JP2000143827A - 非石綿系摩擦材 - Google Patents

非石綿系摩擦材

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JP2000143827A JP11229166A JP22916699A JP2000143827A JP 2000143827 A JP2000143827 A JP 2000143827A JP 11229166 A JP11229166 A JP 11229166A JP 22916699 A JP22916699 A JP 22916699A JP 2000143827 A JP2000143827 A JP 2000143827A
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 繊維基材と、バインダーと、充填剤とを
主成分とする摩擦材用組成物を成形、硬化してなる非石
綿系摩擦材において、上記バインダーとしてアクリルゴ
ム変性フェノール樹脂とニトリルゴム変性フェノール樹
脂との混合樹脂を用いたことを特徴とする非石綿系摩擦
材。 【効果】 振動特性について熱履歴、経時劣化に強く、
ブレーキ鳴きの発生が少なく、しかもこれらの性能が長
期間に亘って維持できるものであり、自動車、大型トラ
ック、鉄道車両、各種産業機械等のディスクパッド、ブ
レーキライニング、クラッチフェーシングなどに好適な
ものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、大型トラ
ック、鉄道車両、各種産業機械等のディスクパッド、ブ
レーキライニング、クラッチフェーシングなどに好適に
用いられる非石綿系摩擦材に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、自動車、大型トラック、鉄道車両及び各種産業機械
には、その制動のために摩擦材が使用されており、この
摩擦材には、耐摩耗性に優れていること、摩擦係数が高
くかつ安定していること、耐フェード性に優れているこ
と、ブレーキ制動時の鳴き等の異音が発生しないこと、
摩耗片が出にくいこと、更には短時間成型可能であるこ
と、などの性能が要求されている。
【0003】中でもブレーキ鳴きの低減対策としては、
熱履歴によるダンピング性の低下が少ないアクリルゴム
変性フェノールノボラック樹脂や常温におけるダンピン
グ特性が優れているニトリルゴム変性フェノールノボラ
ック樹脂等のゴム変性フェノール樹脂をバインダーとし
て使用したり、ゴム粉末を添加することによって、ダン
ピング性を付与して振動減衰を増大させ、鳴きを低減さ
せることが種々試みられている(特開昭60−1845
33号公報、特公昭60−51504号公報等参照)。
【0004】しかしながら、ニトリルゴム変性ノボラッ
クフェノール樹脂は熱履歴による経時変化によって振動
減衰性能が低下し、鳴きが発生してしまうと共に、耐熱
性が不足し、鳴き対策のために充分な量を添加すると高
温時にブレーキの効きが低下するという問題がある。ま
たアクリルゴム変性ノボラックフェノール樹脂は耐熱性
には優れているが、加熱加圧成形時にフクレを起こした
り、内部亀裂を生じやすく、成形性に劣るという欠点が
ある。
【0005】このように従来提案されている摩擦材はい
ずれも種々の問題点を抱えており、十分要望に応えたも
のではなく、更なる改良、改善が望まれている。
【0006】本発明は、上記事情に鑑みなされたもので
あり、振動特性について熱履歴、経時劣化に強く、ブレ
ーキ鳴きの発生が少なく、しかもこれらの性能が長期間
に亘って維持できる高品質な非石綿系摩擦材を提供する
ことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結
果、繊維基材と、バインダーと、充填剤とを主成分とす
る摩擦材用組成物を成形、硬化してなる非石綿系摩擦材
において、上記バインダーとしてアクリルゴム変性フェ
ノール樹脂とニトリルゴム変性フェノール樹脂との混合
樹脂を用いることが、ブレーキ制動時の鳴きの抑制に効
果的であることを知見した。
【0008】即ち、繊維基材と、バインダーと、充填剤
とを主成分とする摩擦材用組成物を成形、硬化してなる
非石綿系摩擦材において、上記バインダーとしてアクリ
ルゴム変性フェノール樹脂とニトリルゴム変性フェノー
ル樹脂との混合樹脂を用いることにより、意外にも、個
々の樹脂の持つ有利な特性が効果的に引き出される一
方、不利な特性を可及的に抑えることができ、ブレーキ
制動時の鳴き防止に優れていると共に、振動特性につい
て熱履歴、経時劣化に強く、フクレや内部亀裂の生じな
い良好な成形性を有し、従来の課題を効果的に解決でき
る非石綿系摩擦材が得られることを知見した。
【0009】またこの場合、300℃の100Hz振動
減衰率(tanδ)の値から50℃におけるその値を減
じた差が−0.030以上であると、鳴きの抑制の効果
があることを知見した。即ち、従来は振動減衰率が大き
い方が鳴きが少ないと考えられており、且つ、一般の摩
擦材は温度を上げると振動減衰率が顕著に低下するの
で、50℃での振動減衰率を比較的高めに設計してい
た。つまり、従来の摩擦材は、50℃のtanδ
(V50)と300℃のtanδ(V300)とを比較した
場合、V50とV300との差が大きく、またこの場合、V
300の値がV50の値よりかなり小さくなり、V300−V50
が−0.030より小さくなる場合がしばしば生じ、こ
のため上述したようにV300の値が低下してもV300の値
が所定レベルを維持するようにV50の値を高く設定して
いたものである。
【0010】ところが、本発明者が種々検討した結果、
むしろV300−V50の値が−0.030以上の場合、即
ちV300の低下の程度が少なく、V50との差が少ない場
合或いはV300の値の方がV50の値より大きい場合(V
300−V50がプラスになる場合)、意外にも、V50の値
を従来のように高く設定せず、従来のV300の値と同等
としても、鳴きが顕著に抑制されることを知見した。
【0011】なお、このように振動減衰率の低下が少な
いと或いは増加すると鳴きの抑制に効果がある理由は、
必ずしも明確ではないが、一応以下のことが考えられ
る。 (イ)摩擦材使用時、摩擦材自体は摩擦によりいろいろ
な温度になる。ある温度で鳴かないものを選んでも、特
定の温度で鳴くことが考えられ、鳴きが何らかの形で振
動減衰に関連すると考えると、温度変化に対する振動減
衰率の変化が小さい方が鳴きに対して有効であるといえ
る。 (ロ)鳴きは共振の一種であるとすると、単に振動減衰
率が高いというだけでなく、上記のように条件変化によ
る振動減衰率の変化が少ないということが設定された初
期性能維持に有効であり、結果として鳴かないとも考え
られる。
【0012】従って、本発明は、繊維基材と、バインダ
ーと、充填剤とを主成分とする摩擦材用組成物を成形、
硬化してなる非石綿系摩擦材において、上記バインダー
としてアクリルゴム変性フェノール樹脂とニトリルゴム
変性フェノール樹脂との混合樹脂を用いたことを特徴と
する非石綿系摩擦材を提供する。この場合、摩擦材の3
00℃の100Hz振動減衰率(tanδ)の値から5
0℃におけるその値を減じた差が−0.030以上であ
ることが好ましい。
【0013】以下、本発明について更に詳しく説明す
る。本発明の非石綿系摩擦材は、(A)繊維基材と、
(B)バインダーと、(C)充填剤とを主成分とする摩
擦材用組成物を成形、硬化することによって得ることが
できるが、本発明の目的を達成する上において、これら
成分の中でも、バインダーの選定、即ち、上記(B)成
分のバインダーとして、アクリルゴム変性フェノール樹
脂とニトリルゴム変性フェノール樹脂との混合樹脂を用
いることが重要である。
【0014】ここで、上記(B)成分のアクリルゴム変
性フェノール樹脂とニトリルゴム変性フェノール樹脂と
の混合樹脂は、フェノール樹脂にアクリルゴム又はニト
リルゴムを添加し、変性したものである。なお、本発明
においてゴム変性とは、ゴムと樹脂との化学結合の他、
ゴムと樹脂との単なる混合をも含む。
【0015】このゴム成分の混合樹脂中の変性量(添加
量)は10重量%以上、好ましくは10〜35重量%、
より好ましくは10〜30重量%であることが好ましい
が、特に、アクリルゴム変性フェノール樹脂の場合、変
性量が多くても耐熱性の低下が少ないためアクリルゴム
を20〜35重量%添加することが好ましい。また、ニ
トリルゴム変性フェノール樹脂の場合、変性量が多くな
りすぎると耐熱性が低下するのでニトリルゴムを10〜
20重量%添加することが好ましい。
【0016】上記混合樹脂の混合比(アクリルゴム変性
フェノール樹脂対ニトリルゴム変性フェノール樹脂)は
重量比で1/10〜3/2、好ましくは1/4〜1/1
である。両者の混合比が大きすぎると成形性が悪くな
り、フクレや亀裂を生じ、生産性を損なうこととなる場
合があり、一方、小さすぎると耐熱性が不十分となり、
熱履歴後の鳴き特性の悪化や効き安定性の悪化を招くこ
ととなる場合がある。
【0017】この場合、上記(B)成分のアクリルゴム
変性フェノール樹脂及びニトリルゴム変性フェノール樹
脂は、そのフェノール樹脂中のメチレン結合におけるオ
ルソ結合対パラ結合の比(O/P比)は特に制限され
ず、いずれもO/P比が1.0未満、好ましくは0.5
〜0.9、より好ましくは0.7〜0.9のものを使用
し得るが、上記アクリルゴム変性フェノール樹脂とニト
リルゴム変性フェノール樹脂の少なくとも一方のフェノ
ール樹脂、特にニトリルゴム(アクリロニトリルブタジ
エンゴム)変性フェノール樹脂が、O/P比が1.0以
上、好ましくは1.0〜4.5、より好ましくは1.0
〜3.0、更に好ましくは1.0〜1.5のハイオルソ
フェノール樹脂であることが好ましい。
【0018】なお、O/P比は、赤外吸収スペクトルを
用いて730〜770cm-1に現れるオルソ結合の吸光
度と、800〜840cm-1に現れるパラ結合の吸光度
との比率から求めることができる。
【0019】ここで、上記ゴム変性ハイオルソフェノー
ル樹脂は、ハイオルソタイプのノボラックレジンにゴム
成分を溶融状態で添加し、変性したものである。
【0020】このゴム成分としては、レジンとの均一な
混合性、反応性の点から液状のゴム成分が好ましく、例
えばアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、アク
リルゴムなどが挙げられ、特に分子量が1,000〜3
0,000、より好ましくは1,000〜10,000
の液状NBR及び液状アクリルゴムが好適である。な
お、液状のゴム成分は無溶剤の液状ゴムであっても、ゴ
ム成分を溶剤に溶かしたものでも構わない。
【0021】このゴム成分の変性量(添加量)は、液状
NBRの場合、ゴム変性ハイオルソフェノールレジン全
体に対して10重量%以上、好ましくは10〜15重量
%である。ゴム成分の変性量が10重量%未満では摩擦
材に柔軟性が付与されず鳴きの発生に対して不利になる
場合があり、一方、15重量%を超えると摩擦材の効き
安定性、耐フェード性等が劣る場合がある。
【0022】なお、得られたゴム変性ハイオルソフェノ
ール樹脂には、硬化剤として、ヘキサミンを通常5〜1
5重量%程度添加して成形を行う。
【0023】上記(B)成分のバインダー(アクリルゴ
ム変性フェノール樹脂とニトリルゴム変性フェノール樹
脂との混合樹脂)の添加量は、摩擦材用組成物全体に対
して3〜30重量%、好ましくは8〜25重量%、より
好ましくは10〜20重量%である。バインダーの添加
量が少なすぎるとバインダー量が不足して成型品が得ら
れず、一方、多すぎると摩擦材の効き安定性、耐フェー
ド性等が劣る場合がある。
【0024】本発明の非石綿系摩擦材は、上述したよう
に、(A)繊維基材、(B)バインダー、(C)充填剤
を主成分とする摩擦材用組成物を成形、硬化したもので
あるが、上記(A)成分の繊維基材としては、石綿(ア
スベスト)以外の摩擦材に通常用いられる無機質繊維、
有機質繊維などを使用できる。このような繊維基材とし
ては、例えば鉄、銅、真鍮、青銅、アルミニウム等の金
属繊維、セラミック繊維、チタン酸カリウム繊維、ガラ
ス繊維、炭素繊維、ロックウール、ウォラストナイト、
セピオライト、アタパルジャイト、人工鉱物質繊維等の
無機質繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリアミ
ド繊維、フェノール繊維、セルロース、アクリル繊維等
の有機質繊維などが挙げられ、これらの1種を単独で、
或いは2種以上を組み合わせて用いることができ、中で
もアラミド繊維、ガラス繊維が好適である。
【0025】この(A)成分の繊維基材は、短繊維状、
粉末状で用いられ、その添加量は、摩擦材用組成物全体
に対して1〜50重量%、好ましくは5〜40重量%で
ある。
【0026】上記(C)成分の充填剤としては、通常摩
擦材に用いられる公知の有機充填剤及び無機充填剤を使
用することができ、無機充填剤としては、例えば二硫化
モリブデン、三硫化アンチモン、炭酸カルシウム、硫酸
バリウム、酸化マグネシウム、グラファイト、水酸化カ
ルシウム、フッ化カルシウム、タルク、酸化鉄、雲母、
硫化鉄、アルミニウム粉、銅粉、黄銅粉等の金属粉末、
バーミキュライトなどが挙げられ、これらの1種を単独
で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】有機充填剤としては、例えばカシューダス
ト、タイヤリク、ゴムダスト、ニトリルゴムダスト(加
硫品)、アクリルゴムダスト(加硫品)などが挙げら
れ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて
用いることができる。
【0028】上記(C)成分の充填剤の添加量は摩擦材
組成物全体に対して好ましくは20〜96重量%、より
好ましくは40〜85重量%である。
【0029】本発明の摩擦材の製造方法は、上記(A)
〜(C)成分をヘンシェルミキサー、レディゲミキサ
ー、アイリッヒミキサー等の混合機を用いて均一に混合
し、成形用粉体を得、この粉体を成形用金型内で予備成
形し、この予備成形物を成形温度130〜200℃、成
形圧力100〜1000kg/cm2で2〜10分間成
形するものである。
【0030】次に、得られた成型品を140〜250℃
の温度で2〜48時間熱処理(後硬化)し、必要に応じ
てスプレー塗装、焼き付け、研磨処理を施して完成品が
得られる。
【0031】なお、自動車等のディスクパッドを製造す
る場合には、予め洗浄、表面処理、接着剤を塗布した鉄
又はアルミニウム製プレート上に予備成形物を載せ、こ
の状態で成形用金型内で成形、熱処理することにより製
造することができる。
【0032】本発明の摩擦材は、以上の構成を有する
が、300℃の100Hz振動減衰率(tanδ)の値
から50℃におけるその値を減じた差が−0.030以
上(V 300−V50≧−0.030)であることが好まし
く、このように振動減衰率の低下を少なくすること或い
は振動減衰率を増加させることにより、鳴き抑制効果を
顕著に高めることができる。上記振動減衰率変化(V
300−V50)が−0.030より小さいと、鳴きに対し
て不利となる。この場合、上記振動減衰率の変化の好ま
しい値は−0.025〜0.030、より好ましい値は
−0.020〜0.025、更に好ましい値は−0.0
15〜0.021であり、最も好ましい値は±0.01
0であって、振動減衰率の変化が少ないことが好まし
い。なお、50℃と300℃との間の振動減衰率の変化
も少ないことが好ましく、50℃のtanδの値との差
が上記範囲にあることが好ましい。
【0033】また、本発明の摩擦材において、50℃に
おける振動減衰率(tanδ)は好ましくは0.13以
下、より好ましくは0.13〜0.1、更に好ましくは
0.126〜0.1である。50℃における振動減衰率
(tanδ)が上記範囲を外れると鳴きに対して不利と
なる場合がある。
【0034】上記振動減衰率は、JIS K 7198
(「プラスチックの非共振強制振動法による動的粘弾性
の温度依存に関する試験方法」)に準拠した方法により
測定した値である。
【0035】なお、上記振動減衰率変化は、アクリルゴ
ム変性フェノール樹脂とニトリルゴム変性フェノール樹
脂とを適宜組み合わせることによって達成されるが、こ
れに制限されるものではなく、2種以上のバインダー、
例えばNBR、アクリルゴム、SBR、BR、CR、シ
リコーンゴム、アクリル酸エステル含有エラストマーな
どで変性されたフェノール樹脂の2種以上、好ましくは
2〜3種、特にそのうちの少なくとも1種をO/P比が
1.0以上、好ましくは1.0〜4.5、より好ましく
は1.0〜3.0、更に好ましくは1.0〜1.5の上
述したゴム変性ハイオルソフェノール樹脂として、上記
振動減衰率変化が−0.030以上の上述した値となる
ように、調整、組み合わせることができる。
【0036】本発明の非石綿系摩擦材は、自動車、大型
トラック、鉄道車両、各種産業機械等のブレーキライニ
ング、クラッチフェーシング、ディスクパッド、ペーパ
ークラッチフェーシング、制輪子などの各種用途に好適
なものである。
【0037】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具
体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限される
ものではない。
【0038】[実施例1,2、比較例1,2]表1に示
した組成の摩擦材組成物を表1の割合で配合し、これを
レディゲミキサーを用いて均一に混合し、加圧型内で1
00kg/cm2で1分間加圧して予備成形した。この
予備成形物を成形温度145℃、成形圧力180kg/
cm2の条件下で任意の時間成形し、その後180℃で
5時間熱処理(後硬化)を行い、実施例1,2、比較例
1,2の大型トラック用ブレーキライニングを作成し
た。
【0039】
【表1】 *1:アクリルゴム変性フェノールノボラック樹脂 O
/P比=0.7、アクリルゴム変性量30重量%、アク
リルゴム分子量約7000 *2:ニトリルゴム変性フェノールノボラック樹脂 O
/P比=0.7、ニトリルゴム変性量14重量%、NB
R分子量約5000
【0040】上記実施例1,2、比較例1,2の組成か
らなる55mm(L)×10mm(W)×3mm(T)
の寸法のテストピースを作成し、下記方法に従って、振
動減衰率(tanδ)を測定した。結果を表2に示す。
また、実施例1,2と比較例1,2の結果を図1に示
す。
【0041】振動減衰率(tanδ) 得られたテストピースについて、振動減衰率(tan
δ)を粘弾性測定装置DMS−6100(セイコー電子
工業製)を用いて、温度範囲50℃〜300℃、昇温速
度4℃/minの条件で、テストピースの両端を固定し
中央部を加振(100Hz)する曲げ式加振法により求
めた(JIS K 7198準拠)。なお、同一の材料
から3個のテストピースを作成し、測定結果の平均値を
その摩擦材のtanδ値とした。
【0042】
【表2】 表2の結果から、実施例1,2は比較例1,2に比べて
tanδの差(300℃−50℃)が−0.030以上
であり、優れた鳴き特性を有することが確認できた。
【0043】次に、得られた実施例1,2、比較例1,
2の大型トラック用ブレーキライニングについて、定
積(GVW=20t)相当での大型トラック実車JAS
O−404−87性能試験、及び成形性を下記の方法
に従ってそれぞれ実施した。結果を表3に示す。
【0044】定積(GVW=20t)相当での大型ト
ラック実車JASO C404−87性能試験 実施例1,2、比較例1,2の大型トラック用ブレーキ
ライニングを実際に大型トラックに取り付け、定積(G
VW=20t)相当での実車JASO C404−87
性能試験に準拠し、前半(摺り合わせ、性能試験、常用
制動試験、鳴き試験の合計約1800回)、後半(効力
試験、常用制動試験、鳴き試験の合計約600回)、及
びトータルの鳴き発生率を測定した。 成形性 ◎:優れている ○:良好 △:やや劣る ×:非常に劣る
【0045】
【表3】
【0046】表3の結果から、比較例1はバインダーと
してアクリルゴム変性フェノール樹脂のみを用いたもの
であり、鳴き発生率は前半〜後半を通じて全体的に高
く、しかも成形性が劣るものである。比較例2はバイン
ダーとしてニトリルゴム変性フェノール樹脂のみを用い
たものであり、前半に比べて後半の鳴き発生率が極めて
高く、鳴き性能の安定性が劣るものである。これに対し
て、実施例1,2は良好な成形性を有し、前半〜後半を
通じて鳴き発生率が低く、良好な鳴き性能の経時劣化が
小さいものである。
【0047】[実施例3,4]表4に示した組成の摩擦
材組成物を表4の割合で配合し、これをレディゲミキサ
ーを用いて均一に混合し、加圧型内で100kg/cm
2で1分間加圧して予備成形した。この予備成形物を成
形温度145℃、成形圧力180kg/cm2の条件下
で任意の時間成形し、その後180℃で5時間熱処理
(後硬化)を行い、実施例3,4の摩擦材を作成した。
【0048】得られた各摩擦材について、下記方法によ
り、短時間成型性、鳴き性能、効き安定性、及び耐フェ
ード性を測定した。結果を表4に併記する。短時間成型性 ◎:優れている ○:良好 △:やや劣る ×:非常に劣る鳴き性能 ◎:優れている ○:良好 △:やや劣る ×:非常に劣る効き安定性 ◎:優れている ○:良好 △:やや劣る ×:非常に劣る耐フェード性 温度変化に対する摩擦係数(μ)の変化を示す。 ◎:優れている ○:良好 △:やや劣る ×:非常に劣る
【0049】
【表4】 *3:NBR変性ハイオルソフェノール樹脂 O/P比
=1.3、NBR変性量=14重量%、NBR分子量約
5000 *1:アクリルゴム変性フェノールノボラック樹脂 O
/P比=0.7、アクリルゴム変性量30重量%、アク
リルゴム分子量約7000
【0050】実施例3,4の組成からなる55mm
(L)×10mm(W)×3mm(T)の寸法のテスト
ピースを作成し、上記同様に、振動減衰率(tanδ)
を測定した。結果を表5に示す。また、実施例3,4の
結果を図2に示す。
【0051】
【表5】
【0052】表4,5及び図2の結果から、本発明の非
石綿系摩擦材は、バインダーとしてゴム変性ハイオルソ
フェノール樹脂とゴム変性フェノール樹脂との混合樹脂
を用いた場合にも、短時間成型が可能であると共に、優
れた鳴き性能を有し、効き安定性、及び耐フェード性が
良好なものであることが確認できた。
【0053】[参考例]ノボラックフェノール樹脂を表
6に示したO/P比となるように合成し、これをNBR
で変性し、A〜GのNBR変性フェノールレジン及びH
のフェノールレジンを調製した。
【0054】これらフェノールレジンを表7,8に示し
た配合物と共にレディゲミキサーを用いて均一に混合
し、加圧型内で100kg/cm2で1分間加圧して予
備成形した。この予備成形物を成形温度145℃、成形
圧力180kg/cm2の条件下で任意の時間成形し、
その後180℃で5時間熱処理(後硬化)を行い、摩擦
材を作成した。
【0055】得られた各摩擦材について、上記同様の方
法により、短時間成型性、鳴き性能、効き安定性、及び
耐フェード性を測定した。結果を表7,8に併記する。
【0056】また、55mm(L)×10mm(W)×
3mm(T)の寸法のテストピースを作成し、上記同様
の方法に従って、振動減衰率(tanδ)を測定した。
結果を表9及び図3,4に示す。
【0057】
【表6】 *4:O/P比は、赤外吸収スペクトルを用いて730
〜770cm-1に現れるオルソ結合の吸光度と、800
〜840cm-1に現れるパラ結合の吸光度との比率から
求めた値である。 *5:NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム) 分
子量約5000
【0058】
【表7】
【0059】
【表8】
【0060】
【表9】 *変化量は50℃のtanδ値に対する各温度でのta
nδ値との差を示す。
【0061】
【発明の効果】本発明の非石綿系摩擦材は、振動特性に
ついて熱履歴、経時劣化に強く、ブレーキ鳴きの発生が
少なく、しかもこれらの性能が長期間に亘って維持でき
るものであり、自動車、大型トラック、鉄道車両、各種
産業機械等のディスクパッド、ブレーキライニング、ク
ラッチフェーシングなどに好適なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1,2と比較例1,2の測定温度(熱履
歴)とtanδの関係を示すグラフである。
【図2】実施例3,4の測定温度(熱履歴)とtanδ
の関係を示すグラフである。
【図3】参考例No.1とNo.8の測定温度(熱履
歴)とtanδの関係を示すグラフである。
【図4】参考例No.5とNo.10の測定温度(熱履
歴)とtanδの関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹内 一弘 東京都足立区西新井栄町1−18−1 日清 紡績株式会社東京工場内 (72)発明者 小林 満 東京都足立区西新井栄町1−18−1 日清 紡績株式会社東京工場内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維基材と、バインダーと、充填剤とを
    主成分とする摩擦材用組成物を成形、硬化してなる非石
    綿系摩擦材において、上記バインダーとしてアクリルゴ
    ム変性フェノール樹脂とニトリルゴム変性フェノール樹
    脂との混合樹脂を用いたことを特徴とする非石綿系摩擦
    材。
  2. 【請求項2】 アクリルゴム変性フェノール樹脂対ニト
    リルゴム変性フェノール樹脂の混合比が1/10〜3/
    2である請求項1記載の非石綿系摩擦材。
  3. 【請求項3】 上記混合樹脂中のゴム変性量が10重量
    %以上である請求項1又は2記載の非石綿系摩擦材。
  4. 【請求項4】 上記混合樹脂の添加量が摩擦材用組成物
    全体の3〜30重量%である請求項1乃至3のいずれか
    1項記載の非石綿系摩擦材。
  5. 【請求項5】 上記アクリルゴム変性フェノール樹脂と
    ニトリルゴム変性フェノール樹脂とのいずれか一方のフ
    ェノール樹脂が、この樹脂中のメチレン結合におけるオ
    ルソ結合対パラ結合の比が1.0以上であり、他方のフ
    ェノール樹脂が、この樹脂中のメチレン結合におけるオ
    ルソ結合対パラ結合の比が1.0未満のものである請求
    項1乃至4のいずれか1項記載の非石綿系摩擦材。
  6. 【請求項6】 上記アクリルゴム変性フェノール樹脂と
    ニトリルゴム変性フェノール樹脂の双方のフェノール樹
    脂が、この樹脂中のメチレン結合におけるオルソ結合対
    パラ結合の比が1.0未満のものである請求項1乃至4
    のいずれか1項記載の非石綿系摩擦材。
  7. 【請求項7】 上記摩擦材の300℃の100Hz振動
    減衰率(tanδ)の値から50℃におけるその値を減
    じた差が−0.030以上である請求項1乃至6のいず
    れか1項記載の非石綿系摩擦材。
  8. 【請求項8】 繊維基材と、バインダーと、充填剤とを
    主成分とする摩擦材用組成物を成形、硬化してなる非石
    綿系摩擦材において、2種以上のバインダーを用いて、
    上記摩擦材の300℃の100Hz振動減衰率(tan
    δ)の値から50℃におけるその値を減じた差を−0.
    030以上に調整してなる非石綿系摩擦材。
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