JP2000087238A - 多色被膜生成方法および耐摩耗性・耐食性多色部材 - Google Patents

多色被膜生成方法および耐摩耗性・耐食性多色部材

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JP2000087238A
JP2000087238A JP25576698A JP25576698A JP2000087238A JP 2000087238 A JP2000087238 A JP 2000087238A JP 25576698 A JP25576698 A JP 25576698A JP 25576698 A JP25576698 A JP 25576698A JP 2000087238 A JP2000087238 A JP 2000087238A
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coating
ion plating
multicolored
coated
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JP25576698A
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Naoaki Kitagawa
直明 北川
Shinichi Okabe
信一 岡部
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性、耐食性などの性能において同等以
上で、ノギスのような測定器に使用した場合の目盛りの
視認性が高く、無公害の表面処理技術を提供する。 【解決手段】 イオンプレーティング法で色の異なる被
膜を2層以上重ねてコーティングし、エッチング法また
はレーザーマーキング法で上層の被膜の一部を除去す
る。すなわち、発色可能な色から下地色、上地色を選択
して上下二層の被膜を生成してから、上層被膜を任意の
パターンで取り去り、下層被膜の色と上層被膜の色と
で、多色を有する部材とする。特に、基材にCrメタル
ボンバード処理をし、N2 ガス雰囲気のTiAl焼結タ
ーゲットによるイオンプレーティング法でTiAlN被
膜をコーティングした上に重ねて、N2 ガス雰囲気のC
r金属ターゲットによるイオンプレーティング法でCr
N被膜をコーティングし、エッチング法またはレーザー
マーキング法で上層のCrN被膜の一部を除去する。前
記CrN被膜の膜厚が、1〜10μmであるとよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面処理技術に関
し、特に、ノギスのような測定器に使用する部材に、多
色被膜を生成し、目盛りの視認性が高い耐摩耗性・耐食
性部材を得る多色被膜生成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】測定器として数多く使用されているノギ
スを構成する部材は、一般的にはSUS420J2を基
材として形成し、耐摩耗性と耐食性を高めるために、厚
さが10μmとなるように、湿式によるクロムメッキ処
理を施している。さらに、測定値を示すための目盛り
は、レーザーマーキング法で熱を加えて、クロムメッキ
被膜の一部を気化して除去し、該クロムメッキ被膜の一
部を酸化して酸化クロムに変化させて黒色を発色させ、
高い視認性の目盛りを有する部材に加工していた。
【0003】しかし、最近の動向として、自然環境を配
慮した低公害の表面処理技術が望まれており、有害薬品
の使用が多い湿式のクロムメッキ処理はこれに反してい
る。
【0004】そこで、湿式のクロムメッキ処理に代わる
低公害で耐摩耗性、薬品に対する耐食性に優れ、発色し
た色の視認性が高くなる表面処理技術が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来広く用
いられてきた湿式のクロムメッキ処理に代わり、耐摩耗
性、耐食性などの性能において同等以上で、ノギスのよ
うな測定器に使用した場合の目盛りの視認性が高く、無
公害の表面処理技術を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の多色被膜生成方
法は、イオンプレーティング法で色の異なる被膜を2層
以上重ねてコーティングし、エッチング法またはレーザ
ーマーキング法で上層の被膜の一部を除去する。
【0007】特に、基材にCrメタルボンバード処理を
し、N2 ガス雰囲気のTiAl焼結ターゲットによるイ
オンプレーティング法でTiAlN被膜をコーティング
した上に重ねて、N2 ガス雰囲気のCr金属ターゲット
によるイオンプレーティング法でCrN被膜をコーティ
ングし、エッチング法またはレーザーマーキング法で上
層のCrN被膜の一部を除去する。前記CrN被膜の膜
厚が、1〜10μmであるとよい。
【0008】または、基材にTiメタルボンバード処理
をし、N2 ガス雰囲気のTiAl焼結ターゲットによる
イオンプレーティング法でTiAlN被膜をコーティン
グした上に重ねて、N2 ガス雰囲気のTi金属ターゲッ
トによるイオンプレーティング法でTiN被膜をコーテ
ィングし、エッチング法またはレーザーマーキング法で
上層のTiN被膜の一部を除去する。前記TiN被膜の
膜厚が、1〜10μmであるとよい。
【0009】また、これらのTiAl焼結ターゲットに
よるイオンプレーティング法で、ターゲット比率が5
0:50〜30:70のTiAl焼結ターゲットを用
い、バイアス電圧を0〜50Vとし、TiAlN被膜の
膜厚が、1〜6μmであることが好ましい。
【0010】また、上記とは異なる組成の被膜や、異な
る組み合わせの上下2層の被膜により、同様の発色を行
う多色被膜生成方法として、基材にTiCN、TiAl
N、LaN、MnNのいずれかからなる黒色セラミック
被膜をコーティングした上に重ねて、TiN、ZrN、
YC2 のいずれかからなる金色セラミック被膜をコーテ
ィングし、エッチング法またはレーザーマーキング法で
上層の金色セラミック被膜の一部を除去する。
【0011】また、基材にTiCN、TiAlN、La
N、MnNのいずれかからなる黒色セラミック被膜をコ
ーティングした上に重ねて、CrN、Cr2 N、Ti
C、ZrCのいずれかからなるクロム色セラミック被膜
をコーティングし、エッチング法またはレーザーマーキ
ング法で上層のクロム色セラミック被膜の一部を除去す
る。
【0012】そして、これらの多色被膜生成方法によ
り、測定器である部材に目盛りを設けて、耐摩耗性・耐
食性部材とする。また、本発明の耐摩耗性・耐食性部材
は、各種の部品として広く適用できる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明で使用するイオンプレーテ
ィング法は、湿式クロムメッキ法に代わる性能を持ち、
自然環境を配慮し、低公害で、量産性が高い表面処理技
術(表面改質技術)として、乾式法によるセラミック硬
質被膜生成技術に属する。乾式法により生成されるセラ
ミック硬質被膜は、表面硬度、耐摩耗性、耐食性を向上
させる点で優れていて、切削工具、金型、刃物、装飾部
品、機械部品や電気部品などの各分野の部品に、幅広く
適用される。
【0014】このセラミック硬質被膜を、比較的低い温
度(200〜500℃)で生成できる方法に、イオンプ
レーティング法がある。該イオンプレーティング法で、
例えばノギスを構成する部材の下地側第1層に、黒色系
のセラミック被膜を形成し、続いて該第1層の上に、湿
式クロムメッキにより発色するのと同色のセラミック被
膜を第2層として形成し、レーザーマーキング法または
エッチング法で、第2層のクロム色のセラミック被膜の
一部を蒸発させるか、または除去する。このようにし
て、第1層の黒色セラミック被膜が見えるようにするこ
とで、従来の湿式クロムメッキ法に代わる無公害の多色
被膜生成方法の発明に達した。
【0015】イオンプレーティング法は、真空中で被膜
を形成させるときに蒸発粒子をイオン化して運動エネル
ギーを増加させる方法で、被膜特性、密着性、反応性を
高められる点で大変優れている。
【0016】イオンプレーティング法にはイオン化の方
法により、直流放電式、高周波励起式、活性化反応性蒸
着式、ホローカソード式、カソードアーク式などがあ
る。
【0017】本発明では、中でもカソードアーク式イオ
ンプレーティング法が好ましい。この方法では、蒸発源
である金属ターゲットを陰極とし、チャンバーを陽極と
して、これらの間にアーク放電を起こさせ、金属蒸気を
イオン化し、反応ガスも該イオンとの衝突によりイオン
化され、両イオンを部材表面に積層させて被膜を形成す
る。例えば窒化膜を形成する場合は、チャンバー内に窒
素原子を含む反応ガスを導入する。カソードアーク式イ
オンプレーティング法は、金属蒸気のイオン化率が高
く、また、複数の蒸発源をチャンバー内の上下左右に設
置できるので、複合被膜形成に向き、大型な部材や複雑
な形状の部材に、均一な厚さの被膜形成、特に硬質被膜
形成に向いている。
【0018】本発明における基材は、基材の熱処理温度
が200℃以上ならほとんどの材質の基材を使用するこ
とができる。SUS420J2のように焼き戻し温度が
200℃以下と低い部材の場合は、コーティング温度が
200℃を超えないようにする必要がある。そのため、
赤外線放射温度計で部材の温度を測定しながら、成膜条
件をコントロールすることが望ましい。
【0019】また、例えば、ノギスに用いる部材の材質
はSUS420J2で、焼き戻し温度が200℃付近な
ので低温でコーティングする必要がある。このような低
温コーティングを行うためには、メタルボンバードを一
定時間行った上で、電流を調整し、コーティング中の部
材の温度を赤外線温度計で監視しながら行うことが好ま
しい。
【0020】色が異なるセラミックコーティングを形成
するのには、公知のイオンプレーティング法により、例
えば二色にするなら、二個の異なるターゲットをセット
し、作製する化合物に応じてガスを選択し、真空チャン
バーに流せばよい。
【0021】発色可能な色としては、例えば以下の色を
発色するのに、いくつかの組成の異なる被膜が考えら
れ、それぞれの被膜の生成は、蒸発源に使用するターゲ
ットおよび雰囲気が異なる。
【0022】クロム色、灰色の発色には、ターゲットを
Crとして、雰囲気をN2 として生成するCrN被膜、
ターゲットをCrとして、雰囲気をN2 として、前記と
条件を変えて生成するCr2 N被膜、ターゲットをTi
として、雰囲気をC22+ArまたはCH4 +Arとし
て生成するTiC被膜、ターゲットをZrとして、雰囲
気をC22+ArまたはCH4 +Arとして生成するZ
rC被膜のいずれかを選択する。
【0023】紫色、黒色の発色には、ターゲットをTi
として、雰囲気をC22+N2 +ArまたはCH4 +N
2 +Arとして生成するTiCN被膜、ターゲットをT
iAlとして、雰囲気をN2 として生成するTiAlN
被膜、ターゲットをLaとして、雰囲気をN2 として生
成するLaN被膜、ターゲットをMnとして、雰囲気を
2 として生成するMnN被膜のいずれかを選択する。
【0024】金色の発色には、ターゲットをTiとし
て、雰囲気をN2 として生成するTiN被膜、ターゲッ
トをZrとして、雰囲気をN2 として生成するZrN被
膜、ターゲットをYとして、雰囲気をC22+Arまた
はCH4 +Arとして生成するYC2 被膜のいずれかを
選択する。
【0025】多色にして、視認性、装飾性を高めるため
に、前記発色可能な色から下地色、上地色を選択して上
下二層の被膜を生成してから、上層被膜を任意のパター
ンで取り去れば、下層被膜の色が浮き出て上層被膜の色
とで、多色を有する部材ができる。
【0026】任意のパターンを形成する方法としては、
マスクを用いて薬品で上層被膜を溶かすエッチング法、
レーザーで最外表面を気化させて上層被膜を取り去るレ
ーザーマーキング法等が知られているが、量産性を考慮
するとレーザーマーキング法が望ましい。
【0027】下地色に黒色、上地色にクロム色を発色さ
せる場合は、黒色被膜として作成が容易で、被膜硬度が
高く、耐熱性が高いTiAlN被膜が望ましい。
【0028】すなわち、TiAlのターゲットを蒸発さ
せて、窒素ガスと反応させて、TiAlN被膜を生成す
る。TiAlのターゲット比率は50:50〜30:7
0の範囲を成膜条件として、バイアス電圧を0〜50V
にすると、視認性が高い黒色を発色させることができ
る。また、TiAlN被膜の内部応力が高いので、厚く
すると被膜が基材から剥離することがあるので、耐摩耗
性も考慮して、1〜6μmの膜厚が望ましい。
【0029】クロム色被膜としては、製造が容易で耐摩
耗、耐食性に優れるCrN被膜が望ましい。
【0030】すなわち、Cr金属ターゲットを蒸発さ
せ、窒素ガスと反応させて、CrN被膜を生成する。C
rN被膜の膜厚は1〜10μmが望ましい。膜厚が1μ
mより薄いと十分な耐摩耗性と耐食性が得られず、10
μmより厚いと、寸法精度が悪くなりコストが上昇す
る。
【0031】下地もしくは上地に、金色を出したいとき
には、被膜作成の容易さ、被膜性能の高さからTiN被
膜が望ましい。Ti金属ターゲットを蒸発させ、窒素ガ
スと反応させて、TiN被膜を生成する。TiN被膜の
膜厚は1〜10μmが望ましい。膜厚が1μmより薄い
と十分な耐摩耗性と耐食性が得られず、10μmより厚
いと、寸法精度が悪くなりコーティング時間が長くな
り、量産性が悪くなりコストが上昇する。
【0032】本発明においては、作製パターンの自由度
の高さや量産性を考えると、レーザー加工が適してい
る。レーザー発振器には、レーザー媒体や発振方法の違
いで各種があるが、小型、制御性、加工性の高さからレ
ーザー媒体に光学結晶を用いる固定レーザーが望まし
い。固体レーザーの中で産業界で広く使用され、製品群
も多いYAGレーザーを使用するのが望ましい。
【0033】YAGレーザーは、イットリウム、アルミ
ニウムおよびガーネットの頭文字をとったもので、これ
らからなる結晶に、ネオジウムをドープしてレーザー媒
質として用いられるもので、Nd:YAGレーザーと呼
ばれ、発振波長は1.064μmである。
【0034】YAGレーザーの発振形態は連続波(C
W)発振、パルス発振、超音波変調素子を使用して連続
波をパルス化する発振(Qスイッチ発振)がある。CW
発振は連続的にアークランプの光で励起して連続波を出
す。パルス発振は、キセノンガスが封入されたフラッシ
ュランプで励起される。Qスイッチ発振は、連続発振器
の中にA.O.素子(Acoustic-Optic Element)を挿入
し、CW発振のパルス化を行う。
【0035】この中で、本発明に適したYAGレーザー
の発振方法として、ランプの価格、低出力、加工性の高
さ、レーザー光を任意のパターンに照射するために、ス
キャンニング性の高さから、YAG(Qスイッチ発振)
レーザーを用いることが望ましい。
【0036】二色でパターンを形成するため、最外表面
の被膜を瞬時に気化させて下層被膜にレーザーの熱で極
端な変色を起こさないようにする必要がある。レーザー
出力、発振周波数、パターンを描くスキャンニング速
度、レーザービーム径で加工条件が決定される。レーザ
ー出力が小さすぎたり、スキャンニング速度が高すぎる
と、パターンが明確に形成できなかったり、下層被膜の
色が薄れたりする。
【0037】レーザー条件は、被膜の融点、気化温度、
膜厚、作業速度、視認性で決定される。膜厚が10μm
以下の窒化膜では、レーザー出力を90〜150Wと
し、スキャンニング速度を120〜200nm/sec
としたパターンは、上層被膜のみを気化できて、視認性
の高いパターンが形成できる。
【0038】(実施例1)最外表面はクロム色にし、目
盛りを黒色にする二色被膜生成を行う部材としてSUS
420J2で作られた全長230mmのノギスを使用し
た。この材質は焼き戻し温度が200℃で、硬度がHR
C52である。表面仕上げは、反射防止のためと外観的
に、#220〜320のホーニング加工が施されてい
る。この部材をエタノールで超音波洗浄した後、カソー
ドアーク式イオンプレーティング装置のチャンバー内に
セットした。イオンプレーティング装置には、二層コー
ティングするために、Cr金属ターゲットとTiAl
(50%:50%)焼結ターゲットを備えた。
【0039】真空チャンバーを2×10-5Torr以下
まで排気した。続いて、−800Vのバイアス電圧を印
加し、母材が200℃を超えないように、クロムメタル
ボンバード処理を行った。次に、N2 ガスを30mTo
rrまで導入し、バイアス電圧を−50VにしてTiA
lN被膜を膜厚4μmにコーティングした。コーティン
グの温度は母材がなまらないように、赤外線放射温度計
で計測しながら、190℃で成膜できるように電流値を
調整した。成膜終了後、再度、N2 ガスを50mTor
rまで導入し、バイアス電圧を−300VでCrN被膜
を膜厚2μmにコーティングした。このときも、成膜温
度が190℃を超えないようにした。
【0040】このようにして二層被膜を形成したノギス
に、レーザーマーキング法で目盛りを刻印した。使用し
たレーザーはYAGレーザーマーキング装置である。
【0041】レーザー出力120W、周波数44kH
z、走査速度200mm/secの条件で加工し、最外
表面はCrNのクロム色で、目盛りに淡い黒色のTiA
lNの色が出せた。レーザーマーキング終了後の被膜性
能は、硬度が704HVであり、湿式のクロムメッキ法
の場合の硬度の613HVを上回った。耐摩耗性は目盛
りの場所を爪で引っかき、砂消しゴムで擦るという試験
を行い、湿式のクロムメッキ法の場合と同等であった。
【0042】(実施例2)最外表面はクロム色にし、目
盛りを黒色にする二色被膜生成を行う部材としてSUS
420J2で作られた全長230mmのノギスを使用し
た。この材質は焼き戻し温度が200℃で、硬度がHR
C52である。表面仕上げは、反射防止のためと外観的
に、#220〜320のホーニング加工が施されてい
る。この部材をエタノールで超音波洗浄した後、カソー
ドアーク式イオンプレーティング装置のチャンバー内に
セットした。イオンプレーティング装置には、二層コー
ティングするために、Cr金属ターゲットとTiAl
(40%:60%)焼結ターゲットを備えた。
【0043】真空チャンバーを2×10-5Torr以下
まで排気した。続いて、−800Vのバイアス電圧を印
加し、母材が200℃を超えないように、クロムメタル
ボンバード処理を行った。次に、N2 ガスを30mTo
rrまで導入し、バイアス電圧を−50VにしてTiA
lN被膜を膜厚3μmにコーティングした。コーティン
グの温度は母材がなまらないように、赤外線放射温度計
で計測しながら、190℃を超えないように電流値を調
整した。成膜終了後、再度、N2 ガスを50mTorr
まで導入し、バイアス電圧を−300VでCrN被膜を
膜厚8μmにコーティングした。このときも、成膜温度
が190℃を超えないようにした。
【0044】このようにして二層被膜を形成したノギス
に、レーザーマーキング法で目盛りを刻印した。使用し
たレーザーはYAGレーザーマーキング装置である。
【0045】レーザー出力120W、周波数44kH
z、走査速度200mm/secの条件で加工し、最外
表面はCrNのクロム色で、目盛りに淡い黒色のTiA
lNの色が出せた。レーザーマーキング終了後の被膜性
能は、硬度が693HVであり、湿式のクロムメッキ法
場合の硬度の613HVを上回った。耐摩耗性は目盛り
の場所を爪で引っかき、砂消しゴムで擦るという試験を
行い、湿式のクロムメッキ法の場合と同等であった。
【0046】(実施例3)最外表面は金色にし、目盛り
を黒色にする二色被膜生成を行う部材としてSUS42
0J2で作られた全長230mmのノギスを使用した。
この材質は焼き戻し温度が200℃で、硬度がHRC5
2である。表面仕上げは、反射防止のためと外観的に、
#220〜320のホーニング加工が施されている。こ
の部材をエタノールで超音波洗浄した後、カソードアー
ク式イオンプレーティング装置のチャンバー内にセット
した。イオンプレーティング装置には、二層コーティン
グするために、Ti金属ターゲットとTiAl(40
%:60%)焼結ターゲットを備えた。
【0047】真空チャンバーを2×10-5Torr以下
まで排気した。続いて、−800Vのバイアス電圧を印
加し、母材が200℃を超えないように、クロムメタル
ボンバード処理を行った。次に、N2 ガスを30mTo
rrまで導入し、バイアス電圧を−50VにしてTiA
lN被膜を膜厚4μmにコーティングした。コーティン
グの温度は母材がなまらないように、赤外線放射温度計
で計測しながら、190℃を超えないように電流値を調
整した。成膜終了後、再度、N2 ガスを50mTorr
まで導入し、バイアス電圧を−300VでCrN被膜を
膜厚2μmにコーティングした。このときも、成膜温度
が190℃を超えないようにした。
【0048】このようにして二層被膜を形成したノギス
に、レーザーマーキング法で目盛りを刻印した。使用し
たレーザーはYAGレーザーマーキング装置である。
【0049】レーザー出力120W、周波数44kH
z、走査速度200mm/secの条件で加工し、最外
表面はTiNの金色で、目盛りに淡い黒色のTiAlN
の色が出せた。レーザーマーキング終了後の被膜性能
は、硬度が704HVであった。耐摩耗性は目盛りの場
所を爪で引っかく、砂消しゴムで擦るという試験を行
い、湿式のクロムメッキ法の場合と同等であった。
【0050】また、二層被膜を形成したノギスに、異な
る仕様のレーザーマーキング法で目盛りを刻印した。使
用したレーザーはYAGレーザーマーキング装置であ
る。
【0051】レーザー出力100W、周波数44kH
z、走査速度180mm/secの条件で加工し、最外
表面はTiNの金色で、目盛りに淡い黒色のTiAlN
の色が出せた。レーザーマーキング終了後の被膜性能
は、硬度が804HVであった。耐摩耗性は目盛りの場
所を爪で引っかき、砂消しゴムで擦るという試験を行
い、湿式のクロムメッキ法の場合と同等であった。
【0052】(実施例4)最外表面は黒色にし、目盛り
を金色にする二色被膜生成を行う部材としてSUS42
0J2で作られた全長230mmのノギスを使用した。
この材質は焼き戻し温度が200℃で、硬度がHRC5
2である。表面仕上げは、反射防止のためと外観的に、
#220〜320のホーニング加工が施されている。こ
の部材をエタノールで超音波洗浄した後、カソードアー
ク式イオンプレーティング装置のチャンバー内にセット
した。イオンプレーティング装置には、二層コーティン
グするために、Ti金属ターゲットとTiAl(40
%:60%)焼結ターゲットを備えた。
【0053】真空チャンバーを2×10-5Torr以下
まで排気した。続いて、−800Vのバイアス電圧を印
加し、母材が220℃を超えないように、チタンメタル
ボンバード処理を行った。次に、N2 ガスを30mTo
rrまで導入し、バイアス電圧を−50VにしてTiA
lN被膜を膜厚4μmにコーティングした。コーティン
グの温度は母材がなまらないように、赤外線放射温度計
で計測しながら、190℃を超えないように電流値を調
整した。成膜終了後、再度、N2 ガスを50mTorr
まで導入し、バイアス電圧を−300VでCrN被膜を
膜厚2μmにコーティングした。このときも、成膜温度
が190℃を超えないようにした。
【0054】このように、二層被膜を形成したノギスに
レーザーマーキングで目盛りを刻印した。使用したレー
ザーはYAGレーザーマーキング装置である。
【0055】レーザー出力140W、周波数44kH
z、走査速度180mm/secの条件で加工し、最外
表面はTiAlNの黒色で、目盛りに金色のTiNの色
が出せた。レーザーマーキング終了後の被膜性能は、硬
度が630HVであった。耐摩耗性は目盛りの場所を爪
で引っかき、砂消しゴムで擦るという試験を行い、湿式
のクロムメッキ法の場合と同等であった。
【0056】(比較例)比較例として、従来技術による
製造方法を行った。全長230mmのノギスの部材はS
US420J2で作られ、焼き戻し温度が200℃で、
硬度がHRC52である。表面仕上げは、反射防止のた
めと外観的に、#220〜320のホーニング加工が施
されている。この上に、湿式のクロムメッキ法により膜
厚10μmの被膜を施した。表面硬度は612HVと低
かった。
【0057】
【発明の効果】本発明の方法によれば、従来広く用いら
れてきた湿式のクロムメッキ法に代わり、表面硬度など
の性能で同等以上で、目盛りの視認性が高い無公害の表
面処理技術を提供できる。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イオンプレーティング法で色の異なる被
    膜を2層以上重ねてコーティングし、エッチング法また
    はレーザーマーキング法で上層の被膜の一部を除去する
    多色被膜生成方法。
  2. 【請求項2】 基材にCrメタルボンバード処理をし、
    2 ガス雰囲気のTiAl焼結ターゲットによるイオン
    プレーティング法でTiAlN被膜をコーティングした
    上に重ねて、N2 ガス雰囲気のCr金属ターゲットによ
    るイオンプレーティング法でCrN被膜をコーティング
    し、エッチング法またはレーザーマーキング法で上層の
    CrN被膜の一部を除去する多色被膜生成方法。
  3. 【請求項3】 前記CrN被膜の膜厚が、1〜10μm
    であることを特徴とする請求項2に記載の多色被膜生成
    方法。
  4. 【請求項4】 基材にTiメタルボンバード処理をし、
    2 ガス雰囲気のTiAl焼結ターゲットによるイオン
    プレーティング法でTiAlN被膜をコーティングした
    上に重ねて、N2 ガス雰囲気のTi金属ターゲットによ
    るイオンプレーティング法でTiN被膜をコーティング
    し、エッチング法またはレーザーマーキング法で上層の
    TiN被膜の一部を除去する多色被膜生成方法。
  5. 【請求項5】 前記TiN被膜の膜厚が、1〜10μm
    であることを特徴とする請求項4に記載の多色被膜生成
    方法。
  6. 【請求項6】 前記TiAl焼結ターゲットによるイオ
    ンプレーティング法は、ターゲット比率が50:50〜
    30:70のTiAl焼結ターゲットを用いることを特
    徴とする請求項2から5のいずれかに記載の多色被膜生
    成方法。
  7. 【請求項7】 前記TiAl焼結ターゲットによるイオ
    ンプレーティング法は、バイアス電圧を0〜50Vにし
    たことを特徴とする請求項2から6のいずれかに記載の
    多色被膜生成方法。
  8. 【請求項8】 前記TiAlN被膜の膜厚が、1〜6μ
    mであることを特徴とする請求項2から7のいずれかに
    記載の多色被膜生成方法。
  9. 【請求項9】 基材にTiCN、TiAlN、LaN、
    MnNのいずれかからなる黒色セラミック被膜をコーテ
    ィングした上に重ねて、TiN、ZrN、YC2 のいず
    れかからなる金色セラミック被膜をコーティングし、エ
    ッチング法またはレーザーマーキング法で上層の金色セ
    ラミック被膜の一部を除去する多色被膜生成方法。
  10. 【請求項10】 基材にTiCN、TiAlN、La
    N、MnNのいずれかからなる黒色セラミック被膜をコ
    ーティングした上に重ねて、CrN、Cr2 N、Ti
    C、ZrCのいずれかからなるクロム色セラミック被膜
    をコーティングし、エッチング法またはレーザーマーキ
    ング法で上層のクロム色セラミック被膜の一部を除去す
    る多色被膜生成方法。
  11. 【請求項11】 請求項1から10のいずれかに記載の
    多色被膜生成方法により、表面に多色被膜が生成された
    ことを特徴とする耐摩耗性・耐食性多色部材。
  12. 【請求項12】 請求項1から10のいずれかに記載の
    多色被膜生成方法により、測定器である基材に目盛りを
    設けたことを特徴とする耐摩耗性・耐食性多色部材。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002146558A (ja) * 2000-11-14 2002-05-22 Toto Ltd マークの表示方法およびその製品
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KR100668984B1 (ko) * 2005-04-27 2007-01-16 주식회사 모젬 다색상이 형성된 무선단말기용 데코판 제조방법
KR101270022B1 (ko) * 2011-01-26 2013-05-31 쿠쿠전자주식회사 전기밥솥용 내솥의 표식 형성방법 및 표식이 형성된 전기밥솥용 내솥
CN111778477A (zh) * 2020-06-17 2020-10-16 深圳市裕展精密科技有限公司 镀膜件、电子设备及镀膜件的制造方法

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