JP2000119864A - クロメート処理溶融めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

クロメート処理溶融めっき鋼板の製造方法

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JP2000119864A
JP2000119864A JP10292029A JP29202998A JP2000119864A JP 2000119864 A JP2000119864 A JP 2000119864A JP 10292029 A JP10292029 A JP 10292029A JP 29202998 A JP29202998 A JP 29202998A JP 2000119864 A JP2000119864 A JP 2000119864A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】クロメート本来の機能を損なうことなく、多機
能なクロメート皮膜を、Znを30%以上含む溶融めっ
き鋼板上に安価に形成する方法を提供する。 【解決手段】Znを30重量%以上含む溶融めっきを施した
鋼板表面にクロメート処理を行う際に、クロメート処理
液中の成分として、クロム酸とクロム酸還元生成物を含
み、処理液のpHが1 〜4 であり、シリカゾル、アルミナ
ゾル、チタニアゾル、水溶性樹脂、水分散性樹脂、及び
エマルジョン樹脂の群から選択された1 種あるいは2 種
以上を含み、且つ下記(1) 式を満たす処理液を鋼板に塗
布し、次いで誘導加熱により昇温速度:25℃/秒以上
で、到達板温:80〜280 ℃に加熱する。0.99≧B/(A+B)
≧0.4 …(1) 但し、A:クロム酸重量をCrO3 換算と
した総重量、B:シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾ
ル、有機樹脂の重量をSiO2、Al23 、TiO
2 、CH2 換算とした総重量。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に、重量%でZ
nを30%以上含む溶融めっき表面にクロメート処理を
施した鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、Zn,Zn−Al系合金めっき鋼
板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板等のZnを30%以上含
むめっき表面機能を高める目的で、従来の防食のみを目
的としたクロメート処理から、多機能を有するクロメー
ト処理の必要性が高くなってきている。例えば、クロメ
ートに塗装性を付与する目的に対しては、特開昭52−
17340号公報等に示すようにヒュームドシリカをク
ロメート液中に添加する場合、また加工時の擦り傷を防
止する目的に対しては特公平4−2672号公報等に示
すように樹脂をクロメート液中に添加する場合がある。
これらは、無機酸化物、あるいは有機樹脂をクロメート
液中に添加することにより、クロム酸では期待できない
特性を添加物の特性により補うことによりクロメート皮
膜の機能性を高めるものである。
【0003】しかし、添加物量が多くなることにより、
逆にクロメート皮膜としての基本的な機能が阻害される
場合がある。すなわち、添加物を一定以上添加すること
により、クロメート皮膜とめっきとの密着性が低下し、
クロメート皮膜とめっきとの界面で剥離が生じやすくな
る。その結果、剥離した部分でクロメート皮膜の機能が
発揮できず、基本的な機能である耐食性が低下する。こ
の現象は、我々の検討において、シリカゾル、アルミナ
ゾル、チタニアゾル、水溶性樹脂、水分散性樹脂、及び
エマルジョン樹脂の中から選択された1種、あるいは2
種以上を含むものであり、クロム酸重量をCrO3 換算
とした総重量をAとし、シリカゾル、アルミナゾル、チ
タニアゾル、有機樹脂の重量をSiO2 ,Al23
TiO2,CH2 換算とした総重量をBとし、B/(A
+B)≧0.4を満たす処理液で顕著に生じる。特に、
溶融めっき鋼板においては、電気めっきと比べてめっき
表面がミクロ的に平滑であり、アンカー効果が期待でき
ないため顕著に生じる。我々が検討した中で剥離を生じ
にくくする手段として、クロメート中のクロム酸に対す
るクロム酸還元生成物の比率を多くすることは有効な手
段であり、通常Cr還元率25〜70%のクロメート処
理液を用いることにより向上させることが有効である
が、溶融めっきにおいて、特にめっき中のPb,Sn等
が100ppm以下の溶融めっきにおいては十分な効果
が得られない。
【0004】その対策として、特公昭56−36869
号公報等に示されているようにCo,あるいはNi等の
Znより貴な金属をクロメート前に付着させ、Znとク
ロメートとの密着性を向上させ、塗料密着性を向上させ
る手段が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特公昭
56−36869号公報等の方法は、処理工程が増加
し、製造コストの観点からは望ましくない。また、Zn
より貴な金属を付着させることによりめっきの耐食性が
低下するという問題がある。本発明の目的は、かかる事
情に鑑み、クロメート前処理を施さずに、クロメート本
来の機能を損なうことなく、多機能なクロメート皮膜
を、Znを30%以上含む溶融めっき鋼板上に安価に形
成する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決し目的を
達成するために、本発明は以下に示す手段を用いてい
る。 (1)本発明の製造方法は、重量%で、Znを30%以
上含む溶融めっきを施した鋼板表面にクロメート処理を
行い、クロメート処理溶融めっき鋼板を製造する方法に
おいて、クロメート処理は、クロメート処理液中の成分
として、クロム酸とクロム酸還元生成物を含有し、さら
に、シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル、水溶性
樹脂、水分散性樹脂、及びエマルジョン樹脂の群から選
択された1種あるいは2種以上を含有し、且つ下記
(1)式を満たし、pHが1〜4である処理液を、前記
溶融めっき鋼板に塗布する工程と、クロメート処理液が
塗布された溶融めっき鋼板を、誘導加熱により昇温速
度:25℃/秒以上で、到達板温:80〜280℃に加
熱する工程と、を備えたことを特徴とした、クロメート
皮膜の密着性に優れたクロメート処理溶融めっき鋼板の
製造方法である。
【0007】 0.99≧B/(A+B)≧0.4 …(1) 但し、A:クロム酸重量をCrO3 換算とした総重量、
B:シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル、有機樹
脂の重量をそれぞれSiO2 、Al23 、TiO2
CH2 換算とした総重量。 (2)本発明の製造方法は、前記処理液塗布工程におい
て、鋼板上に塗布されるクロメート処理液中の水分量
が、2〜20g/m2 であることを特徴とした、上記
(1)に記載のクロメート皮膜の密着性に優れたクロメ
ート処理溶融めっき鋼板の製造方法である。
【0008】(3)本発明の製造方法は、前記処理液塗
布工程において、塗布工程侵入板温を50℃以下にする
ことを特徴とした、上記(1)または(2)に記載の外
観均一性及びクロメート皮膜の密着性に優れたクロメー
ト処理溶融めっき鋼板の製造方法である。
【0009】(4)本発明の製造方法は、前記鋼板加熱
工程で誘導加熱された鋼板を、空冷あるいは水冷ロール
により冷却することを特徴とした、上記(1)乃至
(3)のいずれかに記載の外観均一性及びクロメート皮
膜の密着性に優れたクロメート処理溶融めっき鋼板の製
造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明者らは、クロメート本来の
機能を損なうことなく、多機能なクロメート皮膜を、Z
nを30%以上含む溶融めっき鋼板上に安価に形成する
方法を得るために、鋭意研究を重ねた。その結果、クロ
メート前処理を施さずに、めっきとの密着性に優れた多
機能なクロメート皮膜をめっき鋼板上に形成するために
は、無機酸化物あるいは有機樹脂を添加したクロメート
処理液を塗布した溶融めっき鋼板を、誘導加熱により、
板から加熱することが有効であるという知見が得られ
た。
【0011】この知見に基づき、本発明者らは、Znを
30%以上含む溶融めっき鋼板上に、クロメート液中に
無機酸化物または/かつ有機樹脂を添加した処理液の組
成、pH、及び塗布水分量を一定範囲内に調整したクロ
メート処理液を塗布し、誘導加熱により板から加熱する
ようにして、クロメート前処理を施さずに、クロメート
本来の機能を損なうことなく、多機能なクロメート皮膜
を、Znを30%以上含む溶融めっき鋼板上に安価に形
成する方法を見出し、本発明を完成させた。
【0012】すなわち、本発明はクロメート処理溶融め
っき鋼板の皮膜及び製造条件を下記範囲に限定すること
により、クロメート皮膜の密着性及び外観均一性にも優
れたクロメート処理溶融めっき鋼板を安価に製造するこ
とができる。
【0013】以下、本発明のクロメート処理溶融めっき
鋼板の皮膜の限定理由、及び製造条件の限定理由につい
て説明する。 (1)クロメート処理溶融めっき鋼板の皮膜 a.被塗装鋼板 本発明は、重量%で、Znを30%以上含む溶融めっき
鋼板に対して有効であり、例えば、溶融Znめっき鋼
板、通称5%Al−Zn合金めっき鋼板、通称55%A
l−Znめっき鋼板、合金化溶融Znめっき鋼板があげ
られる。但し、電気Znめっき鋼板、電気Zn−Niめ
っき鋼板等への適用も可能である。
【0014】なお、Znを30%以上含む溶融めっきに
限定した理由は次のとおりである。 1)Zn30%以上 クロメート処理液中Cr6+はZnと反応し、クロメート
皮膜−めっき界面でCr3+主体の層を形成し、この層が
めっきとクロメート皮膜のバインダー層として寄与する
と考えられる。Zn30%未満では、誘導加熱を用いて
も反応が生じにくく、密着性に優れた皮膜を形成しにく
い。
【0015】2)溶融めっき 電気亜鉛めっきでは、めっき表面の酸化物が薄く、かつ
微細な凹凸が形成されているため、クロメート皮膜を密
着させることが可能であるが、溶融めっきでは、めっき
表面を安定な酸化物(Al23 等)で被覆されている
こと、かつ、平滑であることから、通常の方法でクロメ
ート皮膜を形成しても密着性に劣る皮膜となってしま
う。
【0016】b.クロメート皮膜 本発明では、上記の鋼板の表面に、クロメート処理液中
の成分として、クロム酸とクロム酸還元生成物を含有
し、さらに、シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾ
ル、水溶性樹脂、水分散性樹脂、及びエマルジョン樹脂
の群から選択された1種あるいは2種以上を含有し、且
つ下記(1)式を満たし、pHが1〜4であり、塗布水
分量が2〜20g/m2 である処理液を用いて、クロメ
ート皮膜を形成する。
【0017】 0.99≧B/(A+B)≧0.4 …(1) 但し、A:クロム酸重量をCrO3 換算とした総重量、
B:シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル、有機樹
脂の重量をSiO2 ,Al23 ,TiO2 ,CH2
算とした総重量。前述したように、上記の無機酸化物
(シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル)または/
かつ有機樹脂(水溶性樹脂、水分散性樹脂、エマルジョ
ン樹脂)をクロメート液中に上記(1)式を満たす範囲
で添加することにより、クロム酸では期待できない特性
(即ち、被塗装鋼板とのクロメート皮膜の密着性及び外
観均一性にも優れた特性)を添加物の特性により補うこ
とができ、その結果クロメート皮膜の機能性を高めるこ
とができる。
【0018】一方、上記の添加物を含有するクロメート
処理液の場合、従来技術では前述したように、クロメー
ト皮膜とめっきとの密着性が低下し、クロメート皮膜の
機能が発揮できず、基本的な機能である耐食性が低下す
るという問題があるが、本発明では、後述する誘導加熱
を用いた製造条件に限定することにより、クロメート前
処理を施さずに、クロメート本来の機能を損なうことな
く、多機能なクロメート皮膜を、上記した溶融めっき鋼
板上に安価に形成することが可能となるのである。
【0019】なお、本発明のクロム酸還元生成物につい
ての好適なクロム還元率の範囲は5%以上70%未満で
ある。5%未満ではクロム溶解性に劣り、70%以上で
は液安定性に劣るためである。望ましくは25〜50%
である。
【0020】また、本発明の好適なクロム付着量の範囲
は、金属クロム換算で4〜200mg/m2 である。4
mg/m2 未満では耐食性向上効果がほとんどなく、2
00mg/m2 超えでは著しい着色が生じ、かつクロム
溶解量も増加するためである。好ましくは7〜80mg
/m2 である。
【0021】次に塗布したクロメート処理液の水分量の
影響について述べる。鋼板表面に塗布した液の水分量が
2g/m2 未満では誘導加熱を用いてもめっきとCr6+
が十分に反応せず、十分な効果が得られない。好ましく
は、3g/m2 以上、最も好ましくは5g/m2 以上に
すべきである。また、20g/m2 超えではクロメート
が不均一に付着し、クロメートの機能性が低下する。好
ましくは15g/m2以下、最も好ましくは12g/m2
以下にすべきである。したがって、塗布する液の水分
量は2〜20g/m2 の範囲であり、更に好ましくは3
〜15g/m2、最も好ましくは5〜12g/m2 の範
囲にすることが必要である。
【0022】また、処理液のpHは1〜4にすべきであ
る。pH1未満では、機能化のために添加した無機酸化
物、あるいは樹脂が不安定となり、十分な機能を発揮で
きなくなる、あるいは塗布時にめっきとクロメートが激
しく反応し、過剰のZnがクロメート処理液中に混入
し、処理液の劣化を招く。また、処理液のpHが4を越
えるとめっきとクロメートとの反応性が著しく低下し、
pHが上昇するために連続操業においてpHを1未満に
保つことは困難であり、新たな処理液の添加、あるいは
入れ替えが必要となり操業上好ましくない。
【0023】なお、本処理液中には、リン酸、硝酸、硫
酸等の鉱酸類、あるいはその塩類、また、アンモニア、
水酸化Na等の塩基性化合物、あるいは、クロメート中
のCr6+を還元することを目的とした還元剤の添加が可
能であり、基本的に本発明はこれらの添加を制約するも
のではない。但し、処理液のpHは上記範囲内であるこ
とが必要である。上記の成分組成、pH、及び塗布水分
量の範囲に調整したクロメート処理液を用いて皮膜を形
成することにより、クロメート前処理を施さずに、クロ
メート本来の機能を損なうことなく、クロメート皮膜の
密着性及び外観均一性にも優れたクロメート処理溶融め
っき鋼板を安価に得ることが可能となる。
【0024】このような特性の鋼板は、以下の製造方法
により製造することができる。 (2)クロメート処理溶融めっき鋼板の製造工程 (製造方法)上記の溶融めっき鋼板表面に、上記の成分
組成、pH、及び塗布水分量の範囲に調整したクロメー
ト処理液を、侵入板温を50℃以下にした鋼板に塗布
し、誘導加熱により昇温速度:25℃/秒以上で、到達
板温:80〜280℃に加熱する。次に、加熱乾燥され
た鋼板を空冷あるいは水冷ロールにより冷却する。
【0025】a.加熱温度:80〜280℃(到達板
温),昇温速度:25℃/秒以上 従来、鋼板表面に塗布されたクロメート処理液は熱風乾
燥により鋼板の表面から加熱乾燥されていた。本発明に
おいては、誘導加熱により板から加熱することが第一の
特徴であり、それにより、NiあるいはCo等によるク
ロメート前処理を施さなくとも効果が得られる。但し、
昇温速度25℃/秒未満では十分な効果が得られない。
したがって、25℃/秒以上の昇温速度が必要である。
【0026】また、到達板温80℃未満では乾燥不良と
なり、乾燥後に触れる製造ラインのロール等にクロメー
トが付着し、目的の鋼板が得られないと共に操業におい
て負担が大きくなる。280℃以下にする理由は、それ
を超えて加熱しても、特性上大きな効果が得られないと
共に、クロメート中のCr6+が還元されCr3+となり本
来の機能を発揮できなくなる場合があることと、かなり
大型の冷却設備を加熱後につけないと鋼板の特性に対し
て悪影響を及ぼしかねないためである。したがって、到
達板温は、80〜280℃,望ましくは100〜220
℃にすべきである。また、昇温速度の上限は、特に規定
しないが、過剰に早くすると、目的の板温にコントロー
ルすることが困難となり、逆に操業しにくくなることか
ら、ラインの能力に合わせた設定が必要である。
【0027】したがって、本発明においては、鋼板表面
に塗布されたクロメート処理液を誘導加熱により、昇温
速度25℃/秒以上、到達板温80℃以上、280℃以
下に加熱することが必要である。このメカニズムは、明
らかではないが、推定するに誘導加熱においては鋼板か
ら加熱されるためにめっきとCr6+との反応が容易に進
みやすいこと、また、本反応には水の影響が大きく関与
し、鋼板から加熱されることにより、水分が蒸発する前
にめっき表面の温度が高くなり、反応しやすい状態にな
ることが考えられる。
【0028】一方、誘導加熱は、炉内において蒸発した
水分が結露し、鋼板表面に結露水が落下し、それにより
クロメートのムラが生じやすいという欠点がある。本発
明は、結露を避けるための条件までは規定するものでは
ないが、基本的に誘導加熱炉内に一定風速、空気を送り
込むことにより、誘導加熱炉内において結露を回避でき
る。
【0029】b.塗布工程への侵入板温:50℃以下 処理液塗布工程への鋼板の侵入板温は、鋼板とクロメー
トとの反応性に大きく影響する。侵入板温が50℃超え
ではクロメートの液温が徐々に上昇し、蒸発しやすくな
り誘導加熱を行っても十分な効果が得られなくなる。し
たがって、塗布する工程への侵入板温は50℃以下にす
べきである。また、侵入板温が低すぎる場合、鋼板が塗
布工程に入る前に表面が結露している場合がある。この
ような場合、水がめっきとクロメートとの反応を阻害す
る場合がある。本発明では、最低侵入板温を規定しない
が、鋼板が結露するまで温度を下げることは避けるべき
である。
【0030】c.冷却方法:空冷あるいは水冷ロールに
より冷却 最後にクロメートを加熱乾燥した後に材料特性の観点か
ら冷却を必要とする場合がある。冷却の方法としては、
水冷、空冷、水冷ロールを用いた方法が考えられるが、
水冷した場合、加熱直後ではクロメート皮膜が十分に難
溶化していないため一部溶解し本来の機能を発揮できな
い。したがって、本発明においては水冷を行うことは不
可である。冷却の方法としては、冷却時にクロメートが
溶解しない方法、すなわち、空冷、あるいは冷却ロール
を用いることが必要である。
【0031】なお、本発明は、機能性を有したクロメー
ト処理液に適用することが有効な技術であるが、その他
のクロメート液、あるいは溶融めっき以外の電気めっき
においても支障なく適用することが可能である。また、
本技術の応用として、クロメート皮膜を塗布乾燥した後
に0.1〜300μmの有機樹脂層を形成する、あるい
は冷却後に有機樹脂層を形成することも可能であり、本
発明はクロメート上層の処理について規定するものでは
ない。以下に本発明の実施例を挙げ、本発明の効果を立
証する。
【0032】
【実施例】(実施例1)片面当りZn付着量90g/m
2 の低Pb(Pb;100ppm以下)溶融亜鉛めっき
鋼板ミニマイズドスパングル材(表面粗さRa;0.5
〜1.5)に表1に示す組成(No.1,2,4〜8:
本発明例、No.3,9,10:比較例)のクロメート
処理を施したものを供試材とした。塗布はロールコータ
ーにより行い、コーター条件と処理液濃度の調整により
クロメート皮膜の付着量を制御した。また、コーティン
グする際の板温を変える目的でコーターで塗布する前に
一部の条件でめっき鋼板を所定の板温に加熱し、直ちに
加熱乾燥を行った。乾燥は、加熱炉に誘導加熱(IH)
と熱風吹付炉(CD)を用い、それぞれの方法で所定の
板温に加熱した。クロメート処理液塗布条件を表2に示
す。また、鋼板の加熱、冷却条件を表3に示す(No.
1,3,7,9,11,13,15,22〜24,26
〜28,30,31,33〜47:本発明例、No.
2,4〜6,8,10,12,14,16〜21,2
5,29,32:比較例)。
【0033】クロメート皮膜の密着性は、その表面にポ
リエステル系の接着剤を塗布し、更にポリエステル系の
フィルムを貼付けた後、幅2cmで強制的に剥離したサ
ンプルの剥離界面をEPMA(X線マイクロアナライ
ザ)を用いて調べた。EPMAにより鋼板側剥離部分3
cm×3cmについて接着剤成分としてC、クロメート
成分としてCrの検出強度を測定し、Cが検出されない
範囲で、Crの強度がクロメート処理したままの状態で
示す強度に対して1/4以下になっている面積を求め、
全体の面積に対する割合により評価した。その評価基準
を下記に示す。
【0034】(評価基準)5;クロメート成分(Cr)
が1/4以下になっている部分の面積が10%未満、
4;クロメート成分(Cr)が1/4以下になっている
部分の面積が10%以上20%未満、3;クロメート成
分(Cr)が1/4以下になっている部分の面積が20
%以上50%未満、2;クロメート成分(Cr)が1/
4以下になっている部分の面積が50%以上75%未
満、1;クロメート成分(Cr)が1/4以下になって
いる部分の面積が75%以上。
【0035】また、得られたサンプルの外観を、目視に
て以下の評価基準により評価した。 (評価基準) ○;ムラなし、△;部分的にムラあり(処理面積の10
%未満)、×;明らかにムラあり(処理面積の10%以
上)。
【0036】上記の評価結果を表3に示す。実施例N
o.1〜20は、種々のクロメート処理液を塗布した鋼
板のIHによる乾燥(本発明例No.1,3,7,9,
11,13,15、比較例No.5,17,19)とC
Dによる乾燥(比較例No.2,4,6,8,10,1
2,14,16,18,20)を比較した結果である。
【0037】本発明の請求範囲を満たす処理液(処理液
No.1,2,4,5,6,7,8)を用いた実施例N
o.1〜4,7〜16においては、明らかにIH乾燥に
よる本発明例No.1,3,7,9,11,13,15
のクロメート皮膜の耐剥離性が、CD乾燥による比較例
No.2,4,8,10,12,14,16に比べて優
れている。
【0038】また、上記以外の実施例No.5,6,1
7〜20は、本発明範囲外の処理液を用いた比較例であ
り、いずれも上記の本発明例に比べて耐剥離性が劣って
いる。 実施例No.21〜28(No.22〜24,
26〜28:本発明例、No.21,25:比較例)
は、加熱速度の影響を検討した結果であり、本発明範囲
外の加熱速度20℃/秒の比較例No.21,25では
十分な耐剥離性が得られていない。
【0039】実施例No.29〜32(No.30,3
1:本発明例、No.29,32:比較例)は最高到達
板温を検討した結果であり、本発明範囲外の70℃(比
較例No.29)では耐剥離性に劣る。また、本発明範
囲外の300℃(比較例No.32)まで加熱を行って
も、耐剥離性に関して大きな効果が得られていない。
【0040】実施例No.33〜39(本発明例)はク
ロメート塗布条件(塗布水分量)を検討した結果であ
り、塗布水分量が1g/m2 (No.33,37)では
耐剥離性に劣り、25g/m2 (No.36,39)で
は外観均一性に劣る。実施例No.40〜43(本発明
例)は、クロメート塗布時の板温を検討した結果であ
り、板温が55℃(No.40,42)では耐剥離性に
劣る。
【0041】実施例No.44〜47(本発明例)は加
熱乾燥後の冷却方式の検討を行った結果であり、水冷を
行うこと(本発明例No.44,46)により外観均一
性に劣る皮膜となっている。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】(実施例2)片面当りめっき付着量80g
/m2 の55%Al−Zn−1.6%Si系溶融めっき
鋼板に表1に示す組成のクロメート処理を施したものを
供試材とした。クロメート処理条件、及びその評価方法
は実施例1と同様とし、サンプル作成及び評価(剥離評
価、外観評価)を行った。評価結果を表4に示す(N
o.1,3:本発明例、No.2,4〜8:比較例)。
めっき層中のZn量がおよそ45%のめっきにおいて乾
燥方式の効果を検討した結果、本発明の請求範囲を満た
すクロメート処理液を用い、IHにより加熱乾燥を行う
本発明例No.1,3は、CDによる乾燥を行うかまた
は/かつ本発明範囲外の処理液を用いた比較例No.
2,4〜8より優れた耐剥離性を有する皮膜が得られる
ことが確認された。
【0046】
【表4】
【0047】(実施例3)片面当りめっき付着量80g
/m2 の溶融Alめっき鋼板に表1に示す組成のクロメ
ート処理を施したものを供試材とした。クロメート処理
条件、及びその評価方法は実施例1と同様とし、サンプ
ル作成及び評価(剥離評価、外観評価)を行った。評価
結果を表5に示す(比較例No.1〜4)。
【0048】
【表5】 めっき層中にZnを含有しないアルミめっき鋼板に適用
を検討した結果であるが、その場合、耐剥離性に関して
IHによる効果を認められなかった。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
クロメート処理溶融めっき鋼板の皮膜及び製造条件を特
定することにより、クロメート前処理を施さずに、クロ
メート本来の機能を損なうことなく、多機能なクロメー
ト皮膜を、Znを30%以上含む溶融めっき鋼板上に安
価に形成することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山下 正明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 三島 一郎 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 山本 章央 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 大熊 俊之 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K026 AA02 AA07 AA09 AA13 AA22 BA06 BB01 CA13 CA19 CA21 CA39 CA41 DA02 DA15 EA00 EA17 EB11

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、Znを30%以上含む溶融め
    っきを施した鋼板表面にクロメート処理を行い、クロメ
    ート処理溶融めっき鋼板を製造する方法において、 クロメート処理は、クロメート処理液中の成分として、
    クロム酸とクロム酸還元生成物を含有し、さらに、シリ
    カゾル、アルミナゾル、チタニアゾル、水溶性樹脂、水
    分散性樹脂、及びエマルジョン樹脂の群から選択された
    1種あるいは2種以上を含有し、且つ下記(1)式を満
    たし、pHが1〜4である処理液を、前記溶融めっき鋼
    板に塗布する工程と、 クロメート処理液が塗布された溶融めっき鋼板を、誘導
    加熱により昇温速度:25℃/秒以上で、到達板温:8
    0〜280℃に加熱する工程と、 を備えたことを特徴とした、クロメート皮膜の密着性に
    優れたクロメート処理溶融めっき鋼板の製造方法。 0.99≧B/(A+B)≧0.4 …(1) 但し、A:クロム酸重量をCrO3 換算とした総重量、
    B:シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル、有機樹
    脂の重量をそれぞれSiO2 、Al23 、TiO2
    CH2 換算とした総重量。
  2. 【請求項2】 前記処理液塗布工程において、鋼板上に
    塗布されるクロメート処理液中の水分量が、2〜20g
    /m2 であることを特徴とした、請求項1に記載のクロ
    メート皮膜の密着性に優れたクロメート処理溶融めっき
    鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記処理液塗布工程において、塗布工程
    侵入板温を50℃以下にすることを特徴とした、請求項
    1または2に記載の外観均一性及びクロメート皮膜の密
    着性に優れたクロメート処理溶融めっき鋼板の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記鋼板加熱工程で誘導加熱された鋼板
    を、空冷あるいは水冷ロールにより冷却することを特徴
    とした、請求項1乃至3のいずれかに記載の外観均一性
    及びクロメート皮膜の密着性に優れたクロメート処理溶
    融めっき鋼板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020066793A (ja) * 2018-10-26 2020-04-30 Jfeスチール株式会社 表面処理液、表面処理鋼板の製造方法、および表面処理鋼板

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