JP2000139462A - 細胞内pH変化の測定による薬物吸収性の高速スクリーニングシステム - Google Patents

細胞内pH変化の測定による薬物吸収性の高速スクリーニングシステム

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JP2000139462A JP32100798A JP32100798A JP2000139462A JP 2000139462 A JP2000139462 A JP 2000139462A JP 32100798 A JP32100798 A JP 32100798A JP 32100798 A JP32100798 A JP 32100798A JP 2000139462 A JP2000139462 A JP 2000139462A
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Shinji Yamashita
伸二 山下
Yoko Taki
陽子 多喜
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Becton Dickinson and Co
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Becton Dickinson and Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薬剤の腸管吸収を、生体外で迅速に評価する
ことができる評価法の提供。 【解決手段】 (1)細胞層を形成する工程と、(2)
前記細胞層に蛍光色素を導入する工程と、(3)前記蛍
光色素を導入した前記細胞層を薬剤を含む緩衝液と接触
させ、前記細胞層に薬剤を吸収させる工程と、(4)
(3)で得られた細胞層の細胞中のpH変化を蛍光分析
することにより、前記細胞中の薬剤の存在量を評価する
工程とを具えたことを特徴とする薬剤の腸管吸収の評価
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、経口投与の薬剤吸
収の評価法に関する。詳細には、本発明は、経口投与の
薬剤の腸管吸収の生体外での迅速な評価(スクリーニン
グ)法に関する。
【0002】
【従来の技術】経口投与される薬剤は、主として腸管に
おいて体内に吸収され、その効果を発揮する。したがっ
て、その薬剤が経口投与できるかどうかの判断基準とし
て、腸管で吸収されるか否かは非常に重要である。創薬
段階において、特にリード化合物探索の段階において、
薬剤の腸管吸収を短時間で大量のサンプルについて試験
できる方法を確立することは極めて重要である。
【0003】薬剤の腸管吸収性に関して、ラットの腸管
を用いて行われるのが一般的である。すなわち、ラット
の腸管内に薬剤を含む緩衝液を注入し、その腸管の支配
血管中に薬剤が侵透してくるかどうかを試験するもので
ある。しかし、この方法は大量のラットを使用するた
め、特に米国では動物***の観点から、行いにくくなり
つつある。また、後述するようにコストおよび時間を消
費する薬剤の定量法も問題点の1つである。
【0004】ラットの腸管を用いる方法に代わる物とし
て、ヒトの大腸ガン由来のCaco−2という細胞を用
いる方法が欧米では主流となりつつある。この方法は、
多孔性の膜上に形成したCaco−2の単層を通過する
薬剤の量を測定するものである。具体的な方法として
は、たとえば、底が多孔性膜で形成され、その膜上にC
aco−2の単層を形成した容器を用い、その容器中に
薬剤を含む緩衝液(A)を注入し、その容器を薬剤を含
まない緩衝液(B)中に浸積し、一定時間後にCaco
−2の単層を通過して緩衝液(B)中に存在する薬剤を
定量する方法である。通過量を測定する方法としては、
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法または液体
クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)法等が用
いられる。
【0005】薬剤が腸管において吸収されるときには、
ある種の薬剤は、腸管の上皮細胞表面上のトランスポー
ターにより細胞中に一度吸収され、引き続いて腸管の血
管中に放出されることで吸収されると考えられている。
また、薬剤がトランスポーターにより細胞中に吸収され
る際に、いくつかのトランスポーターにおいては、薬剤
とともに溶液中の水素イオンをも同時に細胞内に吸収す
ることが知られている。したがって、当該技術におい
て、薬剤の吸収とともに、細胞内のpHも変化するもの
であるが、薬剤の輸送(すなわち第1段階としての吸収
をふくむ)に伴う細胞内のpHの変化が報告された例は
ほとんどなく、わずかにWenzel等のThe Journal of Pha
rmacology and Experimental Therapeutics, 277, 831-
839(1996)に記載されているCaco−2細胞およびト
ランスポーターを発現させたカエル卵母細胞を用いた測
定がある。
【0006】また、リポソームに対するサリチル酸など
酸性薬剤の透過に伴うリポソーム中のpH変化がThe Jo
urnal of Pharmacology and Experimental Therapeutic
s,285(3), 1175-1180(1998) にて報告されている。Ca
co−2細胞を用いた場合のサリチル酸の透過に伴う細
胞内pH変化について、発明者らが1998年3月の日
本薬学会年会にて報告している。また、辻等も同年会に
おいて、同様の結果を報告している。
【0007】上記の報告における細胞内pH変化の測定
方法は、いずれもpH感受性を有する蛍光色素を細胞内
に充填し、その蛍光強度の変化をもって細胞内pHを測
定するものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】Caco−2を用いる
薬剤の透過性試験における薬剤の検出方法は、現在のと
ころ、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法また
は液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)法
等である。
【0009】しかし、HPLC法においては、一般に1
サンプル当りの分析時間が1〜2時間必要であり、コン
ビナトリアルケミストリー等の方法で大量のサンプルが
迅速に供給される現在では、必要とする試験数を実行す
るためには、数多くのHPLC装置を用いてさえなお多
大な時間が必要であることが問題である。一方、LC/
MS法においては、分析時間は数十分程度に短縮される
が、試験装置からのサンプリング等の被検薬剤の取り扱
いの煩雑さが問題である。
【0010】一方、多くの薬剤は、酸性または塩基性の
いずれかの性質を有しており、これらの薬剤が細胞内に
吸収された場合に、当然細胞内のpHが変化することが
考えられる。したがって、このpHの変化を迅速に定量
的に測定することが可能ならば、これをもって薬剤の細
胞内吸収、さらには薬剤の腸管吸収の評価基準とするこ
とができると考えられる。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の1つの実施の形
態としては: (1)細胞層を形成する工程と、(2)前記細胞層に蛍
光色素を導入する工程と、(3)前記蛍光色素を導入し
た前記細胞層を薬剤を含む緩衝液と接触させ、前記薬剤
を前記細胞層に吸収させる工程と、(4)(3)で得ら
れた細胞層の細胞中のpH変化を蛍光分析することによ
り、前記細胞中の薬剤の存在量を評価する工程とを具え
る薬剤の腸管吸収の評価法(スクリーニングシステム)
である。
【0012】本発明の別の実施の形態としては、細胞と
してヒト大腸ガン由来のCaco−2細胞またはHT2
9細胞、または腎臓尿細管由来のMDCK細胞を用いる
前記の評価法である。
【0013】また、本発明の別の実施の形態としては、
細胞として遺伝子操作によりトランスポーターを高密度
で発現させた細胞株を用いる前記の評価法である。
【0014】また、本発明の別の実施の形態としては、
pHが5.0〜8.0の範囲内の緩衝液を用いる前記の
評価法である。
【0015】本発明の別の実施の形態としては、緩衝液
が等張な緩衝液である前記の評価法である。
【0016】また、本発明の別の実施の形態としては、
薬剤の濃度が0.01mM〜100mMである緩衝液を
用いる前記の評価法である。
【0017】本発明の別の実施の形態としては、(3)
の工程を細胞に影響のない範囲の温度で行う前記の評価
法である。
【0018】さらに、本発明の別の実施の形態は、蛍光
分析を蛍光リーダーを用いて行う上記の評価法である。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明において、その腸管吸収を
試験できる化合物(薬剤)は、弱酸性化合物、弱塩基性
化合物、およびペプタイドトランスポーターの基質とな
る可能性を有したペプタイド類似化合物がある。たとえ
ば、弱酸性化合物としては、サリチル酸、m−ヒドロキ
シ安息香酸、o−アニス酸、コハク酸、ベンゼンスルホ
ン酸、酢酸、スルファニル酸、ニコチン酸、安息香酸等
を挙げることができる。弱塩基性化合物としては、プロ
プラノロール、アテロノール、イミプラミン等を挙げる
ことができる。ペプタイドトランスポーターの基質とな
る可能性を有するペプタイド類似物質としては、セフデ
ィニル、ベンジルペニシリン、セファゾリン、ジクロキ
サシリン、カプトプリル、オキサシリン、セフティゾキ
シム、セフィキシム、カルベニシリン、セフチブテン、
サルベニシリン、リシノプリル等を挙げることができ
る。
【0020】本発明の試験法において用いることができ
る細胞種は、消化管上皮細胞と同様の形態を呈する培養
上皮細胞一般であり、たとえばヒト大腸ガン由来のCa
co−2細胞およびHT29細胞等、および腎臓尿細管
由来のMDCK細胞等であり、また遺伝子導入によりト
ランスポーターを高密度に発現させた細胞株等である。
この遺伝子導入によりトランスポーターを高密度に発現
させることは、薬剤の細胞内吸収量を増加し、細胞内の
pH変化を増大させ、したがって本発明の方法の感度を
向上させることに対して有効である。
【0021】本発明において用いる種々の細胞の培養
は、当該技術においてよく知られているように、用いる
細胞に最も適した培養条件下で行うことが望ましい。さ
らには、評価の迅速化の目的で、種々の短期間培養法を
採用することができる。
【0022】上記の方法により培養された細胞は、単層
を形成しても、または多重層を形成してもよい。細胞層
は、少なくとも蛍光の測定部において均一な層を形成し
ていることが好ましい。また、細胞層を形成する細胞同
士は、緊密に結合した(tightconjunction)状態であるこ
とが好ましい。
【0023】測定に用いる薬剤の濃度は、0.01mM
〜100mMの範囲内であることが好ましく、および
0.1mM〜10mMの範囲内であることがより好まし
い。この濃度は評価すべき薬剤によって引き起こされる
細胞内pH変化を考慮して決定することができる。
【0024】測定に用いる溶液の組成としては、用いる
細胞に対して等張化された緩衝液を用いることが望まし
い。そのような緩衝液の例として、HBSS、KHBB
などを用いることができる。
【0025】上記の緩衝液のpHは、5.0〜8.0で
あってもよい。好ましくは、実際の消化管(小腸)内の
pHを基準として調製することができる。その消化管内
のpHは通常5.0〜7.5の範囲であり、その範囲内
で本発明の測定を行うことが好ましい。
【0026】細胞層への薬剤吸収を試験する際の温度
は、用いる細胞に影響のない範囲内であるべきである。
好ましくは0℃から50℃の範囲内であり、より好まし
くは4℃から42℃の範囲内であり、最も好ましくは4
℃から38℃の範囲内である。
【0027】細胞内のpH変化を測定するためには、p
Hに依存した蛍光強度の変化を示す蛍光試薬を細胞中に
導入して使用することができる。そのような試薬は、商
業的に市販されており、たとえばBCECF((株)同
仁化学研究所)、BCECF−AM((株)同仁化学研
究所)、5(および6)−カルボキシ−2′,7′−ジ
クロロフルオレセイン、5(および6)−カルボキシ−
2′,7′−ジクロロフルオレセインジアセテート、5
(および6)−カルボキシ−2′,7′−ジクロロフル
オレセインジアセテート スクシミジルエステル、5
(および6)−カルボキシ−2′,7′−ジクロロフル
オレセイン スクシミジルエステル、5(および6)−
カルボキシ−フルオレセインなどを用いることができ
る。BCECF、またはBCECF−AMを用いること
が好ましい。
【0028】上記の蛍光試薬を導入した細胞内のpH変
化は、通常の蛍光強度測定用機器を用いて測定すること
が可能であり、たとえば蛍光リーダー等の機器を用いる
ことができる。測定の精度を向上させるためには、バッ
クグラウンドの蛍光を除去するような方法を使用するこ
とが好ましい。そのような方法の一例として、FLIP
R(蛍光イメージング・プレート読取機(FLuorometric
Imaging Plate Reader) )システムがある。このシステ
ムは、強力なアルゴンレーザー照射システム、CCDイ
メージカメラ、細胞層分離光学系、96ウェルピペッタ
ーを統合し、マイクロプレート上の96ウェル全てに対
して蛍光分析を行い、秒単位での動的データの解析が可
能である。すなわち、アルゴンレーザーを用いて測定す
べき特異変化に適した蛍光試薬を励起して蛍光を発生さ
せ、細胞層分離光学系により細胞外で発生するバックグ
ラウンド蛍光を除去し、冷却CCDカメラを統合検出器
として使用して、蛍光強度を測定する。
【0029】
【実施例】(1)Caco−2細胞を用いた細胞内pH
の測定 以下の方法を用いて、薬剤としてスルファニル酸(SU
A)、m−ヒドロキシ安息香酸(m−HBA)、安息香
酸(BA)、ニコチン酸(NA)、サリチル酸(S
A)、ベンゼンスルホン酸(BSA)を用いて、Cac
o−2細胞内のpH変化に対応する蛍光強度を測定し
た。対照ウェルとして薬剤を含まないHBBSを注入し
たウェルの蛍光強度を測定した。
【0030】Caco−2細胞は、コラーゲンコートを
施した96穴のブラック/透明ウェルプレート上で培養
した。培養法としては、Becton Dickinson社によって開
発された3日間培養法(3-day BIOCOAT (登録商標)HT
S Caco-2 Assay System )を改良した4日間培養法を用
いた。培養終了後に、各ウェルに蛍光物質のBCECF
を加え、約37℃において1時間にわたり、Caco−
2細胞中に導入した。その後に、Hankの生理食塩水緩衝
液(HBSS)で4回洗浄し、最終的に各ウェル内にH
BSSを90μL残した。この状態のウェルプレートを
FLIPRシステムに装着し、各ウェルにそれぞれの試
験薬剤(3mMまたは15mM)を含むHBSS溶液
(pH6.0)の45μLを96ウェルピペッターを用
いて同時に添加した。この時の各ウェル内の薬剤濃度は
それぞれ1mMまたは3mMである。薬剤注入直後から
15分間にわたって、2秒間隔で各ウェルの蛍光強度を
測定した。各ウェルの蛍光強度と、対照ウェルの蛍光強
度の差を計算し、その値を薬物による細胞内pH変化の
指標として用いた。
【0031】サリチル酸を用いた場合、および対照ウェ
ルの蛍光強度の時間変化を図1に示した。
【0032】(2)ラット小腸粘膜透過性の試験 以下の方法を用いて、薬剤としてスルファニル酸(SU
A)、m−ヒドロキシ安息香酸(m−HBA)、安息香
酸(BA)、ニコチン酸(NA)、サリチル酸(S
A)、ベンゼンスルホン酸(BSA)を用いて、ラット
小腸粘膜透過性を測定した。
【0033】Wister系雄性ラット(230〜280g)
をペントバルビタールで麻酔後、開腹し、空腸上部より
15cm〜30cm程度の部分の約15cmの上下にポ
リエチレンチューブをカニュレーションし、小腸ループ
を作成した。ループ上部より、流速0.2〜0.4mL
/minの速度で薬物を含む灌流液を流し、その後約9
0分間にわたって10分間隔でループ下部より流出した
灌流液を採取した。薬物の小腸膜透過性は、灌流前と灌
流後の灌流液中薬物濃度の差(膜透過量に該当)からco
mpletely radial mixingモデルに従って算出した。灌流
液としては、NaCl 140mM、KCl 5mM、
MES/HEPES 10mMおよびFITC−Dex
tran 1mMを含む等張溶液(pH 6.5)を用
い、常に、O2 :CO2 =95:5の混合ガスでバブリ
ングを行った。ここで、FITC−Dextranは灌
流中に起こった小腸からの水の吸収の補正のために添加
されており、その灌流前と灌流後の濃度比から水の吸収
による薬物の濃度補正を行った。
【0034】(3)Caco−2単層膜を用いた透過性
試験 以下の方法を用いて、薬剤としてスルファニル酸(SU
A)、m−ヒドロキシ安息香酸(m−HBA)、安息香
酸(BA)、ニコチン酸(NA)、サリチル酸(S
A)、ベンゼンスルホン酸(BSA)を用いて、Cac
o−2単層膜を用いた透過性を測定した。
【0035】以下の組成のトランスポート・メディア
(T.M)を調製した。
【0036】 NaCl 136.89mM グルコース 19.45mM KCl 5.36mM CaCl2 1.26mM Na2HPO4 0.34mM MgCl2 ・6H2O 0.49mM KH2PO4 0.44mM NaHCO3 4.17mM MgSO4 ・7H2O 0.41mM Hepes 10.00mM T.Mは実験前に37℃に加温したものを用い、それぞ
れpH 7.4およびpH 6.0に調整した。さら
に、各薬剤を0.1mMになるようにT.Mに溶解さ
せ、再びpH 7.4およびpH 6.0に調整して、
薬剤試料液として用いた。
【0037】インサート付ウェルのserosal 側に2.6
mLのT.M(pH 7.4)、mucosal 側にT.M
(pH 6.0)を導入し、37℃において20分間に
わたって予備温置した。次に、別にT.M(pH 7.
4)2.6mLを入れておいたウェルにカップを移し、
mucosal 側に薬剤試料液(1.5mL)を導入後、10
分毎に60分間serosal 側より0.1mLずつサンプリ
ングを行った。サンプリング後、直ちに体積補正のため
にT.M(pH 7.4)を0.1mLを添加する。得
られたサンプル中の薬物濃度を定量し、初濃度からその
値を引き、各時間でのmucosal 側に残存している薬物濃
度を算出した。そして、初濃度の対数からそのmucosal
側濃度の対数を引いた値と時間の傾きから、一次の吸収
速度定数Kaを求め、mucosal 側に添加した体積を乗算
し、カップの有効面積(4.71cm2 )で除算することに
より、膜透過係数(cm/min)を求めた。
【0038】(4)結果の総括 前記(1)のCaco−2細胞内pHの変化と(3)で
得られたCaco−2細胞単層膜の透過性の結果を対比
したグラフを図2に示した。また、(1)で得られた薬
剤吸収によるCaco−2細胞内pHの変化と(2)で
得られたラット小腸粘膜透過性の結果を対比したグラフ
を図3に示した。それぞれのグラフにおいて、細胞内p
Hの変化は薬剤添加後10秒後の値を用いた。
【0039】図2および図3にて示されるように、Ca
co−2細胞内pHの変化とラット小腸粘膜透過性の結
果およびCaco−2細胞単層膜の透過性は良好な相関
関係を示した(相関係数Rはそれぞれ0.99および
0.98)。
【0040】
【発明の効果】本発明の方法を用いることにより、多く
の時間を必要とし、かつ被検薬剤の取り扱いが煩雑であ
る薬剤自体の定量を行うことなく、Caco−2細胞内
pHの変化をpH感受性の蛍光試薬が発生する蛍光の強
度を用いて測定することにより、薬物の膜透過性を短時
間でかつ一度に多数のサンプルについて評価することが
可能であることが明らかとなった。したがって、本発明
の方法は、創薬段階での迅速な薬物の吸収性評価法とし
て極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】サリチル酸を用いた場合の、Caco−2細胞
内のpH変化による蛍光強度および対照ウェルの蛍光強
度の時間変化を示したグラフである。
【図2】Caco−2細胞内のpH変化による蛍光強度
の変化とCaco−2細胞単層の透過性との比較のグラ
フである。
【図3】Caco−2細胞内のpH変化による蛍光強度
の変化とラット空腸の透過性との比較のグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C12Q 1/02 C12R 1:91) (71)出願人 595117091 1 BECTON DRIVE, FRA NKLIN LAKES, NEW JE RSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA (72)発明者 多喜 陽子 大阪府枚方市南樟葉1−3−4 Fターム(参考) 2G045 AA40 BB52 CB01 CB02 DB03 FA11 FB12 GC15 4B024 AA11 BA80 DA02 GA11 4B063 QA01 QA05 QQ08 QQ61 QQ91 QQ98 QR41 QR51 QR57 QR66 QR69 QR77 QS24 QS36 QX02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)細胞層を形成する工程と、(2)
    前記細胞層に蛍光色素を導入する工程と、(3)前記蛍
    光色素を導入した前記細胞層を薬剤を含む緩衝液と接触
    させ、前記薬剤を前記細胞層に吸収させる工程と、
    (4)(3)で得られた細胞層の細胞中のpH変化を蛍
    光分析することにより、前記細胞中の薬剤の存在量を評
    価する工程とを具えたことを特徴とする薬剤の腸管吸収
    の評価法。
  2. 【請求項2】 前記細胞が、ヒト大腸ガン由来のCac
    o−2細胞、ヒト大腸ガン由来のHT29細胞、および
    腎臓尿細管由来のMDCK細胞からなる群から選択され
    ることを特徴とする請求項1に記載の評価法。
  3. 【請求項3】 前記細胞が、遺伝子操作によりトランス
    ポーターを高密度で発現させた細胞株であることを特徴
    とする請求項1に記載の評価法。
  4. 【請求項4】 前記緩衝液のpHが、5.0〜8.0の
    範囲内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    1つに記載の評価法。
  5. 【請求項5】 前記緩衝液が、等張な緩衝液であること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の評価
    法。
  6. 【請求項6】 前記薬剤を含む緩衝液において、薬剤の
    濃度が0.01mM〜100mMであることを特徴とす
    る請求項1〜5のいずれか1つに記載の評価法。
  7. 【請求項7】 (3)の工程を前記細胞に影響のない範
    囲の温度で行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれ
    か1つに記載の評価法。
  8. 【請求項8】 前記蛍光分析を蛍光リーダーを用いて行
    うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載
    の評価法。
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