JP2000095267A - プラスチック結束タイ及びその製造方法 - Google Patents
プラスチック結束タイ及びその製造方法Info
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Abstract
矛盾する性能を同時に満足するプラスチック結束タイを
提供する。 【解決手段】 熱可塑性合成樹脂を主成分とする配合物
からなる、芯部の役目をする凸面部と羽根部の役目をす
る平面部を有する、幅1.5mm〜20mmのリボン形
状のプラスチック結束タイであって、凸面部の引張り弾
性荷重値が100kgf〜625kgfであり、平面部
の引張り弾性荷重値が20kgf〜120kgfであ
り、凸面部の引張り弾性荷重値が平面部の引張り弾性荷
重値の2倍以上であることを特徴とするプラスチック結
束タイ。
Description
口の結束、ゴミ袋の開封口の結束、栽培植物のつる・茎
の支柱への結束、野菜類の保護結束、電線等線状物の結
束に適した、小さな力で変形でき、しかも強固に結束
し、かつ結束保持状態を長く維持できるリボン形状のプ
ラスチック結束タイ及びその製造方法に関するものであ
る。
ては、例えば図5に示すような針金を芯材として、これ
にPVC、PE、PET等の熱可塑性樹脂を被覆材とし
て押出し被覆した押出し有芯結束タイや図6に示すよう
な芯材を上下より二枚のプラスチックフィルムまたはラ
ミネート紙で被覆した貼り合わせ有芯結束タイがある。
また最近では、例えば実開昭60−190654号公報
に示されているように芯材として針金を用いる代わりに
プラスチックワイヤーを用いたものも提案されている。
と被覆材からなる有芯構造であるため、被覆材と芯材の
接着または溶着不足によって芯材と被覆材が剥離した
り、被覆材の収縮によって、芯材の端末が被覆材より飛
び出したりした場合、使用者の手や被結束物を傷つける
恐れがあるなどの欠点がある他、軽量化できないこと、
金属の芯材を用いる場合は錆の問題から食品関係に使用
できないことなど用途上の制限がある。また、製造工程
においても、被覆材と芯材の2種類の材料保管スペース
が必要であること、被覆材と芯材を接着または溶着しな
ければならないので、接着工程や加熱工程が必要である
こと、被覆材と芯材の接着(溶着)力を規格以上に保つ
必要から工程スピードが制限されること、両者の接着
(溶着)力を測定する検査員が必要であることなど、不
具合点を数多く有している。
SP4797313号公報、特許第2520403号公
報や特開平3−124573号公報にみられるような非
金属重合体捩り結束タイや無芯ツイストタイが本発明の
出願人等により提案され、上市されるに至り上記の有芯
結束タイの欠点を補えるものとして市場より高い評価を
受けている。
プするものである。これらの製品については、結束性に
は特に問題ないものの、変形時の変形しやすさ(例えば
ねじり時のねじり易さ)について、さらなる改善の要望
が日増しに高くなってきている。
をプラスチック成型物で得ようとする場合に、変形に要
する外力の大きさを無視するのであれば、鉄材等の金属
が持つ高い引張り弾性率(JIS K−7161、'9
4,ISO527−1、'93)になるべく近い引っ張
り弾性率、即ち剛性を持つ配合物を作り、これを線状化
すればよいはずである。
ゆる変形保持機能には、このような結束性以外に小さな
力で変形できるという、変形時の柔軟性(変形させ易
さ)が今ひとつのファクターとして加えられなければな
らない。
1.0mmφ〜0.4mmφの針金を使用し、PVCで
被覆した従来の有芯結束タイを例にとって説明すれば、
この有芯結束タイの針金の引張り弾性率は1450kg
f/mm2であり、後述するように本発明において初め
て数値化に成功した結束性能のひとつである変形保持力
は12.7kg/3回捩り〜1.5kg/3回捩りであ
る。そして、もう一つの構成材料である被覆材PVC
(無延伸軟質体)の引張り弾性率は45kgf/mm2
であり、変形保持力は0kg/3回捩りである。
述の欠点を別にすれば、引張り弾性率が高く、結束性に
優れる鉄線を芯材とし、引張り弾性率を低くして結束性
はないが柔軟性に優れる被覆材を羽根部とすることによ
り、言い換えれば引張り弾性率の異なった2つの素材を
組み合わせることにより、互いに矛盾する2つの要求品
質、即ち変形時の柔軟性と変形後の高い結束性が共に必
要であるとする市場の要求品質をクリアしているのであ
る。
ック結束タイにあっては有芯結束タイにおける前述した
欠点は当然克服できるものの、変形時の柔軟性と変形後
の高い結束性(柔軟性と剛性)の付与という相矛盾する
機能を引張り弾性率が同じであるひとつの素材で同時に
満足させなければならないという、言い換えれば軟質プ
ラスチックが一般的に持つ柔軟性と針金が持つ高い結束
性をひとつのプラスチック成型物で引張り弾性率を変え
ることなく同時に付与しなければならないという相矛盾
した宿命を有する結果、結束性を上げれば上げるほど、
変形時の変形し易さ(柔軟性)からは遠のく原因とな
り、変形し易さを強調すればするほど結束タイのもう一
つの重要な機能である結束性を損なう原因となるのであ
る。そして従来の非金属重合体捩り結束タイ等では、ど
ちらかといえば結束性に重きをおいた製品形態となって
いたのである。
のプラスチック結束タイの欠点を解消するために創案さ
れたものであり、その目的は市場が要求する高い変形後
の結束性(剛性)と変形時の変形し易さ(柔軟性)を同
時に有し、それによって小さな力で変形でき、結束保持
状態を良好に維持できるプラスチック結束タイ及びその
製造方法を提供することである。
結束性を有する単なる線状物のみをプラスチック成型物
で得ようとするのであれば、鉄材等の金属が持つ高い引
張り弾性率(JISK−7161、'94,ISO52
7−1、'93)になるべく近い引張り弾性率即ち剛性
を持つプラスチック配合物を作り、これを線状化すれば
よいはずである。しかしながら、この方法では、本発明
の目的とするプラスチック結束タイは得られない。そこ
で本発明者らは、針金等を有芯結束タイの芯材として用
いる場合には、芯材は必ず変形を与えるために加える外
力を考慮すること、即ち加えられる外力に対して変形し
うる程度の線径とする必要があることに着目し、この線
径自体の剛性をみる尺度として引張り弾性荷重という新
しい概念を導入することにより本発明の完成に至ったの
である。
タイ(ビニタイ(登録商標)、(株)共和製)に用いら
れている鉄芯の材料である鉄材の引張り弾性率は145
0kgf/mm2である。そしてこれを少なくとも一般
の人の手で簡単に捩ることができ、しかもしっかりと結
束できるような鉄線(針金)として利用しようとする場
合のその鉄線(針金)の線径は、個人差もあるが略1.
0mmφ〜0.4mmφ、好ましくは0.8mmφ〜
0.4mmφであり、これらを断面積に換算すれば0.
785mm2〜0.126mm2、好ましくは0.50
mm2 〜0.126mm2である。
るとおり、「引張り弾性率×断面積」で表すことができ
るので、1.0mmφ〜0.4mmφ、好ましくは0.
8mmφ〜0.4mmφの鉄線の引張り弾性荷重は略1
138kgf〜183kgf、好ましくは略725kg
f〜183kgfとなる。このことは仮に引張り弾性率
が低くある程度の柔軟性を持つプラスチック成型物であ
っても少なくとも引張り弾性荷重が略725kgf〜1
80kgfの範囲となるよう線径を選択することができ
れば十分な結束性を得ることができるということを示唆
するものである。
m2のプラスチック配合物を得たとした場合、これを十
分な結束性を有するプラスチック結束タイとするには、
上記の引張り弾性荷重値を得る必要があり、そのために
はその断面積が1.45mm 2〜0.366mm2の芯
部線径を有するプラスチック結束タイとすればよい。
要な性能である変形し易さ(柔軟性)を図5,図6に示
す市販の有芯結束タイ(ビニタイ(登録商標)、(株)
共和製)に用いられている被覆材で調べてみると、用い
られている被覆材の引張り弾性率は45kgf/mm2
〜100kgf/mm2であり、断面積(厚み×幅)は
0.84mm2(厚み0.24mm×幅3.5mm)で
あった。従って、この場合の引張り弾性荷重は計算によ
り37.8kgf〜84kgfとなる。
500kgf/mm2のプラスチック配合物を得たとし
た場合、これを十分な変形性(柔軟性)を有するプラス
チック結束タイとするには上記の引張り弾性荷重を得れ
ばよく、そのためには断面積が略0.0756mm2〜
0.168mm2の羽根部を設けることにより得られる
はずである。
材という素材の違いから、それぞれの剛性、即ち引張り
弾性率を変えることができ、この結果芯部にあたる針金
の引張り弾性荷重は羽根部となる被覆材の引張り弾性荷
重に対し2倍以上を有している。この解決には引張り弾
性率が500kgf/mm2のプラスチック配合物を結
束タイとする場合を例にとれば、芯部の断面積を羽根部
の断面積の2倍以上となるように設計することにより、
芯部の引張り弾性荷重を羽根部の引張り弾性荷重の2倍
以上とすることができる。即ち、引張り弾性率を変えな
くてもその断面積を変化させることにより、同様の結果
を得ることができるのである。
で芯部と羽根部を形成するものであっても引張り弾性荷
重という新しい視点でとらえれば異なった素材を用いる
有芯結束タイの芯部と羽根部(被覆材)と同様の性能、
即ち良好な結束性と柔軟性(変形し易さ)を結束タイに
付与できることを見出し、本発明の完成に至ったのであ
る。
弾性荷重は次の式によって得られる。
f/mm2) σ2=ひずみε2において測定された引張り応力(kg
f/mm2) F1=ひずみε1において測定された荷重(kgf) F2=ひずみε2において測定された荷重(kgf) A =試験片の初めの断面積(mm2) を示す。
イとして必要な変形保持性について実験を繰り返して調
べた結果、結束タイとしての変形保持性は、本発明では
じめて測定された変形保持力で示しうることを見出し
た。即ち、例えば、図5に示す市販の有芯結束タイ(ビ
ニタイ(登録商標)、(株)共和製)において、芯径が
1.0mmφ(断面積0.785mm2,引張り弾性荷
重1138kgf/mm 2)の時の変形保持力は12.
7kgf/3回捩り、0.8mmφ(断面積0.50m
m2,引張り弾性荷重725kgf/mm2)では8.
3kgf/3回捩り、0.4mmφ(断面積0.126
mm2,引張り弾性荷重183kgf/mm2)では
1.5kgf/3回捩りの変形保持力を有していた。そ
して、驚いたことに、この変形保持力は芯材の断面積ま
たは引張り弾性荷重と正の相関関係を有していた。ま
た、更に線径を変えた実測値から、同じ素材で芯部と羽
根部を構成するプラスチック結束タイにおいてより良い
結束保持状態を保つには少なくとも500g/3回捩り
以上の変形保持力で変形を保持できる一定以上の断面積
と引張り弾性荷重を有する芯部を形成することが必要で
あることも判明した。
さ100mmのサンプルの両端を揃えて径約20mmの
ループを作り、ループ部を持って3回回転させて結束さ
せ、次いでループ結束部と対向するループカット部をカ
ットし、カットによりできたループ端末を引張り試験機
の上下チャックにセットし、300mm/分の速度で結
束部の張力を測定することにより得ることができる。
うなプラスチック結束タイ及びその製造方法の発明を完
成させた。即ち、本発明は熱可塑性合成樹脂を主成分と
する配合物からなる、芯部の役目をする凸面部と羽根部
の役目をする平面部を有する、幅1.5mm〜20mm
のリボン形状のプラスチック結束タイであって、凸面部
の引張り弾性荷重値が100kgf〜625kgfであ
り、平面部の引張り弾性荷重値が20kgf〜120k
gfであり、凸面部の引張り弾性荷重値が平面部の引張
り弾性荷重値の2倍以上であることを特徴とするプラス
チック結束タイである。また、本発明は熱可塑性合成樹
脂を主成分とする配合物を、配合物に用いられた樹脂が
有する最も高い融点又は軟化点以上の押出温度で、芯部
の役目をする凸面部と羽根部の役目をする平面部を持つ
リボン形状に押出し、次いでその押出し物を100℃以
下に冷却し、更に80℃〜180℃の延伸温度、2.0
倍〜4.0倍の延伸倍率で延伸することを特徴とする前
記プラスチック結束タイの製造方法である。
もしくは結束治具で簡単に変形させることができる(変
形機能)、被結束物を強固に結束できる(結束機
能)、変形した後、変形部分が独りでにほどけない
(変形保持機能)、変形部分を破壊することなしに容
易にほどくことができる(解き戻し機能)などの機能的
性能と、結束時の締め圧によって被結束物を痛めない
(被結束物非損傷機能)、取扱い上の危険がない(使
用者保護機能)、製造メーカー、産地名、品名、用
途、ロットナンバー等の被結束物の表示ができる(表示
機能)、被結束物を区別できる各種の色調を有するこ
とができる(識別機能)などの保護・表示性能とを同時
に満足しようとするものである。
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1は芯部の役目をする凸面部がリボン形状の略中央部
に位置するように形成された本発明のプラスチック結束
タイの一部破断斜視図、図2は芯部の役目をする凸面部
がリボン形状の両端部に位置するように形成された本発
明プラスチック結束タイの一部破断斜視図、図3(a)
は図1に示す本発明のプラスチック結束タイの一使用例
図、図3(b)は図2に示す本発明のプラスチック結束
タイの一使用例図、図4は本発明のプラスチック結束タ
イの一製造工程図、図5,図6は従来の有芯結束タイの
一部破断斜視図、図7は変形保持力の測定方法の略図で
ある。尚、図中1は芯材、2は被覆材、2a,2bは上
下のプラスチックフィルムまたはラミネート紙、3は本
発明のプラスチック結束タイ、3aは芯部の役目をする
凸面部、3bは羽根部の役目をする平面部、4は押出
機、5は押出し口、6は冷却バス、7は第1引取りドラ
ム、8は延伸槽、9は第2引取りドラム、10は巻取り
ドラム、11はループカット部、12はループ結束部、
13はループ端末部、wはプラスチック結束タイの幅、
w1は凸面部の幅、w2は平面部の幅、h1は凸面部の
最大厚さ、h2は平面部の厚さを示す。
束タイ3は、図5,図6に示すような例えば針金の芯材
1をプラスチック樹脂の被覆材2で被覆し、針金の芯部
1とプラスチック樹脂の羽根部で構成した従来の2種の
素材を用いる有芯結束タイとは全く異なり、芯部の役目
をする凸面部3aも羽根部の役目をする平面部3bも同
一材料で構成されている。即ち、本発明のプラスチック
結束タイ3は熱可塑性合成樹脂を主成分とし、これに充
填剤、ステアリン酸亜鉛等の滑剤、フタレート系、アジ
ペート系またはポリエステル系の可塑剤、要すれば結晶
化促進剤、及び顔料等が適宜選択添加された賦形性を付
与しうる配合物より構成されている。
束タイ3はそれ自体で多くの機能を有さなければならな
い。その第1は図3(a),図3(b)に示すように、
結束治具を用いて変形させることは勿論、手でも簡単に
変形させることができる変形機能と、被結束物を強固に
結束できる結束機能を有さなければならない。このため
には、手でもしくは結束治具を用いて容易に変形させる
ことができ、かつ変形させた時、折れたり、割れたり、
ちぎれたりしない柔軟性と結束性を高める剛性とが必要
である。また一方において、第2の機能として、変形部
分が独りでにほどけない変形保持機能を有さなければな
らない。
易に解くことのできる、解き戻し機能を有さなければな
らない。この場合も解き戻すときに折れたり、割れた
り、ちぎれたりしないことが必要である。
能、変形保持機能、解き戻し機能)を有するためには、
変形または解き戻しによる破壊を伴わない柔軟性と結束
性を高める剛性と変形を保持できる変形保持性を有する
ことが必要である。本発明者らはこの点について鋭意研
究した結果、柔軟性と剛性という2つの相矛盾する性質
を同時に有する、変形しやすくしかも強固に結束できか
つ変形保持状態を維持できるリボン形状のプラスチック
結束タイ3に引張り弾性荷重という新しい概念を導入す
ることで解決した。
高分子量ポリエチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ
フェニレンサルファイド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブ
チレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレー
ト樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、
ポリウレタン樹脂等の1種又は2種以上からなる熱可塑
性合成樹脂に無方向性の充填剤、例えば炭酸カルシウ
ム、クレー、ホワイトカーボン、チタン白、硫酸バリウ
ム、亜鉛華等の充填剤を多量に添加した配合物を芯部の
役目をする凸面部3aと羽根部の役目をする平面部3b
とを有するリボン形状に押出した後、無延伸もしくは
2.0倍以下の低延伸倍率で延伸してサンプルを作成し
た。しかしながら、これらの配合及び製造方法で得られ
たものは、製造面では、平面部3bを薄く均一に押し出
すことがかなり困難であり、性能面では、平面部3bに
柔軟性がなく、変形時もしくは解き戻し時に折れやす
く、到底実用に供し得ないものであった。つまり、充填
剤の大量添加によって平面部3bの柔軟性が損なわれる
結果、変形時及び解き戻し時に折れ、割れ、ちぎれが生
じ、変形機能、解き戻し機能が極めて不十分なものにな
った。
び耐屈撓性を高める方法として、ガラス繊維の添加を充
填剤の存在下及び非存在下で試してみた。しかしなが
ら、かかる条件下で得られた延伸物のうち引張り弾性率
が1000kgf/mm2を越えるものは、剛性と強度
が予想以上に強くなりすぎ、手で変形を与えることが困
難なばかりか、無理に変形してもすぐに独りでにもとに
戻るという逆効果を与えた。また、ガラス繊維及び充填
剤を大量に混入した配合物は特定形状のリボン形状物と
するには押出しそのものも困難であった。
等を加えない熱可塑性合成樹脂単体をリボン形状に押出
した後、延伸倍率5倍以上の高延伸倍率で延伸してサン
プルを作成しテストした。しかし、このサンプルも剛性
がありすぎ、変形による破壊は伴わないものの、その剛
性と弾性のため、手で変形させることが困難で、変形さ
せた後でも独りでにもとに戻るという、結束タイとして
の基本的機能(変形機能と変形保持機能)を満足し得な
いものであった。
前記熱可塑性合成樹脂に配合物の強度と柔軟性を損ねる
ことの少ない範囲での充填剤、可塑剤、柔軟剤、結晶化
促進剤、または顔料等を適宜添加して、これを2.0倍
〜4.0倍の延伸倍率で延伸し、一定範囲の引張り弾性
率と特定の寸法形状を付与した場合に、簡単に変形させ
ることができ、かつ容易に解き戻すことができる程度の
柔軟性があり、しかも被結束物を強固に結束することが
でき、さらに変形を保持するに十分な変形保持性を有す
るプラスチック結束タイを得る可能性があることをつき
とめた。
を進め、まず熱可塑性合成樹脂として、超高分子量ポリ
エチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンサ
ルファイド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフ
タレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ
カーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリウレタン
樹脂等を選択し、これらの樹脂の1種又は2種以上を主
成分とする配合物を作り、芯部の役目をする凸面部3a
と羽根部の役目をする平面部3bの寸法(幅と肉厚)を
種々変形させて押し出し、さらに延伸倍率を2.0倍〜
4.0倍の範囲で変えて延伸し、それぞれの引張り弾性
荷重と変形保持力を測定した。
に示す有芯結束タイ、即ち剛性を表す引張り弾性率自体
が異なる芯材1と被覆材(羽根部)2を用いて柔軟性と
剛性を同時に付与する有芯結束タイと異なり、羽根部の
役目をする平面部3bと芯部の役目をする凸面部3aを
同じ配合物で構成する関係上、引張り弾性率は凸面部3
aも平面部3bも共に同じである。そこで本発明は、引
張り弾性荷重が断面積×引張り弾性率で表されることに
注目し、凸面部3aと平面部3bの断面積を変化させる
ことにより、即ち凸面部3aの断面積を大きくし平面部
3bの断面積を小さくして両者に差を設けることによ
り、両者の引張り弾性荷重値を変えて、凸面部3aに剛
性を、平面部3bに柔軟性を与えようとするものであ
る。
と最大厚みh1の平均を直径とした簡易法により、また
算定に精度を期すときは比重法(サンプルg÷サンプル
比重÷サンプル長さ)により算出した。また、平面部3
bの断面積は「平面部の幅w2(またはw−w1)×平
面部の厚みh2」で算出した。また算定に精度を期すと
きは凸面部と同様に比重法を用いた。
4.0倍延伸のPETを主成分とするサンプルでは引張
り弾性率が1000kgf/mm2の値を有し、凸面部
3aの断面積が最大で0.625mm2(厚みh1:
0.785mm、幅w1:1.0mm)、最小で0.2
4mm2(厚みh1:0.50mm、幅w1:0.60
mm)、平面部3bの断面積が最大で0.12mm
2(厚みh2:0.08mm、幅w−w1:1.5m
m)、最小で0.04mm2(厚みh2:0.04m
m、幅w−w1:1.0mm)の寸法形状を有するもの
が得られた。即ち、換算すれば、凸面部3aの引張り弾
性荷重が625kgf〜240kgf、平面部3bの引
張り弾性荷重が120kgf〜40kgf、平面部3b
に対する凸面部3a引張り弾性荷重の倍率、言い換えれ
ば断面積の倍率が15.6倍〜2.0倍のものが得られ
た。また、このサンプルの変形保持力を測定したところ
7.0kg/3回捩り〜2.3kg/3回捩りの強力を
得た。
率3.0倍のサンプルでは引張り弾性率が550kgf
/mm2、凸面部3aの断面積が最大で1.136mm
2(厚みh1:1.0mm、幅w1:1.4mm)、最
小で0.182mm2(厚みh1:0.36mm、幅w
1:0.60mm)、平面部3bの断面積が最大で0.
09mm2(厚みh2:0.06mm、幅w−w1:
1.5mm)、最小で0.036mm2(厚みh2:
0.04mm、幅w−w1:0.9mm)の寸法形状を
有するものが得られた。即ち、換算すれば、凸面部3a
の引張り弾性荷重が625kgf〜100kgf、平面
部3bの引張り弾性荷重が50kgf〜20kgf、平
面部3bに対する凸面部3a引張り弾性荷重の倍率、言
い換えれば断面積の倍率が31.25倍〜2.0倍のも
のが得られた。また、このサンプルの変形保持力を測定
したところ7.0kg/3回捩り〜2.3kgf/3回
捩りの強力を得た。
延伸倍率2.0倍のサンプルでは引張り弾性率が180
kgf/mm2、凸面部3aの断面積が最大で3.47
mm 2(厚みh1:2.0mm、幅w1:2.2m
m)、最小で1.33mm2(厚みh1:1.2mm、
幅w1:1.4mm)、平面部3bの断面積が最大で
0.67mm2(厚みh2:0.04mm、幅w−w
1:16.75mm)、最小で0.11mm2(厚みh
2:0.04mm、幅w−w1:2.75mm)の寸法
形状を有するものが得られた。即ち、換算すれば、この
タイの凸面部3aの引張り弾性荷重が625kgf〜2
40kgf、平面部3bの引張り弾性荷重が120kg
〜20kg、平面部3bに対する凸面部3a引張り弾性
荷重の倍率、言い換えれば断面積の倍率が31.25倍
〜2.0倍のものが得られた。また、このサンプルの変
形保持力を測定したところ7.0kgf/3回捩り〜
2.3kgf/3回捩りの強力を得た。
いて得られた本発明のプラスチック結束タイは断面積が
略0.18mm2〜3.47mm2の芯部の役目をする
凸面部3aと断面積が略0.04mm2〜0.67mm
2の羽根部の役目をする平面部3bを持ち、かつ平面部
3bに対する凸面部3aの引張り弾性荷重の倍率、言い
換えれば断面積の倍率が2倍以上あって、引張り弾性率
が1000kgf/mm2〜180kgf/mm2、変
形保持力が2.0kg/3回捩り以上の力を有すること
によって、小さな力で変形でき、しかも強固に結束で
き、かつ0.5kg/3回捩り以上の変形保持力で変形
保持状態を維持できることがわかった。
1、 '94)が1000kgf/mm2を越えるのも
のはその断面積を最小とした場合でも、剛性が強すぎて
柔軟性がなく、変形させにくかった。一方、引張り弾性
率が100kgf/mm2未満のものは芯部の役目をす
る凸面部3aの柔軟性が大きくなりすぎ、変形保持力が
0.5kg/3回捩り未満となり、変形保持状態が保ち
にくく、少しの外力で簡単にはずれてしまった。またこ
れを克服するため、凸面部の断面積を大きくすることも
試みたが、このために生じる変形しにくさ(ねじりにく
さ)を解消することができなかった。
4に示すような製造工程で製造できるが、結束タイとし
ての機能を満足させるためには、上記配合物を変形させ
易く、しかも強固に結束できかつ変形保持状態を維持で
きる形状、即ち芯部の役目をする凸面部と羽根部の役目
をする平面部を有するリボン形状に形成することが不可
欠である。
(6点温調盤付)、5はギアポンプ装置付き押出口、6
は冷却バス、7は第1の延伸機(第1引き取りドラ
ム)、8は延伸槽、9は第2の延伸機(第2引き取りド
ラム)、10は巻取り機(巻取りドラム)である。
性合成樹脂の1種又は2種以上を主成分とする配合物は
押出口5を経て芯部の役目をする凸面部3aと羽根部の
役目をする平面部3bを持つリボン形状に押出される。
なお、この場合の押出し温度条件は使用樹脂のうち最も
高い融点または軟化点を有する樹脂の融点または軟化点
以上の押出温度で押出しする。
0℃以下の冷却バス6によって100℃以下に冷却され
た後、第1引き取りドラム7に巻かれ、さらに用いる樹
脂の溶融温度より低く、冷却温度よりも高い温度、即ち
略180℃〜80℃の温度を有する延伸槽8を通って、
第2引き取りドラム9に巻かれるが、この際、第1引き
取りドラム7と第2引き取りドラム8とのスピード差に
よって2.0倍〜4.0倍の延伸倍率に延伸される。次
いで巻取り機10で巻取られ、要すれば所望の長さにカ
ットされて、変形しやすくしかも強固に結束できかつ一
定の保持力で変形保持状態を維持できるプラスチック結
束タイ3が得られる。
は、用いる樹脂の融点または軟化点により適正な押出し
温度条件を定めなければならないが、例えば、ポリフェ
ニレンサルファイド樹脂を主成分とする配合物の場合に
おいては、押出機第1ゾーン温度250℃以上、第2ゾ
ーン265℃以上、第3ゾーン280℃以上、第4ゾー
ンならびにヘッド及びダイス温度300℃以上、ポリエ
チレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレー
ト樹脂を主成分とする配合物では押出機第1ゾーン温度
235℃以上、第2ゾーン250℃以上、第3ゾーン2
65℃以上、第4ゾーンならびにヘッド及びダイス温度
285℃以上、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ポリアセタール樹脂を主成分とする配合物において
は押出機第1ゾーン温度210℃以上、第2ゾーン22
5℃以上、第3ゾーン240℃以上、第4ゾーンならび
にヘッド及びダイス温度260℃以上、超高分子量ポリ
エチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂
を主成分とする配合物では押出機第1ゾーン温度160
℃以上、第2ゾーン200℃以上、第3ゾーン230℃
以上、第4ゾーンならびにヘッド及びダイス温度245
℃以上が必要である。またこれら形成物の冷却温度は1
00℃以下、延伸温度は150℃〜80℃、延伸倍率
2.0〜4.0倍が適当である。
〜4.0倍に延伸して、表2の寸法形状を有するサンプ
ル1−1〜1−16を得た。またこれらの性能を調べた
結果は表3の通りであった。なお、変形保持力及び解き
戻し性は以下のようにして測定した。
揃えて、径約20mmのループを作り、ループ部を持っ
て3回回転させて結束させる。次にループ結束部12と
対向するループカット部11をカットし、カットにより
できたループ端末を引張試験機の上下チャックにセット
し、張力300mm/分を測定する。
もらい、作業毎に解き戻し性が「大変良い」を優、「良
い」を良、「やや良い」を可、「悪い」を不可とした。
なお、評価は5名中の最も悪い評価をそのサンプルの評
価とした。
2.75倍に延伸して、凸面部3aの断面積が0.56
7mm2(厚みh1:0.9mm、幅w1:1.0m
m)、平面部3bの断面積が0.28mm2(厚みh
2:0.07mm、幅w−w1:4.0mm)、凸面部
の断面積に対する平面部の断面積の倍率が2.0倍の各
サンプルを得た。またこれらの性能を調べた結果は表5
の通りであった。なお、変形保持力及び解き戻し性は実
施例1と同じようにして測定した。
明のプラスチック結束タイは変形させやすく、しかも強
固に結束でき、かつ変形保持状態を維持できるなど、結
束タイとしての機能を十分に満足できるものであった。
ように構成されているので、以下のような効果を奏す
る。 変形させ易さと強固な結束性、即ち柔軟性と剛性とい
う2つの相矛盾する性能を1つの成型品の中で同時に満
足することができる。 変形保持が良く、結束保持状態を長く維持できる。 軽量化できる。 安全性が高い。 錆からの解放を図ることができる。 透明品を得ることができる。 製造工程の省力化ができる。 容易に製造できる。
部に位置するように形成された本発明のプラスチック結
束タイの一部破断斜視図である。
に位置するように形成された本発明のプラスチック結束
タイの一部破断斜視図である。
イの一使用例図であり、(b)は図2に示す本発明プラ
スチック結束タイの一使用例図である。
である。
ート紙 3 本発明プラスチック結束タイ 3a 芯部の役目をする凸面部 3b 羽根部の役目をする平面部 4 押出機 5 押出口 6 冷却バス 7 第1引取りドラム 8 延伸槽 9 第2引取りドラム 10 巻取りドラム 11 ループカット部 12 ループ結束部 13 ループ端末部 w プラスチック結束タイの幅 w1 凸面部の幅 w2 平面部の幅 h1 凸面部の最大厚さ h2 平面部の厚さ
Claims (7)
- 【請求項1】 熱可塑性合成樹脂を主成分とする配合物
からなる、芯部の役目をする凸面部と羽根部の役目をす
る平面部を有する、幅1.5mm〜20mmのリボン形
状のプラスチック結束タイであって、凸面部の引張り弾
性荷重値が100kgf〜625kgfであり、平面部
の引張り弾性荷重値が20kgf〜120kgfであ
り、凸面部の引張り弾性荷重値が平面部の引張り弾性荷
重値の2倍以上であることを特徴とするプラスチック結
束タイ。 - 【請求項2】 凸面部の断面積が0.18mm2〜3.
47mm2であり、平面部の断面積が0.04mm2〜
0.67mm2であり、かつ凸面部の断面積が平面部の
断面積の2倍以上であることを特徴とする請求項1記載
のプラスチック結束タイ。 - 【請求項3】 500g/3回捩り以上の変形保持力で
結束保持状態を維持できることを特徴とする請求項1又
は2記載のプラスチック結束タイ。 - 【請求項4】 配合物が超高分子量ポリエチレン樹脂、
ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹
脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹
脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネー
ト樹脂、ポリアセタール樹脂及びポリウレタン樹脂から
なる群から選択される少なくとも一つの熱可塑性合成樹
脂を主成分としていることを特徴とする請求項1〜3の
いずれか記載のプラスチック結束タイ。 - 【請求項5】 凸面部がリボン形状の略中央部に位置す
るように形成されていることを特徴とする請求項1〜4
のいずれか記載のプラスチック結束タイ。 - 【請求項6】 凸面部がリボン形状の両端部に位置する
ように形成されていることを特徴とする請求項1〜5の
いずれか記載のプラスチック結束タイ。 - 【請求項7】 熱可塑性合成樹脂を主成分とする配合物
を、配合物に用いられた樹脂が有する最も高い融点又は
軟化点以上の押出温度で、芯部の役目をする凸面部と羽
根部の役目をする平面部を持つリボン形状に押出し、次
いでその押出し物を100℃以下に冷却し、更に80℃
〜180℃の延伸温度、2.0倍〜4.0倍の延伸倍率
で延伸することを特徴とする請求項1〜6のいずれか記
載のプラスチック結束タイの製造方法。
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---|---|---|---|
JP27073798A JP4338241B2 (ja) | 1998-09-25 | 1998-09-25 | プラスチック結束タイ及びその製造方法 |
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Family Applications (1)
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JP27073798A Expired - Lifetime JP4338241B2 (ja) | 1998-09-25 | 1998-09-25 | プラスチック結束タイ及びその製造方法 |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005035381A1 (ja) * | 2003-10-14 | 2005-04-21 | Kyowa Limited | ノンメタリックツイストタイ |
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KR101045489B1 (ko) | 2003-10-14 | 2011-06-30 | 가부시키가이샤 교와 | 비금속 트위스트 끈 |
CN112724675A (zh) * | 2020-12-29 | 2021-04-30 | 富海(东营)新材料科技有限公司 | 一种聚苯硫醚复合材料及其制备方法 |
-
1998
- 1998-09-25 JP JP27073798A patent/JP4338241B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (8)
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US7363686B2 (en) | 2003-10-14 | 2008-04-29 | Kyowa Limited | Non-metallic twist tie |
JP4564448B2 (ja) * | 2003-10-14 | 2010-10-20 | 株式会社共和 | ノンメタリックツイストタイ |
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