JP2000091362A - 圧接型半導体装置およびその製造方法 - Google Patents
圧接型半導体装置およびその製造方法Info
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Abstract
きるようにした圧接型半導体装置を提供することにあ
る。 【解決手段】 半導体基体5の両主面に電極6a,6c
を設けた半導体素子1と、前記半導体素子の両面に設け
た熱緩衝板2a,2cと、熱緩衝板の外側に設けたポス
ト電極3a,3cとを有し、ポスト電極を介して上下方
向から加圧する圧接型半導体装置において、熱緩衝板と
ポスト電極とを接合一体化し、かつ、ポスト電極の熱緩
衝板と接合する一方の面側を格子状の溝4a,4cによ
り複数の接合面3dに分割したことを特徴とする。
Description
関わり、特に圧接力と接触熱抵抗を低減した圧接型半導
体装置に関する。
に示すように、半導体基体5の主表面に電極6a,6c
を設けた半導体素子1と、半導体素子1の上下に位置
し、モリブデンまたはタングステンからなる熱緩衝板2
a,2c、さらに、この各々の熱緩衝板2a,2cの外
側に位置するポスト電極3a,3cから構成されてい
る。これらの部材は絶縁性材料で作られた円筒形容器8
内に収納され、この円筒形容器8は金属製フランジ9
a,9cを介してポスト電極3a,3cと接合され、そ
の内部は不活性ガスで密封されている。一方、各々のポ
スト電極3a,3cの外側には、半導体素子1から発生
した熱を除去するための図示しない水冷のヒート・シン
クがあり、このヒート・シンクの外側から半導体装置1
0を加圧することにより各部材を接触させている。
発熱するが、半導体素子1の耐熱温度はせいぜい150
℃程度であることから、半導体素子1の上下に位置した
ヒート・シンクから除熱し、いかに半導体素子1の温度
上昇を抑えるかが技術的な大きな課題となっている。特
に、半導体素子の大形化や大容量化に伴い発熱量は増大
する傾向にあり、今後の大形・大容量の半導体装置の実
用化には半導体素子の冷却が極めて重要であると言え
る。
ような積層構造であり、各部材の接触部では必ず接触熱
抵抗が存在する。この接触熱抵抗は圧接力に依存し、圧
接力が大きくなるにしたがって低下する傾向を示すこと
が知られている。そのため、上記の圧接型半導体装置は
一般に50kgf/cm2以上の圧接力で上下方向から
加圧する必要が有り、そのための大型の加圧機構が不可
欠となっている。
た場合でも接触熱抵抗はゼロにはならず、半導体装置を
冷却するための大型の冷却ユニットも不可欠になってい
る。
の圧接力や接触熱抵抗を低減する方法については幾つか
提案されている。例えば特開平5−304179号公報
では半導体素子に接する熱緩衝板に、同心円状の溝を加
工することにより応力の均一化を図っている。一般に圧
接面の端部では圧接応力が高く、逆に中央部では低くな
るため、中央部の接触熱抵抗を低減させるために必要な
応力(約50kgf /cm2)を付加するためには、端
部で応力が高くなる分たけ過大な圧接力を加える必要が
ある。しかし、このような方法により端部での応力集中
を緩和することにより、圧力の均一化を図ることで圧接
力を低減させることができる。しかし、低減される圧接
力はせいぜい10〜15%程度であり、かつ、接触熱抵
抗に関しては全く低減することができない。
半導体素子の表裏面に熱緩衝板を接合することにより圧
接力の低減と接触熱抵抗の低減を図っている。本方法で
は半導体素子と熱緩衝板の間の接触熱抵抗がほぼゼロに
なり、半導体装置の熱抵抗の低減には有効である。しか
し、熱緩衝板と半導体素子では熱膨張率が異なるため、
熱緩衝板と半導体素子との接合時における加熱や、使用
時の熱サイクルにより熱応力が発生し、脆性的な半導体
素子が破壊する可能性が高い。このような半導体素子に
作用する熱応力を低減させるためには、接合温度の低温
化とともに熱緩衝板の厚さを薄くすることが有効であ
る。しかし、接合温度の低温化には限界があり、実際に
は熱緩衝板の厚さを薄くすることで対応する必要があ
る。その結果、従来では剛性の高い熱緩衝板により、半
導体基体に作用する外部からの圧接力を均一化すること
ができたが、熱緩衝板の厚さが薄くなることにより剛性
が低下し、不均一な圧接力が半導体基体に作用し、半導
体素子が破損する可能性が高い。
で、半導体基体の温度分布や圧力分布の均一性を保つこ
とで半導体装置の高い信頼性を維持し、かつ、接触熱抵
抗および圧接力を著しく低減させた、圧接力半導体装置
およびその製造方法を提供することにある。
体基体の両主面に電極を設けた半導体素子と、前記半導
体素子の両面に設けた熱緩衝板と、熱緩衝板の外側に設
けたポスト電極堵を有し、ポスト電極を介して上下方向
から加圧する圧接型半導体装置において、熱緩衝板とポ
スト電極とを接合一体化し、かつ、ポスト電極の熱緩衝
板との接合する一方の面側を格子状の溝により複数の接
合面に分割したことを特徴とする。
たわみが低減されるとともに、接触熱抵抗を低減させる
ための圧接力を低減させることができる。
て、前記ポスト電極の熱緩衝板との接合面側に形成した
格子状の溝は、前記ポスト電極の他方の面に貫通せず、
かつ、ポスト電極の中心線に対して対称の位置に形成さ
れていることを特徴とする。
に生じる変形や応力が均一化されることになる。
の発明において、前記ポスト電極において、熱緩衝板と
接合する一方の面側に形成した格子状の溝によって区切
られた1つの接合面の一辺の長さが30mm以下である
ことを特徴とする。
を、剥離面積の少ない、良好な状態で接合一体化するこ
とが可能となる。
れかに記載の発明において、前記ポスト電極の格子状の
溝によって区切られた接合面のコーナー部には幅が0.
2mm以上、好ましくは0.5mm以上の面取りが形成
されていることを特徴とする。
の熱伝導面積の大幅な減少を招くことなく、接合面の端
部での応力集中を緩和し、良好な接合状態を得ることが
できる。
れかに記載の発明において、前記ポスト電極の熱緩衝板
との接合面側に形成した格子状の溝に対して、前記ポス
ト電極の厚さから前記格子状の溝の深さを差し引いた、
ポスト電極の残部厚さが、5mm以下であることを特徴
とする。
ト・シンクとの密着性の向上を計りつつ、接合時や組立
時に小さな外力による不要な変形を低減することができ
る。
れかに記載の発明において、前記ポスト電極の熱緩衝板
と接合する一方の面側に形成した格子状の溝の幅が0.
5mm以上であることを特徴とする。
く、しかも接合時にろう材が溝を埋めて熱応力緩和効果
が低減するのを防止することができる。
れかに記載の発明において、前記ポスト電極の厚さに対
する前記熱緩衝板の厚さの比が、0.05以上であるこ
とを特徴とする。
得ることができる。
れかに記載の発明において、前記熱緩衝板とポスト電極
との接合体において、半導体素子と接触する熱緩衝板側
の表面粗さと、ヒートシンクと接するポスト電極側の表
面粗さが6μm以下であることを特徴とする。
接合一体化することと相俟って接触熱抵抗を大幅に低減
することができる。
れかに記載の発明において、前記ポスト電極の材質が
銅、またはアルミニウム、またはこれらの金属を主成分
とする合金で、前記熱緩衝板の材質がタングステン、ま
たはモリブデン、またはこれらの金属を主成分とする合
金であることを特徴とする。
接合一体化に際して発生する熱応力とひずみを緩和する
ことができ、熱緩衝板は外部からの圧力を半導体素子に
均一に伝達することが可能となる。
ずれかに記載の発明において、前記ポスト電極と前記熱
緩衝板との接合部に、前記ポスト電極と前記熱緩衝板と
の中間の熱膨張率を有する材料を挿入することを特徴と
する。
接合界面に熱疲労による割れや剥離が発生するのを抑制
することができる。
発明において、前記ポスト電極と前記熱緩衝板との接合
部に挿入する、前記ポスト電極と前記熱緩衝板との中間
の熱膨張率を有する材料は、前記ポスト電極に形成した
格子状の溝によって区切られた熱緩衝板と接合する一方
の面に合わせて分割されることを特徴とする。
接合界面に熱疲労による割れや剥離が発生するのをポス
ト電極と熱緩衝板との接合部に挿入する材料を分割しな
い場合に比べて大幅に低減することができる。
に電極を設けた半導体素子と、前記半導体素子の両面に
設けた熱緩衝板と、熱緩衝板の外側に設けたポスト電極
とを有し、ポスト電極を介して上下方向から加圧する圧
接型半導体装置の製造方法において、上記ポスト電極と
熱緩衝板とを接合一体化して接合体とする工程と、接合
体を加圧してたわみを付与する工程とを具備したことを
特徴とする。
ための圧接力を低減することができる。
おいて、前記接合体には熱緩衝板側が凹状になるたわみ
が付与されることを特徴とする。
ための圧接力をより一層、低減することができる。
明による圧接型半導体装置の構造を示す。圧接型半導体
装置は、半導体基体5の両主面に電極6a,6cを設け
た半導体素子1と、電極6a,6cの上下に位置し、モ
リブデンやタングステンからなる熱緩衝板2a,2c
と、この各々の熱緩衝板2a,2cの外側に位置するポ
スト電極3a,3cとがたとえばろう付けなどの手段に
よって接合一体化された接合体7a,7cとから構成さ
れている。
形容器8内に収納され、この円筒形容器8は金属製フラ
ンジ9a,9cを介してポスト電極3a,3cと接合さ
れ、その内部は不活性ガスで密封されている。
電極3a,3cとの接合体7a,7cの外側には、半導
体素子1から発生した熱を除去するための図示しない水
冷のヒートシンクがあり、このヒートシンクの外側から
同じく図示しない外部加圧機構により半導体装置10を
加圧することで各部材を接触させている。
cと接合する一方の面側には、図2(a)〜(b)に示
すようにポスト電極3a,3cの厚さ方向に格子状の溝
4a,4cを加工することで、矩形状の複数の接合面3
dが分割形成されており、上記格子状の溝4a,4cに
より熱緩衝板3a,3cとポスト電極2a,2cを接合
する際の加熱や、使用時に熱サイクルが負荷された場合
に、接合体7a,7cで発生する熱応力やたわみを低減
している。
状の溝4a,4cは接合による変形や応力を均一化する
ために、ポスト電極3a,3cの中心線に対して対称形
が望ましく、このような観点から、溝4a,4cの形態
は図2(a)に示すような格子状が適している。なお、
図1に示したようにポスト電極3a,3cはフランジ9
a,9cを介して絶縁性容器8と接合され、半導体装置
10内を密封状熊にするため、格子状の溝4a,4cは
ポスト電極3a,3cの外表面である他方の面までは到
達しないことが必要である。
本発明による半導体装置の構造を模擬し、直径100m
m、厚さ約1mmの半導体素子1の上下に、直径90m
m、厚さ約2mmのモリブデン製熱緩衝板2a,2c
と、同じく直径80mm、厚さ約20mmの純銅製ポス
ト電極3a,3cとを接合した接合体7a,7cを積層
し、外部から50kgf/cm2の圧力で圧接した場合
における半導体装置10の接触熱抵抗を測定した結果を
示す。また、図中には比較例として、図11に示した従
来構造を模擬し、直径90mm、厚さ約2mmのモリブ
デン製熱緩衝板2a,2cと、直径80mm、厚さ約2
0mmの純銅製ポスト電極3a,3cとを接合しない状
態で積層し、同じく外部から50kgf/cm2の圧力
で圧接した場合における半導体装置の接触熱抵抗を測定
した結果も併せて示す。
cとポスト電極3a,3cとを一体化することにより、
半導体装置10の接触熱抵抗を従来の1/3以下に低減
できることがわかる。
場合と同じく、本発明による半導体装置の構造と従来の
半導体装置の構造について、従来構造と同じ接触熱抵抗
を得るために必要な圧接力を測定した結果を示す。図4
の結果から、接触熱抵抗を低減させるために最も大きな
圧接力を必要とする熱緩衝板2a,2cとポスト電極3
a,3cとの接触面を接合一体化することにより、圧接
力は従来構造の1/3程度に低減できることがわかる。
図4に示した本発明によりポスト電極3a,3cの熱緩
衝板2a,2cと接合する一方の面側に格子状の溝4
a.4cを形成し、熱緩衝板2a,2cと接合した場合
の割れ発生状況を示す。
m、厚さ20mmの純銅、熱緩衝板には直径90mm、
厚さ2mmのモリプデンを用い、ポスト電極に形成した
格子状の溝により複数の接合面に分割された熱緩衝板と
接合する一方の面の上記接合面大きさの一辺の長さ(以
下、格子サイズと言う、図2(b)のD)を5mmから
100mm(格子上の溝の加工なし)と変えて接合試験
を実施した。
チタンを添加した活性金属ろう材と、通常の銀ろう材の
2種類で、接合(ろう付け)温度を700℃から900
℃と変えて実施した。なお、活性金属ろう材は銀ろう材
に比べて融点が若干高いため、接合温度も若干高めにな
っている。また、表1では接合部を超音波により検査
し、剥離している領域の面積から表1に示すような4段
階に分けて記述した。
接合した試験体では、いずれの接合材料でも、全ての結
合温度で評価が×になった。これは、主としてポスト電
極と熱緩衝板の熱膨張差が大きいため外周部の近傍に応
力集中を生じ、外周部から発生した割れが接合界面に沿
って内部に進展したためである。
と接合する一方の面側に格子状の溝を加工した場合で
は、上記の従来方法に比べて剥離面積は減少する傾向を
示しており、接合材として銀ろうを用いた場合では、格
子サイズを30mm以下にすることにより、概ね良好な
接合状態が得られることがわかる。したがって、ポスト
電極に加工ずる格子サイズは30mm以下に設定する必
要があることがわかる。また、活性金属ろう材では接合
温度が高いため銀ろう材に比べて大きな熱応力が発生
し、格子サイズが30mmではまだ比較的高い剥離領域
を生じるが、格子サイズを20mm以下にした場合では
比較的良好な接合状態が得られている。活性金属ろう材
は銀ろう材に比べて高い接合強度が得られるため、活性
金属ろう材を使用する場合には、ポスト電極に加工する
格子サイズは20mm以下に設定することが好ましいと
言える。
態)で説明したように、本発明によりポスト電極の熱緩
衝板と接合する一方の面側に格子状の溝を加工し、ポス
ト電極の一方の面を複数の接合面に分割することによ
り、接合面の割れや剥離を防止できることが明らかにな
った。しかし、表1の格子サイズを20mmとし、活性
金属ろう材を用いて850℃で接合した試験体(評価は
Δ)を切断し、割れの発生状況を詳細に調査した結果、
割れ(剥離)は格子状の溝により区切られたポスト電極
と熱緩衝板との接合部の端部に発生しており、一方の面
を小さな接合面に分割しても各接合部の端部には応力集
中が生じることがわかった。
板と接合されるポスト電極のコーナー部に面取り部3e
を形成し、その幅(図2(c)のw)を種々変えて接合
試験を実施した。なお、格子サイズは表1に示した結果
で、比較的良好な接合状態が得られた20mmで行っ
た。
えた接合試験結果を示す。なお、表中の「面取り幅の値
が0」は面取りを施さない場合の結果を示している。同
結果より、いずれの接合条件においても面取りの幅を大
きくするほど応力集中が緩和され、良好な接合状態が得
られることがわかる。しかし、面取りの幅を大きくする
と熱緩衝板からポスト電極への熱伝導面積が減少し、半
導体素子の過熱を引き起こす可能性が高くなるので、過
剰な面取りの幅は好ましくない。表2の結果から、面取
り幅としては0.2mm以上が適正と考えられ、熱負荷
が厳しくない半導体装置については0.5mm以上が好
ましいと言える。
により、ポスト電極に格子状の溝を形成させる目的は、
接合部における熱応力を緩和し割れや剥離の発生を防止
することに加えて、ポスト電極の剛性を低下させて、ポ
スト電極と熱緩衝板とを接合一体化した接合体の変形
(たわみ)を抑制することにある。このポスト電極の剛
性はポスト電極の厚さ(図2(c)のt)から格子状溝
の深さ(図2(c)のt2)を引いた残部の厚さ(図2
(c)のt1)に大きく影響される。そこで、直径80
mm、厚さ20mmの純銅製のポスト電極と、直径90
mm、厚さ2mmのモリブデン製の熱緩衝板を用い、ポ
スト電極に形成する格子サイズを20mmとし、溝の深
さを変えて接合試験を実施した。なお、接合材料は活性
金属ろう材を用い、接合温度は850℃で実施した。
(c)のt1)を変えて熱緩衝板と接合した際の、ポス
ト電極と熱緩衝板との接合体のたわみ量を測定した結果
を示す。同結果より、残部厚さが小さくなるほどポスト
電極の剛性は低下し、たわみ量は減少する傾向を示すこ
とがわかる。また、このように残部厚さを低減させ、接
合体の剛性を低下させることにより、低い圧接力でも接
合体が半導体素子やヒート・シンクと良好な面接触が得
られるという利点も有している。
困難になるとともに、接合時や組立時に小さい外力によ
り容易に変形する可能性が高くなり、残部厚さの過度の
低減は好ましくない。図5の結果、および、圧接時の半
導体素子、ヒート・シンクとの密着性から、残部厚さは
5mm以下、好ましくは2mm以下が適正値と言える。
0mm、厚さ20mmの純銅製のポスト電極と、直径9
0mm、厚さ2mmのMo製の熱緩衝板を用い、ポスト
電極1に形成させる格子サイズを20mmとし、溝の幅
(図2(b)のd)を変えて接合試験を実施した結果を
示す。
を生じやすくなることがわかる。接合試験体の切断調査
を実施した結果、溝の幅が小さいと溶融状態のろう材が
毛管現象により溝の内部を充填し、溝による接合時の熱
応力緩和効果が減少することが判明した。
したろう材の濡れ性や表面張力および接合温度等により
異なるが、本実験の結果から溝の幅は0.5mm以上、
好ましくは1mm以上が必要なことがわかる。なお、溝
の幅が拡がるにつれて熱緩衝板からポスト電極への熱伝
導面積が減少し、半導体素子の過熱を引き起こす可能性
が高くなるので、溝の幅を過剰に拡げることは好ましく
ない。
厚さと熱緩衝板のポスト電極接合体のたわみ量との関係
を示す。図では直径90mmのモリブデン製熱緩衝板
と、同じく直径80mm、厚さ20mm、格子サイズ2
0mm、ポスト電極の残部厚さ5mmの条件で、活性金
属ろう材を用いて850℃で接合後、室温まで冷却した
時に熱緩衝板とポスト電極との接合体に発生したたわみ
量を求めたものである。同図より、接合体に発生するた
わみ量は、熱緩衝板の厚さが厚くなる程低下することが
わかる。
リブデンやタングステンは機械加工性が悪く、たわみ量
が大きい場合には接合体の平行度を出すための機械加工
代が増加する。図6の結果から、熱緩衝板とポスト電極
との厚さの比が0.05以上からたわみ量は徐々に飽和
する傾向を示すことから、熱緩衝板とポスト電極との厚
さの比は0.05以上、好ましくは0.1以上が必要と
考えられる。
した本発明の圧接型半導体装置の構造に従い、直径約1
00mmの半導体素子の上下に、直径90mm、厚さ2
mmのモリブデン製熱緩衝板を、直径80mm、厚さ2
0mmの銅製ポスト電極に接合一体化した接合体を置
き、上下方向から50kgf/cm2の圧力で加圧した
場合の接触熱抵抗値を測定した結果を示す。なお、銅製
ポスト電極の熱緩衝板との接合面には、格子サイズの一
辺の長さ20mm、ポスト電極の残部厚さが5mmとな
るよう溝の深さを設定し、半導体素子と接触する熱緩衝
板の表面粗さと、水冷ヒート・シンクと接するポスト電
極の表面粗さを変えて測定を行った。
板とポスト電極とを接合一体化することだけでも接触熱
抵抗を従来の約1/3に低減できるが、図7に示したよ
うに、接触面の表面粗さを小さくするに従い半導体装置
の接触熱抵抗はさらに低減でき、接触面の表面粗さを
0.5μmにすることにより、半導体装置の接触熱抵抗
を1/6以下に低減できることがわかる。
スト電極に使用する材料を選定するために実施した、代
表的な金属材料について熱抵抗と弾性率を測定した結果
を示す。熱緩衝板とポスト電極からの発熱を抑制するた
めには、これらを電気抵抗の小さい材料で形成すること
が適しており、また、半導体素子の熱をヒート・シンク
で冷却するために熱抵抗の小さい材料が好ましい。この
ような観点から熱緩衝板やポスト電極に使用する材料と
してはステンレス鋼(SUS)やニッケル(Ni)など
は適しておらず、図8に示したような銅(Cu),アル
ミニウム(A1),銀(Ag),金(Au),モリブデ
ン(Mo),タングステン(W)が適している。
らの圧力を均一に半導体素子に伝達するため、弾性係数
が大きいことが重要である。図8より、このような要求
を満たす材料として銅,アルミニウム,銀,金は適して
おらず、タングステンとモリブデンで適していることが
わかる。
板との接合に際して発生する熱応力とひずみを緩和する
ために、弾性係数の小さい材料が好ましく、このような
観点から、逆にタングステンやモリブデンは適しておら
ず、鋼,アルミニウム,銀,金が適していると言える。
なかでも、コスト的な観点から銅およびアルミニウムが
最適と考えられる。
により、ポスト電極に格子状の溝を形成させることによ
り、ポスト電極と熱緩衝板との接合体の割れや剥離およ
びたわみ量を低減できるが、ポス卜電極と熱緩衝板では
熱膨張率が大きく異なるため、大きな残留応力が発生し
ている。半導体装置の使用に際しては繰返し熱負荷がか
かるため、熱サイクルによリポスト電極と熱緩衝板との
接合界面には熱疲労により割れや剥離が発生することが
予想される。
銅、また、熱緩衝板材料としてモリブデンを選定し、両
者の間に熱膨張率が異なる厚さ1mmの板を挿入した場
合に、ポスト電極に発生する熱応力を弾性解析により算
出した結果を示す。なお、図の縦軸にはポスト電極と熱
緩衝板を直接接合した時の熱応力を1とし、熱膨張率が
異なる板を挿入した場合の熱応力値の比を取っている。
同計算結果より、ポスト電極に発生する熱応力は、熱膨
張率がポスト電極に近い板を挿入するほど低下すること
がわかる。
ブデン製熱緩衝板と、直径80mm、厚さ20mmの銅
製ポスト電極を用い、ポスト電極に格子サイズが20m
m、残部厚さが5mmの溝を加工し、両者を接合した場
合(表4の実施例I)、両者の間に直径80mm、厚さ
1mm、熱膨張係数が約11×10−6/℃の銅/タン
グステン合金板を挿入して接合した場合(表4の実施例
II)、およびポスト電極と熱緩衝板の接合部に格子サイ
ズと同じ大きさの20mm×20mmで厚さが1mmの
同材を各接合面に対応させて挿入して接合した場合(表
4の実施例III)の3種類の試験体を製作し、ヒート・
サイクル試験を実施した結果を表4に示す。なお、熱サ
イクル試験は−50℃と150℃の間を繰返し、一定サ
イクル毎に割れおよび剥離状況を超音波により評価し
た。
1×103サイクル後に、接合界面に微細な割れの発生
が確認されたが、分割型試験体では5×103サイクル
後でも割れや剥離は検出されず、中間熱膨張率材料の挿
入による接合部の熱疲労特性の向上が確認された。
たように、本発明によりポスト電極に格子状の溝を加工
し、熱緩衝板と接合した場合でも、両者の熱膨張率との
差によりポスト電極と熱緩衝板との接合体にはわずかな
たわみが発生する。使用時においては接触面における接
触熱抵抗を低減させるために、ポスト電極と熱緩衝板と
の接合体は平行かつ平滑にする必要があり、その分大き
な圧接荷重が必要になる。
ブデン製熱緩衝板と、直径80mm、厚さ20mmの銅
製ポスト電極を用い、ポスト電極に格子サイズが20m
m、残部厚さが5mmの溝を加工し、ポスト電極と熱緩
衝板を接合した試験体を作成した。この段階では、ポス
ト電極と熱緩衝板との接合体には0.6mm程度のたわ
みが生じ、また、熱緩衝板に比べてポスト電極の方が熱
膨張率が大きいため、その接合体はポスト電極側が凹面
形状になっている。
置内に組み込み、図11に示した従来構造の半導体装置
と同じ圧接力(50kgf/cm2)で加圧した時の接
触熱抵抗値と、従来構造の半導体装置と同じ接触熱抵抗
を得るために必要な圧接力を測定した。
接合体を上下方向から加圧し、加圧状熊でその接合体の
上下面が平行・平滑になっているが、除圧後では弾性変
形分がスプリングバックし、約0.2mm程度のたわみ
が残留している。
衝板との接合体を球面座に押しつけ、除圧後には熱緩衝
板側に約0.1mmのたわみを強制的に与えた。つま
り、熱緩衝板側に凹状になる変形を与えた。
例III の接触熱抵抗と圧接力の測定結果を示す。同図で
は実施例Iの場合の接触熱抵抗値と圧接力を基準とし、
実施例IIおよび実施例III の接触熱抵抗と圧接力は実施
例Iの値に対する比で表してある。
値は実施例Iとほぼ同じ値を示しているが、圧接力は実
施例Iの75%程度の値を示しており、加圧変形させる
ことにより圧接力が低減できることが確認された。ま
た、実施例III では接触熱抵抗値は実施例Iの約85
%、圧接力は実施例Iの60%程度の値を示しており、
ポスト電極と熱緩衝板との接合体に、熱緩衝板側に強制
的にたわみを付与することにより、さらに圧接力を低減
できることがわかる。これは球面座上で変形させること
により変形を均一化できるとともに、使用時の温度上昇
によりポスト電極が膨張するため、使用時にはポスト電
極と熱緩衝板との接合体のたわみがほとんどゼロになる
ためである。
さい半導体素子を製造することが可能となり、冷却ユニ
ットの大幅なコンパクト化と低コスト化が可能になる。
さらに、半導体素子を均一に冷却でき、かつ、外部加圧
力を半導体素子に均一に付加することも可能であり、信
頼性の高い半導体装置を製造することができる。
体装置の構造模式図。
いるポスト電極表面に形成する溝の形状模式図。
抵抗を比較したグラフ。
を比較したグラフ。
及ぼす熱緩衝板厚さの影響を示すグラフ。
及ぽす表面粗さの影響を示すグラフ。
と弾性係数とを比較したグラフ。
グラフ。
Claims (13)
- 【請求項1】 半導体基体の両主面に電極を設けた半導
体素子と、前記半導体素子の両面に設けた熱緩衝板と、
熱緩衝板の外側に設けたポスト電極とを有し、ポスト電
極を介して上下方向から加圧する圧接型半導体装置にお
いて、 熱緩衝板とポスト電極とを接合一体化し、かつ、ポスト
電極の熱緩衝板と接合する一方の面側を格子状の溝によ
り複数の接合面に分割したことを特徴とする半導体装
置。 - 【請求項2】 前記ポスト電極の熱緩衝板との接合面側
に形成した格子状の溝は、前記ポスト電極の他方の面に
貫通せず、かつ、ポスト電極の中心線に対して対称の位
置に形成されていることを特徴とする請求項1記載の半
導体装置。 - 【請求項3】 前記ポスト電極において、熱緩衝板と接
合する一方の面側に形成した格子状の溝によって区切ら
れた1つの接合面の一辺の長さが30mm以下であるこ
とを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置。 - 【請求項4】 前記ポスト電極の格子状の溝によって区
切られた接合面のコーナー部には幅が0.2mm以上、
好ましくは0.5mm以上の面取りが形成されているこ
とを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の半導
体装置。 - 【請求項5】 前記ポスト電極の熱緩衝板との接合面側
に形成した格子状の溝に対して、前記ポスト電極の厚さ
から前記格子状の溝の深さを差し引いた、ポスト電極の
残部厚さが、5mm以下であることを特徴とする請求項
1から3のいずれかに記載の半導体装置。 - 【請求項6】 前記ポスト電極の熱緩衝板と接合する一
方の面側に形成した格子状の溝の幅が0.5mm以上で
あることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載
の半導体装置。 - 【請求項7】 前記ポスト電極の厚さに対する前記熱緩
衝板の厚さの比が、0.05以上であることを特徴とす
る請求項1から6のいずれかに記載の半導体装置。 - 【請求項8】 前記熱緩衝板とポスト電極との接合体に
おいて、半導体素子と接触する熱緩衝板側の表面粗さ
と、ヒートシンクと接するポスト電極側の表面粗さが6
μm以下であることを特徴とする請求項1から7のいず
れかに記載の半導体装置。 - 【請求項9】 前記ポスト電極の材質が銅、またはアル
ミニウム、またはこれらの金属を主成分とする合金で、
前記熱緩衝板の材質がタングステン、またはモリブデ
ン、またはこれらの金属を主成分とする合金であること
を特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の半導体
装置。 - 【請求項10】 前記ポスト電極と前記熱緩衝板との接
合部に、前記ポスト電極と前記熱緩衝板との中間の熱膨
張率を有する材料を挿入することを特徴とする請求項1
から9のいずれかに記載の半導体装置。 - 【請求項11】 前記ポスト電極と前記熱緩衝板との接
合部に挿入する、前記ポスト電極と前記熱緩衝板との中
間の熱膨張率を有する材料は、前記ポスト電極に形成し
た格子状の溝によって区切られた熱緩衝板と接合する一
方の面に合わせて分割されることを特徴とする請求項1
0記載の半導体装置。 - 【請求項12】 半導体基体の両主面に電極を設けた半
導体素子と、前記半導体素子の両面に設けた熱緩衝板
と、熱緩衝板の外側に設けたポスト電極とを有し、ポス
ト電極を介して上下方向から加圧する圧接型半導体装置
の製造方法において、 上記ポスト電極と熱緩衝板とを接合一体化して接合体と
する工程と、接合体を加圧してたわみを付与する工程と
を具備したことを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 【請求項13】 前記接合体には熱緩衝板側が凹状にな
るたわみが付与されることを特徴とする請求項12記載
の半導体装置の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25673698A JP3281318B2 (ja) | 1998-09-10 | 1998-09-10 | 圧接型半導体装置およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP25673698A JP3281318B2 (ja) | 1998-09-10 | 1998-09-10 | 圧接型半導体装置およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000091362A true JP2000091362A (ja) | 2000-03-31 |
JP3281318B2 JP3281318B2 (ja) | 2002-05-13 |
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ID=17296738
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP25673698A Expired - Fee Related JP3281318B2 (ja) | 1998-09-10 | 1998-09-10 | 圧接型半導体装置およびその製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11081449B2 (en) | 2016-11-11 | 2021-08-03 | Mitsubishi Electric Corporation | Semiconductor device and method for manufacturing the same and wireless communication apparatus |
CN113299616A (zh) * | 2021-05-06 | 2021-08-24 | 浙江里阳半导体有限公司 | 半导体器件的制造方法 |
-
1998
- 1998-09-10 JP JP25673698A patent/JP3281318B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP3281318B2 (ja) | 2002-05-13 |
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