JP2000187892A - SiO2膜、相変化型光デイスク媒体および製造方法 - Google Patents

SiO2膜、相変化型光デイスク媒体および製造方法

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JP2000187892A
JP2000187892A JP10363565A JP36356598A JP2000187892A JP 2000187892 A JP2000187892 A JP 2000187892A JP 10363565 A JP10363565 A JP 10363565A JP 36356598 A JP36356598 A JP 36356598A JP 2000187892 A JP2000187892 A JP 2000187892A
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sio
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gaseous
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Hidetsugu Kariyada
英嗣 苅屋田
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NEC Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 相変化型光デイスク媒体用の保護膜2として
好適な特性を有するSiO2膜、このSiO2膜を用いて
製造された相変化型光デイスク媒体用保護膜2、更にこ
の保護膜を用いて製造され多数回の繰り返し記録再生動
作を行っても安定した信号特性が得られる相変化型光デ
イスク媒体、およびそれらの生産性に優れた製造方法を
提供する。 【解決手段】 Siターゲットを用い、スパッタ雰囲気
ガスとして酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガス、また
は酸素ガスとアルゴンガスと水素ガスとの混合ガスを用
いてスパッタにより前記のSiO2膜を成膜する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、SiO2膜、相変
化型光デイスク媒体用保護膜、および相変化型光デイス
ク媒体と、これらの製造方法に関するものであり、特に
レーザ光の照射などによる昇温/冷却によって結晶と非
晶質間の構造変化ならびに光学的性質が変化する相変化
型光デイスク用の保護膜として好適なSiO2膜とその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、レーザ光を用いた光情報記録方式
は大容量の情報を非接触かつ高速アクセスが可能である
ため、大容量メモリとして各所で実用化がなされてい
る。光情報記録再生方式を用いた光学式情報記録再生媒
体としては、コンパクトデイスクやレーザデイスクとし
て知られている再生専用型、ユーザ自身で記録ができる
追記型、及びユーザ側で繰返し記録再生が可能な書換型
に分類される。追記型及び書換型の光学式情報記録再生
媒体はコンピユータの外部メモリや文書、画像フアイル
として使用されつつある。
【0003】前記書換型の光学式情報記録再生媒体には
記録膜の相変化を利用した相変化型光デイスクと垂直磁
化膜の磁化方向の変化を利用した光磁気デイスクとがあ
る。このうち、相変化型光デイスクは、情報を記録する
際に光磁気デイスクの如く外部磁界が必要なく、さらに
記録情報の重ね書き、即ちオーバライトが容易にできる
ことから、今後、書換型の光学式情報記録再生媒体の主
流になることが期待されている。
【0004】従来より、レーザ光の照射により記録膜の
結晶−非晶質間の相変化を利用した書換可能な相変化型
光デイスクは知られている。この相変化型光デイスクで
は、記録膜に高パワーのレーザ光を照射し、記録膜温度
を局所的に上昇させることにより、記録膜の結晶−非晶
質間の相変化を起こさせて記録を行う。記録した情報の
再生は、記録時に比べ、比較的低パワーのレーザ光を照
射し、前記情報記録部の光学定数の変化を反射光強度差
として検出することにより行われている。
【0005】相変化型光デイスクの記録膜には、カルコ
ゲナイド系材料であるGeSbTe系、InSbTe系
及びAgInSbTe系等が用いられている。これらの
記録膜はいずれも抵抗加熱真空蒸着法、電子ビーム真空
蒸着法、スパッタリング法等の成膜方法で形成される。
成膜直後の記録膜は一種の非晶質状態にあるので、この
記録膜に記録を行って非晶質の記録部を形成するため
に、記録膜全体を結晶質に変換するための初期化処理が
行われる。記録はこの結晶化された状態の中に非晶質部
分を形成することにより達成される。
【0006】一般的な相変化型光デイスクの記録再生方
法は、レーザ光のパワーを2つのレベル間で変化させ、
結晶化あるいは非晶質化を行うことによる。すなわち、
記録時には記録膜の温度を融点以上に上昇させることが
可能なパワーのレーザ光を記録膜に照射し、その照射部
分を冷却時に非晶質状態とする。また、情報を消去する
場合には、記録膜の温度が結晶化温度以上、融点以下の
温度に達するようなパワーのレーザ光を照射する。再生
は、低パワーのレーザ光を照射し、反射光強度差を読取
ることにより行われる。
【0007】上述したように、相変化型光デイスクの記
録膜は、情報の記録、消去のためにレーザ光によって融
点以上に昇温され、もしくは結晶化温度以上、融点以下
の温度に昇温される。従って、記録膜の両面に耐熱性に
優れた誘電体保護膜を配設するのが一般的であり、この
保護膜の膜厚、膜構成及び膜質によって繰り返し記録再
生特性が左右される。前記保護膜の一つとしてとしてS
iO2膜が知られている。このSiO2膜は従来、SiO
2ターゲットを用い、アルゴンガスをスパッタガスとし
て用いてスパッタリング法により形成されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のSiO
2膜の成膜方法では、SiO2ターゲットが焼結体である
ことから、このターゲットに対して大きな電力を投入す
るとターゲットが損傷する恐れがあり、このためあまり
大きな電力を投入することはできなかった。従って、膜
形成速度は1.5nm/min〜3.0nm/min程度と非常に遅
く、生産性に欠けるという問題点があった。また、従来
のようにSiO2膜をSiO2ターゲットを用いてアルゴ
ンガス雰囲気だけで成膜を行うと、SiO2ターゲット
表面及び成膜された膜表面に高エネルギーのアルゴンイ
オンが衝突するため、Si原子とO原子(酸素原子)と
の結合が切れたポーラスな膜が形成される。これを補う
ためにアルゴンガスと酸素ガスとの混合ガス雰囲気中で
SiO2膜を形成する方法も知られているが、この場合
もアルゴンイオンの衝突によるSiのダングリングボン
ドの形成を免れることができず、膜がポーラスとなる。
このようなポーラスな膜は、密度が低いため、多数回の
繰り返し記録再生時の昇温及び急冷による熱衝撃によっ
て保護膜が熱的な損傷を受け、記録再生時にエラーが起
きるという問題点もあった。本発明の目的は、上記の課
題を解決し相変化型光デイスク媒体用の保護膜として好
適な特性を有するSiO2膜、このSiO2膜を用いて製
造された相変化型光デイスク媒体用保護膜、更にこの保
護膜を用いて製造され多数回の繰り返し記録再生動作を
行っても安定した信号特性が得られる相変化型光デイス
ク媒体、およびそれらの生産性に優れた製造方法を提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに本発明は、Siターゲットを用い、スパッタ雰囲気
ガスとして酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを用い
てスパッタにより成膜を行うことを特徴とするSiO2
膜の製造方法、およびこの製造方法により製造されたS
iO2膜を提供する。前記において、SiO2膜の成膜時
に用いる酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガス中の酸素
ガス分圧は、0.024Pa〜0.12Paの範囲内とする
ことが好ましい。
【0010】また本発明は、Siターゲットを用い、ス
パッタ雰囲気ガスとして酸素ガスとアルゴンガスと水素
ガスとの混合ガスを用いてスパッタにより成膜を行うこ
とを特徴とするSiO2膜の製造方法、およびこの製造
方法により製造されたSiO2膜を提供する。前記にお
いて、SiO2膜の成膜時に用いる酸素ガスとアルゴン
ガスと水素ガスとの混合ガス中の酸素ガス分圧は0.0
18Pa〜0.06Paの範囲内とし、水素ガス分圧は0.
006Pa〜0.02Paの範囲内とすることが好ましい。
前記いずれかの製造方法において、SiO2膜の密度
は、2.1g/cm3 〜2.5g/cm3 の範囲内とすることが
好ましい。
【0011】本発明はまた、少なくともSiO2膜から
なる保護膜と相変化記録層とを有する相変化型光デイス
ク媒体における前記保護膜を、前記いずれかの製造方法
により製造することを特徴とする相変化型光デイスク媒
体用保護膜の製造方法、およびこの製造方法により製造
された相変化型光デイスク媒体用保護膜を提供する。
【0012】本発明は更に、有機樹脂基板上に少なくと
もSiO2膜からなる保護膜、ZnS−SiO2膜からな
る第1の誘電体層、相変化記録層、ZnS−SiO2
からなる第2の誘電体層、および金属反射層の順に成膜
してなる相変化型光デイスク媒体を製造するに際して、
前記保護膜を、前記の相変化型光デイスク媒体用保護膜
の製造方法により製造することを特徴とする相変化型光
デイスク媒体の製造方法、およびこの製造方法により製
造された相変化型光デイスク媒体を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施
例により図面を用いて説明する。図1に本発明に係る相
変化型光デイスク媒体(以下、単に「媒体」という)の
断面構成図を示す。この媒体は、厚さ0.6mm、直径1
20mmのポリカーボネイト製基板1の上に、順次、Si
2膜からなる厚さ100nmの保護膜2、ZnS−Si
2膜からなる厚さ20nmの第1誘電体層3、厚さ18n
mの相変化記録層4、ZnS−SiO2膜からなる厚さ2
0nmの第2誘電体層5、および厚さ70nmの金属反射層
6が成膜され、この一連の成膜プロセスの後に、紫外線
硬化樹脂7が塗布され硬化されている。この実施例にお
いて、相変化記録層4としてはGe2Sb2Te5の薄膜
が、また金属反射層6としてはAlTi合金の薄膜が用
いられている。この媒体は、前記の単板構造で使用され
る場合もあり、またディスク貼り合わせ用の接着剤(紫
外線硬化樹脂等)で貼り合わせ、密着貼り合わせ構造で
使用される場合もある。
【0014】(実施例1)以下に、Siターゲットを用
い、スパッタ雰囲気ガスとして酸素ガスとアルゴンガス
との混合ガスを用いる実施例を示す。この製造方法にお
いて前記の各層は、インライン型のスパッタ装置を用い
下記手順により基板1上に形成される。まず、SiO2
膜からなる厚さ100nmの保護膜2は、Siターゲット
を用い、スパッタ雰囲気ガスとしてアルゴンガス中に酸
素ガスを混合した混合ガス中で、Siターゲットと基板
1との距離が15cm、パワー密度が2.74W/cm2、全
ガス圧が0.2Pa、酸素ガス分圧が0.06Paの条件下
に成膜される。
【0015】次に、ZnS−SiO2膜からなる厚さ2
0nmの第1誘電体層3は、ZnS−SiO2ターゲット
を用い、アルゴンガスの雰囲気中で、ターゲット−基板
間距離が15cm、パワー密度が2.2W/cm2、ガス圧が
0.5Paの条件下に成膜される。
【0016】Ge2Sb2Te5膜からなる厚さ18nmの
相変化記録層4は、Ge2Sb2Te5ターゲットを用
い、アルゴンガスの雰囲気中で、ターゲット−基板間距
離が15cm、パワー密度が0.27W/cm2、ガス圧が
1.0Paの条件下に成膜される。
【0017】また、ZnS−SiO2膜からなる厚さ2
0nmの第2誘電体層5は、第1誘電体層3と同じ条件で
成膜される。AlTi合金膜からなる厚さ70nmの金属
反射層6は、Tiを2重量%含有するAlTi合金ター
ゲットを用い、アルゴンガスの雰囲気中で、ターゲット
−基板間距離が15cm、パワー密度が1.6W/cm2、ガ
ス圧が0.08Paの条件下に成膜される。なお、前記各
層の成膜時間は、適宜所望の膜厚になるように調整し
た。
【0018】前記媒体の製造方法において、SiO2
からなる保護膜2の成膜の際に用いたスパッタ雰囲気ガ
スのガス圧を0.07Pa〜0.60Paの範囲内で変化さ
せ、また酸素ガス分圧を0.021Pa〜0.180Paの
範囲内で変化させて媒体を製造し、繰り返し記録再生動
作(以下、繰り返しO/Wと称す)を行った際のC/N
の低下量をそれぞれの媒体について測定した。表1に、
繰り返しO/Wを測定した媒体の種類、SiO2膜形成
時のスパッタ雰囲気ガスのガス圧および酸素ガス分圧を
示す。なお、スパッタ雰囲気ガスのガス圧を0.06Pa
とし、酸素ガス分圧を0.018Paとした場合について
も測定したが、この場合はスパッタ雰囲気内の酸素ガス
分圧が低く、Siターゲットの表面酸化の程度が不十分
となり、R/W評価ができなかったため、表1には記載
しなかった。
【0019】
【表1】
【0020】前記の各媒体製造時には、それぞれの誘電
体層の膜厚を最適オーバライトパワーがほぼ等しくなる
ように調整した。この結果、最適オーバライトパワー
は、記録パワーを8.7mW、消去パワーを4mWに設定し
た。R/W評価条件は、線速を5.4m/sec、周波数を
29.18MHz、再生パワーを0.8mWとし、前述した
最適オーバライトパワーにより、8T単一信号の繰り返
しO/Wを行い、所望の繰り返しO/W回数後、C/N
を測定した。
【0021】図2にそれぞれの媒体について、繰り返し
O/W回数に対するC/Nの低下量を示す。図2より、
酸素ガス分圧が0.021Pa〜0.06Paの範囲内で成
膜したSiO2膜を用いた媒体A〜媒体Cでは、105
の繰り返しO/W後でもC/Nにはなんら劣化がみられ
ず、C/N初期値と同じ値を示した。酸素ガス分圧が
0.12Paで成膜したSiO2膜を用いた媒体Dでは、
104回まではC/Nに劣化がみられなかったものの、
105回の繰り返しO/W後には、C/Nが初期値に比
べ、僅かに1dBほど低下した。なお、酸素ガス分圧が
0.18Paで成膜したSiO2膜を用いた媒体Eでは、
103回の繰り返しO/W後からC/Nが徐々に劣化し
はじめ、105回の繰り返しO/W後には、C/Nが初
期値に比べ5dBも劣化した。このC/Nの低下量の観点
から、好適な酸素ガス分圧の上限は0.18Paであるこ
とがわかる。
【0022】次に図3に、酸素ガス分圧とSiO2膜の
成膜速度との関係を示す。図3より、酸素ガス分圧の増
加に伴い、SiO2膜の成膜速度は一旦増加したのち減
少している。この酸素ガス分圧の増加に伴い成膜速度が
増加する領域では、Siターゲット表面の酸化の程度が
不十分であり、金属性のSiO2膜が形成されることが
わかった。このため、酸素ガス分圧が0.024Pa未満
の領域ではR/W評価ができなかった。このSiO2
の成膜速度の観点から、好適な酸素ガス分圧の下限は
0.024Paであることがわかる。
【0023】なお、従来のSiO2ターゲットを用いた
保護膜2の成膜方法において、成膜速度は1.5nm/min
〜3.0nm/minであったのに対して、前記のSiターゲ
ットを用い、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスをス
パッタ雰囲気ガスとして、反応性スパッタにより成膜す
る際のSiO2膜の成膜速度は、従来方法の約4倍〜1
0倍程度とすることが可能となった。
【0024】以上により、Siターゲットを用い、スパ
ッタ雰囲気ガスとして酸素ガスとアルゴンガスとの混合
ガスを用いてスパッタにより成膜を行う本発明のSiO
2膜の製造方法において、前記混合ガス中の酸素ガスの
分圧は0.024Pa〜0.12Paの範囲内とすることが
望ましい。
【0025】次に、SiO2膜の密度について説明す
る。図4に、SiO2膜を成膜する際の酸素ガス分圧を
0.021Pa〜0.18Paの範囲内で変化させた場合の
前記酸素ガス分圧とSiO2膜(膜厚=100nm)の膜
密度との関係を示す。図4より、酸素ガス分圧の増加に
伴い膜密度は低下する傾向を示す。図2と図4とを参照
すると、繰り返しO/W特性に問題のないSiO2膜の
膜密度は、2.1g/cm3 〜2.5g/cm3 の範囲内である
ことがわかる。この観点から、Siターゲットを用い、
スパッタ雰囲気ガスとして酸素ガスとアルゴンガスとの
混合ガスを用いてスパッタにより成膜を行う本発明のS
iO2膜の製造方法において、SiO2膜の密度は、2.
1g/cm3 〜2.5g/cm3 の範囲内とすることが好まし
い。
【0026】(実施例2)次に、Siターゲットを用
い、スパッタ雰囲気ガスとして酸素ガスとアルゴンガス
と水素ガスとの混合ガスを用いる実施例を示す。この製
造方法において媒体の構成は実施例1のものと同様であ
る。この媒体の各層は、インライン型のスパッタ装置を
用い下記手順により基板1上に形成される。まず、Si
2膜からなる厚さ100nmの保護膜2は、Siターゲ
ットを用い、スパッタ雰囲気ガスとしてアルゴンガス中
に酸素ガスと水素ガスとを混合した混合ガス中で、Si
ターゲットと基板1との距離が15cm、パワー密度が
2.74W/cm2、全ガス圧が0.1Pa、酸素ガス分圧が
0.03Pa、水素ガス分圧が0.01Paの条件下に成膜
される。
【0027】次に、ZnS−SiO2膜からなる厚さ2
0nmの第1誘電体層3は、ZnS−SiO2ターゲット
を用い、アルゴンガスの雰囲気中で、ターゲット−基板
間距離が15cm、パワー密度が2.2W/cm2、ガス圧が
0.5Paの条件下に成膜される。
【0028】Ge2Sb2Te5膜からなる厚さ18nmの
相変化記録層4は、Ge2Sb2Te5ターゲットを用
い、アルゴンガスの雰囲気中で、ターゲット−基板間距
離が15cm、パワー密度が0.27W/cm2、ガス圧が
1.0Paの条件下に成膜される。
【0029】また、ZnS−SiO2膜からなる厚さ2
0nmの第2誘電体層5は、第1誘電体層3と同じ条件で
成膜される。AlTi合金膜からなる厚さ70nmの金属
反射層6は、Tiを2重量%含有するAlTi合金ター
ゲットを用い、アルゴンガスの雰囲気中で、ターゲット
−基板間距離が15cm、パワー密度が1.6W/cm2、ガ
ス圧が0.08Paの条件下に成膜される。なお、前記各
層の成膜時間は、適宜所望の膜厚になるように調整し
た。
【0030】前記媒体の製造方法において、SiO2
からなる保護膜2の成膜の際に用いたスパッタ雰囲気ガ
スのガス圧を0.04Pa〜0.4Paの範囲で変化させて
媒体を製造し、繰り返しO/Wを行った際のC/Nの低
下量をそれぞれの媒体について測定した。表2に、繰り
返しO/Wを測定した媒体の種類、SiO2膜形成時の
スパッタ雰囲気ガスのガス圧、酸素ガス分圧、および水
素ガス分圧を示す。なお、スパッタ雰囲気ガスのガス圧
を0.04Paとし、酸素ガス分圧を0.012Pa、水素
ガス分圧を0.004Paとした場合についても測定した
が、この場合はスパッタ雰囲気内の酸素ガス分圧が低
く、Siターゲットの表面酸化の程度が不十分となり、
金属性の膜が形成され、従ってR/W評価ができなかっ
たため、表2には記載しなかった。
【0031】
【表2】
【0032】前記の各媒体製造時には、それぞれの誘電
体層の膜厚を最適オーバライトパワーがほぼ等しくなる
ように調整した。この結果、最適オーバライトパワー
は、記録パワーを8.7mW、消去パワーを4mWに設定し
た。R/W評価条件は、線速を5.4m/sec、周波数を
29.18MHz、再生パワーを0.8mWとし、前述した
最適オーバライトパワーにより、8T単一信号の繰り返
しO/Wを行い、所望の繰り返しO/W回数後、C/N
を測定した。
【0033】図5にそれぞれの媒体について、繰り返し
O/W回数に対するC/Nの低下量を示す。図5より、
酸素ガス分圧が0.015Pa〜0.03Pa、水素ガス分
圧が0.005Pa〜0.01Paの範囲で成膜したSiO
2膜を用いた媒体F〜媒体Hでは、105回の繰り返しO
/W後でもC/Nはなんら劣化がみられず、C/N初期
値と同じ値を示した。酸素ガス分圧が0.06Pa、水素
ガス分圧が0.02Paで成膜したSiO2膜を用いた媒
体Iでは、104回まではC/Nに劣化はみられなかっ
たものの、105回の繰り返しO/W後には、C/Nが
初期値に比べ、僅かに0.5dBほど低下した。酸素ガス
分圧が0.12Pa、水素ガス分圧が0.04Paで成膜し
たSiO2膜を用いた媒体Jでは、103回の繰り返しO
/W後からC/Nが徐々に劣化しはじめ、105回の繰
り返しO/W後には、C/Nが初期値に比べ、4dBも劣
化した。 このC/Nの低下量の観点から、この実施例
における好適な酸素ガス分圧の上限は0.06Paである
ことがわかる。
【0034】図6に、酸素ガス分圧および水素ガス分圧
とSiO2膜の成膜速度との関係を示す。図6より、酸
素ガス分圧および水素ガス分圧の増加に伴い、SiO2
膜の成膜速度は一旦増加したのち減少している。この酸
素ガス分圧および水素ガス分圧の増加に伴い成膜速度が
増加する領域では、Siターゲット表面の酸化の程度が
不十分であり、金属性のSiO2膜が形成されることが
わかった。このため、酸素ガス分圧が0.012Pa未
満、水素ガス分圧が0.004Pa未満の領域ではR/W
評価ができなかった。このSiO2膜の成膜速度の観点
から、好適な酸素ガス分圧の下限は0.018Pa、水素
ガス分圧の下限は0.006Paであることがわかる。
【0035】なお、従来のSiO2ターゲットを用いた
保護膜2の成膜方法において、成膜速度は1.5nm/min
〜3.0nm/minであったのに対して、前記のSiターゲ
ットを用い、アルゴンガスと酸素ガスと水素ガスとの混
合ガスをスパッタ雰囲気ガスとして、反応性スパッタに
より成膜する際のSiO2膜の成膜速度は、従来方法の
約3倍〜10倍程度とすることが可能となった。
【0036】以上により、Siターゲットを用い、スパ
ッタ雰囲気ガスとして酸素ガスと水素ガスとアルゴンガ
スとの混合ガスを用いてスパッタにより成膜を行う本発
明のSiO2膜の製造方法において、前記混合ガス中の
酸素ガスの分圧は0.018Pa〜0.06Paの範囲内、
また水素ガスの分圧は0.006Pa〜0.02Paの範囲
内とすることが望ましい。
【0037】図7に、SiO2膜を成膜する際の酸素ガ
ス分圧を0.015Pa〜0.12Paの範囲内、水素ガス
分圧を0.005Pa〜0.04Paの範囲内で変化させた
場合のガス分圧とSiO2膜(膜厚=100nm)の膜密
度との関係を示す。図7より、酸素ガス分圧及び水素ガ
ス分圧の増加に伴い、膜密度は低下する。図5と図7を
参照すると、繰り返しO/W特性に問題のないSiO2
膜の膜密度の範囲は、2.3g/cm3 〜2.5g/cm3 の範
囲内であることがわかる。
【0038】以上実施例1によって詳しく説明したよう
に、相変化型光デイスク媒体の保護膜であるSiO2
の形成に際し、Siターゲットを用い、スパッタ雰囲気
ガスとして酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを用い
てスパッタにより成膜を行う場合は、この混合ガス中の
酸素ガス分圧を0.024Pa〜0.12Paの範囲内とす
ることにより、従来の成膜方法に比べ格段に成膜速度が
速く、かつ繰り返しO/W後のC/N劣化のない耐久性
に優れた相変化型光デイスク媒体が得られる。また、実
施例2によって詳しく説明したように、Siターゲット
を用い、スパッタ雰囲気ガスとして酸素ガスとアルゴン
ガスと水素ガスとの混合ガスを用いてスパッタにより成
膜を行う場合は、この混合ガス中の酸素ガス分圧を0.
018Pa〜0.06Paの範囲内、水素ガス分圧を0.0
06Pa〜0.02Paの範囲内とすることにより、従来の
成膜方法に比べ格段に成膜速度が速く、かつ繰り返しO
/W後のC/N劣化のない耐久性に優れた相変化型光デ
イスク媒体が得られる。
【0039】本発明の相変化型光デイスク媒体におい
て、相変化記録層や金属反射層の組成、単板構造か貼り
合わせ構造か、貼り合わせ構造の場合のそれぞれの膜厚
や貼り合わせ方法などは特に限定されるものではなく、
所望の記録再生特性および用途に応じて適宜選択するこ
とができ、これらのいかなる選択に対しても、本発明は
前記と同様の効果があることは言うまでもない。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように本発明では、保護膜
であるSiO2膜の成膜時に、Siターゲットを用い、
スパッタ雰囲気ガスとして酸素ガスとアルゴンガスとの
混合ガス、または酸素ガスとアルゴンガスと水素ガスと
の混合ガスを用いてスパッタにより成膜を行うものであ
るので、生産性及び繰り返しO/W特性に優れた相変化
型光デイスク媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の相変化型光デイスク媒体の一実施例
を示す断面図。
【図2】 アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガス雰囲気
中でSiO2膜を成膜する際に、各々異なる酸素ガス分
圧で成膜したSiO2膜を用いた場合の、各媒体の繰り
返しO/WによるC/Nの低下量を示すグラフ。
【図3】 アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガス雰囲気
中でSiO2膜を成膜した場合の、各酸素ガス分圧に対
する成膜速度を示すグラフ。
【図4】 アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガス雰囲気
中でSiO2膜を成膜した場合の、各酸素ガス分圧に対
するSiO2膜の密度を示すグラフ。
【図5】 酸素ガスとアルゴンガスと水素ガスとの混合
ガス雰囲気中でSiO2膜を成膜する際に、各々異なる
酸素ガス分圧および水素ガス分圧で成膜したSiO2
を用いた場合の、各媒体の繰り返しO/WによるC/N
の低下量を示すグラフ。
【図6】 酸素ガスとアルゴンガスと水素ガスとの混合
ガス雰囲気中でSiO2膜を成膜した場合の、各酸素ガ
ス分圧および水素ガス分圧に対する成膜速度を示すグラ
フ。
【図7】 酸素ガスとアルゴンガスと水素ガスの混合ガ
ス雰囲気中でSiO 2膜を成膜した場合の、各酸素ガス
分圧に対するSiO2膜の密度を示すグラフ。
【符号の説明】
1…基板 2…保護膜 3…第1誘電体層 4…相変化記録層 5…第2誘電体層 6…金属反射層 7…紫外線硬化樹脂

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Siターゲットを用い、スパッタ雰囲気
    ガスとして酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを用い
    てスパッタにより成膜を行うことを特徴とするSiO2
    膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 SiO2膜の成膜時に用いる酸素ガスと
    アルゴンガスとの混合ガス中の酸素ガス分圧を0.02
    4Pa〜0.12Paの範囲内とすることを特徴とする前記
    請求項1に記載のSiO2膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 Siターゲットを用い、スパッタ雰囲気
    ガスとして酸素ガスとアルゴンガスと水素ガスとの混合
    ガスを用いてスパッタにより成膜を行うことを特徴とす
    るSiO2膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 SiO2膜の成膜時に用いる酸素ガスと
    アルゴンガスと水素ガスとの混合ガス中の酸素ガス分圧
    を0.018Pa〜0.06Paの範囲内とし、水素ガス分
    圧を0.006Pa〜0.02Paの範囲内とすることを特
    徴とする前記請求項3に記載のSiO2膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 SiO2膜の密度を、2.1g/cm3
    2.5g/cm3 の範囲内とすることを特徴とする前記請求
    項1〜請求項4のいずれかに記載のSiO2膜の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 少なくともSiO2膜からなる保護膜と
    相変化記録層とを有する相変化型光デイスク媒体におけ
    る前記保護膜を、前記請求項1〜請求項5のいずれかに
    記載のSiO2膜の製造方法により製造することを特徴
    とする相変化型光デイスク媒体用保護膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 有機樹脂基板上に少なくともSiO2
    からなる保護膜、ZnS−SiO2膜からなる第1の誘
    電体層、相変化記録層、ZnS−SiO2膜からなる第
    2の誘電体層、および金属反射層の順に成膜してなる相
    変化型光デイスク媒体を製造するに際して、前記保護膜
    を、前記請求項6に記載の相変化型光デイスク媒体用保
    護膜の製造方法により製造することを特徴とする相変化
    型光デイスク媒体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記請求項1〜請求項5のいずれかに記
    載のSiO2膜の製造方法により製造されたことを特徴
    とするSiO2膜。
  9. 【請求項9】 前記請求項6に記載の相変化型光デイス
    ク媒体用保護膜の製造方法により製造されたことを特徴
    とする相変化型光デイスク媒体用保護膜。
  10. 【請求項10】 前記請求項7に記載の相変化型光デイ
    スク媒体の製造方法により製造されたことを特徴とする
    相変化型光デイスク媒体。
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