JP2000219809A - ポリアミド系樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents

ポリアミド系樹脂組成物およびそれからなる成形品

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JP2000219809A JP11022903A JP2290399A JP2000219809A JP 2000219809 A JP2000219809 A JP 2000219809A JP 11022903 A JP11022903 A JP 11022903A JP 2290399 A JP2290399 A JP 2290399A JP 2000219809 A JP2000219809 A JP 2000219809A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半芳香族ポリアミドが有する耐熱性、低吸水
性、耐熱水性、耐薬品性等の特性を活かし、耐衝撃性が
改良されたポリアミド系樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 テレフタル酸単位を含むジカルボン酸単
位(I-1) と、1,9−ノナンジアミン単位及び/又は2
−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を含むジアミ
ン単位(I-2) とからなるポリアミド系樹脂(I) と、芳香
族ビニル化合物単位からなる重合体ブロック(a-1) 及び
/又は1,2−結合の含有量が30モル%未満の水添ポ
リブタジエンブロック(a-2) の重合体ブロック(A) と、
水添共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(B)
を有するブロック共重合体(II-1)、及び/又は芳香族ビ
ニル化合物単位からなる重合体ブロック(C) とポリイソ
ブチレンブロック(D) を有するブロック共重合体(II-2)
を含むポリアミド系樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定のポリアミド
系樹脂および特定の付加重合系ブロック共重合体から主
としてなるポリアミド系樹脂組成物、並びに該ポリアミ
ド系樹脂組成物からなる成形品に関する。本発明のポリ
アミド系樹脂組成物は、優れた耐衝撃性を有するととも
に、耐熱性、低吸水性、耐熱水性、耐薬品性等の特性に
優れることから、自動車部品、工業材料、産業資材、電
気/電子部品、家庭用品その他の広範な用途に極めて有
効に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】ナイロン6、ナイロン66に代表される
汎用ポリアミドは、耐熱性、耐薬品性、剛性、耐磨耗
性、成形性等の優れた性質を持つために、エンジニアリ
ングプラスチックとして多くの用途に使用されてきた。
これらのポリアミドはエンジニアリングプラスチックと
しては強靱な樹脂であり、特に吸湿状態では極めて高い
靭性を有する。一方、自動車用途、電気・電子部品用途
等では年々耐熱性や低吸水性に対する要求が高まってお
り、従来のポリアミドでは対応できなくなりつつある。
同時に、機械特性、耐薬品性等のさらなる性能の向上が
望まれている。
【0003】このような世の中の要求に対し、テレフタ
ル酸と1,6−ヘキサンジアミンを主成分とする半芳香
族ポリアミド(以下、PA6Tと略称する)が種々提案
され、一部は実用化されている。しかし、PA6Tは従
来のポリアミドに比較して衝撃強度に劣るという問題点
があった。これに対しては特開昭60−144362号
公報、特開平4−270761号公報等には、PA6T
を初めとする半芳香族ポリアミドにエラストマー成分を
アロイすることにより衝撃強度を向上する方法が提案さ
れている。
【0004】しかしながら、テレフタル酸と1,6−ヘ
キサンジアミンからなるPA6Tは、ポリマーの分解温
度を超える370℃付近に融点があるため、溶融重合、
溶融成形が困難であり、実用に耐えるものではない。そ
のため実際には、アジピン酸、イソフタル酸等のジカル
ボン酸成分、あるいはナイロン6等の脂肪族ポリアミド
を30〜40モル%共重合することにより、実使用可能
温度領域、すなわち280〜320℃程度にまで低融点
化した組成で用いられているのが現状である。このよう
に多量の第3成分(場合によっては第4成分)を共重合
することは、確かにポリマーの低融点化には有効なもの
の、一方では結晶化速度、到達結晶化度の低下を伴い、
その結果、高温下での剛性、耐薬品性、寸法安定性等の
諸物性が低下するばかりでなく、成形サイクルの延長に
伴う生産性の低下をも招く。また、吸水による寸法安定
性等の諸物性の変動に関しても、芳香族基の導入によ
り、従来の脂肪族ポリアミドに比べれば多少改善されて
はいるものの、実質的な問題解決のレベルまでには達し
ていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、半芳
香族ポリアミドが有する耐熱性、低吸水性、耐熱水性、
および耐薬品性等の特性を活かしつつ、耐衝撃性が改良
されたポリアミド系樹脂組成物および該ポリアミド系樹
脂組成物からなる成形品を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、特定のポリアミ
ド系樹脂および特定の付加重合系ブロック共重合体が、
優れた耐衝撃性を有するとともに、耐熱性、低吸水性、
耐熱水性、耐薬品性等の特性に優れることを見出し、本
発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は以下の通りである。 (1) テレフタル酸単位を60〜100モル%含むジカル
ボン酸単位(I-1) と、1,9−ノナンジアミン単位およ
び/または2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位
を60〜100モル%含むジアミン単位(I-2) とからな
るポリアミド系樹脂(I) と、芳香族ビニル化合物単位か
ら主としてなる重合体ブロック(a-1) および/または
1,2−結合の含有量が30モル%未満で、かつ水素添
加されたポリブタジエンブロック(a-2) からなる重合体
ブロック(A) と、水素添加された共役ジエン化合物単位
から主としてなる重合体ブロック(B) を有する付加重合
系ブロック共重合体(II-1)、並びに芳香族ビニル化合物
単位から主としてなる重合体ブロック(C) とポリイソブ
チレンブロック(D) を有する付加重合系ブロック共重合
体(II-2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の付加
重合系ブロック共重合体(II)とを含有することを特徴と
するポリアミド系樹脂組成物。 (2) 1,9−ノナンジアミン単位と2−メチル−1,8
−オクタンジアミン単位のモル比が100:0〜20:
80である上記(1) 記載のポリアミド系樹脂組成物。 (3) 重合体ブロック(B) が、水素添加されたポリイソプ
レンブロック(b-1) 、1,2−結合の含有量が30〜8
0モル%で、かつ水素添加されたポリブタジエンブロッ
ク(b-2) および水素添加されたイソプレン/ブタジエン
共重合体ブロック(b-3) からなる群から選ばれる少なく
とも1種である上記(1) 記載のポリアミド系樹脂組成
物。 (4) 付加重合系ブロック共重合体(II)が、その分子内
に、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、
エポキシ基、アミド基およびイソシアネート基からなる
群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する上記
(1) または(3) 記載のポリアミド系樹脂組成物。 (5) ポリアミド系樹脂(I) の含有量と付加重合系ブロッ
ク共重合体(II)の含有量との比が、重量比で99:1〜
50:50である上記(1) 記載のポリアミド系樹脂組成
物。 (6) ポリアミド系樹脂(I) の濃硫酸中30℃で測定した
極限粘度[η]が、0.6〜2.0dl/gである上記
(1) 記載のポリアミド系樹脂組成物。 (7) 上記(1) 〜(6) のいずれかに記載のポリアミド系樹
脂組成物からなる成形品。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明のポリアミド系樹脂組成物は、特定のポリ
アミド系樹脂(I) と特定の付加重合系ブロック共重合体
(II)を含有するものである。
【0009】上記ポリアミド系樹脂(I) は、テレフタル
酸単位を主体とするジカルボン酸単位(I-1) と、1,9
−ノナンジアミン単位および/または2−メチル−1,
8−オクタンジアミン単位を主体とするジアミン単位(I
-2) からなる。
【0010】上記ジカルボン酸単位(I-1) は、テレフタ
ル酸単位が60〜100モル%、好ましくは75〜10
0モル%、より好ましくは90〜100モル%である。
テレフタル酸単位が60モル%未満の場合、本発明のポ
リアミド系樹脂組成物の耐熱性が低下する。
【0011】テレフタル酸単位以外の他のジカルボン酸
単位(I-1) としては、マロン酸、ジメチルマロン酸、コ
ハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン
酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメ
チルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライ
ン酸、セバシン酸、スベリン酸等の脂肪族ジカルボン
酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シ
クロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;イ
ソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7
−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカル
ボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−
フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、ジフェニルメ
タン−4,4−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−
4,4−ジカルボン酸、4,4−ビフェニルジカルボン
酸等の芳香族ジカルボン酸から誘導される単位が挙げら
れる。これらの単位を1種もしくは2種以上含んでもよ
い。上記単位の中でも、芳香族ジカルボン酸から誘導さ
れる単位が好ましい。さらに、トリメリット酸、トリメ
シン酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸から誘導さ
れる単位を、溶融成形が可能な範囲内で含んでいてもよ
い。
【0012】上記ジアミン単位(I-2) は、1,9−ノナ
ンジアミン単位および/または2−メチル−1,8−オ
クタンジアミン単位が60〜100モル%、好ましくは
75〜100モル%、より好ましくは90〜100モル
%である。1,9−ノナンジアミン単位および/または
2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位が60モル
%未満の場合、本発明のポリアミド系樹脂組成物の耐熱
性、成形性、低吸水性が低下する。1,9−ノナンジア
ミン単位と2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位
のモル比は、好ましくは100:0〜20:80、より
好ましくは100:0〜60:40、特に好ましくは1
00:0〜80:20である。1,9−ノナンジアミン
単位と2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を併
用すると、本発明のポリアミド系樹脂組成物の成形性、
耐衝撃性が優れるので好ましい。
【0013】1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル
−1,8−オクタンジアミン単位以外の他のジアミン単
位(I-2) としては、エチレンジアミン、プロピレンジア
ミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジア
ミン、1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジ
アミン、1,12−ドデカンジアミン、3−メチル−
1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−トリメチル−
1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−
1,6−ヘキサンジアミン、5−メチル−1,9−ノナ
ンジアミン等の脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミ
ン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミ
ン等の脂環式ジアミン;p−フェニレンジアミン、m−
フェニレンジアミン、キシレンジアミン、4,4−ジア
ミノジフェニルメタン、4,4−ジアミノジフェニルス
ルホン、4,4−ジアミノジフェニルエーテル等の芳香
族ジアミンから誘導される単位が挙げられる。これらの
単位を1種もしくは2種以上含んでもよい。
【0014】ポリアミド系樹脂(I) としてテレフタル酸
単位を60〜100モル%含むジカルボン酸単位(I-1)
と、1,9−ノナンジアミン単位および/または2−メ
チル−1,8−オクタンジアミン単位を60〜100モ
ル%含むジアミン単位(I-2)とからなるポリアミド系樹
脂(I) を用いることにより、PA6Tを用いた場合と比
較して、ポリアミド系樹脂組成物の耐熱性、吸水性、耐
衝撃性、耐薬品性、耐熱水性が向上する。
【0015】上記ポリアミド系樹脂(I) は、その分子鎖
の末端基の好ましくは10%以上、より好ましくは40
%以上、特に好ましくは70%以上が末端封止剤により
封止されている。末端封止率が10%以上であれば、本
発明のポリアミド系樹脂組成物の溶融成形時の粘度変化
が小さく、得られる成形品の外観、耐熱水性等の物性が
優れるので好ましい。ポリアミド系樹脂(I) の末端の封
止率は、当該ポリアミド系樹脂(I) に存在しているカル
ボキシル基末端、アミノ基末端および末端封止剤によっ
て封止された末端の数をそれぞれ測定し、下記の式
(1)により求める。各末端基の数は、 1H−NMRに
より、各末端基に対応する特性シグナルの積分値より求
めるのが精度、簡便さの点で好ましい。
【0016】 末端封止率(%)=[(A−B)÷A]×100 (1) 〔式中、Aは分子鎖末端基総数(これは通常、ポリアミ
ド分子の数の2倍に等しい)を表し、Bはカルボキシル
基末端およびアミノ基末端の合計数を表す。〕
【0017】末端封止剤としては、ポリアミド末端のア
ミノ基またはカルボキシル基と反応性を有する単官能性
の化合物であれば特に制限はないが、反応性および封止
末端の安定性等の点から、モノカルボン酸またはモノア
ミンが好ましく、取扱いの容易さ等の点から、モノカル
ボン酸がより好ましい。その他、無水フタル酸等の酸無
水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノ
エステル類、モノアルコール類等も使用できる。
【0018】末端封止剤として使用されるモノカルボン
酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば
特に制限はないが、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪
酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ト
リデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン
酸、ピバリン酸、イソブチル酸等の脂肪族モノカルボン
酸;シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン
酸;安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン
酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカル
ボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸、ある
いはこれらの任意の混合物を挙げることができる。これ
らの中でも、反応性、封止末端の安定性、価格等の点か
ら、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、
カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸が特に好ま
しい。
【0019】末端封止剤として使用されるモノアミンと
しては、カルボキシル基との反応性を有するものであれ
ば特に制限はないが、例えば、メチルアミン、エチルア
ミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミ
ン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミ
ン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミ
ン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキ
シルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノア
ミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフ
チルアミン等の芳香族モノアミン、あるいはこれらの任
意の混合物を挙げることができる。これらのなかでも、
反応性、高沸点、封止末端の安定性および価格等の点か
ら、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、
デシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミ
ン、アニリンが特に好ましい。
【0020】ポリアミド系樹脂(I) の製造には、結晶性
ポリアミドを製造する方法として知られている任意の方
法を用いて製造することができる。例えば、酸クロライ
ドとジアミンを原料とする溶液重合法あるいは界面重合
法、ジカルボン酸とジアミンを原料とする溶融重合法、
固相重合法、溶融押出機重合法等の方法により重合可能
である。以下に、本発明者らの研究による好適なポリア
ミド系樹脂(I) の製造方法を示す。
【0021】まず、触媒および必要に応じて末端封止剤
を最初にジアミンおよびジカルボン酸に一括して添加
し、ナイロン塩を製造した後、200〜250℃の温度
において濃硫酸中30℃における極限粘度[η]が0.
10〜0.60dl/gのプレポリマーを製造する。次
いで、これをさらに固相重合するかあるいは溶融押出機
を用いて重合を行うことにより、容易にポリアミド系樹
脂(I) を得ることができる。
【0022】ここで、プレポリマーの極限粘度[η]が
好ましくは0.10〜0.60dl/gの範囲内にある
と、後重合の段階においてカルボキシル基とアミノ基の
モルバランスのずれや重合速度の低下が少なく、さらに
分子量分布の小さな、各種性能や成形性に優れたポリア
ミド系樹脂(I) が得られる。重合の最終段階を固相重合
により行う場合、減圧下または不活性ガス流通下に行う
のが好ましく、重合温度が200〜280℃の範囲内で
あれば、重合速度が大きく、生産性に優れ、着色やゲル
化を有効に押さえることができるので好ましい。重合の
最終段階を溶融押出機により行う場合、重合温度が37
0℃以下であるとポリアミドの分解がほとんどなく、劣
化の無いポリアミド系樹脂(I) が得られるので好まし
い。
【0023】ポリアミド系樹脂(I) を製造するに際し
て、例えば、触媒として、リン酸、亜リン酸、次亜リン
酸や、それらの塩またはそのエステル、具体的にはカリ
ウム、ナトリウム、マグネシウム、バナジウム、カルシ
ウム、亜鉛、コバルト、マンガン、錫、タングステン、
ゲルマニウム、チタン、アンチモン等の金属塩やアンモ
ニウム塩;エチルエステル、イソプロピルエステル、ブ
チルエステル、ヘキシルエステル、イソデシルエステ
ル、オクタデシルエステル、デシルエステル、ステアリ
ルエステル、フェニルエステル等を添加することができ
る。
【0024】ポリアミド系樹脂(I) は、濃硫酸中30℃
の条件下で測定した極限粘度[η]が、好ましくは0.
6〜2.0dl/g、より好ましくは0.7〜1.9d
l/g、特に好ましくは0.8〜1.8dl/gであ
る。極限粘度[η]が0.6dl/g未満の場合、本発
明のポリアミド系樹脂組成物の機械的性質が損なわれ、
逆に2.0dl/gを超えると、本発明のポリアミド系
樹脂組成物の流動性が低下し、成形性が悪化するため好
ましくない。
【0025】本発明における付加重合系ブロック共重合
体(II)は、耐衝撃性を付与するために配合されるもので
あり、芳香族ビニル化合物単位から主としてなる重合体
ブロック(a-1) および/または1,2−結合の含有量が
30モル%未満で、かつ水素添加されたポリブタジエン
ブロック(a-2) からなる重合体ブロック(A) と、水素添
加された共役ジエン化合物単位から主としてなる重合体
ブロック(B) を有する付加重合系ブロック共重合体(II-
1)、並びに芳香族ビニル化合物単位から主としてなる重
合体ブロック(C) とポリイソブチレンブロック(D) を有
する付加重合系ブロック共重合体(II-2)からなる群より
選ばれる少なくとも1種の付加重合系ブロック共重合体
である。
【0026】上記の付加重合系ブロック共重合体(II-1)
は、上記の重合体ブロック(A) と、上記の重合体ブロッ
ク(B) を有するブロック共重合体であり、重合体ブロッ
ク(A) と重合体ブロック(B) の結合形態(ブロック構
造)は特に制限されるものではないが、例えば、重合体
ブロック(A) をAで、重合体ブロック(B) をBで表した
時に、A−Bで表されるジブロック重合体、A−B−A
またはB−A−Bで表されるトリブロック重合体、A−
B−A−Bで表されるテトラブロック重合体、AとBと
が交互に5個以上直鎖状に結合しているポリブロック共
重合体等を挙げることができる。これらの中でも、A−
Bで表されるジブロック重合体、A−B−Aで表される
トリブロック重合体を使用するのが好ましい。
【0027】上記の付加重合系ブロック共重合体(II-2)
は、上記の重合体ブロック(C) と、上記の重合体ブロッ
ク(D) を有するブロック共重合体であり、重合体ブロッ
ク(C) と重合体ブロック(D) の結合形態(ブロック構
造)は特に制限されるものではないが、例えば、重合体
ブロック(C) をCで、重合体ブロック(D) をDで表した
時に、C−Dで表されるジブロック重合体、C−D−C
またはD−C−Dで表されるトリブロック重合体、C−
D−C−Dで表されるテトラブロック重合体、CとDと
が交互に5個以上直鎖状に結合しているポリブロック共
重合体等を挙げることができる。これらの中でも、C−
Dで表されるジブロック重合体、C−D−Cで表される
トリブロック重合体を使用するのが好ましい。
【0028】付加重合系ブロック共重合体(II-1)におけ
る重合体ブロック(A) の構成ブロックとなり得る重合体
ブロック(a-1) 、および付加重合系ブロック共重合体(I
I-2)における重合体ブロック(C) は、芳香族ビニル化合
物単位から主としてなる重合体ブロックである。重合体
ブロック(a-1) および重合体ブロック(C) における芳香
族ビニル化合物単位を形成する芳香族ビニル化合物とし
て、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレ
ン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4
−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアント
ラセン等を挙げることができ、そのうちでも、ポリアミ
ド系樹脂組成物の耐衝撃性、強度、弾性率等がより良好
になる点からスチレン、α−メチルスチレンが好まし
く、スチレンが特に好ましい。重合体ブロック(a-1) お
よび重合体ブロック(C) は、1種の芳香族ビニル化合物
単位から構成されていても、または2種以上の芳香族ビ
ニル化合物単位から構成されていてもよい。
【0029】芳香族ビニル化合物単位から主としてなる
重合体ブロック(a-1) および重合体ブロック(C) は、芳
香族ビニル化合物単位と共に、イソプレン、ブタジエン
等の共役ジエン等から誘導される単位を、全構造単位の
30モル%以下、好ましくは10モル%以下の割合で含
有していてもよい。
【0030】また、付加重合系ブロック共重合体(II-1)
における重合体ブロック(A) の構成ブロックとなり得る
ポリブタジエンブロック(a-2) は、そのポリブタジエン
ブロックにおける1,2−結合の含有量が30モル%未
満であり、25モル%以下であるのが好ましい。それと
共に、ポリブタジエンブロック(a-2) は不飽和結合の一
部または全部が水素添加によって飽和結合になってい
る。また、水素添加前のポリブタジエンブロック(a-2)
では、全構造単位の30モル%未満、好ましくは25モ
ル%以下がビニルエチレン基[−CH(CH=CH2
−CH2 −;1,2−結合のブタジエン単位]であり、
残りが2−ブテン−1,4−ジイル基(−CH2 −CH
=CH−CH2 −;1,4−結合のブタジエン単位)で
ある。
【0031】付加重合系ブロック共重合体(II-1)におけ
る重合体ブロック(B) は、水素添加された共役ジエン化
合物単位から主としてなる重合体ブロックである。共役
ジエン化合物単位を形成する共役ジエン化合物として
は、イソプレン、ブタジエン、ヘキサジエン、2,3−
ジメチル−1,3−ブタジエン、ペンタジエン等を挙げ
ることができ、これらの中でもイソプレンおよび/また
はブタジエンが好ましい。重合体ブロック(B) は、これ
らの共役ジエン化合物の1種から構成されていても、ま
たは2種以上から構成されていてもよい。重合体ブロッ
ク(B) は、共役ジエン化合物単位と共に、例えば、スチ
レン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物等か
ら誘導される単位を、全構造単位の30モル%以下、好
ましくは10モル%以下の割合で含有してもよい。さら
に、重合体ブロック(B) は、不飽和結合の一部または全
部が水素添加によって飽和結合となっている。
【0032】付加重合系ブロック共重合体(II-1)におけ
る重合体ブロック(B) は、特に、水素添加されたポリイ
ソプレンブロック(b-1) 、1,2−結合の含有量が30
〜80モル%で、かつ水素添加されたポリブタジエンブ
ロック(b-2) および水素添加されたイソプレン/ブタジ
エン共重合体ブロック(b-3) からなる群から選ばれる少
なくとも1種であるのが好ましい。
【0033】付加重合系ブロック共重合体(II-1)におけ
る重合体ブロック(B) の構成ブロックとして好ましいポ
リイソプレンブロック(b-1) は、イソプレンに由来する
モノマー単位から主としてなるポリイソプレンの不飽和
結合の一部または全部が水素添加されて飽和結合になっ
ている重合体ブロックである。水素添加前のポリイソプ
レンブロック(b-1) では、イソプレンに由来する単位
は、2−メチル−2−ブテン−1,4−ジイル基[−C
2 −C(CH3 )=CH−CH2 −;1,4−結合の
イソプレン単位]、イソプロペニルエチレン基[−CH
{−C(CH3 )=CH2 }−CH2 −;3,4−結合
のイソプレン単位]および1−メチル−1−ビニルエチ
レン基[−C(CH3 )(CH=CH2 )−CH2 −;
1,2−結合のイソプレン単位]からなる群より選ばれ
る少なくとも1種である。
【0034】付加重合系ブロック共重合体(II-1)におけ
る重合体ブロック(B) の構成ブロックとして好ましいポ
リブタジエンブロック(b-2) は、そのポリブタジエンブ
ロックにおける1,2−結合の含有量が好ましくは30
〜80モル%、より好ましくは35〜60モル%であ
り、しかも不飽和結合の一部または全部が水素添加によ
って飽和結合になっているポリブタジエンブロックであ
る。水素添加前のポリブタジエンブロック(b-2) では、
好ましくは全構造単位の30〜80モル%、より好まし
くは35〜60モル%がビニルエチレン基[−CH(C
H=CH2 )−CH2 −;1,2−結合のブタジエン単
位]であり、好ましくは70〜20モル%、より好まし
くは65〜40モル%が2−ブテン−1,4−ジイル基
(−CH2−CH=CH−CH2 −;1,4−結合ブタ
ジエン単位)である。
【0035】また、付加重合系ブロック共重合体(II-1)
における重合体ブロック(B) の構成ブロックとして好ま
しいイソプレン/ブタジエン共重合体ブロック(b-3)
は、イソプレンに由来する単位およびブタジエンに由来
する単位から主としてなるイソプレン/ブタジエン共重
合体であって、且つその不飽和結合の一部または全部が
水素添加によって飽和結合になっている共重合体ブロッ
クである。水素添加前のイソプレン/ブタジエン共重合
体ブロック(b-3) においては、イソプレンに由来する単
位は、2−メチル−2−ブテン−1,4−ジイル基、イ
ソプロペニルエチレン基および1−メチル−1−ビニル
エチレン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基
であり、またブタジエンに由来する単位はビニルエチレ
ン基および/または2−ブテン−1,4−ジイル基であ
る。そして、水素添加前におけるイソプレン/ブタジエ
ン共重合体ブロック(b-3) におけるそれらの基の割合は
特に制限されない。また、イソプレン/ブタジエン共重
合体ブロック(b-3) において、ブタジエンに由来する単
位とイソプレンに由来する単位とは、ランダム状、ブロ
ック状、テーパーブロック状のいずれの配置形態になっ
ていてもよい。
【0036】付加重合系ブロック共重合体(II-1)の構成
ブロックとなり得るポリブタジエンブロック(a-2) およ
び共重合体ブロック(B) では、上記したように、その炭
素−炭素間二重結合の一部が水素添加されていても、ま
たは全部が完全に水素添加されていてもよいが、炭素−
炭素間二重結合の50モル%以上、特に80モル%以上
が水素添加されていること(すなわち不飽和度が50モ
ル%以下、特に20モル%以下になっていること)が、
ポリアミド系樹脂組成物における耐熱劣化性および耐候
性が良好となる点から好ましい。
【0037】また、付加重合系ブロック共重合体(II-2)
におけるポリイソブチレンブロック(D) は、イソブチレ
ン単位[−C(CH3 2 −CH2 −]からなる重合体
ブロックである。
【0038】付加重合系ブロック共重合体(II-1)におけ
る{重合体ブロック(A) の合計含有量}:{重合体ブロ
ック(B) の合計含有量}、および付加重合系ブロック共
重合体(II-2)における{重合体ブロック(C) の含有
量}:{ポリイソブチレンブロック(D) の含有量}は、
それぞれ1:9〜9:1(重量比)の範囲であるのが、
ポリアミド系樹脂組成物の耐熱性を高く保つと共に耐衝
撃性、強度、弾性率等を良好なものとする点から好まし
く、それぞれが2:8〜7:3(重量比)であるのがよ
り好ましい。
【0039】付加重合系ブロック共重合体(II-1)におけ
る重合体ブロック(A) および付加重合系ブロック共重合
体(II-2)における重合体ブロック(C) は、それぞれその
数平均分子量が2500〜100000の範囲にあるの
が好ましい。また、付加重合系ブロック共重合体(II-1)
における重合体ブロック(B) および付加重合系ブロック
共重合体(II-2)におけるポリイソブチレンブロック(D)
の数平均分子量はそれぞれ10000〜200000の
範囲にあるのが好ましい。そして、付加重合系ブロック
共重合体(II-1)および付加重合系ブロック共重合体(II-
2)の数平均分子量は、それぞれ12500〜30000
0の範囲にあるのが好ましい。
【0040】また、付加重合系ブロック共重合体(II)と
して、その分子内にポリアミド系樹脂(I) と反応し得る
官能基を有する付加重合系ブロック共重合体を用いる
と、ポリアミド系樹脂組成物の耐衝撃性がより優れたも
のになるので好ましい。その場合の官能基としては、ポ
リアミド系樹脂(I) と反応し得る官能基であれば特に制
限はなく、例えば、カルボキシル基、酸無水物基(-CO-O
-CO-) 、アミノ基、水酸基、エポキシ基、アミド基、イ
ソシアネート基、エステル基、チオール基、チオエステ
ル基、2−オキサゾリン基等の環状イミノエーテル基等
を挙げることができ、この中でもカルボキシル基、酸無
水物基、アミノ基、水酸基、エポキシ基、アミド基およ
びイソシアネート基が好ましい。
【0041】ポリアミド系樹脂(I) と反応し得る官能基
を有する付加重合系ブロック共重合体(II)において、そ
の官能基は、分子主鎖や分子側鎖の途中または分子末端
のいずれに位置していてもよい。また、付加重合系ブロ
ック共重合体における官能基の含有量は、平均して1分
子当たり0.5個以上であることが好ましい。
【0042】本発明のポリアミド系樹脂組成物では、上
記した付加重合系ブロック共重合体(II)のうち、1種類
または2種類以上の付加重合系ブロック共重合体を使用
することができる。
【0043】本発明のポリアミド系樹脂組成物では、ポ
リアミド系樹脂(I) の含有量と付加重合系ブロック共重
合体(II)の含有量との比は、重量比で好ましくは99:
1〜50:50、より好ましくは97:3〜60:4
0、特に好ましくは95:5〜70:30の範囲内にあ
る。付加重合系ブロック共重合体(II)の含有量が1重量
%未満の場合ポリアミド系樹脂組成物の耐衝撃性が向上
せず、逆に50重量%を超えるとポリアミド系樹脂組成
物の耐熱性が低下するおそれがある。
【0044】本発明のポリアミド系樹脂組成物は、必要
に応じてガラス繊維、炭素繊維、ホウ素繊維、アラミド
繊維、液晶ポリエステル繊維等の繊維状充填剤、シリ
カ、シリカアルミナ、アルミナ、タルク、グラファイ
ト、二酸化チタン、二硫化モリブデン、ポリテトラフル
オロエチレン等の粉末状充填剤と組み合わせて使用する
ことができる。これらの充填剤は通常、本発明の組成物
100重量部に対し1〜100重量部を配合して使用す
ると、機械的特性と成形性のバランスが取れ、好まし
い。
【0045】さらに、本発明のポリアミド系樹脂組成物
は、上記の添加剤の他に、必要に応じて、従来から公知
の銅系安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒ
ンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオ
系酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、帯
電防止剤、可塑剤、滑剤、結晶核剤、難燃剤あるいは他
種ポリマー等も添加することができる。
【0046】本発明のポリアミド系樹脂組成物の調製法
は特に制限されず、ポリアミド系樹脂(I) および付加重
合系ブロック共重合体(II)を均一に混合させ得る方法で
あればいずれでもよく、通常、前記2種類の重合体を必
要に応じて他の成分と共に溶融混練することによって製
造することができる。溶融混練は、単軸押出機、二軸押
出機、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を使用
して行うことができ、その際に使用する装置の種類や溶
融混練条件等は特に限定されないが、概ね300〜35
0℃の範囲の温度で1〜30分間混練することにより、
本発明のポリアミド系樹脂組成物を得ることができる。
【0047】本発明のポリアミド系樹脂組成物を用いて
成形品を製造するに当たっては、目的とする成形品の種
類、用途、形状等に応じて、ポリアミド系樹脂に対して
一般に用いられている種々の成形方法や成形装置が使用
できる。何ら限定されるものではないが、本発明のポリ
アミド系樹脂組成物を用いて、例えば、射出成形、押出
成形、プレス成形、ブロー成形、カレンダー成形、流延
成形等の任意の成形法によって成形品を製造することが
でき、またそれらの成形技術の複合によっても成形を行
うことができる。さらに、他のポリマーとの複合成形に
よっても成形することができる。
【0048】上記の成形により、自動車部品、工業材
料、産業資材、電気電子部品、機械部品、事務機器用部
品、家庭用品、シート、フイルム、繊維、その他の任意
の形状および用途の各種成形品を製造することができ
る。
【0049】
【実施例】以下に本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はそれにより限定されない。以下の実施例
および比較例において、ポリアミド系樹脂組成物の試験
片の作製、耐衝撃性、耐熱性、平衡吸水率、耐熱水性お
よび耐薬品性の評価は次のようにして行った。
【0050】1.試験片の作製 実施例または比較例で得られたポリアミド系樹脂組成物
のペレットを成形材料として用いて、日精樹脂工業株式
会社製の80トン射出成形機を使用して、シリンダー温
度320℃および金型温度150℃の条件下で、耐衝撃
性評価用の試験片(寸法:長さ×厚さ×幅=64mm×
12.7mm×3.2mm)、耐熱性評価用の試験片
(寸法:長さ×厚さ×幅=128mm×6.2mm×1
2.7mm)、耐熱水性および耐薬品性評価用のJIS
1号ダンベル形試験片(厚み3.2mm)をそれぞれ作
製した。また、実施例または比較例で得られたポリアミ
ド系樹脂組成物のペレットを成形材料として用いて、株
式会社神藤金属工業所の圧縮成形機を使用して、温度3
20℃およびプレス圧力100kg/cm2 の条件で、
平衡吸水率測定用のプレスシート(寸法:長さ×厚さ×
幅=50mm×0.2mm×50mm)を作製した。
【0051】2.耐衝撃性の評価(ノッチ付アイゾット
衝撃値の測定) 上記で作製した試験片を用いて、JIS K7110に
準じて、アイゾット衝撃試験器(株式会社東洋精機製作
所製)を使用して、ノッチ付アイゾット衝撃値を測定し
た。
【0052】3.耐熱性の評価(加重撓み温度の測定) 上記で作製した試験片を用いて、JIS K7207に
準じて、加重ひずみ温度測定機(株式会社東洋精機製作
所製)を使用して、18.6kgfの加重下で加重撓み
温度(DTUL)を測定した。
【0053】4.平衡吸水率の測定 上記で作製した試験片を減圧下にて5日間乾燥し、秤量
した後、23℃の水中に10日間浸漬し、秤量して、そ
の増量分の浸漬前の重量に対する割合で平衡吸水率を測
定した。
【0054】5.耐熱水性の評価 上記で作製した試験片を小型圧力容器(タバイエスペッ
ク株式会社製)中で、120℃、2気圧の条件下で、1
20時間スチーム処理を行った後、120℃で120時
間真空乾燥した。処理後の試験片を用いて、オートグラ
フ(株式会社島津製作所製)を使用して引張降伏強さを
測定し、処理前の試験片の引張降伏強さに対する保持率
を求めた。
【0055】6.耐薬品性の評価 上記で作製した試験片を23℃のメチルアルコール中に
7日間浸漬し、その後オートグラフ(株式会社島津製作
所製)を使用して引張降伏強さを測定し、浸漬前の試験
片の引張降伏強さに対する保持率を求めた。
【0056】ポリアミド系樹脂(I) 、付加重合系ブロッ
ク重合体(II)およびポリアミド系樹脂(III) として下記
のものを使用した。
【0057】ポリアミド系樹脂(I) ・PA9T:テレフタル酸をジカルボン酸単位とし、
1,9−ノナンジアミンをジアミン単位とするポリアミ
ド系樹脂 ・PA9MT:テレフタル酸をジカルボン酸単位とし、
1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オ
クタンジアミンをジアミン単位とするポリアミド系樹脂
【0058】付加重合系ブロック重合体(II) ・SEPS〔(ポリスチレン)−(ポリイソプレンの水
添物)−(ポリスチレン)トリブロック共重合体、スチ
レン含量30重量%、株式会社クラレ製「セプトン20
07」〕 ・Mah−SEBS〔無水マレイン酸変性の(ポリスチ
レン)−(ポリブタジエンの水添物)−(ポリスチレ
ン)トリブロック共重合体、スチレン含量30重量%、
無水マレイン酸付加量10mgCH3 ONa/g、旭化
成工業株式会社製「タフテックM1913」〕
【0059】ポリアミド系樹脂(III) ・PA6IT:テレフタル酸およびイソフタル酸をジカ
ルボン酸単位とし、1,6−ヘキサンジアミンをジアミ
ン単位とするポリアミド系樹脂。
【0060】製造例1(PA9Tの製造例) ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を3272.9g
(19.7モル)、ジアミン成分として1,9−ノナン
ジアミン3165.8g(20.0モル)、末端封止剤
として安息香酸73.27g(0.60モル)、次亜リ
ン酸ナトリウム一水和物6.5g(原料に対して0.1
重量%)および蒸留水6リットルを内容積20リットル
のオートクレーブに入れ、窒素置換した。100℃で3
0分間撹拌し、2時間かけて内部温度を210℃に昇温
した。この時、オートクレーブは22kg/cm2 まで
昇圧した。そのまま1時間反応を続けた後230℃に昇
温し、その後2時間、230℃に温度を保ち、水蒸気を
徐々に抜いて圧力を22kg/cm2 に保ちながら反応
させた。次に、30分かけて圧力を10kg/cm 2
で下げ、更に1時間反応させて、極限粘度[η](濃硫
酸中30℃で測定)が0.25dl/gのプレポリマー
を得た。これを、100℃、減圧下で12時間乾燥し、
2mm以下の大きさまで粉砕した。これを230℃、
0.1mmHg下にて、10時間固相重合し、融点が3
17℃、極限粘度[η](濃硫酸中30℃で測定)が
1.30dl/g、末端の封止率が90%であるポリア
ミドを得た。
【0061】製造例2(PA9MTの製造例) 製造例1において、ジアミン成分として1,9−ノナン
ジアミン2849.2g(18.0モル)、2−メチル
−1,8−オクタンジアミン316.58g(2.0モ
ル)を使用したこと以外は、製造例1と同様の方法によ
り重合を行い、融点が308℃、極限粘度[η](濃硫
酸中30℃で測定)が1.30dl/g、末端の封止率
が90%であるポリアミドを得た。
【0062】製造例3(PA6ITの製造例) 製造例1において、ジカルボン酸成分としてテレフタル
酸2325.9g(14.0モル)およびイソフタル酸
996.8g(6.0モル)、ジアミン成分として1,
6−ヘキサンジアミン2324.2g(20.0モ
ル)、末端封止剤として安息香酸24.43g(0.2
0モル)を使用したこと以外は、製造例1と同様の方法
により重合し、融点が310℃、極限粘度[η](濃硫
酸中30℃で測定)が1.30dl/g、末端の封止率
が90%であるポリアミドを得た。
【0063】実施例1〜8 上記したポリアミド系樹脂(I) および付加重合系ブロッ
ク共重合体(II)を下記の表1に示す割合(重量部)で予
備混合した後、二軸押出機(株式会社日本製鋼所製「T
EX44C」)に供給してシリンダー温度320℃の条
件下に溶融混練して押し出し、冷却、切断してペレット
を製造した。このペレットを用いて上記した方法で試験
片を作製し、そのノッチ付きIZOD衝撃値、加重撓み
温度、平衡吸水率、耐熱水性および耐薬品性を上記した
方法で測定した。その結果を表1に示す。
【0064】比較例1〜4 上記したポリアミド系樹脂(III) および付加重合系ブロ
ック共重合体(II)を下記の表2に示す割合(重量部)で
使用したこと以外は、実施例1と同様の方法によりペレ
ットを製造した。このペレットを用いて上記した方法で
試験片を作製し、そのノッチ付きIZOD衝撃値、加重
撓み温度、平衡吸水率、耐熱水性および耐薬品性を上記
した方法で測定した。その結果を表2に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】上記の表1および表2より、実施例1〜8
のポリアミド系樹脂組成物は、ポリアミド系樹脂(III)
および付加重合系ブロック共重合体(II)からなる比較例
1〜4のポリアミド系樹脂組成物に対して、耐衝撃性、
耐熱性、低吸水性、耐熱水性および耐薬品性に極めて優
れていることがわかる。
【0068】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
ポリアミド系樹脂組成物は、優れた耐衝撃性を有すると
ともに、耐熱性、低吸水性、耐熱水性、耐薬品性等の特
性に優れることから、自動車部品、工業材料、産業資
材、電気/電子部品、家庭用品その他の広範な用途に極
めて有効に使用することができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テレフタル酸単位を60〜100モル%
    含むジカルボン酸単位(I-1) と、1,9−ノナンジアミ
    ン単位および/または2−メチル−1,8−オクタンジ
    アミン単位を60〜100モル%含むジアミン単位(I-
    2) とからなるポリアミド系樹脂(I) と、 芳香族ビニル化合物単位から主としてなる重合体ブロッ
    ク(a-1) および/または1,2−結合の含有量が30モ
    ル%未満で、かつ水素添加されたポリブタジエンブロッ
    ク(a-2) からなる重合体ブロック(A) と、水素添加され
    た共役ジエン化合物単位から主としてなる重合体ブロッ
    ク(B) を有する付加重合系ブロック共重合体(II-1)、並
    びに芳香族ビニル化合物単位から主としてなる重合体ブ
    ロック(C) とポリイソブチレンブロック(D) を有する付
    加重合系ブロック共重合体(II-2)からなる群より選ばれ
    る少なくとも1種の付加重合系ブロック共重合体(II)と
    を含有することを特徴とするポリアミド系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 1,9−ノナンジアミン単位と2−メチ
    ル−1,8−オクタンジアミン単位のモル比が100:
    0〜20:80であることを特徴とする請求項1記載の
    ポリアミド系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 重合体ブロック(B) が、水素添加された
    ポリイソプレンブロック(b-1) 、1,2−結合の含有量
    が30〜80モル%で、かつ水素添加されたポリブタジ
    エンブロック(b-2) および水素添加されたイソプレン/
    ブタジエン共重合体ブロック(b-3) からなる群から選ば
    れる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記
    載のポリアミド系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 付加重合系ブロック共重合体(II)が、そ
    の分子内に、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基、
    水酸基、エポキシ基、アミド基およびイソシアネート基
    からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有す
    ることを特徴とする請求項1または3に記載のポリアミ
    ド系樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 ポリアミド系樹脂(I) の含有量と付加重
    合系ブロック共重合体(II)の含有量との比が、重量比で
    99:1〜50:50であることを特徴とする請求項1
    記載のポリアミド系樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 ポリアミド系樹脂(I) の濃硫酸中30℃
    で測定した極限粘度[η]が、0.6〜2.0dl/g
    であることを特徴とする請求項1記載のポリアミド系樹
    脂組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載のポリア
    ミド系樹脂組成物からなる成形品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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