JP2000121029A - 排ガス処理方法および装置 - Google Patents

排ガス処理方法および装置

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JP2000121029A
JP2000121029A JP10295847A JP29584798A JP2000121029A JP 2000121029 A JP2000121029 A JP 2000121029A JP 10295847 A JP10295847 A JP 10295847A JP 29584798 A JP29584798 A JP 29584798A JP 2000121029 A JP2000121029 A JP 2000121029A
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Japan
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exhaust gas
bag filter
slaked lime
spraying
reaction
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JP10295847A
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English (en)
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Keizo Hamaguchi
敬三 浜口
Hiroshi Osada
容 長田
Toru Shiomitsu
徹 塩満
Atsushi Hirayama
敦 平山
Susumu Ayukawa
将 鮎川
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 飛灰処理を念頭に入れてダイオキシンの低減
を図ることが可能な効果的な排ガス処理方法及び装置を
提供する。 【解決手段】 有害成分を含む排ガスを130〜180
℃に冷却する減温塔1と、減温塔1により冷却された排
ガス中の煤塵をろ過式集塵するバグフィルタ2と、バグ
フィルタ2により煤塵を除去した排ガスに消石灰を噴霧
する消石灰噴霧装置3aを備え、消石灰噴霧装置3aか
らの消石灰により排ガス中の酸性成分を除去するための
反応バグフィルタ3とを備えたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は都市ごみ焼却施設、
可燃性廃棄物処理施設、金属精錬工場等から排出される
有害成分を含む排ガスを無害化する排ガス処理方法およ
び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】都市ごみや産業廃棄物を焼却処理する過
程や、金属精錬工場などで可燃性の付着物を含むスクラ
ップを予熱、溶解する際に排出される排ガスには、煤
塵、塩化水素等の酸性成分、窒素酸化物、水銀等の重金
属、ダイオキシン類およびその前駆物質など、さまざま
な有害物質が含まれている。これらの有害物質の内、塩
化水素(HCl)や硫黄酸化物(SOx)などの酸性成
分は、消石灰粉を排ガス中に吹き込んで、乾式反応塔な
どで中和反応により除去する方法がしばしば採用されて
いる。
【0003】図8は、上記の従来技術の一例を示す図
で、焼却炉またはボイラからの排ガスを冷却装置として
の減温塔101で冷却し、消石灰粉を消石灰噴霧装置1
06から中和反応塔110へ噴霧し、冷却された排ガス
と消石灰粉とを中和反応塔110内で混合して排ガス中
の酸性成分を除去し、排ガス中の煤塵(飛灰)および中
和反応生成物をバグフィルタ102で集塵除去する方法
で、集塵除去された排ガスは、必要に応じて脱硝処理さ
れた後、煙突から排出される。
【0004】近年、社会問題となっている毒性の強い微
量有害物質であるダイオキシン類は、その低減方法とし
て、例えば、焼却炉の燃焼管理による発生抑制、排ガス
温度管理による再合成防止、触媒による酸化分解、吸着
剤による吸着除去などにより処理されている。
【0005】また、ごみ焼却施設からは排ガス中のダイ
オキシンだけでなく、バグフィルタなどの集塵機から排
出される飛灰にもダイオキシンが含まれており、飛灰中
のダイオキシン処理も近年の大きな課題となっている。
【0006】飛灰中のダイオキシンは、飛灰を300〜
500℃程度で加熱脱塩素処理する方法、1200℃以
上で溶融処理する方法等が提案されている。排ガス中の
HCl、SOxの酸性成分を除去し、処理困難な飛灰の
発生量を低減し、溶融処理を容易にするための方法とし
て、次の方法が開示されている。
【0007】特開平5−71724に開示される方法
は、排ガスを冷却する工程、第一バグフィルタで煤塵
(飛灰)を除去する工程、煤塵除去後の排ガスを反応塔
で中和する工程、次いで中和された反応生成物を第二バ
グフィルタで除去する工程からなる排ガス処理方法であ
る。
【0008】図9は上記排ガス処理方法を実施する排ガ
ス処理装置の構成を示す図である。なお、図9におい
て、図8と同一機能を有する部分には同一符号を付す。
焼却炉やボイラからの排ガスを冷却装置としての減温塔
1で冷却し、排ガス中の煤塵(飛灰)を第一バグフィル
タ102aで除塵し、続いて消石灰噴霧装置106によ
り中和剤としての消石灰を中和反応塔110に噴霧し
て、該反応塔内で消石灰が排ガスと混合する過程で排ガ
ス中の酸性成分を中和し、続いて反応生成物を第二バグ
フィルタ102bで除塵する排ガス処理方法である。排
ガスに含まれる煤塵(飛灰)は第一バグフィルタ102
aでほとんどが除塵されるため、時に処理困難とされる
第二バグフィルタ102bから排出される飛灰の量を低
減する作用がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図9に
示す処理方法は、第一バグフィルタ102aから排出さ
れる飛灰が消石灰(中和剤)を含んでいないので、スラ
グの性状が安定するなど溶融処理が容易となる利点を有
するが、以下の問題点が生じていた。
【0010】すなわち、排ガスを冷却する工程におい
て、排ガスをどの程度まで冷却すればよいかが明確にさ
れていないので、ダイオキシンの発生が最も少ない温度
に設定することができなかった。
【0011】また、第一バグフィルタ102aで飛灰を
除去したあとの中和工程は、第二バグフィルタ102b
の前段の中和反応塔110にてなされるため、排ガスと
消石灰粉を混合させるための反応塔の設置スペースが無
視できない。つまり、反応塔を設置するために、より多
くの敷地が必要となるといった問題点を有していた。
【0012】さらに、第一バグフィルタ102aに導入
される排ガスはHClやSOxの酸性成分を多く含むた
め、第一バグフィルタ102a内は酸性となり、排ガス
中の水分や第1バグフィルタ102a内の低温領域形成
のため、第一バグフィルタ102a内壁などの酸腐食を
誘発する恐れがあった。
【0013】本発明は以上の問題点を解決するためにな
されたものであり、飛灰処理を念頭に入れてダイオキシ
ンの低減を図ることが可能な効果的な排ガス処理方法お
よび装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
有害成分を含む排ガスを130℃〜180℃に冷却し、
冷却された排ガス中の煤塵をろ過式集塵手段により除去
し、煤塵除去された排ガスに消石灰を噴霧して排ガス中
の酸性成分を除去することを特徴とする排ガス処理方法
である。
【0015】排ガスを130〜180℃に冷却するの
で、ダイオキシン発生量を効果的に抑えられる。180
℃を越える温度で、例えば通常の電気集塵機の運転温度
である250〜350℃程度とすると、この場合、近年
の公知の事実であるようにダイオキシン類の再合成が盛
んになることが知られており適当でない。180〜25
0℃であっても、本発明者らの研究により程度は小さい
が200℃付近でのダイオキシン再合成が観測されてお
り、望ましくない。一方、本発明者らは、180℃以下
とすることにより、ダイオキシンの再合成がほぼ皆無で
ある事実をつきとめた。このようなことから、排ガスの
冷却温度は180℃以下が適当で、該180℃とした。
また、130℃未満とすると、排ガス中の酸性成分が酸
露点に達して装置の腐食を誘発するので、たとえダイオ
キシンの発生が少なくとも運転上、好ましくない。ま
た、350℃以上とすると、バグフィルタで用いられる
ろ布の耐熱温度を越えてしまうので、好ましくない。以
上から、排ガスを130〜180℃に冷却することによ
り、装置の安定運転を維持しながらダイオキシン類の再
合成を確実に防ぐことが可能である。
【0016】後段の反応バグフィルタでは、消石灰噴霧
によりバグハウス内で消石灰と排ガス中の酸性成分が混
合し、中和反応が起こるとともに、反応生成物はろ布に
より除塵される。また、酸性成分と反応をなさなかった
消石灰粉は、逆洗されるまでの一定の時間集塵され、ろ
布に堆積している間に酸性成分と中和反応を完了させ
る。すなわち、反応バグフィルタでは、中和反応の直後
集塵する形態、集塵後中和反応がなされる形態、集塵お
よび中和反応が同時になされる形態、の複合型の反応
が、明確に区別できない態様でほぼ同時に生じており、
これら反応がバグハウス内で効果的に行われている。こ
のため、反応バグフィルタと称している。したがって、
前述したような、バグフィルタ102または第二バグフ
ィルタ102bの前段で中和反応塔110により中和反
応を略完了させてから、反応生成物を除塵する従来技術
の方法とは区別されなければならない。
【0017】また、反応バグフィルタはろ布の堆積層
(反応層)の保持が不可欠であり、これには、例えば、
逆洗間隔等を調整することにより差圧を100mmAq
程度に維持することが効果的である。一方、前述の従来
技術におけるバグフィルタ102および第二バグフィル
タ102bは中和反応塔により中和反応が略完了した反
応生成物を略除塵するのみなので、差圧の調整は特に必
要でなく、集塵した煤塵を素早く系外から排出するのが
望まれる。
【0018】また、反応バグフィルタは、粉体を供給す
るための粉体供給ダクト、バグハウスおよび逆洗装置全
体とを含んだ構成となっている。したがって、消石灰噴
霧による中和反応と反応生成物の除塵をひとつの反応器
(すなわち、反応バグフィルタ)で行うことになるの
で、排ガスと消石灰粉を混合させるための中和反応塔な
どの中和手段を別に設置する必要がなく、敷地を節約で
き、コンパクトな構成となる利点を有する。
【0019】なお、反応バグフィルタにおける粉体供給
ダクトは、排ガス導入ダクトに設置するか(図5)、バ
グハウス外壁(図6,図7)に設置すればよい。
【0020】また、排ガス温度を冷却装置で130〜1
80℃に冷却するので、後段の反応バグフィルタ処理温
度が低く維持され、酸性成分の中和反応による除去効果
をより高める作用が付随的に得られる。
【0021】さらに、前段のバグフィルタで中和反応を
なさないまま、ダイオキシンや重金属を含む煤塵(飛
灰)が排ガスから分離されるので、バグフィルタから排
出される飛灰は、塩類やカルシウムの含有量が少なく、
以て電気抵抗式の溶融処理やセメント固化処理に適した
飛灰となる。前段のバグフィルタで排ガス中の煤塵をす
べて除去したので、後段の反応バグフィルタで集塵され
る粉体(飛灰)は中和反応から得られる反応生成物のみ
で略構成されるので、排出量が少なく、ダイオキシンや
重金属を微量に含んでいたとしても処理量が少ないため
有利である。
【0022】請求項2記載の発明は、請求項1記載のろ
過式集塵手段によりろ過式煤塵を行う前の排ガス中に、
またはろ過式集塵手段内に直接、防食剤として消石灰を
噴霧し、防食剤として噴霧する消石灰噴霧量は、前記酸
性成分を除去する際に噴霧する消石灰噴霧量の1/5以
下か、または酸性成分に対する当量比0.5以下とする
ことを特徴とする排ガス処理方法である。
【0023】ろ過式集塵手段としてのバグフィルタの上
流の煙道排ガス中、またはバグフィルタ内に直接、防食
剤として消石灰を噴霧するので、排ガス中に多く含まれ
るHCl、SOxの酸性成分によるバグフィルタ内壁の
酸腐食を未然に防ぐことが可能となる。防食剤として噴
霧した消石灰は、ろ布に到達する一方で、装置内壁や煙
道内壁に到達するものがあるので、内壁に到達した消石
灰は内壁にコーティングされ、排ガス中の酸性成分や部
分的な結露による内壁金属の浸食を阻止することが可能
となる。このときの消石灰の噴霧量は後段の反応バグフ
ィルタで中和剤として用いられる消石灰の噴霧量の1/
5以下または酸性成分に対する当量比0.5以下とする
ことが望ましい。
【0024】1/5(または酸性成分に対する当量比
0.5)を越える量とすると、前段のバグフィルタで中
和反応を積極的に行うこととなり、前段のバグフィルタ
から排出される反応生成物や未反応消石灰を含んだ飛灰
の量、すなわち廃棄処理量が多くなってしまう。また、
飛灰の廃棄処理が以下のように困難となるといった不具
合が生じる。
【0025】(1)未反応消石灰や塩化カルシウムなど
の反応生成物を多く含むと、飛灰を電気抵抗式の溶融固
化処理する際(飛灰処理装置の一例)に、塩化カルシウ
ムの溶融物が多量に生成され、これが分離して溶融塩層
を形成するので、電極間に流れる電流が溶融塩層に集中
する障害が発生し、溶融炉の操業が著しく阻害される。
【0026】(2)飛灰の廃棄処理として、セメント固
化処理を行う場合(飛灰処理装置の一例)は、固化物が
廃棄された後に固化物中の塩化カルシウムが溶解し、固
化物が徐々に崩壊してしまうので、有害な重金属などが
流出する恐れがある。
【0027】一方、消石灰噴霧量を1/5程度(または
酸性成分に対する当量比0.5程度)とした場合には、
概ね安定処理および安定操業が可能であることを確認し
た。
【0028】以上の理由から、消石灰噴霧量は後段の反
応バグフィルタで用いる消石灰量の1/5以下(または
酸性成分に対する当量比0・5以下)が望ましい。な
お、通常、ごみ焼却施設で酸性成分中和のために噴霧す
る消石灰の酸性成分に対する当量比は2〜4程度であ
り、この値の1/5は略、前記当量比0.5に相当す
る。
【0029】ここで、当量比とは、次の化学反応式など
から算定される消石灰(Ca( OH) 2 )理論必要量に
対する比のことである。
【0030】 2HCl+Ca( OH) 2 =CaCl 2 +2H2 O SO2 +Ca( OH) 2 =CaSO3 +H2 O SO3 +Ca( OH) 2 =CaSO4 +H2
【0031】バグフィルタ内の温度は請求項1記載の発
明より130℃が確保されて酸露点を回避しているの
で、当量に満たないごく少量の消石灰噴霧であっても、
バグフィルタ内が極端に酸性になることを避け、以て酸
腐食を回避できるので、防食剤としての役割を効果的に
発揮する。したがって、防食剤としての消石灰噴霧量の
下限値は特に規定しないが、酸性成分の濃度等を考慮し
て1/5(または当量比0.5)を越えない範囲で噴霧
することが望ましい。
【0032】また、防食剤として消石灰以外の公知の薬
剤を用いると、薬剤サイロが別個余分に必要になる問題
点や、噴霧した際に排ガス中の酸性成分と積極的に反応
しないため、後段の反応バグフィルタにおける酸性成分
除去の負担を軽減することができない問題点を有してい
る。したがって、反応バグフィルタで用いる消石灰を防
食剤として流用することにより、より簡便に防食効果を
得ることができる。
【0033】請求項3記載の発明は、請求項1又は請求
項2記載のろ過式集塵手段によりろ過式集塵を行う前の
排ガス中に、またはろ過式集塵手段内に直接、炭素系多
孔質粉体を噴霧して、排ガスに含まれる有害物質を除去
することを特徴とする排ガス処理方法である。なお、有
害物質とは、例えばダイオキシン等を指す。後述の請求
項4,7,8記載の発明における有害物質においても同
様である。
【0034】炭素系多孔質粉体は、賦活の程度にもよる
が一般に高比表面積を有するので、ダイオキシン等の有
機ハロゲン化合物や水銀を効率よく吸着除去できる。こ
の炭素系多孔質粉体をろ過式集塵装置としてのバグフィ
ルタの上流煙道またはバグフィルタ内に直接、噴霧する
ので、排ガスに微量に含まれる有害なダイオキシン等の
有機ハロゲン化合物を、煙道内またはバグフィルタ内の
ろ過集塵過程で吸着除去できる。バグフィルタから排出
される飛灰には炭素系多孔質粉体が混入するが、例え
ば、飛灰を加熱処理または溶融処理する際には、この飛
灰中の炭素系多孔質粉体が熱源となって、外部加熱によ
るエネルギーを削減することが可能となる。
【0035】請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求
項3の何れかに記載の、酸性成分を除去する際の消石灰
噴霧の際に、炭素系多孔質粉体を同時に噴霧して排ガス
に含まれる有害物質を除去することを特徴とする排ガス
処理方法である。
【0036】排ガス中のダイオキシン等の有機ハロゲン
化合物は、前段のろ過式集塵手段としてのバグフィルタ
により、ある程度の除去が可能である。すなわち、排ガ
スに含まれる飛灰は未燃炭素を含んでいるため、ダイオ
キシンをある程度吸着除去することができ、請求項3記
載の発明のように炭素系多孔質粉体を噴霧すれば、さら
にダイオキシンを効果的に除去することが可能である。
しかしながら、運転の諸事情により前段のバグフィルタ
で炭素系多孔質粉体を噴霧しない場合や、噴霧してもさ
らにダイオキシンの除去を完全に行う必要があるときに
は、後段の反応バグフィルタにて炭素系多孔質粉体を噴
霧することが望ましい。すなわち、消石灰噴霧と同時に
炭素系多孔質粉末を噴霧すれば、消石灰が反応バグフィ
ルタ内のろ布に堆積されるのと同様かつ同時に、炭素系
多孔質粉体もろ布に堆積されるので、排ガス中のダイオ
キシンと炭素系多孔質粉体が、反応バグフィルタ内およ
びろ布上で効果的に接触して、排ガス中のダイオキシン
が吸着除去されるとともに、もちろん排ガス中の酸性成
分も中和反応により除去される。
【0037】請求項5記載の発明は、請求項3または請
求項4記載の炭素系多孔質粉体が、比表面積が200m
2 /g以上の粉末活性炭であることを特徴とする排ガス
処理方法である。
【0038】前段のバグフィルタまたは後段の反応バグ
フィルタに噴霧する炭素系多孔質粉体として、比表面積
が200m2 /g以上の粉末活性炭を用いれば、吸着能
が大きいため、排ガス中の例えばダイオキシン等の微量
有害物質を効果的に吸着除去できる。比表面積が200
2 /g未満であると、所定の吸着効果を得るためには
多量の粉体を噴霧しなければならず、前段のろ過式集塵
手段または後段の反応バグフィルタから排出される廃棄
処理対象の飛灰の量が極端に多くなるため好ましくな
い。また、噴霧量を少なくすると、十分なダイオキシン
吸着除去が得られないので好ましくない。一方、200
2 /g程度の粉末活性炭であれば、噴霧量を例えば
0.2g/Nm3 として反応バグフィルタでの消石灰噴
霧量の1/10程度とごく少量で抑えることができ、か
つ十分なダイオキシン除去が得られることが、本発明者
らの調査で判明した。したがって、炭素系多孔質粉体と
して比表面積が200m2 /gの粉末活性炭を用いるこ
とが望ましい。
【0039】請求項6記載の発明は、有害成分を含む排
ガスを130〜180℃に冷却する冷却装置と、冷却装
置により冷却された排ガス中の煤塵をろ過式集塵するバ
グフィルタと、バグフィルタにより煤塵を除去した排ガ
スに消石灰を噴霧して排ガスを浄化するための消石灰噴
霧装置を備えた反応バグフィルタとを備えたことを特徴
とする排ガス処理装置である。
【0040】このような排ガス処理装置を排ガス処理施
設に敷設することにより、請求項1記載の発明方法を容
易に実施でき、請求項1記載の発明の作用効果を得るこ
とができる。
【0041】請求項7記載の発明は、請求項6記載のバ
グフィルタの上流に、防食剤としての消石灰および排ガ
スに含まれる有害物質を除去するための炭素系多孔質粉
体、またはいずれか一方を噴霧する粉体噴霧装置を設け
たことを特徴とする排ガス処理装置である。
【0042】このような排ガス処理装置を請求項6記載
の発明に敷設することにより、請求項1記載乃至請求項
3記載の発明の作用効果が相乗的に得られる。
【0043】請求項8記載の発明は、請求項6記載のバ
グフィルタが、防食剤としての消石灰および排ガスに含
まれる有害物質を除去するための炭素系多孔貿粉体、ま
たは何れか一方を噴霧する粉体噴霧装置を備えたバグフ
ィルタであることを特徴とする排ガス処理装置である。
【0044】このように消石灰や炭素系多孔質粉体の粉
体噴霧装置を請求項6記載の発明のバグフィルタに備え
ることにより、装置がコンパクトになる作用が得られ
る。同時に、請求項1記載乃至請求項3の何れかに記載
の発明の作用効果が相乗的に得られる。
【0045】請求項9記載の発明は、請求項6乃至請求
項8記載の何れかの反応バグフィルタにさらに炭素系多
孔質粉体噴霧装置を備えたことを特徴とする排ガス処理
装置である。
【0046】このように炭素系多孔質粉体噴霧装置を反
応バグフィルタに具備させることにより、装置がコンパ
クトになる作用が得られる。同時に、請求項1、請求項
4記載の発明の作用効果が相乗的に得られる。
【0047】
【発明の実施の形態】図1〜図4は、本発明の排ガス処
理方法および装置をごみ焼却処理施設に採用した場合の
一実施の形態を示す図である。図5〜図7は、消石灰や
活性炭の粉体をバグフィルタ(反応バグフィルタ)に噴
霧する際の粉体吹込口の設置位置を例示するバグフィル
タ(反応バグフィルタ)の斜視図である。ここで、1は
排ガス冷却装置としての、スプレーノズルによる水噴霧
式の減温塔、2はろ過式集塵手段としてのバグフィル
タ、3は後述の消石灰噴霧装置からの消石灰により、バ
グフィルタ2からの排ガスを中和反応させるとともに、
除塵して浄化する反応バグフィルタ、3aは反応バグフ
ィルタ3に付属し、反応バグフィルタ3へ消石灰を噴霧
する消石灰噴霧装置、3bは反応バグフィルタ3に付属
し、反応バグフィルタ3へ活性炭を噴霧する活性炭噴霧
装置、5は飛灰処理装置、6はバグフィルタ2上流の煙
道またはバグフィルタ2に直接、消石灰を噴霧する消石
灰噴霧装置、7はバグフィルタ2上流の煙道またはバグ
フィルタ2に直接、活性炭を噴霧する活性炭噴霧装置、
8は中和剤としての消石灰・活性炭混合物噴霧装置、1
1は排ガス導入ダクト、12はろ布、13は飛灰排出
部、14は排ガス排出ダクト、15はパルスジェット式
逆洗装置、16a〜cは粉体吹込口となる粉体供給ダク
ト、17はバグフィルタ本体(バグハウス)である。
【0048】以下、図1に基づいて排ガス処理フローの
概略を説明する。図1は、本願請求項1、請求項6の発
明を説明するための図である。焼却炉やボイラから排出
される200℃以上の排ガスは、減温塔1により、ダイ
オキシンの発生のごく少ない130〜180℃に調温・
冷却される。冷却された排ガスはバグフィルタ2に導入
され、排ガスに含まれる煤塵(飛灰)が除去される。バ
グフィルタ2を通過した排ガスは反応バグフィルタ3に
導入され、導入された排ガスの酸性成分と消石灰噴霧装
置3aから噴霧される消石灰とが反応バグフィルタ3内
で中和反応し、酸性成分が除去される。反応バグフィル
タ3を経た排ガスは、必要に応じて脱硝処理されたあと
(図示しない)、煙突から清浄ガスとして排出される。
一方、バグフィルタ2や反応バグフィルタ3から排出さ
れる飛灰は飛灰処理装置5にて別途無害化処理される。
なお、図1などにおいて、排ガスを誘引するための誘引
ファン、消石灰サイロ、その他周辺機器の図示は省略し
てある。
【0049】次に、本発明の一実施形態の詳細を説明す
る。減温塔1では、スプレーノズルからの水噴霧により
排ガスが130〜180℃に調温・冷却される。このよ
うに、排ガスを130〜180℃に冷却するので、ダイ
オキシン発生量が効果的に抑えられる。180℃を越え
る温度で、例えば通常の電気集塵機の運転温度である2
50〜350℃程度とすると、この場合、近年の公知の
事実であるようにダイオキシン類の再合成が盛んになる
ことが知られており適当でない。180℃を越え250
℃以下である温度であっても、本発明者らの研究により
程度は小さいが200℃付近でのダイオキシン再合成が
観測されており、望ましくない。一方、本発明者らは、
180℃以下とすることによりダイオキシンの再合成が
ほぼ皆無である事実をつきとめた。このようなことか
ら、排ガスの冷却温度は180℃以下が適当で、該18
0℃以下とした。また、130℃未満とすると、排ガス
中の酸性成分が酸露点に達して装置の腐食を誘発するの
で、たとえダイオキシンの発生が少なくとも運転上、好
ましくない。また、350℃以上とすると、バグフィル
タ2で用いられるろ布12の耐熱温度を越えてしまうの
で、好ましくない。以上から、排ガスを130〜180
℃に冷却することにより、装置の安定運転を維持しなが
らダイオキシン類の再合成を確実に防ぐことが可能であ
る。
【0050】130〜180℃に冷却するにあたり、図
1では排ガス冷却装置として水噴霧による減温塔1を用
いたが、エコノマイザなどの熱回収手段やその他の冷却
手段を用いるようにしても良く、この場合も同等の効果
が得られる。
【0051】水噴霧による減温塔を用いた場合には、微
細水摘の蒸発潜熱により排ガスを急冷することが可能で
あり、急冷によるダイオキシン低減効果が付加される利
点を有する。
【0052】130〜180℃に冷却された排ガスはバ
グフィルタ2内でダイオキシン類の再合成がなされない
まま除塵され、反応バグフィルタ3へ導入される。導入
された排ガスは、HClやSOx等の酸性成分を含んで
いるので、消石灰噴霧装置3aにより消石灰が反応バグ
フィルタ3へ噴霧されて中和処理がなされて浄化され
る。すなわち、反応バグフィルタ3では、消石灰噴霧に
より、バウハウス17内で消石灰と排ガス中の酸性成分
が混合して中和反応が起こるとともに、反応生成物がろ
布12により除塵される。また、酸性成分と反応をなさ
なかった消石灰粉は、逆洗されるまでの一定の時間集塵
され、ろ布12に堆積している間に酸性成分と中和反応
を完了させる。すなわち、反応バグフィルタ3では、中
和反応の直後集塵する形態、集塵後中和反応がなされる
形態、集塵および中和反応が同時になされる形態、の複
合型の反応が、明確に区別できない態様でほぼ同時に生
じており、これらの反応がバグハウス17内で効果的に
行われている。このため、反応バグフィルタと称してい
る。したがって、前述したような、バグフィルタ102
または第二バグフィルタ102bの前段で中和反応塔1
10により中和反応を略完了させてから、反応生成物を
除塵する従来技術の方法とは区別されなければならな
い。
【0053】また、反応バグフィルタ3はろ布12の堆
積層(反応層)の保持が不可欠で、これには、例えば、
逆洗間隔等を調整することにより差庄を100mmAq
程度に維持することが効果的である。一方、前述の従来
技術におけるバグフィルタ102および第二バグフィル
タ102bは中和反応塔110により中和反応が略完了
した反応生成物を略除塵するのみなので、差圧の調整は
特に必要でなく、集塵した煤塵を素早く系外から排出す
るのが望まれる。
【0054】また、反応バグフィルタ3は、粉体を供給
するための粉体供給ダクト16a〜16c、バグハウス
17およびパルスジェット式逆洗装置15全体を含んだ
構成となっている。したがって、消石灰噴霧による中和
反応と反応生成物の除塵をひとつの反応器(すなわち、
反応バグフィルタ3)で行うことになるので、排ガスと
消石灰粉を混合させるための中和反応塔などの中和手段
を別に設置する必要がなく、敷地を節約でき、コンパク
トな構成となる利点を有する。なお、反応バグフィルタ
3の粉体供給ダクト16a〜16cは、図5に示すよう
に、排ガス導入ダクト11に設置するか(図5)、バグ
ハウス17外壁に設置(図6,図7)すればよい。
【0055】また、排ガス温度を冷却装置で130〜1
80℃に冷却するので、後段の反応バグフィルタ処理温
度が低く維持され、酸性成分の中和反応による除去効果
をより高める作用が付随的に得られる。
【0056】さらに、前段のバグフィルタ2で中和反応
をなさないまま、ダイオキシンや重金属を含む煤塵(飛
灰)が排ガスから分離されるので、バグフィルタ2から
排出される飛灰は、塩類やカルシウムの含有量が少な
く、以て電気抵抗式の溶融処理やセメント固化処理に適
した飛灰となる。前段のバグフィルタ2で排ガス中の煤
塵をすべて除去したので、後段の反応バグフィルタ3で
集塵される粉体(飛灰)は中和反応から得られる反応生
成物のみで略構成されるので、排出量が少なく、ダイオ
キシンや重金属を微量に含んでいたとしても処理量が少
ないため有利である。
【0057】図2は、請求項2、請求項3および請求項
7記載の発明を説明するための図で、図1と同一の構成
部分は同一符号を付し、説明を省略する。消石灰噴霧装
置6により噴霧される消石灰粉は、減温塔1とバグフィ
ルタ2の間の煙道に吹き込まれ、煙道内やバグフィルタ
2の内壁にコーティングされるので、煙道内やバグフィ
ルタ2の内壁などの防食剤として機能する。防食剤とし
て消石灰を噴霧する際の噴霧量は、後段の反応バグフィ
ルタ3の消石灰噴霧量の1/5以下か、酸性成分に対す
る当量比0.5以下とすることが望ましい。
【0058】1/5(または酸性成分に対する当量比
0.5)を越える量とすると、前段のバグフィルタで中
和反応を積極的に行うこととなり、前段のバグフィルタ
2から排出される反応生成物や未反応消石灰を含んだ飛
灰の量、すなわち廃棄処理量が多くなってしまう。ま
た、飛灰の廃棄処理が以下のように困難となるといった
不具合が生じる。
【0059】(1)未反応消石灰や塩化カルシウムなど
の反応生成物を多く含むと、飛灰を電気抵抗式の溶融固
化処理する際(飛灰処理装置5の一例)に、塩化カルシ
ウムの溶融物が多量に生成され、これが分離して溶融塩
層を形成するので、電極間に流れる電流が溶融塩層に集
中する障害が発生し、溶融炉の操業が著しく阻害され
る。
【0060】(2)飛灰の廃棄処理として、セメント固
化処理を行う場合(飛灰処理装置5の一例)は、固化物
が廃棄された後に固化物中の塩化カルシウムが溶解し、
固化物が徐々に崩壊してしまうので、有害な重金属など
が流出する恐れがある。
【0061】一方、消石灰噴霧量を1/5程度(または
酸性成分に対する当量比0.5程度)とした場合には、
概ね安定処理および安定操業が可能であることを確認し
た。
【0062】以上の理由から、消石灰噴霧量は後段の反
応バグフィルタ3で用いる消石灰量の1/5以下(また
は酸性成分に対する当量比0.5以下)が望ましい。な
お、通常、ごみ焼却施設で酸性成分中和のために噴霧す
る消石灰の酸性成分に対する当量比は2〜4程度であ
り、この値の1/5は略、前記当量比0.5に相当す
る。
【0063】ここで、当量比とは、次の化学反応式など
から算定される消石灰(Ca( OH) 2)理論必要量に
対する比のことである。
【0064】 2HCl+Ca( OH) 2 =CaCl 2 +2H2 O SO2 +Ca( OH) 2 =CaSO3 +H2 O SO3 +Ca( OH) 2 =CaSO4 +H2
【0065】バグフィルタ2内の温度は請求項1記載の
発明より130℃が確保されて酸露点を回避しているの
で、当量に満たないごく少量の消石灰噴霧であっても、
バグフィルタ内が極端に酸性になることを避け、以て酸
腐食を回避できるので、防食剤としての役割を効果的に
発揮する。したがって、防食剤としての消石灰噴霧量の
下限値は特に規定しないが、酸性成分の濃度等を考慮し
て1/5(または当量比0.5)を越えない範囲で噴霧
することが望ましい。
【0066】また、防食剤として消石灰以外の公知の薬
剤を用いると、薬剤サイロが別個余分に必要になる問題
点や、噴霧した際に排ガス中の酸性成分と積極的に反応
しないため、後段の反応バグフィルタ3における酸性成
分除去の負担を軽減することができない問題点を有して
いる。したがって、反応バグフィルタ3で用いる消石灰
を防食剤として流用することにより、より簡便に防食効
果を得ることができる。
【0067】次に、活性炭噴霧装置7により噴霧される
炭素系多孔質粉体としての活性炭は、減温塔1とバグフ
ィルタ2の間の煙道に吹き込まれ、排ガス中のダイオキ
シンなどの微量有害物質を吸着除去する。
【0068】炭素系多孔質粉体は、賦活の程度にもよる
が一般に高比表面積を有するので、ダイオキシン等の有
機ハロゲン化合物や水銀を効率よく吸着除去できる。こ
の炭素系多孔貿粉体をろ過式集塵装置としてのバグフィ
ルタ2の上流煙道またはバグフィルタ2内に直接、噴霧
するので、排ガスに微量に含まれる有害なダイオキシン
等の有機ハロゲン化合物を、煙道内またはバグフィルタ
2内のろ過集塵過程で吸着除去できる。バグフィルタ2
から排出される飛灰には炭素系多孔質粉体が混入する
が、例えば、飛灰を加熱処理または溶融処理する際(飛
灰処理装置5の一例)には、この飛灰中の炭素系多孔質
粉体が熱源となって、外部加熱によるエネルギーを削減
することが可能となる。
【0069】図3は、請求項8記載の発明を説明するた
めの図で、特に、請求項2記載、請求項3記載の発明の
別の形態として、消石灰噴霧装置6および活性炭噴霧装
置7をバグフィルタ2に備え、バグフィルタ2内に直
接、粉体を噴霧するようにしたことを示す図である。な
お、前記両装置のうち何れか一方を備えるようにしても
良い。
【0070】このように備えられた消石灰噴霧装置6か
らの防食剤としての消石灰、活性炭噴霧装置7からの炭
素系多孔質粉体としての活性炭は、例えば図6に示すよ
うに、バグフィルタ本体17外壁であって、バグフィル
タ本体17と排ガス導入ダクト11との接続部分よりも
上部に設置された粉体供給ダクト16bからバグフィル
タ本体17に噴霧するか、図5に示すように、バグフィ
ルタ本体17の排ガス導入ダクト11に設置された粉体
供給ダクト16aから噴霧するか、図7に示すようにバ
グフィルタ本体17の外壁に設置され、複数に分岐され
た粉体供給ダクト16cから噴霧する。
【0071】図4は、請求項4、請求項7、請求項9記
載の発明を説明するための図である。
【0072】まず、請求項7記載の発明は、防食剤とし
ての消石灰および炭素系多孔質粉体としての活性炭を、
図4に示すように消石灰・活性炭混合物噴霧装置8によ
り予め混合させてから煙道に噴霧するようにしたもので
ある。なお、図示しないが、混合物をバグフィルタ2内
に直接噴霧してもよい。
【0073】次に、請求項4記載、請求項9記載の発明
は、中和剤としての消石灰を噴霧する消石灰噴霧装置3
aを備えた反応バグフィルタ3に、さらに炭素系多孔質
粉体としての活性炭を噴霧する活性炭噴霧装置3bを備
えたものである。
【0074】排ガス中のダイオキシン等の有機ハロゲン
化合物は、前段のバグフィルタ2により、ある程度の除
去が可能である。すなわち、排ガスに含まれる飛灰は未
燃炭素を含んでいるため、ダイオキシンをある程度吸着
除去することができ、請求項3記載の発明のように炭素
系多孔質粉体を噴霧すれば、さらにダイオキシンを効果
的に除去することが可能である。しかしながら、運転の
諸事情により前段のバグフィルタ2で炭素系多孔質粉体
を噴霧しない場合や、噴霧してもさらにダイオキシンの
除去を完全に行う必要があるときには、後段の反応バグ
フィルタ3にて炭素系多孔質粉体(活性炭など)を噴霧
することが望ましい。なぜなら、消石灰噴霧と同時に炭
素系多孔質粉末を噴霧すれば、消石灰が反応バグフィル
タ3内のろ布12に堆積されるのと同様かつ同時に、炭
素系多孔質粉体もろ布12に堆積されるので、排ガス中
のダイオキシンと炭素系多孔質粉体が、反応バグフィル
タ3内およびろ布12上で効果的に接触して、排ガス中
のダイオキシンが吸着除去されるとともに、もちろん排
ガス中の酸性成分も中和反応により除去されるからであ
る。
【0075】炭素系多孔質粉体としての活性炭噴霧装置
3bによる噴霧は、例えば、図5,図6,図7に示すと
おりであって、既に詳細は説明した通りである。
【0076】本発明の請求項3、請求項4、請求項7〜
請求項9記載の発明で用いる炭素系多孔質粉体は、比表
面積が200m2 /g以上の粉末活性炭であることが望
ましい。なぜなら、比表面積が200m2 /g以上の粉
末活性炭は、吸着能が大きいため排ガス中のダイオキシ
ン等の微量有害物質を効果的に吸着除去できるからであ
る。比表面積が200m2 /g未満であると、所定の吸
着効果を得るためには多量の粉体を噴霧しなければなら
ず、前段のバグフィルタ2または後段の反応バグフィル
タ3から排出される廃棄処理対象の飛灰の量(飛灰処理
装置5に供給される飛灰の量)が極端に多くなるため好
ましくない。また、噴霧量を少なくすると、十分なダイ
オキシン吸着除去が得られないので好ましくない。一
方、200m2 /g程度の粉末活性炭であれば、噴霧量
を例えば0.2g/ Nm3 として反応バグフィルタでの
消石灰噴霧量の1/10程度とごく少量で抑えることが
でき、かつ十分なダイオキシン除去が得られることが、
本発明者らの調査で判明した。したがって、炭素系多孔
質粉体として比表面積が200m2 /gの粉末活性炭を
用いることが望ましい。但し、噴霧量は処理前のダイオ
キシン濃度や除去程度により左右されるので一概には言
えないが、およそ0.01〜0.3g/Nm3の範囲の
噴霧量が適切である。
【0077】粉末活性炭はその製造方法として、泥炭
系、椰子殻系、木炭系があるが、何れの場合も効果はほ
とんど同じであり、空気搬送により活性炭噴霧装置内に
沈降することなく吹込が可能であれば粒度は特に問題と
しない。粉末活性炭等の炭素系多孔質粉体粉末の貯蔵サ
イロにおける粉塵爆発の回避を考慮して、炭素系多孔質
粉体は十分に揮発分を揮発される工程を含んで製造され
たもので、発火点が十分に高いものが好ましい。
【0078】本発明で用いる防食剤としての消石灰およ
び中和剤としての消石灰は、CaCO3 、CaOなどア
ルカリ性の粉体を用いても略同じ効果があるが、反応効
率や粉体の取扱い、価格を考慮して消石灰を用いるのが
好ましい。
【0079】本発明で用いる消石灰噴霧装置、活性炭噴
霧装置の粉体噴霧装置は、公知の装置を用いればよく、
例えば、空気搬送式のテーブルフイーダなど、粉体の供
給量を調整できて、供給変動の小さいものが好ましい。
また、消石灰噴霧装置は、防食剤として噴霧するライン
と、中和剤として反応バグフィルタ3に噴霧するライン
とを分岐させてもよいし、消石灰噴霧装置の消石灰切り
出し部分を2系列として別の搬送ラインで噴霧してもよ
く、活性炭噴霧装置の場合も同様であるが、これらの工
夫は運用上随時なされる。
【0080】本発明で用いるバグフィルタ2は、織布、
不織布、フェルト等をろ布12として用いた公知のバグ
フィルタでよく、何れであっても効果は同じである。
【0081】また、本発明で用いる逆洗方式は、パルス
ジェット式逆洗装置15によるパルスジェット式として
説明したが、送風式等であっても良く、この場合も効果
は同じである。
【0082】本発明で用いる減温塔1は、スプレーノズ
ルによる水噴霧式の冷却装置であるが、排ガスを130
〜180℃に冷却できれば、エコノマイザやその他の熱
回収手段、冷空気その他熱媒体による冷却手段でも良
く、この場合も同等の効果が得られる。
【0083】水噴霧式の減温塔である場合は、スプレー
ノズルに、微細な水滴が得られる二流体式スプレーノズ
ルや加圧式のスプレーノズルを用いれば、未蒸発水滴が
形成されずに、効果的な排ガス冷却が可能である。
【0084】以上、本発明の実施の形態をごみ焼却施設
に適用した場合について詳しく述べたが、本発明は燃焼
や加熱に伴って排出される排ガス中にダイオキシン等の
有機ハロゲン化合物が存在する場合に適用することがで
き、産業廃棄物など可燃性廃乗物やその他燃焼装置一般
から排出される排ガスや、金属精錬工場でスクラップを
予熱、溶解する際に排出される排ガスであっても、同じ
ように適用することができる。
【0085】なお、炭素系多孔質粉体で除去できる有害
物質としての有機ハロゲン化合物とは、厚生省により清
掃工場へのガイドラインが毒性換算値により指定されて
いるダイオキシン類、ダイオキシン類の前駆物質、関連
物質と称されるクロロベンゼン、クロロフェノールおよ
びPCB等や、塩素以外のハロゲン元素で一部が置換さ
れたこれら化学物質の総称である。さらに、ダイオキシ
ン類とは、ポリジペンゾバラジオキシンとポリジペンゾ
フランの総称であって、通常毒性換算濃度によって評価
されるものである。本明細書においては、簡単のため単
にダイオキシンと称している。
【0086】
【実施例】本発明に係わる排ガス処理方法をごみ焼却処
理施設に採用して得られた本発明の効果を示す実施例を
示す。表1は、本発明の請求項1記載の発明に基づいて
実施した実施例1と、請求項2記載の発明に基づいて実
施した実施例2と、請求項4記載の発明に基づいて実施
した実施例3と比較のための従来技術による比較例、の
4者について、排ガスのダイオキシンの濃度等について
調べた結果を示すものである。
【0087】
【表1】
【0088】なお、表1において、実施例での後段のバ
グフィルタとは、反応バグフィルタ3を指している。
【0089】実施例1は、図1の装置構成によるもの、
実施例2は図2の活性炭噴霧装置7を除いた構成による
もの、実施例3は図4の構成によるもの、比較例は図9
の構成によるものである。
【0090】本発明の実施例では冷却装置として二流体
ノズルを用いた水噴霧式の減温塔、バグフィルタ2およ
び反応バグフィルタ3にはパルスジェット式を採用し
た。なお、比較のため、排ガス処理量や処理前のHC
l、SOxの酸性成分濃度、焼却炉(説明略)の運転条
件等は略同じ条件とした。その他の条件は表1に記載し
たとおりである。
【0091】表1によれば、冷却装置により排ガスを1
30〜180℃の範囲内の170℃に冷却して前段のバ
グフィルタ2に導入した本発明の実施例は、実施例1、
2および3共に、200℃に冷却した比較例と比べる
と、煙突でのダイオキシン濃度が大幅に低い値となっ
た。実施例2は実施例1に対して防食剤としての消石灰
噴霧がなされたのみなので、実施例1と比べるとダイオ
キシン濃度にほとんど変化はなかった。実施例3は、前
段のバグフィルタと後段の反応バグフィルタ3に粉末活
性炭を噴霧したので、効果的にダイオキシンを除去で
き、その濃度は十分低い値となった。
【0092】酸性成分の代表としてHCl濃度をみる
と、トータルの消石灰噴霧量が当量比3で同じであるに
もかかわらず、3つの実施例は比較例と比較して低い濃
度となつた。これは温度を低くしたため、中和反応が効
率的に行われたからである。
【0093】また、実施例2および3の前段のバグフィ
ルタ2から排出される飛灰は、消石灰や活性炭を含んで
いるが、飛灰処理としての電気抵抗式溶融処理およびセ
メント固化処理に供したところ、問題なく処理できたこ
とを確認した。
【0094】
【発明の効果】本発明によれば、有害成分を含む排ガス
を冷却装置にてダイオキシンの発生のごく少ない130
〜180℃に冷却し、冷却された排ガス中の煤塵をバグ
フィルタにより除去し、反応バグフィルタで、煤塵除去
された排ガスに消石灰を噴霧して排ガス中の酸性成分を
除去するので、ダイオキシンの再合成を効果的に抑え、
後処理の容易な飛灰をバグフィルタから排出することが
でき、従来必要であった、中和反応のための中和反応塔
を省略しつつ、効率的に排ガス中の酸性成分を除去でき
る効果を有する。
【0095】さらに、防食剤として消石灰をバグフィル
タに所定量噴霧することにより、バグフィルタから排出
される飛灰を処理困難物にさせることなく、防食剤サイ
ロを新たに設置しない簡便な方法で、装置酸腐食の回避
を達成することができる。
【0096】また、さらに炭素系多孔質粉体としての活
性炭をバグフィルタまたは反応バグフィルタに噴霧する
ことにより、より一層確実なダイオキシンの低減が可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排ガス処理方法をごみ焼却処理施設に
採用した場合の一実施形態を表す図である。
【図2】本発明の排ガス処理方法をごみ焼却処理施設に
採用した場合の図1と別の実施形態を表す図である。
【図3】本発明の排ガス処理方法をごみ焼却処理施設に
採用した場合の図1、図2と別の実施形態を表す図であ
る。
【図4】本発明の排ガス処理方法をごみ焼却処理施設に
採用した場合の図1〜図3と別の実施形態を表す図であ
る。
【図5】バグフィルタに粉体を噴霧するための粉体吹込
口を例示するバグフィルタの斜視図である(第1例)。
【図6】バグフィルタに粉体を噴霧するための粉体吹込
口を例示するバグフィルタの斜視図である(第2例)。
【図7】バグフィルタに粉体を噴霧するための粉体吹込
口を例示するバグフィルタの斜視図である(第3例)。
【図8】本発明と比較のための、従来の排ガス処理方法
の一例を表す図である。
【図9】本発明と比較のための、従来の排ガス処理方法
の図6と別の一例を表す図である。
【符号の説明】
1 減温塔(冷却装置) 2 バグフィルタ 3 反応バグフィルタ 3a,6 消石灰噴霧装置 3b,7 活性炭噴霧装置 5 飛灰処理装置 8 消石灰・活性炭混合物噴霧装置 11 排ガス導入ダクト 12 ろ布 13 飛灰排出部 14 排ガス排出ダクト 15 パルスジェット式逆洗装置 16a〜c 粉体供給ダクト 17 バグフィルタ本体(バグハウス)
【手続補正書】
【提出日】平成10年11月13日(1998.11.
13)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】
【課題を解決するための手投】請求項1記載の発明は、
有害成分を含む排ガスを130℃〜180℃に冷却し、
冷却された排ガス中の煤塵をろ過式集塵手段により除去
し、煤塵除去された排ガスを反応バグフィルタに導入し
て、消石灰を噴霧するとともに前記排ガス中の酸性成分
を除去することを特徴とする排ガス処理方法である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 塩満 徹 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 平山 敦 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 鮎川 将 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 3K070 DA05 DA07 DA13 DA32 DA37

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有害成分を含む排ガスを130℃〜18
    0℃に冷却し、 冷却された排ガス中の煤塵をろ過式集塵手段により除去
    し、 煤塵除去された排ガスに消石灰を噴霧して前記排ガス中
    の酸性成分を除去することを特徴とする排ガス処理方
    法。
  2. 【請求項2】 前記ろ過式集塵手段によりろ過式煤塵を
    行う前の排ガス中に、またはろ過式集塵手段内に直接、
    防食剤として消石灰を噴霧し、 防食剤として噴霧する消石灰噴霧量は、前記酸性成分を
    除去する際に噴霧する消石灰噴霧量の1/5以下か、ま
    たは酸性成分に対する当量比0.5以下とすることを特
    徴とする請求項1記載の排ガス処理方法。
  3. 【請求項3】 前記ろ過式集塵手段によりろ過式集塵を
    行う前の排ガス中に、またはろ過式集塵手段内に直接、
    炭素系多孔質粉体を噴霧して、排ガスに含まれる有害物
    質を除去することを特徴とする請求項1または請求項2
    記載の排ガス処理方法。
  4. 【請求項4】 前記酸性成分を除去する際の消石灰噴霧
    の際に、炭素系多孔質粉体を同時に噴霧して排ガスに含
    まれる有害物質を除去することを特徴とする請求項1乃
    至請求項3の何れかに記載の排ガス処理方法。
  5. 【請求項5】 前記炭素系多孔質粉体は比表面積が20
    0m2 /g以上の粉末活性炭であることを特徴とする請
    求項3または請求項4記載の排ガス処理方法。
  6. 【請求項6】 有害成分を含む排ガスを130〜180
    ℃に冷却する冷却装置と、 該冷却装置により冷却された排ガス中の煤塵をろ過式集
    塵するバグフィルタと、 該バグフィルタにより煤塵を除去した排ガスに消石灰を
    噴霧して排ガスを浄化するための消石灰噴霧装置を備え
    た反応バグフィルタとを備えたことを特徴とする排ガス
    処理装置。
  7. 【請求項7】 前記バグフィルタの上流に、防食剤とし
    ての消石灰および排ガスに含まれる有害物質を除去する
    ための炭素系多孔質粉体、またはいずれか一方を噴霧す
    る粉体噴霧装置を設けたことを特徴とする請求項6記載
    の排ガス処理装置。
  8. 【請求項8】 前記バグフィルタは、防食剤としての消
    石灰および排ガスに含まれる有害物質を除去するための
    炭素系多孔貿粉体、または何れか一方を噴霧する粉体噴
    霧装置を備えたバグフィルタであることを特徴とする請
    求項6記載の排ガス処理装置。
  9. 【請求項9】 前記反応バグフィルタに、さらに炭素系
    多孔質粉体噴霧装置を備えたことを特徴とする請求項6
    乃至請求項8の何れかに記載の排ガス処理装置。
JP10295847A 1998-10-16 1998-10-16 排ガス処理方法および装置 Pending JP2000121029A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100478609B1 (ko) * 2002-07-29 2005-03-28 김정원 일체형 배출가스 정화장치
JP2010127597A (ja) * 2008-12-01 2010-06-10 Mitsui Eng & Shipbuild Co Ltd 処理対象物燃焼処理システム及び排ガス中の水銀除去方法

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JP2010127597A (ja) * 2008-12-01 2010-06-10 Mitsui Eng & Shipbuild Co Ltd 処理対象物燃焼処理システム及び排ガス中の水銀除去方法

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