JP2000186003A - 被覆用農薬粒子とこれを用いた被覆農薬粒剤及びその混合物、及び被覆農薬粒剤を用いた農作物の栽培方法 - Google Patents

被覆用農薬粒子とこれを用いた被覆農薬粒剤及びその混合物、及び被覆農薬粒剤を用いた農作物の栽培方法

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成年 木元
Atsushi Takahashi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた初期放出抑制機能、及び初期溶出安定
機能を発現させるための被覆用農薬粒子、およびこれを
用いた優れた初期放出抑制機能を有する時限放出型被覆
農薬粒剤と、該被覆農薬粒剤を用いた農作物の栽培方法
を提供するものである。 【解決手段】 少なくとも1種以上の農薬成分を有効成
分として含み、かつ下記式に示される計算式1より求め
られる円形度係数が0.7以上であることを特徴とする
被覆用農薬粒子。及び該農薬粒子を、樹脂を主成分とす
る被膜で被覆した被覆農薬粒剤。 円形度係数=(4π×粒子の投影面積)/(粒子投影図の
輪郭の長さ)2 【効果】 極めて優れた初期放出抑制機能、及び初期溶
出安的能を有する農薬が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は特定の形状を有する
被覆用農薬粒子、これを用いた被覆農薬粒剤、及び該被
覆農薬粒剤の混合物、更に被覆農薬粒剤を用いた農作物
の栽培方法に関する。
【0002】
【従来の技術】就農人口が減少且つ高齢化している近年
の農業環境において、作物の栽培管理における省力化は
焦眉の急と云われて久しい。栽培管理において最も重要
な作業の一つである防除は、対象が病害虫のものと雑草
のものとに大別できるが、栽培期間を通じてその対象病
害・雑草に適合する農薬を適時に散布・施用する必要が
あり、数回にわたる散布・施用によって防除体系を形成
している。農薬散布はその回数と薬剤の種類が多いため
多くの労力を必要としており、例えば水稲の場合、播種
発芽期に種子消毒に用いる薬剤、苗立枯病用の薬剤、育
苗〜幼穂形成期〜穂揃期にかけてのイモチ病、イネミズ
ゾウムシ、ヨコバイ・ウンカ類、紋枯病、カメムシ等が
あり、雑草に対してはヒエ用、広葉雑草用等の除草剤を
それぞれ散布・施用を行っている。このように防除作業
の種類と回数は非常に多く、省力化栽培体系構築の障害
となっている。
【0003】このような現状から本発明者らは、栽培期
間中に行っていた数回にわたる各種農薬の散布・施用
を、ただ一度、それも播種時若しくは苗の移植時の散布
・施用で済ませる防除法が薬剤を用いる場合の理想の省
力化防除法であると考えた。その実現のためには種類の
異なる農薬がそれぞれ必要な時期までは溶出または放出
(以後「放出」と表記する)が抑制され、適切な時期が
来た時点で速やかに農薬成分の放出を開始し、更に必要
な期間放出が持続する機能を有する農薬粒剤が必要であ
る。云い方を変えれば、施用後一定期間放出が抑制され
る期間(以下「放出抑制期間」と表記する)と、一定期間
経過後農薬成分の放出を開始し終了するまでの期間(以
下「成分放出期間」と表記する)を有する、いわゆる時
限放出型の徐放機能(以下「時限放出機能」と表記す
る)を有する農薬粒剤が必要である。
【0004】これまで農薬成分の徐放化は主として農薬
を造粒し農薬粒剤とすることが行われてきた。農薬粒剤
を製造する方法としては、一般的に、(1)鉱物質微粉
に農薬成分、バインダーおよび必要に応じて各種の補助
剤を加え、水で練り合わせ細孔より押し出し、乾燥して
造粒する押し出し造粒法、(2)鉱物質等よりなる無活
性粒体に対し、液体状の農薬成分を含浸させる含浸法、
(3)鉱物質等よりなる無活性粒体の表面に、農薬成分
をバインダーで付着させる被覆法の3種類の製造法が知
られており、利用分野によって上記の方法が適宜選択さ
れている。しかしながら、これらの農薬粒剤は比較的短
時間で農薬成分が放出してしまう。このような放出制御
機能では施用時における薬害発生により前述のような理
想の省力化防除法の確立は不可能である。
【0005】また近年、特開平6−9303号公報にお
いては高吸水膨潤性物質層とオレフィン系重合体層から
なる多層被膜で農薬粒剤を被覆した被覆農薬粒剤、特開
平6−9304号公報においてはアルカリ物質層とオレ
フィン系樹脂およびアルカリ水可溶性重合体との混合物
層からなる多層被膜で農薬粒剤を被覆した被覆農薬粒
剤、特開平6−72805号公報においてはアルカリ物
質層と縮合系重合体およびアルカリ水可溶性重合体との
混合物層からなる多層被膜で農薬粒剤を被覆した被覆農
薬粒剤、特開平6−80514号公報においては高吸水
膨潤性物質層と縮合系重合体層からなる多層被膜で農薬
粒剤を被覆した被覆農薬粒剤が開示されている。これら
は何れも時限放出型の徐放機能を有する被覆農薬粒剤
(以下「時限放出被覆農薬粒剤」と表記する)であり、
前述の理想の省力化防除法を実現する資材として有望で
ある。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】このような時限放出被覆農薬粒剤は放出抑
制期間を有しているところから、例えば特公昭64−5
002号公報に開示の単なる徐放型被覆農薬よりは多く
の量を播種と同時に施用できる。しかし、現状の時限放
出被覆農薬粒剤には放出抑制期間における農薬成分の放
出を完全に抑制できるものは無かった。つまり所定の放
出抑制期間内におけるいくらかの農薬成分の放出、別な
表現をすれば農薬成分の漏れがある(以下「漏れ」と表
記する)ので、播種若しくは苗の移植と同時に多量の該
時限放出被覆農薬粒剤を施用する場合には生育障害(薬
害)が起こる。したがって、播種から収穫に至るまでの
栽培期間内に必要な農薬成分の全量、若しくは栽培期間
内に必要な農薬成分の大部分が含有される被覆農薬粒剤
を、播種若しくは苗の移植と同時に一度に施用すること
は不可能であり、農薬散布作業を省略できるまでには至
っていなかった。よって単に農薬が時限放出機能を有す
るだけでは未だリスクがあり、理想の省力化防除法実現
の障害になっていた。農作物栽培においては昔から「苗
半作」と云われており、栽培の初期段階における生育の
良否が作柄に大きく影響する。また、水稲のように通常
一年作の作物においては特に失敗は許されない。
【0007】このように、時限放出被覆農薬粒剤の放出
抑制機能をいかに向上させるか、即ち放出抑制期間にお
ける農薬成分の漏れを完全に、若しくは最小限に抑える
技術の開発が省力化栽培法確立への課題であった。かか
る問題は時限放出被覆農薬粒剤において深刻であるが、
放出抑制期間を持たず散布・施用の時点から農薬成分が
放出される放出機能をもつ被覆農薬粒剤においても初期
の放出が安定しないなどの問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】本発明者らは前記従来技術における問題点
に鑑み鋭意検討を重ねた結果、農薬成分を有効成分とし
て含み、かつ下記計算式により求められる円形度係数が
0.7以上の農薬粒子を被覆用に用いることにより、農
薬成分の初期放出が安定化し、時限放出被覆農薬粒剤の
放出抑制期間における農薬成分の放出が大幅に低減され
ることを見い出した。円形度係数=(4π×粒子の投影
面積)/(粒子投影図の輪郭の長さ)2更に、該農薬粒子を
用いた被覆農薬粒剤の単独、若しくはその混合物を作物
の栽培に用いることにより、農薬の散布・施用における
作業を著しく軽減できることを知見し本発明を完成させ
た。
【0009】すなわち、本発明は下記の(1)〜(5)
の構成を有する。 (1)少なくとも1種以上の農薬成分を有効成分として
含み、かつ下記式の計算式より求められる円形度係数が
0.7以上である被覆用農薬粒子。 円形度係数=(4π×粒子の投影面積)/(粒子投影図の
輪郭の長さ)2 (2)前記第1項に記載の被覆用農薬粒子が、樹脂被膜
で被覆された被覆農薬粒剤。 (3)被覆農薬粒剤が、施用後一定期間農薬成分の放出
が抑制された放出抑制期間と、一定期間経過後農薬成分
の放出が持続する放出期間とからなる時限放出型の徐放
機能を有する前記第2項記載の被覆農薬粒剤。 (4)前記第2項に記載の被覆農薬粒剤及び前記第3項
に記載の被覆農薬粒剤から選ばれた2種以上の被覆農薬
粒剤からなる被覆農薬粒剤混合物。 (5)前記第2項または前記第3項に記載の被覆農薬粒
剤、若しくは前記第4項に記載の被覆農薬粒剤混合物を
施用する農作物の栽培方法。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
被覆用農薬粒子は農薬成分の徐放化を目的として、被膜
材で被覆するために用いるものである。先に示した計算
式により求めた円形度係数が0.7以上のものであり、
好ましくは0.75以上であり、より好ましくは0.8
以上である。円形度係数の最大値は1であり、1に近づ
けるほど放出抑制期間における漏れを抑えることかでき
る。円形度係数とは、粒子の円形度合いを知るための尺
度であり、粒子が完全な真円の場合1となり、粒子形状
が真円から崩れるに従って円形度係数が小さくなる。本
発明においては、下限値未満の粒子の割合が増えると放
出抑制期間における漏れが大きくなるので、本発明の被
覆用農薬粒子は全てが0.7以上のものであることが好
ましいが、本発明の効果を大きく損なわない限りにおい
て、下限値未満のものが若干量存在していても差し支え
ない。なお上記の円形度係数は、PIAS−IV(株式
会社ピアス製)等の市販の測定機器を用いることにより
測定することができる。
【0011】本発明の被覆用農薬粒子は、農薬成分を必
須成分とする原料を造粒することにより得ることができ
る。この様な造粒法としては、押出し造粒法、被覆造粒
法、吸着造粒法等を用いることができる。本発明におい
ては、これらの造粒法のいずれを使用しても良い。一般
的に、押出し造粒法、被覆造粒法、吸着造粒法等により
得られる農薬粒子は、そのままでは表面が平滑でないた
め角があり、歪な形状となっていることが多いので、該
方法を用いる場合は、さらに整粒機等を用いて角取り処
理を入念に行い、円形度係数が0.7以上になるように
成形すればよい。
【0012】本発明の被覆用農薬粒子の組成は、農薬成
分を有効成分とするものであれば特に限定されるもので
はない。農薬成分のみからなる粒子であっても良く、農
薬成分と不活性担体からなる粒子であっても良い。ま
た、農薬成分は1種であっても、2種以上の複合成分か
らなるものであっても良い。不活性担体としてはベント
ナイト、ゼオライト、タルク、クレー、炭酸カルシウ
ム、ケイソウ土等を挙げることができるがこれらに限定
されるものではない。不活性担体も必要に応じ2種以上
を混合して用いることができる。更に本発明の被覆用農
薬粒子には、農薬成分以外に肥料成分の1種以上を含む
ものであっても良く、必要に応じ結合材などを用いても
構わない。
【0013】本発明の被覆用農薬粒子に用いることがで
きる結合剤は公知物質の中から選択すれば良く、アラビ
アゴム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチ
ルセルロース、リグニンスルホン酸塩類、ポリビニルア
ルコール、ポリエチレングリコール、界面活性剤類、流
動パラフィン等を使用することができる。被覆用農薬粒
子の粒径は篩いを用いることにより任意の粒径を選択す
ることができ、好ましくは0.3mm以上であり、より
好ましくは0.7〜5.0mmである。粒径0.3mm
未満では被覆が困難であり、製造上さらには実用面で
0.7〜5.0mmであることが好ましい。これら造粒
方法は公知方法に準じて行うことができるが、押し出し
造粒法が最も簡易である。
【0014】農薬成分の具体例としては、特に制限はな
いが、主として殺虫、殺菌、除草および植物成長調整の
ほか殺ダニ、殺線虫等の作用を有するものである。さら
に、これらには忌避剤や誘引剤も含まれ、これらであれ
ばその種類に制限なく適用され得る。好ましくは常温で
固体の粉状であることが望ましいが常温で液体であって
も許容される。また、農薬成分の水溶性には特に限定さ
れることなく本発明を適用できる。本発明に利用できる
農薬成分としてはその具体例を下記に挙げるがこれらは
あくまでも例示であり限定されるものではない。例え
ば、1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニ
トロイミダゾリジン−2−イリデンアミン、O,O−ジ
エチル−S−2−(エチルチオ)エチルホスホロジチオ
エート、1,3−ビス(カルバモイルチオ)−2−
(N,N−ジメチルアミノ)プロパン塩酸塩、2,3−
ジヒドロ−2,2−ジメチル−7−ベンゾ〔b〕フラニ
ル=N−ジブチルアミノチオ−N−メチルカルバマー
ト、(2−イソプロピル−4−メチルピリミジル−6)
−ジエチルチオホスフェート、5−ジメチルアミノ −
1,2,3−トリチアンシュウ酸塩、O,O−ジプロピ
ル−O−4−メチルチオフェニルホスフェート、エチル
=N−〔2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチルベンゾフ
ラン−7−イルオキシカルボニル(メチル)アミノチ
オ〕−N−イソプロピル−β−アラニナート、1−ナフ
チル−N−メチルカーバメート、2−イソプロポキシフ
ェニル−N−メチルカーバメート、ジイソプロピル−
1,3−ジチオラン−2−イリデン−マロネート、5−
メチル−1,2,4−トリアゾロ〔3,4−b〕ベンゾ
チアゾール、1,2,5,6−テトラヒドロピロロ
〔3,2,1−ij〕キノリン−4−オン、3−アリル
オキシ−1,2−ベンゾイソチアゾール−1,1−ジオ
キシド、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸のナトリウム
塩またはジメチルアミン塩、エチルエステル。2−メチ
ル−4−クロロフェノキシ酢酸のナトリウム塩またはエ
チル、ブチルエステル。2−メチル−4−クロロフェノ
キシ酪酸のナトリウム塩またはエチルエステル。α−
(2−ナフトキシ)プロピオンアニリド、S−1−メチ
ル−1−フェニルエチル=ピペリジン−1−カルボチオ
アート、S−(4−クロロベンジル)−N,N−ジエチ
ルチオカーバメート、5−ターシャリーブチル−3−
(2,4−ジクロル−5−イソプロポキシフェニル)−
1,3,4−オキサジアゾリン−2−オン、2−〔4−
(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチルピ
ラゾール−5−イルオキシ〕アセトフェノン、4−
(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチル−
5−ピラゾリル−p−トルエンスルホネート、3−イソ
プロピル−2,1,3−ベンゾ−チアジアジノン−
(4)−2,2−ジオキシドまたはそのナトリウム塩、
2−クロロ−4−エチルアミノ−6−イソプロピルアミ
ノ−s−トリアジン、2−メチルチオ−4−エチルアミ
ノ−6−(1,2−ジメチルプロピルアミノ)−s−ト
リアジン、2−メチルチオ−4,6−ビス(エチルアミ
ノ)−s−トリアジン、2−メチルチオ−4,6−ビス
(イソプロピルアミノ)−s−トリアジン、1−(α,
α−ジメチルベンジル)−3−(パラトリル)尿素、メ
チル=α−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル
カルバモイルスルファモイル)−ο−トルアート、2−
ベンゾチアゾール−2−イルオキシ−N−メチルアセト
アニリド、1−(2−クロロイミダゾ[1,2−a]ピ
リジン−3−イルスルホニル)−3−(4,6−ジメト
キシピリミジン−2−イル尿素、S−ベンジル=1,2
−ジメチルプロピル(エチル)チオカルバマート、2−
クロロ−N−(3−メトキシ−2−テニル)−2´,6
´−ジメチルアセトアニリド等を挙げることができる。
【0015】本発明の被覆用農薬粒子を被覆する被膜の
材料は特に限定されるものではないが、全放出期間の長
さ、放出パターンにおける選択範囲の広さ及び膜強度な
どの物性の点から、被膜は樹脂被膜であることが好まし
い。本発明に用いる樹脂としてはオレフィン系重合体、
塩化ビニリデンを含む共重合体、ジエン系重合体、ワッ
クス類、石油樹脂、天然樹脂、油脂およびその変性物か
ら選ばれた1種または2種以上の物質ならびにアルキド
樹脂等の熱硬化性樹脂を挙げることができる。オレフィ
ン系重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、
エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−一酸化炭素
共重合体、ポリブテン、ブテン−エチレン共重合体、ブ
テン−プロピレン共重合体、ポリスチレン、エチレン−
酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭
素共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン
−メタアクリル酸エステル共重合体等が例示でき、塩化
ビニリデンを含む共重合体としては、塩化ビニリデン−
塩化ビニル共重合体が例示でき、ジエン系重合体として
は、ブタジエン重合体、イソプレン重合体、クロロプレ
ン重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、EPDM重
合体、スチレン−イソプレン共重合体等が例示でき、ワ
ックス類としては、密ロウ、木ロウ、パラフィン等が例
示でき、天然樹脂としては、天然ゴム、ロジン等が例示
でき、油脂及びその変性物としては、硬化物、固形脂肪
酸および金属塩等を例示することができる。中でも全放
出期間の長さ及び放出パターンの選択できる範囲の広さ
の点からオレフィン系重合体がより好ましい。
【0016】更に本発明においては本発明の効果を損な
わない範囲で、樹脂にフィラーや親水性付与のための界
面活性剤などを添加してもよい。フィラーの一例として
はタルク、クレー、カオリン、ベントナイト、白雲母、
金雲母、雲母状酸化鉄、金属酸化物、珪酸質、ガラス及
びアルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸塩、澱粉等を挙げる
ことができる。フィラーの添加量は特に限定されるもの
ではないが、その添加割合は5〜98重量%の範囲で添
加することができる。被膜の強度や溶出機能維持の点か
らこの範囲を大きく下回る、若しくは大きく上回ること
は好ましくない。用いる界面活性剤は特に限定されるも
のではない。界面活性剤の種類にもよるが、添加量が多
すぎる場合には樹脂にクラックが生じやすくなることか
ら、その添加量は多い場合でも被膜の20重量%以下に
することが好ましい。
【0017】本発明の被覆用農薬粒子を用いた被覆農薬
粒剤が時限放被覆農薬粒剤である場合には、放出抑制期
間における農薬成分の漏れを大幅に抑えることができる
ので特に有効である。本発明の時限放出被覆農薬粒剤を
用いれば前述の理想の省力化防除法を実現することがで
きる。本発明で云うところの時限放出型の徐放機能と
は、施用後一定期間放出が抑制される放出抑制期間と一
定期間経過後速やかな放出を開始する成分放出期間とか
らなる放出パターンを意味し、具体的には施用後から被
覆農薬粒剤中の農薬成分が10重量%放出するまでの期
間を放出抑制期間とし、10重量%をこえて90重量%
放出日までの期間を成分放出期間とした場合、放出抑制
期間/成分放出期間の比率が0.2以上である溶出パタ
ーンを意味する。
【0018】農薬は肥料に比べ水に難溶であることか
ら、被膜内農薬成分の被膜外への放出は前述した先行文
献に開示されているように、被膜を破壊ないし溶解させ
被膜内部の農薬粒子を被膜外部の環境(土壌、水など)
に直接曝すことにより達成される。本発明においてはそ
のような時限放出機能の作用機構のうち如何なる機構に
よるものであっても構わない。本発明においては前述の
先行文献に開示の被膜組成で時限放出機能を達成したも
のであってもよいが、これらの被膜は何れも2層の被覆
層から構成されており、被覆操作の煩雑さや製造設備に
かかる設備投資等の費用の点などから、被膜は1層であ
ることが好ましい。
【0019】1層被膜で時限放出機能を達成できる被覆
農薬粒剤としては、少なくとも1種以上の農薬成分と少
なくとも1種以上の水膨潤性物質からなる農薬粒子の表
面を、樹脂被膜で被覆した被覆農薬粒剤を挙げることが
できる。この組成の被覆農薬粒剤は圃場等に施用後、被
膜の透湿性により圃場に供給された水分が内部の水膨潤
性物質に作用し、農薬粒子が膨潤を開始する。この水膨
潤性物質の膨潤によって生じる応力により一定期間経過
後被膜が崩壊し、被膜内部の農薬成分が被膜外部の環境
(土壌、水など)に直接曝されることになる。
【0020】その際用いる水膨潤性物質とは吸水してそ
の体積が大きくなるあらゆる物質のことであり、特に限
定されるものではないが、モンモリロナイトを主体とす
る粘土鉱物、澱粉、吸水性高分子等が挙げられる。これ
らの中では、費用と取り扱い易さの面からみてモンモリ
ロナイトを主体とする粘土鉱物が好ましい。粘土鉱物モ
ンモリロナイトを主成分とするスメクタイト粘土の代表
的なものとしてベントナイトが挙げられ、各種粘土の中
でも最も微粒子であり且つ活性度が高いことから、本発
明の水膨潤性物質として最も好ましい物質である。本発
明では、農薬成分や水膨潤性物質の他に、被覆用農薬粒
子にあらゆる補助成分、例えば、造粒助剤(モンモリロ
ナイトを主体としない粘土鉱物含む)、結合剤、界面活
性剤、薬害軽減剤等を使用することができる。
【0021】1層の被膜で時限放出機能を実現するため
には、被覆用農薬粒子の表面を前述の樹脂被膜で完全に
被覆し、水蒸気は透過させるが水は通過させない被膜に
することが必要である。つまり、ピンホールや亀裂の無
い被膜を形成することが重要である。また、長い放出抑
制期間が必要な場合には、被覆用農薬粒子の表面に透湿
性の小さい樹脂被膜を被覆することが有効である。透湿
性の小さい樹脂被膜を被覆することにより、外部に存在
する水蒸気を徐々に時間をかけて被膜内部の該農薬粒子
にまで浸透させることができる。透湿性の小さい樹脂は
特に限定されるものではないが、オレフィン系重合体、
塩化ビニリデンを含む共重合体が好ましく、特にポリエ
チレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合
体、エチレン−一酸化炭素共重合体、塩化ビニリデン−
塩化ビニル共重合体が好ましい樹脂材料として挙げるこ
とができる。エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン
−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体及びジエン系重合体
のようなゴム状物質を被膜材料に用いる場合には、被膜
に亀裂が生じるまでの時間の調節に有効であるが、これ
らの重合体が被膜材料中に多量に存在すると、放出抑制
期間が極端に短くなったり、亀裂が生じなくなる恐れが
あるため、これら重合体の被膜材料中の配合量は、20
重量%未満であることが好ましく、特にエチレン−酢酸
ビニル共重合体の場合には15重量%以下であることが
好ましい。成分溶出期間を変動させる主な要因は本発明
の被覆用農薬粒子の膨潤力であり、被膜強度が一定であ
れば膨潤力が大きいほど成分放出期間は短くなり、膨潤
力が小さいほど成分放出期間は長くなる傾向にある。
【0022】本発明に開示の被覆用農薬粒子を用いるこ
とによって得られる効果の作用機構は現在のところ不明
であるが、本発明の被覆用農薬粒子の表面においては、
均一な厚さの被膜が形成されているからであると推測し
ている。前述のように農薬は肥料に比べ水に難溶である
ことから、被膜内農薬成分の被膜外への放出は前述した
先行文献に開示されているように、被膜を破壊ないし溶
解させることにより達成されている。被膜を破壊する時
限放出被覆農薬粒剤であって、その被膜の厚さにばらつ
きがある場合には、被膜の薄いところに膜を破壊しよう
とする応力が集中し、その部分が所定の放出抑制期間内
に破壊されてしまうため、結果として漏れが発生し易く
なると考えられる。被膜を溶解させる時限放出被覆農薬
粒剤であっても、やはり被膜の薄いところは比較的早く
被膜の内部と外部を繋ぐパスができるため漏れが発生し
やすくなると考えられる。即ち農薬粒子の表面に均一な
厚さの被膜が被覆できれば放出抑制期間における漏れが
改善されると考える。このような現象に対し、単純に膜
厚を厚くすることによって漏れの発生が減少する傾向が
見られるが、膜厚を厚くすれば放出抑制期間もそれに伴
っての長いものとなるため、放出抑制期間を制御できる
範囲が狭くなることから実用的な方法とは云えない。こ
れに対し均一な膜厚の被膜を形成することができれば、
放出抑制期間の短い時限放出被覆農薬粒剤であっても、
放出抑制期間における農薬成分の放出を完全に若しくは
最小限に抑えることが可能であり、極めて有効な方法で
あると考えている。
【0023】本発明における被膜の被覆方法は特に限定
されるものではない。転動状態、流動状態若しくは噴流
状態にある本発明の被覆用農薬粒子に、溶解若しくは溶
融した被膜材を噴霧若しくは塗布し、乾燥若しくは固化
させることによって被膜を形成させる方法でも良く、溶
解若しくは溶融した液状の被膜材に被覆用農薬粒子を浸
漬させる若しくは該液状被膜材中をくぐらせ、乾燥若し
くは固化させることによって被膜を形成させる方法であ
っても良い。
【0024】好ましい一例を挙げるならば、樹脂を主成
分とする被膜材料を有機溶媒で溶解させた混合溶解液を
流動状態の被覆用農薬粒子に噴霧する一方、高速熱風流
により該農薬粒子表面の溶媒を除去乾燥し、該農薬粒子
の表面に被膜材料を被覆する方法を挙げることができ
る。該製造方法に使用し得る被覆装置の一例について添
付図面を参照しながら説明するが、本発明の製造方法
は、図1に示される噴流層を用いて行うのが最も好まし
い。該被覆方法においては、本発明にかかわる被膜材料
を均一に分散させるために特に被覆液の撹拌を強力に行
う必要がある。この噴流層は、転動または流動状態にあ
る被覆用農薬粒子3に対し、被膜材料の混合溶解液(被
覆液)を配管5経由で輸送され、スプレーノズル2によ
り噴霧し、被覆用農薬粒子3の表面に吹き付けて、該表
面を被覆すると同時並行的に、高温気体を噴流塔1に下
部から流入させ、該高速熱風流によって、該表面に付着
している混合溶解液中の溶媒を瞬時に蒸発乾燥させるも
のである。
【0025】放出抑制期間における農薬成分の漏れを抑
えた本発明の時限放出被覆農薬粒剤であれば、薬害を受
けやすい育苗期間ないし幼苗期における農薬成分の放出
が無い、若しくは微量であるため、育苗開始時若しくは
本圃への播種、移植時に、栽培期間中に散布・施用する
農薬成分の全量若しくはその内の大部分を一度に施用す
ることが可能となる。農作物は栽培開始から収穫までの
間に様々な病害虫の攻撃及び雑草との栄養分の奪い合い
に曝される。病害虫及び雑草の発生時期はその種類によ
ってまちまちであり、用いる農薬の種類もそれに応じて
全て異なる。従って、栽培期間中に必要となる農薬成分
を栽培開始の初期に施用し、発生時期の異なる複数の病
害虫及び雑草に対し農薬成分の活性を有効に発現させる
には、放出抑制期間及び農薬成分の種類の異なる被覆農
薬粒剤を混合したものを用いることが好ましい。例えば
水稲の栽培においては、富山県の場合、活着期にはイネ
ミズゾウムシ、イネドロオイムシ等が発生し、穂ばらみ
期にはセジロウンカ、ツマグロヨコバイ、カメムシ類等
が発生する。それらの害虫に活性のある殺虫剤の全てを
育苗開始時に育苗箱に施用するには、育苗開始から活着
期までの長さの放出抑制期間を有する殺虫剤と、穂ばら
み期までの長さの放出抑制期間を有する殺虫剤を混合し
たものを用いればよい。このように本発明の時限放出被
覆農薬粒剤を2種以上混合したものは、農薬散布の省力
化に極めて有効である。
【0026】以上は本発明の時限放出被覆農薬粒剤の混
合物についてであるが、必要に応じて放出抑制期間のな
い本発明の被覆農薬粒剤を混合しても良く、この混合物
は本圃への苗の移植時に施用する場合に有効である。但
し、移植直後は通常苗が痛んでおり薬害が発生しやすい
ことから、施用量及び農薬成分の初期放出量の決定は慎
重に行うべきである。更に、本発明の被覆農薬粒剤混合
物には、本発明の効果を損なわない範囲でその他の形状
の農薬成分、肥料成分、土壌改良材を添加しても構わな
【0027】本発明の農作物の栽培方法は、本発明に開
示の被覆農薬粒剤を用いた栽培方法であれば特に限定さ
れるものではない。栽培方法とは作物の栽培時に直接圃
場に施用する栽培方法であっても良く、また育苗培土の
組成物の一つとして本発明の被覆農薬粒剤を添加すると
云ったような栽培方法であっても良い。
【0028】栽培方法の具体例としては、前述のような
育苗開始時若しくは本圃への播種、移植時に、栽培期間
中に散布・施用する農薬成分の全量若しくはその内の大
部分を施用する方法が挙げられる。使用する本発明の被
覆農薬粒剤は1種類でも良く、放出機能(放出パターン
や放出抑制期間の長さ)や農薬成分の異なる被覆農薬粒
剤を2種以上混合したものであっても構わない。また、
施用する時期も限定されるものではなく、育苗開始時に
育苗箱や育苗ポットなどの育苗容器に施用してもよく、
本圃へ播種若しくは移植すると同時に施用してもよい。
【0029】また、本発明の被覆農薬粒剤の使用方法は
作物が限定されるものではなく、キャベツ、レタス、ホ
ウレンソウなどの葉菜類、ダイコン、ニンジン等の根菜
類、トマト、キュウリ、カボチャ等の果菜類のほか、麦
類、トウモロコシ、いも類、マメ類、工芸作物、花卉類
に用いることができる。
【0030】育苗培土の組成は特に限定されるものでは
ないが、通常育苗培土は苗を支持し保水能を有する保水
剤と肥料成分とからなる。また、必要に応じて農薬成分
が添加されるが、この農薬成分に本発明の被覆農薬粒剤
を用いればよい。
【0031】保水剤は保水性が良く安価であればよく、
天然土壌のほか木屑、パルプ粕、ピートモス、ヤシガ
ラ、水苔等の天然有機物、発泡樹脂、パーライト、バー
ミキュライトなどの無機多孔性物質などが挙げられる
が、安価で安定的に供給されているヤシガラ、パーライ
ト、バーミキュライトが好ましい物質である。これらは
単独で用いても良く、また2種以上が混合された物であ
っても良い。
【0032】育苗培土に用いる肥料成分は特に限定され
るものではないが、時限溶出機能を有する被覆粒状肥料
であれば、育苗時から本圃に移植後にまで必要な肥料分
を添加することができ、移植後の施肥労力の省力化にな
るため好ましい。時限溶出機能を有する被覆粒状肥料と
しては特に限定されるものではないが、特開平6−87
684号公報に開示の糖重合体若しくはその誘導体を主
成分とする粉体から選ばれた少なくとも1種以上を樹脂
に分散した被膜により被覆してなる被覆粒状肥料や、特
開平4−202079号公報に開示の高吸水膨潤性物質
層とオレフィン系重合体層からなる多層被膜で粒状肥料
を被覆した重層被覆粒状肥料や、特開平4−20207
8号公報に開示のアルカリ物質層とオレフィン系樹脂お
よびアルカリ水可溶性重合体との混合物層からなる多層
被膜で粒状肥料を被覆した多層被覆粒状肥料を挙げるこ
とができる。
【0033】
【実施例】以下に実施例によって本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例により限定されるべきものではな
い。尚、以下の実施例における「%」は特に断りがない
限り「重量%」である。 1.被覆用農薬粒子の製造 実施例1 (農薬粒子Aの製造)農薬成分として1,2,5,6−
テトラヒドロピロロ〔3,2,1−ij〕キノリン−4
−オンが98%含有されている農薬3重量部、ベントナ
イト70重量部、クレー27重量部をニーダーで均一に
混合し、加水混練した。この混合物をスクリュー押し出
し式造粒機(スクリーン径0.8mmφ)で押し出し造
粒し、一次農薬造粒物を得た。該造粒物を、回転円盤式
整粒機(不二パウダル製、マルメライザーQJ400)
で、円形度係数が0.7以上になるまで平滑化処理を行
った。その処理方法は、該造粒物を計量して回転円盤式
整粒機に供給し、下記の運転条件で整粒した。整粒後、
熱風循環乾燥機を用い100℃の条件下で乾燥後、振動
篩で分級し農薬成分を2.8%含有する0.8〜1.4
mmの被覆に供すべき二次農薬造粒物(農薬粒子)を得
た。該農薬粒子は、株式会社ピアス製のPIAS−IV
を用いて円形度係数を測定した。測定条件は、ランダム
に取り出した粒子100個を用いて行った。円形度係数
の測定結果を表1に示す。 運転条件 運転方式 :回分式 運転時間 :1min 目皿ピッチ:1mm 回転数 :788r/min 仕込量 :5kg(1回当たり) 実施例2 (農薬粒子Bの製造)回転円盤式整粒機の運転時間1m
inを5minにした以外は、(農薬粒子Aの製造)に
準じて、農薬粒子Bを得た。得られた農薬粒子Bの円形
度係数を、(農薬粒子Aの製造)に準じて測定した。円
形度係数の測定結果を表1に示す。 実施例3 (農薬粒子Cの製造)回転円盤式整粒機の運転時間1m
inを10minにした以外は、(農薬粒子Bの製造)
に準じて、農薬粒子Dを得た。得られた農薬粒子Dの円
形度係数を、(農薬粒子Aの製造)に準じて測定した。
円形度係数の測定結果を表1に示す。 比較例1 (農薬粒子Dの製造)回転円盤式整粒機の運転時間1m
inを20secにした以外は、(農薬粒子Aの製造)
に準じて、農薬粒子Dを得た。得られた農薬粒子Dの円
形度係数を、(農薬粒子Aの製造)に準じて測定した。
円形度係数の測定結果を表1に示す。その他比較例とし
て市販の粒剤を用いた。比較例2はヒノクロア粒剤(三
笠化学工業(株))、比較例3はパダンビーム粒剤(武
田薬品工業(株))、比較例4はオンコル粒剤(大塚化
学(株))である。比較例1〜4について、それぞれの
円形度係数を、(農薬粒子Aの製造)に準じて測定し
た。円形度係数の測定結果を表1に示す。
【表1】 表1より、実施例1〜4は平均値、最大値、最小値いず
れも0.7以上であり、本発明の被覆用農薬粒子を得る
ことができた。比較例1〜4について、比較例2を除い
て平均値は0.7以上であるが、最小値は0.7を大き
く下回った。
【0034】2.農薬粒剤の被覆 図1に示される噴流層被覆装置を用いて、前記の「農薬
粒子の製造」によって得られた農薬粒子を、表2記載の
被膜材料組成のもので、所定の被覆率になるまで被覆
し、実施例4から10及び比較例5から11の被覆農薬
粒剤を得た。製造方法は、以下の方法に準拠して行っ
た。また、被覆率は、農薬粒子の重量(a)と被膜の重
量(b)との和を100重量%とした被覆農薬粒剤に対
する被膜の重量(b)の比率であり、算式[b×100
/(a+b)]で求めた値である。被覆は被膜材料をテ
トラクロロエチレンに溶解して2.5重量部の均一な被
膜材料溶解液を用いた。 一流体ノズル:開口0.4mmフルコーン型 未被覆の農薬粒剤:3kg 熱風温度:100±2℃ 熱風風量:4m3/min スプレー流速:0.2kg/min 被覆工程は流動中の農薬粒子温度が所定の温度に達した
時点から開始し、所定時間スプレーした後、所定時間の
乾燥を実施し、被覆農薬粒剤を得た。尚、被膜が第1お
よび第2被覆層から形成されているものについては、ま
ず第1被覆層の被膜材料溶解液を噴霧・吹き付けし、第
1被覆層の噴霧・吹き付けが終了次第、第2被覆層の被
膜材料溶解液の噴霧・吹き付けを行い、乾燥は第2被覆
層の吹き付けが終了した後に行った。
【0035】3.放出機能確認試験 前記製造例によって得られた各被覆農薬粒剤の放出機能
確認試験を実施した。放出確認試験は、該被覆農薬粒剤
に亀裂が入り、被膜が破壊されることにより、内部の農
薬粒子から農薬成分が外部に放出されるまでの時間(放
出開始時間)を測定したものである。試験方法は以下の
記載に準じて行った。前記製造例によって得られた各被
覆農薬粒剤を用い、キャップ付試験管(12mm×72
mm)に水を1.5mL入れ、試験管1本当たり1粒投
入後キャップをした。これを各試験区当たり100管
(粒)用いて、水温25℃一定の条件下でそれぞれ被覆
農薬粒剤の崩壊の個数をカウントした。観察は試験開始
から1週間までは毎日行い、その後は1週間ごとに行っ
た。累積放出率は供試粒剤の累積崩壊数である。観察結
果を縦軸に累積放出率、横軸に経過日数をとり、それぞ
れのデータをプロットしたグラフを作成した。また、試
験開始から10%放出に至るまでの日数(放出抑制期
間)を「D1」とし、それ以降90%放出に至るまでの
日数(放出期間)を「D2」とし、放出抑制期間の1/
2にあたる時点での放出率を「1/2・D1」とした。
その結果を表3に示す。これとは別に、被覆農薬粒剤1
gを一定量の水に投入し、水温25℃一定の条件下水中
に浸漬し、一定期間経過後に粒剤を取り出し、被覆農薬
粒剤と水溶液を分別し、水中に溶け出た農薬成分を定量
した。水溶液中の農薬成分の濃度は、高速液体クロマト
グラフ(ウォーターズ社製486チューナブルUV/VIS検出
器)を用いて測定した。その結果、被覆農薬粒剤の被膜
が崩壊していない、換言すれば放出率が0%の時は農薬
成分が検出されなかったため、農薬成分が被膜を通過し
て溶出していないことを確認した。表3の「1/2・D
1」より明らかなように、円形度係数が0.7以上の農
薬粒子を使用して得た時限放出被覆農薬粒剤は、円形度
係数が0.7未満の農薬粒子を使用して得た時限放出被
覆農薬粒剤と比較して、初期放出量が極めて微量である
ことが判る。
【0036】4.被覆農薬粒剤混合物の製造 前記2の「農薬粒剤の被覆」で得られた被覆農薬粒剤を
以下の比率で配合し、均一になるまで撹拌して以下の各
種被覆農薬粒剤混合物(実施例11〜13)を製造した。 実施例11 実施例4:実施例8=5:5 実施例12 実施例5:実施例8=4:6 実施例13 実施例7:実施例8:実施例9=5:4:1
【0037】5.栽培試験 本発明品を用いて栽培試験を行った。育苗用の床土とし
て洪積火山灰土壌(最大容水量120%、粒径2mm以
下)を3000gと育苗用肥料として硫加燐安(N−P
25−K2O=13−13−13、チッソ(株)商品
名)を用いてN、P25、K2Oがそれぞれ1gずつの
割合でコンクリートミキサーに投入し、これらが均一に
なるまで混合した。該混合物2000gを前記水稲用育
苗箱に入れ、表面を平らにし、農薬成分として実施例
8、比較例8を用いる試験区は各々100g、実施例1
1〜13を用いる試験区は各々200g、と水稲の催芽
種籾(品種:ヒノヒカリ)150gを均一かつ層状に播
種施用した。さらに、該混合物1000gを用いて覆土
した。以後該育苗箱はグロースキャビネットで、明期1
2時間暗期12時間、20℃の一定温度条件下で積算温
度が420℃まで、21日間苗を育成した。光源として
蛍光灯を用い、光源から育苗箱表層までの距離は30c
mであった。尚、このときの相対湿度は80〜90%で
あった。栽培管理は、培土表層が乾燥しないように適宜
潅水を行った。その他の育苗管理は慣行法に準じて行っ
た。栽培試験結果を表4に示す。表4の結果から、実施
例8、11〜13の試験区において、育苗期間中の生育
は順調に推移し、薬害の発生は見られなかった。各実施
例と同じ農薬成分を含有する比較例8は各実施例と比べ
て、育苗期間途中から生育が遅れ、薬害の兆候が見られ
た。育苗終了後は熊本県水俣市の水田において栽培を行
ったが、実施例11〜13の試験区は薬効が長期間持続
した。
【0038】
【発明の効果】本発明の円形度係数が0.7以上の農薬
粒子の表面を、樹脂被膜で被覆した被覆農薬粒剤は、農
薬成分の初期溶出が安定する効果を有する。更に時限放
出型の徐放機能を有する被覆農薬粒剤においては、放出
抑制期間における農薬成分の漏れが著しく抑制される優
れた時限放出機能を有する。また、初期溶出が安定した
若しくは放出抑制期間中の農薬成分の漏れが抑制された
本発明の被覆農薬粒剤であれば、栽培初期の生育障害
(薬害)を起こすことなく、栽培期間に必要な農薬成分
の全量若しくはその大部分を、播種若しくは移植と同時
に施用することができるため、本発明の被覆農薬粒剤の
単独、若しくはその2種以上の混合物を作物の栽培に用
いることにより、薬害を起こすことなく農薬の散布・施
用における作業を著しく軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】噴流層のフローシート図
【符号の説明】
噴流塔 スプレーノズル 被覆用農薬粒剤(被覆用農薬粒子) 熱風温度 被膜材料導入管
【表2】
【表3】
【表4】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1種以上の農薬成分を有効成
    分として含み、かつ下記の計算式より求められる円形度
    係数が0.7以上である被覆用農薬粒子。 円形度係数=(4π×粒子の投影面積)/(粒子投影図の
    輪郭の長さ)2
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の被覆用農薬粒子が、樹
    脂被膜で被覆された被覆農薬粒剤。
  3. 【請求項3】 被覆農薬粒剤が、施用後一定期間農薬成
    分の放出が抑制された放出抑制期間と、一定期間経過後
    農薬成分の放出が持続する放出期間とからなる時限放出
    型の徐放機能を有する請求項2記載の被覆農薬粒剤。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の被覆農薬粒剤及び請求
    項3に記載の被覆農薬粒剤から選ばれた2種以上の被覆
    農薬粒剤からなる被覆農薬粒剤混合物。
  5. 【請求項5】 請求項2または3に記載の被覆農薬粒
    剤、若しくは請求項4に記載の被覆農薬粒剤混合物を施
    用する農作物の栽培方法。
JP24218997A 1997-01-20 1997-08-22 被覆用農薬粒子とこれを用いた被覆農薬粒剤及びその混合物、及び被覆農薬粒剤を用いた農作物の栽培方法 Pending JP2000186003A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013067648A (ja) * 2006-03-10 2013-04-18 Basf Se 有害節足動物、腹足類及び線虫類を駆除するための殺虫剤組成物

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