JP2000127382A - インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置 - Google Patents

インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置

Info

Publication number
JP2000127382A
JP2000127382A JP29977298A JP29977298A JP2000127382A JP 2000127382 A JP2000127382 A JP 2000127382A JP 29977298 A JP29977298 A JP 29977298A JP 29977298 A JP29977298 A JP 29977298A JP 2000127382 A JP2000127382 A JP 2000127382A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink jet
pressure generating
recording head
jet recording
generating chamber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP29977298A
Other languages
English (en)
Inventor
Akira Matsuzawa
明 松沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP29977298A priority Critical patent/JP2000127382A/ja
Publication of JP2000127382A publication Critical patent/JP2000127382A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高密度でクロストークの少ないインクジェッ
ト式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置を提供す
る。 【解決手段】 ノズル開口に連通するシリコン単結晶
基板に形成された圧力発生室と、この圧力発生室の一部
を構成する振動板を介して前記圧力発生室に対向する領
域に薄膜及びリソグラフィ法により形成された圧電素子
とを備えたインクジェット式記録ヘッドにおいて、前記
圧力発生室は、ノズル開口21に連通する幅狭部13と
幅狭部13に連続して設けられた幅広部12とを具備す
ることによって圧力発生室同士を隔離する壁の剛性が高
くなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インク滴を吐出す
るノズル開口と連通する圧力発生室の一部に振動板を介
して圧電素子を形成して、圧電素子の変位によりインク
滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッド及びインク
ジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】インク滴を吐出するノズル開口と連通す
る圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧
電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧して
ノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式
記録ヘッドには、圧電素子が軸方向に伸長、収縮する縦
振動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、た
わみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの
2種類が実用化されている。
【0003】前者は圧電素子の端面を振動板に当接させ
ることにより圧力発生室の容積を変化させることができ
て、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反
面、圧電素子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛
歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた
圧電素子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必
要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
【0004】これに対して後者は、圧電材料のグリーン
シートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼
成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電素子を作
り付けることができるものの、たわみ振動を利用する関
係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困難
であるという問題がある。
【0005】一方、後者の記録ヘッドの不都合を解消す
べく、特開平5−286131号公報に見られるよう
に、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧
電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法に
より圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生
室毎に独立するように圧電素子を形成したものが提案さ
れている。
【0006】これによれば圧電素子を振動板に貼付ける
作業が不要となって、リソグラフィ法という精密で、か
つ簡便な手法で圧電素子を作り付けることができるばか
りでなく、圧電素子の厚みを薄くできて高速駆動が可能
になるという利点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、圧力発
生室を高密度で配列した場合、各圧力発生室間の隔壁の
厚さが小さくなることによって隔壁の剛性が不足し、各
圧力発生室間のクロストークが発生する。
【0008】一方、縦振動モードの圧電アクチュエータ
では、圧力発生室の振動板側に幅広部を設け、それ以外
の部分の圧力発生室の幅を小さくして隔壁の厚さを大き
くする構造が考えられているが、この場合には、圧力発
生室幅広部の加工や貼り合わせ等の作業が必要で作業性
及び精度が問題である。
【0009】本発明はこのような事情に鑑み、高密度且
つ各圧力発生室間のクロストークを低減したインクジェ
ット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置を提供
することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の第1の態様は、ノズル開口に連通するシリコン単結
晶基板に形成された圧力発生室と、この圧力発生室の一
部を構成する振動板を介して前記圧力発生室に対向する
領域に薄膜及びリソグラフィ法により形成された圧電素
子とを備えたインクジェット式記録ヘッドにおいて、前
記圧力発生室は、前記圧電素子側にあって当該圧電素子
を構成する圧電体能動部より幅広の幅広部と、この幅広
部より幅狭で当該幅広部と前記ノズル開口とを連通する
幅狭部とを有することを特徴とするインクジェット式記
録ヘッドにある。
【0011】かかる第1の態様では、幅狭部の間の隔壁
が各圧力発生室間の隔壁を構成するので、その厚さを大
きくすることができ、剛性を高めることができる。
【0012】本発明の第2の態様は、第1の態様におい
て、前記シリコン単結晶基板と前記振動板との間に設け
られて選択的にエッチング可能で且つ耐熱性のある犠牲
層の部分的除去部に前記圧力発生室の幅広部が形成され
ていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドに
ある。
【0013】かかる第2の態様では、犠牲層を選択的に
エッチングすることによって、圧力発生室の幅広部を容
易に形成することができる。
【0014】本発明の第3の態様は、第2の態様におい
て、前記犠牲層は、酸化シリコン、窒化シリコン及び金
属膜からなる群から選択されることを特徴とするインク
ジェット式記録ヘッドにある。
【0015】かかる第3の態様では、犠牲層としては耐
熱性があり且つ選択的にエッチングすることができる層
を選択できる。
【0016】本発明の第4の態様は、第2又は3の態様
において前記犠牲層の厚さは、0.1μmから100μ
mの間であることを特徴とするインクジェット式記録ヘ
ッドにある。
【0017】かかる第4の態様では、インクの吐出に必
要な体積を有する圧力発生室の幅広部を形成することが
できる。
【0018】本発明の第5の態様は、第2又は3の態様
において、前記犠牲層の厚さは、5μmから30μmの
間であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド
にある。
【0019】かかる第5の態様では、インクの吐出に適
した体積の圧力発生室の幅広部を形成することができ
る。
【0020】本発明の第6の態様は、第2〜5の何れか
の態様において、前記犠牲層をウェットサイドエッチン
グすることにより形成した前記部分的除去部を前記幅広
部とすることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド
にある。
【0021】かかる第6の態様では、圧力発生室の幅広
部を容易に形成できる。
【0022】本発明の第7の態様は、第2〜5の何れか
の態様において、前記犠牲層をウェットサイドエッチン
グ又はドライエッチングすることにより形成した前記部
分的除去部及び前記部分的除去部に隣接して前記シリコ
ン単結晶基板をドライエッチングすることにより形成さ
れたノッチ部を前記幅広部とすることを特徴とするイン
クジェット式記録ヘッドにある。
【0023】かかる第7の態様では、圧力発生室の幅広
部を容易に形成できる。
【0024】本発明の第8の態様は、第1〜7の何れか
の態様において、前記幅広部に対向する領域の前記振動
板上に設けられ且つ当該幅広部に対向する領域の幅方向
端部の前記振動板の振動を規制する振動板固定部材を具
備することを特徴とするインクジェット式記録ヘッドに
ある。
【0025】かかる第8の態様では、圧電素子の駆動に
より実際に駆動する振動板の幅を適正に調整することが
できる。
【0026】本発明の第9の態様は、第1〜8の何れか
の態様において、前記幅狭部の前記ノズル開口近傍に
は、当該幅狭部より幅広で且つ前記ノズル開口より幅広
の拡開部を有することを特徴とするインクジェット式記
録ヘッドにある。
【0027】かかる第9の態様では、インクを良好に吐
出することができる。
【0028】本発明の第10の態様は、第1〜9の何れ
かの態様において、前記圧力発生室の少なくとも幅狭部
が異方性エッチングにより形成されることを特徴とする
インクジェット式記録ヘッドにある。
【0029】かかる第10の態様では、圧力発生室の幅
狭部を比較的容易に製造することができる。
【0030】本発明の第11の態様は、第1〜10の何
れかの態様のインクジェット式記録ヘッドを具備するこ
とを特徴とするインクジェット式記録装置にある。
【0031】かかる第11の態様では、各圧力発生室の
隔壁の剛性を向上したインクジェット式記録装置を実現
することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下に本発明を実施形態に基づい
て詳細に説明する。
【0033】(実施形態1)図1は、本発明の実施形態
1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図
であり、図2は、要部平面図及びその1つの圧力発生室
の長手方向における断面構造を示す図である。
【0034】図示するように、流路形成基板10は、本
実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板か
らなる。流路形成基板10としては、通常、150〜3
00μm程度の厚さのものが用いられ、望ましくは18
0〜280μm程度、より望ましくは220μm程度の
厚さのものが好適である。これは、隣接する圧力発生室
間の隔壁の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるから
である。
【0035】流路形成基板10の一方の面は開口面とな
り、この面と他方の面には予め熱酸化により形成した厚
さ5〜30μmの二酸化シリコン層50及び55が形成
されている。
【0036】一方、流路形成基板10の開口面には、シ
リコン単結晶基板を異方性エッチングすることにより、
複数の隔壁により区画された圧力発生室の幅狭部13の
列が2列と、2列の幅狭部13の列の三方を囲むように
略コ字状に配列されたリザーバ15がそれぞれ形成され
ている。幅狭部13は長手方向の一方の端でリザーバ1
5に連通し、他方の端はノズル拡開部14を介してノズ
ル開口21に連通している。さらに、幅狭部13の深さ
方向の底部には、後述する幅広部12が連続的に設けら
れている。なお、リザーバ15の略中央部には、外部か
ら当該リザーバにインクを供給するためのインク導入孔
11が形成されている。
【0037】また、流路形成基板10の開口面側には、
ノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が接着
剤や熱溶着フィルム等を介して接着されている。なお、
ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.1〜1mm
で、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.
5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス、又は不
錆鋼などからなる。ノズルプレート20は、一方の面で
流路形成基板10を全面的に覆い、シリコン単結晶基板
を衝撃や外力から保護する補強板の役目も果たす。
【0038】ここで、インク滴吐出圧力をインクに与え
る圧力発生室の大きさと、インク滴を吐出するノズル開
口21の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出スピ
ード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、1イ
ンチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノズル
開口21は数十μmの直径で精度よく形成する必要があ
る。
【0039】一方、流路形成基板10の開口面とは反対
側の犠牲層として作用する二酸化シリコン層50の上に
は、厚さが例えば、約0.2〜0.5μmの下電極層6
0と、厚さが例えば、約1μmの圧電体層70と、厚さ
が例えば、約0.1μmの上電極層80とが、積層形成
されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電
素子300は、下電極層60、圧電体層70、及び上電
極層80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子30
0の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び
圧電体層70を各圧力発生室幅広部12毎にパターニン
グして構成する。そして、ここではパターニングされた
何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電
極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体
能動部320という。本実施形態では、下電極層60は
圧電素子300の共通電極とし、上電極層80を圧電素
子300の個別電極とし、各圧力発生室毎に圧電体能動
部320が形成されている。また、ここでは、圧電素子
300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる
弾性膜と合わせて圧電アクチュエータと称する。なお、
本実施形態では、下電極層60が弾性膜を兼ねているの
で、下電極層60が振動板として作用するが、下電極層
60と他の弾性膜とが振動板を構成するようにしてもよ
い。
【0040】ここで、シリコン単結晶基板からなる流路
形成基板10上に、圧電体層70等を形成するプロセス
を図3を参照しながら説明する。
【0041】図3(a)に示すように、まず、流路形成
基板10となるシリコン単結晶基板のウェハを約110
0℃の拡散炉で熱酸化して二酸化シリコン層50及び5
5を形成する。
【0042】次に、図3(b)に示すように、スパッタ
リングで下電極層60を形成する。この下電極層60の
材料としては、白金等が好適である。これは、スパッタ
リングやゾル−ゲル法で成膜する後述の圧電体層70
は、成膜後に大気雰囲気下又は酸素雰囲気下で600〜
1000℃程度の温度で焼成して結晶化させる必要があ
るからである。すなわち、下電極層60の材料は、この
ような高温、酸化雰囲気下で導電性を保持できなければ
ならず、殊に、圧電体層70としてチタン酸ジルコン酸
鉛を用いた場合には、酸化鉛の拡散による導電性の変化
が少ないことが望ましく、これらの理由から白金が好適
である。
【0043】次に、図3(c)に示すように、圧電体層
70を成膜する。本実施形態では、金属有機物を触媒に
溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、
さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体
層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて形成し
た。圧電体層70の材料としては、チタン酸ジルコン酸
鉛(PZT)系の材料がインクジェット式記録ヘッドに
使用する場合には好適である。なお、この圧電体層70
の成膜方法は、特に限定されず、例えば、スパッタリン
グ法で形成してもよい。
【0044】次に、図3(d)に示すように、上電極層
80を成膜する。上電極層80は、導電性の高い材料で
あればよく、イリジウム、アルミニウム、金、ニッケ
ル、白金等の多くの金属や、導電性酸化物等を使用でき
る。本実施形態では、白金をスパッタリングにより成膜
している。
【0045】その後、図3(e)に示すように、圧電体
層70及び上電極層80をエッチングして全体パターン
及び圧電体能動部320のパターニングを行う。なお、
図3(e)では幅広部12、幅狭部13及びノズル拡開
部14は形成前であるので点線で示す。
【0046】以上が膜形成プロセスである。このように
して膜形成を行った後、圧力発生室の幅広部12等を形
成する。
【0047】次に、シリコン単結晶基板の異方性エッチ
ングを行い、幅広部12等を形成するプロセスを図4を
参照しながら説明する。
【0048】図4(a)に示すように、流路形成基板1
0の開口面の二酸化シリコン層55をパターニングし、
幅狭部13を形成する領域に対応して貫通溝55aを形
成し、また、ノズル拡開部14を形成する領域に対応し
て薄膜部55bを形成する。
【0049】次に、図4(b)に示すように、パターニ
ングした二酸化シリコン層55をマスクとしてシリコン
単結晶基板10を異方性エッチングして圧力発生室の幅
狭部13及びノズル拡開部14を形成する。ノズル拡開
部14は、幅狭部13より幅広で且つ浅く形成され、幅
狭部13は、二酸化シリコン層50に達するまでエッチ
ングされる。異方性エッチングは、シリコン単結晶板を
水酸化カリウム等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々に
侵食されて(110)面に垂直な第1の(111)面
と、この第1の(111)面と約70度の角度をなし且
つ上記(110)面と約35度の角度をなす第2の(1
11)面とが出現し、(110)面のエッチングレート
と比較して(111)面のエッチングレートが約1/1
80であるという性質を利用して行われるものである。
かかる異方性エッチングにより、二つの第1の(11
1)面と斜めの二つの第2の(111)面とで形成され
る平行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工を行う
ことができ、幅狭部13及び拡開部14を高密度に配列
することができる。本実施形態では、各幅狭部13の長
辺を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面
で形成している。
【0050】次に、図4(c)に示すように、二酸化シ
リコン層50をウェットエッチングによって選択的にエ
ッチングして幅広部12を形成する。二酸化シリコン層
50は、シリコン単結晶基板及び下電極層60に対して
選択的にエッチングされる材質、例えば、シリコン酸化
膜、シリコン窒化膜及び金属膜ならばよく、ここでは、
二酸化シリコンを用いている。なお、幅広部12の幅方
向の大きさはエッチング時間の調整により行われ、幅広
部12の幅は、圧電体能動部320の幅よりも幅広とな
っている。
【0051】次に、図4(d)に示すように、ノズルプ
レート20を流路形成基板10の開口面に接着する。
【0052】なお、幅広部12等を形成するプロセスは
以上の方法に限定されない。次に、幅広部12等を形成
するプロセスの他の形態を図5及び図6を参照しながら
説明する。
【0053】図5(a)に示すように、流路形成基板1
0の開口面の二酸化シリコン層55をパターニングし、
幅狭部13を形成する領域に対応して貫通溝55aを形
成し、また、ノズル拡開部14を形成する領域に対応し
て薄膜部55bを形成する。
【0054】次に、図5(b)に示すように、シリコン
単結晶基板をドライエッチングして幅狭部13を形成す
る。このとき、幅狭部13の二酸化シリコン層50に接
する側には幅広のノッチ部16が形成される。
【0055】次に、図5(c)に示すように、二酸化シ
リコン層50をドライエッチングによって選択的にエッ
チングして幅広部12を形成する。幅広部12の幅方向
の大きさはエッチング時間の調整により行われ、幅広部
12の幅は、圧電体能動部320の幅よりも幅広となっ
ている。
【0056】次に、図6(a)に示すように、二酸化シ
リコン層55の薄膜部55bをエッチングで除去した
後、図6(b)に示すように、ノズル拡開部14をハー
フエッチングで所定の深さに形成する。
【0057】次に、図6(c)に示すように、ノズルプ
レート20を流路形成基板10の開口面に接着する。
【0058】このように形成した本実施形態のインクジ
ェット式記録ヘッドの要部を示す平面図及び断面図を図
7に示す。
【0059】本実施形態のインクジェット式記録ヘッド
は、図7(a)に示すように、下電極層60、圧電体層
70及び上電極層80からなる圧電素子300が圧力発
生室の幅広部12に対応する領域に設けられ、幅広部1
2に対向する領域で且つ周壁に接触しない領域に、圧電
体層70及び上電極層80からなる圧電体能動部320
が形成されている。ここで、図7(b)に示すように、
幅広部12は、圧電体能動部320よりも幅が大きく、
且つ各幅広部12間の隔壁が十分な厚さを有するように
幅方向の大きさが調整される。
【0060】また、犠牲層50の膜厚は、0.1μmか
ら100μmの間であり、さらに好ましくは、5μmか
ら30μmの間である。これは、所定のインク吐出を行
うために十分な体積の幅広部12を形成するためであ
る。
【0061】一方、幅狭部13の幅W Aは、好ましくは
圧電体能動部320の幅W B以下すなわち、W A≦W B
関係となるように形成されている。これは、幅狭部13
の間の隔壁を十分な剛性があるようにするためである。
【0062】また、幅狭部13の幅とノズル開口21の
直径との関係は特に限定されないが、幅狭部13の幅W
Aがノズル開口21の直径と同等又はそれより小さい場
合には、上述した実施形態のようにノズル開口21の直
径より幅広のノズル拡開部14を設けるのが好ましい。
なお、ノズル拡開部14は、上述したようにノズル開口
21に対応する領域のみに設けてもよいが、幅狭部13
の長手方向に亘って設けてもよい。勿論、幅狭部13の
幅よりノズル開口21の直径が十分小さい場合にはノズ
ル拡開部14は設ける必要はない。
【0063】このような本実施形態では、有効にインク
滴を吐出することができ、且つ各圧力発生室間の隔壁の
剛性を十分高くすることができる。
【0064】以上説明した一連の膜形成及び異方性エッ
チングは、一枚のウェハ上に多数のチップを同時に形成
し、プロセス終了後、図1に示すような一つのチップサ
イズの流路形成基板10毎に分割する。また、分割した
流路形成基板10を、ノズルプレート20と接着して一
体化し、インクジェット式記録ヘッドとする。その後、
ホルダー30に固定し、キャリッジに搭載され、インク
ジェット式記録装置に組み込まれる。
【0065】このように構成したインクジェットヘッド
は、図示しない外部インク供給手段と接続したインク導
入孔11からインクを取り込み、リザーバ15をインク
で満たした後、図示しない外部の駆動回路からの記録信
号に従い、下電極層60と上電極層80との間に電圧を
印加し、下電極層60及び圧電体層70をたわみ変形さ
せることにより、圧力発生室内の圧力が高まりノズル開
口21からインク滴が吐出する。
【0066】(実施形態2)図8は、実施形態2に係る
インクジェット式記録ヘッドの要部断面図である。
【0067】本実施形態は、圧力発生室形成後に、下電
極層60上に振動板固定部材90を接着したものであ
る。
【0068】実施形態1では、圧電素子能動部320の
幅方向両側で振動板として作用する下電極層60の幅は
圧力発生室の幅広部12の幅方向の寸法により決定され
る。この寸法は二酸化シリコン層50をエッチングする
時間によって調整するため、正確に規定することが難し
いが、本実施形態はこの点を改善するものである。
【0069】すなわち、本実施形態は、幅広部12に対
向する領域の幅方向端部の下電極層60の振動を振動板
固定部材90で規制して、圧電体能動部320の幅方向
両側で振動板として作用する下電極層60の幅をより正
確に規定することにより、圧電アクチュエータの特性の
均一化を図ったものである。
【0070】振動板固定部材90は、材質及び形状等は
特に限定されるものではなく、下電極層60を有効に固
定できるものであればよい。また、振動板固定部材90
が各圧電素子300を封止する封止部材を兼ねてもよ
い。
【0071】(他の実施形態)以上、本発明の各実施形
態を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的
構成は上述したものに限定されるものではなく、材料、
構造等の変更は自由である。
【0072】例えば、上述した実施形態では、流路形成
基板10に圧力発生室と共にリザーバ15を形成してい
るが、共通インク室を形成する部材を流路形成基板10
に重ねて設けてもよい。
【0073】このように構成したインクジェット式記録
ヘッドの部分断面を図9に示す。この実施形態では、ノ
ズル開口21が穿設されたノズルプレート20と流路形
成基板10との間に、封止板40、共通インク室形成板
41、薄肉板42及びインク室側板43が挟持され、こ
れらを貫通するように、圧力発生室の幅狭部13とノズ
ル開口21とを連通するノズル連通口44が配されてい
る。すなわち、封止板40、共通インク室形成板41お
よび薄肉板42とで共通インク室45が画成され、各幅
狭部13と共通インク室45とは、封止板40に穿設さ
れたインク連通孔46を介して連通されている。また、
封止板40には供給インク室45に外部からインクを導
入するためのインク導入孔47も穿設されている。ま
た、薄肉板42とノズルプレート20との間に位置する
インク室側板43には共通インク室45に対向する位置
に貫通部48が形成され、インク滴吐出の際に発生する
ノズル開口21と反対側へ向かう圧力を、薄肉板42が
吸収するのを許容するようになっており、これにより、
他の圧力発生室に、共通インク室45を経由して不要な
正又は負の圧力が加わるのを防止することができる。な
お、薄肉板42と共通インク室形成板41とは一体に形
成されてもよい。
【0074】このように、本発明は、その趣旨に反しな
い限り、種々の構造のインクジェット式記録ヘッドに応
用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット式記
録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドを示す図であり、図1の要部平面図及び要部断
面図である。
【図3】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す断面
図である。
【図4】本発明の実施形態1の圧力発生室形成工程を示
す断面図である。
【図5】本発明の実施形態1の他の形態の圧力発生室形
成工程を示す断面図である。
【図6】本発明の実施形態1の他の形態の圧力発生室形
成工程を示す断面図である。
【図7】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの要部平面図及び断面図である。
【図8】本発明の実施形態2に係るインクジェット式記
録ヘッドの要部断面図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係るインクジェット式
記録ヘッドを示す要部断面図である。
【符号の説明】
10 流路形成基板 12 幅広部 13 幅狭部 14 ノズル拡開部 20 ノズルプレート 21 ノズル開口 50,55 二酸化シリコン層 60 下電極層 70 圧電体層 80 上電極層 300 圧電素子 320 圧電体能動部

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノズル開口に連通するシリコン単結晶基
    板に形成された圧力発生室と、この圧力発生室の一部を
    構成する振動板を介して前記圧力発生室に対向する領域
    に薄膜及びリソグラフィ法により形成された圧電素子と
    を備えたインクジェット式記録ヘッドにおいて、 前記圧力発生室は、前記圧電素子側にあって当該圧電素
    子を構成する圧電体能動部より幅広の幅広部と、この幅
    広部より幅狭で当該幅広部と前記ノズル開口とを連通す
    る幅狭部とを有することを特徴とするインクジェット式
    記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記シリコン単結晶
    基板と前記振動板との間に設けられて選択的にエッチン
    グ可能で且つ耐熱性のある犠牲層の部分的除去部に前記
    圧力発生室の幅広部が形成されていることを特徴とする
    インクジェット式記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記犠牲層は、酸化
    シリコン、窒化シリコン及び金属膜からなる群から選択
    されることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項2又は3において、前記犠牲層の
    厚さは、0.1μmから100μmの間であることを特
    徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項2又は3において、前記犠牲層の
    厚さは、5μmから30μmの間であることを特徴とす
    るインクジェット式記録ヘッド。
  6. 【請求項6】 請求項2〜5の何れかにおいて、前記犠
    牲層をウェットサイドエッチングすることにより形成し
    た前記部分的除去部を前記幅広部とすることを特徴とす
    るインクジェット式記録ヘッド。
  7. 【請求項7】 請求項2〜5の何れかにおいて、前記犠
    牲層をウェットサイドエッチング又はドライエッチング
    することにより形成した前記部分的除去部及び前記部分
    的除去部に隣接して前記シリコン単結晶基板をドライエ
    ッチングすることにより形成されたノッチ部を前記幅広
    部とすることを特徴とするインクジェット式記録ヘッ
    ド。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7の何れかにおいて、前記幅
    広部に対向する領域の前記振動板上に設けられ且つ当該
    幅広部に対向する領域の幅方向端部の前記振動板の振動
    を規制する振動板固定部材を具備することを特徴とする
    インクジェット式記録ヘッド。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8の何れかにおいて、前記幅
    狭部の前記ノズル開口近傍には、当該幅狭部より幅広で
    且つ前記ノズル開口より幅広の拡開部を有することを特
    徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9の何れかにおいて、前記
    圧力発生室の少なくとも幅狭部が異方性エッチングによ
    り形成されることを特徴とするインクジェット式記録ヘ
    ッド。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10の何れかのインクジェ
    ット式記録ヘッドを具備することを特徴とするインクジ
    ェット式記録装置。
JP29977298A 1998-10-21 1998-10-21 インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置 Pending JP2000127382A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29977298A JP2000127382A (ja) 1998-10-21 1998-10-21 インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29977298A JP2000127382A (ja) 1998-10-21 1998-10-21 インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000127382A true JP2000127382A (ja) 2000-05-09

Family

ID=17876784

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29977298A Pending JP2000127382A (ja) 1998-10-21 1998-10-21 インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000127382A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6910272B2 (en) 2001-02-14 2005-06-28 Seiko Epson Corporation Method of manufacturing an ink jet recording head
JP2011020442A (ja) * 2009-06-17 2011-02-03 Canon Inc 液体吐出ヘッドの製造方法
JP2013146882A (ja) * 2012-01-18 2013-08-01 Seiko Epson Corp 液体噴射ヘッド、及び、液体噴射装置
JP2014113796A (ja) * 2012-12-12 2014-06-26 Seiko Epson Corp 液体噴射ヘッド、液体噴射装置
JP2018130913A (ja) * 2017-02-16 2018-08-23 セイコーエプソン株式会社 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6910272B2 (en) 2001-02-14 2005-06-28 Seiko Epson Corporation Method of manufacturing an ink jet recording head
JP2011020442A (ja) * 2009-06-17 2011-02-03 Canon Inc 液体吐出ヘッドの製造方法
JP2013146882A (ja) * 2012-01-18 2013-08-01 Seiko Epson Corp 液体噴射ヘッド、及び、液体噴射装置
JP2014113796A (ja) * 2012-12-12 2014-06-26 Seiko Epson Corp 液体噴射ヘッド、液体噴射装置
JP2018130913A (ja) * 2017-02-16 2018-08-23 セイコーエプソン株式会社 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2002103618A (ja) インクジェット式記録ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット式記録装置
JP3725390B2 (ja) インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JP3555653B2 (ja) インクジェット式記録ヘッド及びその製造方法
JP2000246888A (ja) インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JP2001260357A (ja) インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JP2001096745A (ja) インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JPH11300971A (ja) インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JP3610811B2 (ja) インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JP2000127382A (ja) インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JP2000141644A (ja) インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JP2000263785A (ja) アクチュエータ装置及びその製造方法並びにインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JP2000246898A (ja) インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JPH11309867A (ja) インクジェット式記録ヘッドの製造方法
JP3531553B2 (ja) インクジェット式記録ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット式記録装置
JPH11291495A (ja) インクジェット式記録ヘッド及びその製造方法
JPH11235818A (ja) インクジェット式記録ヘッド
JP2002059555A (ja) インクジェット式記録ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット式記録装置
JP2000085133A (ja) インクジェット式記録ヘッドの製造方法
JP3690098B2 (ja) インクジェット式記録ヘッド
JP2000006395A (ja) インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JPH11300961A (ja) インクジェット式記録ヘッド及びその製造方法
JP2000052550A (ja) インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JP2004066537A (ja) 液体噴射ヘッドの製造方法
JP2000006396A (ja) インクジェット式記録ヘッド及びその駆動方法並びにインクジェット式記録装置
JP3365486B2 (ja) インクジェット式記録ヘッドおよびその製造方法並びにインクジェット式記録装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Effective date: 20041019

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20041027

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Effective date: 20041215

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050420