JP2000241264A - トルクセンサ用磁歪素子及びその製造方法 - Google Patents

トルクセンサ用磁歪素子及びその製造方法

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JP2000241264A JP4846999A JP4846999A JP2000241264A JP 2000241264 A JP2000241264 A JP 2000241264A JP 4846999 A JP4846999 A JP 4846999A JP 4846999 A JP4846999 A JP 4846999A JP 2000241264 A JP2000241264 A JP 2000241264A
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torque sensor
torque
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Wataru Yagi
渉 八木
Kota Maruyama
宏太 丸山
Atsunao Itou
厚直 伊東
Yoshio Kato
義雄 加藤
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Aisin Corp
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Aisin Seiki Co Ltd
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 励磁周波数が高周波領域と低周波領域のいず
れにあっても,センサ感度が高く,過負荷トルクに対し
ても十分に耐え得るトルクセンサ用磁歪素子及びこれを
容易に製造できる製造方法を提供すること。 【解決手段】 軸体10の表面に磁気異方性部15を形
成してなるトルクセンサ用磁歪素子1を製造する方法で
あって,磁気異方性部15の形成は,軸体10の表面に
螺旋状に溝を設けて複数の凹部16と凸部17とを交互
に形成し,次いで,凸部17のみに直接圧縮応力を加え
て塑性流動を伴う加工を施して,凸部17の頂点部に略
平面形状の平坦部171を設けることにより行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,非接触磁歪式トルクセンサに用
いる高感度の磁歪素子,及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】従来より,後述する図1に示すごとく,磁
気異方性部15を形成してなる磁歪素子1を用いた磁歪
式のトルクセンサ10が知られている。この磁歪式のト
ルクセンサ10においては,磁歪素子1にトルクが加わ
った際に磁気異方性部15の透磁率がトルクの大きさに
応じて変化する。この透磁率の変化を検出コイル23等
を用いて検出することにより,加えられたトルクの大き
さを求めることができる。
【0003】このような磁歪式トルクセンサ10の磁歪
素子1としては,磁気的特性に優れ,かつ,この磁気的
特性が安定していることが望まれる。一方,特公平7−
10011号公報には,磁歪素子の磁気異方性部(磁歪
部)にショットピーニング処理を施すことにより,その
磁気異方性部全体に圧縮加工硬化層を形成する磁歪素子
の製造法が示されている。この従来技術によれば,ヒス
テリシスが小さく,かつ高い検出感度を有する磁歪素子
を得ることができるとされている。
【0004】
【解決しようとする課題】しかしながら,上記従来の製
造方法により得られた磁歪素子においては次の問題があ
る。即ち,磁気異方性部全体へのショットピーニング処
理は,磁気異方性部の溝形状を,いわば感度を悪化させ
る方向に変化させる場合がある。
【0005】つまり,ショットピーニング処理は,処理
後の形状を制御することが困難であり,突起部はこれを
つぶす方向に,エッジ部はこれを丸める方向に変形させ
る。そのため,凹部と凸部を交互に有する磁気異方性部
にショットピーニング処理を施した場合には,凸部の高
さが予想以上に低くなってしまったり,凸部を必要以上
に丸めてしまったりする場合がある。
【0006】磁歪素子は,上記磁気異方性部における凸
部に磁束を通して歪みを測定する。また,トルクセンサ
における励磁周波数が例えば50kHz程度のの高周波
領域にある場合には,上記磁束が他の部分に比べ凸部の
頂点部に集中する。そのため,この場合には,凸部の頂
点部の面積が広いほど磁束が通る面積が広くなり,セン
サ感度の向上に有利である。
【0007】これに対し,ショットピーニング処理を行
った場合には,上記のごとく頂点部を丸めてしまい,そ
の頂点部における平坦部の面積を向上させることが困難
である。そのため,上記高周波領域においては,ショッ
トピーニング処理により磁束通過可能面積が減少し,セ
ンサ感度が低下する。さらに,ショットピーニング処理
による凸部の高さ変化は,トルクセンサにおいて上記凸
部に対向配置されるコイルとの間のエアギャップを変化
させる。これもセンサ感度を低下させる要因となる。
【0008】また,上記ショットピーニング処理を施し
て得られた磁歪素子を用いたトルクセンサは,励磁周波
数を低周波領域(例えば20〜30kHz)にした場合
に過負荷トルクに対する安定性が低く,センサ感度がよ
くないという問題を有していた。これは,低周波領域に
おいては,凸部の比較的深い部分まで磁束が入り込む。
これに対し,ショットピーニング処理では,凸部のごく
表面部分のみを強化できるだけで,磁束が通る比較的深
い部分を強化することができないためであると考えられ
る。
【0009】このように,従来のショットピーニング処
理を施した磁気異方性部においては,励磁周波数が高い
場合にも,低い場合にもそれぞれセンサ感度を低下させ
る問題を抱えていた。
【0010】本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので,励磁周波数が高周波領域と低周波領域の
いずれにあっても,センサ感度が高く,過負荷トルクに
対しても十分に耐え得るトルクセンサ用磁歪素子及びこ
れを容易に製造できる製造方法を提供しようとするもの
である。
【0011】
【課題の解決手段】請求項1の発明は,軸体の表面に磁
気異方性部を形成してなるトルクセンサ用磁歪素子を製
造する方法であって,上記磁気異方性部の形成は,上記
軸体の表面に螺旋状に溝を設けて複数の凹部と凸部とを
交互に形成し,次いで,該凸部のみに直接圧縮応力を加
えて塑性流動を伴う加工を施して,上記凸部の頂点部に
略平面形状の平坦部を設けることにより行うことを特徴
とするトルクセンサ用磁歪素子の製造方法にある。
【0012】本発明において最も注目すべきことは,上
記磁気異方性部の形成に当たり,上記複数の凹部と凸部
とを交互に形成した後,該凸部のみに直接圧縮応力を加
えて上記平坦部を設けることである。
【0013】上記軸体への上記溝の形成は,転造加工等
の塑性加工あるいは切削加工等,種々の方法により行う
ことができる。また,この溝の形成により設ける上記凹
部及び凸部の形状は,三角形状,台形状等に設けること
ができる。なお,上記溝の配置パターンは,従来より知
られているように上記軸体の2箇所に互いに異なる方向
に同じ角度(略45°)傾斜させた螺旋状に設ける。
【0014】次に,上記凸部に対しては,これのみに直
接圧縮応力を加える。即ち,この圧縮応力は,上記凹部
には付与しない。このような圧縮応力は,例えば,後述
するようなロール加工法,スエージ加工法等の工具を用
いた加工方法を実行することにより容易に付与すること
ができる。
【0015】また,上記圧縮応力を加えることにより,
上記凸部に塑性流動を伴う加工を施す。また,この加工
は,上記略平面形状の平坦部を設けるように行う。即
ち,圧縮応力付与前の凸部が三角形状である場合にはそ
の頂点部を平坦につぶした台形状に,圧縮応力付与前の
凸部が台形状である場合にはその頂点部の平坦部をさら
に拡大した台形状に,圧縮応力付与前の凸部がsin波
形状である場合にはその頂点部近傍を平坦につぶした略
台形状に変化させるように塑性流動を伴う加工を施す。
【0016】なお,上記軸体の素材としては,トルクセ
ンサ用磁歪素子に適用可能なものすべてを適用すること
ができる。具体的には,Fe−Cr系合金,Fe−Ni
−Mo系合金等,種々の合金がある。
【0017】次に,本発明の作用につき説明する。本発
明においては,上記凸部のみに上記圧縮応力を加えるこ
とにより,上記塑性流動を伴う加工を施して上記平坦部
を設ける。このときの圧縮応力は,従来のショットピー
ニング処理による凸部を丸めるような加工とは異なり,
凸部の頂点の平坦部の面積を増大するように付与され
る。この頂点部の表面積の増大は,励磁周波数が高周波
の場合における磁束通過面積を増大することとなる。そ
れ故,得られたトルクセンサ用磁歪素子は,励磁周波数
が高い場合に非常にセンサ感度の高いものとなる。
【0018】また,上記平坦部は,上記塑性流動を伴っ
た加工により形成される。そのため,平坦部において
は,表面から比較的深い部分にまで圧縮残留応力を付与
することができる。即ち,従来のショットピーニング処
理を行った場合には,そのごく表面層に圧縮残留応力が
残るが,深さ方向に進むとその圧縮残留応力が急激に小
さくなる。これに対して,本発明では,上記塑性流動を
伴った加工により,上記平坦部の深さ方向において,比
較的深い部分にまで圧縮残留応力を残すことができる。
【0019】そのため,上記磁歪素子に過負荷トルクが
付与された場合において,上記凸部の比較的深い部分ま
でその影響を抑制することができる。それ故,励磁周波
数が比較的低く,上記凸部の比較的深い部分まで磁束が
入る場合においても,高いセンサ感度を維持することが
できる。
【0020】したがって,励磁周波数が高周波領域と低
周波領域のいずれにあっても,センサ感度が高く,過負
荷トルクに対しても十分に耐え得るトルクセンサ用磁歪
素子及びこれを容易に製造できる製造方法を提供するこ
とができる。
【0021】なお,上記製造方法において,必要に応じ
て,上記溝成形の前後いずれかに熱処理工程を加えるこ
ともできる。この場合には,軸体の組織状態をさらに過
負荷トルクの安定性に優れたものにすることができる。
【0022】次に,請求項2の発明のように,上記凸部
への上記圧縮応力の付与はロール加工法又はスエージ加
工法により行うことが好ましい。この場合には,上記凸
部の加工量,加工形状を精度よく制御することができ,
上記平坦部の形成を容易に行うことができる。
【0023】また,請求項3の発明のように,上記螺旋
状の溝の形成と上記凸部への上記圧縮応力の付与は,1
つの工具を用いて連続して行うことが好ましい。この場
合には,大幅な工程合理化を図ることができ,製造コス
トを低減することができる。具体的には,例えば,転造
ロール用工具とロール加工用工具とを一体化したものを
用いて加工する方法がある。
【0024】また,請求項4の発明のように,上記凸部
への圧縮応力は,該凸部の加工前の高さをH0,加工後
の高さをH1とした場合に,0.2<(H0−H1)/H0
<0.48となるように付与することが好ましい。この
場合には,上記凸部の平坦部をより確実に加工硬化させ
ることができ,さらに,過負荷トルクに対する安定性を
向上させることができる。
【0025】また,請求項5の発明のように,上記軸体
には,上記磁気異方性部の形成後に,過負荷トルクを1
回以上付与することが好ましい。即ち,上記磁歪素子を
実使用する前に予め過負荷トルクを1回以上付与してお
くことが好ましい。この場合には,過負荷トルクに対す
る安定性を一層向上させることができる。なお,上記過
負荷トルクとは,得られる磁歪素子の測定領域(常用
域)を超える大きさのトルクをいう。
【0026】次に,請求項6の発明は,軸体の表面に磁
気異方性部を形成してなるトルクセンサ用磁歪素子であ
って,上記磁気異方性部は,上記軸体の表面に螺旋状に
溝を設けて形成された複数の凹部と凸部とを交互に有し
ており,かつ,該凸部は,これのみに直接圧縮応力を加
えて塑性流動を伴う加工を施すことにより得られた略平
面形状の平坦部を有していることを特徴とするトルクセ
ンサ用磁歪素子にある。
【0027】本発明において最も注目すべきことは,上
記凸部には,上記特定の加工法により得られた上記平坦
部を設けてあることである。
【0028】この場合には,上記平坦部の存在により,
上記と同様に,励磁周波数が高周波の場合における磁束
通過面積を増大させることができる。それ故,得られた
トルクセンサ用磁歪素子は,非常にセンサ感度の高いも
のとなる。また,上記平坦部は,上記塑性流動を伴った
圧縮加工により,加工硬化している。そのため,磁歪素
子に過負荷トルクが付与された場合に永久歪が生じにく
くなり,過負荷トルクに対する安定性も向上する。
【0029】したがって,本発明によれば,励磁周波数
が高周波領域にあってもセンサ感度が高いトルクセンサ
用磁歪素子を得ることができる。
【0030】また,請求項7の発明のように,上記平坦
部における圧縮残留応力は,その表面においては30k
gf/mm2以上であり,表面から0.3mmの深さに
おいて20kgf/mm2以上であることが好ましい。
上記平坦部の表面における圧縮残留応力が30kgf/
mm2未満の場合には,過負荷トルクに対する安定性が
低くなるという問題がある。一方,上記表面の圧縮残留
応力は,著しく磁気特性を低下させないという理由から
上限は材料の引張強さの80%程度であることが好まし
い。
【0031】
【発明の実施の形態】実施形態例1 本発明の実施形態例にかかるトルクセンサ用磁歪素子及
びその製造方法につき,図1〜図6を用いて説明する。
本例のトルクセンサ用磁歪素子1は,図1に示すごと
く,磁歪式のトルクセンサ100に用いる磁歪素子であ
る。本例では,Fe−Cr系の素材を用いた磁歪素子1
として,本発明品として2種類(E1,E2)を,比較
品として1種類(C1)を準備し,その諸性能を比較し
た。
【0032】なお,いずれの磁歪素子も,比較しやすい
ように,軸体の内部の硬度がおよそHv300となるよ
うに調整した。また,本例の磁歪素子(E1,E2,C
1)は,いずれも,+7〜−7Nmのトルクを測定領域
とするものである。
【0033】(本発明品E1)本発明品E1は,図1に
示すごとく,軸体10の表面に磁気異方性部15を形成
してなるトルクセンサ用磁歪素子である。上記磁気異方
性部15は,図2(a)に示すごとく,上記軸体10の
表面に螺旋状に溝を設けて形成された複数の凹部16と
凸部17とを交互に有しており,かつ,該凸部17は,
これのみに直接圧縮応力を加えて塑性流動を伴う加工を
施すことにより得られた略平面形状の平坦部171を有
している。
【0034】この本発明品E1を製造するに当たって
は,まず,表1に示す成分組成となるように材料を配合
し,インゴットを作製した。次いで,インゴットを熱間
鍛造して外径20mmの軸体を形成した。次いで,この
軸体を,外径16mm,長さ120mmの円柱状に機械
加工した。
【0035】次に,図3に示すごとく,軸体に転造加工
を施して,軸体の表面に螺旋状の溝を設けた。これはい
わゆるシェプロンパターンであり,軸方向と45°をな
す角度に,幅1.0mm,深さ0.5mmの溝を螺旋状
に設けたものである。また,このシェプロンパターン
は,軸体の中央から左右対称に2箇所設け,それぞれの
溝の傾斜方向を逆転させた。これにより,図2(a)の
点線aにより示されるごとく,軸体の2箇所において,
それぞれ複数の凹部16と凸部17とが交互に形成され
た。
【0036】次いで,凸部17のみに直接圧縮応力を加
えて塑性流動を伴う加工を施した。具体的には,図3に
示すごとく,転造加工部71とロール加工部72の両者
を有する工具7を用い,上記転造加工の後に連続してロ
ール加工を施した。そして,図2(a)の実線b1に示
すごとく,凸部17の頂点部をつぶして略平面形状の平
坦部171を設けた。
【0037】次に,軸体に過負荷トルクを1回付与する
という過負荷処理を行った。過負荷トルクの大きさは,
±150Nmとした。このようにして,本発明品E1と
しての磁歪素子が得られた。
【0038】(本発明品E2)本発明品E2は,上記本
発明品E1における転造加工の後,平坦部171の形成
を行う前に熱処理を行った。熱処理は,真空中において
温度1000℃に1.5時間保持した後,窒素ガスによ
り冷却して焼入れ処理を行った。次いで,真空中におい
て,温度680℃に1時間保持するという焼戻し処理を
行った。これにより,軸体の組織状態は,不安定な残留
オーステナイトを分解させると共に,低炭素マルテンサ
イトの母相に微細な球状合金炭化物((FeCr)23
6,(FeCr)73,(FeCr)3C等)を均一に分
散させたものとなった。
【0039】この熱処理の後,上記凸部17のみに直接
圧縮応力を加えて塑性流動を伴う加工を施した。具体的
には,図4に示すごとく,スエージ加工具73を用いて
スエージ加工を施した。そして,図2(a)の実線b1
に示すごとく,凸部17の頂点部に略平面形状の平坦部
171を設けた。その後,上記と同様の過負荷処理を行
った。その他は,本発明品E1と同様とした。これによ
り,本発明品E2としての磁歪素子が得られた。
【0040】(比較品C1)比較品C1を製造するに当
たっては,本発明品E2と同様に,転造加工により溝を
形成した後,熱処理を行った。熱処理条件は,焼戻し時
の温度を650℃に変更した。
【0041】上記熱処理の後,上記スエージ加工に代え
て,磁気異方性部全体にショットピーニング処理を施し
た。具体的には,Hv500の硬さを有する0.3mm
径の粒74をノズル75から120秒間噴射させ,ショ
ットピーニング処理を行った。これにより,図2(b)
に示すごとく,転造後の凹凸形状(a)は,実線b2に
より示される形状に変化した。即ち,凸部17の頂上部
分は丸みを帯びた形状となった。次いで,上記と同様の
過負荷処理を行った。その他は,本発明品E2の場合と
同様とした。
【0042】次に,本例では,各試料(E1,E2,C
1)の機械的性質を測定した。硬度の測定条件は,マイ
クロビッカース法において,荷重100g,印加時間2
0秒という条件とした。その結果を表2に示す。表2よ
り知られるごとく,軸体内部の硬さ,引張強さおよび降
伏点は,いずれもほぼ同等の値となっていた。
【0043】次に,各磁歪素子の磁気異方性部15にお
ける凸部17の頂点部分(E1,E2においては平坦部
171,C1においては頂点部)の残留圧縮応力を測定
した。測定位置は,表面部と,深さ0.3mmの部分と
した。残留圧縮応力は,測定部を電解研磨した後,株式
会社リガク製の装置(PCPS搭載型150C)を用い
てX線による残留応力測定により測定した。この場合の
測定はCr管球,Vフィルタを使用し,入射スリットは
2mm,出力は30kV×10mAで行った。また,凹
部には,ビニールテープでマスキングを施し,測定方向
は軸方向に対し斜め45°方向とし,測傾法にて測定し
た。なお,解析は,半価幅中点法にて行った。
【0044】測定結果を表2に示す。表2より知られる
ごとく,いずれの磁歪素子も表面部では39kgf/m
2以上の高い圧縮残留応力が得られた。一方,深さ
0.3mm部分においては,本発明品E1,E2では2
0kgf/mm2以上の圧縮残留応力が得られたが,比
較品C1では,ほぼ圧縮残留応力がゼロの状態であっ
た。
【0045】次に,本例では,上記各磁歪素子(E1,
E2,C1)を用いて,図1に示すごとき磁歪式のトル
クセンサ100を構成し,種々の特性を測定した。トル
クセンサ100は,同図に示すごとく,磁歪素子1をベ
アリング4を介してハウジング5に回転可能に保持させ
ると共に,コイル群2をハウジング5内に配設して構成
した。コイル群2は,同図に示すごとく,ボビン20に
巻線された2組の励磁コイル21,22と2組の検出コ
イル23,24とよりなる。
【0046】ボビン20は軸方向前後に一対のコイル溝
を有しており,両コイル溝の上部(外径側部)には励磁
コイル21,22を,下部(内径側部)には検出コイル
23,24をそれぞれ個別に巻線してなる。励磁コイル
21,22の巻線のターン数はいずれも60ターンであ
り,一方,検出コイル23,24の巻線のターン数はい
ずれも180ターンである。
【0047】また,このボビン20は,図1に示すごと
く,ハウジング5に保持させると共に,上記軸体1のシ
ェプロンパターン15に対面させて非接触状態で配設し
てある。また,同図に示すごとく,コイル群2の各コイ
ル21〜24は,内部リード線63を介して回路基板6
に配設されている。さらに回路基板6は外部の計測器に
リード線65により電気的に接続されている。
【0048】次に,上記構成のトルクセンサ100を用
いて,励磁周波数が高周波数(50kHz)である場合
のセンサ感度およびヒステリシスを測定した。具体的に
は,励磁周波数50kHz,定電圧励磁2.2Vという
条件で,印加トルク(Nm)に対するセンサ出力(m
V)を測定した。なお,このセンサ出力は,トルクセン
サの検出回路内におけるアンプ分を除いたものである。
【0049】また,センサ感度(ΔV%)は,+7Nm
のトルク印加時のセンサ出力と,−7Nmのトルク印加
時のセンサ出力との差分値を,トルクを印加しないとき
のセンサ出力にて除算した値である。また,ヒステリシ
ス(%)は,+7Nmのトルクを印加後無負荷としたと
きのセンサ出力と−7Nmのトルクを印加後無負荷とし
たときのセンサ出力との差分値を,+7Nmのトルク印
加時のセンサ出力と−7Nmのトルク印加時のセンサ出
力との差分値にて除算した値である。
【0050】センサ感度(ΔV%)およびヒステリシス
(%FS)の測定結果を表2に示す。表2より知られる
ごとく,本発明品E1,E2は,励磁周波数が高い(5
0kHz)である場合には,いずれも比較品C1よりも
優れたセンサ感度特性及びヒステリシスを示した。
【0051】次に,過負荷トルクに対する安定性を,励
磁周波数50kHzにおいて測定した。具体的には,上
記センサ出力を測定するときと同じ条件において,過負
荷トルクを加え,その前後のセンサ出力値によりゼロ点
ドリフト(%)を求めた。なお,ゼロ点ドリフトは,図
6に示すごとく,過負荷トルク印加前の出力値Aと,過
負荷トルク解除後の出力値Cのずれ量dを測定し,常用
域のフルスケール電圧に対する上記ずれ量dの割合
(%)により求める。
【0052】なお,本例のサイズの磁歪素子において
は,150Nmの過負荷トルクを加えた際のゼロ点ドリ
フトが10%以下であれば,過負荷トルクに対する安定
性が優れており,自動車用のステアリングのトルクセン
サとしての使用に耐え得るものである。本例において
は,いずれの試料に対しても,100Nmと150Nm
の2種類の過負荷トルクを加えた。
【0053】測定結果を表2に示す。表2より知られる
ごとく,本発明品E1,E2は,比較品C1に比べて,
過負荷トルクに対する安定性が格段に向上していること
が分かる。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】実施形態例2 本例においては,実施形態例1と同様のFe−Cr系の
素材を用いて,軸体内部の硬度がおよそHv350以上
となるように調整した磁歪素子を製造し,その性能を評
価した。準備した磁歪素子は,本発明品として1種類
(E3),比較品として2種類(C2,C3)である。
【0057】(本発明品E3)本発明品E3は,上記実
施形態例1における本発明品E2と同様にして作製し,
唯一,焼戻し温度だけを600℃に変更した。そして,
過負荷トルクについても,本発明品E1と同様に1回付
与した。
【0058】(比較品C2)比較品C2は,上記実施形
態例1における比較品C1と同様にして作製し,唯一,
焼戻し温度だけを600℃に変更した。そして,過負荷
トルクについても,比較品C1と同様に1回付与した。
【0059】(比較品C3)比較品C3は,市販されて
いる磁歪式トルクセンサに組み込まれていた磁歪素子を
用いた。具体的には,材質がJIS−SNCM815で
あり,ショットピーニング処理が施されている。外径状
は,本発明品E3等と同じである。なお,過負荷処理の
有無は不明である。
【0060】次に,各試料(E3,C2,C3)の機械
的性質を測定した。測定条件等は実施形態例1と同様で
ある。その結果を上記表2に示す。表2より知られるご
とく,本発明品E3と比較品C2は,いずれも軸体内部
の硬さがほぼHv350であり,引張強さ及び降伏点も
ほぼ同等であった。これに対し,市販品のC3は,軸体
内部の硬さがHv430と非常に硬度が高く,引張強さ
および降伏点についても,E3,C2に比べて高い値で
あった。
【0061】次に,各磁歪素子の磁気異方性部15にお
ける凸部17の頂点部分(E3においては平坦部17
1,C2,C3においては頂点部)の残留圧縮応力を測
定した。測定位置は,表面部と,深さ0.3mmの部分
とした。測定結果を上記表2に示す。測定方法は実施形
態例1と同様である。
【0062】表2より知られるごとく,表面部では,C
2,E3,C3の順に高い圧縮残留応力が得られた。一
方,深さ0.3mm部分においては,本発明品E3が最
も圧縮残留応力が高く,比較品C2,C3では,ほとん
ど圧縮残留応力が得られていなかった。
【0063】次に,実施形態例1と同様に磁歪式のトル
クセンサ100を構成し,種々の特性を測定した。ま
ず,トルクセンサ100を用いて,励磁周波数が50k
Hzである場合について,センサ感度及びヒステリシス
を測定した。測定条件は実施形態例1と同様である。
【0064】センサ感度(ΔV%)及びヒステリシスの
測定結果を表2に示す。表2より知られるごとく,本発
明品E3は,比較品C2,C3よりも優れたセンサ感度
特性及びヒステリシス特性を示した。
【0065】次に,過負荷トルクに対する安定性を,励
磁周波数50kHzにおいて測定した。測定条件は実施
形態例1と同様である。測定結果を表2に示す。表2よ
り知られるごとく,本発明品E3は,比較品C2,C3
に比べて,いずれの励磁周波数の場合にも,過負荷トル
クに対する安定性が格段に向上していることが分かる。
【0066】実施形態例3 本例では,実施形態例2における,本発明品E3と比較
品C2を用いて,さらに詳細に過負荷トルクに対する安
定性を評価した。具体的には,各磁歪素子を用いて上記
と同様にトルクセンサ100を構成し,励磁周波数が2
0kHz,30kHz,50kHzの3種類の場合にお
いて,それぞれ100Nmの過負荷トルクを付与し,ゼ
ロ点ドリフト(%)を測定した。なお,ゼロ点ドリフト
の測定方法は上記と同様である。
【0067】測定結果を表3に示す。表3より知られる
ごとく,いずれの周波数においても,ゼロ点ドリフトは
本発明品E3の方が比較品C2よりも小さく,過負荷ト
ルクに対する安定性に優れていることが分かる。
【0068】さらに,周波数特性としては,本発明品E
3は低周波であるほど比較品C2よりも過負荷トルクの
安定性の向上効果が高いことが分かる。これは,本発明
品E3の方が,比較品C2よりも,凸部17において深
い部分まで圧縮残留応力が残っているためであると考え
られる。
【0069】
【表3】
【0070】実施形態例4 本例では,本発明品が比較品よりも優れたセンサ感度特
性(過負荷トルクに対する安定性)を示す裏付けとし
て,凸部17における圧縮残留応力の分布をさらに詳細
に測定した。
【0071】まず,試料として本発明品E1とE3,お
よび比較品C2の磁歪素子を準備した。そして,凸部1
7における表面からの深さ方向における硬さを測定し
た。硬さの測定条件は,実施形態例1と同様である。測
定結果を図7に示す。同図は,横軸に凸部の表面からの
深さ(mm)を,縦軸に圧縮残留応力(kgf/m
2)をとったものである。
【0072】図7より知られるごとく,凸部17の最表
面では,比較品C2が最も高い硬度を示す。しかしなが
ら,比較品C2は,深さが深くなるに連れて急激に圧縮
残留応力値が減少し,少なくとも0.1mm以上深い部
分では本発明品E1,E3と逆転している。これに対
し,本発明品E1,E3は,非常に深い部分まで圧縮残
留応力が残存していることが分かる。
【0073】これらの相違は,上記凸部17に対する加
工が上記のごとく異なることに原因があると考えられ
る。即ち,従来の磁気異方性部全体にショットピーニン
グ処理を行う場合よりも,凸部のみに直接圧縮応力を加
えて塑性流動を伴う加工(スエージ加工等)を施して,
上記凸部17の頂点部に略平面形状の平坦部171を設
けた場合の方が,深くまで圧縮残留応力を残すことがで
きる。そして,圧縮残留応力が深くまで残っているほ
ど,上記のごとく過負荷トルクに対する安定性に優れる
ことが分かる。
【0074】実施形態例5 本例においては,まず本発明品E3の磁歪素子を用い
て,その磁気異方性部15の断面における硬度分布を求
めた。測定位置および測定結果を図8に示す。同図に示
すごとく,凸部17の断面における,深さ方向に50μ
m深さ,200μm深さ,350μm深さにおいて,幅
方向150μmピッチの位置において硬度を測定した。
また,凹部においても,約50μm深さの位置の硬度を
測定した。測定条件は,マイクロビッカース硬度計によ
り荷重200g,時間20秒という条件である。
【0075】同図より知られるごとく,凸部17の平坦
部171の下方は,深い部分まで硬度が高くなっている
ことが分かる。これが,上記圧縮残留応力を得る要因と
なっていると考えられる。一方,凹部16は,凸部17
の内部に比べて高度が非常に低いことが分かる。これ
は,従来のショットピーニング処理のように,磁気異方
性部の表面全体を硬化させるのではなく,凸部のみに直
接圧縮応力を加えて塑性流動を伴う加工を施したことに
よるものである。
【0076】次に,本例では,前述した図2(a)
(b)に示すごとく,本発明品E2,E3および比較品
C2における,凸部17の50μm深さの位置Aの硬度
と,凹部16の50μm深さの位置Bの硬度と,軸体の
内部Cの硬度とをグラフ化して比較した。図9は,横軸
に硬度の測定位置を,縦軸に硬度(Hv)をとったもの
である。
【0077】同図より知られるごとく,本発明品E2,
E3は,いずれも凹部および軸体内部に比べて凸部の硬
度が大幅に高くなっている。これに対し,比較品C2
は,凸部及び凹部の両方が軸体内部よりも硬度が大幅に
高くなっている。これらの差違も,従来のショットピー
ニング処理と,凸部のみに直接圧縮応力を加えて塑性流
動を伴う加工を施す本発明の方法との差違による,特性
の違いを示すものである。
【0078】実施形態例6 本例は,上記本発明品E3を用いて,上記過負荷トルク
を予め付与する効果を確認した。具体的には,上記実施
形態例2に示した製造方法により本発明品E3の製造を
進め,最終の過負荷トルクの付与を回数を変化させて,
その後にゼロ点ドリフト(%)を測定した。また,この
ゼロ点ドリフトの測定は,励磁周波数が20kHz,3
0kHz,50kHzの3条件において行った。
【0079】測定結果を図10に示す。同図は,横軸に
は予め付与した過負荷トルクの回数,縦軸には,過負荷
処理後のゼロ点ドリフト(%)の値をとった。同図より
知られるごとく,いずれの周波数条件においても,2回
以上過負荷トルクを与える過負荷処理を行うことが,ゼ
ロ点ドリフトの改善に有効であることが分かる。
【0080】実施形態例7 本例は,Fe−Ni−Mo−Al−B系の素材を用いた
磁歪素子1として,本発明品として1種類(E4)を,
比較品として2種類(C4,C5)を準備し,その諸性
能を比較した。なお,いずれの磁歪素子も,比較しやす
いように,軸体の内部の硬度がおよそHv217となる
ように調整した。
【0081】(本発明品E4)本発明品E4を製造する
に当たっては,まず,表4に示す成分組成となるように
材料を配合し,インゴットを作製した。次いで,インゴ
ットを熱間鍛造した後,断面減少率19%の冷間加工を
加えた。次いで,この軸体に温度750℃,保持時間1
時間という条件で焼鈍し,粒径15μmとなるように再
結晶させた。次いで,この軸体を,外径17mm,長さ
120mmの円柱状に機械加工した。
【0082】次に,前述した図3に示すごとく,軸体に
転造加工を施して,軸体の表面に螺旋状の溝を設けた。
これは実施形態例1と同様のシェプロンパターンであ
る。次に,実施形態例1の本発明品E1と同様に,凸部
17のみに直接圧縮応力を加えて塑性流動を伴う加工を
施した。具体的には,図3に示すごとく,転造加工部7
1とロール加工部72の両者を有する工具7を用い,上
記転造加工の後に連続してロール加工を施した。そし
て,実施形態例1と同様に,図2(a)の実線b1に示
すごとく,凸部17の頂点部をつぶして略平面形状の平
坦部171を設けた。
【0083】次に,軸体に過負荷トルクを2回付与する
過負荷処理を行った。過負荷トルクの大きさは,±15
0Nmとした。このようにして,本発明品E4としての
磁歪素子が得られた。
【0084】(比較品C4)比較品C4は,上記本発明
品E1におけるロール加工に代えて,ショットピーニン
グ処理を行った。このショットピーニング処理の条件は
比較品C1の場合と同じである。また,上記と同様の過
負荷処理も行った。その他は本発明品E4と同じにし
た。
【0085】(比較品C5)比較品C5は,本発明品E
4における,転造加工及びロール加工を止めて,切削加
工のみにより凸部及び凹部の形成を行った。なお,凸部
及び凹部の形状は,本発明品E4と同様とした(図2
(a)参照)。
【0086】次に,各試料(E4,C4,C5)の機械
的性質を測定した。測定条件等は実施形態例1と同様で
ある。その結果を表4に示す。表4より知られるごと
く,本発明品E4と比較品C4,C5は,いずれも軸体
内部の硬さがほぼHv217であり,ほぼ同等の強度特
性を有していた。
【0087】次に,実施形態例1と同様に磁歪式のトル
クセンサ100を構成し,種々の特性を測定した。ま
ず,トルクセンサ100を用いて,励磁周波数が50k
Hzである場合について,センサ出力,感度,ヒステリ
シスを測定した。測定条件は実施形態例1と同様であ
る。
【0088】センサ出力,感度,ヒステリシスの測定結
果を表4に示す。表4より知られるごとく,本発明品E
4は,励磁周波数が高い場合も低い場合も,いずれも比
較品C4,C5よりも優れたセンサ感度特性を示した。
【0089】
【表4】
【0090】実施形態例8 本例は,図11に示すごとく,実施形態例2における,
スエージ加工を施した本発明品E3と同一条件にて作製
した軸体における凸部側面の残留応力測定結果を示す。
図11(a)は,転造加工後の凸部の断面形状,(b)
はスエージ加工後の凸部の断面形状,(c)は残留応力
測定位置(ハッチング部X)および測定方向(矢印Y)
を示している。
【0091】なお,測定の便宜のため,前述した本発明
品E3(表1,表2にて使用したもの)に対して若干凸
部の大きい軸体を作製し測定に供した。具体的には,転
造加工後の凸部17(a)は,高さH0を0.72m
m,頂点幅W0を0.4mm,直径R0をφ16.8mm
とした。また,スエージ加工後の凸部17(b)は,高
さH1を0.37mm,頂点幅W1を1.25mm,直径
1をφ16.1mmとした。
【0092】残留応力測定の結果,凸部側面(ハッチン
グ部X)の表面の歯たけ方向(矢印Y方向)には,+
8.9kgf/mm2の引張残留応力が付与されている
ことが分かった。一方,上記スエージ加工に代えてショ
ットピーニング処理を行った場合には,一般的に磁気異
方性部表面全体に一様な圧縮残留応力が付与される。こ
れらのことから,冷間加工として凸部のみに圧縮応力を
加えるスエージ加工を施した場合とショットピーニング
処理を施した場合とでは,磁気異方性部表面の残留応力
の分布は著しく異なっていることが分かる。
【0093】
【発明の効果】上述のごとく,本発明によれば,励磁周
波数が高周波領域と低周波領域のいずれにあっても,セ
ンサ感度が高く,過負荷トルクに対しても十分に耐え得
るトルクセンサ用磁歪素子及びこれを容易に製造できる
製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,トルクセンサの構造を
示す説明図。
【図2】実施形態例1における,(a)本発明品,
(b)比較品,の凸部形状の変化を示す説明図。
【図3】実施形態例1における,本発明品E1の転造加
工とロール加工を示す説明図。
【図4】実施形態例1における,本発明品E2のスエー
ジ加工を示す説明図。
【図5】実施形態例1における,比較品C1のショット
ピーニング処理を示す説明図。
【図6】実施形態例1における,ゼロ点ドリフトの算出
方法を示す説明図。
【図7】実施形態例4における,凸部の表面からの深さ
と圧縮残留応力との関係を示す説明図。
【図8】実施形態例5における,凸部断面における硬さ
分布を示す説明図。
【図9】実施形態例5における,硬度分布を示す説明
図。
【図10】実施形態例6における,予め付与した過負荷
トルクの回数とゼロ点ドリフトとの関係を示す説明図。
【図11】実施形態例8における,(a)転造加工後の
凸部の断面形状,(b)スエージ加工後の凸部の断面形
状,(c)残留応力測定位置および測定方向を示す説明
図。
【符号の説明】
1...トルクセンサ用磁歪素子, 10...軸体, 100...トルクセンサ, 15...磁気異方性部, 16...凹部, 17...凸部, 171...平坦部, 21,22...励磁コイル, 23,24...検出コイル,
フロントページの続き (72)発明者 丸山 宏太 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 (72)発明者 伊東 厚直 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 (72)発明者 加藤 義雄 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸体の表面に磁気異方性部を形成してな
    るトルクセンサ用磁歪素子を製造する方法であって,上
    記磁気異方性部の形成は,上記軸体の表面に螺旋状に溝
    を設けて複数の凹部と凸部とを交互に形成し,次いで,
    該凸部のみに直接圧縮応力を加えて塑性流動を伴う加工
    を施して,上記凸部の頂点部に略平面形状の平坦部を設
    けることにより行うことを特徴とするトルクセンサ用磁
    歪素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において,上記凸部への上記圧
    縮応力の付与はロール加工法又はスエージ加工法により
    行うことを特徴とするトルクセンサ用磁歪素子の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において,上記螺旋状の
    溝の形成と上記凸部への上記圧縮応力の付与は,1つの
    工具を用いて連続して行うことを特徴とするトルクセン
    サ用磁歪素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項において,
    上記凸部への圧縮応力は,該凸部の加工前の高さを
    0,加工後の高さをH1とした場合に,0.2<(H0
    −H1)/H0<0.48となるように付与することを特
    徴とするトルクセンサ用磁歪素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項において,
    上記軸体には,上記磁気異方性部の形成後に,過負荷ト
    ルクを1回以上付与することを特徴とするトルクセンサ
    用磁歪素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 軸体の表面に磁気異方性部を形成してな
    るトルクセンサ用磁歪素子であって,上記磁気異方性部
    は,上記軸体の表面に螺旋状に溝を設けて形成された複
    数の凹部と凸部とを交互に有しており,かつ,該凸部
    は,これのみに直接圧縮応力を加えて塑性流動を伴う加
    工を施すことにより得られた略平面形状の平坦部を有し
    ていることを特徴とするトルクセンサ用磁歪素子。
  7. 【請求項7】 請求項6において,上記平坦部における
    圧縮残留応力は,その表面においては30kgf/mm
    2以上であり,表面から0.3mmの深さにおいて20
    kgf/mm2以上であることを特徴とするトルクセン
    サ用磁歪素子。
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