JP2000280313A - 摺動部の潤滑機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ブッシュ４とタイバ１との間隙は、加工の相
違によりタイバ１の全周にわたって均等にはならず、ま
た偏心することもあるので、タイバ１の全周に均一に潤
滑材を供給することは困難であり、タイバ１の特定の個
所に余剰の潤滑材が集中することとなる。該余剰の潤滑
材は、１１の溜りとなり、成形品に付着して、成形品を
不良化する。この課題を解決するための従来のオイルシ
ールは環状であるため、交換にはかなりの困難が伴っ
た。 【解決手段】 シール部材５、５を二分割の円環状と
し、シール部材をタイバ１に適度に押圧する環状バネ６
を、外周面に設けた溝７に繞設した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】射出成形機の型締装置におけ
る可動盤とタイバ等のような摺動部での潤滑機構に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】図３に示すのは、従来の潤滑機構であ
る。１は、射出成形機において、可動盤２を固定盤（図
示せず）に対し近接離間可能に摺動せしめる案内として
のタイバである。また該タイバ１は、可動盤２が受けた
型締機構（図示せず）の発生する型締力を可動盤２と固
定盤間に取付けた金型に付与した結果生ずる張力を受け
るのである。可動盤２のタイバ１を挿通する内孔には複
数のブッシュ４が嵌挿され、ブッシュ４は可動盤２に固
定されている。該ブッシュ４は、タイバ１より軟質の円
筒状部材であり、可動盤をタイバ１に保持させると共に
可動盤２の摺動を容易にしている。可動盤２の内孔、ブ
ッシュ４、４、およびタイバ１の外表面からなる空間は
潤滑油溜３であり、潤滑油溜３には可動盤２の外部から
連通するような通路が穿設され、給油口９が設けられて
いる。給油口９にはグリス１０等の潤滑材を適時供給
し、潤滑油溜３に充填し、さらにブッシュ４とタイバ１
との間隙に潤滑材を圧入して、可動盤２の摺動を良好に
している。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の技術には様々な課題が存在する。すなわち、ブッシ
ュ４とタイバ１との間隙は、両者の加工状態の相違によ
りタイバ１の全周にわたって均等にはならず、また偏心
することもあるので、タイバ１の全周に均一に潤滑材を
供給することは困難である。さらに、前記間隙の狭い個
所に潤滑材を圧入しようとすると、間隙の大きな部分か
ら大量に潤滑材が漏出し、タイバ１の特定の個所に余剰
の潤滑材が集中することとなる。該余剰の潤滑材は、可
動盤２の型閉じ移動時（図３において右移動）に、可動
盤２の端面でしごかれることになり、１１の溜りが生ず
る。溜り１１はしだいに大きくなり、ついには落下して
金型やさらには成形品に付着して、成形品を不良化す
る。潤滑材の付着した成形品は発見が困難であり、特に
医療・食品関連の成形品では、係る不良品の発生は極め
て重大な問題となるのである。

【０００４】上記の課題を解決するため、従来からオイ
ルシールを設けることはあったが、従来のオイルシール
は材質がゴム等であり、摩耗するため交換を必要とし
た。ところが、従来のオイルシールは環状であるため、
交換するにはタイバ１を固定盤から抜き去って、タイバ
１の端部を開放しなければオイルシールの着脱は出来な
かったのである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】そこで、断面円形の案内
と、該案内に摺動する摺動部材と、該摺動部材の端面に
着脱自在に取付けたシール部材から構成し、該シール部
材は二分割の円環状とし、その外周面にはシール部材を
前記案内に押圧するための環状バネを繞設する溝を有す
るようにしたのである。

【０００６】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図１および
図２に基づいて詳細に説明する。図１において、図３と
同一の符号で示す部材は、それぞれ同一もしくは同等の
機能を有する。したがって、図３の従来の潤滑機構と異
なる部分についてのみ説明する。５はシール部材であ
り、樹脂で射出成形されたものが好適に使用される。そ
の樹脂原料としては、ポリエチレン、ナイロン等であ
り、含油原料を用いることもある。シール部材５、５
は、案内であるタイバ１の外径寸法と同一の内径寸法を
有する円環状であり、切断線１２により二分割されてい
る。シール部材５、５は、タイバ１の外周面に一体に密
接させ、可動盤２の内孔部側面にフランジ８を介して着
脱自在に取付けられている。シール部材５、５の外周面
には、シール部材５、５を一体にしたとき連続する溝７
が形成され、該溝７には環状のバネ６が繞設されて、シ
ール部材５、５が液圧密にタイバ１を押圧するようにな
している。なお、切断線１２は、切断面が一面となるよ
うに示したが、軸方向段階状に多面にし、切断線１２か
らの潤滑材の漏洩を少なくすることもある。

【０００７】バネ６は、溝７の幅および深さより小さい
径のコイルバネであり、溝７に繞設したとき適宜な弾性
を発揮するように長さを定める。バネ６は、環状に固接
したものでもよいが、一端を先細りに形成してそれを多
端にねじ込むことによって環状にすることが、シール部
材５、５の着脱を容易にする上でより好ましい。

【０００８】図２は、シール部材５、５を可動盤２に着
脱する際の状況を示す斜視図であり、フランジ８を可動
盤２から取り外し、シール部材５、５を可動盤２から離
隔させた後、バネ６を取り去った状態を示す。このよう
にすれば、シール部材５、５は極めて容易に着脱可能で
ある。

【０００９】シール部材５、５が含油樹脂からなる場合
は、潤滑油溜３および給油口９を省略することも出来
る。また、上記実施の形態では、シール部材５、５を可
動盤２の固定盤側の端面にのみ設けたが、型締機構側の
端面にも設けることができるのは自明である。

【００１０】

【発明の効果】本発明によれば、シール部材５、５をバ
ネ６で適度に押圧するので、タイバ１の全周に均一に必
要最小限度の潤滑材の油膜を付与することができ、漏洩
した潤滑材で成形品を汚染することはない。また、シー
ル部材５、５を二分割としたので、消耗品であるシール
部材５、５の交換が極めて容易となり、射出成形機の保
守点検に要する時間を削減でき、成形工場の生産効率が
向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の摺動部の潤滑機構を示す部分断面図で
ある。

【図２】本発明の摺動部の潤滑機構において、シール部
材５、５を可動盤２に着脱する際の状況を示す斜視図で
ある。

【図３】従来の摺動部の潤滑機構を示す部分断面図であ
る。

【符号の説明】

１ ……… タイバ ２ ……… 可動盤 ３ ……… 潤滑油溜 ４ ……… ブッシュ ５ ……… シール部材 ６ ……… バネ ７ ……… 溝 ８ ……… フランジ ９ ……… 給油口 １０ …… グリス １１ …… 溜り １２ …… 切断線

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 3J043 AA11 AA16 BA07 CA03 CA20 CB13 DA01 DA09 4F202 AJ03 AJ10 AM03 AM24 CA11 CA30 CB01 CL01 CL50 4F206 AJ03 AJ10 AM03 AM24 JA07 JL02 JM02 JM06 JN32 JN35 JP02 JQ82 JQ90

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 断面円形の案内と、該案内に摺動する摺
   動部材と、該摺動部材の端面に着脱自在に取付けたシー
   ル部材からなり、該シール部材は二分割の円環状であ
   り、その外周面にはシール部材を前記案内に押圧するた
   めの環状バネを繞設する溝を有することを特徴とする摺
   動部の潤滑機構。
2. 【請求項２】 前記シール部材は含油樹脂からなること
   を特徴とする請求項１に記載の摺動部の潤滑機構。