JP2000275260A - 走査型プローブ顕微鏡及びその測定方法 - Google Patents

走査型プローブ顕微鏡及びその測定方法

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JP2000275260A
JP2000275260A JP8397199A JP8397199A JP2000275260A JP 2000275260 A JP2000275260 A JP 2000275260A JP 8397199 A JP8397199 A JP 8397199A JP 8397199 A JP8397199 A JP 8397199A JP 2000275260 A JP2000275260 A JP 2000275260A
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JP8397199A
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Masaya Okazaki
賢哉 岡咲
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Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】探針や試料に与えるダメージを軽減すると共
に、試料の表面情報を精度良く測定することが可能なサ
ーボ応答性に優れた低コストな走査型プローブ顕微鏡を
提供する。 【解決手段】探針2を有するカンチレバー6と、主走査
面Hに直交する方向Gに対して所定角度θだけ傾いた傾
斜方向Kに沿ってサーボを掛けながら探針2を主走査面
Hに沿って走査することが可能な走査手段とを備えてお
り、この走査手段には、探針2を主走査面Hに沿って相
対的に走査させるスキャナ10と、このスキャナ10を
制御するコントローラ14とが設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば原子オーダ
ーの分解能で試料の表面情報を測定するための走査型プ
ローブ顕微鏡及びその測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の走査型プローブ顕微鏡は、自由
端に尖鋭化した探針を持つカンチレバーと、探針と試料
とを相対的に移動させるスキャナとを備えている。そし
て、探針を試料に対向して近接させると、探針先端と試
料表面の間に働く相互作用(例えば、原子間力、斥力、
引力、粘性、磁気力など)によって、カンチレバーの自
由端が変位する。この自由端に生じる変位量を電気的あ
るいは光学的に検出しながら、探針を試料表面に沿って
XY方向に相対的に走査することによって、試料の表面
情報等(例えば、凹凸情報)を三次元的にSPM測定し
ている。
【0003】従来、このようなSPM測定を行う方法と
して、例えば特公平7−74735号公報には、XY方
向に直交するZ方向にサーボを掛けながら試料の凹部内
に探針をアプローチさせた後、サーボ方向をX方向に切
り換えることによって、試料凹部内の側壁を測定する方
法が提案されている(第1の従来技術)。
【0004】また、例えば特開平9−171029号公
報には、まず、探針を初期設定した角度だけ傾けた状態
でSPM測定した後、次に、この初期設定した角度とは
反対方向に探針を傾けた状態でSPM測定し、これら2
つの測定データを合成することによって、試料の表面凹
凸情報を測定する方法が提案されている(第2の従来技
術)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た第1及び第2の従来技術には、以下のような問題が存
在する。
【0006】第1の従来技術では、試料の表面状態に対
応してサーボ方向をX方向とZ方向に切り換えなければ
ならないため、走査型プローブ顕微鏡の測定方法が複雑
になると共に測定時間が長くなってしまうだけで無く、
2軸方向(X方向、Z方向)に対応したカンチレバーの
変位を測定するためのセンサ系及びサーボ系等が個別に
必要となるため、走査型プローブ顕微鏡を構成する部品
点数が増加して製造コストが上昇してしまう。
【0007】第2の従来技術では、SPM測定時に探針
を傾けてはいるものの、サーボ方向は一定方向(即ち、
試料面に対して垂直方向)であるため、探針や試料にダ
メージを与え易くなっているだけで無く、例えば傾斜角
度のきつい試料面をSPM測定するとき、サーボ応答に
遅れが生じて精度良くSPM測定を行うことができな
い。更に、第2の従来技術では、探針の傾き角を調整す
るための機構を別途設ける必要があるため、走査型プロ
ーブ顕微鏡を構成する部品点数が増加して製造コストが
上昇してしまう。
【0008】本発明は、このような問題を解決するため
に成されており、その目的は、探針や試料に与えるダメ
ージを軽減すると共に、試料の表面情報を精度良く測定
することが可能なサーボ応答性に優れた低コストな走査
型プローブ顕微鏡を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明の走査型プローブ顕微鏡は、探針を有
するカンチレバーと、主走査面に直交する方向に対して
所定角度だけ傾いた傾斜方向に沿ってサーボを掛けなが
ら探針を主走査面に沿って相対的に走査することが可能
な走査手段とを備えている。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態に係
る走査型プローブ顕微鏡について、添付図面を参照して
説明する。
【0011】図1(a),(b)に示すように、本実施
の形態の走査型プローブ顕微鏡は、主走査面Hに直交す
る方向Gに対して所定角度θだけ傾いた傾斜方向Kに沿
ってサーボを掛けながら探針2を主走査面Hに沿って走
査することができるように構成されている。なお、主走
査面Hとは、例えば試料4をXY平面上に位置付けた場
合、その試料4の試料面4a(即ち、XY平面)に相当
し、また、主走査面Hに直交する方向Gとは、試料面4
a(XY平面)に垂直なZ方向に相当する。
【0012】このような構成において、主走査面Hに直
交するZ方向に対して所定角度θだけ傾いた傾斜方向K
に沿ってサーボを掛けながら探針2を主走査面Hに沿っ
て走査すると、90−θ度の傾きを持った試料面4a
(主走査面H)に対して探針2を走査している状態と同
等となる。このため、従来ではサーボ応答の遅れが生じ
易かった傾斜角度のきつい試料面4aであっても、サー
ボ方向を切り換える必要がないため、サーボ応答の遅れ
を生じること無く試料4の表面情報を精度良く測定する
ことができる。更に、上述した構成によれば、試料面4
a(主走査面H)に対して角度θを持って探針2を走査
することができるため、従来のような試料面4aに垂直
なZ方向のみのサーボに比べて、探針2や試料4に与え
るダメージを軽減することができる。
【0013】上述したような構成、作用効果を実現する
ために、本実施の形態の走査型プローブ顕微鏡は、以下
のような仕様を成している。
【0014】まず、本実施の形態の走査型プローブ顕微
鏡に適用可能な測定法としては、探針接触圧設定時のカ
ンチレバー6の撓み状態を一定に維持しながら、カンチ
レバー6を励振させること無く探針2を試料4に沿って
走査することによって、探針2先端と試料面4aとの間
に働く相互作用(例えば、原子間力、斥力、引力、粘
性、磁気力など)に基づく試料4の表面情報を測定する
スタティックモード測定法と、所定の共振周波数でカン
チレバー6を励振させた状態において、例えば振動中心
と試料面4aとの間の距離を一定に維持しながら(或い
は、振動振幅を一定に維持しながら)、探針2を試料4
に沿って走査することによって、探針2先端と試料面4
aとの間に働く相互作用に基づく試料4の表面情報を測
定するダイナミックモード測定法とが知られているが、
以下の説明では、両測定法を総称して単にSPM測定と
いうこととする。
【0015】また、走査型プローブ顕微鏡は、固定した
試料4に対して探針2を所定方向に移動させることによ
って、試料4の表面情報をSPM測定する探針走査型
と、固定した探針2に対して試料4を所定方向に移動さ
せることによって、試料4の表面情報をSPM測定する
試料走査型とに大別されるが、いずれにも本実施の形態
に適用することができる。
【0016】本実施の形態では、その一例として、図1
(a)に示すように、ステージ8上にセットされた試料
4の試料面4a(主走査面H)に沿ってカンチレバー6
先端の探針2を走査させることによって、試料4の表面
情報をSPM測定する探針走査型のプローブ顕微鏡を想
定している。
【0017】この場合、カンチレバー6は、スキャナ1
0(例えば、チューブ型圧電体スキャナ)の可動端に所
定の傾斜角度だけ傾けて取り付けられており、このスキ
ャナ10は、Z方向に移動可能なZ軸粗動機構12に支
持されている。スキャナ10及びZ軸粗動機構12は、
コントローラ14によって駆動制御されるようになって
いる。具体的には、コントローラ14からスキャナ10
に印加する電圧Vを制御して、スキャナ10をZ方向に
伸縮させ及びXY方向に変位させることによって、カン
チレバー6先端に設けられた探針2を試料4に対してX
YZ方向に所定量だけ移動させることができると共に、
コントローラ14から出力される制御信号Tに基づいて
Z軸粗動機構12の動作(移動、停止)を制御すること
によって、スキャナ10及びカンチレバー6(探針2)
をZ方向に上下動させることができる。
【0018】本実施の形態において、スキャナ10及び
コントローラ14は、主走査面Hに直交する方向Gに対
して所定角度θだけ傾いた傾斜方向Kに沿ってサーボを
掛けながら探針2を主走査面Hに沿って相対的に走査す
るための走査手段として用いられている。
【0019】また、本実施の形態の走査型プローブ顕微
鏡には、SPM測定時に、カンチレバー6先端の変位状
態を検出することが可能な変位センサが設けられてお
り、この変位センサとしては、光学的に変位を検出する
変位センサ、電気的に変位を検出する静電容量センサ、
或いは、レーザー干渉計等の種々のセンサを適用するこ
とが可能である。
【0020】本実施の形態では、その一例として、光て
こ方式の変位センサが用いられており、この変位センサ
は、スキャナ10の可動端に取り付けられている。この
変位センサ10は、カンチレバー6の背面(探針2が設
けられている面とは反対側の面)に変位測定用レーザー
光を照射することが可能な光源16と、カンチレバー6
の背面から反射した反射光を受光し、その受光位置及び
受光量の変化に基づいて、カンチレバー6の変位状態を
光学的に検出することが可能な受光素子18とを備えて
いる。
【0021】次に、本実施の形態の動作について、図1
〜図3を参照して説明する。
【0022】なお、この動作説明では、探針2を試料4
の試料面4a(主走査面H)に沿って矢印D方向(−X
側から+X側)にラスタ走査する場合を想定している
(図2参照)。
【0023】まず、コントローラ14からZ軸粗動機構
12を動作させるための所定の制御信号Tを送出し、探
針2を試料4の試料面4aに近づける。この動作の間、
変位センサ10の値をモニタし、この値が変化した時点
で、コントローラ14は、Z軸粗動機構12を停止させ
るための制御信号Tを送出する。続いて、コントローラ
14からスキャナ10に印加する電圧Vを制御すること
によって、スキャナ10をZ方向に変位させて探針2を
試料面4aに微動アプローチさせる。このとき、探針2
先端と試料面4aとの間に作用する相互作用(斥力、引
力)によって、カンチレバー6は、若干撓んだ状態にな
る。
【0024】この状態において、上述した光てこ方式の
変位センサによって、カンチレバー6の撓み変位状態が
光学的に検出され、その変位信号Eがコントローラ14
に入力される。そして、コントローラ14は、SPM測
定中、この変位信号Eを一定に維持するように、スキャ
ナ10に対してフィードバック制御(即ち、サーボ)を
掛ける。
【0025】サーボ方向は、試料面4a(主走査面H)
に直交する方向Gに対して所定角度θだけ傾いた傾斜方
向Kであるが、以下の動作説明では、その一例として、
探針2の法線方向(以下、この法線方向を符号Kで示
す)に沿ってサーボを掛けた場合について説明する。な
お、法線方向Kに沿ったサーボ量を符号Sで示す。
【0026】このサーボ量Sは、コントローラ14内に
おいて、Zサーボ成分SzとXサーボ成分Sxとの合成
データとして随時設定及び更新される。
【0027】Zサーボ成分Szは、SPM測定中におい
て試料面4aの凹凸状態に合わせて探針2を追従させる
ように、スキャナ10をZ方向に変位させたときのスキ
ャナ10の変位量に相当し、この変位量を得るために、
コントローラ14からスキャナ10に所定のフィードバ
ック制御用電圧Vが印加される。そして、このスキャナ
10の変位量(即ち、フィードバック制御用電圧V)に
基づいて、試料4の表面情報(試料面4aの凹凸情報等
のSPM測定データ)が測定される。
【0028】なお、試料4の表面情報は、フィードバッ
ク制御用電圧Vだけでなく、カンチレバー6の撓み状態
の変化(変位信号E)に基づいて得ることができる。つ
まり、カンチレバー6の撓み状態の変化は、試料面4a
の凹凸状態に合わせた探針2の変位を反映しており、サ
ーボが掛かった状態で、変位信号Eを試料4の走査位置
(XY座標)に対応してプロットすることによって、試
料4の表面情報を検出することができる。
【0029】Xサーボ成分Sxは、探針2の法線方向K
に沿ったサーボ方向を維持するように、Zサーボ成分S
zに基づいて随時設定及び更新される。具体的には、コ
ントローラ14内において、 Sx=Sz×tanθ なる演算処理が行われることによって設定及び更新され
る。
【0030】従って、平坦な試料面4a(主走査面H)
を走査している間には、フィードバック制御が行われな
いため、Zサーボ成分Sz及びXサーボ成分Sxは、探
針2の法線方向Kに沿ったサーボ方向を維持するよう
に、一定状態に維持される。
【0031】ここで、図2に示すように、凹部20が形
成された試料面4aに対して矢印D方向(−X側から+
X側)に向かって一定の速度で探針2をラスタ走査し、
等時間間隔でSPM測定データをサンプリング(サンプ
リングポイントを黒丸で示す)した場合の動作について
説明する。なお、図2(a)〜(e)は、時間経過に従
った走査状況を示しており、同図(f)〜(j)は、時
間経過に従ったSPM測定データを示している。
【0032】また、本実施の形態においては、サンプリ
ングポイントは、走査速度とサンプリングの時間間隔と
によって一義的に決定されるものとして扱う。つまり、
図2(f)〜(j)に示すとおり、SPM測定データ
は、実測の位置とは関係なく等間隔に設定されたサンプ
リングポイントでプロットされる。
【0033】平坦な試料面4a(主走査面H)の走査が
行われている間、フィードバック制御が行われないた
め、Zサーボ成分Sz及びXサーボ成分Sxは、探針2
の法線方向Kに沿ったサーボ方向を維持するように、一
定状態に維持されるため、そのSPM測定データ(図2
(f)参照)は一定の値となる。つまり、平坦な試料面
4aにおいては、走査速度の変化等の走査条件の変化が
ないため、実際にSPM測定データをサンプリングする
位置とサンプリングポイントとが一致する。そして、同
図(a)に示すように、探針2が凹部20に差し掛かる
と、−Z方向にサーボが掛かり、その結果、Zサーボ成
分Szが、−Z側に転じる。
【0034】このとき、Xサーボ成分Sxが、+X方向
に加わるため、同図(b)に示すように、矢印D方向へ
のラスタ走査速度にXサーボ成分Sxが加算されること
によって、凹部20内のサンプリングポイントP1は、
目標とするサンプリングポイントP2よりも+ΔXだけ
ずれる。つまり、走査速度が加速されるのでサンプリン
グ間隔が広くなる。このため、SPM測定データは、同
図(g)に示すように、ずれ量+ΔX分だけ変形したも
のとなって現れる。即ち、実測において、サンプリング
ポイントP1で得られたSPM測定データが、図2
(g)では、隣り合うサンプリングポイントと等間隔に
設定されたサンプリングポイントP2で得られたものと
してプロットされる。
【0035】この後、凹部20内の走査が行われている
間、Zサーボ成分Sz及びXサーボ成分Sxは、探針2
の法線方向Kに沿ったサーボ方向を維持するように、一
定状態に維持されるため、そのSPM測定データ(図2
(h)参照)も一定となる。つまり、図2(f)と同様
に、実測においてもSPM測定データをサンプリングす
る位置とサンプリングポイントとが一致する。
【0036】そして、同図(c)に示すように、探針2
が凹部20の+X側側壁20aに差し掛かると、+Z方
向にサーボが掛かり、その結果、Zサーボ成分Szが、
+Z側に転じ、これに合わせて、−X方向にXサーボ成
分Sxが加わる。この状態において、サーボ方向である
法線方向Kは、探針2先端が凹部20の+X側側壁20
aに近接する方向となっているため、探針2先端は、凹
部20の+X側側壁20aに沿って走査される(同図
(d)参照)。この結果、SPM測定データは、同図
(i)に示すように、ほぼ凹部20の+X側側壁20a
に沿った形状を成して得られる。
【0037】このとき、Xサーボ成分Sxが、−X方向
に加わるため、図2(d)に示すとおり、サンプリング
ポイントP3は、目標とするサンプリングポイントP4
よりも−ΔX′だけずれる。つまり、走査速度が減速さ
れるのでサンプリング間隔が狭くなる。このため、SP
M測定データは、同図(i)に示すように、ずれ量−Δ
X′分だけ変形したものとなって現れる。即ち、実測に
おいて、サンプリングポイントP3で得られたSPM測
定データが、図2(i)では、隣り合うサンプリングポ
イントと等間隔に設定されたサンプリングポイントP4
で得られたものとしてプロットされる。
【0038】この後、平坦な試料面4aの走査が行われ
ている間、Zサーボ成分Sz及びXサーボ成分Sxは、
探針2の法線方向Kに沿ったサーボ方向を維持するよう
に、一定状態に維持されるため、そのSPM測定データ
(図2(j)参照)も一定となる。つまり、図2(f)
と同様に、実測においてもSPM測定データをサンプリ
ングする位置とサンプリングポイントとが一致する。
【0039】このようなプロセスを経て得られたSPM
測定データは、図2(j)に示すように、凹部20の−
側側壁20bのデータが変形し、且つ、+側側壁20a
のデータがほぼ凹部20の+X側側壁20aに沿った形
状を成したものとなる。
【0040】このようなSPM測定データ(図3(a)
参照)は、コントローラ14に入力され、そのSPM測
定データのZ座標成分に基づいてX座標成分の再校正
(図3(b)参照)が施される。
【0041】X座標成分の再構成値Xcor は、図3にお
ける座標軸に基づけば、 Xcor =−Sz×tanθ なる演算処理によって算出される。つまり、Zサーボ成
分Szの値に応じて再構成値Xcor が決定する。なお、
Zサーボ成分Szの値は、図3のZ座標軸の符号に一致
するものとする。
【0042】具体的には、Z座標成分が−Z方向に変位
している箇所W1において、X座標成分を+X方向に再
校正する。つまり、図2(b)及び同図(g)におい
て、サンプリングポイントP1でプロットされたSPM
測定データは、再構成によりサンプリングポイントP2
に再プロットされる。従って、実測した位置と再プロッ
トされた位置が一致する。
【0043】また、Z座標成分が+Z方向に変位してい
る箇所W2において、X座標成分を−X方向に再校正す
る。つまり、図2(d)及び同図(i)において、サン
プリングポイントP3でプロットされたSPM測定デー
タは、再構成によりサンプリングポイントP4に再プロ
ットされる。従って、実測した位置と再プロットされた
位置が一致する。
【0044】このような再校正が施されることによっ
て、図3(b)に示すように、最終的に得られたSPM
測定データは、凹部20の+X側側壁20aの形状を正
確に反映したものとなる。
【0045】なお、上述したような再校正プロセスは、
SPM測定中、1ラインSPM測定データ毎にリアルタ
イムで行っても良いし、或いは、全てのSPM測定デー
タを得た後に一括して行っても良い。
【0046】このように本実施の形態によれば、主走査
面Hに直交するZ方向に対して所定角度θだけ傾いた傾
斜方向Kに沿ってサーボを掛けながら探針2を主走査面
Hに沿って走査すると、90−θ度の傾きを持った試料
面4a(主走査面H)に対して探針2を走査している状
態と同等となる。このため、従来ではサーボ応答の遅れ
が生じ易かった傾斜角度のきつい試料面4aであって
も、サーボ方向を切り換える必要がないため、サーボ応
答の遅れを生じること無く試料4の表面情報を精度良く
測定することができる。
【0047】更に、本実施の形態によれば、試料面4a
(主走査面H)に対して角度θを持って探針2を走査す
ることができるため、従来のような試料面4aに垂直な
Z方向のみのサーボに比べて、探針2や試料4に与える
ダメージを軽減することができる。
【0048】なお、上述した実施の形態では、等時間間
隔でSPM測定データをサンプリングする方法について
説明したが、この方法に代えて、例えば一定の走査距離
毎(等距離毎)にSPM測定データをサンプリングする
方法を適用しても上記実施の形態と同様の作用効果を実
現することができる。
【0049】探針2の走査距離を測定する方法として
は、例えば、静電容量センサやレーザー干渉計等の外部
センサを用いる方法、又は、スキャナ10のXY方向
(主走査面H方向)への変位量から逆算する方法等が考
えられる。
【0050】この変形例では、その一例として、探針2
を試料4の試料面4a(主走査面H)に沿って矢印D方
向(−X側から+X側)にラスタ走査する場合を想定し
(図2参照)、その場合におけるスキャナ10の矢印D
方向への変位量から探針2の走査距離を逆算する方法に
ついて説明する。
【0051】この場合、スキャナ10の矢印D方向への
変位量Lは、上述したXサーボ成分Sxに基づいて規定
され、Sx=Sz×tanθより、 L=V×t+Sx =V×t+Sz×tanθ V:スキャナ10の変位速度 t:前回サンプリング後の経過時間 なる演算処理によって算出することができる。
【0052】このような一定の走査距離毎(等距離毎)
にSPM測定データをサンプリングする方法によれば、
等時間間隔でSPM測定データをサンプリングする方法
で行われていたような再校正(図3参照)が不要となる
ため、より効率良くSPM測定データを得ることが可能
となる。
【0053】また、上述した実施の形態では、探針2の
法線方向Kに沿ってサーボを掛けた場合について説明し
たが、サーボ方向は、試料4の試料面4aの凹凸形状に
合わせて任意の角度θに設定変更することができる。
【0054】このため、例えば4(a)に示すように、
試料面4aの凹部20に形成された両側壁20a,20
bの角度が90度又はそれ以上である場合、法線方向K
よりも大きな角度θ′だけ傾けた方向に沿ってサーボを
掛けることによって、角度のきつい凹部20(側壁20
a,20b)の形状を反映した試料面4aのSPM測定
データ(図4(b)参照)を再現性良く得ることができ
る。
【0055】また、例えば図5(a)に示すように、試
料面4aの凹部20に形成された両側壁20a,20b
の角度が90度以下である場合、法線方向Kよりも小さ
な角度θ″だけ傾けた方向に沿ってサーボを掛けること
によって、角度の緩やかな凹部20(側壁20a,20
b)の形状を反映した試料面4aのSPM測定データ
(図5(b)参照)を再現性良く得ることができる。
【0056】本発明の要旨をまとめると、 (1) 探針を有するカンチレバーと、主走査面に直交
する方向に対して所定角度だけ傾いた傾斜方向に沿って
サーボを掛けながら探針を主走査面に沿って相対的に走
査することが可能な走査手段とを備えていることを特徴
とする走査型プローブ顕微鏡。
【0057】(2) 前記走査手段には、探針を主走査
面に沿って相対的に走査させるスキャナと、このスキャ
ナを制御するコントローラとが設けられていることを特
徴とする請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡。
【0058】(3) 主走査面に直交する方向に対して
所定角度だけ傾いた傾斜方向に沿ってサーボを掛けなが
ら探針を主走査面に沿って相対的に走査することを特徴
とする走査型プローブ顕微鏡の測定方法。
【0059】(4) 前記コントローラは、前記サーボ
の傾斜角度を任意に設定可能である前記1項又は2項に
記載の走査型プローブ顕微鏡。
【0060】(5) 前記コントローラは、前記スキャ
ナの走査速度を走査面の形状に応じて可変に制御するこ
とを特徴とする前記1項、2項及び4項のいずれか1に
記載の走査型プローブ顕微鏡。
【0061】(6) 更に、探針と走査面との相対的な
移動量を検出する手段を有していることを特徴とする前
記1項、2項、4項及び5項のいずれか1に記載の走査
型プローブ顕微鏡。
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、探針や試料に与えるダ
メージを軽減すると共に、試料の表面情報を精度良く測
定することが可能なサーボ応答性に優れた低コストな走
査型プローブ顕微鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本実施の形態の走査型プローブ顕微
鏡の構成を示す図、(b)は、サーボ方向を説明するた
めの図。
【図2】一定の速度で探針を試料面に沿ってラスタ走査
し、等時間間隔でSPM測定データをサンプリングして
いる状態を示す図であって、(a)〜(e)は、時間経
過に従った走査状況を示す図、(f)〜(j)は、時間
経過に従ったSPM測定データを示す図。
【図3】SPM測定データの再校正プロセスを説明する
ための図であって、(a)は、再校正前のSPM測定デ
ータを示す図、(b)は、再校正後のSPM測定データ
を示す図。
【図4】本発明の変形例を示す図であって、(a)は、
法線方向よりも大きな角度だけ傾けた方向に沿ってサー
ボを掛けている状態を示す図、(b)は、角度のきつい
凹部(側壁)の形状を反映した試料面のSPM測定デー
タを示す図。
【図5】本発明の変形例を示す図であって、(a)は、
法線方向よりも小さな角度だけ傾けた方向に沿ってサー
ボを掛けている状態を示す図、(b)は、角度の緩やか
な凹部(側壁)の形状を反映した試料面のSPM測定デ
ータを示す図。
【符号の説明】
2 探針 6 カンチレバー 10 スキャナ 14 コントローラ H 主走査面 G 主走査面に直交する方向 K 傾斜方向

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 探針を有するカンチレバーと、 主走査面に直交する方向に対して所定角度だけ傾いた傾
    斜方向に沿ってサーボを掛けながら探針を主走査面に沿
    って相対的に走査することが可能な走査手段とを備えて
    いることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  2. 【請求項2】 前記走査手段には、探針を主走査面に沿
    って相対的に走査させるスキャナと、このスキャナを制
    御するコントローラとが設けられていることを特徴とす
    る請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡。
  3. 【請求項3】 主走査面に直交する方向に対して所定角
    度だけ傾いた傾斜方向に沿ってサーボを掛けながら探針
    を主走査面に沿って相対的に走査することを特徴とする
    走査型プローブ顕微鏡の測定方法。
JP8397199A 1999-03-26 1999-03-26 走査型プローブ顕微鏡及びその測定方法 Withdrawn JP2000275260A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6918286B2 (en) 2001-05-31 2005-07-19 Olympus Optical Co., Ltd. SPM cantilever
JP2007304037A (ja) * 2006-05-15 2007-11-22 Olympus Corp 形状測定装置
JP2010044063A (ja) * 2008-07-21 2010-02-25 Park Systems Corp 傾斜試料ステージを備える走査型プローブ顕微鏡

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