JP2000129013A - 防曇フィルム - Google Patents

防曇フィルム

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JP2000129013A
JP2000129013A JP10301351A JP30135198A JP2000129013A JP 2000129013 A JP2000129013 A JP 2000129013A JP 10301351 A JP10301351 A JP 10301351A JP 30135198 A JP30135198 A JP 30135198A JP 2000129013 A JP2000129013 A JP 2000129013A
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film
layer
water
antifogging
polymer
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JP10301351A
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English (en)
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Rinjiro Ichikawa
林次郎 市川
Minako Hayashi
水奈子 林
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Fujimori Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Fujimori Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 過度ではない適度の吸水性を有し、吸水して
も寸法変化がほとんどなく、かつ吸収した水をすみやか
に放出するので吸水性−水放出性のバランスが良く、従
って、高温高湿条件下でも曇りや水滴を生ずることがな
い上、吸水状態でもフィルムに波打ち・垂れ下がり・引
きつり等の変形を生じがたくかつ水滴汚染やべとつきの
問題も生じがたく、しかも耐熱性にすぐれており、さら
には腰もあり、農業用フィルム等の防曇フィルムとして
の適性を備えており、またコスト的にも実用化に耐えう
る高品質の防曇フィルムを提供することを目的とする。 【解決手段】 基材フィルム(1) 面に防曇性薄層(2) を
設けた防曇フィルムである。上記防曇性薄層(2) は、カ
ルボキシル基含有ビニルアルコール系ポリマー(a 1)とカ
ルボキシル基含有天然高分子(a2)との組成物(a) から形
成された合成高分子−天然高分子組成物層(A) であっ
て、その合成高分子−天然高分子組成物層(A) が多価金
属イオン(i) により架橋されているものからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、農業用フィルムを
はじめとする種々の用途に有用な防曇フィルムに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】(イ)農業用ハウスやトンネルなどの農
業用の用途には、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレ
ンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムが
汎用されているが、ポリ塩化ビニルフィルムは焼却処理
の点で環境汚染のおそれがあり、ポリエチレンフィルム
やエチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムは、腰、耐熱
性、耐久性などの点で問題がある。
【0003】(ロ)そこで、上記のような問題点を解消
すべく、これらの樹脂フィルムに代えてビニルアルコー
ル系フィルムを用いる次のような提案がなされている。 ・ポリビニルアルコールフィルム(特公昭61−407
12号公報、特開昭61−216622号公報)、 ・ポリビニルアルコールフィルムと疎水性樹脂層とから
なる積層フィルム(特公昭60−6968号公報)、 ・二軸延伸ポリビニルアルコールフィルムと疎水性樹脂
層とからなる積層フィルム(特開昭63−319148
号公報)、 ・2枚以上の一軸延伸ポリビニルアルコールフィルムを
配向軸を交錯して積層したフィルム(特開昭57−13
5165号公報)、 ・エチレン−ビニルアルコール共重合体とポリビニルア
ルコールフィルムとを積層したフィルム(特開昭56−
86741号公報)、 ・二軸延伸ポリビニルアルコールフィルム(特開昭63
−309115号公報)、 ・ポリビニルアルコールフィルムをスプリットした不織
布と延伸ポリビニルアルコールフィルムとの積層物(特
開昭61−74522号公報)、 ・ポリビニルアルコールフィルムとポリビニルアルコー
ル網目体との積層物(特公昭60−44136号公
報)、 ・エチレン−酢酸ビニル共重合体とエチレン−ビニルア
ルコール共重合体との組成物からなるフィルム(特公昭
62−43642号公報)、 ・エチレン−酢酸ビニル共重合体とエチレン−ビニルア
ルコール共重合体とエチレン系共重合体との組成物から
なるフィルム(特開平4−210529号公報)。
【0004】(ハ)特開平9−174750号公報に
は、熱可塑性樹脂基材フィルム層の片面または両面に、
無機物コロイドのフィルム層を介して親水性樹脂フィル
ム層を配した防曇性フィルムが示されている。ここで熱
可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化
ビニル、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂などがあげ
られている。親水性樹脂としては、ポリビニルアルコー
ル、エチレン−ビニルアルコール共重合体、各種の多糖
類などがあげられており、これらの中ではポリビニルア
ルコールおよび/または多糖類(ないしその誘導体)を
用いることがさらに好ましいとの記載もあるが、実施例
には、ケン化度が88%で重合度が1700、ケン化度
が80%で重合度が300、またはケン化度が98.5%で
重合度が2400のポリビニルアルコールを用いた例し
かあげられていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ビニルアルコール系フ
ィルムを用いる上記(ロ)の方法は、ビニルアルコール
系フィルムが吸水する性質は有するものの、その吸収し
た水を放出する性質が不充分で、吸水性−水放出性のバ
ランスを欠くため、農業用フィルムとして実際に使用し
た場合、過剰に水を吸って変形(波打ち・垂れ下がり・
引きつり等)を生じたり、水滴汚染(水滴を生じたとき
に溶解等により起因して水滴斑ができる現象)やべとつ
きを生じたりすることがあり、また一般にフィルムの腰
が不足する傾向がある。
【0006】上記(ハ)の防曇性フィルムも、親水性フ
ィルムのため吸水性−水放出性のバランスを欠き、変
形、水滴汚染、べとつきを生じたり、フィルムの腰が不
足したりするなどの問題点がある。また無機物コロイド
のフィルム層を必須とし、かつ最低でも3層を要するた
め、コストがかなり高くなることを免れない。
【0007】本発明は、このような背景下において、過
度ではない適度の吸水性を有し、吸水しても寸法変化が
ほとんどなく、かつ吸収した水をすみやかに放出するの
で吸水性−水放出性のバランスが良く、従って、高温高
湿条件下でも曇りや水滴を生ずることがない上、吸水状
態でもフィルムに波打ち・垂れ下がり・引きつり等の変
形を生じがたくかつ水滴汚染やべとつきの問題も生じが
たく、しかも耐熱性にすぐれており、さらには腰もあ
り、農業用フィルムやその他の防曇フィルムとしての適
性を備えており、またコスト的にも実用化に耐えうる高
品質の防曇フィルムを提供することを目的とするもので
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の防曇フィルム
は、基材フィルム(1) 面に防曇性薄層(2) を設けた防曇
フィルムであって、前記防曇性薄層(2) が、カルボキシ
ル基含有ビニルアルコール系ポリマー(a1)とカルボキシ
ル基含有天然高分子(a2)との組成物(a) から形成された
合成高分子−天然高分子組成物層(A) であって、その合
成高分子−天然高分子組成物層(A) が多価金属イオン
(i) により架橋されているものであることを特徴とする
ものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。
【0010】〈基材フィルム(1) 〉基材フィルム(1) と
しては、二軸延伸ポリエステルフィルム(二軸延伸ポリ
エチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリブチレ
ンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリナフタレンテ
レフタレートフィルム)、二軸延伸ポリプロピレンフィ
ルム、二軸延伸ナイロンフィルム、無延伸ポリプロピレ
ンフィルム、無延伸ナイロンフィルム、ポリエチレンフ
ィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリ
塩化ビニルフィルム、アモルファスポリオレフィンフィ
ルムなど、必要な強度と透明性を有するフィルムが用い
られる。基材フィルム層(1) の厚みは、防曇フィルムの
用途によっても大きく異なるが、10〜500μm 程度
とすることが多い。
【0011】〈防曇性薄層(2) 〉防曇性薄層(2) は、以
下に詳述するように、多価金属イオン(i) により架橋さ
れた合成高分子−天然高分子組成物層(A) からなる。
【0012】合成高分子−天然高分子組成物層(A) は、
カルボキシル基含有ビニルアルコール系ポリマー(a1)と
カルボキシル基含有天然高分子(a2)との組成物(a) から
形成される。この場合、上記の組成物(a) は、さらに、
多価金属イオン(i) 以外の、成分(a1)および/または成
分(a2)に対する架橋剤(a3)を含んでいるようにすること
もできる。
【0013】カルボキシル基含有ビニルアルコール系ポ
リマー(a1)としては、(イ)エチレン性不飽和カルボン
酸−酢酸ビニル共重合体(ランダム共重合体やブロック
共重合体)のケン化物、(ロ)ビニルアルコール系ポリ
マーの共在下にエチレン性不飽和カルボン酸を重合した
グラフト共重合体、などが好適なものとしてあげられ
る。このポリマーのカルボキシル基は、COOH型であ
っても、COONaやCOOK型などであってもよい。
【0014】上記におけるエチレン性不飽和カルボン酸
としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イ
タコン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン
酸、フマール酸、ブテントリカルボン酸、多官能(メ
タ)アクリル酸などがあげられ、二塩基酸の場合にはハ
ーフエステルであってもよい。なおカルボキシル基含有
ビニルアルコール系ポリマー(a1)は、本発明の趣旨を損
なわない限りにおいて、エチレン性不飽和カルボン酸の
ほかに他のコモノマー成分を含んでいても差し支えな
い。
【0015】カルボキシル基含有ビニルアルコール系ポ
リマー(a1)に占めるエチレン性不飽和カルボン酸成分の
割合は、1〜30重量%、殊に2〜20重量%とするの
が適当であり、その割合が余りに少ないときは、合成高
分子−天然高分子組成物層(A) の耐熱性が不足し、一方
その割合が余りに多いときは、屈曲性ないし可撓性の不
足を招き、脆くなる傾向がある。
【0016】カルボキシル基含有天然高分子(a2)として
は、アルギン酸、ペクチン、キサンタンガム、グアーガ
ム、トラガントガム、タマリンドガム、ローカストビー
ンガム、アラビアゴム、カードラン、プルラン、デキス
トラン、カラギーナン、カラヤガム、サクシノグルカ
ン、カゼイン、アルブミン、グルテン、カルボキシメチ
ルセルロースをはじめ、動植物(微生物を含む)に由来
する粘質性多糖類が好適なものとしてあげられる。これ
らは水溶性塩の形にあることが多い。アルギン酸やペク
チンは、好ましいものの代表例である。
【0017】必要に応じて用いる架橋剤(a3)としては、
メラミン・尿素・フェノール系化合物とホルムアルデヒ
ドとの初期縮合物あるいは部分または完全エーテル化
物;エポキシ系化合物;ポリイソシアネート系化合物;
ジアルデヒド;カルボジイミド系樹脂;をはじめ、成分
(a1)および/または成分(a2)のカルボキシル基や水酸基
と反応して架橋しうる化合物または樹脂があげられる。
【0018】組成物層(a) 中のカルボキシル基含有ビニ
ルアルコール系ポリマー(a1)とカルボキシル基含有天然
高分子(a2)との割合は、重量比で15:85〜85:1
5、殊に20:80〜80:20、さらには25:75
〜75:25であることが好ましい。成分(a1)、成分(a
2)のいずれが不足しても、使用条件下において、硬度、
耐熱性または防曇性の不足を招く。また、成分(a1)およ
び成分(a2)の合計量100重量部に対する架橋剤(a3)の
割合は、0〜30重量部、さらには1〜15重量部、殊
に2〜10重量部とする。架橋剤(a3)は必ずしも用いな
くてもよいが、それを用いた方が高湿下での寸法安定性
の点で好ましい。架橋剤(a3)の過多は、組成物層(a) の
形成のための溶液のゲル化を生じやすい上、耐熱性や硬
度の不足を招く。
【0019】上記の合成高分子−天然高分子組成物層
(A) は、多価金属イオン(i) により架橋されていること
が必要であり、さもないと耐水性が不足する。多価金属
イオン(i) は、組成物層(a) の調製時に配合することも
できるが、その調製液がゲル化するおそれがあるので、
次に述べるように、組成物層(A) の形成後に該層を水溶
性多価金属塩の水溶液と接触させた後、乾燥して、該層
を多価金属イオン(i) の浸透により架橋する方が好まし
い。
【0020】多価金属イオンとしては、カルシウムイオ
ン、バリウムイオン、亜鉛イオン、銅イオン、マグネシ
ウムイオン、アルミニウムイオンなどがあげられる。多
価金属イオン(i) を浸透させるときの操作は、合成高分
子−天然高分子組成物層(A)を水溶性多価金属塩の水溶
液と接触させた後、乾燥することにより達成される。接
触に際し、合成高分子−天然高分子組成物層(A) は支持
体(たとえば基材フィルム(1) )上に形成されていても
よい。水溶性多価金属塩の水溶液は、水混和性溶剤を含
んでいてもよい。水溶性多価金属塩の例は、カルシウム
塩の場合には塩化カルシウム、乳酸カルシウム、酢酸カ
ルシウムなど、バリウム塩の場合には塩化バリウム、乳
酸バリウム、酢酸バリウム、グルコン酸バリウムなど、
亜鉛塩の場合には酢酸亜鉛、乳酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸
亜鉛など、銅塩の場合には硫酸銅などである。浸透処理
時の温度は5℃程度から70℃程度とすることが多い
が、この範囲外であっても差し支えない。浸漬時間は数
秒程度から数10分程度とすることが多い。
【0021】〈防曇フィルム〉本発明の防曇フィルム
は、上記の基材フィルム(1) 面に防曇性薄層(2) を設け
た構成を有する。基材フィルム層(1) の厚みは、防曇フ
ィルムの用途によっても大きく異なるが、10〜500
μm 程度とすることが多い。防曇性薄層層(2) として
は、先に述べた多価金属イオン(i) により架橋されてい
る合成高分子−天然高分子組成物層(A) が用いられる。
防曇性薄層(2) の形成は、通常はコーティング法により
なされるが、場合によっては予め製膜してあるフィルム
状の防曇性薄層(2) を用いることもできる。防曇性薄層
層(2) の厚みは、性能およびコストを考慮して、5〜1
00μm 程度とすることが多い。
【0022】このとき、基材フィルム(1) には、コロナ
放電処理、低温プラズマ処理、短波長紫外線照射処理、
溶剤処理などの密着性向上処理を施しておいてもよい。
また、アンカーコート層(ac)の形成による密着性向上処
理を施しておいてもよい。アンカーコート層(ac)として
は、イソシアネート系(ウレタン系)、エポキシ系、ア
クリル系、ポリエステル系、イミン系、ブタジエン系な
どの樹脂層があげられる。アンカーコート層(ac)の層厚
は、 0.1〜2μm 程度とすることが多い。
【0023】本発明の防曇フィルムは、任意の層とし
て、接着剤層や印刷層(pt)を含んでいてもよい。
【0024】接着剤層としては、上記のアンカーコート
層(ac)と同様の樹脂層が用いられ、そのほか再湿接着
剤、感圧接着剤(粘着剤)、感熱接着剤などを用いるこ
ともできる。接着剤層の層厚は、5〜50μm 程度とす
ることが多い。
【0025】印刷層(pt)としては、通常の任意の印刷法
による層があげられる。印刷層(pt)は、全面印刷、部分
印刷、あるいはそれらの双方など自由である。
【0026】本発明の防曇フィルムにあっては、防曇性
薄層(2) は基材フィルム(1) の片面に設ければ足りる
が、両面に設けても差し支えない。両面に設けること
は、後述のように、フィルムに印刷を施したい場合や、
対象物に貼着したいような場合に有利である。接着剤層
は、層間に設ける場合のほか、対象物に貼着するため
に、基材フィルム(1) の防曇性薄層(2) とは反対側の面
に設けることができる。
【0027】本発明においては、多価金属イオン(i) に
より架橋されている合成高分子−天然高分子組成物層
(A) からなる防曇性薄層(2) の印刷性が特にすぐれてい
るので、もし印刷層(pt)を設けるときは、この防曇性薄
層(2) に設けることが好ましい。この防曇性薄層(2)
は、溶剤系のインクのみならず、水性インクの印刷性も
すぐれているという利点もあり、水性インクを用いたと
きは作業環境の改善にもつながる。水性インクで防曇性
薄層(2) に印刷を施すときは、防曇性の低下が少ないと
いう利点もある。ただし、印刷層(pt)は、基材フィルム
(1) の側(防曇性薄層(2) の設置側またはその反対側)
に設けることもできる。
【0028】〈用途〉本発明の防曇フィルムは、農業用
ハウスやトンネルなどの農業用フィルム;窓ガラス、車
両用ガラス、覗きガラス・ショウケース・風防・鏡・透
明プラスチックス板等への貼着用フィルム;包装用フィ
ルム;出前用のストレッチフィルム;などとして有用で
ある。
【0029】〈作用〉本発明の防曇フィルムにあって
は、防曇性薄層(2) を構成する合成高分子−天然高分子
組成物層(A) が、カルボキシル基含有ビニルアルコール
系ポリマー(a1)とカルボキシル基含有天然高分子(a2)
(さらには架橋剤(a3))との組成物(a) から形成され、
かつ多価金属イオン(i) により架橋されている。そのた
め、過度ではない適度の吸水性を有し、吸水しても寸法
変化がほとんどなく、かつ吸収した水をすみやかに放出
するので吸水性−水放出性のバランスが良く、従って、
高温高湿条件下でも曇りや水滴を生ずることがない上、
吸水状態でもフィルムに波打ち・垂れ下がり・引きつり
等の変形を生じがたくかつ水滴汚染やべたつきの問題も
生じがたく、しかも耐熱性にすぐれており、さらには腰
も強い。
【0030】
【実施例】次に実施例をあげて本発明をさらに説明す
る。
【0031】実施例1〜2、比較例1〜3 図1は本発明の防曇フィルムの一例を模式的に示した断
面図である。
【0032】カルボキシル基含有ビニルアルコール系ポ
リマー(a1)の一例として、重合度1700、ケン化度9
8モル%のポリビニルアルコールの存在下にアクリル酸
およびブテントリカルボン酸を重合して、アクリル酸成
分の含量が2重量%、ブテントリカルボン酸成分の含量
が5重量%のグラフト共重合体(a1-1)を得た。
【0033】上記のグラフト共重合体(a1-1)の濃度12
重量%の水溶液に、カルボキシル基含有天然高分子(a2)
の一例としてのアルギン酸ソーダ(a2-1)の濃度6重量%
の水溶液と、場合により架橋剤(a3)の一例としてのメチ
ロールメラミン系架橋剤(住友化学工業株式会社製の
「スミテックM−3」)(a3-1)の濃度80重量%の水溶
液とを添加して混合し、後述の表1の処方の組成物(a)
の水溶液を調製した。比較のため、グラフト共重合体(a
1-1)、アルギン酸ソーダ(a2-1)のどちらか一方を欠く場
合についても水溶液を調製した。
【0034】基材フィルム(1) の一例としての厚み70
μm のポリエステルフィルム(PET、二軸延伸ポリエ
チレンテレフタレートフィルム)の片面に、ウレタン系
アンカーコーティング剤による厚み約 0.3μm のアンカ
ーコーティング層(ac)を形成した。
【0035】ついで上記の組成物(a) の水溶液を、基材
フィルム(1) のアンカーコーティング層(ac)上に流延
し、85℃で15分間乾燥して、厚み15μm のフィル
ム層を形成した。ついでこのフィルム層付きの基材フィ
ルム(1) を濃度10重量%の塩化カルシウム水溶液と室
温条件下に5分間接触させ、フィルム層中のアルギン酸
ソーダをカルシウム塩型に変換してから、乾燥し、また
必要に応じさらに135℃で5分間熱処理し、防曇性薄
層(2) (多価金属イオン(i) により架橋された合成高分
子−天然高分子組成物層(A) )を形成した。そしてその
防曇性薄層(2) 面に水性インクによる部分印刷を行っ
て、印刷層(pt)を形成した。これにより、基材フィルム
(1) /アンカーコーティング層(ac)/防曇性薄層(2) /
印刷層(pt)からなる防曇フィルムが得られた。各層間の
密着性は良好であった。塩化カルシウム水溶液との接触
を省略した場合についても実験を行った。
【0036】このようにして得た防曇フィルムまたはそ
の熱処理品につき、次の項目の測定を行った。防曇性薄
層(2) の厚みは15μm である。ただし、(ハ)吸水
率、(ニ)湿潤前後の寸法変化、(ホ)の耐熱性試験に
ついては、防曇性薄層(2) の単膜について測定を行っ
た。
【0037】(イ)防曇性(吸湿前後のヘイズ変化):
アルミニウムホイルの中央付近に直径40mmの孔をあ
け、その孔のところに防曇性フィルムを防曇性薄層(2)
側が下になるようにセットした状態で、温度55℃のウ
オーターバス(恒温槽)上に載置し、1分間保って水蒸
気にさらす試験を行い、試験前後のヘイズ変化率(湿潤
前ヘイズ(%) −湿潤後ヘイズ(%) )を求めた。ヘイズ変
化率が0%に近いかマイナスであれば、防曇性が良好で
あることを示す。 (ロ)吸湿後のフィルムの感触:上記(イ)の試験にお
ける吸湿後のフィルムの防曇性薄層(2) 面を指触して判
定した。 (ハ)吸水率:防曇性薄層(2) を常温の水中に2時間浸
漬してから取り出し、ろ紙で過剰の付着水を吸い取って
から、重量を測定した。吸水前の防曇性薄層(2)の重量
をW1 、吸水後の防曇性薄層(2) の重量をW2 とすると
き、100×(W 2 −W1 )/W1 を吸水率(%)とし
た。 (ニ)吸水前後の寸法変化:3cm×3cmの大きさの防曇
性薄層(2) を温度70℃の水中に30分間浸漬してから
取り出し、元の薄層に比して面積がどのように増加して
いるかで判定した。 (ホ)耐熱性:膜厚15μm の防曇性薄層(2) につき、
粘弾性試験装置を使用して弾性率が1×1010dyne/cm2
以上となる温度(高温時の硬度の指標となる)を求め
た。 (ヘ)表面硬度:荷重100gでの鉛筆硬度。 (ホ)可撓性(屈曲性):防曇性薄層(2) の可撓性(屈
曲性)。
【0038】条件を表1に、結果を表2に示す。表1の
「防曇性薄層(2) の比率」は固形分重量比である。表2
の測定値の欄には、○、△、×の評価も付記した。
【0039】
【表1】 基材フィ 防曇性薄層(2) の比率 浸透処理 熱処理 ルム(1) (a1-1):(a2-1):(a3-1) CaCl2 135℃ 実施例1 PET 50 50 0 あり なし 実施例2 PET 50 50 5 あり あり 比較例1 PET 50 50 0 なし なし 比較例2 PET 100 0 10 なし あり 比較例3 PET 0 100 0 あり なし
【0040】
【表2】 ヘイズ変 吸湿後 吸水率 吸水前後 耐熱性 鉛筆硬 可撓性 化率 (%) 感触 (%) 寸法変化 (℃) 度 屈曲性 実施例1 ○+ 0.23 ○良好 ○ 95 ○ 1.15 ○ 180 ○ H ○良好 実施例2 ○- 5.52 ○良好 ○ 93 ○ 1.13 ○ 200 ○ 2H ○良好 比較例1 ×+11.56 × #1 ×>200 × #3 ○ 200 ○ 2H ○良好 比較例2 ○+ 0.42 × #2 ×>200 × #3 × 110 × B ○良好 比較例3 ○+ 0.06 ○良好 △ <10 ○ 1.01 ○ 230 ○ 4H ×不良 (注)#1は、指を滑らせた際に引っ掛かりあり。 #2は、べたつきがあり、擦ると塗膜が取れる。 #3は溶解。
【0041】なお、基材フィルム(1) であるPETのみ
の吸湿前後のヘイズ変化は43.1%であった。また比較例
3は表2では性質が良好のように見えるが、アルギン酸
ソーダ(a2-1)単独の膜を塩化カルシウムでカルシウム塩
型に変換したものは、吸水性、吸湿性が小さいので防曇
性が不足する上、膜がごわごわして可撓性(屈曲性)を
著しく欠くため、防曇フィルムとしての適性を有しな
い。
【0042】実施例3〜6、比較例4〜5 カルボキシル基含有ビニルアルコール系ポリマー(a1)と
して、アクリル酸成分の含量が7重量%、ケン化度が9
8モル%のポリビニルアルコール−ポリアクリル酸ブロ
ック共重合体(a1-2)を用い、カルボキシル基含有天然高
分子(a2)としては上述のアルギン酸ソーダ(a2-1)、架橋
剤(a3)としては上述のメチロールメラミン系架橋剤(a3-
1)をそれぞれ用い、また多価金属イオン源として上述の
塩化カルシウムを用いたほかは、実施例1〜2の場合と
同様の実験を行った。条件を表3に、結果を表4に示
す。
【0043】
【表3】 基材フィ 防曇性薄層(2) の比率 浸透処理 熱処理 ルム(1) (a1-2):(a2-1):(a3-1) CaCl2 135℃ 実施例3 PET 60 40 0 あり あり 実施例4 PET 50 50 0 あり あり 実施例5 PET 30 70 0 あり あり 実施例6 PET 50 50 10 あり あり 比較例4 PET 50 50 0 なし なし 比較例5 PET 100 0 10 なし あり
【0044】
【表4】 ヘイズ変 吸湿後 吸水率 吸水前後 耐熱性 鉛筆硬 可撓性 化率 (%) 感触 (%) 寸法変化 (℃) 度 屈曲性 実施例3 ○+ 0.28 ○良好 ○ 104 ○ 1.19 ○ 180 ○ H ○良好 実施例4 ○- 3.22 ○良好 ○ 96 ○ 1.12 ○ 200 ○ 3H ○良好 実施例5 ○- 1.71 ○良好 ○ 78 ○ 1.08 ○ 210 ○ 2H ○良好 実施例6 ○- 5.30 ○良好 ○ 92 ○ 1.07 ○ 210 ○ 3H ○良好 比較例4 ×+10.77 × #4 ×>200 × #6 ○ 200 ○ H ○良好 比較例5 ○+ 0.74 × #5 ×>200 × #6 × 110 × B ○良好 (注)#4は、指を滑らせた際に引っ掛かりあり。 #5は、べたつきがあり、擦ると塗膜が取れる。 #6は溶解。
【0045】実施例7〜8、比較例6〜7 基材フィルム(1) の一例としての厚み30μm の二軸延
伸ポリプロピレンフィルム(OPP)の片面に、イソシ
アネート系アンカーコーティング剤による厚み約 0.3μ
m のアンカーコーティング層(ac)を形成した。カルボキ
シル基含有ビニルアルコール系ポリマー(a1)として、上
述のグラフト共重合体(a1-1)を用い、カルボキシル基含
有天然高分子(a2)としてペクチン(a2-2)を用い、架橋剤
(a3)としては上述のメチロールメラミン系架橋剤(a3-1)
を用いて後述の表5の処方の組成物(a) を調製し、また
多価金属イオン源として塩化バリウム(ただし、フィル
ムを濃度10重量%の塩化バリウム水溶液と25℃で5
分間接触)を用いて、実施例1〜2の場合と同様にし
て、基材フィルム(1) のアンカーコーティング層(ac)上
に厚み14μm の防気層(2) (合成高分子−天然高分子
組成物層(A) )を形成した。そしてその防気層(2) の面
に水性インクによる印刷を行って、印刷層(pt)を形成し
た。条件を表5に、結果を表6に示す。
【0046】
【表5】 基材フィ 防曇性薄層(2) の比率 浸透処理 熱処理 ルム(1) (a1-1):(a2-2):(a3-1) BaCl2 135℃ 実施例7 OPP 50 50 0 あり なし 実施例8 OPP 50 50 5 あり あり 比較例6 OPP 50 50 0 なし なし 比較例7 OPP 100 0 10 なし あり
【0047】
【表6】 ヘイズ変 吸湿後 吸水率 吸水前後 耐熱性 鉛筆硬 可撓性 化率 (%) 感触 (%) 寸法変化 (℃) 度 屈曲性 実施例7 ○- 2.45 ○良好 ○ 130 ○ 1.05 ○ 190 ○ 2H ○良好 実施例8 ○- 4.67 ○良好 ○ 125 ○ 1.04 ○ 190 ○ 3H ○良好 比較例6 ×+14.02 × #7 ×>200 × #9 ○ 180 ○ H ○良好 比較例7 ○+ 0.81 × #8 ×>200 × #9 × 110 × B ○良好 (注)#7は、指を滑らせた際に引っ掛かりあり。 #8は、べたつきがあり、擦ると塗膜が取れる。 #9は溶解。
【0048】
【発明の効果】本発明の防曇フィルムは、過度ではない
適度の吸水性を有し、吸水しても寸法変化がほとんどな
く、かつ吸収した水をすみやかに放出するので吸水性−
水放出性のバランスが良く、従って、高温高湿条件下で
も曇りや水滴を生ずることがない上、吸水状態でもフィ
ルムに波打ち・垂れ下がり・引きつり等の変形を生じが
たくかつ水滴汚染やべたつきの問題も生じがたく、しか
も耐熱性にすぐれており、さらには腰も強い。
【0049】このように本発明の防曇フィルムは高品質
であって、農業用フィルム、その他の防曇フィルムとし
ての適性を備えており、さらにはコスト的にも実用化に
耐えうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防曇フィルムの一例を模式的に示した
断面図である。
【符号の説明】
(1) …基材フィルム、 (2) …防曇性薄層、 (ac)…アンカーコート層、 (pt)…印刷層
フロントページの続き Fターム(参考) 4F073 AA05 BA02 BA17 BB01 EA01 EA11 EA55 EA60 EA76 4F100 AH02 AJ01B AJ06 AJ09 AK01A AK21B AK21J AK22B AK42 AK69B AL04 AL07B AR00B AT00A BA02 CA02B EH462 EJ05B EJ412 EJ82B EJ862 GB04 HB31 JD15 JJ03 JL04 JL07B YY00B 4J002 AB05X BE01W CC033 CC133 CM043 EL026 ER006 FD143 FD146 GA01 GF00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材フィルム(1) 面に防曇性薄層(2) を設
    けた防曇フィルムであって、前記防曇性薄層(2) が、カ
    ルボキシル基含有ビニルアルコール系ポリマー(a1)とカ
    ルボキシル基含有天然高分子(a2)との組成物(a) から形
    成された合成高分子−天然高分子組成物層(A) であっ
    て、その合成高分子−天然高分子組成物層(A) が多価金
    属イオン(i) により架橋されているものであることを特
    徴とする防曇フィルム。
  2. 【請求項2】合成高分子−天然高分子組成物層(A) が、
    該層の形成後に、多価金属イオン(i) の浸透により架橋
    されている請求項1記載の防曇フィルム。
  3. 【請求項3】組成物(a) が、多価金属イオン(i) 以外
    の、成分(a1)および/または成分(a2)に対する架橋剤(a
    3)を含んでいる請求項1または2記載の防曇フィルム。
  4. 【請求項4】組成物層(a) 中の成分(a1)と成分(a2)との
    割合が重量比で15:85〜85:15であり、成分(a
    1)および成分(a2)の合計量100重量部に対する架橋剤
    (a3)の割合が0〜30重量部である請求項1〜3のいず
    れか1つに記載の防曇フィルム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007186555A (ja) * 2006-01-12 2007-07-26 Hyogo Prefecture 諸特性を改善したプルラン組成物
JP2007237728A (ja) * 2005-07-29 2007-09-20 Asahi Glass Co Ltd 防曇性物品および防曇剤組成物
JP2008177549A (ja) * 2006-12-22 2008-07-31 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The 太陽電池用透明電極基板

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