JP2000249096A - 遠心式送風機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 送風性能を落とさずにケーシングの舌部にお
ける干渉音の低減を図ることができる遠心式送風機を提
供する。 【解決手段】 本発明は、電動機１と、ベルマウス状吸
入口３ａを通して空気を吸入する遠心式多翼ファン２を
収納してなる渦巻き螺旋状のケーシング３とにより構成
される遠心式送風機において、前記多翼ファン２を、円
板状のベースプレート４と、トッププレート５と前記ベ
ースプレート４の周縁部に配置された複数の円弧状のブ
レード６と、前記ベースプレート４とトッププレート５
の間に多翼フアンの内径と同じ寸法を有する中仕切板７
を設けると共に、前記遠心式多翼ファン２のブレード６
の配置が、前記の中仕切板７上方のブレードピッチ位置
と中仕切り板７下方のブレードのピッチ位置とをずらし
たことを特徴とする遠心式送風機である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車空調装置および
家電用空調装置等に用いられる遠心送風機に係り、特に
多翼フアンの中間位置に仕切り板を設け、ケーシングの
吸込口より吸い込まれた空気を中仕切板によって区画さ
れる上方部分と下方部分より吐出させるようにした遠心
式送風機の改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の遠心式送風機の多翼フア
ン（以下、「多翼フアン」という）としては各種のもの
が提案されている。

【０００３】図５は、特開昭６３−８００９６号公報従
来の多翼型送風機の側面形状を示す断面図である。この
図において、１６は渦巻き型ケーシング、１５は回転軸
１１に装着された多翼フアンである。この多翼フアン１
５はベースプレート１２とトッププレート１３の間に複
数枚のブレード１４が取付けられている。また、前記の
トッププレート１３にはブレードの内径寸法と等しい大
きな開口が設けられている。

【０００４】また、前記渦巻き型ケーシング１６には前
記多翼フアン１５のトッププレート１３の開口部と相対
向する面側に約１／４円弧状の吸込口１７が形成されて
いる。

【０００５】また、前記多翼フアン１５のブレード１４
は、ベースプレート１２、トッププレート１３および中
仕切り板１８により固定されており、この中仕切板１８
は内径が多翼フアン内径の６０〜９０％で端面がベルマ
ウス状をなしている。

【０００６】したがって、前記の多翼型送風機において
は、多翼フアン１５の内径にベルマウス状の中仕切板１
８を設けたことにより、ブレードに均一に気流を流入さ
せ送風機の効率を向上させるようにしたものである。

【０００７】図６は、従来の他の実施例を示す送風機の
形状を示す断面図である。この従来の遠心送風機は、電
動機２１とケーシング２２と多翼フアン２３とにより構
成されている。前記多翼フアン２３は、回転自在な円形
状のベースプレート２４と、トッププレート２５と、前
記ベースプレート２４の周方向に沿ってベースプレート
に固定された複数枚のブレード２６と、各羽根板により
形成される隙間を、ベースプレート寄りの隙間とベース
プレートから離間した隙間とに仕切るために各ブレード
２６の内周側端部から外周側にかけて配設された中仕切
板２７とにより構成されている。なお、２２ａはケーシ
ングの吸込口、２８は翼環流路である。

【０００８】図６に示す前記従来の送風機においては、
中仕切板２７を、ベースプレート２４と中仕切板２７と
の間の距離と、トッププレート２３と中仕切板２７との
間の距離が共にαになるよう配設することにより、多翼
フアン２３を樹脂の一体成形で製造する場合、翼間流路
２８の形成に用いられるスライドコアの種類を１種類と
することができ、金型のコストダウンを図れるというも
のである。

【０００９】また、ベースプレート２４から離隔した領
域β、即ち、上層の翼間流路２８での空気流の剥離が抑
制されるので、従来の送風機に比べてファン効率を向上
させることができ、騒音を低下させることができるとい
うものであった。

【００１０】

【発明が解決しようとしている課題】どころで、前述し
たいずれの送風機においても、多翼フアンに中仕切板を
設けることにより中仕切板のない多翼フアンに比べ、ブ
レードに均一に気流を流入させることができるため送風
機の効率を向上させるというものであるが、中仕切板の
上下に配置されるブレードピッチは等間隔で且つ同じ位
置に配置されているため、ケーシングの舌部に衝突する
干渉音の影響により騒音が大きいという問題点があっ
た。

【０１１】

【課題を解決するための手段】本発明は、電動機と遠心
式多翼ファンを収納してなる渦巻き螺旋状のケーシング
３とにより構成される遠心式送風機の多翼ファンの構成
において、ベースプレートとトッププレートの間に設け
られた中仕切板の上下に配設されるブレードのピッチの
位置をずらすことにより、ケーシングの舌部における干
渉騒音の少ない送風機を提供することにある。

【００１２】すなわち本発明の請求項１記載の遠心式送
風機は、電動機１と、ベルマウス状吸入口３ａを通して
空気を吸入する遠心式多翼ファン２を収納してなる渦巻
き螺旋状のケーシング３とにより構成される遠心式送風
機において、前記多翼ファン２を、円板状のベースプレ
ート４と、トッププレート５と前記ベースプレート４の
周縁部に配置つされた複数の円弧状のブレード６と、前
記ベースプレート４とトッププレート５の間に多翼フア
ンの内径と同じ寸法を有する中仕切板７を設けると共
に、前記遠心式多翼ファン２のブレード６の配置が、前
記の中仕切板７上方のブレードピッチ位置と中仕切り板
７下方のブレードピッチ位置とをずらしたことを特徴と
するものである。

【００１３】したがって、この発明による遠心式送風機
では、図１〜図２に示すように、空気の流れは、多翼フ
ァン２が回転することにより、渦巻きら旋状からなるケ
ーシング３のベルマウス状吸入口３ａを通して、多翼フ
ァン２の内部に吸引され、多翼ファン２を構成する各ブ
レード６間同士の流路６ａを通じて、ケーシング３の内
壁の間に送り出されて、そのままケーシング３の外部へ
送り出される。

【００１４】この時、中仕切板７の上下に配設されたブ
レード６のピッチがずれているため、多翼ファン２とケ
ーシング３の内壁との間が最も狭い舌部３ｂに衝突する
干渉音の位相がずれることにより、遠心送風機の騒音が
従来品に比べて低減できるようになっている。

【００１５】また、請求項２記載の遠心式送風機は、前
記の中仕切板７は、ベースプレート４とトッププレート
５の間に複数枚設けられたことを特徴とする多翼ファン
２をもつものである。

【００１６】したがって、多翼ファン２は、複数枚の中
仕切り板７によって、例えばベースプレート４寄りの隙
間とベースプレートから離間した隙間とに仕切られてい
る。そのため、ベースプレートに近接した側の隙間へ流
入する空気流入速度と、トッププレート５に近接した側
への隙間へ流入する空気流入速度との差が小さくなるこ
とで ファン効率が向上する。また、複数枚の中仕切り
板７によって区画される上方のブレードピッチ位置と下
方のブレードピッチ位置とをずらすことにより多翼ファ
ン２とケーシング３の内壁との間が最も狭い舌部３ｂに
衝突する干渉音の位相がずれることにより、遠心送風機
の騒音が従来品に比べて低減できるようになっている。

【００１７】また、請求項３記載の多翼ファン２の中仕
切板７は、略円弧状のベルマウス端面７ａを多翼フアン
２の内径より内方に突出させたことを特徴とする請求項
１および請求項２記載のものである。

【００１８】したがって、流入された空気は、内径の小
さい吸込み口に沿って、ブレード６のトッププレート５
側へ運びやすくし、ブレード６出口での風速分布が均一
となり、ファン効率が向上する。

【００１９】また、請求項４記載の多翼ファン２のトッ
ププレート５は、略円弧状のベルマウス端面を有し、円
弧状のブレード６の上端外縁部に設けられたことを特徴
とする請求項１、請求項2および請求項3記載のものであ
る。

【００２０】したがって、トッププレート５を、略円弧
状のベルマウス端面を有する形状にしているため、トッ
ププレート５下方の空気流の剥離が抑制されるので、遠
心式送風機のファン効率を向上させることができる。

【００２１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面により詳細に説明する。図１は、本発明の一実施形態
による遠心送風機の縦断側面図、図２は、図１のＡ−Ａ
断面図、図３は図１のＢ−Ｂ断面図である。

【００２２】本発明の遠心式送風機は、図１に示す如
く、電動機１と、ベルマウス状吸入口３ａを通して空気
を吸入する遠心式多翼ファン２を収納してなる渦巻き螺
旋状のケーシング３とにより構成されている。

【００２３】また、前記多翼ファン２は、電動機１の出
力軸に軸支されている円板状のベースプレート４と、ト
ッププレート５と、前記ベースプレート４の周縁部には
回転方向に対して前向きに傾斜するように環状に配設さ
れた複数の円弧状のブレード６と、前記ベースプレート
４とトッププレート５のほぼ中間位置に遠心フアンの内
側より内方に突出させた略円弧状のベルマウス端面７ａ
を有する中仕切板７とにより構成されている。なお、前
記のトッププレート５は、略円弧状のベルマウス端面を
有し、ブレード６の上端外縁部に設けることによって、
トッププレート５下方の空気流の剥離を抑制することが
できる。なお、上記の実施例では中仕切板７を１枚とし
たが複数枚にしても同じ作用効果を有する。

【００２４】また、前記遠心式多翼ファン２のブレード
６の配置は、図２並びに図３に示す如く、前記中仕切板
７上方のブレードのピッチ位置と中仕切り板７下方のブ
レード６のピッチ位置とを約１／２だけずらしたものと
なっている。また、図中の３ｂは舌部。３ｃは吐出口で
あり、図示しない空気調和機等の本体との接続部になっ
ている。なお、図中ｐはブレードのピッチである。な
お、上記のブレードピッチのずれは、必ずしも１／２に
する必要がなく適宜選択できるのはいうまでもない。

【００２５】上述の本発明の遠心式多翼ファン２では、
ベースプレート３と略円弧状のベルマウス端面を有する
中仕切板５とブレード５とにより形成される流路６a
と、略円弧状のベルマウス端面を有する中仕切板７と略
円弧状のベルマウス端面を有するトッププレート５とブ
レード６とにより形成される流路６aが形成されてい
る。但し、このように上下に二段の流路を形成する点に
ついては従来品と同じである。

【００２６】

【本発明の作用】次に、本発明にかかる遠心式送風機の
作用について説明する。本発明品における送風機の空気
の流れは、多翼ファン２が回転することにより、渦巻き
ら旋状からなるケーシング３のベルマウス状吸入口３ａ
を通して、多翼ファン２の内部に吸引され、前述した流
路６と流路７から、流出して多翼ファン２の外側とケー
シング３の内壁の間に送り出されて、そのままケーシン
グ３の外部へ送り出される。なお、流路の形態に付いて
は従来品と同じである。

【００２７】本発明品においては、前述のケーシング３
の外部へ送り出される時に、中仕切板７上方のブレード
のピッチ位置と中仕切り板５下方のブレードのピッチ位
置とがずれていることにより、多翼ファン２とケーシン
グ３の内壁との間が最も狭い舌部３ａに衝突する干渉音
の位相がずれる。このため、従来品に比べて騒音を低下
させることができる。

【００２８】図４は、遠心式送風機について、下記の条
件により比較した風量特性グラフである。同一のケーシ
ングを用いてフアン駆動用モータに電圧を印加して、フ
アン回転数を一定とした時の静圧一風量特性の比較を行
った。なお、多翼フアンのサンプルとては次のものを用
いた。 Ａ：上下のブレードのピッチ間隔にずれがなく且つトッ
ププレートが平坦なもの。 Ｂ：上下のブレードのピッチ間隔を約半ピッチづらし且
つトッププレートが平坦なもの。 Ｃ：上下のブレードのピッチ間隔を約半ピッチづらし且
つトッププレートが略円弧状のベルマウス端面を有する
もの。 図４のグラフから明らかなように、静圧一風量特性にお
いては、Ｃ→Ｂ→Ａの順に有意差が認められた。

【００２９】

【表１】

【００３０】表１は、遠心式送風機について、下記の条
件により比較した騒音測定結果である。同一のケーシン
グを用いて、同一の負荷を与えて、同一風量にて騒音の
比較を行った。なお、多翼フアン２のサンプルとしては
先に述べたものと同様にＡ，Ｂ，Ｃの３種類とした。表
１から明らかなように、騒音特性においても、Ｃ→Ｂ→
Ａの順に有意差が認められた。

【００３１】

【発明の効果】本発明は上述のように、遠心式送風機の
多翼ファン２の構成において、中仕切板７によって区画
される上方と下方のブレード６のピッチをずらすことに
より、ケーシングの舌部３ｂにおける干渉騒音の少ない
送風機を提供することができる。また、トッププレート
４を略円弧状のベルマウス端面を有するものにしている
ため、トッププレート５下方の空気流の剥離が抑制でき
騒音の低下に加えて風量特性をも向上させることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施形態による遠心送風機の縦断
側面図。

【図２】 図１のＡ−Ａ断面図。

【図３】 図１のＢ−Ｂ断面図。

【図４】 本発明品と従来品との風量特性の比較グラ
フ。

【図５】 従来の一実施形態による遠心送風機の縦断側
面図。

【図６】 従来の他の実施形態による遠心送風機の縦断
側面図。

【符号の説明】

１ 電動機 ２ 遠心式多翼ファ
ン ３ ケーシング ３ａ ベルマウス状
吸入口 ４ ベースプレート ５ トッププレート ６ ブレード ６ａ 流路 ７ 中仕切板 ７ａ ベルマウス端
面

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 日比野 恭茂 岐阜県大垣市久徳町100番地 太平洋工業 株式会社内 (72)発明者 菱田 靖 岐阜県大垣市久徳町100番地 太平洋工業 株式会社内 (72)発明者 森田 哲司 大阪府大阪市中央区平野町４丁目１番２号 大阪瓦斯株式会社内 (72)発明者 西垣 雅司 大阪府大阪市中央区平野町４丁目１番２号 大阪瓦斯株式会社内 (72)発明者 神谷 宏 大阪府大阪市港区南市岡１丁目１番52号 株式会社ハーマン内 Ｆターム(参考） 3H033 AA02 BB02 BB06 BB20 CC01 DD04 DD06 DD25 DD26 DD27 DD29 EE01 EE06 EE08 EE19 3H035 DD01 DD05

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】電動機１と、ベルマウス状吸入口３ａを通
   して空気を吸入する遠心式多翼ファン２を収納してなる
   渦巻き螺旋状のケーシング３とにより構成される遠心式
   送風機において、 前記多翼ファン２を、円板状のベースプレート４と、ト
   ッププレート５と前記ベースプレート４の周縁部に配置
   された複数の円弧状のブレード６と、前記ベースプレー
   ト４とトッププレート５の間に多翼フアンの内径と同じ
   寸法を有する中仕切板７を設けると共に、前記遠心式多
   翼ファン２のブレード６の配置が、前記の中仕切板７上
   方のブレードピッチ位置と中仕切り板７下方のブレード
   のピッチ位置とをずらしたことを特徴とする遠心式送風
   機。
2. 【請求項２】前記遠心式多翼ファン２の中仕切板７は、
   ベースプレート４とトッププレート５の間に複数枚設け
   られたことを特徴とする請求項１記載の遠心式送風機。
3. 【請求項３】前記遠心式多翼ファン２の中仕切板７は、
   略円弧状のベルマウス端面７ａを多翼フアンの内径より
   内方に突出させたことを特徴とする請求項１および請求
   項２記載の遠心式送風機。
4. 【請求項４】遠心式多翼ファン２のブレード６の上端に
   設けられるトッププレート５は、略円弧状のベルマウス
   端面を有し、ブレード６の上端外縁部に設けられたこと
   を特徴とする請求項１、請求項2および請求項3記載の遠
   心式送風機。