JP2000273582A - 圧力容器用鋳鋼材及びそれを用いた圧力容器の製造方法 - Google Patents

圧力容器用鋳鋼材及びそれを用いた圧力容器の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 火力発電用蒸気タービンプラントにおける車
室や圧力容器に用いられ、高温強度及びクリープ破断強
度に優れ、強度、延性並びに耐衝撃特性のバランスの良
好な鋳鋼材及びそれを用いた圧力容器の製造方法を提供
する。 【解決手段】 重量で、C:0.05〜0.18%、S
i:0.10〜0.5%、Mn:0.3〜1.0%、N
i≦0.5%、Cr:0.8〜3.0%、Mo:0.4
〜1.5%、B:0.001〜0.006%、Ti:
0.008〜0.06%、Al:0.010〜0.03
0%、N≦0.010%、不純物としてのP≦0.02
%、S≦0.01%を含み、残部が不可避的不純物及び
Feからなり、かつ上記成分範囲のTi及びNが(3.
4×N)/Ti≦1.6の関係式を満足することを特徴
とする圧力容器用鋳鋼材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、火力発電用蒸気タ
ービンプラントにおける車室や圧力容器に用いられる鋳
鋼材及びそれを用いた圧力容器の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】火力発電用蒸気タービンプラントにおけ
る車室や圧力容器には、複雑な形状に対応するために鋳
鋼品が多く用いられる。
【0003】これら鋳鋼品に求められる特性は、高温で
使用されるところから高温強度が高く、かつクリープ破
断強度が高いこと、鋳鋼品であることから欠陥部を溶接
によって補修する必要があり、従って、優れた溶接特性
を具備していることである。
【0004】このような特性をもつ鋳鋼材として、2.
25%CrMo鋳鋼、1%CrMo鋳鋼などが知られて
いる。これらのうち、2.25%CrMo鋳鋼や1%C
rMo鋳鋼は、常温における耐衝撃特性が比較的優れて
おり、結果として溶接特性も良好である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、2.2
5%CrMo鋳鋼や1%CrMo鋳鋼は、焼入れ性が必
ずしも良好ではなく、わけても焼入れ処理過程での冷却
速度が遅い厚肉部などは、初析フェライトの析出が多
く、強度が低下する。
【0006】また、V等の強化元素が添加されていない
ため、クリープ破断強度が必ずしも十分ではなく、年々
高温化する蒸気タービンプラントにおける車室材として
要求される特性に応え得ない。
【0007】本発明は、2.25%CrMo鋳鋼や1%
CrMo鋳鋼が有する耐衝撃特性や溶接特性を確保し、
焼入れ性を大きく向上せしめることにより、焼入れ処理
過程での冷却速度が遅い厚肉部においても、金属組織を
容易にベーナイト単相化して2.25%CrMo鋳鋼や
1%CrMo鋳鋼よりも優れた常温及び高温強度を有せ
しめ、また、クリープ破断強度についても優れた特性を
示す圧力容器用鋳鋼材及びそれを用いた圧力容器の製造
方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1)重量
で、 C :0.05〜0.18%、 Si:0.10〜0.5%、 Mn:0.3〜1.0%、 Ni≦0.5%、 Cr:0.8〜3.0%、 Mo:0.4〜1.5%、 B :0.001〜0.006%、Ti:0.008〜0.06%、 Al:0.005〜0.030%、N ≦0.010%、 不純物としての P ≦0.02%、 S ≦0.01% を含み、残部が不可避的不純物及びFeからなり、かつ
上記成分範囲のTi及びNが(3.4×N)/Ti≦
1.6の関係式を満足することを特徴とする圧力容器用
鋳鋼材、及び(2)前記(1)の圧力容器用鋳鋼材を鋳
造して得られた圧力容器としての鋳鋼品を、900℃〜
1070℃の温度域に5時間〜30時間保持し、素材各
部の600℃までの冷却速度を0.5℃/min〜50℃/m
inとして冷却した後200℃以下まで冷却する焼入れ処
理を施し、然る後、650℃〜750℃の温度域に5時
間〜20時間保持する焼戻し処理を施すことを特徴とす
る圧力容器の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の圧力容器用鋳鋼材及びそ
れを用いた圧力容器の製造方法について、詳細に説明す
る。本発明の圧力容器用鋳鋼材(以下、鋳鋼材という)
の成分限定理由を、以下に説明する。
【0010】C:Cは鋳鋼材の焼入れ性を向上させると
ともに、CrやMoの炭化物を形成し、クリープ破断強
度の向上に寄与する。しかし、その含有量が0.05%
未満では十分な耐力、クリープ破断強度が得られない。
一方、溶接性を確保するためには可及的に低い炭素含有
量であることが望ましく、0.18%以下でなければな
らない。また、C含有量が多いと靭性の確保が困難とな
り、さらに鋳鋼品の使用中に炭窒化物が凝集、粗大化
し、高温長時間強度を劣化させる。このため、C含有量
を0.05〜0.18%とする。
【0011】Si:Siは脱酸材として有用な元素であ
る。また、鋳物は形状が複雑であり、鋳型の隅々まで溶
湯をスムーズに充満させないと、湯回り不良、湯境等の
鋳造欠陥が発生し、補修の対象となる。そのため湯流れ
の確保が重要であり、Siは湯流れ性を確保する上で必
要な元素である。しかし、Siは偏析を助長して鋳鋼品
の靭性を低下させ、高温強度も低下させる。Si含有量
が0.10%未満では、脱酸材として、また湯流れ性を
確保する上で十分機能せず、一方、0.5%を超えて添
加すると、鋳鋼品の靭性、高温強度を低下させる。その
ため、0.10〜0.5%に限定する。
【0012】Mn:Mnは鋳鋼材の焼入れ性を高める元
素として有用であり、また、強度、靭性の改善に効果が
ある。しかし、0.3%未満の含有量ではその効果が十
分ではなく、しかし、1.0%を超えて添加すると、鋳
鋼品のクリープ破断強度を低下させる。そのため、0.
3〜1.0%に限定する。好ましくは、0.3〜0.8
%の範囲内である。
【0013】Ni:Niは鋳鋼材の焼入れ性を向上さ
せ、靭性改善にも効果がある。しかし、0.5%を超え
て過度に多量に添加すると、鋳鋼品の高温強度わけても
クリープ破断強度を低下させる。そのため、0.5%以
下に限定する。
【0014】Cr:Crは材料の耐酸化性を改善すると
ともに、炭化物を形成してクリープ破断強度を向上せし
めることに大きく寄与する。鋳鋼品のクリープ破断強度
への影響の面では、1%を超えるところに最適添加量が
あるが、焼入れ性の向上による常温強度の確保や耐衝撃
性の改善という面からは多く添加することが望ましい。
0.8%未満の添加量では、Crの添加による焼入れ性
改善効果が発現せず、十分な機械的強度や靭性を確保で
きない。一方、3.0%を超えて添加すると、クリープ
破断強度を低下させる。そのため、0.8〜3.0%に
限定する。好ましくは、1.5〜3.0%の範囲内であ
る。
【0015】Mo:Moは炭化物を形成し、クリープ破
断強度を向上させるのに効果がある。また、焼入れ性を
改善し、靭性改善にも効果がある。特に本発明の鋳鋼材
においては、高温強度改善に寄与する元素である。しか
し、0.4%未満では十分なクリープ破断強度改善効果
が得られず、一方、1.5%を超えて添加すると、鋳鋼
品使用中の脆化をもたらす。従って、0.4〜1.5%
の範囲に限定する。好ましくは、0.5〜1%の範囲内
である。
【0016】B:Bは鋳鋼材の強度及び靭性を確保する
ために重要な元素であり、マトリックス及び粒界に固溶
し、鋳鋼材の焼入れ性を向上させ、強度や靭性を改善す
る効果がある。しかし、0.001%未満では、固溶B
が少なくなるため焼入れ性が低下し、初析フェライトの
析出によって強度、靭性が低下する。また、0.006
%を超えて添加すると、材料を脆化させる。このため、
0.001〜0.006%に限定する。好ましくは、
0.001〜0.005%の範囲内である。
【0017】Ti:Tiは窒化物形成元素であって、B
による焼入れ効果を確保する上で重要な元素である。N
含有量が多い場合、粒界にBはBNとして粒界に多く析
出するためBの固溶量が少なくなり、Bによる焼入れ効
果が減殺されフェライトの析出を助長し、鋳鋼材の強度
及び靭性を低下させる。そのため、少量のB添加で焼入
れ効果を確保する手段として、Tiを添加し窒化物(T
iN)を形成させることによってBが窒化物(BN)を
形成することを防ぎ、Bを固溶Bとして存在させて焼入
れ性を確保する。Ti含有量が0.008%未満では添
加効果が発現せず、一方、0.06%を超えて添加する
と、鋳鋼材の靭性を低下せしめる。このため、0.00
8〜0.06%に限定する。
【0018】Al:AlはTiと同様にNを固定(Al
N)化し、Bの固溶量を多くしてBの効果を活かす働き
をする。Al含有量が0.005%未満では、添加効果
が発現せず、一方、0.030%を超えて添加すると靭
性が低下する。このため、0.005〜0.030%に
限定する。
【0019】N:本発明の鋳鋼材においてNは有害な元
素であり、Bの窒化物を形成しBの効果を阻害する。B
による焼入れ効果を最大限に活かすためには、Nは可及
的に少ない方がよい。即ち、N含有量が多い場合は、粒
界にBNが多く析出してBの固溶量が少なくなり、Bに
よる焼入れ効果が低下して初析フェライトの析出を助長
し、鋳鋼材の強度及び靭性を低下せしめる。このため、
N量に対応させてB量を変えてBによる焼入れ効果を確
保するが、N量が0.010%を超えると、B量も多く
必要となって析出物(BN)が多くなり、材料を脆化さ
せる。このため、Nを0.010%以下とする。
【0020】本発明においては、Bの添加効果を阻害す
るNを固定化すべくTi、Alを添加している。特に、
Tiは窒化物形成元素として重要であり、発明者らの知
見によれば、Bの析出物(BN)の生成を抑え、少量の
B添加でBによる焼入れ効果を大ならしめるためには、
N量がTiとの関係において、(3.4×N)/Ti≦
1.6の関係を満足する範囲とすれば、Bによる焼入れ
効果が十分に発揮されてベーナイト組織となり、満足す
べき強度、靭性およびクリープ特性を確保できる。
【0021】P:Pは不純物元素であり、溶解段階で十
分に脱燐して含有量を低くすることが必要である。特
に、Pは焼戻し脆化を起こして鋳鋼品の使用中に靭性を
低下させる。このため、0.020%以下にする必要が
ある。
【0022】S:SもPと同様に不純物元素であって、
溶鋼の凝固時に偏析し、微小欠陥(ミクロポロシティ)
となり易いため低く抑える必要がある。このため、0.
010%以下とする。
【0023】次に、上記鋳鋼材を用いた圧力容器の製造
方法について説明する。本発明の方法によって得られる
鋳鋼品は、高温環境下で使用される圧力容器であって、
高温強度わけてもクリープ破断強度が高いことが要求さ
れる。また、鋳鋼品であるところから溶接補修すること
が避けられず、優れた溶接特性を具備することが必要で
あり、この点から良好な靭性を有することが必要であ
る。このような観点から、本発明のプロセスにあって
は、前記特性を十分に出すための熱処理条件が極めて重
要となる。
【0024】(1)焼入れ処理 焼入れ加熱温度:焼入れ加熱温度(溶体化温度)は、
材料の結晶粒度に大きく影響する。焼入れ加熱温度が過
度に高いと結晶粒が粗くなり、材料の延性、靭性を低下
させてしまう。一方、焼入れ温度が低過ぎると、初析フ
ェライトの析出によりクリープ破断強さ及び強度、靭性
が低下してしまう。このため、適度な焼入れ温度管理が
必要となる。
【0025】本発明鋳鋼材の場合、加熱(溶体化処理)
を1070℃を超える温度まですると、結晶粒が粗くな
ってしまい十分な延性、靭性が得られない。また、加熱
(溶体化処理)温度を900℃未満にすると焼入れ効果
が低下し、十分な材料特性が得られない。従って、焼入
れ加熱温度(溶体化温度)を900℃〜1070℃に限
定する。
【0026】焼入れ加熱保持時間:焼入れ加熱保持時
間は、上記焼入れ効果を十分に発揮する時間とする。焼
入れ加熱保持時間が5時間に満たないと、合金元素が鉄
の母相に十分に溶けることができない。また、合金元素
の濃度偏析が十分に解消されない問題を生じる。一方、
30時間で溶体化による効果が飽和し、逆に結晶粒が粗
大化して材料の延性、靭性を低下させてしまう。従っ
て、焼入れ加熱保持時間を5時間〜30時間に限定す
る。
【0027】焼入れ(冷却)速度:焼入れ(冷却)速
度は、材料の強度、靭性に強く影響する。焼入れ時の冷
却速度が低いと、初析フェライトが析出するため十分な
クリープ破断強さ及び強度、靭性が得られない。従っ
て、焼入れ(冷却)速度を速くすることが必要である。
【0028】実際に、大型の鋳物を焼入れする場合、焼
入れ速度を速くするために油又は水に浸漬させて冷却す
ることも考えられるが、形状が複雑な鋳物の場合、変形
や割れの問題を生じる。このため本発明においては、焼
入れ開始温度から鋳鋼品各部位の600℃までの焼入れ
(冷却)速度の上限を50℃/minとし、下限を1℃/min
とした。本発明の鋳鋼材の場合、1℃/min焼入れ(冷
却)速度でも焼入れ効果があり、安定した機械的強度を
得ることができることも大きな特徴の1つである。
【0029】(2)焼戻し処理 焼戻し温度及び時間:焼戻し処理は、焼入れの際に導
入された欠陥をなくし、靭性のある材料にするために行
う。この焼戻し温度及び時間によって材料の機械的強度
や延性や靭性が変化する。
【0030】焼戻し処理において、温度が高く保持時間
が長いほど焼戻し処理は進み、材料の強度は低くなり、
代わりに延性や靭性が向上する。一方、焼戻し温度が低
くしかも保持時間が短い場合は、材料強度は高くなる
が、延性や靭性が低下する。このため、焼戻し温度及び
時間は厳密に管理されねばならない。
【0031】750℃を超える温度域で焼戻し処理を行
うと、材料の延性や靭性は良好となるけれども機械的強
度が低下する。また、650℃未満の温度域で焼戻し処
理を行うと、十分に高い機械的強度は得られるが、材料
の延性や靭性が低下する。このため、焼戻し処理温度域
を650℃〜750℃とする。
【0032】焼戻し時間が5時間に満たないと、十分な
固溶や拡散及び微細な炭窒化物の析出が少なく、満足す
べきクリープ破断強度や延性、靭性が得られない。一
方、20時間で焼戻し処理による効果が飽和する。加え
て、20時間を超えて焼戻し処理を施すと、材料の機械
的強度が低下する。従って、焼戻し処理時間は、5時間
〜20時間の範囲内とする。
【0033】
【実施例】表1に、試験に供した本発明の鋳鋼材のうち
の2%Cr−1%Mo系材料の化学成分を示す。表4
に、試験に供した本発明の鋳鋼材のうちの1%Cr−
0.5%Mo系材料の化学成分を示す。全ての材料は、
50kg真空溶解炉にて溶製し、鋳物砂で成型した鋳型に
溶湯を鋳込んで鋳鋼品を得、これを試験材とした。表1
及び表4において、肉太線で囲んだ数値は本発明の鋳鋼
材の成分範囲外となるものである。
【0034】鋳造によって得られた試験材(鋳鋼品)
に、表2に、及び表5に示す本発明の方法において特定
する熱処理条件を満たす熱処理を施し、得られた試験材
について、引張り試験、衝撃試験及びクリープ破断試験
を行って成分組成の影響を調べた。
【0035】表2及び表5から明らかなように、本発明
の鋳鋼材(発明材)は強度、及び伸び、絞りなどの延
性、並びに耐衝撃特性(「50%FATT」は、衝撃破
断遷移温度を示しており、この温度が低いものほど耐衝
撃特性が良好であるといえる。また、この耐衝撃特性が
良好な材料は、一般に、溶接性が良好な材料である。)
等の特性のバランスがよく、安定して高い値を示してい
る。
【0036】これに対し比較材は、強度及び延性、靭性
のバランスが悪く、特に耐衝撃特性が相対的に悪くなっ
ている。また、本発明の鋳鋼材のクリープ破断強さ(ク
リープ破断試験では、試験条件として温度と応力が一定
であるので、破断までの時間が長いものがクリープ破断
強度が高いものであるといえる。)も比較材に比して優
れていることが分かる。
【0037】次に、本発明の鋳鋼材について、本発明に
おいて特定する熱処理条件が諸特性に及ぼす影響を調べ
た。表3及び表6に、その結果を示す。表3及び表6か
ら明らかなように、本発明において特定する熱処理条件
を満たすものは、強度及び伸び、絞りなどの延性、並び
に耐衝撃特性のバランスがよく、安定して高い値を示し
ている。これに対し、本発明において特定する熱処理条
件を満たさないものは、各特性のバランスが悪いことが
分かる。
【0038】本発明において特定する熱処理条件につい
て、焼入れ(加熱)温度が条件を外れて低い場合や焼入
れ(冷却)速度が条件を外れて遅い場合は、初析フェラ
イトが析出し易くなり、圧力容器(鋳鋼品)の強度、靭
性及びクリープ破断強度が低下する。
【0039】焼入れ(加熱)温度が条件を外れて高い場
合は、結晶粒度が粗く、製品の延性や靭性が悪くなる。
また、焼戻し温度が条件を外れて高過ぎる場合は、製品
の延性や靭性はよいが強度が低い。一方、焼戻し温度が
条件を外れて低過ぎる場合は、強度は高いが、製品の延
性や靭性が悪い。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】
【表6】
【0046】
【発明の効果】本発明の圧力容器用鋳鋼材は、従来のC
rMo鋳鋼材が有する優れた耐衝撃特性及び溶接特性を
確保しつつ焼入れ性を大幅に向上せしめて焼入れ時の冷
却速度が低い厚肉部においても金属組織を容易にベーナ
イト単相化することによって、2.25%CrMo鋳鋼
や1%CrMo鋳鋼よりも優れた常温及び高温強度わけ
てもクリープ破断強度を有するとともに、良好な延性や
靭性をも具備したものであるところから特に、溶接特性
が一段と改善されており、従来の鋳鋼材よりも圧力容器
を製造し易い特長を備えている。
【0047】従って、製品の肉厚を低減することや溶接
工数の低減によって、従来材よりも安価に圧力容器を製
造することができるようになった。特に、本発明の圧力
容器用鋳鋼材においては、高価な添加元素を極力添加し
ないことによってもコストを低減でき、かつ優れた特性
を有し、産業上大きな効果をもたらす。
【0048】また、本発明の圧力容器用鋳鋼材を出発材
料とする本発明の方法によれば、高い延性、靭性並びに
クリープ破断強さをバランスよく備えた圧力容器を提供
できる効果を奏する。
フロントページの続き Fターム(参考) 4K042 AA24 BA01 BA02 BA11 CA02 CA06 CA08 CA10 CA12 DA01 DA02 DC02 DC03 DE05

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量で、 C :0.05〜0.18%、 Si:0.10〜0.5%、 Mn:0.3〜1.0%、 Ni≦0.5%、 Cr:0.8〜3.0%、 Mo:0.4〜1.5%、 B :0.001〜0.006%、 Ti:0.008〜0.06%、 Al:0.005〜0.030%、 N ≦0.010%、 不純物としての P ≦0.02%、 S ≦0.01% を含み、残部が不可避的不純物及びFeからなり、かつ
    上記成分範囲のTi及びNが(3.4×N)/Ti≦
    1.6の関係式を満足することを特徴とする圧力容器用
    鋳鋼材。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の鋳鋼材を鋳造して得ら
    れた圧力容器としての鋳鋼品を、900℃〜1070℃
    の温度域に5時間〜30時間保持し、素材各部の600
    ℃までの冷却速度を0.5℃/min〜50℃/minとして冷
    却した後200℃以下まで冷却する焼入れ処理を施し、
    然る後、650℃〜750℃の温度域に5時間〜20時
    間保持する焼戻し処理を施すことを特徴とする圧力容器
    の製造方法。
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