JP2000222005A - プロセスの制御装置 - Google Patents

プロセスの制御装置

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JP2000222005A
JP2000222005A JP2596099A JP2596099A JP2000222005A JP 2000222005 A JP2000222005 A JP 2000222005A JP 2596099 A JP2596099 A JP 2596099A JP 2596099 A JP2596099 A JP 2596099A JP 2000222005 A JP2000222005 A JP 2000222005A
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Toshihiko Harashima
敏彦 原嶋
Toru Kimura
木村  亨
Shinya Kikuchi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】単一の制御量に対して複数の操作量が存在する
プロセスに対して、操作量に対応して異なる予測時間に
おける予測値を演算し、それぞれの予測値に基づいて操
作量を決定するので精度が高い制御装置を提供する。 【解決手段】蒸気温度予測コントローラ380には、同
一の制御量に対する操作量をそれぞれ出力する制御器3
20a、320bと、予測値を算出する予測部330
と、その出力である予測値Ysとプラント出力値(制御
量:蒸気温度)Yとのうちいずれか一方を制御器320
にフィードバックするための切替部339と、予測部3
30に含まれる各種モデルのパラメータを調整するため
のパラメータ調整部340とが具備されており、予測部
330は、異なる操作量(燃料流量、減温器スプレ水流
量)に対して予測時間の異なる二つの予測値Ys(t+τ
a),Ys(t+τb)を演算して出力する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プロセスの将来の
状態を予測し、その予測結果に基づいて操作量を決定し
てプロセスを制御する制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】プロセスの応答特性として、応答時間遅
れが大きいものがある。例えば火力発電プラントでは、
燃料投入量に変更を加えてから主蒸気温度が変化するま
での時間が長く、その時定数は数分〜20分程度である。
【0003】従って通常のフィードバック制御では制御
偏差(主蒸気温度偏差)が大きくなるという問題があっ
た。
【0004】これに対して、将来のプロセス状態を事前
に予測し、その予測値に基づいて操作量を決定する予測
制御方法がある。予測制御方法には、例えば以下の文献
に開示された従来技術がある。
【0005】(1)特開平9-274507号公報 (2)特開平6-257702号公報 (3)特開平10-116105号公報 上記従来技術(1)には、物理式に基づく複数の集中定数
化モデルとむだ時間モデルによりプロセスモデルを構成
して、入力変数を状態観測器により推定し、プロセス量
の将来値を計算する方法が述べられている。
【0006】上記従来技術(2)には、モデル規範形適応
制御方式をプロセスと分散形PID(比例、積分、微分)
制御装置とで構成される制御対象に対して並列に付加し
て適応制御系を構成する方法が記載されている。
【0007】上記従来技術(3)には、一般化予測制御系
を含む複数の制御系を切り替えながら制御する場合に、
制御指令値が大きくずれることなくスムーズに切り替わ
るようにする方法が述べられている。
【0008】これらのような予測制御技術の適用によ
り、将来のプロセスの状態を予測して先行的に操作量を
決定するため、制御偏差を小さくすることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、適用するプロ
セスの特性や予測するプロセス量の種類、また、それを
制御するための操作量の種類によって、望ましい予測時
間は異なる。そのため、一つのプロセス量の予測値に基
づいて複数の操作量を決定する場合には、予測制御の効
果が最大限発揮できない場合があった。
【0010】ところが、上記従来技術(1)〜(3)には、操
作量との関係に応じた予測時間の決定方法に関しては記
載されていない。
【0011】例えば、火力発電プラントでは、蒸気温度
を制御するための操作量として燃料流量と蒸気温度減温
器のスプレー水流量などがあるが、燃料に対する蒸気温
度の応答時間よりもスプレー水流量に対する応答時間の
方が短い。そのため、制御量である蒸気温度の予測時間
を例えば燃料に合わせて設定すると、スプレー水流量を
効果的に決定できない。
【0012】本発明の目的は、予測制御により同一の制
御量に対して複数の操作量を有する制御対象を精度良く
制御することができるプロセスの制御装置および方法を
提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、制御対象とすべきプロセス量(被制御量)
の将来の値を予測する予測手段と、該予測手段から出力
される予測値に基づいて前記被制御量を制御するために
操作するプロセス量(操作量)を決定する操作量算出手
段とを有するプロセスの制御装置または制御方法におい
て、単一の被制御量に対して複数の操作量が存在する場
合に、前記予測手段は、同一の被制御量に対して、予測
時刻および予測時間間隔のうち少なくとも一方が異なる
複数の予測値を演算して出力し、前記操作量算出段は、
前記複数の予測値を用いて前記複数の操作量をそれぞれ
決定することを特徴としている。
【0014】前記予測手段は、例えば、複数の操作量の
うち前記被制御量に対しての時定数が小さい方の操作量
を決定する前記操作量算出手段と等価またはその入出力
特性を模擬した制御器モデルを少なくとも含んで構成す
ることが好ましい。
【0015】また、前記予測手段は、例えば所定のプロ
セスに関する制御信号または操作量のうち少なくとも一
方と被制御量であるプロセス量との関係を模擬したプロ
セスモデルと、例えば前記操作量算出手段と等価または
その入出力特性を模擬した制御器モデルとを備える構成
としてもよい。
【0016】また、上述した本発明において、予め定義
した制御性能評価値に基づいて対応する操作量に対して
複数の予測時間をそれぞれ決定する予測時間決定手段も
さらに備える構成としてもよい。
【0017】また、上述した本発明において、予め定義
した制御性能評価値に基づいて前記制御器モデルや前記
プロセスモデルのパラメータ値を設定するパラメータ設
定手段をさらに具備すればなお良い。
【0018】また、上記目的を達成するために本発明
は、火力発電プラントの蒸気温度の将来値を予測する予
測手段と、該予測手段の出力値である蒸気温度予測値に
基づいて前記火力発電プラントの燃料流量、蒸気温度減
温器スプレ流量、再循環ガス流量およびガス分配ダンパ
開度のうち少なくとも一つを操作量として決定する、一
つまたは複数の操作量算出手段とを有する火力発電プラ
ントの制御装置または方法において、同一位置における
蒸気温度に対して、予測時刻および予測時間間隔のうち
少なくとも一方が異なる複数の予測値を演算し出力し、
前記出力された複数の予測値を用いて前記燃料流量、前
記蒸気温度減温器スプレ流量、前記再循環ガス流量およ
び前記ガス分配ダンパ開度のうち2つ以上の操作量を決
定することを特徴とする。
【0019】また、上記本発明による火力発電プラント
の制御装置または方法においては、燃焼ガス温度の推定
値と蒸気温度測定値とを少なくとも用いて、該蒸気温度
を測定した時刻以降の蒸気温度と前記熱交換器の伝熱管
温度とを推定すると共に、所定時間経過後の蒸気温度を
予測する際には、推定した前記蒸気温度と推定した伝熱
管温度とを使用するものであって、前記燃焼ガス温度
は、前記時刻以前の前記伝熱管温度推定値と前記時刻以
降の蒸気温度の測定値とを少なくとも使用して算出する
構成としてもよい。
【0020】また、上記本発明による制御装置または方
法は、廃棄物焼却プロセスに対しても、火力発電プラン
トと同様に適用することができる。ただしこの場合、前
記被制御量は、廃棄物焼却プロセスに係わる排出ガス中
のCO(一酸化炭素)濃度、塩化フェノール濃度、窒素酸
化物濃度、およびダイオキシン類濃度のうち少なくとも
一つであり、前記操作量は、焼却炉への廃棄物の投入
量、該焼却炉内の搬送速度、乾燥用空気流量、燃焼用空
気流量、空気温度、および燃焼ガス無害化処理用の薬剤
投入量のうちいずれかを少なくとも含むものである。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施の形態につい
て説明する。
【0022】本実施の形態では、本発明を火力発電プラ
ントの蒸気温度予測制御に適用した例について述べたも
のである。以下、図を参照して説明する。
【0023】対象とする石炭焚き火力発電プラント10
0の基本構成の一例を図2に示す。
【0024】本例の石炭焚き火力発電プラント100に
おいては、ボイラ150で燃料と空気をバーナー160
に供給して燃焼させ、給水ポンプ140により循環する
供給水を火炉水壁152で蒸発させる。さらに過熱器1
54で昇温して過熱状態となった蒸気はタービン加減弁
121を介して高圧タービン130に導かれて高圧ター
ビン130を駆動する。高圧タービンを通過した蒸気は
再熱器156で再び昇温されて低圧タービン120に入
る。高圧タービン130および低圧タービン120の回
転により発電機110で電力を発生させる。
【0025】以降、高圧タービン130入口の蒸気を主
蒸気、低圧タービン120入口の蒸気を再熱蒸気と称す
る。主蒸気及び再熱蒸気の温度を制御する目的で、過熱
器154と再熱器156の入口に過熱器減温器154a
と再熱器減温器156aがある。減温器154a,156
aには給水ポンプ140通過後の低温の水が導かれ、減
温器スプレ水量調節弁154b及び156bをそれぞれ介
して高温の蒸気中に注入する構造になっている。
【0026】再熱器減温器156aは非常用であり、再
熱蒸気温度が設定値を超えた場合にのみ作動する。
【0027】また、ボイラ150には燃焼ガスを再循環
させるためのガス再循環ファン142が設けられてお
り、これも蒸気温度を調整する手段の一つとなってい
る。
【0028】また、プラントによっては過熱器と再熱器
との間に隔壁を設けてガスの流路を二分し、それぞれの
ガス流量の配分を調整するガス分配ダンパが設けられて
いる場合もある。この場合は、ガス分配ダンパも蒸気温
度の調整手段となる。
【0029】火力発電プラントには、上記構成機器の他
にもタービンを駆動後の蒸気を冷却水126により冷却
する復水器125や燃焼排ガス処理装置170などの機
器もある。排ガス処理装置170を通過したガスは煙突
175から大気へ放出される。
【0030】プラント100の運転状態は、発電機出力
測定器111、主蒸気温度(過熱器出口蒸気温度)測定
器122、過熱器入口蒸気温度測定器127、主蒸気圧
力測定器123、再熱蒸気(再熱器出口蒸気温度)温度
測定器124、再熱器入口蒸気温度測定器124a等の
データ測定装置で計測され、運転制御装置300へ伝送
される。プラントには、この他にも種々のプロセス量を
計測するための装置が取り付けられており、それらによ
る計測値も運転制御装置300で取込んでいる。ここで
は、それらの詳細な説明は省略する。
【0031】運転制御装置300はこれらのプロセスデ
ータを基にして、プラントの運転状態を把握し、プラン
トが望ましい状態になるように燃料流量調節弁162、
空気流量調節弁161、タービン加減弁121、給水ポ
ンプ140などの機器を制御している。
【0032】火力プラントでは蒸気温度のように、応答
時間が比較的長い制御量があり、この制御は一般に難し
いとされている。そこで、主蒸気温度及の制御に、本発
明の特徴である予測制御技術を適用する。
【0033】予測制御の目的は、時定数が大きく、応答
が遅いプロセス値に対して、その将来の挙動を予測し、
先行的に操作量を決定することにより、制御精度を向上
させることである。
【0034】運転制御装置300の機能構成を説明す
る。図3に示すように、マスタ制御部370とそれに基
づくサブループ制御部390とで構成されている。マス
タ制御部370は通常制御コントローラ375と、本発
明を適用している蒸気温度予測制御コントローラ380
とに分かれている。マスタ制御部370では、負荷指令
信号に基づく各種操作量指令信号を作成し、その値に蒸
気温度、蒸気圧力、ガスO2濃度などの測定値に基づく補
正を加えて操作量を決定する。
【0035】サブループ制御部390には、タービン制
御コントローラ391、給水ポンプコントローラ39
2、燃料流量調節弁コントローラ393、押込みファン
コントローラ394、誘引ファンコントローラ395、
スプレ流量コントローラ396、ガス再循環流量コント
ローラ397がある。
【0036】これらのコントローラは互いに信号伝送ネ
ットワーク400に接続されており、信号の授受が可能
である。サブループ制御部390の各コントローラから
の出力は、プラント100の各アクチュエータ101に
送られ、機器を操作する。
【0037】また、運転制御装置300は図4に示すハ
ードウエア構成になっている。外部入力インターフェイ
ス301、出力インターフェイス302を介して信号伝
送ネットワーク400と接続されている。受信した信号
を必要に応じて記憶装置303にストアーしながら、演
算処理装置304にて各種指令信号を演算・生成する。
指令信号は出力インターフェイスを介して制御対象へ送
られる。
【0038】また、外部入力インターフェイス301に
はキーボード930とマウス940とから成る外部入力
装置900及びデータ記憶装置500が接続されてい
る。また出力インターフェイス302には画像表示装置
910と磁気ディスク装置950が接続されており、運
転員とのインターフェイスとして機能する。
【0039】次に、本発明を適用した蒸気温度予測コン
トローラ380について、図1を用いて説明する。蒸気
温度予測コントローラ380には、予測部330とその
出力である予測値Ysとプラント出力値(制御量:蒸気温
度)Yとのうちいずれか一方を制御器320にフィード
バックするための切替部339とパラメータ調整部34
0とが具備されている。なお、予測制御を行わない場合
は、切替部339で蒸気温度Yを選択し、燃料流量及び
スプレ水流量の両方に対して蒸気温度の現在の測定値を
出力する。
【0040】主蒸気温度を制御するための操作量として
は、燃料流量に対する操作量指令値Uaと減温器スプレ水
流量に対する操作量指令値Ubがある。操作量指令値Uaは
負荷指令に基づいてユニットマスタ315で操作量基準
値を生成し、その値と制御量Yの測定値または予測値Ys
と目標値Rsとの偏差に基づくPI(比例・積分)制御器3
20aの出力値との和として算出される。
【0041】操作量指令値Ubは制御量Yの測定値または
予測値Ysと目標値Rsとの偏差に基づいてP(比例)制御
器320bの出力値として算出される。
【0042】本発明の特徴は、予測対象プロセス量は同
じであるが、異なる操作量(燃料流量、減温器スプレ水
流量)に対して、予測時間の異なる二つの予測値Ys(t+
τa),Ys(t+τb)を演算して出力するようにしているこ
とである。
【0043】操作量の一つとなる燃料流量は、それを操
作してから蒸気温度にその影響が現れる時間は比較的長
く数分〜20分程度である。これは、燃料の燃焼プロセ
ス、燃焼ガスから蒸気への伝熱プロセス、ガスや蒸気の
流動遅れなどの要因が存在することに起因している。こ
れに対して、もう一方の操作量となる減温器スプレ水は
過熱器154の入口で作用するため、過熱器154の出
口位置での蒸気温度である主蒸気温度へは、数分の範囲
で影響が現れる。
【0044】このため、例えば、燃料流量に対して有効
な予測時間を選択する場合、減温器スプレ水流量に対し
ては予測時間が長すぎることになる。その場合、スプレ
水流量に対する予測制御の効果が十分発揮されないばか
りか、かえって蒸気温度の制御性能を低下させる原因と
なる。
【0045】本発明によれば、決定すべき操作量の時間
的特性に応じて予測時間の異なる予測値を出力するの
で、複数の操作量に対しても予測制御の効果を最大限に
発揮することができる。
【0046】本例では出力する予測値は2個であるが、
本発明において出力する予測値の数に制限はない。
【0047】上記図1の予測部330の機能を説明す
る。
【0048】まず、目的とする時間(予測時間)先の主
蒸気温度の目標値を計算する。主蒸気温度目標値は、一
定である場合もあるが、負荷変化に伴って目標値が変化
する場合がある。
【0049】負荷変化計画が既知の場合には、負荷の関
数である蒸気温度目標値Rs(数1)から、その負荷変化
計画に基づいて将来の負荷変化を算出する。
【0050】
【数1】
【0051】将来の負荷変化が未知の場合には、現在サ
ンプリングステップkでの蒸気温度目標値Rs(k)と1サン
プリングステップ前の目標値Rs(k-1)と、サンプリング
時間間隔Δt秒から、n秒先の目標値を次式で算出する。
【0052】
【数2】
【0053】本例では、目標値の変化を一次式で近似し
て求めているが、本発明はこの方法に限定されるもので
はない。また、目標値は現在サンプリングステップkに
おける値R(k)を用いても良い。
【0054】このようにして求めた将来の蒸気温度目標
値に対して、蒸気温度が将来の同時刻に何度Cになるか
を予測する。
【0055】次に、操作量の決定方法を説明する。制御
方式はPI(比例・積分)またはP(比例)制御を採用
している。その具体的計算方法をPI制御の場合を例に示
す。
【0056】
【数3】
【0057】
【数4】
【0058】ここで、Uは前述した操作量指令値、ΔUは
操作量指令値の変化分、Ysは蒸気温度予測値、Kcは比例
ゲイン、Tcは積分時間である。
【0059】数3及び数4により操作量指令値Ua,Ubが
決定されると、この値からプラント100の燃料流量調
節弁162の開度とスプレ水流量調節弁開度154bが
操作される。
【0060】本例の予測部330には、例えば図5に示
すように、火炉水壁モデル331と、過熱器減温器(ス
プレ)モデル332と、過熱器モデル333と、負荷指
令(計画)値に基づいて諸プロセス量を設定する関数発
生器331a〜331eとから成る制御対象モデルと、上
記図1のPI制御器320a及びP制御器モデル320bの
機能と等価な制御器モデル334及び335とから構成
されている。
【0061】従って、本実施形態の予測部330はプラ
ントの制御系の影響も考慮して予測値を演算するモデル
となっている。
【0062】火炉水壁モデル331、過熱器減温器モデ
ル332、過熱器モデル333はエネルギー保存式に基
づいてモデル化している。
【0063】火炉水壁モデル331のモデル式を次に示
す。火炉水壁部では、輻射熱伝達と対流熱伝達の和とし
て伝熱量を表す
【0064】
【数5】
【0065】
【数6】
【0066】
【数7】
【0067】
【数8】
【0068】
【数9】
【0069】ここで、Vは容積[m3]、γは比重量[kg/
m3]、Hはエンタルピー[J/kg]、Fは流量[kg/s]、Aは伝熱
面積[m2]、αは熱伝達率[J/(m2・s・K)]、βは輻射熱伝達
係数及び有効輻射伝熱面積に係わる係数[J/(s・K4)]、θ
は温度[°C]、Mは重量[kg]、Cは比熱[J/(kg・K)]であ
る。また、添え字sは蒸気、mは伝熱管(メタル)、fは
燃料、aは空気、grfは再循環ガス、msは伝熱管から蒸
気、gmは燃焼ガスから伝熱管、inは入口位置、oは出口
位置をそれぞれ表す。また、添え字中の数字1は火炉水
壁部、2は過熱器減温器部、3は過熱器部を表すものとす
る。
【0070】過熱器減温器モデル332のモデル式を次
式に示す。
【0071】
【数10】
【0072】
【数11】
【0073】ここで、添え字s2oは減温器出口位置、2in
はスプレ水を表す。
【0074】過熱器モデル333では、熱交換器の特性
をエネルギー保存式に基づいてモデル化している。モデ
ル式を示す。
【0075】
【数12】
【0076】
【数13】
【0077】
【数14】
【0078】
【数15】
【0079】過熱器モデル333は数14及び数15に基づ
き状態観測器を構成して、これを利用して過熱器入口ガ
ス温度を推定する機能を有している。
【0080】このガス温度推定機能について具体的に説
明する。
【0081】エンタルピと温度は、次式の関係にあり、
相互に値を変換することが可能である。数16、17は蒸気
についての関係式であるが、ガスに対しても同様の関係
が成り立つ。
【0082】
【数16】
【0083】
【数17】
【0084】ここに、CPsは定圧比熱[J/(kg・K)]、HsBo
は基準エンタルピ[J/kg]である。
【0085】数14、15に、数16、17を代入して整理する
と次式が得られる。
【0086】
【数18】
【0087】
【数19】
【0088】ここで、数18、19を整理すると次式とな
る。
【0089】
【数20】
【0090】
【数21】
【0091】
【数22】
【0092】
【数23】
【0093】
【数24】
【0094】
【数25】
【0095】
【数26】
【0096】
【数27】
【0097】
【数28】
【0098】
【数29】
【0099】
【数30】
【0100】
【数31】
【0101】数20及び数21を時間的に離散化し、マトリ
クス表現すると次式となる。
【0102】
【数32】
【0103】
【数33】
【0104】
【数34】
【0105】
【数35】
【0106】
【数36】
【0107】
【数37】
【0108】数32が状態方程式であり、出力方程式は次
式で表される。
【0109】
【数38】
【0110】ここで、ZMは観測ベクトル(x1:出口蒸気
温度に対応)、CMは観測行列、VMは観測ノイズベクトル
である。
【0111】次に、この物理式モデルに基づいて蒸気温
度を予測する。
【0112】状態XM(k)のうち、x1(過熱器出口蒸気温
度)は測定可能であるが、x2(過熱器伝熱管温度)は測
定困難であるため、カルマンフィルタを適用して状態X
M(k)を推定する。
【0113】カルマンフィルタを用いた状態観測器31
4のアルゴリズムを説明する。
【0114】現在サンプリングステップをkとすると、
(k-1)サンプリングステップにおける諸値を用いて状
態方程式(数32)より算出した状態値には上付き添字P
を、カルマンフィルタを構成して求める最尤推定値には
上付き添字SPをつけて表すことにする。
【0115】XM SP(k)は次式により求められる。
【0116】
【数39】
【0117】
【数40】
【0118】
【数41】
【0119】
【数42】
【0120】ここで、上付き添字Tは転置行列、上付き
添字−1は逆行列を意味する。
【0121】この状態観測器を用いて、過熱器出口蒸気
温度を計算することができる。過熱器出口蒸気温度の前
回値として、計算の初回のみ測定値を使用するが、2回
目以降は計算値を使用して計算する。過熱器出口蒸気温
度の計算値と目標値との偏差に基づいて制御器モデル3
34及び335で次時間ステップの操作量(燃料流量、
スプレ水流量)を算出し、火炉水壁モデル331の燃料
流量と減温器モデル332のスプレ水流量を変更して再
び過熱器出口蒸気温度を計算する。この操作を所定の予
測時間に相当する回数まで繰り返して蒸気温度の予測値
を算出する。
【0122】さて、数15の右辺には過熱器入口ガス温度
θg3inが必要であるが、高温のガス温度は直接計測する
ことが困難である。ガス温度は火炉水壁モデル331で
計算できるが、前述の状態観測器を用いてより正確にガ
ス温度を決定できるようにしている。
【0123】現在サンプリングステップをkとすると、
ステップ(k-1)での諸値を用いて数36により現在の過
熱器出口蒸気温度を推定する。将来の蒸気温度を予測す
るためには、(k-1)時点で得られる情報から、現在ス
テップkの蒸気温度が正しく求められていることが前提
になる。
【0124】推定しているガス温度θg3inが適切でない
と、XM SP(k)に誤差を生じる原因になる。そこで、本発
明では、現在ステップkにおける過熱器出口蒸気温度x1
(k)(=θs3o(k))の測定値と、ステップ(k-1)におけ
る伝熱管温度の最尤推定値x2 SP(k-1)(=θm3 SP(k-1))
を用いて、状態方程式(数32)の関係から次式を導き、ガ
ス温度θg3inを算出する。
【0125】
【数43】
【0126】ここで、θs3o(k)はステップkにおける
出口蒸気温度測定値である。
【0127】現在ステップkにおける過熱器出口蒸気温
度の推定値が測定値と一致するように、ガス温度を決定
することができる。火炉水壁モデルの出口ガス温度θ
g1oと式(43)で計算したガス温度θg3inとの偏差に基
づいて、修正部336で逐次火炉水壁モデルのβgm1
修正している。この方法によれば、逐次、適切なガス温
度を決定でき、火炉水壁モデル331の特性も逐次修正
できるので、現在ステップにおけるモデル誤差が小さく
なる。また、モデル誤差が小さいため、予測精度が向上
する。
【0128】なお、本例では過熱器入口蒸気温度θs3in
はサンプリングステップ(k-1)における値を用いている
が、ステップkにおける測定値を用いてもよい。
【0129】以上、予測方法の具体的方法を述べたが、
本発明は本実施形態に示した予測方法に限定されるもの
ではない。火炉水壁モデル331、過熱器減温器モデル
332、過熱器モデル333はそれぞれ対象機器の特性
を模擬しているモデルなら、物理的因果関係を模擬した
物理モデル以外であっても良い。例えば、統計的方手法
による回帰式モデルでも、ニューラルネットワークによ
る学習型モデルでも良い。その際、蒸気温度の目標値と
測定値との偏差分を出力とする相関モデルとしても良
い。
【0130】本発明では、同一の制御対象プロセス量を
制御するための異なる操作量に対して予測時間の異なる
予測値を演算する。パラメータ調整部340は、例えば
図6に示すような燃料流量に対する予測時間τaとスプ
レ流量に対する予測時間τbとを決定すると共に、制御
器320a、320bの比例ゲイン、積分時間も決定す
る。
【0131】パラメータ調整部340は、例えば図7に
示すように、プラントモデル355と、予測部330を
模擬した予測機能モデル350と、予測機能モデル35
0及びプラントモデル355内の制御対象モデルパラメ
ータを調整するモデル調整部342と、制御器320a
のパラメータ(比例ゲインKc1,積分時間Tc)及び制御
器320bのパラメータ(比例ゲインKc2)と予測時間間
隔τa,τbを算出するパラメータ最適化部348とから
構成されている。
【0132】プラントモデル355は、制御器320a
及び320bと等価な制御器モデル346a、346b
と、制御対象100のモデル344とから構成され、予
測機能モデル350にも、プラントモデル355と同じ
モデルが含まれている。
【0133】制御器モデル346aはPI(比例・積分)
制御器を表す次式の伝達関数で定義する。
【0134】
【数44】
【0135】ここで、sはラプラス演算子である。
【0136】同様に、制御器モデル346bはP(比例)
制御器を表す次式で定義する。
【0137】
【数45】
【0138】制御対象モデル344は燃料流量と蒸気温
度との関係を模擬したモデル344aと減温器スプレ水
流量と蒸気温度との関係を模擬したモデル344bとか
ら成る。
【0139】制御対象モデル344の二つのモデル34
4aと344bはそれぞれ一次遅れと無駄時間で模擬し、
次式の伝達関数で定義する。
【0140】
【数46】
【0141】
【数47】
【0142】ここで、Kp1,Kp2はゲイン、Tp1,Tp2は時
定数、Lp1,Lp2は無駄時間に相当するモデルパラメータ
である。
【0143】予測機能モデル350では、プラントモデ
ル355と全く同じモデルを持っているので、先の時間
ステップまでシミュレーション計算することによりプラ
ントモデル355の出力値を予測したことになる。この
予測値をプラントモデル355へ出力し、目標値との偏
差を計算して、制御器モデル346a及び346bを介し
てプラントモデル355の出力を計算する。
【0144】すなわち、実際の制御対象100に対し
て、予測制御を実施した場合を模擬している。パラメー
タ調整部340は、この予測制御の模擬計算により、制
御対象モデル344が最も望ましい状態になるように予
測時間τa,τb及び制御器パラメータである比例ゲイン
Kc1,Kc2、積分時間Tcとを決定する。
【0145】予測時間、制御器パラメータなどの具体的
決定方法を説明する。まず、制御対象モデル344の応
答特性を制御対象100の特性と合わせる必要がある。
火力プラントでは、プラント新設時や定期検査終了時に
プラント特性を把握するために試験運転を実施する。
【0146】その一つとして、各種操作量に対してステ
ップ応答試験を実施する。モデル調整部342はそのス
テップ応答試験のデータを取り込み、制御対象モデル3
44及び344’のモデルパラメータKp1,Kp2,Tp1,T
p2,Lp1,Lp2を調整する。
【0147】これらの調整には、運転員が介入し、試運
転データを用いてオフラインで実施する。図8にモデル
パラメータ調整のマンマシンインターフェイスを示す。
図8は画像表示装置910に表示され、外部入力装置9
00を用いて操作やデータ入力ができる。
【0148】例として制御対象モデル344aの調整過
程について説明する。制御対象モデル344bについて
も同様の手順で調整できる。
【0149】グラフ表示エリア911にはプラント試運
転時のステップ応答の応答波形915がグラフ表示され
る。この波形からモデルパラメータKp1,Tp1,Lp1を決
定するために補助線912,914,916が表示され
る。補助線914はステップ応答試験開始時の定常状態
の出力レベルAを表しており、画面上でマウスポインタ
カーソル918を用いて上下に移動させることができ
る。出力レベルは定格レベルに対してパーセント表示さ
れている。
【0150】また、数値表示エリア920には出力レベ
ルAの他、各種数値が表示され、その値をキーボード9
30からの入力により直接変更することができる。ま
た、増減ポインタ922をマウスでクリックすることに
より表示されている値を微小間隔で増加または減少させ
ることができる。補助線914と数値表示エリア920
内の値は連動して変化する。
【0151】これらの方法により、運転員が出力レベル
Aの値を決定する。同様にして補助線912が示すステ
ップ応答試験終了時の定常状態における出力レベルBを
決定する。
【0152】さらに応答波形立ち上がり時の変曲点にお
ける接線916を決定する。接線916は出力レベルA
及びBと同様の方法で図8に示す点C及び点Dを決定す
ることにより特定する。
【0153】以上から点A〜Dが決定されると、以下の
ようにしてモデルパラメータKp1,Tp1,Lp1が決定され
る。
【0154】ステップ応答試験時の操作量の変化幅K2
(%)よりゲインKp1は
【0155】
【数48】
【0156】
【数49】
【0157】とする。
【0158】ステップ応答試験開始(操作量変化開始)
時刻Qから無駄時間Lp1は
【0159】
【数50】
【0160】とする。
【0161】また、時定数Tp1は接線916上で線分E
Pの長さが0.632K1となる時刻Pより、
【0162】
【数51】
【0163】とする。
【0164】以上、モデル調整部342の処理手順を整
理して図9に示す。すなわち、本処理手順では、ステッ
プ応答試験データとして目標値R、被制御量Y1を読み込
み(ステップ5001)、該データを用いて出力レベル
A、Bおよび接戦916の形状を特定するための点C、D
を決定し(ステップ5002、5003)、これら点A
〜Dの値からプラントモデルのパラメータKp1、Tp1、Lp
1を決定する(ステップ5004)。
【0165】次に、予測時間τa,τb及び制御器パラメ
ータKc1,Kc2,Tcの決定方法について説明する。
【0166】パラメータ最適化部348では制御性能評
価値Jを最小にするパラメータτa,τb,Kc1,Kc2,Tc
の組合わせを求める。ここで、制御性能評価値Jは次式
で定義する。
【0167】
【数52】
【0168】ここでRm(t)はモデル目標値、Ym(t)は制御
対象モデル344の出力値、Uam(t)及びUbm(t)はそれぞ
れ制御器モデル346a及び346bの出力値であり制御
対象モデル344に対する操作量に相当する。p、qは重
み係数である。
【0169】Jの値はシミュレーションにより近似的に
計算することができる。数52の右辺{ }内第一項、第
二項及び第三項の値を各計算時間ステップにおいて計算
し、それらの和を積算することにより求める。すなわ
ち、計算時間間隔をΔtとすると次式で表される。
【0170】
【数53】
【0171】制御器パラメータKc1,Kc2,Tcは制御器の
取り得る値として、それぞれ上・下限値を定める。ま
た、予測時間τa,τbはそれぞれ、0からTp1×αaとTp
2×αbまでとする。αaとαbは係数であり、任意に設定
可能である。
【0172】この範囲内で、パラメータを順次所定の刻
み幅で変化させてt=0からTまでシミュレーション計算を
行い、その都度評価値Jを計算する。最終的に評価値J
が最小になるパラメータτa,τb,Kc1,Kc2,Tcの組合
わせを最適値とする。
【0173】τa,τb,Kc1,Kc2,Tcの組合わせによっ
ては制御系が安定しない場合があるので、評価値Jを計
算する前にHurwitzの安定判別法などを用いて安定性を
確認することが望ましい。不安定な組合わせに対しては
評価値Jを計算せずに、パラメータ値を変更して、最適
値探索を進める。
【0174】また、最適なパラメータτs,Kc,Tcの組
合わせを求める方法は上記方法に限定されるものではな
く、山登り法、遺伝アルゴリズムなどの最適化方法を用
いても良い。
【0175】モデル目標値Rm(t)が変化する場合も同様
にパラメータの最適値が計算できる。
【0176】なお、火力プラントの起動時には、蒸気温
度目標値を所定のタイムスケジュールに従って上げてい
く昇温過程が存在する。昇温過程においては、目標値と
の偏差を小さくすることのみならず、機器材料に与える
影響を考慮すると昇温率を目標値の昇温率と合わせるこ
とも大切な要素となる。
【0177】その場合には、評価値J(数52右辺{ }
内)に次の昇温率の項を加えることが望ましい。
【0178】
【数54】
【0179】ここで、rはp,qと同様、重み係数であ
る。
【0180】なお、制御器モデル346、制御対象モデ
ル344、予測機能モデル350はそれぞれ数44、45、
46、47で定義したが、これらのモデル化はこの方法に限
定されるものではない。例えば、前述した予測部330
と全く同じモデルで構成してもよい。
【0181】また、評価値Jも数52または数53に限定さ
れるものではなく、任意に設定可能である。また、フィ
ードバックを伴う閉ループ系に対して、評価値を計算す
る方法が例えば次の文献に示されている。
【0182】「一般化ISEを評価規範としたロバストI-P
DコントローラMinimax最適化による設計」、河辺 徹、
片山 徹、計測自動制御学会論文集、Vol.32,No.8,pp1
226〜1233(1996)。
【0183】この方法によりシミュレーションによらず
t=0から評価時間∞までの評価値が計算できる場合もあ
る。
【0184】以上で述べた、パラメータ最適化部348
の処理手順を図10に示す。
【0185】本処理手順では、図10のステップ110
1〜1104に示すように、パラメータτa,τb,Kc
1,Kc2,Tcの値をそれぞれ所定の範囲内を、所定の刻み
幅で変化させて、すべての組合わせの評価が終了した
時、最適値探索を終了する。
【0186】前述したように、パラメータ最適値の探索
には山登り法などの最適化手法を導入してももちろん良
い。
【0187】また、本発明で用いる予測時間を決定する
方法としては、例えば特開平9-146612号公報に述べられ
ている方法等、他の方法を用いても良い。
【0188】次に、目標値が時間的に変化する場合の、
目標値Rm(t)の設定方法を説明する。
【0189】図11にモデル目標値Rm(t)の設定支援の
ためのマンマシンインターフェイスを示す。グラフエリ
ア911には時間軸(横軸)に対する目標値Rmの値93
0のグラフが表示される。
【0190】グラフ上のRm値930の線上の点をマウス
でクリックしてドラッグすることにより、グラフ波形形
状を変更することができる。その時の折れ線の座標は数
値で座標表示エリア932に表示される。座標表示エリ
ア932には全座標点を一度に表示できない場合、スク
ロールバー934が表示されて、マウス操作により上下
にスクロールすることができる。
【0191】また、数47の評価値Jを算出する際に必要
となる評価時間Tは評価時間入力欄936にキーボード
から数値で入力する。目標値Rmと評価時間Tの入力終了
後、設定ボタン938をマウスでクリックすることによ
り設定が完了する。
【0192】以上のようにして予測時間間隔τa,τb及
び制御器パラメータKc1,Kc2,Tcを決定した場合の制御
結果のシミュレーション例を図12に示す。本例は目標
値をステップ変化させた場合の応答である。
【0193】上記構成によれば、予測制御を行わない場
合に比べて目標値への追従が早くなり、かつ、オーバー
シュート量が減少しており、制御性能が向上しているこ
とがわかる。
【0194】さらに、本発明による上記構成によれば、
制御性能がもっとも向上する予測時間を操作量に応じて
決定できる他、予測制御を実施した場合の制御器パラメ
ータの最適値も決定することができるので、予測制御方
式の効果を最大限に発揮させることができる。
【0195】さらに、本発明による上記構成によれば、
従来それらの制御器パラメータを試行錯誤的に調整して
いたのに対して、調整時間が短縮できる効果もある。
【0196】シミュレーションによる効果は、図13に
示すように画面上に表示してユーザが確認可能であるよ
うに構成する。
【0197】例えば、グラフエリア911にはシミュレ
ーション結果による応答波形を表示する。また、パラメ
ータ表示欄924には、その時のパラメータτa,τb,
Kc1,Kc2,Tcの値を表示する。また、切替えボタン92
6をマウスでクリックするたびにグラフエリア911に
表示されるグラフがモデル出力値Ym(t)と操作量Uam
(t),Ubm(t)とに順に切り替える。
【0198】また、切替えボタン928により、モデル
出力値Ym(t)または操作量Uam(t),Ubm(t)を単独に表示
させるか、各グラフを並べて表示するかを切り替える機
能を設けても良い。
【0199】以上、パラメータ調整部340により、プ
ラントの試運転時または定期検査時などの機会を利用し
てオフライン的に調整する方法を説明したが、本発明は
以下に述べるようにプラントの運転を制御しながらオン
ライン的に使用することもできる。
【0200】例えば、パラメータ調整部340をプラン
トの運転中に所定の時間間隔で周期的に起動する。例え
ば5分毎に起動し、パラメータ調整部348によって予
測時間τa,τb及び制御器パラメータKc1,Kc2,Tcを決
定する。パラメータ調整部348の処理手順は図10と
同じである。
【0201】このようにすると、プラント100の運転
状態(負荷帯、負荷変化条件)に応じて随時、適正な予
測時間間隔τs及び制御器パラメータKc,Tcを決定でき
るので制御性能をさらに向上させることができる。
【0202】また、予測時間間隔τs及び制御器パラメ
ータKc,Tcを決定する前に、モデル調整部342により
制御対象モデル344の特性が制御対象100の特性と
合うように随時、制御対象モデル344を調整すること
もできる。制御対象モデルを回帰式モデルやニューラル
ネットワークモデルとすれば、直近(直前)のデータで
相関式を作り直したり、ニューラルネットワークで再学
習することによりモデル特性を逐次調整する構成として
もよい。
【0203】上記構成によれば、プラントの運転点(運
転状態)近傍の特性に制御対象モデル344の特性を常
に合わせることができるので、予測制御の効果がさらに
向上する。また、制御対象モデル344はプラントの広
範囲な運転状態を模擬する必要がなくなるため、比較的
簡単なモデルで近似できるようになり、演算負荷が減少
する効果もある。
【0204】次に本発明の第2の実施の形態を説明す
る。
【0205】本実施形態の制御装置は、上記第1の実施
の形態において、図14に示すような構成を有する蒸気
温度予測コントローラ380を用いたものである。
【0206】上記第1の実施の形態における蒸気温度予
測コントローラ380と異なる点は、予測値Ysと目標値
Rsとの偏差をPI制御器320aとP制御器320bにフィ
ードバックするのではなく、プラント出力値(蒸気温度
の測定値)をフィードバックして、予測値YsからはP制
御器320c及び320dによって操作量に補正を加える
構成にした点である。この場合には、プラントモデル3
55も同じ構成にする。
【0207】さらに、切替部339は、予測値に基づく
補正値をそのまま出力するか、0を出力して実質的に予
測制御を使わないようにするかを切り替える機能を持つ
ものとする。
【0208】本実施形態では、予測値に基づく操作量の
補正量算出部としてP制御器320c及び320dを用い
ているが、他の方法であってももちろん良い。
【0209】本実施形態の構成によっても、上記第1の
実施の形態と同様に、同一の制御量に対し複数の操作量
が存在するプロセスにおいて、該複数の操作量のそれぞ
れに対応して互いに異なる予測時間における予測値を演
算し、それぞれの予測値に基づいて操作量を決定するこ
とができる。
【0210】次に、本発明の第3の実施の形態について
説明する。
【0211】本実施形態では、本発明を廃棄物焼却プラ
ントの運転制御装置に適用している。廃棄物焼却プラン
トの概要を図15により説明する。
【0212】図15はストーカ式焼却炉を持つ廃棄物焼
却プラント1000の構成の一例を示す。
【0213】一般家庭から出される廃棄物(ごみ)は、
ごみ収集車700によって集められる。集められたごみ
は、ごみピット614へ一旦貯蔵される。
【0214】ごみピット614のごみは、クレーン61
2で焼却炉ホッパ610へ運ばれる。その途中で重量測
定器201があり、ごみの重量を計測する。ホッパ61
0へ投入後、押し出し機630によってストーカ上に運
ばれる。ストーカは前段の乾燥ストーカ626と後段の
燃焼ストーカに分かれている。乾燥ストーカでは、主に
投入ごみの水分を蒸発させる。燃焼ストーカでは、乾燥
したごみを燃焼させる。燃焼後の灰は、灰ピット638
に一旦堆積した後で、埋め立て処理される。
【0215】ごみの乾燥状態は、乾燥ストーカの移送速
度で、また、燃焼量は燃焼ストーカの移送速度で主に制
御している。
【0216】乾燥ストーカ626及び燃焼ストーカ62
8には下部から、それぞれ乾燥用空気及び燃焼用空気が
吹き込まれるようになっている。空気はファン620に
より送り込まれるが、その途中に、燃焼ガスの一部と熱
交換(不図示)して昇温するエアヒータ622が設置さ
れている。
【0217】乾燥ストーカ626と燃焼ストーカ628
とへの空気量はファン620とそれぞれのストーカへの
配分量を調節する空気ダンパ624の開度によって制御
される。
【0218】燃焼ガスは、排ガス処理装置632によっ
てダストや有害物質をある程度除去した後で煙突634
から排出される。
【0219】燃焼ガスの一部は、煙突より放出される前
にガス分析装置115へ送られてCO(一酸化炭素)濃
度、O2(酸素)濃度、NOx(窒素酸化物)の濃度を
随時オンラインで測定している。また、ダイオキシン類
濃度はオフラインで定期的に測定している。
【0220】また、ストーカ626、628上部で2箇
所、排ガス処理装置632の入口に1個所、煙突634
の入口に1箇所、ガス温度センサ640、642、64
4、646が設置してあり、燃焼ガス温度を測定してい
る。
【0221】さて、廃棄物を焼却処理する施設では、有
害物質の排出を抑制することが重要である。特にダイオ
キシン類は炉内を高温に保つことによって熱分解する性
質が知られている。高温状態を維持することは、基本的
に完全燃焼状態を維持することである。しかし、廃棄物
の焼却では、焼却炉に投入される廃棄物の組成や含水率
が一定ではなく、安定に燃焼させることが難しい。
【0222】そこで、ダイオキシン類の排出量を抑制す
ることを目的に、本発明の予測制御方法を適用する。
【0223】ダイオキシン類の濃度がオンラインで測定
できることが望ましいが、できない場合には、ダイオキ
シン類濃度の指標となるプロセスデータで代用する。そ
の一つとして、CO濃度や塩化フェノールがあり、これ
らの値は比較的短時間で測定が可能であり、ダイオキシ
ン類濃度とある程度相関が認められる。
【0224】そこで、予測対象プロセス量を排出ガス中
のCO濃度とする。この値はガス分析装置115でオン
ライン測定している。本例では排出ガス中のCO濃度で
あるが、塩化フェノールなど、ダイオキシン類濃度を推
定でき、比較的短時間で測定可能な物質であればそれ以
外でも良い。
【0225】また、予測値に基づいて操作するプロセス
量(操作量)は燃焼ストーカの移送速度とごみ投入量
(速度)である。
【0226】本実施形態の運転制御装置300は、上記
第1の実施の形態で説明した火力プラントの場合と同様
に、焼却プラント1000に配備された各アクチュエー
タの操作量を決定するための制御系を有し、その制御系
には制御の対象となるプロセス量(本例ではCO濃度)
の予測コントローラ380が備えられている。
【0227】予測コントローラ380は、例えば図16
に示すように、制御プロセス量(CO濃度)を変化させ
るための操作量を算出する操作量1算出部321a、操
作量2算出部321bと、各操作量に対応して異なる予
測時間の予測値をそれぞれ出力する予測部330、予測
部330に含まれる制御器モデル等の各種モデルのパラ
メータを調整するパラメータ調整部340と、切替部3
32と、P制御器321c、321dとを備えている。
【0228】本実施形態の予測コントローラ380で
は、重量測定器201で計測したごみの重量に基づい
て、操作量演算部321a及び321bで燃焼ストーカ移
送速度とごみ投入量(速度)を演算する。さらに、本発
明の予測制御方法により将来のCO濃度を予測し、P制
御器321cと321dにより燃焼ストーカの移送速度と
ごみ投入量に対する操作量に補正を加えるようにしてい
る。
【0229】投入されたごみはまず乾燥ストーカ626
上で乾燥した後、燃焼ストーカ628に移動する。この
ため、ごみの投入量の変更が燃焼状態に影響するまでの
時間は比較的長い。これに対して、燃焼ストーカ移送速
度の変更は、すぐに現在の燃焼状態に影響する。そのた
め、両操作量に対して予測制御を実施する場合には、そ
れぞれに適した予測時間を用いる方法が有効である。
【0230】次に、本実施形態の予測部330について
説明する。
【0231】排ガス中のCO濃度をごみ供給量(速
度)、燃焼ストーカ移送速度、乾燥空気流量、燃焼空気
流量、(前回サンプリング分までの)CO濃度測定値と
の関数として次式でモデル化している。
【0232】
【数55】
【0233】ここで、COは排ガス中のCO濃度、Fwはご
み供給量(速度)、CSVは燃焼ストーカ移送速度、Fdaは
乾燥空気流量、Fcaは燃焼空気流量であり、kは現在サン
プリングステップを表す。
【0234】予測時にはFw,CSV,Fda,Fcaを現在ステ
ップの値で保持された状態で、数55の右辺のCOの値を順
次、左辺の計算値に置き換えて将来のCO濃度を計算す
る。
【0235】予測部330の構成を図17に示した。数
55のCO相関モデル360と、操作量算出部321a及び
321bのモデル322a及び322bと、P制御器321
cと321dのモデル322c及び322dとで構成されて
いる。
【0236】本実施の形態では、上記第1の実施の形態
と同様にパラメータ調整部340を備えており、燃焼ス
トーカ移送速度とごみ投入量(速度)に対応する予測時
間と、P制御器321cと321dの比例定数を決定す
る。
【0237】本実施の形態では、予測制御に対する操作
量として燃焼ストーカ移送速度とごみ投入量を選択して
いるが、乾燥ストーカ移送速度、乾燥空気量、燃焼空気
量などでも良く、また、それらの組合わせであっても良
い。
【0238】また、ダイオキシン類はCl(塩素)を含む
化合物であるため、排ガス中の塩素を別の安定な塩素化
合物として固定化して除去することによりダイオキシン
類の排出量を抑制する方法がある。この場合例えば、石
灰石や消石灰のようなカルシウム化合物をダイオキシン
抑制剤として用いることができる。その時、次式のよう
な反応によりCaCl2(塩化カルシウム)として塩素分が
固定化される。
【0239】
【数56】
【0240】従って、操作量としてカルシウム化合物な
どのダイオキシン抑制剤の投入量を用いても良い。ま
た、制御量としてダイオキシン類の濃度のみならず、
(窒素酸化物)濃度でも良く、NOx濃度を予測しても良
い。
【0241】
【発明の効果】本発明によれば、単一の制御量に対して
複数の操作量が存在するプロセスに対して、各操作量に
対応して異なる予測時間における予測値を演算し、それ
ぞれの予測値に基づいて操作量を決定するので制御精度
が高い制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施の形態における予測コントローラの
構成を表すブロック線図。
【図2】火力発電プラントの構成を示す説明図。
【図3】制御装置の構成とプラントとの関係を表す説明
図。
【図4】制御装置のハード構成を示すブロック図。
【図5】予測部の構成を表すブロック線図。
【図6】予測時間間隔の説明図。
【図7】パラメータ調整部の構成を表すブロック線図。
【図8】制御対象モデルのパラメータ調整支援画面を表
す説明図。
【図9】モデル調整部の処理手順を表すフローチャー
ト。
【図10】パラメータ最適化部の処理手順を表すフロー
チャート。
【図11】目標値の設定画面を表す説明図。
【図12】予測制御の効果を示す説明図。
【図13】調整効果確認画面を表す説明図。
【図14】第二の実施の形態における予測コントローラ
の構成を表すブロック線図。
【図15】廃棄物焼却プラントの構成を表すブロック線
図。
【図16】第三の実施の形態における予測コントローラ
の構成を表すブロック線図。
【図17】第三の実施の形態における予測部の構成を表
すブロック線図。
【符号の説明】
100…火力発電プラント、110…発電機、111…
発電機出力計測装置、120…低・中圧タービン、12
1…タービン加減弁、122…過熱器出口蒸気温度測定
器、123…主蒸気圧力測定器、124…再熱蒸気温度
測定器、125…復水器、126…冷却水、130…高
圧タービン、140…給水ポンプ、150…ボイラ、1
52…火炉水壁、154…過熱器、156…再熱器、1
60…バーナー、161…空気流量調節弁、162…燃
料流量調節弁、170…排ガス処理装置、175…煙
突、300…運転制御装置、320a,b…制御器、33
0…予測部、331a…火炉水壁モデル、331b…スプ
レモデル、331c…過熱器モデル、339…切替部、
340…パラメータ調整部、342…モデル調整部、3
44…制御対象モデル、346…制御器モデル、348
…パラメータ最適化部、350…予測機能モデル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野村 政英 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 原嶋 敏彦 茨城県日立市大みか町五丁目2番1号 株 式会社日立製作所大みか工場内 (72)発明者 木村 亨 茨城県日立市大みか町五丁目2番1号 株 式会社日立製作所大みか工場内 (72)発明者 菊池 信也 茨城県日立市大みか町五丁目2番1号 株 式会社日立製作所大みか工場内 Fターム(参考) 3L021 BA08 DA05 DA25 DA26 DA27 DA28 EA01 FA08 FA12 FA13 FA15 5H004 GA10 GB04 GB20 HA01 HA04 HB01 HB03 HB04 JB23 KA01 KA65 KB02 KB03 KB04 KB19 KB33 KB38 KB39 KC09 KC10 KC12 KC26 KC28 KC44 KC45 KC48 KC50 KD46 KD67 KD70 LA01 LA03 LA12 LA18 MA27 MA50

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】制御対象とすべきプロセス量(被制御量)
    の将来の値を予測する予測手段と、該予測手段から出力
    される予測値に基づいて前記被制御量を制御するために
    操作するプロセス量(操作量)を決定する操作量算出手
    段とを有する制御装置において、 1つの被制御量に対して複数の操作量が存在するもので
    あって、 前記予測手段は、同一の被制御量に対して、予測時刻お
    よび予測時間間隔のうち少なくとも一方が異なる複数の
    予測値を演算して出力し、 前記操作量算出段は、前記複数の予測値を用いて前記複
    数の操作量をそれぞれ決定することを特徴とするプロセ
    スの制御装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のプロセスの制御装置にお
    いて、 前記予測手段は、 前記制御対象とすべきプロセスを模擬したプロセスモデ
    ルと、 前記操作量算出手段を模擬した制御器モデルとを具備す
    ることを特徴とするプロセスの制御装置。
  3. 【請求項3】請求項1に記載のプロセスの制御装置にお
    いて、 前記予測手段は、前記複数の操作量のうち前記制御対象
    量に対しての時定数が小さい方の操作量を決定するため
    に設けられた前記操作量算出手段の一部構成を模擬した
    制御器モデルを少なくとも含んでいることを特徴とする
    プロセスの制御装置。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載のプロセス
    の制御装置において、 予め定義した制御性能を評価するための評価値を算出
    し、該評価値を用いて前記複数の予測値の各々について
    予測時刻または予測時間間隔を決定する予測時間決定手
    段をさらに具備することを特徴とするプロセスの制御装
    置。
  5. 【請求項5】請求項2または3に記載のプロセスの制御
    装置において、 予め定義した制御性能を評価するための評価値を算出
    し、該評価値を用いて前記制御器モデルのパラメータ値
    を設定するパラメータ設定手段をさらに具備することを
    特徴とするプロセスの予測制御装置。
  6. 【請求項6】請求項5に記載のプロセスの制御装置にお
    いて、 前記操作量算出手段は、比例制御器および積分制御器の
    うち少なくとも一方を含んで構成されており、 前記パラメータ設定手段が設定するパラメータ値は、前
    記比例制御器の比例ゲインまたは前記積分制御器の積分
    時間に対応するものであることを特徴とするプロセスの
    制御装置。
  7. 【請求項7】火力発電プラントの蒸気温度の将来値を予
    測する予測手段と、該予測手段の出力値である蒸気温度
    予測値に基づいて前記火力発電プラントの燃料流量、蒸
    気温度減温器スプレ流量、再循環ガス流量およびガス分
    配ダンパ開度のうち少なくとも一つを操作量として決定
    する、一つまたは複数の操作量算出手段とを有する火力
    発電プラントの制御装置において、 前記予測手段は、同一位置における蒸気温度に対して、
    予測時刻および予測時間間隔のうち少なくとも一方が異
    なる複数の予測値を演算し出力し、 前記操作量算出手段は、前記出力された複数の予測値を
    用いて前記燃料流量、前記蒸気温度減温器スプレ流量、
    前記再循環ガス流量および前記ガス分配ダンパ開度のう
    ち2つ以上の操作量を決定することを特徴とする制御装
    置。
  8. 【請求項8】請求項7に記載の火力発電プラントの制御
    装置において、 前記予測手段は、 前記火力プラントの運転に関する制御信号および前記操
    作量のうち少なくとも一方と前記蒸気温度との関係を模
    擬した熱交換器モデル、および前記蒸気温度減温器モデ
    ルのうち少なくとも一方とから構成されるプロセスモデ
    ルと、 前記操作量算出手段と等価またはその特性を模擬した操
    作量算出モデルとを具備し、 前記プロセスモデルと前記操作量算出モデルとを組み合
    わせて演算を実行し、ある特定の時刻における蒸気温度
    を算出することを特徴とする制御装置。
  9. 【請求項9】請求項7に記載の火力発電プラントの制御
    装置において、 前記予測手段は、前記燃料流量、前記蒸気温度減温器ス
    プレ流量、前記再循環ガス流量および前記ガス分配ダン
    パ開度のうち前記蒸気温度に対しての時定数が小さい操
    作量を決定する前記操作量算出手段の一部構成と等価ま
    たはその入出力特性を模擬した制御器モデルを少なくと
    も含んで構成することを特徴とする制御装置。
  10. 【請求項10】請求項7〜9のいずれかに記載の火力発
    電プラントの制御装置において、 予め定義した制御性能を評価するための評価値を算出
    し、該評価値を用いて前記複数の予測値の各々について
    予測時刻および予測時間間隔のうち一方を決定する予測
    時間決定手段をさらに具備することを特徴とする制御装
    置。
  11. 【請求項11】請求項7〜10のいずれかに記載の火力
    発電プラントの制御装置において、 前記操作量算出手段は、比例制御器および積分制御器の
    うち少なくとも一方を含んで構成されており、 予め定義した制御性能を評価するための評価値を算出
    し、該評価値を用いて前記比例制御器の比例ゲインまた
    は積分制御器の積分時間を算出する制御器パラメータ設
    定手段をさらに具備することを特徴とする制御装置。
  12. 【請求項12】請求項1〜6のいずれかに記載のプロセ
    スの制御装置において、 前記被制御量は、廃棄物焼却プロセスに係わる排出ガス
    中のCO(一酸化炭素)濃度、塩化フェノール濃度、窒素
    酸化物濃度、およびダイオキシン類濃度のうち少なくと
    も一つであり、 前記操作量は、焼却炉への廃棄物の投入量、該焼却炉内
    の搬送速度、乾燥用空気流量、燃焼用空気流量、空気温
    度、および燃焼ガス無害化処理用の薬剤投入量のうちい
    ずれかを少なくとも含むことを特徴とするプロセスの制
    御装置。
  13. 【請求項13】制御対象とすべきプロセス量(被制御
    量)の将来の値を予測し、該予測値に基づいて前記被制
    御量を制御するために操作するプロセス量(操作量)を
    決定するプロセスの制御方法において、 1つの被制御量に対して複数の操作量が存在するもので
    あって、 同一の被制御量に対して、予測時刻および予測時間間隔
    のうち少なくとも一方が異なる複数の予測値を演算して
    出力し、 前記出力された複数の予測値を用いて前記複数の操作量
    をそれぞれ決定することを特徴とするプロセスの制御方
    法。
  14. 【請求項14】火力発電プラントの蒸気温度の将来値を
    予測する予測手段と、該予測手段の出力値である蒸気温
    度予測値に基づいて前記火力発電プラントの燃料流量、
    蒸気温度減温器スプレ流量、再循環ガス流量およびガス
    分配ダンパ開度のうち少なくとも一つを操作量として決
    定する、一つまたは複数の操作量算出手段とを有する火
    力発電プラントの制御方法において、 同一位置における蒸気温度に対して、予測時刻および予
    測時間間隔のうち少なくとも一方が異なる複数の予測値
    を演算して出力し、 前記出力された複数の予測値を用いて前記燃料流量、前
    記蒸気温度減温器スプレ流量、前記再循環ガス流量およ
    び前記ガス分配ダンパ開度のうち2つ以上の操作量を決
    定することを特徴とする制御方法。
  15. 【請求項15】請求項14に記載の火力発電プラントの
    制御方法において、 燃焼ガス温度の推定値と蒸気温度測定値とを少なくとも
    用いて、該蒸気温度を測定した時刻以降の蒸気温度と前
    記熱交換器の伝熱管温度とを推定すると共に、所定時間
    経過後の蒸気温度を予測する際には、推定した前記蒸気
    温度と推定した伝熱管温度とを使用する方法であって、 前記燃焼ガス温度は、前記時刻以前の前記伝熱管温度推
    定値と前記時刻以降の蒸気温度の測定値とを少なくとも
    使用して算出することを特徴とする制御方法。
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