JP2000192276A - 複極型イオン交換膜電解槽 - Google Patents

複極型イオン交換膜電解槽

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JP2000192276A
JP2000192276A JP10376482A JP37648298A JP2000192276A JP 2000192276 A JP2000192276 A JP 2000192276A JP 10376482 A JP10376482 A JP 10376482A JP 37648298 A JP37648298 A JP 37648298A JP 2000192276 A JP2000192276 A JP 2000192276A
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cathode
anode
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power supply
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Tatsuto Kimura
達人 木村
Hajime Ishizaka
肇 石坂
Kiyoyuki Hachitani
潔之 蜂谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 イオン交換膜を損傷させることなく電
極板と膜との間隔を小さくし、低電解電圧かつ高電解電
流密度で運転可能な複極型イオン交換膜電解槽を提供す
る。 【解決手段】 陰極支持部材を、給電リブ基体部と、
これに支持されている可撓体から構成し、可撓体は突出
部を接合部として陰極板に電気的・機械的に接続され、
陰極板を変位可能に支持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水酸化アルカリ水
溶液等の製造に好適に使用できる複極型イオン交換膜電
解槽に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、水酸化アルカリ水溶液の製造用等
に用いられるイオン交換膜電解槽には、フィルタープレ
ス型の電解槽が多く用いられている。これは、陽極室枠
と陰極室枠からなる室枠体とイオン交換膜とを交互に多
数配置して、両側から油圧プレス等で締め付けてなるも
のである。電解槽の形式は、電気的な接続方法の相違に
より、並列接続形式の単極型電解槽( モノポーラーセル
)と直列接続形式の複極型電解槽( バイポーラーセル )
とに大別される。
【0003】複極型電解槽用の室枠体( 陽極室枠と陰極
室枠との総称 )は、図1および図2に示したように、陽
極室15と陰極室25とを背中あわせに配置してなり、
陽極室15を構成する陽極室枠10は、陽極板30と、
これと間隔をおいてほぼ平行に配置された陽極背板40
とからなる。通常、陽極板としては、メッシュ状または
多孔性のものが用いられる。例えば、チタン、ジルコニ
ウム、タンタル等の導電性メツシュ状板を基板とし、こ
れに酸化チタンや酸化ルテニウムもしくは酸化イリジウ
ム等の貴金属の酸化物をコーティングするものである。
【0004】陽極板30と陽極背板40の間には、両者
を電気的に接続し、かつ、その間隔を保持するために、
チタンもしくはチタン合金などの耐蝕性のある導電性の
陽極支持部材( リブとも呼ばれる )50a が所定の間隔
で配置されている。陽極支持部材50a は、例えば板状
の部材からなり、図1および図2の左右方向に電解液が
流通できるように複数の孔( 図示せず )が設けられてい
る。
【0005】陰極室25を形成する陰極室枠20の構造
も陽極室枠10と同じで、通常メッシュ状または多孔性
の陰極板60、陰極背板70および陰極支持部材80a
からなっている。
【0006】同様にして、陰極板60と陰極背板70の
間には、例えば図1に示すように、両者を電気的に接続
し、かつ、その間隔を保持するために、鉄、ニッケル、
ニッケル合金、ステンレスなどの耐蝕性のある導電性の
陰極支持部材80a が所定の間隔で配置されている。
【0007】なお、陽極背板40と陰極背板70は一体
に結合されて隔壁9を構成している。隔壁9を構成する
陽極背板40と陰極背板70との間には導電性を高める
ためにクラッド材等の導電性の中間部材( 図示せず )を
挟んでもよい。隔壁を構成する陽極背板40と陰極背板
70の周辺部は折り曲げられて、筒状体7に溶接等によ
り固定されている。なお、11はイオン交換膜、12は
ガスケットである。陰極板は耐アルカリ性の材質、例え
ば、ニッケル、ステンレス等の導電性のメッシュ状板等
を基板とし、これにラネーニッケルや白金族系などの陰
極活物質をコーティングしたものが好ましい。
【0008】このような複極型電解槽をハロゲン化アル
カリ、例えば食塩の電気分解に用いて水酸化アルカリを
製造する場合には、陽極液としてほとんど飽和した食塩
水溶液を、通常陽極室の下部近くに設けられた陽極電解
液供給口3から陽極室に供給する。陽極室内部では、電
気分解により、陽極板上で塩素ガスが発生し、電解液た
る食塩水溶液とともに、通常陽極室の上部近くに設けら
れた陽極電解液排出口4から陽極室枠の外へ排出され
る。
【0009】一方、陰極室には、一般に陰極室の下辺部
に設置された陰極電解液供給口5から、陰極液として、
水または希釈苛性ソーダ水溶液を陰極室に供給する。陰
極室内では、水素ガスおよび苛性ソーダが生成し、陰極
室の上部近くに設けられた陰極電解液排出口6から陰極
室の外へ排出される。
【0010】この食塩電気分解に用いられるイオン交換
膜の役目は、陽極室側からナトリウムイオンを陰極室側
へ通過せしめ、かつ、陰極側で発生した水酸イオンの陽
極室側への移動を遮断することである。
【0011】通常陽極板30は、陽極室内の陽極支持部
材50a等に溶接等により固定されている。同様に陰極
板60も、陰極室内の陰極支持部材80a等に溶接等に
より固定され、イオン交換膜を介して陽極板30と陰極
板60が所定の距離になるようにガスケット12を介し
て締め付けられている。一般的に、陽極板と陰極板との
間の距離(極間距離)は電解槽の電解電圧に大きく影響
を及ぼす因子である。当然のことながら、極間距離を短
くするほど電解電圧は低下し、電力を節約できるが、一
方、陽極と陰極を、あまり接近させすぎると、膜自体が
柔軟なものであり、液中でその位置が完全に固定されて
いるものではないから、極板と膜とが時として接触する
に到る。この場合、極板の表面には多数の微少な凹凸や
突起が存在しているので、これら凹凸や突起が膜に強く
押しつけられた状態で膜が極板表面を擦るように動く
と、膜が押し切られる可能性がある。
【0012】このようにして、膜のかなりの部分が破損
され損傷を受けると、ついには電解槽の正常な運転がで
きなくなる事態に陥ってしまう。従って、従来は、多少
電解電圧を犠牲にしても、膜に損傷を与える恐れがない
程度まで極間距離を広げて安全サイドで運転せざるを得
なかったのである。
【0013】このような微小な凹凸や突起を持っている
陽極板や陰極板を、イオン交換膜に出来るだけ接近させ
ても膜に損傷を与えないようにする試みは過去にいくつ
か提案されている。例えば、特開昭57−108278
号では、陽極側および/または陰極側の隔壁板と極板の
間に、導電性のバネ材を多数取り付けて、極板を可動な
らしめる技術が開示されている。また、特開昭64−5
5392号では、隔壁板と極板とをクランプバネの機構
により電気的接合をはかるとともに、該クランプバネ機
構の弾性により極板を可動に構成する技術が開示されて
いる。
【0014】これらは、極板と膜が接触しても、その押
し圧を低減できる技術であるが、いずれもバネによる可
動機構を採用しているため、バネ材部分の電気抵抗が
増加したり、あるいはそのバネ機構の構造の複雑さ故
に製作費用の増加を招くという問題があった。そして
更に大きな問題は、電極と隔壁との間隙を、弾性を有す
るバネ材のみで保持する可動機構を採用しているため、
極板を可動とすることは可能であっても、その機構上必
然的に、電解面全体にわたり均一に保持しなければなら
ない極間距離を、維持できないことである。このために
可動機構により一見極間距離を小さくすることが可能で
あっても、実際には、定常運転時における極間距離の均
一性を保持できないため、総合的にみれば、効果的に電
解電圧を低減できるものではなかった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる問題
を解決し、電気抵抗が低く簡単でかつ安価な可動機構に
より極間距離をできるだけ小さくして電解電圧を大幅に
低減できる複極型イオン交換電解槽を提供することを目
的としている。
【0016】また、本発明は極板とイオン交換膜との間
隔が0.1〜1.0mmとしても膜の損傷の危険性のな
い複極型イオン交換電解槽を提供することを目的とす
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明に従えば、以下の
発明が提供される。
【0018】(1) 陽極板と陽極背板とを間隔をおいて
ほぼ平行に配置し、該陽極板と該陽極背板との間に、導
電性の陽極支持部材を所定の間隔で配置してなる陽極室
枠と、陰極板と陰極背板とを間隔をおいてほぼ平行に配
置し、該陰極板と該陰極背板との間に、導電性の陰極支
持部材を所定の間隔で配置してなる陰極室枠とを、その
背板どうしを背中合わせに結合して室枠体とし、これを
陽イオン交換膜を挟んで複数個配置してなる複極型イオ
ン交換膜電解槽において、(a)少なくとも前記陰極支
持部材は、前記陰極背板に固定され前記陰極板に向かっ
て立ち上がる給電リブ基体部と、それに隣り合う給電リ
ブ基体部とにより支持され、前記陰極板に達するまで延
伸する可撓体からなり、(b) 前記可撓体と前記陰極板
とは可撓体の接合部を介して電気的に接続されており、
(c) 前記接合部を通じて前記陰極板から給電リブ基体
部への給電が行われるとともに、前記可撓体の作用によ
り前記陰極板を変位可能に支持するようにしたことを特
徴とする複極型イオン交換膜電解槽。
【0019】(2) 陽極板と陽極背板とを間隔をおいて
ほぼ平行に配置し、該陽極板と該陽極背板との間に、導
電性の陽極支持部材を所定の間隔で配置してなる陽極室
枠と、陰極板と陰極背板とを間隔をおいてほぼ平行に配
置し、該陰極板と該陰極背板との間に、導電性の陰極支
持部材を所定の間隔で配置してなる陰極室枠とを、その
背板どうしを背中合わせに結合して室枠体とし、これを
陽イオン交換膜を挟んで複数個配置してなる複極型イオ
ン交換膜電解槽において、(a)少なくとも前記陽極支
持部材は、前記陽極背板に固定され前記陽極板に向かっ
て立ち上がる給電リブ基体部と、それに隣り合う給電リ
ブ基体部とにより支持され、前記陽極板に達するまで延
伸する可撓体からなり、(b) 前記可撓体と前記陽極板
とは可撓体の接合部を介して電気的に接続されており、
(c) 前記接合部を通じて前記給電リブ基体部から陽極
板への給電が行われるとともに、前記可撓体の作用によ
り前記陽極板を変位可能に支持するようにしたことを特
徴とする複極型イオン交換膜電解槽。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
について詳細に説明する。
【0021】本発明が適用できる電解槽は単極型でも複
極型でもよいが、好ましくは複極型イオン交換膜電解槽
であって、基本的には図2に示したのと同様に、陽極板
と陽極背板とを間隔をおいてほぼ平行に配置し、該陽極
板と該陽極背板との間に、導電性の陽極支持部材を所定
の間隔で配置してなる陽極室枠と、陰極板と陰極背板と
を間隔をおいてほぼ平行に配置し、該陰極板と該陰極背
板との間に、導電性の陰極支持部材を所定の間隔で配置
してなる陰極室枠とを、その背板どうしを背中合わせに
結合して室枠体とし、これを陽イオン交換膜を挟んで複
数個配置してなる複極型イオン交換膜電解槽である。そ
して、基本的な実施の形態は、図3に示したように、
(a)少なくとも上記陰極支持部材が、陰極背板90に
固定され前記陰極板95に向かって立ち上がる給電リブ
基体部101と、それに隣り合う給電リブ基体部101
とにより支持され、前記陰極板に達するまで延伸する可
撓体103からなるものである。また、102は、給電
リブ基体部と可撓体の溶接等による接合部であって、こ
れは、可撓体の給電リブ基体部による支持が行われる支
持部でもある。
【0022】そして、(b) 陰極板まで延伸した前記可
撓体と陰極板とは、可撓体の接合部105を介して電気
的に接続されている。(c) この接合部105を通して
前記陰極板95から前記給電リブ基体部101へ電流が
流れ、また、上記接合部は力が伝えられる機械的な接続
点でもあるため、陰極室内のガスの発生などにより、前
記陰極板に外力が印加された場合、接合部105を起点
として、前記可撓体103が、例えば陰極板に対して垂
直方向に動いて前記陰極板を変位させ、陽イオン交換膜
を損傷から保護するものである。なお、可撓体103が
動く場合、支持部102、102が変位の支点となる。
【0023】本発明においてはこのように、陰極支持部
材を、陰極背板に固定され陰極板に向かって立ち上がる
給電リブ基体部と、それに隣り合う基体部とにより支持
され、陰極板に達するまで延伸する可撓体とから構成し
たことを特徴とする。
【0024】すなわちこの構成によれば、固定された給
電リブ基体部の基体部高さ(A3)は一定であるため、
これにより極間距離を基本的に一定値に保持しつつ、こ
の基体部に支持された可撓体( 陰極板95と固定された
給電リブ基体部101との間隔A5 )のみを、外力の変
動に応じて僅かに変位させることにより、極間距離を膜
を損傷させない必要最小限の範囲で変化させ、陽イオン
交換膜を損傷から保護しうる。
【0025】可撓体はその上下方向とも電解面の上下端
近くまで伸びているが、その上下端においては開口や切
り欠き等の適当な隙間が設けられていることが好まし
い。
【0026】本発明のより具体的な可撓体の実施の形態
としては、図3に示したように、可撓体103が、その
ほぼ中央に少なくとも一つの突出部109を形成した、
可撓性板状金属103からなり、この突出部の頂点pを
前記接合部105とするものである。
【0027】可撓性板状金属103は、好ましくは0.
1〜1.0mmの板厚を有し、その幅A1が4〜25c
mのものであり、板状金属の突出部109以外の部分と
陰極板との間隔( 言い換えれば突出部の高さ )A2が3
〜30mmのものである。可撓性板状金属としては、例
えば板状の軟鋼、ステンレス鋼、ニッケルおよびニッケ
ル合金、銅および銅合金等から選択され、これを上記形
状になるように加工して使用する。
【0028】このような可撓体としての可撓性板状金属
が、複極型イオン交換膜電解槽の室枠を陰極室枠からみ
た正面図を示す図1の陰極室内に装着されている状況を
みるに、本発明においては、図の陰極支持部材80a
が、給電リブ基体部101に相当し、可撓性板状金属
が、隣り合う給電リブ基体部にそれぞれ支持されてなる
ものであるから、80a1と80a2、80a2と80
a3、80a3と80a4、・・・・・の間のそれぞれ
に装着されている。すなわち実質的に陰極室内全体のほ
ぼ全体にわたり、可撓性板状金属が装着されていること
になる。図の陰極板60は、この可撓性板状金属と電気
的・機械的に接続されており、陰極板は、図の電解面全
体にわたり、ほぼ均一に陽極板の方向( 紙面の裏側 )に
可動できるようになっている。すなわち、紙面手前に存
在する陽イオン交換膜に陰極板が接触した場合は、その
押圧により、可撓性板状金属が( 紙面の裏側の )陽極板
の方向に動いて陰極板を変位させて該押圧を緩和させ、
膜は損傷を受けることがない。また、可撓性金属に、充
分弾力性を持たせることにより、陰極板と、陽イオン交
換膜を介して対向している従来の固定化されている陽極
板との間で膜を強く挟み付けて、膜を損傷させることも
なくなる。
【0029】このようにして、本発明の電解槽において
は、陰極板全面を、陽イオン交換膜に均一に接近させる
ことが可能となるので、極間距離を短縮でき、電解電圧
を大幅に低減することができる。
【0030】本発明の好ましい実施の態様においては、
以上のごとくして、陰極板と陽イオン交換膜との間隔を
0.1〜2.0mm、好ましくは0.1〜1.0mmと
いう極めて小さな範囲においてさえも設定することが可
能となる。
【0031】本発明において陰極板と陽イオン交換膜と
の間隔は、室枠周縁郡に装着されているガスケット12
の厚みを変更することにより調節することも可能である
し、また、板状金属の突出部109の高さA2を変更す
ることによっても調節可能である。
【0032】本発明において使用する可撓性板状金属の
材質は、式 (1) により選択することが可能である。
【0033】 δ( mm )=K×P( Kg/cm2 ) (1) 〔式中δ:可撓性板状金属の変位量( mm ) K:金属材質および形状によって定まる定数 P:可撓性板状金属の突出部にかかる圧力( Kg/cm
2 )〕 ここでδは、突出部が押圧等の圧力Pを受けたときの変
位量、より正確には弾性限界内での変形量であって、所
定の金属材料および一定の形状の可撓性金属であれば、
想定圧力を規定して、それに対する変位量が算出できる
ことになる。当然のことながら定数Kの値が大きいもの
ほど、例えばより柔軟で可撓性の高いものほど、僅かの
圧力Pを受けただけで容易に変位する。
【0034】本発明においては、陰極板の変位量は10
mm以下であることが好ましいので、可撓性板状金属の
変位量が0〜10mmになるように、金属材料の種類
の選択、板厚、幅A1および突出部の高さA2等の形
状の選択、突出部へ印加される圧力の想定値( すなわ
ち許容圧力 )等の因子をいろいろ変えて式 (1) によっ
てシュミレーションし、最適な値を決定することができ
る。
【0035】本発明において、Kの値は0.2〜200
の範囲にあることが好ましく、4〜40の範囲にあるこ
とがさらに好ましい。
【0036】本発明においては、陰極板と陽イオン交換
膜との間に非導電性のスペーサを配置し、陰極板と膜と
の間隔が非常に小さい場合であっても、両者が直接接触
しないようにすることができる。図4は、この状態を示
したものであって、201は非導電性の材料で形成され
たスペーサを示す。
【0037】スペーサとしては、非導電性のものであれ
ば基本的に使用することができるが、好ましくは非導電
性の樹脂やゴム( すなわち弾性体またはエラストマー )
である。このような樹脂としては特に限定するものでは
ないが、例えばポリプロピレン、ポリテトラフルオロエ
チレン( PTFE )等が挙げられ、また、ゴムとして
は、ブチルゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(
EPDM )等が挙げられる。樹脂やゴムは多孔体や発泡
体であってもよい。これらは板状、シート状、フィルム
状、繊維状、球形等の適当な形態で用いられる。これら
の形態のスペーサ201は、基本的には陰極板と陽イオ
ン交換膜との間に配置するものであり、より詳細には、
可撓性板状金属の突出部頂点( 先端 )pの上方にそれぞ
れ配置するのが最も好ましいが、突出部と突出部の間に
それぞれ配置してもよい。いずれの場合も、このように
して配置されたスペーサは図1においては、給電リブ基
体部に相当する陰極支持板80a1、80a2、80a
3、・・・のそれぞれの上方か、またはその間に設けら
れることになる。なお、スペーサは、室枠の上下方向に
適当な間隔をもって配置し、線状に設けるのが望まし
い。
【0038】スペーサは、その硬度が、硬度D40〜D
80( ASTM D2240のDスケール試験方法 )を
有する樹脂等で形成されたものであってもよいし、ある
いは膜の硬度よりも柔らかいゴム等で形成されていても
よい。
【0039】ここで特にゴム等のスペーサを用いるのは
膜のクリープによる変形の防止のためである。すなわ
ち、たとえば非導電性のスペーサを介して陰極板を陽イ
オン交換膜に押しつける場合、両者はスペーサの存在に
より直接接触しないものの、その押しつけ圧があまり強
い状態で長期間運転が行われると、膜そのものが該押し
つけ圧のためにクリープ変形を起こし、該変形部分で膜
内部のポリマーが化学的な劣化を生じ、ついには膜にピ
ンホールが形成されてしまうことがありうる。
【0040】この場合、膜の硬度より柔らかい非導電性
のゴムやエラストマーのスペーサを用いると、たとえ上
記のごとき押しつけ圧が生じても、スペーサ自身がクッ
ション材として作用し、適宜変形するために、押しつけ
圧が容易に緩和され、膜のクリープ変形が効果的に防止
できるのである。
【0041】スペーサの厚みは0.1〜1.0mmであ
ることが望ましい。なお、硬度D40〜D80のスペー
サを装着した場合、その厚み分だけ運転中もイオン交換
膜と陰極板の間隔が維持されるのに対して、膜の硬度よ
り柔らかい弾性体からなるスペーサであれば運転中は、
スペーサの厚みよりも若干薄い間隔で膜と陰極板との距
離が維持されることになる。
【0042】また、本発明においては、好ましくは、突
出部頂点pの接合部105と陰極板95との接続が、両
者間に挿入・固着すなわち挿着された板状金属チップ2
05を介して行われるものである。
【0043】この板状金属チップ205は、軟質ステン
レス鋼、ニッケル、銅等からなり突出部頂点の接合部お
よび陰極板に溶接等の手段で固着され、その接合部を保
護しているのである。
【0044】すなわち、電解槽を長期間運転すると陰極
性能が低下するので、数年毎に、陰極板を電解槽から取
り外し、新しい陰極板を取り付ける必要性が生じる。も
し、陰極板と可撓性板状金属の突出部頂点が直接溶接等
により接合されていると、陰極板を可撓性板状金属から
切り離す作業の際、板状金属の頂点( 先端部 )は、形状
的にも特に機械的な強度が弱い部分であるから、少しの
力であっても容易にこの部分から折れたり割れたりする
等の機械的な損傷を受けやすい。その場合は、可撓性板
状金属そのものを取り替えなければならない事態が生じ
る。板状金属チップを突出部頂点の接合部と陰極板との
間に挿着することにより、陰極板を可撓性板状金属から
切り離す際に加える力は、直接板状金属チップに集中
し、板状金属の頂点には加わらないことになるので、可
撓性板状金属の突出部頂点が損傷を受けることは殆ど無
くなるのである。
【0045】板状金属チップの厚みは0.5〜3.0m
mが好ましい。また、幅については、3〜15mmのも
のを室枠上下方向に配置し、かつ、陰極板上の電流分布
を考慮すると、室枠上下方向の高さの1/2以上の長さ
であることが好ましい。
【0046】図5は本発明の別の実施の形態を示してい
る。すなわち、給電リブ基体部101’と可撓体10
3’が、成形加工等で一体に形成されている場合であ
る。
【0047】より具体的には、給電リブ基体部101’
と可撓性板状金属103’が断面凸字状に成形加工等で
一体に形成されており、かつ、この可撓性板状金属10
3’は陰極背板( 隔壁板 )90との問で閉空間を形成す
るように、これに溶接等で電気的に接合されている。
【0048】この可撓性板状金属103’は、ほぼ中央
の突出部109’の頂点p’を接合部105’として陰
極板95に電気的・機械的に接続されており、図3に示
した板状金属103と同様の可動性を有し、突出部10
9’において陰極板95を、陽イオン交換膜を損傷させ
ることなく、これに充分近接させることができる。
【0049】このように一体に形成する場合は、好まし
くは、給電リブ基体部に相当する部分は、より剛性を高
くするため、より厚い断面積を有するように形成して固
定機能を確保し、可撓性板状金属に相当する部分はその
板厚みを薄くし、可撓性を保持しうるようにすることが
好ましい。
【0050】この可撓性板状金属の厚み、幅A1’、陰
極板と板状金属との間隔( 突出部の高さ )A2’は、図
3の可撓性板状金属103の厚み、幅A1、陰極板と板
状金属との間隔A2の数値と同様にして扱うことが可能
である。
【0051】この実施の形態においては、板状金属10
3’は室枠内の電解液の循環を促進させるためのダウン
カマーの機能を同時に持たせることができる。すなわち
板状金属103’の室枠上部と下部にそれぞれ電解液の
流通用の開口部や切り欠きを設けて、板状金属103’
と隔壁板90との間に形成される閉空間Vdは液の下降
流が生じる下降流路とし、一方、板状金属103’と陰
極板95との間の空間Vuは液とガスの上昇流路となっ
ており、両者は上記開口や切り欠き部を通って連通し、
連続的な循環流路を形成するのである。
【0052】一方、ここで対応する陽極側の陽極支持部
材(給電リブ)110’は、断面M型の形状であって、
該M型給電リブ110’は、陽極背板( 隔壁板 )99と
の間で閉空間を形成するように、これに溶接等で電気的
に固着されている。なお、M型給電リブ110’は、そ
の両側の肩部113’において陽極97に溶接等で固定
され、陽極室を構成している。
【0053】図6は本発明のさらに別の実施の形態を示
している。陰極側の給電リブ120は断面M型の形状の
ものを用い、このM型給電リブは隔壁板90との間で閉
空間を形成するように、これに溶接等で電気的に固着さ
れている。
【0054】可撓性板状金属103は、隣り合う給電リ
ブに支持されるのであるが、この場合は、隣り合うM型
給電リブの対向する肩部123において溶接等で固定さ
れている。なお可撓性板状金属103が、そのほぼ中央
部の突出部109の頂点pを接合部105とし、これを
介して陰極板95に電気的・機械的に接続されている態
様は、図3〜4について述べたところと同様である。
【0055】さらに、この板状金属の厚み、幅A1、陰
極板と板状金属との間隔( 突出部の高さ )A2は、図3
の可撓性板状金属103の厚み、幅A1、陰極板と板状
金属との間隔A2の数値と同様に扱うことが可能であ
る。なお、M型給電リブの幅A4は、50〜70mm程
度であることが好ましい。
【0056】一方、陽極側は、同じくM型の給電リブ1
30が、陽イオン交換膜100を介して、陰極側の給電
リブ120と対向するように配設されており、すでに図
5について述べたと同様に、該M型給電リブ130は、
陽極背板( 隔壁板 )99との間で閉空間を形成するよう
に、これに溶接等で電気的に固着されており、また、M
型給電リブ130は、その両側の肩部133において、
陽極97に溶接等で固定され、陽極室を構成している。
【0057】以上の説明は、すべて、陰極支持部材が、
陰極背板に固定され陰極板に向かって立ち上がる給電リ
ブ基体部と、それに隣り合う給電リブ基体部とにより支
持され、陰極板に達するまで延伸する可撓体からなる場
合について述べたが、容易に理解されるように、陽極支
持部材が、陽極背板に固定され陽極板に向かって立ち上
がる給電リブ基体部と、それに隣り合う給電リブ基体部
とにより支持され、陽極板に達するまで延伸する可撓体
からなるようにしてもよいことは勿論である。その場合
は、以上の説明において、可撓体を形成すべき陰極支持
部材を陽極支持部材と、可撓体が接合すべき陰極板を陽
極板と読替えて理解すればよいので、詳しい説明は省略
する。
【0058】
【発明の効果】本発明は、陰極室内の陰極支持部材を、
給電リブ基体部と、これに支持された可撓性板状金属等
により構成することにより、安全で簡便な方法により、
陽極と陰極との極間距離の短縮を実現したものであり、
膜の損傷の危険性を回避しつつ、電解電圧の大幅な低減
を可能としたものである。
【0059】本発明によれば、4KA/m2 以上という
高い電解電流密度でも安定した運転ができ、水酸化アル
カリ水溶液の製造等に効果的に適用できる、高い電流効
率と低い電解電圧を達成した複極型イオン交換膜電解槽
を提供される。
【0060】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明
するが、本発明の技術的範囲がこれに限定されるもので
はない。 〔実施例1〕陽極および陰極は、それぞれの高さが12
00mm、横幅が2400mm、有効電解面積が2.8
8m2 の大きさを持っており、陽極にはペルメレック電
極(株)製のDSE(板厚み1.5mmのエキスパンド
メッシュ)を用い、陰極には板厚み1.2mmのニッケ
ル製エキスパンドメッシュを基板とし、これに活性化さ
れたラネーニッケル合金をコーティングしたものを用い
た。陽極背板にはチタン製のプレートを使用して、陰極
背板にはニッケル製のプレートを使用した。これらの背
板どうしを溶接で取り付け隔壁板を構成した。
【0061】陽極側の給電リブには、厚み2.0mm、
幅35mmのチタン板を用い、給電リブは室枠の高さ方
向に、等間隔で18本を、背板および陽極に溶接で固定
し、陽極室を構成した。また陰極例の給電リブには、厚
み1.0mm、幅30mmのニッケル板を用い、給電リ
ブは室枠の高さ方向に等間隔で18本を背板に溶接で固
定した。
【0062】そして図3に示したように、中央部に突出
部を持つ可撓性板状金属103として板厚み0.5mm
で幅A1が140mm、突出部109の高さA2が10
mm、陰極板95と固定された給電リブ基体部101と
の間隔A5が4mmになるように加工したニッケル板を
用いた。この板状金属の両端を、陰極給電リブに溶接で
取り付け、また突出部の頂点pを接合部105として陰
極板に同じく溶接で取り付けて陰極室枠を構成した。
【0063】このような陽極室および陰極室からなる室
枠体と陽イオン交換膜を図2に示すようにガスケット1
2を挟んで交互に並べ、両側から鉄製の縮め具で、膜と
陰極板との距離が1mm、可撓性板状金属の変位量が最
大2mmになるように締め付けて複極型イオン交換膜電
解槽を組み立てた。なお、イオン交換膜には、フレミオ
ン膜F893(旭硝子株式会社登録商標)を使用した。
【0064】陽極室には出口の食塩濃度が210g/l
になるように300g/lの食塩水が室枠下部から供給
され、陰極室には出口の苛性ソーダ水溶液濃度が32重
量%になるように希釈苛性ソーダ水溶液を室枠下部から
供給した。
【0065】電解温度90℃、電流密度6KA/m2
電解試験を実施した。その結果電解電圧は3.25Vを
示した。
【0066】〔実施例2〕陽極および陰極は、それぞれ
の高さが1200mm、横幅が2400mm、有効電解
面積が2.88m2 の大きさを持っており、陽極にはぺ
ルメレック電極(株)製のDSE(板厚み1.5mmの
エキスパンドメッシュ)を用い、陰極には板厚み1.2
mmのニッケル製エキスパンドメッシュに、活性化され
たラネーニッケル合金をコーティングしたものを用い
た。陽極背板にはチタン製のプレートを使用し、陰極背
板にはニッケル製のプレートを使用した。これらの背板
どうしを溶接で取り付け隔壁板を構成した。
【0067】図5に示されるように、陰極室側には、中
央部に突出部をもつニッケル製の可撓性板状金属10
3’を室枠高さ方向に陰極背板90に溶接で取り付け
た。板状金属103’の板厚みは0.5mm、幅A1’
は160mm、陰極板95と板状金属103’との間隔
A2’が10mm、背板90から突出部の頂点p’まで
の高さが40mmのものを等間隔で電解面に12本配置
した。陰極板は、板状金属103’の突出部109’の
頂点を接合部105’としてこれに溶接で取り付けて固
定した。
【0068】陽イオン交換膜100と陰極板95との間
で、この突出部の頂点p’( すなわち接合部105’ )
に相当する位置に、PTFE樹脂で成形された厚み0.
5mm、幅10mm、長さ1150mmのスペーサ20
1’を配置した。
【0069】一方、陽極室側には図5に示されるよう
に、M型状に成形加工されたチタン製の給電リブ11
0’を陽極背板99に溶接で取り付けた。このM型給電
リブ110’は板厚み2.0mm、幅160mm、陽極
背板99からM型給電リブの肩部113’の先端までの
高さが35mmのものを用い、この肩部の先端で陽極板
97を溶接・固定した。
【0070】このような陽極室および陰極室からなる室
枠体と陽イオン交換膜をガスケット12を挟んで交互に
並べ、両側から鉄製の締め具で、可撓性板状金属の変位
量が最大2mmになるように締め付けて複極型イオン交
換膜電解槽を組み立てた。なお、膜と陰極板の間隔はP
TFE製スペーサにより0.5mmに維持されるように
した。陽イオン交換膜にはフレミオン膜F893(旭硝
子株式会社登録商標)を使用した。
【0071】陽極室には出口の食塩濃度が210g/l
になるように300g/lの食塩水が室枠下部から供給
され、陰極室には出口の苛性ソーダ水溶液濃度が32重
量%になるように希薄苛性ソーダ水溶液を室枠下部から
供給した。
【0072】電解温度90℃、電流密度6KA/m2
電解試験を実施した。その結果、電解電圧は3.16
V、電流効率96.3%を示した。150日間運転を行
い、電解槽を解体したところ、異常は認められなかっ
た。
【0073】〔実施例3〕陽極板、陰極板および隔壁構
造は実施例1と同様のものを用いた。陰極室内には図6
に示されるように、成形加工されたニッケル製のM型給
電リブ120を室枠高さ方向に溶接で背板に取り付け
た。M型給電リブ120は板厚み1.0mm、幅A4が
60mm、背板から肩部123の先端までの距離A3が
30mmのものを使用し、電解面に等間隔で12本配置
した。一方可撓性板状金属103の両端を、隣り合うM
型給電リブの、対向する肩部123の先端とそれぞれ溶
接で固定した。可撓性板状金属103としては実施例1
で使用したものと同様のものを使用し、突出部109の
頂点pを接合部105として、陰極板に溶接により固定
・接続した。また実施例2と同様にして、膜と陰極板の
間に、スペーサ201を配置した。用いたスペーサは実
施例2で使用したものと同様のものである。
【0074】また陽極室内には、成形加工されたチタン
製のM型給電リブ130を陰極の給電リブ120と対向
するように室枠高さ方向に溶接で背板99に固定した。
M型給電リブ130は板厚み2.0mm、幅が60m
m、背板から肩部133の先端までの距離が35mmの
ものを使用し、この肩部133の先端で陽極板97を溶
接・固定した。
【0075】このような陽極室および陰極室からなる室
枠体と陽イオン交換膜をガスケット12を挟んで交互に
並べ、両側から鉄製の締め具で、可撓性板状金属の変位
量が最大3mmになるように締め付けて複極型イオン交
換膜電解槽を組み立てた。なお、膜と陰極板の間隔は、
実施例2と同様に、PTFE製スペーサにより0.5m
mに維持されるようにした。
【0076】陽極室には出口の食塩濃度が210g/l
になるように、300g/lの食塩水が室枠下部から供
給され、陰極室には出口の苛性ソーダ水溶液濃度が32
重量%になるように希薄苛性ソーダ水溶液を室枠下部か
ら供給した。
【0077】電解温度90℃、電流密度6KA/m2
電解試験を実施した。その結果電解電圧は3.16V、
電流効率は96.3%を示した。150日間運転を行
い、電解槽を解体したところ、異常は認められなかっ
た。
【0078】〔比較例1〕可撓性板状金属を使用せず、
陰極リブに直接陰極板を溶接で取り付け、膜と陰極板の
間隔を2.5mmにした以外は実施例1と同様にして電
解槽を構成した。この電解槽を使用して実施例1と同様
の条件で食塩電解を実施した結果、電解電圧は3.39
V、電流効率は96.2%であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための複極型イオン交換膜電
解槽の室枠を陰極室枠から見た正面図
【図2】図1のA−A腺による室枠体の横断面をイオン
交換膜およびガスケットと共に示す図で、陰極室内に可
動機構を有さない従来の例である。
【図3】本発明の代表的な実施の形態を示す室枠体の部
分横断面の模式図
【図4】導電性の板状金属チップと非導電性のスペーサ
を取り付けた場合を示す室枠体の部分横断面の模式図
【図5】本発明の他の実施の形態を示す室枠体の部分横
断面の模式図
【図6】本発明の他の実施の形態を示す室枠体の部分横
断面の模式図
【符号の説明】
1 室枠下部 2 室枠上部 3 陽極電解液供給口 4 陽極電解液排出口 5 陰極電解液供給口 6 陰極電解液排出口 7 筒状体 9 複極電解槽用隔壁 10 陽極室枠 11 イオン交換膜 12 ガスケット 15 陽極室 20 陰極室枠 25 陰極室 30 陽極板 40 陽極背板 50a 陽極支持部材( リブ ) 60 陰極板 70 陰極背板 80a 陰極支持部材( リブ ) 90 陰極背板または隔壁板 95 陰極板 97 陽極 99 陽極背板または隔壁板 100 陽イオン交換膜 101、101’給電リブ基体部 102 給電リブ基体部と可撓体の接合部( 支持部 ) 103、103’可撓体または可撓性板状金属 105、105’可撓体上の接合部 109、109’可撓性板状金属の突出部 110’陽極側の陽極支持部材(M型給電リブ) 113’M型給電リブの肩部 120 陰極側のM型給電リブ 123 陰極側のM型給電リブの肩部 130 陽極側のM型給電リブ 133 陽極側のM型リブの肩部 201 非導電性の材料で形成されたスペーサ 205 板状金属チップ p、p’突出部の頂点 A1、A1’可撓性板状金属の幅 A2、A2’板状金属の突出部以外の部分と陰極板の間
隔( 突出部の高さ ) A3、A3’給電リブ基体部の高さ A4 M型リブの幅 A5 陰極板と固定された給電リブ基体部との間隔 Vd 板状金属と隔壁板との間に形成される閉空間 Vu 板状金属と陰極板との間の空間
フロントページの続き (72)発明者 蜂谷 潔之 千葉県市原市五井海岸10番地 旭硝子株式 会社内 Fターム(参考) 4K011 CA04 CA06 DA02 DA03 4K021 AA03 AB01 BA03 BB03 CA01 DB31 DB38

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極板と陽極背板とを間隔をおいてほぼ
    平行に配置し、該陽極板と該陽極背板との間に、導電性
    の陽極支持部材を所定の間隔で配置してなる陽極室枠
    と、陰極板と陰極背板とを間隔をおいてほぼ平行に配置
    し、該陰極板と該陰極背板との間に、導電性の陰極支持
    部材を所定の間隔で配置してなる陰極室枠とを、その背
    板どうしを背中合わせに結合して室枠体とし、これを陽
    イオン交換膜を挟んで複数個配置してなる複極型イオン
    交換膜電解槽において、(a)少なくとも前記陰極支持
    部材は、前記陰極背板に固定され前記陰極板に向かって
    立ち上がる給電リブ基体部と、それに隣り合う給電リブ
    基体部とにより支持され、前記陰極板に達するまで延伸
    する可撓体からなり、(b) 前記可撓体と前記陰極板と
    は可撓体の接合部を介して電気的に接続されており、
    (c) 前記接合部を通じて前記陰極板から給電リブ基体
    部への給電が行われるとともに、前記可撓体の作用によ
    り前記陰極板を変位可能に支持するようにしたことを特
    徴とする複極型イオン交換膜電解槽。
  2. 【請求項2】 可撓体が可撓性板状金属からなり、その
    ほぼ中央に少なくとも一つの突出部を形成し、この突出
    部の頂点を前記接合部とする請求項1記載の複極型イオ
    ン交換膜電解槽。
  3. 【請求項3】 可撓性板状金属が厚み0.1〜1.0m
    m、幅が4〜25cmのものであり、板状金属の突出部
    以外の部分と陰極板との間隔が3〜30mmである請求
    項2記載の複極型イオン交換膜電解槽。
  4. 【請求項4】 突出部頂点の接合部と陰極板との接続
    が、両者間に挿着された板状金属チップを介して行われ
    る請求項2または3記載の複極型イオン交換膜電解槽。
  5. 【請求項5】 陰極板の変位量が10mm以下である請
    求項2〜4の何れかに記載の複極型イオン交換膜電解
    槽。
  6. 【請求項6】 可撓性板状金属の弾性力が式 (1) δ( mm )=K×P( Kg/cm2 ) (1) 〔式中δ:可撓性板状金属の変位量( mm ) K:金属材質および形状によって定まる定数 P:可撓性板状金属の突出部にかかる圧力( Kg/cm
    2 )〕 で表され、Kが0.2〜200の範囲にある請求項2〜
    5の何れかに記載の複極型イオン交換膜電解槽。
  7. 【請求項7】 陰極板と陽イオン交換膜との間に非導電
    性のスペーサを配置し、前記陰極板と陽イオン交換膜が
    直接接触しないようにした請求項2〜6のいずれかに記
    載の複極型イオン交換膜電解槽。
  8. 【請求項8】 スペーサが硬度D40〜D80( AST
    M D2240のDスケール試験方法 )を有する請求項
    7記載の複極型イオン交換膜電解槽。
  9. 【請求項9】 給電リブ基体部と可撓体が一体である請
    求項1〜8の何れかに記載の複極型イオン交換膜電解
    槽。
  10. 【請求項10】 陰極板と陽イオン交換膜との間隔が
    0.1〜1.0mmである請求項1〜9の何れかに記載
    の複極型イオン交換膜電解槽。
  11. 【請求項11】 陽極板と陽極背板とを間隔をおいてほ
    ぼ平行に配置し、該陽極板と該陽極背板との間に、導電
    性の陽極支持部材を所定の間隔で配置してなる陽極室枠
    と、陰極板と陰極背板とを間隔をおいてほぼ平行に配置
    し、該陰極板と該陰極背板との間に、導電性の陰極支持
    部材を所定の間隔で配置してなる陰極室枠とを、その背
    板どうしを背中合わせに結合して室枠体とし、これを陽
    イオン交換膜を挟んで複数個配置してなる複極型イオン
    交換膜電解槽において、(a)少なくとも前記陽極支持
    部材は、前記陽極背板に固定され前記陽極板に向かって
    立ち上がる給電リブ基体部と、それに隣り合う給電リブ
    基体部とにより支持され、前記陽極板に達するまで延伸
    する可撓体からなり、(b) 前記可撓体と前記陽極板と
    は可撓体の接合部を介して電気的に接続されており、
    (c) 前記接合部を通じて前記給電リブ基体部から陽極
    板への給電が行われるとともに、前記可撓体の作用によ
    り前記陽極板を変位可能に支持するようにしたことを特
    徴とする複極型イオン交換膜電解槽。
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