JP2000256309A - ε−カプロラクタムの製造方法 - Google Patents
ε−カプロラクタムの製造方法Info
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Abstract
件下にシクロヘキサノンオキシムからε−カプロラクタ
ムを製造する方法において、簡便、且つ廉価に、結晶性
ゼオライト触媒のシクロヘキサノンオキシムの転化率及
びε−カプロラクタムの選択率を改良すること、並びに
活性が低下した結晶性ゼオライト触媒を再活性化する方
法を提供する。 【解決手段】 結晶性ゼオライトを塩酸、フッ酸、硫酸
及び硝酸からなる群より選ばれた少なくとも1種であっ
てpHが1〜3である酸性水溶液で処理する。
Description
気相反応条件下にシクロヘキサノンオキシムからε−カ
プロラクタムを製造方法する方法に関する。
として用いられている重要な基幹化学原料であり、その
製造方法としては、触媒として発煙硫酸或いは濃硫酸を
用いて液相下にシクロヘキサノンオキシムを転位させる
方法(以下、液相ベックマン転位反応と称する)、固体
触媒を用いて気体のシクロヘキサノンオキシムをベック
マン転位させる方法(以下、気相ベックマン転位反応と
称する)等が知られている。
中和するために多量のアンモニアが必要であり、その結
果ε−カプロラクタム1トン当たり約1.7トンの硫酸ア
ンモニウムが副生成物として発生し、その処理に多大な
費用が必要となるために、中和の必要がなく副生成物の
発生を低減できる気相ベックマン転位反応を用いる方法
が古くから注目されている。
固体触媒(不均一触媒)存在下でシクロヘキサノンオキ
シム蒸気を反応させる方法であり、用いる固体触媒とし
ては、例えば、(1)シリカゲル触媒(米国特許第22
34566号公報)、(2)シリカアルミナ触媒(英国
特許第831972号公報)、(3)ゼオライト触媒
(ジャーナル オブ キャタリシス,6巻,247頁,1
966年発行、米国特許第4359421号公報、米国
特許第5741904号公報)等が提案されている。
比較しε−カプロラクタムへの選択率や触媒寿命に於い
て優れていることより、種々の組成を有する結晶性ゼオ
ライト触媒が開発されており、かなり転化率や選択率の
改良された触媒が紹介されているが、未だ十分ではな
い。また、これら結晶性ゼオライト触媒は、通常、反応
に供した時間に応じてその活性は低下する。触媒の活性
が低下した場合には、該触媒を再生して活性を回復させ
るか、または該触媒を新しい触媒に置き換えるかのいず
れかを行う必要がある。触媒を再生する方法としては、
一般に触媒上に堆積した炭素質含有物質を分子状酸素含
有ガス存在下で燃焼除去する方法が採用されている(例
えば、米国特許第5071802号公報)。また、結晶
性ゼオライト等固体触媒の再生方法として、固体触媒を
アンモニアで処理する、あるいはアンモニアで処理した
後、5N塩酸で酸処理する方法(特開平5−9180号
公報)等も提案されている。
時、得られた結晶性ゼオライトを水蒸気処理後、更にp
H4〜6の塩酸水溶液で処理することにより、未処理の
結晶性ゼオライトに比較し、これを気相ベックマン転位
反応用の固体触媒として用いる場合には、シクロヘキサ
ノンオキシムの転化率やε―カプロラクタムの選択率が
改良されることを見出し、特開平9―12540号公報
に見られるごとく出願した。しかして本発明者等は、更
に優れた触媒活性を有する結晶性ゼオライト、更には、
操作が簡単で、且つ処理費用が廉価で効果的な劣化触媒
の再活性化法を見出すべく鋭意検討した結果、意外にも
特定の酸濃度を有する酸で触媒として使用する前の結晶
性ゼオライト、更には触媒として使用し、活性の低下し
た結晶性ゼオライト触媒を処理する場合には、シクロヘ
キサノンオキシムの転化率及びε−カプロラクタムの選
択率が改良され、また再活性化された結晶性ゼオライト
触媒が得られることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
性ゼオライト触媒を使用して気相反応条件下にシクロヘ
キサノンオキシムからε−カプロラクタムを製造する方
法において、簡便、且つ廉価に、固体触媒として用いる
結晶性ゼオライトのシクロヘキサノンオキシムの転化率
及びε−カプロラクタムの選択率を改良すること、並び
に活性が低下した結晶性ゼオライト触媒を再活性化する
方法の提供にある。
は 気相反応条件下に固体触媒として結晶性ゼオライト
を用いてシクロヘキサノンオキシムからε-カプロラク
タムを製造する方法に於いて、触媒としてpHが1〜3
である酸性水溶液で処理した結晶性ゼオライトを用いる
ことを特徴とするε−カプロラクタムの製造方法を提供
するものである。
媒として結晶性ゼオライトを用いてシクロヘキサノンオ
キシムからε-カプロラクタムを製造する方法に於い
て、触媒として活性が低下した結晶性ゼオライトをpH
が1〜3である酸性水溶液で処理してなる結晶性ゼオラ
イトを用いることを特徴とするε−カプロラクタムの製
造方法を提供するものである。
本発明が対象とする触媒は結晶性ゼオライト触媒であ
り、結晶性アルミノシリケートや結晶性メタロシリケー
トが挙げられる。本発明で用いる結晶性メタロシリケー
トとしては、例えばSi/Me原子比(ここにMeは
B、Al、Ga、Fe、Ti及びZrからなる郡より選
ばれた少なくとも1種の金属元素を示す)が通常5以
上、好ましくは500以上である。実質的にゼオライト
骨格を構成する金属成分がSiのみからなる所謂高シリカ
ゼオライトあるいは金属成分としてホウ素を含有する
[B]-MFIゼオライトは特に好ましい結晶性ゼオライトの
一つである。Si/Me原子比は、原子吸光分析、蛍光
X線分析及びその他方法により測定することができる。
結晶性ゼオライトは公知の方法により製造される。例え
ばシリカ源、水、有機アミンあるいは第4級アンモニウ
ム化合物、更に必要に応じて金属源の混合物を、オート
クレーブ中で水熱合成反応した後、得られた結晶を乾
燥、焼成し、必要に応じてアンモニウム塩等でイオン交
換し、乾燥することにより得ることができる。これら結
晶性メタロシリケートには種々の構造のものがあるが、
MFI,MEL、BEA型構造に属するものが好まし
い。
対象となる劣化触媒とは、反応または熱損傷によって活
性が低下した結晶性ゼオライト触媒をいい、通常、気相
ベックマン転位反応に使用した上記結晶性ゼオライトが
対象となる。
酸、フッ酸、硫酸又は硝酸等の無機酸、好ましくは塩酸
の水溶液が使用される。これらは結晶性ゼオライトと接
触される。結晶性ゼオライトの酸性水溶液での処理は、
結晶性ゼオライトが十分酸性水溶液中で酸と接触できる
方法であればよく、容器中に結晶性ゼオライトを投入
し、ついでこの容器中に酸性水溶液を注ぎ、攪拌下に浸
漬する方法、あるいはカラム等に充填した状態で酸性水
溶液を通過させる方法等が挙げられる。より具体的な一
方法としては、例えば結晶性ゼオライトを酸性水溶液、
好ましくは無機酸の水溶液と混合し、得られた混合物を
温度約20℃〜約100℃で約1時間〜約50時間リフ
ラックスした後、結晶性ゼオライトを濾過し、脱イオン
水により洗浄し、約100℃で約1〜10時間乾燥する
方法で行えばよい。本発明に於いて、結晶性ゼオライト
を処理する酸の濃度は極めて重要であり、水溶液のpH
は約1〜約3、好ましくは約2での処理を必須とする。
酸性水溶液のpHが約1より低い場合には、気相ベック
マン転位反応に適用したとき、シクロヘキサノンオキシ
ムの転化率が低下する傾向にある。他方、酸のpHが約
3より高い場合には、得られるゼオライト触媒を気相ベ
ックマン転位反応に適用したとき、ε−カプロラクタム
の選択率が低下する傾向にある。
は、粉末あるいは触媒としての所望形状に成形した成形
体のいずれであってもよい。また、担体上にこれら結晶
性ゼオライトを被覆し触媒として適用してもよい。
ライトは、通常の固体触媒と同様に、シクロヘキサノン
オキシムのベックマン転位反応に供される。反応は通常
公知の固定床方式または流動層方式の気相接触反応によ
り行う。原料シクロヘキサノンオキシムは気体状態で触
媒層に導入される。反応温度は通常約250℃〜約45
0℃の範囲である。温度が約250℃未満の場合には、
反応速度が十分ではなく、かつε−カプロラクタムの選
択性も低下する傾向がある。一方、温度が約450℃を
超えるとシクロヘキサノンオキシムの熱分解が無視でき
なくなり、ε−カプロラクタムの選択率が低下する傾向
がある。特に好ましい温度範囲は約300℃〜約400
℃である。また、反応圧力は特に制限されるものではな
いが、通常約5kPa〜約10MPa、好ましくは約5
kPa〜0.5MPaである。
通常WHSV=約0.1h−1〜約20h−1(すなわ
ち、触媒1kg当たりシクロヘキサノンオキシムの供給
速度が約0.1kg/h〜約20kg/h)、好ましく
は約0.2h−1〜約10h−1の範囲から選ばれる。
し、反応系にシクロヘキサノンオキシムとともに炭素数
1〜6の低級アルコールを共存させることも可能であ
る。炭素数1〜6の低級アルコールとしては、例えばメ
タノール、エタノール、n―プロパノール、イソプロパ
ノール、n―ブタノール、sec−ブタノール、イソブ
タノール、n−アミルアルコール、n−ヘキサノール、
等が挙げられ、これらの1種または2種以上が用いられ
る。中でもメタノール、エタノールの使用が推奨され
る。低級アルコールを用いる場合、その存在量はシクロ
ヘキサノンオキシムに対して重量比で、通常約0.1〜
約20倍が適当であり、好ましくは約0.2〜約10倍
の範囲がよい。これら低級アルコールの使用はε―カプ
ロラクタムの選択率および触媒寿命の改善に効果を示
す。
は、通常の方法で実施できる。例えば、反応生成ガスを
冷却して凝縮させ、次いで抽出、蒸留あるいは晶析等に
より精製されたε―カプロラクタムを効率的に製造でき
る。
使用に伴いその活性が低下するが、活性が低下した触
媒、すなわち劣化触媒も、上記と同様の酸性水溶液によ
る処理を施すことにより再活性化し、繰り返し触媒とし
て使用することが可能である。より具体的には、活性が
低下した結晶性ゼオライト触媒をpHが約1〜約3、好
ましくは約2の酸性水溶液、就中、塩酸水溶液を用い、
温度20〜100℃で酸処理すればよく、上述した結晶
性ゼオライトの酸処理と同様にして行えばよい。本発明
においては、劣化触媒を酸性水溶液と接触させる前に、
予め分子状酸素含有ガス、例えば空気で触媒上に析出し
た炭素物質を燃焼除去するのが好ましい。
酸性水溶液を用い結晶性ゼオライトを処理するという極
めて簡単な方法で、気相ベックマン転位反応に用いる前
の結晶性ゼオライト、更には触媒として使用後の活性の
低下した結晶性ゼオライト触媒のシクロヘキサノンオキ
シムの転化率及びε−カプロラクタムの選択率を改良す
るもので、その工業的価値は大なるものである。
が、本発明は以下の実施例により制限されるものではな
い。 実施例1 [B]−MFIゼオライトは以下に示す水熱合成法により
調製した。
アミン水溶液(50重量%)に加え攪拌して溶解した。
得られた混合液に64gのSiO2 [商品名:アエロジル
(Aerosil)]を加えオートクレーブに移して170℃の
温度で攪拌しながら自圧下に14日間水熱合成反応を実
施した。オートクレーブを冷却後結晶を濾別し、次いで
イオン交換水で洗浄した。このようにして得た白色の粉
体を110℃で乾燥し、次いで空気中で550℃で12
時間焼成して[B]-MFIゼオライトを得た。
濃度の塩酸水溶液(pH2)100gに加え、得られた
混合物を100℃で24時間リフラックスすることによ
って酸処理した後、濾過し、脱イオン水で洗浄し、11
0℃で4時間乾燥して、ゼオライト触媒を得た。
内径6mmの管型反応器に充填し(触媒層高さ約40m
m)、これにシクロヘキサノンオキシムに対し溶媒とし
てエタノールを9重量倍混合した溶液を予備蒸発器にて
気化し、キャリヤーガスと混合して、反応管に供給して
反応させた。この時のシクロヘキサノンオキシムの空間
速度WHSVは0.33h−1であり、触媒層の温度
(反応温度)は300℃、反応圧力は10kPaであっ
た。反応生成物は液体窒素で冷却した低温トラップに捕
集した後、解凍してガスクロマトグラフィーにより分析
した。その結果、転化率は81.3%であり、選択率は
92.6%であった。
度WHSVは次式で算出し、またシクロヘキサノンオキ
シムの転化率およびε−カプロラクタムの選択率もそれ
ぞれ次式で算出した。 WHSV(hr−1)=O/C シクロヘキサノンオキシムの転化率(%)=[(X−
Y)/X]×100 ε−カプロラクタムの選択率(%)=[Z/(X−
Y)]×100 また、O、C、X、YおよびZはそれぞれ次の通りとお
りである。 O=シクロヘキサノンオキシム供給速度(kg/hr) C=触媒重量(kg) X=供給した原料シクロヘキサノンオキシムのモル数 Y=未反応のシクロヘキサノンオキシムのモル数 Z=生成物中のε−カプロラクタムのモル数
01M濃度の塩酸水溶液(pH2)で処理しなかったこ
と以外は、実施例1と同じ条件でシクロヘキサノンオキ
シムの気相ベックマン転位反応を行った結果、転化率は
72.2%で選択率は91.3%であった。
Claims (9)
- 【請求項1】 気相反応条件下に固体触媒として結晶性
ゼオライトを用いてシクロヘキサノンオキシムからε-
カプロラクタムを製造する方法に於いて、触媒としてp
Hが1〜3である酸性水溶液で処理した結晶性ゼオライ
トを用いることを特徴とするε−カプロラクタムの製造
方法。 - 【請求項2】 酸性水溶液が無機酸の水溶液であること
を特徴とする請求項1に記載のε−カプロラクタムの製
造方法。 - 【請求項3】 無機酸が塩酸、フッ酸、硫酸及び硝酸か
らなる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴
とする請求項2に記載のε−カプロラクタムの製造方
法。 - 【請求項4】 無機酸が塩酸であることを特徴とする請
求項2に記載のε−カプロラクタムの製造方法。 - 【請求項5】 気相反応条件下に固体触媒として結晶性
ゼオライトを用いてシクロヘキサノンオキシムからε-
カプロラクタムを製造する方法に於いて、触媒として活
性が低下した結晶性ゼオライトをpHが1〜3である酸
性水溶液で処理してなる結晶性ゼオライトを用いること
を特徴とするε−カプロラクタムの製造方法。 - 【請求項6】 酸性水溶液が無機酸の水溶液であること
を特徴とする請求項5に記載のε−カプロラクタムの製
造方法。 - 【請求項7】 無機酸が塩酸、フッ酸、硫酸及び硝酸か
らなる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴
とする請求項6に記載のε−カプロラクタムの製造方
法。 - 【請求項8】 無機酸が塩酸であることを特徴とする請
求項7に記載のε−カプロラクタムの製造方法。 - 【請求項9】 気相反応条件下に固体触媒として結晶性
ゼオライトを用いてシクロヘキサノンオキシムからε-
カプロラクタムを製造する反応系に炭素数6以下の脂肪
族あるいは脂環族アルコールを共存させることを特徴と
する請求項1〜8のいずれか1項に記載のε−カプロラ
クタムの製造方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11056980A JP2000256309A (ja) | 1999-03-04 | 1999-03-04 | ε−カプロラクタムの製造方法 |
DE10010189A DE10010189A1 (de) | 1999-03-03 | 2000-03-02 | Verfahren zur Herstellung von epsilon-Caprolactam |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11056980A JP2000256309A (ja) | 1999-03-04 | 1999-03-04 | ε−カプロラクタムの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000256309A true JP2000256309A (ja) | 2000-09-19 |
Family
ID=13042664
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11056980A Pending JP2000256309A (ja) | 1999-03-03 | 1999-03-04 | ε−カプロラクタムの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000256309A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017030986A (ja) * | 2015-07-29 | 2017-02-09 | 住友化学株式会社 | ゼオライトの製造方法及びε−カプロラクタムの製造方法 |
-
1999
- 1999-03-04 JP JP11056980A patent/JP2000256309A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017030986A (ja) * | 2015-07-29 | 2017-02-09 | 住友化学株式会社 | ゼオライトの製造方法及びε−カプロラクタムの製造方法 |
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