JP2000198993A - 転がり軸受および転がり軸受用グリ―ス - Google Patents

転がり軸受および転がり軸受用グリ―ス

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JP2000198993A
JP2000198993A JP30556899A JP30556899A JP2000198993A JP 2000198993 A JP2000198993 A JP 2000198993A JP 30556899 A JP30556899 A JP 30556899A JP 30556899 A JP30556899 A JP 30556899A JP 2000198993 A JP2000198993 A JP 2000198993A
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lubricating grease
grease
bearing
lubricating
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Eishin Mikami
英信 三上
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Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 転がり軸受が、回転時に潤滑不足を起こさず
に安定した低トルクで騒音を発することなく回転するも
のとし、併せてこの種の転がり軸受の使用耐久時間の長
期化(長寿命化)を計る。また、軸受の高速回転時に遠
心力で飛散し難い転がり軸受用グリースとし、電子情報
等の記録再生装置の誤動作や騒音を防止する。 【解決手段】 転がり軸受内の摩擦面に、40℃におけ
る動粘度が10mm 2 /s以上の潤滑油を30重量%以
上含有する基油に、増ちょう剤としてウレアまたは炭素
数12〜24の脂肪酸リチウム塩などのリチウム石鹸を
配合し、混和稠度(JIS K2220)を175〜2
50に調整した潤滑グリースとし、またはこのような潤
滑グリースを保持した転がり軸受もしくは内径10mm
未満の小径高速転がり軸受とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、転がり軸受、転
がり軸受用グリースおよび小径高速転がり軸受に関し、
特に低騒音で長時間回転する特性が要求される空気調節
機、さらに耐久性が要求される掃除機、洗濯機などの家
電機器に適用できる転がり軸受および転がり軸受用グリ
ース、またはハードディスクドライブ(HDD)などの
電子情報の記録・再生装置などにも適用できる小径高速
転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、掃除機、洗濯機、空調機器(エ
アコン)などの家電機器に用いられている転がり軸受に
は、回転時に駆動音を抑えて静寂性が要求されるので、
長時間使用した場合にも騒音が発生しない軸受が要求さ
れている。
【0003】また、近年開発されたハードディスクドラ
イブ(HDD)、ビデオテープレコーダ(VTR)など
の磁気記録・再生装置、レーザービームプリンタ(LB
P)などの印刷機器、コンパクトディスク(CD)、C
D−ROM、デジタルビデオディスク(DVD)、DV
D−ROMその他の電子情報等の記録・再生装置用の転
がり軸受には、これらの装置の小形化の要求などに伴っ
て、消費電力を抑えるための低トルク化が望まれてい
る。
【0004】従来、上記装置に使用されるミニアチュア
軸受と呼ばれるような小径で高速回転する転がり軸受、
またはその他の転がり軸受の潤滑には、潤滑油や潤滑グ
リースなどが用いられてきた。
【0005】因みに、家電機器や電子情報等の記録・再
生装置に装着された転がり軸受に騒音が発生する原因と
して、転がり面における潤滑剤不足による潤滑不良と予
想される。その状態は軸受回転トルクの変動の有無によ
っても推測できる。
【0006】また、転がり軸受内に保持されている潤滑
グリースは、ちょう度に応じて潤滑(攪拌)抵抗があ
り、回転軸に所要のトルクを負荷してトルクを変動させ
るので、この点を改良すると共に、高速回転時にも低発
塵化、長寿命化を図る潤滑組成物として、特開平8−2
83767号公報には、40℃での動粘度が10mm2
/s以上のエステル油を必須成分とした潤滑剤組成物が
開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来
の潤滑剤組成物は、転がり軸受の回転トルクを小さくす
るために、きわめて少量を転がり軸受内に塗布または充
填して用いられていて、軸受から遠心力で潤滑剤の極少
量が飛散しただけでも潤滑不足が起こりやすいという問
題点があった。
【0008】そして、回転する転がり軸受の摩擦面から
潤滑グリースが流出した結果、潤滑不足になると、軸受
の回転トルクが急増して家電機器の摩擦面から騒音が発
生する。
【0009】因みに、転がり軸受に騒音が発生する原因
として、転がり面における潤滑剤不足による潤滑不良と
予想され、その状態は軸受回転トルクの変動の有無によ
っても推測できる。
【0010】また、高速回転する電子情報等記録再生装
置の小径高速転がり軸受の摩擦面に潤滑油が不足する
と、ほぼ同時に騒音が発生し、軸受の回転トルクが急増
して電子情報等の記録・再生装置の精密な機構に悪影響
を与えて電子情報の記録・再生の信頼性が低くなる。
【0011】そこで、本願の転がり軸受および転がり軸
受用グリースに係る発明の課題は、上記した問題を解決
して転がり軸受が、回転時に潤滑不足を起こさずに安定
した低トルクで騒音を発することなく回転する転がり軸
受とし、併せてこの種の転がり軸受の使用耐久時間の長
期化(長寿命化)を計ることである。
【0012】また、本願の小径高速転がり軸受係る発明
の課題は、上記した問題点を解決して、電子情報の記録
・再生装置等に用いられる小径高速転がり軸受が、高速
回転時に遠心力で潤滑グリースを飛散し難いものとし、
小径高速転がり軸受が電子情報機器に用いられている場
合にその誤動作や騒音を防止し、またこの種の転がり軸
受の使用耐久時間の長期化を計ることである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本願の転がり軸受に係る発明においては、転がり軸
受内に、混和ちょう度(JIS K2220)を175
〜250に調整した潤滑グリースを保持した転がり軸
受、または内径10mm未満の小径高速転がり軸受とし
たのである。
【0014】また、前記の課題を解決するため、本願の
潤滑グリースに係る発明においては、混和ちょう度(J
IS K2220)を175〜250に調整した潤滑グ
リースからなる転がり軸受用グリースとしたのである。
【0015】前記の転がり軸受に保持される潤滑グリー
スは、この発明の目的をより確実に達成するために、4
0℃における動粘度10mm2 /s以上のエステル油を
含有する基油に、リチウム石鹸またはウレアからなる増
ちょう剤を配合した潤滑グリースとしたのである。
【0016】また、転がり軸受に保持される上記潤滑グ
リースは、40℃における動粘度が10mm2 /s以上
のエステル油を30重量%以上含有する基油に、増ちょ
う剤として炭素数12〜24の脂肪酸リチウム塩を配合
し、混和ちょう度(JISK2220)を175〜25
0に調整した潤滑グリースであるものが好ましい。
【0017】混和ちょう度を所定範囲に調整した潤滑グ
リースは、回転する転がり軸受内で攪拌されてせん断を
受けた際にも所定のちょう度を維持するので、軸受外に
飛散し難くまたは流出し難くなり、軸受内に潤滑不足を
起こさない。
【0018】また、40℃における動粘度が10mm2
/s以上のエステル油を好ましくは30重量%以上含有
する基油を採用した潤滑グリースは、グリースから摩擦
面に供給される潤滑油(基油)が所定の動粘度を有し、
摩擦面に所要の厚みで潤滑油膜を形成するので、家電機
器等の転がり軸受の回転状態、特に電子情報の記録・再
生装置等に用いる小径高速転がり軸受の10000rp
mを越えるような高速回転状態での潤滑性が向上し、軸
受回転トルクを低く安定させる作用がある。
【0019】また、炭素数12〜24の脂肪酸リチウム
塩を50重量%以上含有する増ちょう剤を配合した前記
潤滑グリースは、高温でのちょう度が充分に安定する。
【0020】本願の発明に係る小径高速転がり軸受は、
前記潤滑グリースが飛散・流出しにくいので、高速回転
時に潤滑不足を起こさずに安定した低トルクで騒音を発
することなく回転するようになる。また、上記潤滑グリ
ースの作用によって、転がり軸受の騒音は防止され、転
がり軸受の使用耐久性が増し、電子情報の記録・再生装
置にこの種の転がり軸受を用いることにより電子情報の
記録・再生時のエラーが防止される。
【0021】
【発明の実施の形態】本願の各発明に用いる転がり軸受
は、通常、内輪と外輪の間に「ころ」または「玉(ボー
ル)」からなる多数の転動体を配置し、回転軸のラジア
ル方向もしくはスラスト方向または両方向から支持する
転がり軸受であり、前記各転動体同士の間隔を保持器で
配置したものである。因みに、電子情報等の記録・再生
装置には、通常、軸受の内径が10mm未満で外径3〜
30mm程度の転がり軸受が多く用いられ、ミニアチュ
ア軸受と呼ばれる軸受もこのような軸受に含まれるもの
である。
【0022】本願の各発明に用いるグリースの基油は、
家電機器において3000〜10000rpmの回転状
態で使用される際、または電子情報等の記録再生装置に
おける転がり軸受においては10000rpmを越える
ような高速回転条件で使用された際に、加熱される場合
があることを想定し、そのような温度以上に設定される
使用限界温度を満足するような耐熱性を有するものであ
ればよい。通常、基油は、種類を限定せずに使用できる
が、100℃程度の加熱にも耐える好ましいものとして
はエステル系潤滑油、合成炭化水素油、エーテル油が挙
げられる。
【0023】上記したエステル系潤滑油の種類は、例え
ば二塩基酸と分岐アルコールの反応から得られるジエス
テル油、芳香族系三塩基酸と分岐アルコールの反応から
得られる芳香族エステル油、多価アルコールと一塩基酸
の反応から得られるポリオールエステル油が挙げられ
る。
【0024】ジエステル油としては、ジオクチルアジペ
ート(DOA)、ジイソブチルアジペート(DIB)、
ジブチルアジペート(DBA)、ジオクチルアゼレート
(DOZ)、ジブチルセバケート(DBS)、ジオクチ
ルセバケート(DOS)等が挙げられる。
【0025】芳香族エステル油としては、トリオクチル
トリメリテート(TOTM)、トリデシルトリメリテー
ト、テトラオクチルピロメリテートなどが挙げられる。
【0026】ポリオールエステル油としては、以下に示
す多価アルコールと一塩基酸を反応させて得られるもの
が挙げられる。多価アルコールに反応させる一塩基酸は
単独で用いてもよいし複数を用いても良い。さらに、多
価アルコールと二塩基酸・一塩基酸も混合脂肪酸とオリ
ゴエステルのコンプレックスエステルとして用いても良
い。
【0027】多価アルコールエステルとしては、トリメ
チロールプロパン(TMP)、ペンタエリスリトール
(PE)、ジペンタエリスリトール(DPE)、ネオペ
ンチルグリコール(NPG)、2−メチル−2−プロピ
ル−1,3−プロパンジオール(MPPD)などが挙げ
られる。
【0028】一塩基酸としては、主に炭素数4〜18の
一価の脂肪酸であり、具体例としては、酢酸、吉草酸、
カプロン酸、カプリル酸、エナント酸、ペラルゴン酸、
カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、牛脂酸、ステアリン酸、カプロレイ
ン酸、ウンデシレン酸、リンデル酸、ツズ酸、フィゼテ
リン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロ
セリン酸、オレイン酸、エライジン酸、アスクレピン
酸、バクセン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン
酸、サビニン酸、リシノール酸などが挙げられる。
【0029】合成炭化水素油としては、ポリ−α−オレ
フィン油、α−オレフィンとエチレンのコオリゴマー合
成油などが挙げられる。
【0030】エーテル油としては、ジフェニル、トリフ
ェニル、テトラフェニルのC12〜C 20の(ジ)アルキル
基が導入されたフェニルエーテル油が好ましい。
【0031】この発明に用いる基油の動粘度の条件は、
40℃で10mm2 /s以上である。40℃の動粘度が
10mm2 /s未満のエステル系潤滑油は、軸受回転の
初期に潤滑油膜が充分に成膜せず、潤滑油膜が途切れる
ことなどによって軸受トルクが充分に安定しない。ま
た、この発明に用いる基油の動粘度の上限は、回転軸の
トルクを考慮して40℃で200mm2 /s以下、好ま
しくは40℃で150mm2 /s以下、より好ましくは
40℃で100mm2 /s以下である。
【0032】この発明に用いる増ちょう剤としては、リ
チウム石鹸またはウレアが適当なものとして例示でき、
これを所定の混和ちょう度になるように配合する。
【0033】リチウム石鹸としては、例えばラウリン酸
(C12)リチウム、ミリスチン酸(C14)リチウム、パ
ルミチン酸(C16)リチウム、マルガリン酸(C17)リ
チウム、ステアリン酸(C18)リチウム、アラキジン酸
(C20)リチウム、ベヘン酸(C22)リチウム、リグノ
セリン酸(C24)リチウム、牛脂脂肪酸リチウム、9−
ヒドロキシステアリン酸リチウム、10−ヒドロキシス
テアリン酸リチウム、12−ヒドロキシステアリン酸リ
チウム、9,10−ヒドロキシステアリン酸リチウム、
リシノール酸リチウム、リシノエライジン酸リチウムな
どが挙げられる。このうち、特に好ましいリチウム石鹸
は、ステアリン酸リチウム、12−ヒドロキシステアリ
ン酸リチウムであり、リチウム石鹸以外に他の増ちょう
剤を併用する場合は、リチウム石鹸を増ちょう剤全量の
50重量%以上に配合することが好ましい。
【0034】増ちょう剤のウレアとしては、下記の化1
の式で示されるような周知のジウレア、またはポリウレ
アを使用することができる。
【0035】
【化1】
【0036】(式中、R2 は炭素数6〜15の芳香族系
炭化水素基、脂肪族系炭化水素基または脂環族系炭化水
素基であり、R1 およびR3 は炭素数6〜12の芳香族
系炭化水素基、シクロヘキシル基、炭素数7〜12のシ
クロヘキシル誘導体、炭素数6〜20のアルキル基のい
ずれかを表す。) この発明に用いる潤滑グリースの混和ちょう度(JIS
K2220)は、175〜250である。前記混和ち
ょう度が175未満では、これを保持した転がり軸受に
おける軸受トルクが大きくなり、転がり軸受、特に小径
の転がり軸受では潤滑グリースの封入が困難になる。ま
た、前記混和ちょう度が255を越えると、回転時、特
に高速回転時に転がり軸受に潤滑不足が起こり、高速回
転する転がり軸受に騒音が発生するようになる。
【0037】なお、この発明のグリースには、所期の目
的を阻害しないように周知の防錆剤や酸化防止剤、極圧
添加剤、摩耗抑制剤などの添加剤を配合してもよい。
【0038】因みに、防錆剤としては有機系スルホン酸
金属塩やエステル類などがあり、このうち有機スルホン
酸塩としては、ジノニルナフタレンスルホン酸、重質ア
ルキルベンゼンスルホン酸などの金属塩があり、具体例
としてカルシウムスルホネート、バリウムスルホネー
ト、ナトリウムスルホネートなどが挙げられる。
【0039】前記エステル類としては、ソルビタン誘導
体の多塩基カルボン酸及び多価アルコールの部分エステ
ルであるソルビタンモノラウレート、ソルビタントリラ
ウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモ
ノオレート等が挙げられる。
【0040】酸化防止剤としては、含窒素化合物系酸化
防止剤とフェノール系酸化防止剤のそれぞれ単独または
両者混合したものが挙げられる。窒素化合物系の酸化防
止剤としては、フェニルαナフチルアミン、ジフェニル
アミン、フェニレンジアミン、オレイルアミドアミン、
フェノチアジンなどが挙げられる。フェノール系酸化防
止剤としては、p−tert−ブチルフェニサリシレー
ト、2,6−ジ−tert−ブチル−p−フェニルフェ
ノールなどが挙げられる。
【0041】
【実施例】〔実施例1〜4、比較例1〜3〕表1に示す
配合割合で基油、増ちょう剤および添加剤を配合して潤
滑グリースを調製した。なお、表中の各配合成分は、組
成物全体を100重量%とした場合の含有率(重量%)
である。
【0042】得られた潤滑グリース(実施例1〜4、比
較例1〜3)に対し、以下に示す軸受音響測定試験(1)
、軸受音響測定試験(2) を行い、結果を表1中に併記
した。
【0043】<軸受音響測定試験(1) >潤滑グリースを
封入した608軸受(深溝玉軸受、寸法:内径8mm、
外径22mm)2個を一つのスピンドルに組み込み、こ
のスピンドルを駆動して軸受回転数8000rpm、雰
囲気温度100℃、アキシャル荷重3kgfで回転させ
た。この回転条件でJIS B1548−1960に準
拠して200時間毎に騒音値(dBA)を測定した。各
測定時に騒音値が42dBA未満である場合は再び前記
同条件で軸受を回転させ、さらに200時間後の騒音値
を測定した。そして、騒音値が42dBAに到達するま
で同様な測定を繰り返し、最終的に42dBAに到達し
た時間を調べた。この結果は、下記のように4段階に評
価し、その表記を表1中に併記した。 ◎印 :42dBAに到達した時間が2000時間以上 ○印 :42dBAに到達した時間が1200時間以上
2000時間未満 △印 :42dBAに到達した時間が 400時間以上
1200時間未満 ×印 :42dBAに到達した時間が 400時間未満
【0044】<軸受音響測定試験(2) >潤滑グリースを
封入した684軸受(深溝玉軸受、寸法:内径4mm、
外径9mm)2個を一つのスピンドルに組み込み、この
スピンドルを駆動して軸受回転数20000rpm、雰
囲気温度100℃、アキシャル荷重0.8kgfで回転
させた。この回転条件でJIS B1548−1960
に準拠して100時間毎に騒音値(dBA)を測定し
た。各測定時に騒音値が42dBA未満である場合は、
再度前記同条件で軸受を回転させ、さらに100時間後
の騒音値を測定した。そして、騒音値が42dBAに到
達するまで同様な測定を繰り返し、最終的に42dBA
に到達した時間を調べた。この結果は、下記のように4
段階に評価し、その表記を表1中に併記した。 ◎印 :42dBAに到達した時間が500時間以上 ○印 :42dBAに到達した時間が300時間以上5
00時間未満 △印 :42dBAに到達した時間が100時間以上3
00時間未満 ×印 :42dBAに到達した時間が100時間未満
【0045】
【表1】
【0046】表1の軸受音響測定試験(1) の結果からも
明らかなように、混和ちょう度が265以上(ちょう度
No. 2)の比較例1〜3の潤滑グリースは、試験時間4
00時間未満または1200時間未満で42dBAに達
する騒音が軸受から発生し、過剰の潤滑油が分離して潤
滑グリースを短時間で消費して潤滑グリースが枯渇した
と認められる。
【0047】これに対して、同試験において、混和ちょ
う度が175〜250(ちょう度No. 3〜4)の実施例
1〜4の潤滑グリースは、軸受の騒音値が42dBAに
到達した時間が2000時間以上であり、騒音を発する
ことなく転がり軸受を長寿命化し、家電機器等の騒音を
抑制して使用耐久時間を長期化すると認められる。
【0048】また、表1の軸受音響測定試験(2) の結果
からも明らかなように、混和ちょう度が265以上(ち
ょう度No. 2)の比較例1〜3の潤滑グリースは、試験
時間100時間未満、300時間未満または500時間
未満で42dBAに達する騒音が高速回転する軸受から
発生し、高速回転時に遠心力で潤滑グリースが飛散して
摩擦面に充分な潤滑油膜が形成されなかったと認められ
る。
【0049】これに対して、混和ちょう度が175〜2
50(ちょう度No. 3〜4)の実施例1〜4の潤滑グリ
ースは、軸受の騒音値が42dBAに到達した時間が5
00時間以上であり、転がり軸受を長寿命化して電子情
報等の記録再生装置の誤動作や騒音が抑制されたと認め
られる。
【0050】
【発明の効果】この発明は、以上説明したように、所定
混和ちょう度の潤滑グリースが、転がり軸受の回転時に
遠心力が作用しても飛散し難く、軸受内に潤滑不足が起
こらないので、家電機器や電子情報等の記録再生装置に
使用されるこの種の転がり軸受が、高速回転した時に潤
滑不足を起こさず、安定した低トルクで騒音を発するこ
となく回転し、耐久性(寿命)のよい転がり軸受になる
という利点がある。
【0051】所定の動粘度の基油を採用した前記潤滑グ
リースを保持した転がり軸受は、潤滑油膜の形成性が安
定して潤滑性が向上し、上記効果はより確実に奏され
る。
【0052】リチウム石鹸またはウレアを増ちょう剤と
する潤滑グリース、特に脂肪酸リチウム塩を所定量含有
する増ちょう剤を配合した潤滑グリースを用いた上記の
各発明では、耐熱性に優れていて高速回転する軸受の温
度上昇によっても潤滑グリースが飛散し難くなり、高温
条件でも騒音を発生させ難い転がり軸受になる。
【0053】また、軸受用グリースに係る発明では、混
和ちょう度を所定範囲に調整したので、軸受の回転時に
適当な速度で潤滑油を分離する潤滑グリースになり、家
電機器や電子情報等の記録再生装置の転がり軸受が原因
となる騒音を防止でき、この種の転がり軸受の音響特性
および耐久性(寿命)を向上させる潤滑グリースを提供
できる。
【0054】所定の動粘度の基油を採用した前記潤滑グ
リースは、潤滑油膜の形成性が安定し、上記効果はより
確実に奏される。リチウム石鹸またはウレアを増ちょう
剤とする潤滑グリース、特に脂肪酸リチウム塩を所定量
含有する増ちょう剤を配合した潤滑グリースを用いた上
記の各発明では、耐熱性に優れていて高速回転する軸受
の温度上昇によっても潤滑グリースが飛散し難くなり、
高温条件でも騒音を発生させ難い転がり軸受用グリース
になる。
【0055】また、所定混和ちょう度の潤滑グリースを
保持した小径高速転がり軸受は、軸受の高速回転時に遠
心力が作用しても潤滑グリースが飛散し難く、軸受内に
潤滑不足が起こらないので、家電機器や電子情報等の記
録再生装置に使用されるこの種の転がり軸受が、安定し
た低トルクで騒音を発することなく回転し、耐久性(寿
命)のよい転がり軸受になる。
【0056】また、所定の動粘度の基油を採用した前記
潤滑グリースを保持した小径高速転がり軸受は、潤滑グ
リースの潤滑油膜の形成性が安定して潤滑性が向上し、
より安定した低トルクで騒音を発することなく回転し、
耐久性(寿命)が確実に向上する。
【0057】さらにまた、リチウム石鹸またはウレアを
増ちょう剤とする潤滑グリース、特に脂肪酸リチウム塩
を所定量含有する増ちょう剤を配合した潤滑グリースを
用いた上記の小径高速転がり軸受に係る発明では、耐熱
性に優れていて高速回転する軸受の温度上昇によっても
潤滑グリースは飛散し難く、高温条件でも騒音を発生さ
せ難い特性が確実である。したがって、このような小径
高速転がり軸受は、電子情報等の記録・再生装置にも適
用でき、転がり軸受に起因する装置の誤動作や装置内騒
音を防止できる小径高速転がり軸受になる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10N 40:02 50:10

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 転がり軸受内に、混和ちょう度(JIS
    K2220)を175〜250に調整した潤滑グリー
    スを保持してなる転がり軸受。
  2. 【請求項2】 潤滑グリースが、40℃における動粘度
    10mm2 /s以上のエステル油を含有する基油に、リ
    チウム石鹸またはウレアからなる増ちょう剤を配合した
    潤滑グリースである請求項1記載の転がり軸受。
  3. 【請求項3】 転がり軸受内に潤滑グリースを保持した
    転がり軸受において、前記潤滑グリースは、40℃にお
    ける動粘度10mm2 /s以上のエステル油を30重量
    %以上含有する基油に、増ちょう剤として炭素数12〜
    24の脂肪酸リチウム塩を配合し、混和ちょう度(JI
    S K2220)を175〜250に調整した潤滑グリ
    ースであることを特徴とする転がり軸受。
  4. 【請求項4】 転がり軸受内を潤滑するグリースにおい
    て、この潤滑グリースが混和ちょう度(JIS K22
    20)を175〜250に調整されたものであることを
    特徴とする転がり軸受用グリース。
  5. 【請求項5】 潤滑グリースが、40℃における動粘度
    10mm2 /s以上のエステル油を含有する基油に、リ
    チウム石鹸またはウレアからなる増ちょう剤を配合した
    潤滑グリースである請求項4記載の転がり軸受用グリー
    ス。
  6. 【請求項6】 転がり軸受内を潤滑するグリースにおい
    て、この潤滑グリースは40℃における動粘度10mm
    2 /s以上のエステル油を30重量%以上含有する基油
    に、炭素数12〜24の脂肪酸リチウム塩を50重量%
    以上含有する増ちょう剤を配合し、混和ちょう度(JI
    S K2220)を175〜250に調整した潤滑グリ
    ースであることを特徴とする転がり軸受用グリース。
  7. 【請求項7】 内径10mm未満の転がり軸受内に、混
    和ちょう度(JISK2220)を175〜250に調
    整した潤滑グリースを保持してなる小径高速転がり軸
    受。
  8. 【請求項8】 潤滑グリースは、40℃における動粘度
    10mm2 /s以上のエステル油を含有する基油に、リ
    チウム石鹸またはウレアからなる増ちょう剤を配合した
    潤滑グリースである請求項7記載の小径高速転がり軸
    受。
  9. 【請求項9】 内径10mm未満の転がり軸受内に潤滑
    グリースを保持した小径高速転がり軸受において、前記
    潤滑グリースは、40℃における動粘度が10mm2
    s以上のエステル油を30重量%以上含有する基油に炭
    素数12〜24の脂肪酸リチウム塩を50重量%以上含
    有する増ちょう剤を配合し、混和ちょう度(JIS K
    2220)を175〜250に調整した潤滑グリースで
    あることを特徴とする小径高速転がり軸受。
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