JP2000143538A - 免疫調節剤を含有する医薬組成物 - Google Patents

免疫調節剤を含有する医薬組成物

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JP2000143538A JP10313112A JP31311298A JP2000143538A JP 2000143538 A JP2000143538 A JP 2000143538A JP 10313112 A JP10313112 A JP 10313112A JP 31311298 A JP31311298 A JP 31311298A JP 2000143538 A JP2000143538 A JP 2000143538A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薬を直接投与できるような粘膜や体表以外に
免疫性疾患病巣が存在する場合にも、効果的に薬効を発
現しながら、全身的な薬の吸収を抑えて副作用を回避
し、しかも患者自身で簡単に経口または経腸的に投薬で
きる免疫調節剤の投与形態の提供する。 【解決手段】 活性成分として免疫調節剤を含有し、経
口または経腸的に投与されることによって免疫性疾患の
治療、再発防止または予防のために用いられる医薬組成
物であって、前記免疫調節剤が、消化管免疫組織または
当部位に存在するマクロファージに選択的に取り込まれ
ることを特徴とする医薬組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、免疫調節剤を含有
し、その消化管内での溶解または放出を抑制して、消化
管免疫組織に存在するマクロファージ選択的に吸収され
得るように設計された医薬組成物に関する。更に詳しく
は、本発明は、全身的に投与するとその副作用が問題に
なるコルチコステロイドなどの免疫調節剤を含有し、消
化管免疫組織に存在するマクロファージに、効率的かつ
選択的に免疫調節剤を送達して、全身的副作用が少なく
かつ特発性炎症性腸疾患などの免疫性疾患に対する効果
的な治療または予防を可能とする医薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】コルチコステロイド、アザチオプリン、
シクロスポリンなどの免疫調節剤は、自己免疫疾患やア
レルギー疾患の治療に用いられているが、治療効果が期
待できる反面、その強い副作用のため使用上の制限を伴
う。そのため、コルチコステロイドでは、鼻炎、喘息、
皮膚炎、大腸炎といった疾患に対して、気道粘膜、皮
膚、直腸など剤形の工夫で直接疾患患部に投与されてコ
ルチコステロイドの効果を発現し、その後患部からの吸
収が進むにつれて不活性な代謝物へと速やかに変換され
るアンテドラッグという技術(Drugs(1995);Vol.50;No.
5;854-872)が既に実用化されている。しかしこの場
合、適応疾患が直接患部に薬剤を投与できるものに限ら
れるとともに、ステロイド以外の免疫調節剤については
まだアンテドラッグの応用例がない。また、静脈用注射
剤では脂肪乳剤等のコロイド状製剤にステロイドを内封
させるデリバリーシステムで、慢性関節リウマチに対し
てある程度選択的な治療効果をもたらす薬剤が実用化さ
れている(Advanced Drug Delivery Reviews(1996);Vo
l.20;195-201)。しかしながら、静脈用注射剤では頻繁
に投与することはできず、更に利便性やコンプライアン
スの点でも問題がある。従って粘膜や体表以外に病巣が
存在する場合にも、効果的に薬効を発現しながら、全身
的な副作用を回避し得て、しかも患者自身で簡単に経口
または経腸的に投与できるような免疫調節剤の投与形態
はまだ存在しない。
【0003】次にポリ乳酸などの生体内分解吸収性ポリ
マーを利用した徐放性注射剤が、酢酸リュープロライド
等を主薬として実用化されている(Pharm Tech Japan(1
998);Vol.14;75-88)マイクロスフェア(あるいはナノ
スフェア、マイクロカプセル、ナノカプセルなども含
む)技術の分野では、マイクロスフェアを、ペプチドや
タンパク等の低吸収性医薬物質の全身的デリバリーのキ
ャリアーや、ワクチンや経口免疫寛容の基剤として、消
化管ルートからの薬物の吸収促進にも利用しようとする
基礎的な試みがなされている。しかしながら、ペプチド
やタンパクの全身的吸収を狙う場合にはその効率の低さ
が依然として問題で、これはキャリアー自体の限界でも
あるため全身的な吸収を目指して一般的な低分子薬物を
内封しても結果は同じで(Nature(1997);Vol.386;410-4
14)、まだ実用に耐え得る技術は完成に至っていない。
他方、消化管免疫組織をターゲットとしたマイクロスフ
ェアの利用については、文献Vaccine(1996);Vol.14;167
7-1685や日本国特許第2741728号公報に記載されている
ような経口ワクチンやあるいは経口免疫寛容の研究の試
みにおいてその効果が確認されつつある。
【0004】そのような中で、低分子薬物を消化管免疫
組織に存在するマクロファージなどに薬を供給しようと
いう試みはほとんどなされていない。例えば、抗エイズ
薬のアジドチミジンに関して、静脈内注射及び経口投与
の両方でナノパーティクル製剤にすると、溶液製剤に比
較してマクロファージへの集積性が高まるという報告が
なされているが(AIDS Research and Human Retrovirus
es (1996);Vol.12;No.18;1709-1715)、その薬物療法
面における効用の大きさについては特に記載されていな
い。また、臨床的に利用される免疫調節剤の一つである
シクロスポリンAについて、経口ルートからのバイオア
ベイラビティーの改善と副作用の回避を意図してポリカ
プロラクトンを基剤としてナノパーティクルを調製した
報告がなされており(Journal of Pharmaceutical Scie
nces(1996);Vol.85;No.2;206-213)、一方で、ポリ乳酸
で平均径260nmのマイクロスフェアに封じたシクロスポ
リン Aを筋肉内注射すると、分子ふるいの原理で血液中
濃度を上昇させることなく、リンパ液中の濃度を少なく
とも1ヶ月の長期に亘って持続的に高く維持できるとい
う報告もなされている(Biol. Pharm. Bull.(1996);Vo
l.19;No.11;1527-1529)。しかし、これら2つの報告か
ら、効果的に薬効を発現しながら全身的な副作用を回避
し得て、しかも患者自身で簡単に経口または経腸的に投
与できるような免疫調節剤シクロスポリン Aの好ましい
投与形態を、単純に予測するには至らない。すなわち、
経口ルートからの吸収量が高いのか低いのか、さらに、
ターゲット組織がリンパ液としてどのような薬理学的効
用が期待し得るのか、まだ明らかにされていない。通説
では、経口ルートで吸収性の比較的良好な低分子薬物の
場合、薬物を粒子状にするようなマイクロスフェア技術
を用いると、薬物の吸収率はむしろ低下して薬物の効果
が十分に発揮されないという考え方が支配的であると思
われ、この種の投与形態のメリットを証明するには、薬
理学的な実験データによる確認が不可欠である。
【0005】以上のように、マイクロスフェアを経口ま
たは経腸的に投与した場合に、全身的な薬物吸収のキャ
リアーとしては十分な成果が得られておらず、また、消
化管免疫組織をターゲットにしたキャリアーとして利用
する場合も、ワクチンや免疫寛容以外には実験的にもそ
の充分な効用は見出されていないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、薬を
直接投与できるような粘膜や体表以外に免疫性疾患病巣
が存在する場合にも、効果的に薬効を発現しながら、全
身的な薬の吸収を抑えて副作用を回避し、しかも患者自
身で簡単に経口または経腸的に投与できる免疫調節剤の
投与形態の提供にある。
【0007】本発明者らは、かかる目的を達成するため
に鋭意研究を重ねた結果、免疫調節剤を含有し、平均粒
子径または主要な粒子の分布範囲が1〜15ミクロン
で、その消化管内での溶解または放出を抑制された粒子
状の医薬組成物を経口的に投与することで、免疫調節剤
の体内に吸収される絶対量は低下するものの、消化管免
疫組織または当部位に存在するマクロファージ選択的に
その免疫調節剤を送達させることができ、結果として免
疫性疾患において効果的な治療または予防成績を得ると
ともに、副作用の軽減にもつながる免疫調節剤の全身的
な分布(血中濃度がその指標となる)を抑えられること
を知見し、本発明を完成するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、活性
成分として免疫調節剤を含有し、経口または経腸的に投
与されることによって免疫性疾患の治療、再発防止また
は予防のために用いられる医薬組成物であって、前記免
疫調節剤が、消化管免疫組織または当部位に存在するマ
クロファージに選択的に取り込まれることを特徴とする
医薬組成物である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の医薬組成物は、免疫性疾
患の治療、再発防止、または予防に用いたときにその効
果を最大限に発揮させることができる。その効果を最大
限に発揮させるために、一般的な投与形態によって免疫
調節剤が服用された場合には、全身の組織がその免疫調
節剤に無差別的に曝されることになり、副作用の発現が
懸念されるのに対して、本発明の粒子状医薬組成物を用
いることにより、免疫性疾患の病態の維持に重要な役割
を果たしているマクロファージなどの免疫系細胞や免疫
組織に選択的に取り込ませ、その後、脾臓など全身的な
免疫組織に移行する過程で免疫調節剤が放出されるとい
う、いわゆるターゲッティング効果を得るとともに、た
とえ、これらの粒子状医薬組成物が免疫組織に移行しな
かった場合には、消化管内で免疫調節剤が放出される前
に生体外に***されるため、全身組織の薬物への暴露を
軽減させることができることを特徴とする。
【0010】このような特徴を有する粒子状医薬組成物
は、マイクロスフェア、ナノスフェア、マイクロカプセ
ル、ナノカプセルなどの粒子からなり、以下のようにし
て調製される。例えば、薬物が全消化管腔に亘って容易
に溶解し得ない難水溶性の薬物の場合、薬物のそのもの
を微粉砕するかあるいは造粒したものを、プルロニック
やセルロース低級アルキルエーテル等の界面活性剤を用
いて消化管液中に分散し得るようにしたものや、同様に
薬物そのものを粒子状にした後、ポリマー性材料でコー
ティングして皮膜状にしたものを用いることができる。
ここで用いるポリマー材料としては、生体内分解吸収性
ポリマーが好ましい材料である。ここでいう生体内分解
吸収性とは、ヒトや動物などに投与されると、その体内
で加水分解され水溶性のオリゴマーあるいはモノマーに
まで分解されて、次第に消失して行く現象を意味する。
従って、本発明の粒子状医薬組成物に、薬剤が容易に溶
解または放出されず、その放出までにある適当な時間が
かかるという放出制御の特性を付与することができる。
本発明において用いられる生体内分解吸収性ポリマーと
しては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸−グリコー
ル酸共重合体、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪
酸、コポリオキザレート、ポリシアノアクリレート、ポ
リカーボネート、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物な
どが挙げられる。これらの生体内分解吸収性ポリマー
は、例えば市販されているものを用いることもできる
し、文献Journal of Biomedical Materials Research(1
988), Vol.22,837-858に記載されるような方法に従って
重縮合によってモノマーから製造することもできる。す
なわち、各モノマーあるいは一定比率で混合したモノマ
ーを、触媒非存在条件で、減圧下180℃で重縮合反応
を行い、その反応物をクロロホルムまたは1,1,1,3,3,3
−ヘキサフルオロ−2−イソプロパノール(HFIP)
に溶解後、メタノールを添加してポリエステルを沈殿さ
せ未反応のモノマーなどを除去して精製することで得る
ことができる。
【0011】また、本発明の医薬組成物は、上記の生体
内分解吸収性ポリマーを主成分とするマトリックス状の
粒子中に免疫調節剤が分散しているような、いわゆるマ
イクロスフェアであっても良い。このマイクロスフェア
を構成する生体内分解吸収性ポリマーとしては、ポリ乳
酸、ポリグリコール酸、乳酸−グリコール酸共重合体ポ
リカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、コポリオキザ
レート、ポリシアノアクリレート、ポリカーボネート、
ポリオルトエステル、ポリ酸無水物などが好ましい。こ
こで用いられるマイクロスフェアは、生体内分解吸収性
ポリマーと免疫調節剤の溶液や、それらの乳化物や懸濁
物などの混合分散体を、液中乾燥したり、噴霧乾燥した
りすることにより調製されることができる。液中乾燥法
では、例えば脂溶性薬物の場合、生体内分解吸収性ポリ
マーとともに塩化メチレンやHFIP`に溶解したもの
を、界面活性剤を含む約10倍容量の水溶液に添加して
乳化し、約30℃の温度で攪拌しながら完全に有機溶媒
をエバポレーションすることでマイクロスフェアが得ら
れる。また、親水性薬物の場合には、その水溶液を約3
〜10倍容量の生体内分解吸収性ポリマーの塩化メチレ
ン等の溶液中であらかじめ乳化してW/Oエマルション
を得た後、これを有機溶媒容量の2倍程度の界面活性水
溶液中に添加して再度乳化を行いW/O/Wエマルショ
ンとし、さらにこれを過剰量の水中で攪拌しながら有機
溶媒をエバポレーションしてマイクロスフェアが得られ
る。この液中乾燥法によるマイクロスフェアの調製で用
いることができる界面活性剤としてはポリビニルアルコ
ールなどが例示される。一方、噴霧乾燥法による調製で
は、生体内分解吸収性ポリマーと免疫調節剤の溶液や混
合分散物を直接噴霧乾燥することでマイクロスフェアが
得られる。このように液中乾燥法や噴霧乾燥法で得られ
たマイクロスフェアは、蒸留水で洗浄し凍結乾燥するな
どして保存しておくことができる。
【0012】本発明の医薬組成物は、調製段階で条件を
制御して一定の粒度分布をもつものが得られるようにす
るか、または調製後に分級操作を行って一定の粒度分布
をもつものだけを選別することができる。本発明の粒子
状医薬組成物の粒度分布は、重量または体積比率で90
%以上が1〜15ミクロンの範囲にあることが好まし
く、さらに、重量または体積比率で90%以上が2〜7
ミクロンの範囲にあることが特に好ましい。このよう
に、本発明の粒子状医薬組成物が消化管免疫組織内によ
り効率的に取込まれるためには、その粒度分布を好まし
くは前述の一定の範囲内に制御することが必要であり、
その後、マクロファージに貪食され脾臓など全身的な免
疫組織に移行して、その過程で免疫調節剤を放出しなが
らその効果を選択的に発現させることを特徴とする。
【0013】本発明の粒子状医薬組成物を、ヒトや動物
に投与する際は、経口または経腸的に投与するというこ
と以外に特にその具体的形態に制限はない。例えば経口
剤としては、乾燥状態のものをそのまま服用したり、あ
るいはそれを賦形剤とともにカプセルに充填して服用し
たり、さらには乾燥状態のものを水に一旦もどして分散
させてから服用したりすることができる。また、鼻孔等
から胃腸管に送管して経腸栄養療法が施される際に、そ
の栄養液に混合するような方法で投与することも可能で
あるし、坐剤の形態を利用して直腸等に直接的に投与す
ることもできる。
【0014】本発明で言う免疫調節剤とは、過剰もしく
は異常な免疫反応を抑制もしくは修飾し得る薬剤と定義
される。本発明に用いられる免疫調節剤は、例えばコル
チゾン、ヒドロコルチゾン、トリアムシノロン、パラメ
タゾン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、プレドニゾロ
ン、ベクロメタゾン、フルオロメトロン、ブデソニド、
フルチカゾン、及びジプロピオン酸ベクロメタゾンなど
のコルチコステロイド、アザチオプリン、シクロフォス
ファミド、シクロスポリン、タクロリムス、ミゾリビ
ン、ラパマイシン、及びメソトレキセートなどの免疫抑
制剤、金チオリンゴ酸ナトリウム、D−ペニシラミン、
ブシラミン、サラゾスルファピリジン、クロロキン、及
びヒドロキシクロロキンなどの疾患修飾性抗リウマチ薬
などを挙げることが出来る。なかでも、コルチコステロ
イドが好ましい。
【0015】本発明の免疫性疾患には、自己免疫疾患、
アレルギー疾患、及び臓器移植に伴う拒絶反応と移植片
対宿主病が含まれる。このうち、自己免疫疾患として
は、潰瘍性大腸炎、クローン病、慢性関節リウマチなど
のリウマチ性疾患、エリテマトーデス、全身性血管炎、
多発性筋炎、多発性硬化症、重症筋無力症、間質性肺
炎、乾癬、ブドウ膜炎などが例示される。また、アレル
ギー疾患としては、食物アレルギー、アトピー性皮膚
炎、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、慢性気管支炎など
が挙げられる。その中でも、本発明の粒子状医薬組成物
は、潰瘍性大腸炎及びクローン病からなる炎症性腸疾患
の治療や再発防止のために投与された場合に、特にその
効果を最大限に発揮させることができる。
【0016】本発明の医薬組成物は、免疫性疾患の種類
や病態、もしくは患者の症状に応じて、通常成人1日あ
たり、経口または経腸的に、該有効成分として好ましく
は0.001〜100mgが、さらに好ましくは0.0
1〜10mgが連日もしくは間欠的に投与される。
【0017】
【発明の効果】上述のように、本発明の免疫調節剤を含
有し、その消化管内での溶解または放出を抑制して、消
化管免疫組織に存在するマクロファージ選択的に吸収さ
れ得るように設計された粒子状の医薬組成物を、経口ま
たは経腸的に投与して、免疫性疾患の治療または予防に
用いることによって、その免疫調節剤本来の効果を減弱
させることなく、全身的な薬の分布を抑えて副作用の回
避が可能となる。
【0018】
【実施例】以下に本発明を実施例により説明する。
【0019】[実施例1](1)D、L−乳酸を、触媒
非存在条件で180℃減圧下重縮合することにより、ポ
リ−D、L−乳酸(PDLLA)を合成した。得られた
PDLLAを精製後液体クロマトグラフィーにて分子量
を測定した結果、平均分子量は5600であった。
【0020】(2)リン酸デキサメタゾンナトリウム
(DEX)を含有するPDLLAのマイクロスフェア
は、ダブルエマルションを液中乾燥する方法で調製し
た。3.3mg/mlのDEX水溶液(水相1:W1)
0.3mlを、100mgのPDLLAを溶解した塩化
メチレン溶液1ml(油相:O)に添加して、プローブ
型ソニケーターにより乳化してW1/Oエマルションを
得た。このエマルションを、界面活性剤として、重合度
1000、ケン化度87.7%のポリビニルアルコール
を1%含む2mlの水溶液(第2水相:W2)に添加し
て、ボルテックスミキサーで混合してW1/O/W2の
ダブルエマルションを得た。このダブルエマルションを
0.1%のポリビニルアルコールを含む水溶液100m
l中に添加し、攪拌羽により200回転/分で室温で攪
拌しながら塩化メチレンを液中乾燥し、DEXを含むP
DLLAを主成分とするマイクロスフェアが得られた。
マイクロスフェアは4℃の冷水中での洗浄と遠心分離に
よる回収を3回繰返した後、最終的に凍結乾燥してその
評価実験に使用するまで保存した。
【0021】[実施例2](1)体重20−25gの雌
性BALB/Cマウスをデキストラン硫酸(DSS)投
与大腸炎モデルの作製に使用した。マウスは実験中12
時間毎の明暗サイクル下で、飼育し餌は自由に摂取させ
た。大腸炎は、飲水を最初の7日間は分子量5000の
DSSを5%(w/v)含む水溶液を、続く7日間は通
常の水をそれぞれ自由に摂取できるように与え、この1
4日間のサイクルをさらに2回繰返すことにより発症さ
せた。薬効評価試験は、大腸炎を発症した50匹のマウ
スを10匹ずつ以下の5群に分けたもの<[実施例2]
の(2)、[比較例1]、[比較例2]、[比較例
3]、[比較例4]>で実施した。
【0022】(2)実施例1の(2)に記載の方法で調
製した平均粒子径約4ミクロンのリン酸デキサメタゾン
ナトリウム(DEX)含有のポリ−D、L−乳酸(PD
LLA)マイクロスフェアを、DEX量として0.1m
g/kg、PDLLA量では0.25mg/Headを
1日1回14日間経口投与し、15日目にマウスをエー
テル麻酔下で屠殺し大腸を摘出後、その組織の炎症度
を、文献Clinical & Experimental Immunology(1997);V
ol.107;353-358に記載されるKojouharoffらが定めた組
織学的判定基準に基づいてスコアして求め、また、好中
球浸潤の指標としてミエロペルオキシダーゼ(MPO)
活性と一酸化窒素(NO)の生成を測定した。これらの
結果を表1にまとめた。
【0023】[比較例1]実施例2の(1)で作成した
DSSマウスを、実施例2の(2)の投与スケジュール
に並行して14日間無処置で放置した。15日目にマウ
スをエーテル麻酔下で屠殺し、大腸を摘出して測定した
組織スコア、MPO、NOの結果を表1にまとめた。
【0024】[比較例2]実施例1の(2)方法に準じ
て、DEXを含まない水溶液を用いてDEXを含有しな
いPDLLAのマイクロスフェアを調製した。実施例2
の(1)で作成したDSSマウスに、この空のPDLL
Aマイクロスフェアを、1日1回0.25mg/Hea
dを14日間経口投与し、15日目にマウスをエーテル
麻酔下で屠殺し、大腸を摘出して組織スコア、MPO、
NOを測定した。結果を表1にまとめた。
【0025】[比較例3]実施例2の(1)で作成した
DSSマウスに、水溶液としてDEX0.1mg/kg
を1日1回14日間経口投与し、15日目にマウスをエ
ーテル麻酔下で屠殺し、大腸を摘出して組織スコア、M
PO、NOを測定した。結果を表1にまとめた。
【0026】[比較例4]実施例1の(2)方法に準じ
て、DEXを含まない水溶液を用いてDEXを含有しな
いPDLLAのマイクロスフェアを調製した。実施例2
の(1)で作成したDSSマウスに、1日1回この空の
PDLLAマイクロスフェア0.25mg/Headと
DEXの水溶液0.1mg/kgを、同時に14日間経
口投与し、15日目にマウスをエーテル麻酔下で屠殺
し、大腸を摘出して組織スコア、MPO、NOを測定し
た。結果を表1にまとめた。
【0027】[実施例3]実施例1の(2)のDEXを
含有するPDLLAマイクロスフェアを、等張のリン酸
緩衝液(PBS緩衝液)に懸濁して、雌性BALB/C
マウスに経口ゾンデにてDEX量で0.1mg/kgの
用量で投与し、0,30,60,90,120,15
0,180及び240分後にエーテル麻酔下で1〜1.
5mlの血液を採取した(採血後に屠殺)。血漿を冷却
下で分離し、逆相HPLCにてDEXの血漿中濃度を測
定した。各時間ポイントで2匹の血漿中濃度の平均値を
図1中のグラフにプロットした。
【0028】[比較例5]PBS緩衝液としてDEXを
0.1mg/kgの用量で、雌性BALB/Cマウスに
経口ゾンデにて投与し、実施例3と同様の方法でDEX
の血漿中濃度を測定した。実施例3と同じように、各時
間ポイントで2匹の血漿中濃度の平均値を図1にプロッ
トした。
【0029】
【表1】
【0030】いずれもN=10の実験データで、数値は
平均値±標準誤差 実施例2の(2)は、組織スコア、MPO活性、NO生
成の全ての項目で比較例1及び2に対して有意に低値。
また、MPO活性、NO生成の項目で比較例3及び4に
対しても低値であった。比較例3及び4は、全項目で比
較例1及び2に対して有意に低値であった。
【0031】いずれも各ポイント(N=2)の平均値を
図中グラフにプロットした。比較例5では、投与後0.
5−2.5時間の間で血漿中の薬物濃度の上昇を認めた
のに対して、実施例3では血漿中に薬物がほとんど検出
されなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】デキサメタゾン経口投与後、及びデキサメタゾ
ン含有PDLLA投与後の血漿中のデキサメタゾン濃度
の変化
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 37/08 A61K 31/00 637E 37/04 637C A61K 47/34 47/34 C Fターム(参考) 4C076 AA32 AA65 AA67 AA95 BB01 BB05 CC07 EE13 EE24 EE48 FF03 FF25 FF32 FF68 4C084 AA17 AA27 MA05 MA38 MA41 MA52 MA60 NA06 NA12 NA13 ZA661 ZA662 ZA681 ZA682 ZB021 ZB022 ZB071 ZB072 ZB131 ZB132

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性成分として免疫調節剤を含有し、経
    口または経腸的に投与されることによって免疫性疾患の
    治療、再発防止または予防のために用いられる医薬組成
    物であって、前記免疫調節剤が、消化管免疫組織または
    当部位に存在するマクロファージに選択的に取り込まれ
    ることを特徴とする医薬組成物。
  2. 【請求項2】 前記免疫調節剤が、マイクロスフェア、
    ナノスフェア、マイクロカプセル、またはナノカプセル
    から選ばれる粒子に含まれることを特徴とする請求項1
    に記載の医薬組成物。
  3. 【請求項3】 前記粒子が、その平均粒子径または主要
    な粒子の分布範囲が1〜15ミクロンであり、かつ消化
    管内では該免疫調節剤を容易に溶解または放出されない
    ように設計された生体内分解吸収性ポリマーを用いる請
    求項2に記載の医薬組成物。
  4. 【請求項4】 前記生体内分解吸収性ポリマーが、ポリ
    乳酸、ポリグリコール酸、乳酸−グリコール酸共重合
    体、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、コポリ
    オキザレート、ポリシアノアクリレート、ポリカーボネ
    ート、ポリオルトエステル、及びポリ酸無水物からなる
    群から選ばれる1種または2種以上である請求項3に記
    載の医薬組成物。
  5. 【請求項5】 前記免疫調節剤がコルチコステロイド、
    アザチオプリン、シクロフォスファミド、シクロスポリ
    ン、タクロリムス、ミゾリビン、ラパマイシン、メソト
    レキセート、金チオリンゴ酸ナトリウム、D−ペニシラ
    ミン、ブシラミン、サラゾスルファピリジン、クロロキ
    ン、及びヒドロキシクロロキンからなる群から選ばれる
    1種または2種以上である請求項1〜4のいずれか一項
    に記載の医薬組成物。
  6. 【請求項6】 前記コルチコステロイドが、コルチゾ
    ン、ヒドロコルチゾン、トリアムシノロン、パラメタゾ
    ン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、プレドニゾロン、
    ベクロメタゾン、フルオロメトロン、ブデソニド、フル
    チカゾン及びこれらの誘導体ならびに塩からなる群から
    選ばれたいずれか1種または2種以上である請求項5に
    記載の医薬組成物。
  7. 【請求項7】 前記免疫性疾患が、自己免疫疾患、アレ
    ルギー疾患、移植片拒絶反応または移植片対宿主病のい
    ずれかである請求項1〜6のいずれか一項に記載の医薬
    組成物。
  8. 【請求項8】 前記免疫性疾患が、潰瘍性大腸炎やクロ
    ーン病を含む炎症性腸疾患である請求項1〜6のいずれ
    か一項に記載の医薬組成物。
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JP2004538347A (ja) * 2001-06-22 2004-12-24 ジョンズ ホプキンズ ユニヴァーシティー スクール オブ メディシン 生分解性ポリマー組成物、及びその使用方法
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