仮補
強繊維の溶出孔と連絡していた。
【0034】
【比較例1】実施例1で剣山を用いずに積層すること以
外は全て実施例1のとおりに積層膜を作成した。この積
層膜の電解電圧は2.98Vあり、破断強度は1.2k
g/cmであった。実施例1に比べて破断強度は変わら
なかったが、電解電圧が高かった。
【0035】断面を光学顕微鏡で観察したところ、仮補
強繊維の溶出孔はあったが、塩水供給側には開口してい
なかった。
【0036】
【発明の効果】従来は困難であった、イオン交換膜内空
孔の大きさ、膜における数、孔間隔を電解条件に応じて
任意に設定できるだけでなく、従来の膜表面の機械的切
削による開口法のような、膜に与えるダメージを与える
こともなく、更に、空の開口率、及び体積を低く抑える
ことにより、膜の強度低下を抑制できる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1層の、一種又は二種以上の
    官能基を有する一種または二種以上の含フッ素重合体か
    らなる膜であって、膜の内層部から、少なくとも一方の
    表面へ向けて実質的に直線状の微多孔が開口しているこ
    とを特徴とするイオン交換膜。
  2. 【請求項2】 官能基がスルホン酸基、カルボン酸基の
    うちの少なくとも一つである請求項1に記載のイオン交
    換膜。
  3. 【請求項3】 補強材によって補強されている請求項1
    または2記載のイオン交換膜。
  4. 【請求項4】 微多孔の開口部の存在する面がイオン交
    換膜中の陽極側に配置されていることを特徴とする請求
    項1、2、3記載のイオン交換膜。
  5. 【請求項5】 少なくとも1層の、一種又は二種以上の
    官能基を有する一種または二種以上の含フッ素重合体か
    らなる膜であって、少なくとも一方の表面を形成する層
    に多数の剣山状の突起を押し付けることを特徴とする請
    求項1、2、3又は4記載のイオン交換膜の製造方法。
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