JP2000120881A - メカニカルシ―ル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造工程を簡略化することによって製造コス
トを削減することができるメカニカルシールを提供す
る。 【解決手段】 本発明のメカニカルシールは、１つのス
ライドリングと１つの対向リングを有するメカニカルシ
ールであって、スライドリングと対向リングが、密封面
において互いに相対的に回転できるように、かつスプリ
ング力を加えられて軸方向予圧によって密封を行うよう
に接触し合い、スライドリングとこれに対して回転しな
いように配置されたハウジングが、軸方向に延伸してい
るベローズの両端面のそれぞれで密封されるように配置
されているメカニカルシールにおいて、ベローズ（８）
の一方の端面（６）がスライドリング（１）に、かつベ
ローズ（８）の他方の端面（７）がハウジング（５）
に、固着されることなく摩擦結合的及び／又は形状噛み
合い的に配置されていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、１つのスライドリ
ングと１つの対向リングを有するメカニカルシールに関
するものであって、このスライドリングとこの対向リン
グが、密封面において互いに相対的に回転できるよう
に、かつスプリング力すなわち弾性力を加えられて軸方
向予圧によって密封を行うように互いに接触し合い、さ
らにこのスライドリングとこれに対して回転しないよう
に配置されたハウジングが、軸方向に延伸しているベロ
ーズの両端面のそれぞれで密封するように配置されてい
る。

【０００２】

【従来の技術】このようなメカニカルシールは、EP 0 3
90 243 A2によって公知である。このメカニカルシール
では、ベローズの端面は、例えば溶接又は接着によって
固着されてスライドリング及びハウジングと結合されて
いる。このようなメカニカルシールは、経済的観点及び
生産技術的観点から、十分に満足できるものではない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、当初
述べた種類のメカニカルシールを、その製造工程を簡略
化することによって製造コストを著しく削減できるよう
に改善することである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記課題は、１つのスラ
イドリングと１つの対向リングを有するメカニカルシー
ルであって、スライドリングと対向リングが、密封面に
おいて互いに相対的に回転できるように、かつスプリン
グ力を加えられて軸方向予圧によって密封を行うように
接触し合い、スライドリングとこれに対して回転しない
ように配置されたハウジングが、軸方向に延伸している
ベローズの両端面のそれぞれで密封されるように配置さ
れているメカニカルシールにおいて、ベローズの一方の
端面がスライドリングに、かつベローズの他方の端面が
ハウジングに、固着されることなく摩擦結合的及び／又
は形状噛み合い的に配置されていることを特徴とするメ
カニカルシールによって解決される。本発明の有利な実
施形態に関しては、特許請求の範囲の従属請求項を参照
のこと。

【０００５】上記課題を解決するために本発明の範囲内
において、ベローズの一方の端面はスライドリングに、
そしてベローズの他方の端面はハウジングに、それぞれ
固着されることなく摩擦結合的及び／あるいは形状噛み
合い的に配置されるように設計されている。本願発明に
おいて摩擦結合的に配置するとは、例えば両部品間の接
触面に摩擦力を作用させて結合するように配置すること
である。また形状噛み合い的に配置するとは、両者の部
品が互いに噛み合うようにして結合するように配置する
ことである。例えばベローズの端面がスライドリング及
びハウジングをそれぞれクランプしている、すなわち挟
み込んでいるような配置によって、メカニカルシールの
遙かに簡略化された製造性、製造工程がもたらされる。
その他に修理の際に、メカニカルシールの個々の部品を
非常に簡単に交換できるという長所がある。例えばベロ
ーズ及び／又はスライドリングを交換せねばならない場
合、ベローズの端面領域で固着されていない結合、すな
わち摩擦による及び／又は形状噛み合いによる結合を簡
単に外し、交換すべき旧部品を取外し、その後新しい部
品を再び固着させずに取付けることができる。これによ
って修理費用は、最低限にまで削減される。

【０００６】本発明の有利な実施形態によれば、スライ
ドリングとベローズとの間の結合をポリマ材料からなる
第１支持リングを介して行うことができる。この第１支
持リングは、スライドリングの外周側を少なくとも部分
的に取り囲み、第１支持リングは、半径方向に間隔をあ
けてクランプリングによって取り囲まれ、このときこの
間隔によって形成された間隙内にベローズの一方の端面
すなわちベローズの第１端面が挟み込まれて、これによ
ってベローズの第１端面が位置決めされ、密封される。
このとき第１支持リングはその断面形状がアングル状、
Ｌ字状、角の張った形状であるように形成される。第１
支持リングは、ポリマ材料、例えばＦＫＭ（フッ素重合
体）から構成され、これによって多くの場合カーボンか
ら構成されるスライドリングが、ベローズの第１端面及
び／又は多くの場合金属から構成されるクランプリング
と、直接的に接触しない。これはメカニカルシールにと
って有利な点である。なぜならば、脆性があって、すな
わち弾力がなくてもろい、したがって傷みやすい、損傷
を受けやすいこのようなスライドリングは、第１支持リ
ングを使用することによって、寿命を短くする高い機械
的局部負荷から十分に保護されるからである。これによ
ってメカニカルシールは、長い期間にわたって変わるこ
とのない優れた使用特性を示す。

【０００７】第１支持リングは、ポリマ材料によって完
全に取り囲まれている補強材を備えることが望ましい。
この補強材は、多くの場合はスチール製であり、このよ
うな完全な被覆によって、すなわち補強材が完全にポリ
マ材料によって取り囲まれることによって、例えば密封
すべき流体による腐食から補強材は保護される。この補
強材は、第１支持リングの剛性を大きくさせる機能を有
し、それによって相互に密封すべき各空間の間の密封性
が改善される。

【０００８】第１支持リングは、スライドリングの、対
向リングから離れた方の端面を追加的に実質上完全に覆
うことができる。このような実施形態によって、スライ
ドリングと第１支持リングとの間の密封面積が著しく増
大し、その結果優れた静的密封が得られる。第１支持リ
ングによってスライドリングを大きな面積にわたって覆
うことによって、スライドリングの傷みやすい表面が十
分に保護される。

【０００９】ベローズの他方の端面すなわちベローズの
第２端面は、ハウジングの軸方向フランジの外側を取り
囲むことができ、この第２端面を、半径方向予圧のもと
で保持リングによって挟み込むことができる。このとき
ハウジングの軸方向フランジとベローズの第２端面との
間に密封手段を追加的に配置しないことが望ましい。保
持リングによって軸方向フランジを有する端面に半径方
向の予圧をかけることは、設計上の観点からすれば、部
品に軸方向の予圧をかけるよりも簡単である。その他に
ベローズの運動が軸方向においてベローズの端面、軸方
向フランジ及び保持リングの各相対的配置に影響を及ぼ
さないことはメカニカルシールの長所として挙げること
ができる。

【００１０】クランプリングと保持リングは、それぞれ
１つの半径方向突起を備えることが望ましい。このとき
この半径方向突起の互いに向かい合う側は、圧縮スプリ
ングによる弾性的軸方向予圧のもとで、それぞれ圧縮ス
プリングと互いに接触している。これによってベローズ
と圧縮スプリングは、機能工学的に並列回路で配置され
る。つまり機能的にベローズと圧縮スプリングは並列に
配置され、しかも同方向に弾性力を作用させるように配
置される。スライドリングと対向リングの間の軸方向予
圧がもっぱらベローズそれ自体によってもたらされてい
るメカニカルシールでは、幅広い温度範囲において変わ
ることのない優れた使用特性を示すことができず、この
点で十分に満足されるものではない。ベローズの材料
は、まず第一に密封すべき流体に関連して選択されねば
ならず、この材料は特殊鋼、高級鋼であるのが望まし
い。ベローズのスプリング力は、その構造に応じてメカ
ニカルシールの所定の用途にわたって一定ではない。よ
って優れた密封を保証するために、追加的な圧縮スプリ
ングを設けることが必要であって、この圧縮スプリング
も同様に特殊鋼製であることが望ましい。ベローズと圧
縮スプリングを機能技術的に分離することによってそれ
ぞれの用途の所与条件に各部品を最適に適合させること
ができる。

【００１１】対向リングは、スライドリングに向かう方
向で軸方向に開いた従動リングの溝状切取り部内に、ポ
リマ材料からなる中間の第２支持リングを介して配置す
ることができる。このときこの従動リングは、密封すべ
き軸に対して回転しないように固定されている。第２支
持リングは、第１支持リングと同様にＦＭＫ製であるの
が望ましく、多くの場合炭化けい素から構成される対向
リングと金属材料から構成される従動リングとの間のパ
ッキンとして主に機能する。その他に対向リング及び／
又は従動リングの製造公差は、第２支持リングによって
補償することができる。第２支持リングは、第１支持リ
ングと同様にその断面形状がアングル状に形成されてい
るのが望ましく、対向リングの外周面及び対向リングの
スライドリングから離れた方の端面を完全に覆っている
のが望ましい。

【００１２】

【発明の実施の形態】本発明に基づくメカニカルシール
の１つの実施例が、以下において模式的に表した図をも
とにして説明されている。

【００１３】図１にはメカニカルシールの１つの実施例
が示されていて、このメカニカルシールは例えば自動車
のガソリンポンプに使用されているものである。

【００１４】メカニカルシールは、カーボン製の１つの
スライドリング１から構成され、このスライドリング１
は、その平坦な密封面３によって炭化けい素からなる対
向リング２の密封面４に、軸方向予圧のもとで弾性的か
つ密封的に支持されている。密封すべき流体を参照番号
26で示す。

【００１５】スライドリング１も、対向リング２も、そ
れぞれの外周側及びその互いに離れているそれぞれの端
面13、25の領域を、それぞれ断面形状がアングル状の第
１及び第２支持リング９、21によって取り囲まれてい
る。第１及び第２支持リング９、21は、それぞれ一様な
材料から形成され、本実施例においてはどちらもＦＫＭ
から製造されている。また本実施例においては、断面形
状がアングル状の第１支持リング９は、その内部にスチ
ール製の補強材12を備えている。

【００１６】ベローズ８及び圧縮スプリング20等のメカ
ニカルシールの金属部品は、本実施例ではそれぞれ密封
すべき流体26に対して耐久性のある特殊鋼で製造されて
いる。

【００１７】メカニカルシールの機能に関しては以下に
説明を行う。

【００１８】本実施例では、対向リング２、第２支持リ
ング21及び従動リング23は、予め組み立てられたユニッ
トを形成し、このユニットは密封すべき軸24に対して回
転しないように結合されている。従動リング23は、スラ
イドリング１に向かう方向で軸方向に開く溝状切り取り
部22を有し、この溝状切り取り部22内で対向リング２が
第２支持リング21を介して配置される。

【００１９】同様にスライドリング１、第１支持リング
９、クランプリング10、ベローズ８、ハウジング５並び
に保持リング15と圧縮スプリング20も互いに回転しない
ように配置されている。本実施例においては、クランプ
リング10及び保持リング15は、それぞれ半径方向突起16
及び17を備え、半径方向突起16及び17の互いに向かい合
う面18及び19が、圧縮スプリング20の弾性的軸方向予圧
のもとで、それぞれ圧縮スプリング20の端部と接してい
る。

【００２０】圧縮スプリング20とベローズ８は、互いに
機能工学的な並列回路に配列され、スライドリング１及
び対向リング２の密封面３及び４を軸方向で互いに接触
させ、弾性的に押し付けている。

【００２１】本実施例においては、ベロ−ズ８の第１端
面６は第１支持リング９を介してスライドリング１に、
そしてベロ−ズ８の第２端面７はハウジング５に、それ
ぞれ固着されずに、もっぱら摩擦結合的に配置される。
より詳細には、スライドリング１とベローズ８の第１端
面６は第１支持リング９を介して結合し、第１支持リン
グ９はクランプリング10によって半径方向に間隔をもっ
て取り囲まれ、その間隔内にベローズ８の第１端面６が
挟み込まれている。またベローズ８の第２端面７が、ハ
ウジング５の軸方向フランジ14の外側を取り囲み、第２
端面７は半径方向予圧のもとで保持リング15によって挟
み込まれている。ベローズ８の端面６、７が、第１支持
リング９及びハウジング５をもっぱらクランプする、も
しくは挟み込んで締め付けることによって、メカニカル
シールの組立も分解も遙かに簡略化される。

【００２２】

【発明の効果】本発明によるメカニカルシールは、１つ
のスライドリング（１）と１つの対向リング（２）を有
するメカニカルシールであって、スライドリング（１）
と対向リング（２）が、互いに密封面（３、４）ととも
に相対的に回転できるように、かつスプリング力を加え
られて軸方向予圧によって密封を行うように接触し合
い、スライドリング（１）とこれに対して回転しないよ
うに配置されたハウジング（５）が、軸方向に延伸して
いるベローズ（８）の両端面（６、７）のそれぞれで密
封されるように配置される。ベローズ（８）の一方の端
面（６）はスライドリング（１）に、かつベローズ
（８）の他方の端面（７）はハウジング（５）に、固着
されることなく摩擦結合的及び／あるいは形状噛み合い
的に配置されている。このような構成により、簡略化さ
れた製造性、製造工程がもたらされる。例えば修理の際
に、メカニカルシールの個々の部品を非常に簡単に交換
することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に基づくメカニカルシールの１つの実施
例を模式的に表した図である。

【符号の説明】

１ スライドリング ２ 対向リング ３ スライドリングの密封面 ４ 対向リングの密封面 ５ ハウジング ８ ベローズ ９ 第１支持リング 10 クランプリング 12 補強材 15 保持リング 20 圧縮スプリング 21 第２支持リング 23 従動リング 24 シャフト 26 密封すべき流体

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 １つのスライドリングと１つの対向リン
   グを有するメカニカルシールであって、 該スライドリングと該対向リングが、密封面において互
   いに相対的に回転できるように、かつスプリング力を加
   えられて軸方向予圧によって密封を行うように接触し合
   い、該スライドリングとこれに対して回転しないように
   配置されたハウジングが、軸方向に延伸しているベロー
   ズの両端面のそれぞれで密封されるように配置されてい
   るメカニカルシールにおいて、 前記ベローズ（８）の一方の端面（６）がスライドリン
   グ（１）に、かつ前記ベローズ（８）の他方の端面
   （７）がハウジング（５）に、固着されることなく摩擦
   結合的及び／又は形状噛み合い的に配置されていること
   を特徴とするメカニカルシール。
2. 【請求項２】 前記スライドリング（１）と前記ベロー
   ズ（８）の間の結合が、ポリマ材料からなる第１支持リ
   ング（９）を介して行われ、該第１支持リング（９）が
   前記スライドリング（１）の外周側を少なくとも部分的
   に取り囲み、さらに前記第１支持リング（９）がクラン
   プリング（10）によって半径方向に間隔をあけて取り囲
   まれ、かつ該間隔によって形成された間隙（11）内に前
   記ベローズ（８）の前記一方の端面（６）が挟み込まれ
   ている、請求項１に記載のメカニカルシール。
3. 【請求項３】 前記第１支持リング（９）が、ポリマ材
   料によって完全に取り囲まれている補強材（12）を備え
   る、請求項２に記載のメカニカルシール。
4. 【請求項４】 前記第１支持リング（９）が、対向リン
   グ（２）から遠い方のスライドリング（１）の端面（1
   3）を追加的に実質上完全に覆っている、請求項２又は
   ３に記載のメカニカルシール。
5. 【請求項５】 前記ベローズ（８）の前記他方の端面
   （７）が、ハウジング（５）の軸方向フランジ（14）の
   半径方向外側を取り囲み、前記他方の端面（７）が、半
   径方向予圧のもとで保持リング（15）によって挟み込ま
   れている、請求項１〜４のいずれか１項に記載のメカニ
   カルシール。
6. 【請求項６】 前記クランプリング（10）と前記保持リ
   ング（15）が、それぞれ１つの半径方向突起（16、17）
   を備え、かつ該半径方向突起（16、17）の互いに向かい
   合う側（18、19）が、圧縮スプリング（20）による弾性
   的軸方向予圧のもとで、それぞれ該圧縮スプリング（2
   0）と互いに接触し合っている、請求項２〜５のいずれ
   か１項に記載のメカニカルシール。
7. 【請求項７】 前記ベローズ（８）と前記圧縮スプリン
   グ（20）が、機能工学的に並列回路として配置されてい
   る、請求項１〜６のいずれか１項に記載のメカニカルシ
   ール。
8. 【請求項８】 前記対向リング（２）が、スライドリン
   グ（１）に向かう方向で軸方向に開いた従動リング（2
   3）の溝状切取り部（22）内に、ポリマ材料からなる第
   ２支持リング（21）を介して配置され、かつ該従動リン
   グ（23）が、密封すべき軸（24）に対して回転しないよ
   うに固定されている、請求項１〜７のいずれか１項に記
   載のメカニカルシール。
9. 【請求項９】 前記ベローズ（８）が特殊鋼からなる、
   請求項１〜８のいずれか１項に記載のメカニカルシー
   ル。