JP2000269088A - 電解コンデンサ用電解液およびそれを用いた電解コンデンサ - Google Patents

電解コンデンサ用電解液およびそれを用いた電解コンデンサ

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JP2000269088A
JP2000269088A JP11075360A JP7536099A JP2000269088A JP 2000269088 A JP2000269088 A JP 2000269088A JP 11075360 A JP11075360 A JP 11075360A JP 7536099 A JP7536099 A JP 7536099A JP 2000269088 A JP2000269088 A JP 2000269088A
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quaternary
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solvent
electrolyte
electrolytic capacitor
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Kenji Tamamitsu
賢次 玉光
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Nippon Chemi Con Corp
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Nippon Chemi Con Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 漏液特性の良好な電解液および、電解コンデ
ンサを提供する。 【解決手段】 本発明の電解コンデンサ用電解液は、p
H7以上の塩基性の下で、加水分解反応を起こさない溶
媒と四級化環状アミジニウム塩および/または四級アン
モニウム塩を用いたものである。そのため、四級化アミ
ジニウム塩等の漏液物質を再生成することがないので、
漏液状態を防止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は電解コンデンサ、
特に電解液として、四級化イオン等をカチオン成分に用
いた電解コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】電解コンデンサは、一般的には図1に示
すような構造からなる。すなわち、帯状の高純度のアル
ミニウム箔に、化学的あるいは電気化学的にエッチング
処理を施して、アルミニウム箔表面を拡大させるととも
に、このアルミニウム箔をホウ酸アンモニウム水溶液等
の化成液中にて化成処理して表面に酸化皮膜層を形成さ
せた陽極電極箔2と、エッチング処理のみを施した高純
度のアルミニウム箔からなる陰極電極箔3とを、マニラ
紙等からなるセパレータ11を介して巻回してコンデン
サ素子1を形成する。そして、このコンデンサ素子1
は、電解コンデンサ駆動用の電解液を含浸した後、アル
ミニウム等からなる有底筒状の外装ケース10に収納す
る。外装ケース10の開口部には弾性ゴムからなる封口
体9を装着し、絞り加工により外装ケース10を密封し
ている。
【0003】陽極電極箔2、陰極電極箔3には、図2に
示すように、それぞれ両極の電極を外部に引き出すのた
めの、陰極引出し手段であるリード線4、陽極引出し手
段であるリード線5が、ステッチ、超音波溶接等の手段
により接続されている。それぞれのリード線4、5は、
アルミニウムからなる丸棒部6と、両極電極箔2、3に
当接する平坦部7、及び丸棒部6の先端に溶接等により
固着させた半田付け可能な金属からなる外部接続部8か
ら構成されている。
【0004】このような電解コンデンサにおいては、一
般に、リード線5の封口体との接触部分、すなわち挿通
部12に介在する電解液とリード線5の丸棒部6との電
気化学的反応によって、漏液が発生する傾向がある。そ
こで、通常、この丸棒部6に化成皮膜を形成することに
よって、この漏液を防止する手段がとられている。
【0005】そして、コンデンサ素子1に含浸される電
解コンデンサ駆動用の電解液には、使用される電解コン
デンサの性能によって種々のものが知られているが、そ
の中でγ−ブチロラクトンを主溶媒とし、溶質としてテ
トラアルキルアンモニウムイオンをカチオン成分とし、
酸の共役塩基をアニオン成分とした塩、いわゆる第四級
アンモニウム塩がある。さらに、最近では、国際出願、
PCT/JP94/02028に示されるように、四級
化環状アミジニウム塩、いわゆるアミジン塩がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この第四級アンモニウ
ム塩を用いた電解液の場合は、電気抵抗が低く、かつ熱
安定性が優れているという特長をもつものの、丸棒部に
化成皮膜を形成したリード線を用いても、電解液が漏液
しやすいという傾向がある。そのため、第四級アンモニ
ウム塩等を用いた電解液自体の安定性は高いものの、電
解液が漏液するために電解コンデンサの静電容量の低下
等の電気的特性の悪化を招き、結果として電解コンデン
サとしての寿命が短いものとなってしまうという欠点が
あった。
【0007】また、アミジン塩は、第四級アンモニウム
塩に比べて、この問題点が大幅に改善され、高温試験で
の漏液は解決されているが、高温高湿試験では、負荷、
無負荷の双方の状態において、十分に漏液を抑制できて
いない。
【0008】この発明はこの欠点を改善するもので、四
級化環状アミジニウム塩等を用いた電解コンデンサの漏
液を防止し寿命特性の向上を図ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の電解コンデンサ
用電解液は、pH7以上の塩基性の下で、加水分解反応
を起こさない溶媒を用いたことを特徴としている。
【0010】また、前記の溶媒が、スルホラン、3−メ
チルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン、N−メ
チルピロリドン、アセトニトリル、3−メトキシプロピ
オニトリル、3−エトキシプロピオニトリル、ニトロメ
タンであることを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のアルミニウム電解コンデ
ンサの構造は図1、図2に示すように、従来と同じ構造
をとっている。コンデンサ素子1は陽極電極箔2と陰極
電極箔3をセパレータ11を介して巻回して形成する。
また図2に示すように陽極電極箔2、陰極電極箔3には
陽極引出し用のリード線4、陰極引出し用のリード線5
がそれぞれ接続されている。これらのリード線4、5
は、電極箔に当接する接続部7とこの接続部7と一体に
形成した丸棒部6、および丸棒部6の先端に固着した外
部接続部8からなる。また、接続部7および丸棒部6は
高純度のアルミニウム、外部接続部8ははんだメッキを
施した銅メッキ鉄鋼線からなる。このリード線4、5
は、接続部7においてそれぞれステッチや超音波溶接等
の手段により両極電極箔2、3に電気的に接続されてい
る。
【0012】陽極電極箔2は、純度99%以上のアルミ
ニウム箔を酸性溶液中で化学的あるいは電気化学的にエ
ッチングして拡面処理した後、ホウ酸アンモニウム、リ
ン酸アンモニウムあるいはアジピン酸アンモニウム等の
水溶液中で化成処理を行い、その表面に陽極酸化皮膜層
を形成したものを用いる。
【0013】前記のように構成したコンデンサ素子1
に、アルミニウム電解コンデンサの駆動用の電解液を含
浸する。
【0014】以上のような電解液を含浸したコンデンサ
素子1を、有底筒状のアルミニウムよりなる外装ケース
10に収納し、外装ケース10の開口部に封口体9を装
着するとともに、外装ケース10の端部に絞り加工を施
して外装ケース10を密封する。封口体9は例えばブチ
ルゴム等の弾性ゴムからなり、リード線4、5をそれぞ
れ導出する貫通孔を備えている。
【0015】本発明においては、この電解液の溶媒とし
て、pH7以上の塩基性の下で、加水分解反応を起こさ
ない溶媒を用いる。このような溶媒としては、スルホラ
ン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラ
ン、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、3−メト
キシプロピオニトリル、3−エトキシプロピオニトリ
ル、ニトロメタンが挙げられる。このなかでも、スルホ
ラン、3−メチルスルホラン、N−メチルピロリドンが
好適である。
【0016】そして、他の溶媒と混合して用いることも
できる。混合する溶媒としては、プロトン性の有機極性
溶媒として、一価アルコール類(エタノール、プロパノ
ール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シク
ロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノー
ル、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類および
オキシアルコール化合物類(エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、グリセリン、メチルセロソルブ、エ
チルセロソルブ、メトキシプロピレングリコール、ジメ
トキシプロパノール等)などが挙げられる。また、非プ
ロトン性の有機極性溶媒としては、アミド系(N−メチ
ルホルムアミド、N,N─ジメチルホルムアミド、N─
エチルホルムアミド、N,N─ジエチルホルムアミド、
N─メチルアセトアミド、N,N─ジメチルアセトアミ
ド、N─エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセト
アミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等)、ラクト
ン類(γ─ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−
バレロラクトン等)、環状アミド系(N─メチル─2─
ピロリドン、エチレンカーボネイト、プロピレンカーボ
ネイト、イソブチレンカーボネイト等)、ニトリル系
(アセトニトリル等)、オキシド系(ジメチルスルホキ
シド等)、2−イミダゾリジノン系〔1,3−ジアルキ
ル−2−イミダゾリジノン(1,3−ジメチル−2−イ
ミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジ
ノン、1,3−ジ(n−プロピル)−2−イミダゾリジ
ノン等)、1,3,4−トリアルキル−2−イミダゾリ
ジノン(1,3,4−トリメチル−2−イミダゾリジノ
ン等)〕などが代表として挙げられる。
【0017】電解液に含まれる溶質としては、通常電解
コンデンサ駆動用電解液に用いられる、酸の共役塩基を
アニオン成分とする、四級アンモニウム塩および環状ア
ミジン化合物の四級塩が挙げられる。第四級アンモニウ
ム塩を構成する第四級アンモニウムとしてはテトラアル
キルアンモニウム(テトラメチルアンモニウム、テトラ
エチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テ
トラブチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウ
ム、ジメチルジエチルアンモニウム等)、ピリジウム
(1─メチルピリジウム、1─エチルピリジウム、1,
3─ジエチルピリジウム等)が挙げられる。また、環状
アミジン化合物の四級塩を構成するカチオンとしては、
以下の化合物を四級化したカチオンが挙げられる。すな
わち、イミダゾール単環化合物(1─メチルイミダゾー
ル、1,2−ジメチルイミダゾール、1,4─ジメチル
─2─エチルイミダゾール、1─フェニルイミダゾール
等のイミダゾール同族体、1−メチル−2−オキシメチ
ルイミダゾール、1−メチル−2−オキシエチルイミダ
ゾール等のオキシアルキル誘導体、1−メチル−4
(5)−ニトロイミダゾール、1,2−ジメチル−5
(4)−アミノイミダゾール等のニトロおよびアミノ誘
導体)、ベンゾイミダゾール(1−メチルベンゾイミダ
ゾール、1−メチル−2−ベンジルベンゾイミダゾール
等)、2−イミダゾリン環を有する化合物(1─メチル
イミダゾリン、1,2−ジメチルイミダゾリン、1,
2,4−トリメチルイミダゾリン、1,4−ジメチル−
2−エチルイミダゾリン、1−メチル−2−フェニルイ
ミダゾリン等)、テトラヒドロピリミジン環を有する化
合物(1−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリ
ミジン、1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒ
ドロピリミジン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.
0〕ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ〔4.
3.0〕ノネン−5等)等である。
【0018】なかでも、2−イミダゾリン環を有する化
合物を四級化した、四級化イミダゾリニウム、またはテ
トラヒドロピリミジン環を有する化合物を四級化した、
四級化ピリミジニウムが高い電導度を得ることができる
ので好適である。
【0019】四級化イミダゾリニウムとしては、1,3
−ジメチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリメチル
イミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラメチルイミ
ダゾリニウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリニウ
ム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム等
が挙げられる。また、四級化ピリミジニウムとしては、
1,3−ジメチル−4,5,6−トリヒドロピリミジニ
ウム、1,2,3−トリメチル−4,5,6−トリヒド
ロピリミジニウム、1,2,3,4−テトラメチル−
5,6−ジヒドロピリミジニウム、1−エチル−3−メ
チル−4,5,6−トリヒドロピリミジニウム、1−エ
チル−2,3−ジメチル−4,5,6−トリヒドロピリ
ミジニウム等が挙げられる。
【0020】アニオン成分としては、フタル酸、イソフ
タル酸、テレフタル酸、マレイン酸、安息香酸、トルイ
ル酸、エナント酸、マロン酸等のカルボン酸、フェノー
ル類、ほう酸、りん酸、炭酸、けい酸等の酸の共役塩基
が例示される。
【0021】さらに、本発明の電解コンデンサ用電解液
に、ほう酸系化合物、例えばほう酸、ほう酸と多糖類
(マンニット、ソルビットなど)との錯化合物、ほう酸
と多価アルコール(エチレングリコール、グリセリンな
ど)との錯化合物等、界面活性剤、コロイダルシリカ等
を添加することによって、耐電圧の向上をはかることが
できる。
【0022】また、漏れ電流の低減や水素ガス吸収等の
目的で種々の添加剤を添加することができる。添加剤と
しては、例えば、芳香族ニトロ化合物、(p−ニトロ安
息香酸、p−ニトロフェノールなど)、リン系化合物
(リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、酸性リン酸エステル
化合物)、オキシカルボン酸化合物等を挙げることがで
きる。
【0023】ここで、従来の四級化イミダゾリニウム塩
及び四級化ピリミジニウム塩等の四級化環状アミジニウ
ム塩を溶質とした電解液においては、溶媒としてγ−ブ
チロラクトン等を用いていたが、この電解液では、寿命
試験中に封口体9とリード線の丸棒部6の間から電解液
が漏れるという問題があった。しかしながら、本発明の
電解液においては、漏液は発生しない。この理由は以下
のようであると推察される。
【0024】四級化環状アミジニウム塩を溶解した電解
液が、陰極リード部より漏液するメカニズムについては
次のように考えられる。すなわち、従来の電解コンデン
サにおいては、陰極リード線5の自然浸漬電位の方が陰
極電極箔3の自然浸漬電位よりも貴な電位を示すので、
無負荷で放置した場合、陰極リード線と陰極箔で局部電
池が構成され、陰極リード線にカソード電流が流れるこ
とになり、また、直流負荷状態においては、陰極リード
線に陰極箔よりも多くのカソード電流が流れることにな
る。このように、負荷、無負荷、双方の場合において、
陰極リード線にカソード電流が流れることになり、その
結果、陰極リード線側で溶存酸素又は水素イオンの還元
反応が起こり、陰極リード線の丸棒部6と接続部7の電
解液界面部分で水酸イオンが生成する。
【0025】そして、このように水酸イオンが生成する
と、四級化環状アミジニウムは加水分解反応によって、
水酸イオンと結合し、その結果、二級アミンとなる。こ
の二級アミンは揮発性が高く、しかも吸湿性が低いの
で、陰極リード線の丸棒部と封口体の間に生成しても、
速やかに蒸散し、漏液状態とはならないことが予想され
る。
【0026】しかしながら、水酸イオンが発生して、p
H=7以上の塩基性になると、溶媒であるγ−ブチロラ
クトンも、加水分解反応によって、水酸イオンと結合
し、γ−ヒドロキシ酪酸となる。このことによって、水
酸イオンが減少し、塩基性度が低下する。このように、
塩基性度が低下すると、四級化環状アミジニウムの加水
分解反応によって生成された二級アミンが、再び四級化
環状アミジニウムとなってしまう。そして、この四級化
環状アミジニウムには揮発性はなく、吸湿性も高いの
で、陰極リード線の丸棒部と封口体の間に再生成した四
級化環状アミジニウムは、吸湿して、漏液状態となる。
以上のことは、漏液が大部分の水と四級化環状アミジニ
ウムから成っているという分析結果から推測された。
【0027】これに対して、本発明においては、pH=
7以上の塩基性の下で加水分解しない溶媒を用いている
ので、γ−ヒドロキシ酪酸のような加水分解生成物は生
成されない。したがって、塩基性度が低下することはな
いので、四級化環状アミジニウムが再生成することもな
く、生成した二級アミンは揮発してしまうので、漏液状
態とはならない。
【0028】また、四級アンモニウム塩の場合は以下の
ようである。前述したように、陰極リード線の丸棒部6
と接続部7の電解液界面部分に水酸イオンが生成するこ
とになるが、溶媒としてγ−ブチロラクトンを用いた場
合、同様に、γ−ヒドロキシ酪酸が生成する。そして、
このγ−ヒドロキシ酪酸は四級アンモニウムと塩を生成
し、この塩には揮発性はなく、吸湿性も高いので、陰極
リード線の丸棒部と封口体の間に生成して、吸湿し、漏
液状態となる。しかしながら、本発明においては、pH
=7以上の塩基性の下で加水分解しない溶媒を用いてい
るので、γ−ヒドロキシ酪酸のような加水分解生成物が
生成することはなく、四級アンモニウム塩は、水酸イオ
ンの存在下で、三級アミンとアルコールに分解する。こ
れらの三級アミンとアルコールは揮発性が高く、しかも
吸湿性が低いので、速やかに蒸散し、漏液状態とはなら
ない。
【0029】なお、以上のような挙動によって本発明の
効果が得られるので、本発明の溶媒にγ−ブチロラクト
ンのような溶媒を混合しても、塩基性度が低下しない範
囲において、本発明の効果を達成することができる。
【0030】さらに、本発明の電解コンデンサに、逆電
圧が印加された場合にも、漏液は発生しない。すなわ
ち、逆電圧が印加されると、陽極側にカソード電流が流
れることになるが、陽極箔の分極抵抗は陰極箔に比べて
極めて大きいので、陽極側のカソード電流の大部分は陽
極タブに流れることになる。したがって、従来の電解コ
ンデンサでは、逆電圧試験の初期に漏液が発生すること
があった。しかしながら、本発明の電解コンデンサにお
いては、前述したような陰極側の挙動をしており、漏液
状態が防止される。以上のように、本発明の漏液防止効
果は極めて強いものである。
【0031】以上のように、本願発明の構成によると、
陰極リード線の丸棒部近傍で発生した水酸イオンは四級
化環状アミジニウムと反応して消失し、生成される二級
アミンは揮発してしまうので、漏液状態とはならない。
【0032】また、従来の電解コンデンサにおいては、
無負荷放置の際に、陰極リード線4と陽極リード線5が
接触した場合には、陽極リード線と陰極電極箔3で局部
電池を構成することになり、陽極リード線側で溶存酸素
又は水素イオンの還元反応が発生し、水酸イオンを生成
して、陰極リード部と同様の理由により、漏液状態とな
っていた。
【0033】しかしながら、この場合も、本発明の構成
によれば、陰極リード部で漏液が防止される理由と同様
の理由によって、漏液は防止される。
【0034】以上のような理由によって、本願発明にお
いては、漏液が防止されているものと思われる。
【0035】また、陰極電極箔3として、窒化チタン、
窒化ジルコニウム、窒化タンタル、窒化ニオブから選ば
れた金属窒化物、又は、チタン、ジルコニウム、タンタ
ル、ニオブから選ばれた金属を蒸着法、メッキ法、塗布
など従来より知られている方法により被覆した陰極電極
箔を用いることができる。ここで、被覆する部分は陰極
電極箔の全面に被覆してもよいし、必要に応じて陰極電
極箔の一部、例えば陰極電極箔の一面のみに金属窒化物
又は金属を被覆してもよい。このことによって、陰極箔
の自然浸漬電位の方が陰極リード線の自然浸漬電位より
貴な電位となり、さらに、カソード分極抵抗も小さくな
る。したがって、過電圧が印加された際に、陰極リード
線のカソード電流は微小となり、陰極リード線側の水酸
イオンの生成が抑制されるので、γ−ブチロラクトンの
ような他の溶媒を副溶媒として用いた場合にも、漏液防
止には、さらに好適である。
【0036】また、リード線4、5の、少なくとも丸棒
部6の表面には、ホウ酸アンモニウム水溶液、リン酸ア
ンモニウム水溶液あるいはアジピン酸アンモニウム水溶
液等による陽極酸化処理によって形成した酸化アルミニ
ウム層を形成したり、Al23 、SiO2 、ZrO2
などからなるセラミックスコーティング層等の絶縁層を
形成することができる。このことによって、無負荷の場
合に、陰極リード線と陰極箔の局部電池を構成する面積
が小さくなり、また、負荷の場合には、陰極リード線に
流れるカソード電流が少なくなり、双方の場合におい
て、陰極リード線側の水酸イオンの生成が抑制されるの
で、γ−ブチロラクトンのような他の溶媒を副溶媒とし
て用いた場合にも、漏液防止効果はさらに向上する。
【0037】
【実施例】次にこの発明について実施例を示して説明す
る。図1に示すように、コンデンサ素子1は陽極電極箔
2と陰極電極箔3をセパレータ11を介して巻回して形
成する。また図2に示すように陽極電極箔2、陰極電極
箔3には陽極引出し用のリード線4、陰極引出し用のリ
ード線5がそれぞれ接続されている。
【0038】これらのリード線4、5は、電極箔に当接
する接続部7とこの接続部7と一体に形成した丸棒部
6、および丸棒部6の先端に固着した外部接続部8から
なる。また、接続部7および丸棒部6は99%のアルミ
ニウム、外部接続部8ははんだメッキを施した銅メッキ
鉄鋼線からなる。このリード線4、5は、接続部7にお
いてそれぞれステッチや超音波溶接等の手段により両極
電極箔2、3に電気的に接続されている。
【0039】陽極電極箔2は、純度99.9%のアルミ
ニウム箔を酸性溶液中で化学的あるいは電気化学的にエ
ッチングして拡面処理した後、アジピン酸アンモニウム
の水溶液中で化成処理を行い、その表面に陽極酸化皮膜
層を形成したものを用いる。また、陰極電極箔3は、純
度99.7%のアルミニウム箔をエッチングしたものを
用いる。
【0040】そして、前記のように構成したコンデンサ
素子1に、アルミニウム電解コンデンサの駆動用の電解
液を含浸する。電解液の組成を(表1)に示す。
【0041】また、実施例6〜8として、実施例1〜3
の電解液を用い、陰極電極箔3の表面の全部に窒化チタ
ンを蒸着法により被覆したものを用いて、同様に電解コ
ンデンサを作成した。
【0042】また、実施例9〜11として、実施例1〜
3の電解液を用い、さらに、リード線4、5の、少なく
とも丸棒部6の表面には、リン酸アンモニウム水溶液に
よる陽極酸化処理により酸化アルミニウム層を形成した
ものを用いて、実施例5〜7と同様に電解コンデンサを
作成した。
【0043】そして、漏液特性を評価するために、各試
料25個に85℃、85%RHの下で定格電圧を印加
し、500時間、1000時間、及び2000時間経過
後の漏液の有無について目視での観察を行った。その結
果を(表2)に示す。さらに、同じ電解コンデンサを用
いて、各試料25個に85℃、85%RHの下で−1.
5Vの逆電圧を印加し、250時間、500時間、及び
1000時間経過後の漏液の有無について目視での観察
を行った。その結果を(表3)に示す。
【0044】
【表1】 * SL :スルホラン 3-MSL :3−メチルスルホラン N-MPDN :N−メチルピロリドン ACNL :アセトニトリル BL :γ−ブチロラクトン EDMIP :フタル酸1−エチル−2,3−ジメチルイミ
ダゾリニウム
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】(表2)から明らかなように、従来例で
は、1000時間後に漏液が発生しているが、本発明の
実施例の電解コンデンサは5000時間後にも漏液はな
く、良好な結果を得ている。さらに、(表3)から明ら
かなように、逆電圧試験においても、従来例では250
時間で漏液が発生しているが、本発明の実施例において
は1000時間においても漏液は発生せず、漏液防止効
果は極めて強い。以上のように、本発明の電解液によっ
て、漏液防止が実現されていることがわかる。なお、実
施例3の結果からわかるように、本発明の溶媒を複合的
に使用しても同様の効果が得られる。
【0048】
【発明の効果】以上のように、この発明の電解コンデン
サ用電解液は、pH7以上の塩基性の下で加水分解反応
を起こさない溶媒と四級化環状アミジニウム塩および/
または四級アンモニウム塩を用いたものである。そのた
め、四級化アミジニウム塩等の漏液物質を再生成するこ
とがないので、漏液状態を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルミニウム電解コンデンサの構造を示す内部
断面図である。
【図2】コンデンサ素子の構造を示す分解斜視図であ
る。
【符号の説明】
1 コンデンサ素子 2 陽極電極箔 3 陰極電極箔 4 陽極引出し用のリード線 5 陰極引出し用のリード線 6 丸棒部 7 接続部 8 外部接続部 9 封口体 10 外装ケース 11 セパレータ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 pH7以上の塩基性の下で加水分解反応
    を起こさない溶媒と四級化環状アミジニウム塩および/
    または四級アンモニウム塩を用いた電解コンデンサ用電
    解液。
  2. 【請求項2】 溶媒が、スルホラン、3−メチルスルホ
    ラン、2,4−ジメチルスルホラン、N−メチルピロリ
    ドン、アセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリ
    ル、3−エトキシプロピオニトリル、ニトロメタンであ
    る請求項1記載の電解コンデンサ用電解液。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の電解液を用いた電解コン
    デンサ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107978452A (zh) * 2016-10-25 2018-05-01 东莞市东阳光电容器有限公司 一种高压铝电解电容器的工作电解液及其配制方法和应用

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