JP2000119180A - 経腸栄養剤 - Google Patents

経腸栄養剤

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JP2000119180A
JP2000119180A JP29758798A JP29758798A JP2000119180A JP 2000119180 A JP2000119180 A JP 2000119180A JP 29758798 A JP29758798 A JP 29758798A JP 29758798 A JP29758798 A JP 29758798A JP 2000119180 A JP2000119180 A JP 2000119180A
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kcal
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Sachiko Hiraizumi
幸子 平泉
Yoshio Suzuki
良雄 鈴木
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Nisshin Seifun Group Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生体内でのセレンの吸収性に優れ患者の血液
中のセレン濃度を高めることができて、セレンの欠乏に
伴う心筋障害、両下肢の筋肉痛、克山病、骨関節炎など
の発症を防ぐことができ、しかもセレンの供給過剰に伴
う中毒を生ずる心配のない経腸栄養剤の提供。 【解決手段】 セレン含有量が0.5〜10μg/10
0kcalであり、且つビタミンC含有量が18mg/
100kal以上および/またはビタミンE含有量が
3.3mg−αToc/100kal以上である経腸栄
養剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体内でのセレン
の吸収性に優れ、血液中のセレン濃度を高めてセレンの
欠乏症の発症を防ぐことのできる経腸栄養剤に関する。
【0002】
【従来の技術】セレンは人体内に必須な微量元素であ
り、セレンが欠乏すると、心筋障害、両下肢の筋肉痛、
克山病、骨関節炎などの疾患を生ずることが報告されて
いる。現在、我が国ではセレンの栄養所要量は示されて
いないが、1989年米国科学アカデミーの食糧栄養委
員会は米国人のセレン所要量を成人男性70μg/日、
成人女性55μg/日と勧告した。セレンは通常摂取さ
れる食品中に含まれており、我が国では健康成人の摂取
量は1日当たり100μg前後であるとの報告もあり、
通常の食生活を行っている場合はセレンの欠乏が生ずる
心配は少ないとされている。
【0003】一方、食物の嚥下が困難な患者や慢性腸疾
患患者などのような通常の食物の摂取が困難な患者に対
しては、栄養供給の目的で、近年、経腸栄養剤が広く用
いられるようになっており、数多くの経腸栄養剤が市販
されている。市販の経腸栄養剤におけるセレン含有量は
製品によってかなりの違いがあるが、例えば「日本栄養
・食糧学会誌」Vol.48,No.6 p490〜4
93(1995)には、市販の経腸栄養剤におけるセレ
ン含有量が0.04〜5.74μg/100kcalであ
ることが報告されており、多くても約6μg/100k
cal程度であり、経腸栄養剤中のセレン含有量は一般
に低い値となっている。さらに、セレンは生体内に効率
よく吸収、利用されない場合が多い。そのため、一日当
たりの必要エネルギー量が低いために経腸栄養剤の供給
量が1000kcal/日よりも少ない老齢者や、10
00kcal/日以上の経腸栄養剤が供給されているも
のの経腸栄養剤の供給が長期に亙る患者などでは、通常
の食品を摂取できる人などとは異なり、摂取されるセレ
ンの量が必然的に少なくなり、セレンの欠乏に伴う悪影
響が懸念されている。
【0004】経腸栄養剤の使用に伴う上記したセレンの
欠乏を改善するために、経腸栄養剤中のセレン含有量を
従来よりも多くすることが考えられる。しかしながら、
前述のとおり、セレンを投与しても生体内に効率良く吸
収、利用されない場合も多いため、セレン含有量をどの
程度増やせばよいのかその加減を決めるのが難しく、ま
たセレン含有量のみを多くすると、経腸栄養剤中に含ま
れる他の栄養成分とのバランスが崩れるという問題があ
る。しかも、セレンは多量に摂取すると、脱毛、爪の変
形、嘔吐、脱力感などの中毒症状を引き起こすことが知
られており、セレンは欠乏を引き起こす摂取量と中毒を
起こす摂取量が比較的狭い範囲にあることから、必要量
のセレンを効率よく体内に吸収、利用させることが求め
られていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、必要量のセレンを人体に効率よく供給して、従
来の経腸栄養剤において懸念されていたセレン欠乏症を
生じない経腸栄養剤を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
本発明者らが研究を重ねた結果、セレン含有量が10μ
g/100kcal以下であるようなセレン含有量の低
い経腸栄養剤であっても、該経腸栄養剤中のビタミンC
の含有量を18mg/100kal以上にするか、ビタ
ミンEの含有量を3.3mg−αToc/100kal
以上にすると、特にビタミンCの含有量を20mg/1
00kal以上にするか、ビタミンEの含有量を3.5
mg−αToc/100kal以上にすると、人体での
セレンの吸収率が向上して血液中のセレン濃度を高くす
ることができ、セレンの欠乏を防止できること、そして
その場合には経腸栄養剤中のセレン含有量が従来の経腸
栄養剤と同様に10μg/100kcal以下と低いこ
とから、セレンの供給過剰による中毒の心配や、経腸栄
養剤における栄養バランスの崩れを生じないことを見出
して本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、セレン含有量が0.
5〜10μg/100kcalであり、且つビタミンC
含有量が18mg/100kal以上および/またはビ
タミンE含有量が3.3mg−αToc/100kal
以上であることを特徴とする経腸栄養剤である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。経腸栄養剤は、一般に天然食品流動食、半消化態
栄養剤、消化態栄養剤、成分栄養剤および肝・腎疾患治
療用の特殊栄養剤などに分けられ、それぞれが食品とし
て製造販売されるかまたは医薬品として許可されてい
る。また、経腸栄養剤は、液状のものと粉末状のものと
があり、粉末状のものは用時液状にして摂取させるもの
である。本発明の経腸栄養剤は、セレン含有量並びにビ
タミンCおよび/またはビタミンEの含有量が本発明で
規定する量であれば、前記したいずれの形態または種類
の経腸栄養剤であってもよく特に制限されない。そのう
ちでも、本発明の経腸栄養剤は、半消化態栄養剤の形態
のものであることが、浸透圧、嗜好性などの点から好ま
しい。
【0009】本発明の経腸栄養剤の単位容量当たりのカ
ロリー量は特に制限されず、経腸栄養剤の種類や形態に
応じて従来の経腸栄養剤と同程度のカロリー量とするこ
とができるが、一般的には、経腸栄養剤100ml当た
りのカロリー量を50〜200kcalとすることが、
患者への負担を抑制し且つ経鼻的または経皮的に持続投
与しながら必要な栄養成分を患者に円滑に供給できる点
から好ましい。そのうちでも、経腸栄養剤100ml当
たりのカロリー量を100kcalにすると、前記した
特性と併せて、カロリー量の計算を簡単に行うことがで
きて必要なカロリー量の経腸栄養剤を患者に確実に簡単
に供給できるという長所を有するので極めて便利であ
る。
【0010】本発明の経腸栄養剤は、セレンを経腸栄養
剤の100kcal当たり0.5〜10μgの割合で含
有しており、1〜6μgの割合で含有することが好まし
い。例えば、本発明の経腸栄養剤100ml当たりのカ
ロリー量を100kcalとする場合には、経腸栄養剤
100ml中にセレンを0.5〜10μgの割合で含有
させればよい。経腸栄養剤中のセレンの含有量が0.5
μg/100kcal未満であると、経腸栄養剤に含ま
れるセレンの絶対量が低くなるため、患者へのセレンの
供給量が少なすぎて、セレンの欠乏を生じ易くなる。な
お、本明細書でいう経腸栄養剤中のセレン含有量は、セ
レン原子に換算した経腸栄養剤100kcal当たりの
含有量を言い、前処理を行った後、蛍光光度法により測
定した値であり、具体的な測定は以下の実施例の項に記
載するとおりである。
【0011】本発明の経腸栄養剤では、セレンは、動植
物由来の有機セレン化合物の形態で含まれていること
が、生体によるセレンの吸収性、無毒性などの点から好
ましく、そのうちでもセレノメチオニンおよび/または
セレノシステインの形態で含まれていることがより好ま
しい。これらのセレノメチオニンおよびセレノシステイ
ンは、大豆蛋白質、卵白加水分解物、卵白などにそれら
の構成アミノ酸として含有されている。
【0012】さらに、本発明の経腸栄養剤は、経腸栄養
剤100kcal当たり、ビタミンCを18mg以上の
割合で含有するか、ビタミンEを3.3mg−αToc
(すなわちmg α−トコフェロール当量)以上の割合
で含有するか、またはビタミンCを18mg以上の割合
で含有し且つビタミンEを3.3mg−αToc以上の
割合で含有することが必要である。そのうちでも、本発
明の経腸栄養剤は、ビタミンCを20mg/100ka
l以上の割合で含有しおよび/またはビタミンEを3.
5mg−αToc/100kal以上の割合で含有して
いることが生体内でのセレンの吸収性が向上し、血液中
のセレン濃度を高くできるので好ましく、ビタミンCを
20mg/100kal以上の割合で含有し且つビタミ
ンEを3.5mg−αToc/100kal以上の割合
で含有していることがより好ましい。
【0013】経腸栄養剤におけるビタミンCの含有量が
18mg/100kal未満である場合および/または
ビタミンEの含有量が3.3mg−αToc/100k
al未満である場合は、セレンの生体内での吸収性が向
上せず、血液中のセレン濃度を高くすることが困難にな
り、セレンの欠乏を生じ易くなる。なお、本明細書にお
ける経腸栄養剤中のビタミンCおよびビタミンEの含有
量は、(財)日本食品分析センターの方法に従い、ビタ
ミンCは高速液体クロマトグラフィー法(HPLC)に
より測定された値を言う。また、ビタミンEはHPLC
により測定して得られた値を、「日本人の栄養所要量」
(第5次改定;厚生省保健医薬局健康増進栄養課監修)
に定められた換算式(α:β:γ:δ=100:25:
5:0.1)にて換算して得られた値、すなわちα−ト
コフェロール当量(αToc)を言う。
【0014】本発明の経腸栄養剤における栄養成分の種
類、その含有量、組成、カロリー量などは特に制限され
ず、経腸栄養剤の種類や形態等に応じて従来のものと同
様にすることができる。例えば、蛋白質としては、乳蛋
白質(乳清蛋白質、低乳糖乳蛋白質、全乳蛋白質、カゼ
インなど)およびその加水分解物、脱脂粉乳、牛乳、卵
白加水分解物、卵白粉、全卵、大豆蛋白質などの植物性
蛋白質、大豆蛋白質加水分解物、ゼラチン加水分解物、
低分子ペプチド、アミノ酸などのうちから適宜選択して
用いることができる。また、脂質としては、例えば、コ
ーン油、大豆油、カノーラ油、オリーブ油などの植物
油、魚油などのうちから適宜選択して用いることができ
る。また、糖質としては、例えば、デキストリン、グル
コース、ショ糖などのうちから適宜選択して用いること
ができる。
【0015】更に、本発明の経腸栄養剤は、ビタミンC
および/またはビタミンEと共に、他のビタミン類、ビ
タミン前駆体の1種または2種以上を含有していてもよ
く、またセレンと共に他のミネラル類の1種または2種
以上を含有していてもよい。また、本発明の経腸栄養剤
は、食物繊維、胚芽抽出物、乳化剤、安定剤、香料、調
味料、動植物抽出物などを含有していてもよい。
【0016】本発明の経腸栄養剤の調製法は特に制限さ
れず、経腸栄養剤の種類や形態などに応じて、従来の経
腸栄養剤と同様にして調製することができ、例えば、純
水に必要な栄養成分を添加した後、乳化し、加熱殺菌処
理などを行うことにより製造することができる。
【0017】本発明の経腸栄養剤を患者に供給するに当
たっては、経腸栄養剤の単位容量当たりのカロリー量、
患者の症状、疾患の内容、栄養状態、年齢、体重、性別
などに応じて、その供給量が決定され、成人に対しては
その症状などに応じて一般には800〜2400kca
l/日の範囲内の量で供給される。
【0018】
【実施例】以下に実施例などにより本発明について具体
的に説明するが、本発明は以下の例により何ら限定され
ない。以下の例において、経腸栄養剤のカロリー量、経
腸栄養剤中のセレン含有量、ビタミンC含有量およびビ
タミンE含有量並びに被検者(患者)の血液中のセレン
濃度は以下の方法で測定または算出した。
【0019】[経腸栄養剤のカロリー量]一定重量の経
腸栄養剤中に含まれる蛋白質、脂質および糖質の重量を
求め、蛋白質および糖質には4kcal/gの係数およ
び脂質には9kcal/gの係数を乗じてカロリー量
(エネルギー量)を算出した。
【0020】[経腸栄養剤中のセレン含有量]経腸栄養
剤5gに硝酸20mlと過塩素酸10mlを加えてケル
ダールフラスコ中に加熱分解した。放冷後、10%塩酸
2mlを加えて沸騰水浴中にて30分間加温した。これ
をトールビーカーに移して0.1Mエチレンジアミン四
酢酸4mlと20%塩酸ヒドロキシルアミン2mlを加
えた後、10%塩酸または10%アンモニア水を用いて
pHを1.0〜1.5に調整し、水を加えて約50ml
とした。これに0.1%2,3−ジアミノナフタレン溶
液5mlを加え、50℃の水浴中で30分間加温した
後、分液ロートに移し、シクロヘキサン10mlを加え
て5分間振とうした。静置後、シクロヘキサン層を採
り、蛍光分光光度計(励起波長378nm、測定波長5
20nm)にて測定し、予め作成しておいた検量線に照
らし合わせて、セレン含有量を求めた。この求められた
単位重量当たりのセレン含有量を経腸栄養剤の比重で除
して単位容量当たりのセレン含有量を算出し、さらに経
腸栄養剤100kcal当たりのセレン含有量を算出し
た。
【0021】[経腸栄養剤中のビタミンC含有量]経腸
栄養剤3gを5%メタリン酸溶液に加えホモジナイズし
て50mlとし、遠心分離、濾過(5C濾紙)により不
溶物を除去した。この溶液1mlを採り、これに5%メ
タリン酸1ml、0.5%ジクロロフェノールインドフ
ェノール溶液3滴および2%チオ尿素/5%メタリン酸
溶液2mlを加えた。さらに2,4−ジニトロフェニル
ヒドラジン/4.5M硫酸溶液0.5mlを加え、水浴
中で50℃にて1時間加温した。これに酢酸エチル2m
lを加えて60分間振とうして抽出を行い、それを用い
てHPLCにてビタミンC含有量を測定した。このビタ
ミンC含有量に基づき、経腸栄養剤中のセレン含有量の
場合と同様にして、経腸栄養剤100kcal当たりの
ビタミンC含有量を算出した。
【0022】[経腸栄養剤中のビタミンE含有量]経腸
栄養剤1gに1%塩化ナトリウム水溶液2ml、3%ピ
ロガロール/エタノール溶液10mlおよび60%水酸
化ナトリウム水溶液2mlを加え、70℃にて30分間
加温した。次に、1%塩化ナトリウム水溶液21mlを
加え、n−ヘキサン:酢酸エチル=9:1の混合溶媒1
5mlにて3回抽出を行った。有機層を脱水後、減圧乾
固した。これをn−ヘキサン4mlに再溶解したものを
用いてHPLCにてビタミンE含有量を測定した。この
ビタミンE含有量に基づき、経腸栄養剤中のセレン含有
量の場合と同様にして、経腸栄養剤100kcal当た
りのビタミンE含有量を算出した。
【0023】[被検者の血液中のセレン濃度]血液より
血清を分離し、これを希釈したものをグラファイト炉原
子吸光分析装置により測定することにより、血清中のセ
レン濃度を測定した。
【0024】《実施例1》[経腸栄養剤の調製] (1) 下記の表1に記載された各成分を表1に記載し
た割合で加え合せて、ミキサーで均一に混合して、粉末
状の経腸栄養剤を調製した。
【0025】
【表1】
【0026】なお、上記で用いたビタミン・ミックス
は、デキストリンを賦形剤として1g中に以下の表2に
示すビタミンを含む。
【0027】
【表2】 [ビタミン・ミックスの組成] ビタミンA 100 IU ビタミンB1 0.07mg ビタミンB2 0.09mg ビタミンB6 0.10mg ビタミンB12 0.07μg ビタミンC 25.0mg ビタミンD 5 IU ビタミンE 3.75mg−αToc ナイアシン 1.00μg 葉酸 10 μg パントテン酸 0.20mg
【0028】また、上記で用いたミネラル・ミックス
は、デキストリンを賦形剤として1g中に以下の表3に
示すミネラルを含む。
【0029】
【表3】 [ミネラル・ミックス組成] ナトリウム 25mg カリウム 100mg カルシウム 30mg マグネシウム 15mg リン 30mg 鉄 0.7mg
【0030】上記で得られた粉末状の経腸栄養剤は、均
一な外観を有し、粉末性状は良好で、密封して12カ月
間貯蔵した後も、固化することなく良好な粉末状態を保
っていた。
【0031】(2) 上記(1)で得られた粉末状の経
腸栄養剤236g(1000kcal)に対して、40
℃の水を加えて全量が1000mlとなるような割合
で、撹拌混和して溶解させたところ、凝集、沈殿、浮
遊、壁への付着を生ずることなく良好に溶解して、液状
の経腸栄養剤(以下これを「経腸栄養剤」という)が
得られた。この経腸栄養剤の比重を標準比重計(硝子
製浮秤)を用いて測定したところ1.074であった。
これにより得られた経腸栄養剤におけるセレン含有量
は、前記の方法で測定したところ2.2μg/100k
calであった。また、経腸栄養剤中のビタミンC含
有量は、25.0mg/100kcalおよびビタミン
E含有量は3.75mg−αToc/100kalであ
った。 (3) また、経腸栄養剤を37℃の温度とし、ポリ
テトラフルオロエチレン製の供給チューブ(EDチュー
ブ)(内径0.7mm)を用いて、落差50cmでチュ
ーブ内を自然流下させたところ、チューブに詰まること
なく1時間以内に全量が落下した。さらに、経腸栄養剤
をプラスチック製ビーカーに入れて室温(25℃)で
2時間放置したが、変色、凝集、沈殿、浮遊および壁へ
の付着を生じなかった。
【0032】《対照例1》[経腸栄養剤の調製] (1) 上記の表1に示す成分配合を採用し、その際に
ビタミン・ミックスとして下記の表4に示した組成のも
のを用いた以外は、実施例1と同様にして粉末状の経腸
栄養剤を調製した。これにより得られた粉末状の経腸栄
養剤は、均一な外観を有し、粉末性状は良好で、密封し
て12カ月間貯蔵した後も、固化することなく良好な粉
末状態を保っていた。
【0033】
【表4】 [ビタミン・ミックスの組成]1) ビタミンA 100 IU ビタミンB1 0.07mg ビタミンB2 0.09mg ビタミンB6 0.10mg ビタミンB12 0.07μg ビタミンC 16.0mg ビタミンD 5 IU ビタミンE 3.0mg−αToc ナイアシン 1.00μg 葉酸 10 μg パントテン酸 0.20mg 1) デキストリンを賦形剤として使用。
【0034】(2) 上記(1)で得られた粉末状の経
腸栄養剤236g(1000kcal)に対して、40
℃の水を加えて全量が1000mlとなるような割合
で、撹拌混和して溶解させたところ、凝集、沈殿、浮
遊、壁への付着を生ずることなく良好に溶解して、液状
の経腸栄養剤(以下これを「経腸栄養剤」という)が
得られた。この経腸栄養剤の比重を前記と同様の方法
で測定したところ1.074であった。これにより得ら
れた経腸栄養剤におけるセレン含有量は、前記の方法
で測定したところ2.2μg/100kcalであっ
た。また、経腸栄養剤中のビタミンC含有量は、1
6.0mg/100kcalおよびビタミンE含有量
は、3.0mg−αToc/100kalであった。 (3) この経腸栄養剤を37℃の温度とし、ポリテ
トラフルオロエチレン製の供給チューブ(EDチュー
ブ)(内径0.7mm)を用いて、落差50cmでチュ
ーブ内を自然流下させたところ、チューブに詰まること
なく1時間以内に全量が落下した。さらに、経腸栄養剤
をプラスチック製ビーカーに入れて室温(25℃)で
2時間放置したが、変色、凝集、沈殿、浮遊および壁へ
の付着を生じなかった。
【0035】《試験例1》 (i)対照試験:下記の表5に示すA〜Fの6名の患者
(被検者)に対して、その疾患の種類や症状に応じて、
上記の対照例1で得られた経腸栄養剤を、表5に示し
た量で1カ月間毎日投与し、その投与前の血液中のセレ
ン濃度および投与1カ月後の血液(血清)中のセレン濃
度を上記した方法で測定したところ、表5に示すとおり
であった。 (ii)実施試験:上記(i)の投与を行った6名の患者
A〜Fに対して、上記の対照例1で得られた経腸栄養剤
の1カ月間の投与試験を終了した段階で、実施例1で
得られた経腸栄養剤に切り替えて、上記(i)と同じ
投与量で1カ月間毎日投与し、経腸栄養剤の投与前の
血液中のセレン濃度および投与1カ月後の血液(血清)
中のセレン濃度を上記した方法で測定したところ、下記
の表5に示すとおりであった。
【0036】
【表5】
【0037】上記の表5の結果から、セレン含有量が
2.2μg/100kcalで、ビタミンC含有量が1
6.0mg/100kalおよびビタミンE含有量が
3.0mg−αToc/100kalである対照例1で
得られた経腸栄養剤を投与した場合には、1カ月投与
後でも患者の血液中のセレン濃度が殆ど変化しておら
ず、セレンの欠乏を生ずる恐れがあるのに対して、セレ
ン含有量が2.2μg/100kcalで、ビタミンC
含有量が25.0mg/100kalおよびビタミンE
含有量が3.75mg−αToc/100kalである
実施例1で得られた経腸栄養剤を投与した場合には、
患者の血液中のセレン濃度が1カ月後には大きく増加し
ており、セレンの欠乏の改善に有効であることがわか
る。
【0038】
【発明の効果】本発明の経腸栄養剤は、生体内でのセレ
ンの吸収性に優れているため、本発明の経腸栄養剤を患
者に給与すると、血液中のセレン濃度を高めることがで
き、セレンの欠乏に伴う心筋障害、両下肢の筋肉痛、克
山病、骨関節炎などの発症を防ぐことができる。本発明
の経腸栄養剤は、セレン含有量が0.5〜10μg/1
00kcalと低い値であるので、長期に亙って患者に
給与しても、セレンの摂取過剰に伴う中毒の発生の心配
がない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // A61K 9/08 A61K 9/08 E Fターム(参考) 4C076 AA17 AA29 BB05 CC21 CC22 4C086 AA01 AA02 BA09 BA18 HA08 MA03 MA04 MA52 NA11 ZC21 ZC28 ZC29 4C206 AA01 AA02 JA27 JA58 MA03 MA04 MA13 MA72 ZC21 ZC28 ZC29

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セレン含有量が0.5〜10μg/10
    0kcalであり、且つビタミンC含有量が18mg/
    100kal以上および/またはビタミンE含有量が
    3.3mg−αToc/100kal以上であることを
    特徴とする経腸栄養剤。
  2. 【請求項2】 セレン含有量が1〜6μg/100kc
    alであり、ビタミンC含有量が20mg/100ka
    l以上および/またはビタミンE含有量が3.5mg−
    αToc/100kal以上である請求項1に記載の経
    腸栄養剤。
  3. 【請求項3】 セレンが動植物由来の有機セレン化合物
    の形態である請求項1または2に記載の経腸栄養剤。
  4. 【請求項4】 セレンが、セレノメチオニンおよび/ま
    たはセレノシステインの形態である請求項1〜3のいず
    れか1項に記載の経腸栄養剤。
JP29758798A 1998-10-06 1998-10-06 経腸栄養剤 Pending JP2000119180A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1205471A1 (en) * 2000-10-02 2002-05-15 PharmaSe, Incorporated A method of using synthetic L-SE-Methylselenocysteine as a nutriceutical and a method of its synthesis
JP2004513912A (ja) * 2000-11-17 2004-05-13 フレセニウス・カビ・ドイチュランド・ゲーエムベーハー 危機的状態にある患者、慢性疾患患者および栄養失調の人々の、非経口栄養補給または部分的腸内/経口栄養補給のための腸内投与サプリメント
JP2005350371A (ja) * 2004-06-08 2005-12-22 Otsuka Pharmaceut Factory Inc 肝障害者用栄養組成物

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