JP2000143024A - 媒体搬送装置 - Google Patents

媒体搬送装置

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JP2000143024A
JP2000143024A JP10319046A JP31904698A JP2000143024A JP 2000143024 A JP2000143024 A JP 2000143024A JP 10319046 A JP10319046 A JP 10319046A JP 31904698 A JP31904698 A JP 31904698A JP 2000143024 A JP2000143024 A JP 2000143024A
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JP
Japan
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stator
medium
electrode
strip
transport
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Withdrawn
Application number
JP10319046A
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English (en)
Inventor
Shinji Hayakawa
慎司 早川
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Oki Electric Industry Co Ltd
Original Assignee
Oki Electric Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製品の歩留まりがよく、製造コストを低く押
さえることができ、また、人的なメンテナンスも必要と
しない媒体搬送装置を提供する。 【解決手段】 絶縁体の基材11に複数の帯状電極12
を配列し、その帯状電極を電気的に3相以上に分割接続
して固定子1をなし、固定子の搬送面上に、搬送媒体3
を載置し、固定子内の各相帯状電極への印加電圧極性を
切り換えることにより、固定子と媒体との間に発生する
静電気力を利用して、固定子上の媒体を搬送する媒体搬
送装置において、固定子表面で媒体と接する面に、凹凸
層14を形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、プリン
タ、ファクシミリ、現金自動入出金装置など、用紙や紙
幣等の紙葉類や、キャッシュカードやプリペイドカード
等のカード類といった媒体を搬送、または、処理する装
置、また、静電気力を用いて物体を移動させる、静電ア
クチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、複写機、プリンタ、ファクシミ
リ、現金自動入出金装置などでは、回転型電磁モータ駆
動のゴムローラを紙類などの媒体に圧接する搬送機構が
使用されていた。しかしこの方式では、モータ自体の発
熱や大消費電力が問題となり、電磁モータとゴムローラ
を使用する構成上、小型化にも限界がある。また、媒体
の搬送に用いる力としてゴムローラと搬送媒体間の摩擦
力を利用しているため、ゴムの磨耗、紙粉の付着などに
より、安定した搬送力を得るためにはゴムローラ自体や
ゴムローラと媒体の圧接力を定期的に検査、補修する必
要があった。
【0003】これらの問題を改善する方式として、『特
公平6−91754』に静電気力を利用する搬送方法が
示されている。この方法は、帯状電極を有する固定子
と、抵抗層を有する移動子から構成され、両者を密着さ
せて用いる。固定子の電極は3系統(3相)に分割接続
されており、それが等間隔で順に並んでいる。動作原理
の概要を述べると、移動子が搬送開始位置に到達したと
ころで、固定子電極の各相に、それぞれ決まった電圧を
印加する。この時、移動子の抵抗層内に存在する正負の
電荷が静電分極する(以後、この工程を初期分極工程と
呼ぶ)。移動子内で静電分極が十分進んだところで、固
定子電極の各相に印加する電圧極性を切り換える。する
と、移動子内の分極電荷と固定子電極に印加した電圧極
性との間で、電荷の反発と吸引が発生する。この静電気
力によって移動子は搬送される。
【0004】また、電極を内蔵する移動子を用いた方法
が『特開平7−257773』に示されている。この方
法では固定子と同様な電極を移動子に内蔵し、その移動
子電極に電圧を印加することによって先の初期分極と同
様な効果が得られ、移動子を搬送することができる。
【0005】しかし、これらの静電アクチュエータは搬
送安定性が低く、実用的ではない。そこで、『特開平9
−121564』では、固定子上に球体(ビーズ)を分
散固着させる方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法は、固定子全面にビーズを均一に分散させなければな
らない。また、このビーズによって固定子に凹凸を持た
せるため、ビーズを固着させるためのバインダ層の厚さ
や、その上の潤滑層の厚さを高精度に管理する必要があ
る。更に、潤滑層として液体を用いる実施形態も示され
ている。
【0007】しかし、直径の小さいビーズを均一に分散
させるのは困難であるため、固定子の凹凸度合いを均一
に保つためには、数多く固定子を作り、その中から選択
する必要がある。このため、歩留まりが悪く、製品コス
トが上昇する。歩留まりを上げるために新たな技術開発
や設備導入を行うと、これも製品コストを上昇させる。
同様に、バインダ層や潤滑層の膜厚管理も、特殊な装置
の導入や歩留まりの悪化などにより、コストの上昇をま
ねく。更に、液体潤滑剤を使用すると、粉塵の付着など
による潤滑効果の低下を防ぐために、定期的な人的メン
テナンスが必要となり、コストが著しく上昇するため、
現実的ではない。
【0008】本発明は、前記従来の方法の問題点を解決
し、製品の歩留まりがよく、製造コストを低く押さえる
ことができ、また、人的なメンテナンスも必要としない
媒体搬送装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】そのために、本発明の媒
体搬送装置においては、絶縁体の基材に複数の帯状電極
を配列し、その帯状電極を電気的に3相以上に分割接続
して固定子をなし、固定子の搬送面上に、搬送媒体を載
置し、固定子内の各相帯状電極への印加電圧極性を切り
換えることにより、固定子と媒体との間に発生する静電
気力を利用して、固定子上の媒体を搬送する媒体搬送装
置において、固定子表面で媒体と接する面に、凹凸部を
形成したことを特徴とする。
【0010】また、本発明の媒体搬送装置においては、
絶縁体の基材に複数の帯状電極を配列し、その帯状電極
を電気的に3相以上に分割接続して固定子をなし、固定
子の搬送面上に、内部に電極を有する移動子を載置し、
その移動子の上に搬送媒体を載置し、固定子内の各相帯
状電極への印加電圧極性を切り換えることにより、固定
子と移動子との間に発生する静電気力を利用して、移動
子と共に、移動子上の媒体を搬送する媒体搬送装置にお
いて、移動子と固定子の両方の摺動面に、凹凸部を形成
したことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につ
き、図面を参照しながら詳細に説明する。 [第1の実施形態の説明] [構成の説明]図1は本発明の第1の実施形態における
装置の概要図である。この搬送装置は固定子1からな
り、固定子1の上に直接、媒体3を乗せる。搬送力は固
定子1と媒体3の間に発生し、媒体3が移動する。 固
定子1は、基材11上に複数の帯状電極12を平行に配
置し、その上に絶縁層13と凹凸層14を設けたもので
ある。
【0012】基材11は絶縁体であり、ガラス、エポキ
シ、フッ素樹脂、繊維混入樹脂、ポリエステル(PE
T)、ポリイミドなどが使用でき、形状や厚さなども自
由に設計できる。本実施形態では、電気基板材料として
一般的に用いられているガラスエポキシ樹脂基板を用い
た。
【0013】帯状電極12は、金や銅などの導電性材料
ならばいずれも使用でき、基材11上に印刷やエッチン
グなど、公知の技術によって形成することができる。本
実施形態の帯状電極12は電気的に3相に分割接続され
ており、それぞれA相、B相、C相と呼び、A相に接続
された電極は12A、B相に接続された電極は12B、
C相に接続された電極は12Cとして表示する。この分
割数は3相に限る物ではなく、本動作原理が実現できる
分割数ならばいずれも使用できる。ただし、分割数を増
加すると制御回路などが増え、コストが上昇する可能性
がある。帯状電極12の幅や電極ピッチは自由に設定で
きる。例えば、電極ピッチは0.2[mm]、0.4
[mm]、1.0[mm]などに設定でき、電極幅も
0.1[mm]、0.2[mm]、0.3[mm]など
に設計できる。本実施形態においては、銅電極を用い、
電極ピッチ0.4[mm]、電極幅0.1[mm]で設
計した固定子を例にとって説明する。
【0014】絶縁層13は、帯状電極の各層間絶縁を主
目的に行う。例えば、絶縁性樹脂、フッ素樹脂などによ
るコーティングや、ポリエステル(PET)フィルム、
ポリイミドフィルムを接着することで形成できる。絶縁
層13の厚さは任意だが、過度に厚くすると搬送力が弱
まり、逆に薄すぎると気中放電が発生しやすくなる。本
実施形態では、約0。04[mm]の厚さで絶縁性樹脂を
コーティングした。図1では帯状電極の形成面にのみ絶
縁層13を設けているが、固定子全面を覆うように絶縁
層13を設けても差し支えない。
【0015】凹凸層14は固定子1と媒体3の接触面積
低下を主目的とする。固定子1のA-A断面図(電極と
平行な方向に切断した図)を図2に示す。この凹凸層1
4は、凹凸の幅や間隔、高さ、材質は任意に設定でき
る。ただし、凹凸幅を広げすぎたり、凹凸間隔を狭くし
すぎると媒体3と固定子1の接触面積が大きくなり、本
発明の効果が小さくなる。また、凹凸高さも高くしすぎ
ると帯状電極12に印加した電圧による電界の作用が減
少して媒体3に発生する搬送力が減少する。更に、凹凸
層の材質も摩擦係数の大きい材料を使用すると、搬送負
荷が大きくなり、搬送安定性を損なうため、絶縁層の摩
擦係数以下となる材料を使用するのが好ましい。
【0016】凹凸層の調整方法の一例を述べる。媒体3
の剛性が低く媒体3が変形しやすい場合は、凹凸間隔を
狭くしたり、凹凸高さを高くして、後述する静電気の吸
引力によって媒体3と固定子1の接触面積が増加しない
ようにする必要がある。逆に、媒体3の剛性が高く媒体
3が変形しにくい場合は、凹凸間隔を広くしたり、凹凸
高さを低く設定してもよい。本実施形態では、幅5mm
で厚さ0.04mmのフッ素系粘着テープを、10mm
間隔で固定子1上に貼付して凹凸を形成した。凹凸の方
向も、電極と平行方向、電極と直交する方向、電極と斜
めに交差する方向等、任意に設定できる。本実施形態に
おいては、製作の容易さを考慮して、電極と直交する方
向に直線上の凹凸を形成した。凹凸の形成方法も、粘着
テープ貼付に限定されるものではない。絶縁層13の上
部に凹凸層14を新たに形成する以外にも、例えば、絶
縁層13を塗布する前に、帯状電極12上に予め凹凸部
を形成しておき、その上を絶縁層13で覆う方法も、固
定子表面に凹凸部を形成する方法として有効である。つ
まり、固定子表面に凹凸が存在すれば、その形成位置や
形成方法は特に問題ではない。
【0017】電源5は、帯状電極12と移動子電極21
に印加する電圧の電圧源であり、正電圧と負電圧を駆動
回路6に供給する。
【0018】駆動回路6は、A相、B相、C相の各相
に、それぞれ正電圧、負電圧、0[V](接地電位)を
自由に切り換えて印加できるようになっており、制御回
路7からの制御信号によって、各相に印加する電圧極性
を変化させる。ここでは、各相に印加する電圧極性を、
[A相極性、B相極性、C相極性]として表すことにす
る。また、正極性は“P”、負極性は“N”、接地電位
は“G”と表す。例えば、A相に正極性、B相に負極
性、C相に負極性の電圧を印加する場合は、[P、N、
N]という表示になる。
【0019】[動作の説明]まず、媒体3が搬送開始位
置に到達すると、初期分極工程によって、媒体3内の電
荷を分極させ、図4(1)に示したような電荷分布を形
成する。本実施形態では、初期分極工程時に、[N、
P、P]を印加した場合を例にして説明する。[N、
P、P]を固定子1の帯状電極12に印加すると、媒体
3内では、帯状電極12の対向面部分に、帯状電極12
に印加した電圧の逆極性電荷が集中する。
【0020】媒体3内の電荷分布が十分進行したところ
で、帯状電極12には、搬送パターンの第1段階パター
ンである、[P、N、G]が印加される。すると、固定
子各相の帯状電極12に印加された電圧の極性と、媒体
3内の分布電荷との間で、同極性同志には反発力が発生
し、逆極性同志には吸引力が発生する。例えば、媒体3
内の最も左に位置する正電荷に着目すると、固定子電極
12A1からは真上方向に反発力を受け、12B1から
は右下方向に吸引力を受ける。これらの力を総合する
と、媒体3内の最左端の正電荷には、上方向の力と右手
方向(搬送方向)への力が作用する。媒体3内の各電荷
に働く力を総合した結果、媒体3は、強い上方向の力
と、それより弱い搬送方向の力を固定子1から受ける。
このため、媒体3は急激に斜め右上に上昇する(図4
(2))。同時に、媒体3は搬送方向に移動し、固定子
電極1ピッチ分進んだところで、帯状電極12から急激
な吸引力を受けるため、媒体3は急激に下降して停止す
る(図4(3))。この時も、媒体3には搬送方向の力
が働き続けるが、媒体3と固定子1との間には強い吸着
力が働くため、摩擦が非常に大きくなり、媒体3はその
場に停止している。
【0021】次に搬送パターンの第2段階パターンであ
る[G、P、N]を帯状電極12に印加すると、先締と
同様な作用により、媒体3は1ピッチ搬送方向に移動し
て停止する(図4(4)〜(5))。
【0022】搬送パターンの第3段階パターンである
[N、G、P]を印加すると、先と同様に媒体3は1ピ
ッチ搬送方向に移動して停止する。この後も、搬送パタ
ーンの第1段階から第3段階パターンを順次繰り返して
印加することにより、媒体3は帯状電極1ピッチずつ、
図の搬送方向に移動する。
【0023】この3段階ある搬送パターンの切り換え周
波数を駆動周波数と呼ぶことにすると、この駆動周波数
を変化させることによって媒体3の搬送速度を制御する
ことができる。この場合、駆動周波数を上げると媒体3
の搬送速度が向上する。
【0024】固定子1に凹凸層14がある場合とない場
合とで、媒体3と固定子1との接触面積の違いを図3に
示す。媒体3に発生する搬送力は、固定子1内の帯状電
極12に印加する電圧によって発生する電界の強さに依
存する。電界の強さは、固定子1内の帯状電極12と媒
体3との距離に依存し、両者の距離が近い締、電界は強
くなる。よって、固定子1内の帯状電極12と媒体3と
の距離が近い締、搬送力は増加すると言える。
【0025】絶縁層13の厚さを同一とした場合、凹凸
なしの方(図3(1))が、固定子1内の帯状電極12
と媒体3との距離が近いため、搬送力も凹凸なしの方が
強い。しかし同時に、吸着力も強くなり、凹凸なしの方
は、媒体3と固定子1が強く密着する。この密着による
負荷は、静電気による搬送力に比べて、極めて大きい。
このため、凹凸なしの方は、この密着負荷の影響が外乱
として働き、移動子2が突然停止したり、スキューが発
生したりする。
【0026】凹凸ありの方(図3(2))は、凹凸なし
に比べて電界の作用が若干弱いが、媒体3と固定子1と
の接触面積が低下し、かつ、電界が弱いために両者の吸
着力も弱まり、密着負荷は著しく減少する。しかしなが
ら搬送力の減少以上に、負荷が減少しているため、搬送
安定性が向上する。
【0027】凹凸層の形成方法として、本実施形態では
最も簡便に粘着テープを直線状に貼付する方法を例に説
明した。これ以外にも、樹脂を盛り上げて形成したり、
凹凸部品を接着したりすることもできる。凹凸部品と
は、直方体状に代表される多角柱状や円筒状のものなど
であり、これを固定子上に配置して凹凸層を形成できる
ものなら、いずれも利用できる。
【0028】また、本実施形態における凹凸層14は、
絶縁層13の上(外側)に配置してあるが、帯状電極1
2上に凹凸層14を形成し、その上を絶縁層13で覆っ
た場合でも、固定子1の表面には凹凸が形成されるの
で、これも有効な方法である。ただし、帯状電極12の
各相をまたぐ状態で凹凸層を配置した場合は、凹凸層に
十分な絶縁特性が要求される。凹凸の形状も、直線状だ
けでなく、点線状の配置や千鳥配置など、様々な配置が
考えられ、本発明は、これらを除外するものではない。
【0029】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、固定子表面に凹凸を形成することにより、容易に搬
送安定性を向上させることができる。この凹凸部は、既
存の技術による印刷、貼付などで、容易に高精度で均一
なものを得ることができる。このため、凹凸部を持たな
い移動子や固定子と比較しても、製造コストの上昇は極
めて低く、製品競争力に影響を与えることは全くない。
また、微小な球状物質をバインダ中に均一分散させた
り、バインダ膜厚を高精度で制御するような高い技術は
必要ないため、これらの技術に関する研究開発や製造設
備への投資によるコスト上昇は全くない。更に、この効
果は粉塵などの影響で低下することはないため、人的メ
ンテナンスも必要なく、メンテナンスコストは発生しな
い。
【0030】[第2の実施形態の説明] [構成の説明]本発明の第2の実施形態における装置の
概要図を図5に示す。この搬送装置は固定子1と移動子
2からなり、固定子1の上に移動子2を乗せて、移動子
2の上に媒体3を乗せる。搬送力は移動子と固定子との
間で発生し、媒体3は移動子2と共に運ばれる。ここで
は、移動子2の構成を説明する。
【0031】移動子2の内部には、固定子1と同様な電
極21が配置されている。移動子2の基材は、例えば、
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、
ポリカーボネイト、ポリアミド、ガラス繊維などがあげ
られる。本実施形態では、厚さ25μmのポリイミド基
材の上電極21を形成し、各電極間絶縁を目的に、ポリ
イミド製のカバーコートを行った。本実施形態の移動子
2の大きさは、電極と平行方向(幅)が70mm、進行
方向(長さ)が70mmとした。移動子2の大きさも、
この値に限るわけではなく、任意に設定できる。
【0032】電極21は、移動子2の基材上に形成さ
れ、最低でも2相以上に電気的に分割接続されている。
本実施形態では2相に分割してあり、各々、D相、E相
と呼ぶと、搬送開始位置から搬送方向に向かって順に、
21D1、21E1、21E2、21D2、21E3、
21E4、21D3...、の様に、D相の次にはE相
が2本並ぶ配置が繰り返される。この接続は、後述する
固定子電極への電圧印加パターンに関連して変化させる
ことができるため、本実施形態による効果は、この接続
方法に限るわけではない。本実施形態では、電極ピッチ
0.4[mm]、電極幅0.1[mm]と、固定子1の
帯状電極12と同じ構成とした。
【0033】この電極21の上を、絶縁カバーして移動
子2をなす。絶縁カバーは、移動子2の基材と同様に様
々な材料が利用できる。本実施形態では、基材と同じ、
厚さ25μmのポリイミドフィルムを用いて絶縁カバー
とした。なお、本実施形態で用いた移動子2は、一般的
なフレキシブル基板製造技術を用いて製作した。
【0034】移動子2の凹凸層22は、第1の実施形態
の固定子1の凹凸層14と同様にして形成できる。固定
子1の凹凸層14が固定子1内の帯状電極12と直交す
る方向に形成されていた場合を例にすると、移動子2と
固定子1の接触面積を最少にするため、移動子2の凹凸
層22を、固定子1の凹凸層14と直角をなす方向に形
成した(図6参照)。勿論、移動子2側の凹凸方向と、
固定子1側の凹凸方向を直交させず、斜めに交差するよ
うな配置にしても、十分な効果は得られる。この凹凸層
22について、凹凸の幅、間隔、高さ、材質などは、第
1の実施形態で示した固定子1の凹凸層14と同様であ
る。
【0035】[動作の説明]移動子2は内部に電極を持
っているので、この電極21に電圧を印加することで、
先の初期分極工程と同様な作用を得ることができる。こ
こでは、先の初期分極と統一するために、移動子2のD
相とE相に、それぞれ正電圧と負電圧を印加した場合を
例に取って説明する。勿論、印加電圧の極性は、これに
限るわけではない。移動子2に電圧を印加した時点が、
先の初期分極工程の終了時と一致する。
【0036】ここで、固定子1の帯状電極12に、搬送
パターンの第1段階パターンである、[P、N、G]を
印加する。すると、固定子各相の帯状電極12に印加さ
れた電圧の極性と、移動子2の各相電極21に印加され
た電圧の極性との間で、同極性同志には反発力が発生
し、逆極性同志には吸引力が発生する。例えば、移動子
電極21D1に着目すると、固定子電極12A1からは
真上方向に反発力を受け、12B1からは右下方向に吸
引力を受ける。これらの力を総合すると、移動子電極2
1D1には、上方向の力と右手方向への力が作用する。
各移動子電極に働く力を総合した結果、移動子2は、強
い上方向の力と、それより弱い搬送方向の力を固定子か
ら受け、移動子2は急激に上昇する。同時に、移動子2
は搬送方向に移動し、固定子電極1ピッチ分進んだとこ
ろで急激な吸引力を受けるため、移動子2は急激に下降
して停止する(図7(1)〜(2))。この時も、搬送
方向の力は働き続けるが、移動子と固定子との吸着によ
る摩擦が非常に大きいため、移動子2はその場に停止し
ている。
【0037】次に搬送パターンの第2段階パターンであ
る[G、P、N]を帯状電極に印加すると、先締と同様
な作用により、移動子2は1ピッチ右手方向に移動する
(図7(3)〜(4))。
【0038】搬送パターンの第3段階パターンである
[N、G、P]を印加すると、先と同様に移動子2は1
ピッチ右手方向に移動して停止する。この後も、搬送パ
ターンの第1段階から第3段階パターンを順次繰り返し
て印加することにより、移動子2と媒体3は帯状電極1
ピッチずつ、図の右手方向に移動する。
【0039】移動子2の凹凸層22がなく、固定子1に
のみ凹凸層14がある場合もある程度の効果は得られ
る。しかし、電極を持つ移動子の場合、搬送力を向上さ
せるために移動子2に印加する電圧を高くした場合、固
定子1との吸着力も増加するため、凹凸層を固定子1に
のみ形成した場合には、十分な効果が得られないことが
ある。よって、移動子2にも凹凸層を設け、接触面積
を、より小さくすることが好適であり、これにより、移
動子への印加電圧によらず、安定して効果を得ることが
できる。
【0040】また、移動子2に凹凸層22を付加する
と、移動子2自体の剛性が向上し、固定子1と移動子2
の凹凸間隔を広げられるため、より少ない接触面積を実
現できる。
【0041】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、移動子にも凹凸層を設けることにより、第1の実施
形態の効果に加え、移動子への印加電圧を向上させ搬送
力を向上させた場合にも、同様な効果が得られる。
【0042】尚、本発明は前述の実施形態に限定される
ものではなく、例えば、固定子1はフィルム状のフレキ
シブル基板で作製することもできるため、湾曲した搬送
路を形成することもできる。
【0043】前述の実施形態では、固定子上に帯状電極
と直行する方向の直線状凹凸部を例に説明したが、斜め
方向や曲線状の凹凸部などでも、移動子2と固定子1と
の接触面積が低減できれば同様な効果が得られる。
【0044】また、前述の実施形態では、移動子のみに
凹凸を形成した例を示していないが、固定子のみに凹凸
を形成した時と同様な効果が得られることは言うまでも
ない。
【0045】第2の実施形態では、内部に電極を有する
移動子について説明したが、内部に電極を持たない移動
子についても同様な効果が得られる。この様な移動子
は、適当な抵抗値を有する材料で構成される。従来の参
考文献には、好適な移動子2の抵抗値として、表面抵抗
率が1011〜1015[Ω]がよいと記載されている。
この移動子は、電極を持たないため、電極を持つ移動子
の様に印加電圧を上昇させて搬送力を向上することはで
きない。よって、移動子側に凹凸層を設けず、固定子側
にのみ凹凸層を設けても十分な効果が得られる。勿論、
固定子側でなく移動子側にのみ凹凸層を設けた場合や、
移動子と固定子の両方に凹凸層を設けても、十分な効果
が得られる。
【0046】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、請求項1に
記載の発明によれば、絶縁体の基材に複数の帯状電極を
配列し、その帯状電極を電気的に3相以上に分割接続し
て固定子をなし、固定子の搬送面上に、搬送媒体を載置
し、固定子内の各相帯状電極への印加電圧極性を切り換
えることにより、固定子と媒体との間に発生する静電気
力を利用して、固定子上の媒体を搬送する媒体搬送装置
において、固定子表面で媒体と接する面に、凹凸部を形
成したので、容易に搬送安定性を向上させることができ
る。また、この凹凸部は、既存の技術による印刷、貼付
などで、容易に高精度で均一なものを得ることができ
る。このため、歩留まりが高く、凹凸部を持たない移動
子や固定子と比較しても、製造コストの上昇は極めて低
く、製品競争力に影響を与えることは全くない。また、
微小な球状物質をバインダ中に均一分散させたり、バイ
ンダ膜厚を高精度で制御するような高い技術は必要ない
ため、これらの技術に関する研究開発や製造設備への投
資によるコスト上昇は全くない。更に、この効果は粉塵
などの影響で低下することはないため、人的メンテナン
スも必要なく、メンテナンスコストは発生しない。
【0047】また、請求項2に記載の発明によれば、絶
縁体の基材に複数の帯状電極を配列し、その帯状電極を
電気的に3相以上に分割接続して固定子をなし、固定子
の搬送面上に、内部に電極を有する移動子を載置し、そ
の移動子の上に搬送媒体を載置し、固定子内の各相帯状
電極への印加電圧極性を切り換えることにより、固定子
と移動子との間に発生する静電気力を利用して、移動子
と共に、移動子上の媒体を搬送する媒体搬送装置におい
て、移動子と固定子の両方の摺動面に、凹凸部を形成し
たことにより、請求項1の発明の効果に加え、移動子へ
の印加電圧を向上させ搬送力を向上させた場合にも、同
様な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態における装置の概要図である。
【図2】第1の実施形態における固定子のA−A断面図
である。
【図3】第1の実施形態における凹凸の有無と接触面積
の関係を示す図である。
【図4】第1の実施形態の動作原理図である。
【図5】第2の実施形態における装置の概要図である。
【図6】第2の実施形態において移動子と固定子に凹凸
をもうけた場合の上面透視図である。
【図7】第2の実施形態の動作原理図である。
【符号の説明】
1 固定子 3 媒体 5 電源 6 駆動回路 7 制御回路 11 基材 12 帯状電極 13 絶縁層 14 凹凸層

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁体の基材に複数の帯状電極を配列
    し、その帯状電極を電気的に3相以上に分割接続して固
    定子をなし、固定子の搬送面上に、搬送媒体を載置し、
    固定子内の各相帯状電極への印加電圧極性を切り換える
    ことにより、固定子と媒体との間に発生する静電気力を
    利用して、固定子上の媒体を搬送する媒体搬送装置にお
    いて、固定子表面で媒体と接する面に、凹凸部を形成し
    たことを特徴とする媒体搬送装置。
  2. 【請求項2】 絶縁体の基材に複数の帯状電極を配列
    し、その帯状電極を電気的に3相以上に分割接続して固
    定子をなし、固定子の搬送面上に、内部に電極を有する
    移動子を載置し、その移動子の上に搬送媒体を載置し、
    固定子内の各相帯状電極への印加電圧極性を切り換える
    ことにより、固定子と移動子との間に発生する静電気力
    を利用して、移動子と共に、移動子上の媒体を搬送する
    媒体搬送装置において、移動子と固定子の両方の摺動面
    に、凹凸部を形成したことを特徴とする媒体搬送装置。
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