JP2000114606A - シリコン−ゲルマニウム系熱電材料及びその製造方法 - Google Patents
シリコン−ゲルマニウム系熱電材料及びその製造方法Info
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Abstract
SiGe系の熱電材料及びその製造方法を提供するこ
と。 【解決手段】Si及びGeの原料を不活性雰囲気で溶融
し、このSiGe系の混合溶融物をガスアトマイズ法に
よってArガス中に噴出し、SiGe混合粉末を得る。
そして、このSiGe混合粉末を所定の半導体素子とし
ての形態に成形し、ホットプレス或いは焼成によってS
iGe熱電素子が得られる。得られたSiGe熱電材料
は、その内部で偏析がなく、しかも粒間での成分ばらつ
きがないことから、これを熱電素子としてモジュール化
した場合に優れた熱電性能を示すものとなる。
Description
ニウム系熱電材料及び製造法に関し、更に詳しくは、い
わゆるゼーベック効果により熱エネルギーを電気エネル
ギーに変換する材料特性を有するシリコン−ゲルマニウ
ム系熱電材料と、その製造方法に関するものである。
−Te系、Pb−Te系、Si−Ge系等が知られてい
る。これらの材料は、いわゆるゼーベック効果により熱
エネルギーを電気エネルギーに変換する特性を有するこ
とが知られており、この特性を利用して、例えば、自動
車の排気ガス(熱)エネルギーに変換する試みがなされ
ている。
材料を用いた熱電変換素子としては、p型半導体部とn
型半導体部を接合させたものが大きい熱電効果が得られ
るものとして知られている。この熱電変換素子は、U字
型或いはπ型の形状からなるものであって、これらの両
端に熱勾配を設けると、起電力が発生し、電力が取り出
せるものである。
しては、従来最も一般に知られているのが、これらの熱
電材料の原料を溶融してから凝固させ、これを粉砕した
ものを用いているものであり、この粉砕したものをホッ
トプレスにより固化成形したり焼成したりするものであ
る。
グ法等が知られており、液体急冷法は、熱電材料の溶湯
を薄片化し、更に粉末化し、ホットプレスにより固化成
形したり焼結したりするものである。また、ゾーンメル
ティング法は、熱電材料の合金鋳塊を押出し成形するも
のである。
公報には、BiTe系熱電材料及びその製造方法が開示
されているが、この公報では、特にBi、Te原料を溶
融し、この溶融物をアトマイズ法等により、急冷凝固し
て粉末体とし、この粉末体を押出し成形するものであ
る。
SiGe系の熱電材料は、作製した粒間での成分ばらつ
きが問題となっている。SiGe系のものは、図4に示
すSi−Geの状態図から完全固溶といわれているが、
実際には図5に示すように偏析が起こり、Siリッチ相
とGeリッチ相が生じてしまう。
ために、Si80at%−Ge20at%の原料を溶融
させてから凝固させ粉砕したものは、マクロ的にみると
その組成は4:1になっているものの、ミクロ的には均
一な組成にはなっていない。インゴットのうち組成が均
一になっている部分を選んで用いたとしても、多相分離
している以上、粉砕粉(粉末)間での成分ばらつきが避
けられないものとなっている。
ュール化する場合、これらを直列につないで使用する
が、このとき発電能力が劣る材料があると全体の発電能
力に影響を与え、所期する電力を得ることができなくな
る。つまり、従来品は実用化に際して、粒間での成分ば
らつきが非常に大きな問題となっていた。
材料の熱電特性が大幅に低下してしまうが、原料粉末を
混合してからホットプレスする方法では、原料粉末の酸
素濃度が高くなり熱電特性が低下してしまうという問題
点がある。
材料は、熱電特性の指標となる性能指数Zの値(数1に
示す。)が室温付近では比較的大きいものの、300℃
を超えると特性が低下してしまい、使用温度が著しく制
限されてしまうという問題点がある。
eは人体への許容量が0.01〜0.1g/m3であ
り、その毒性が極めて高い。環境問題が叫ばれる昨今こ
れらの物質を用いることは好ましくなく、材料設計の見
直しが迫られている。
の偏析が少なく、粒間での成分ばらつきも少ない、熱電
変換素子材料として特性が安定し、かつ高性能のSiG
e系熱電材料及びその作製方法を提供することにある。
に本発明のシリコン−ゲルマニウム系熱電材料は、Si
及びGeの混合溶融物をガスアトマイズにより急冷粉砕
して生成されたSiGe粉体を固化成形してなることを
要旨とするものである。
のSiとGeとの混合比が、1:9から9:1であるこ
とが好ましい。本願発明の熱電材料は、p型ドーパント
又はn型ドーパントを配合して作製されているが、主成
分であるシリコンゲルマニウム化合物は、化学式Si
1−XGeX(0<x<1)で表されるものである。こ
のシリコンゲルマニウム化合物は、400〜800℃の
熱回収に対して非常に有効な材料であり、特に0.15
<x<0.40において高い熱電特性を示すことから、
その混合はSi80at%−Ge20at%程度とする
ことが最も好ましい。
熱電材料の製造方法は、SiとGeの混合溶融物を生成
する溶融工程と、該溶融工程より生成されたSiGeの
混合溶融物をガスアトマイズにより急冷凝固してSiG
e粉体を生する粉体生成工程と、該粉体生成工程により
生成されたSiGe粉体を固化成形する成形工程とから
なることを要旨とするものである。
成工程」の冷却速度は102K/s以上が好ましく、更
に好ましくは103K/s以上がよい。この冷却速度に
関する条件は図3に示すグラフより得た知見である。図
3に示すグラフは、冷却速度に依存する粒間での成分ば
らつきと、その冷却速度によるアトマイズ法を行うのに
掛かるコストとの関係を示した図である。このグラフか
ら、ばらつきの少ない粉末を得るためには多大なコスト
が掛かることが分かるが、両者の条件を鑑みると、冷却
速度としては103K/s付近が選択される。
トプレスにより加圧成形することが好ましい。更にその
「成形工程」は、SiGe粉体による成形体を焼成する
ものであることが好ましい。焼成温度は1000℃〜1
350℃の範囲で、焼成の時間は0.1時間〜2時間で
あることが好ましい。
すい工程、即ち原料を高温で取り扱う工程等において
は、真空中、不活性雰囲気或いは還元性雰囲気で行うこ
とが好ましい。こうすることで原料の酸化を防ぐことが
でき、熱電特性の高い熱電材料を得ることができる。
ば、熱電材料の粒内の偏析が少なく、粒間での成分ばら
つきが殆どない熱電材料が作製できることから、これら
を用いて素子を作製しモジュール化したときに、熱電特
性を十分活かした発電が可能となる。
明する。初めに、本発明に係るSiGe系熱電材料の製
造工程を図1に示して説明する。この図1に示した製造
工程でも分かるように、初めにSi原料とGe原料とを
適当な配合比率で混合し、これを加熱溶融して混合溶融
物を生成する(溶融工程)。Si原料とGe原料との配
合比率は10at%:90at%〜90at%:10a
t%の広い範囲で適用できる。
るガスアトマイズ法により急冷凝固し、SiGeの粉体
を生成する(SiGe粉体生成工程)。図2は実際に用
いたガスアトマイズ法によるSiGeの粉体製造装置の
概略図である。この装置は、原料を溶融させる耐熱性の
容器12を有し、この周囲に高周波誘導コイル14が設
けられている。この高周波誘導コイル14で誘電加熱さ
れることにより容器12内の原料が溶融される。また、
容器12の底面部には噴出ノズル16が設けられてお
り、溶融物20を下方へ噴出できるようになっている。
そして、噴出ノズル16の下方には側方から延びるよう
に、相対する向きで数対のガスノズル18が配置されて
いる。ガスアトマイズ法によって粉末を形成する際に
は、溶融物20をガス圧等によって噴出ノズル16から
噴出させ、これと同時にAr等の不活性ガスをガスノズ
ル18を介して、噴出している溶融物に吹き付けるもの
である。また、これらの装置は不活性ガス等が充填され
た密閉チャンバー(図示せず)内に設置されている。
SiGe粉末をホットプレスし、焼結することで固化成
形を行う(成形工程)。以上の工程を経ることで、Si
Ge系熱電材料を用いた熱電変換素子材料が得られる。
配合比率がSi80at%−Ge20at%になるよう
に秤量する。この配合比率にしたのは、熱電特性が80
0℃付近で最も優れているからである。
し、更にp型熱電材料を作製する場合はp型ドーパント
を、n型熱電材料を作製する場合はn型ドーパントを配
合する。そして、この混合物を図2の容器12内に入れ
る。密閉チャンバー12内を2×10−5Torrで真
空引きした後、大気圧になるまでArを充填させる。そ
して、混合物を1400℃で溶融した。ここで1400
℃としたのは、配合比率が4:1であることから図4の
状態図より選定したものである。
アトマイズ法によって、急冷凝固する。即ち噴出ノズル
16より溶融物20を噴出させ、それと同時にガスノズ
ル18よりArガスを噴出させ、溶融物を冷却速度10
3K/sで冷却させ、熱電材料の粉末を得る。そして、
これを固化成形する。
を図6に示したが、従来品に比べ、相対密度が高く、か
つロットによるバラツキも小さくなっている。即ち、本
発明品は、非常に安定した高密度の焼結体であることが
確認できる。
よる性能(性能指数Z)の違いを表1にまとめたので、
これについて評価する。
ガスアトマイズ法によって作製したものは、性能指数Z
の値が高くなっており、極めて優れた(◎印)ものであ
るといえる。これに対し、SiGe系の熱電材料を従来
法によって作製したものは、その値が低く、やや劣る
(△印)と評価された。また更に、BiTe系の熱電材
料は、700℃では溶融してしまい、評価できなかっ
た。
ガスアトマイズ法によって急冷凝固したものであるか
ら、粒内の偏析が少なく、粒間での成分ばらつきが殆ど
ないものとなっている。
るものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々
の改変が可能である。例えば、上記実施例では冷却速度
を103K/sとしたが、粒間のばらつきが少なければ
この速度に限定されることはない。また、急冷凝固にお
いてもガスアトマイズ法だけでなく、選択する冷却速度
に好適な方法を用いることができる。
雰囲気で作製を行ったが、Ar以外の不活性ガスを用い
ることはもちろん、H2等の還元性雰囲気或いは真空中
で行ってもよい。また、作製した粉末に酸素が多く含ま
れている場合は、作製した後にH2中で還元処理して酸
素を除去してもよい。
iとGeの混合溶融物を生成する溶融工程と、該溶融工
程より生成されたSiGeの混合溶融物をガスアトマイ
ズにより急冷凝固してSiGe粉体を生する粉体生成工
程と、該粉体生成工程により生成されたSiGe粉体を
固化成形する成形工程とからなるものであるから、Si
とGeが二相分離することなくSiGe系の熱電材料の
粉末を作製することができ、しかも粒間での成分ばらつ
きが殆どない均一なものを作製することができる。
された熱電材料の粉末は、偏析が少なく、しかも均一な
成分を有する粉末となっている。このことから、通常S
iGe系の熱電材料では、原料の溶融物を凝固する際に
偏析が起こってしまい、粒間での成分ばらつきが多くな
るが、本発明に係るSiGe系の熱電材料は、これらの
問題が解決された非常に優れたものとなっている。
を用いて素子を作製しモジュール化した場合に、各素子
間での成分ばらつきが殆どないことから熱電材料が有す
る熱電特性を十分発揮させることができる。
及びその製造方法は、既に開示されているBiTe系等
とは異なり、人体或いは環境に悪影響を及ぼすことな
く、しかも400〜800℃という広い温度域での熱回
収に対して有効な材料となっていることから、産業上極
めて実用性の高いものとなる。
た図である。
置の概略構成を示した図である。
しての、冷却速度とその粉末成分のばらつき、並びにコ
ストの関係を示した図である。
Ge原料の溶融凝固粉砕によるもの)の粒内の偏析状態
を示した図である。
ある。
Claims (5)
- 【請求項1】 Si及びGeの混合溶融物をガスアトマ
イズにより急冷粉砕して生成されたSiGe粉体を固化
成形してなることを特徴とするシリコン−ゲルマニウム
系熱電材料。 - 【請求項2】 前記Si及びGeの混合溶融物のSiと
Geとの混合比が、1:9から9:1であることを特徴
とする請求項1に記載のシリコン−ゲルマニウム系熱電
材料。 - 【請求項3】 SiとGeの混合溶融物を生成する溶融
工程と、該溶融工程より生成されたSiGeの混合溶融
物をガスアトマイズにより急冷凝固してSiGe粉体を
生する粉体生成工程と、該粉体生成工程により生成され
たSiGe粉体を固化成形する成形工程とからなること
を特徴とする熱電材料の製造方法。 - 【請求項4】 前記成形工程は、SiGe粉体をホット
プレスにより加圧成形するものであることを特徴とする
請求項3に記載の熱電材料の製造方法。 - 【請求項5】 前記成形工程は、SiGe粉体による成
形体を焼成するものであることを特徴とする請求項3又
は4に記載の熱電材料の製造方法。
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- 1998-10-07 JP JP28540998A patent/JP4253878B2/ja not_active Expired - Fee Related
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