JP2000084457A - 塗布装置 - Google Patents
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Abstract
る水準で、塗膜厚みを基材ウエブ横断方向へ確実に均一
化できる高性能の塗布装置を提供する。 【解決手段】 塗布装置は、バックアップロール14
と、バックアップロール外周面10に対向するノズル端
面16を有した塗布ヘッド18とを備える。塗布ヘッド
18は、少なくともノズル端面16を含む第1部分32
と、第1部分32に隣接する第2部分34とに構造的に
分割され、それら第1部分32と第2部分34とが互い
に一体的に結合される。第1部分32と第2部分34と
は、互いに異なる線膨張係数を有する材料から作製され
る。したがって、塗布ヘッド18の温度を緻密に調節す
ることにより、塗布ヘッド18の各構成要素の機械加工
精度を超える水準の精密な塗膜厚み制御を再現性良く極
めて容易に実施でき、以て塗膜厚みを基材ウエブ横断方
向へ確実に均一化できる。
Description
に塗膜を形成する塗布装置に関し、特に、所定速度で走
行する基材ウエブを担持するバックアップロールと、バ
ックアップロールから離間して配置され、走行する基材
ウエブの表面に塗料を連続的に押出して所定厚みに塗布
する塗布ヘッドとを備えた塗布装置に関する。
続長さを有する基材ウエブの表面に塗料を塗布する方法
として、押出ダイのノズル部分を塗布ヘッドとし、走行
する基材ウエブの表面に塗布ヘッドから高粘度の流体塗
料を連続的に押出して所定厚みの塗膜を形成するいわゆ
るダイ塗布法が知られている。ダイ塗布法は、周知のロ
ール塗布法やカーテン塗布法と異なり、塗料の押出供給
量を調整することにより直接的に塗膜の厚みを制御でき
るので、基材ウエブの表面に長時間に渡って均一厚みの
薄層塗膜を高精度に安定形成しようとする場合に有利で
ある。しかも、ダイ塗布法を実施する塗布装置は一般
に、基材ウエブに塗布されるまでの間に塗料が外気から
実質的に遮断される構成を有するので、特に揮発性溶剤
を含む塗料を用いる場合にも、供給中の塗料の部分乾燥
に起因する色むらや塗膜内欠陥が生じ難い利点がある。
装置は、走行する基材ウエブをバックアップロールによ
って担持し、塗布ヘッドのノズル端面を基材ウエブの表
面から所定距離だけ離した状態で塗料を塗布するバック
アップロール式塗布装置と、走行する基材ウエブを背面
支持せずに、塗布ヘッドのノズル端面に沿って摺動させ
つつ塗料を塗布するいわゆる流体支持式塗布装置とが、
適宜選択して採用されている。
は、塗布ヘッドのノズル端面とバックアップロールに担
持された基材ウエブの表面との間に固定的に画成される
微小な空隙を通して、塗布ヘッドから押出された塗料が
流動しつつ加圧、計量され、その結果、走行する基材ウ
エブの表面に所定厚みの塗膜が連続的に形成される。一
般に、塗布ヘッドのノズル端面は平坦面であり、ノズル
端面の、基材ウエブ走行方向に関する下流端は、塗膜表
面を平滑化するために真直度の高い極めて鋭利なエッジ
に形成されている。このような塗布装置においては、基
材ウエブ上に形成される塗膜の厚みは、塗料の押出供給
量を調整すると同時に、塗布ヘッドとバックアップロー
ルとの間隔を調整することにより制御できる。
面状に形成された塗布ヘッドのノズル端面を基材ウエブ
に押当て、塗布ヘッドから押出される塗料の圧力と基材
ウエブがノズル端面に接触しようとする応力とが平衡し
た状態で基材ウエブとノズル端面との間に画成される微
小な空隙により塗料を加圧、計量して、走行する基材ウ
エブの表面に所定厚みの塗膜を連続的に形成する。した
がって、基材ウエブ上に形成される塗膜の厚みは、塗料
の押出供給量を調整することにより直接的に制御できる
が、このとき、基材ウエブに生じる応力(例えば基材ウ
エブに加わる張力)が塗膜の厚みに多大な影響を及ぼす
ことになる。
ヘッドには、ノズル端面に通ずる塗料供給路が設けら
れ、塗料供給路を介してノズル端面に外部から塗料が供
給される。塗料供給路は、基材ウエブの走行方向に略直
交する横断方向へ広がった形態でノズル端面に開口し、
基材ウエブの表面に所定の横断方向寸法を有した帯状の
塗膜を形成する。このとき、塗膜の厚みを基材ウエブの
走行方向に均一化すると同時に、横断方向へも均一化す
ることが要求される。その目的で従来、塗布ヘッドの塗
料供給路の上流端に流路拡張部を設け、外部から塗料供
給路に供給される塗料を最初に流路拡張部で基材ウエブ
の横断方向へ一様に行き渡らせた後に塗料供給路に流す
ようにしている。この構成によれば、塗料供給路を流れ
る塗料の圧力及び流量分布が塗料供給路全体に渡って均
一化され、その結果、基材ウエブの表面に横断方向へ均
一な厚みを有した塗膜が形成される。
は、基材ウエブを背面支持しないので、塗布作業中に基
材ウエブの表面と塗布ヘッドのノズル端面との間の空隙
寸法が変動し得る。したがって、塗料の供給圧力、塗料
の粘度、基材ウエブのこしや厚み、基材ウエブに生じる
応力(例えば基材ウエブに加わる張力)、ノズル端面の
曲面形状等の諸因子が、塗膜の品質及び塗布作業の安定
性に影響を及ぼす。特に、基材ウエブ上に形成される塗
膜の厚みは、ノズル端面への塗料の供給圧力と基材ウエ
ブに加わる張力との関係で容易に変化するので、上記し
た流路拡張部を設けたとしても、例えばμm オーダの精
密な塗膜厚み制御を行うことは一般に困難である。
置では、塗布作業中に基材ウエブの表面と塗布ヘッドの
ノズル端面との間の空隙寸法がバックアップロールによ
り固定的に維持されるので、基材ウエブ上の塗膜の厚み
は、塗料の供給圧力や基材ウエブに加わる張力等の、塗
布ヘッド及びバックアップロールの構造に無関係な諸因
子の影響を実質的に受けない利点がある。その反面、塗
布ヘッド及びバックアップロールの機械加工精度及び組
立精度が、塗膜の厚み及び品質(厚みの均一性、表面の
平滑性、欠陥の有無等)に直接的に影響を及ぼす。特
に、基材ウエブ横断方向への塗膜厚みの均一性は、塗布
ヘッドの塗料供給路の寸法精度、流路拡張部の形状、及
び塗布作業中のノズル端面と基材ウエブとの間の空隙の
形状の影響を受けることが判っている。
ることは、機械加工によるので限界があり、それにより
例えばμm オーダの精密な塗膜厚み制御を行うことは一
般に困難である。同様に、ノズル端面と基材ウエブとの
間の空隙の形状は、ノズル端面及びバックアップロール
表面の機械加工精度によって変化するものであり、それ
らの機械加工精度を超える範囲で、空隙形状つまり塗膜
厚みを制御することは一般に困難である。また、塗布ヘ
ッドの流路拡張部の形状を最適化することにより塗膜厚
みを基材ウエブ横断方向へ均一化しようとすると、塗料
の種類(特に粘性の相違)に対応した異形状の流路拡張
部を有する多種類の塗布ヘッドを用意しなければなら
ず、設備コストが高騰する危惧がある。
実施するための塗布装置において、制約条件が比較的少
ない従来のバックアップロール式塗布装置における上述
した諸課題を解決し、構成要素の機械加工精度を超える
水準の精密な塗膜厚み制御を実施でき、特に塗膜厚みを
基材ウエブ横断方向へ確実に均一化できる高性能の塗布
装置を提供することにある。
に、請求項1に記載の本発明は、所定速度で走行する基
材ウエブを外周面上に担持して回転するバックアップロ
ールと、バックアップロールから離間して配置され、バ
ックアップロールの外周面に対向するノズル端面及びノ
ズル端面に通ずる塗料供給路を備えて、ノズル端面上に
塗料を連続的に押出供給する塗布ヘッドとを具備し、バ
ックアップロールの外周面と塗布ヘッドのノズル端面と
の間で塗料を計量しつつ、走行する基材ウエブの表面に
所定厚みの塗膜を連続的に形成する塗布装置において、
塗布ヘッドは、少なくともノズル端面を含む第1部分
と、第1部分に隣接する第2部分とを一体に備え、第1
部分と第2部分とが互いに異なる線膨張係数を有する材
料からなることを特徴とする塗布装置を提供する。
1に記載の塗布装置において、塗布ヘッドが、塗布ヘッ
ド自体の温度を制御する温度制御手段を備える塗布装置
を提供する。
明をその実施形態に基づき詳細に説明する。各図面にお
いて、同一又は類似の構成要素には共通の参照符号を付
す。図1に概略で示すように、本発明の一実施形態によ
る塗布装置は、円筒状の外周面10を有し、軸12の周
りで回転するバックアップロール14と、バックアップ
ロール14の外周面10に対向するノズル端面16を有
し、バックアップロール14から離間して配置される塗
布ヘッド18とを備える。バックアップロール14と塗
布ヘッド18とは、前者の外周面10と後者のノズル端
面16との間隔を調整できるよう相対移動可能に、図示
しない機台上に設置される。ただしバックアップロール
14の軸12は、少なくともバックアップロール14の
回転中は静止した一点に保持される。
長さを有する基材ウエブ20は、図示しない貯蔵部から
バックアップロール14に送給され、バックアップロー
ル14の所定区画の外周面10を取り巻いて、図示しな
い送り機構により図示矢印A方向へ所定速度で連続的に
走行する。同時にバックアップロール14は、基材ウエ
ブ20を外周面10上に密着して担持し、軸12の周り
で図示矢印B方向へ円滑に回転する。
を構成するものであり、平坦なノズル端面16と、ノズ
ル端面16に通ずる塗料供給路22とを備える。塗布ヘ
ッド18には、外部のポンプ装置24によって高粘度の
流体塗料が連続的に供給される。塗料は、ポンプ装置2
4の設定流量に従って、塗料供給路22を介してノズル
端面16上に連続的に押出され、ノズル端面16とバッ
クアップロール14の外周面10との間の空間に連続的
に供給される。
方向に略直交する横断方向へ広がった形態でノズル端面
16に開口し、連続供給される塗料により、基材ウエブ
20の表面に所定の横断方向寸法を有した帯状の塗膜を
形成する。塗料供給路22の上流端には、上記横断方向
へ延びる管状の流路拡張部26が設けられる。ポンプ装
置24から塗料供給路22に供給される塗料は、最初に
流路拡張部26で横断方向へ一様に行き渡った後に塗料
供給路22に流れる。それにより、塗料供給路22を流
れる塗料の圧力及び流量分布が塗料供給路22全体に渡
って均一化され、基材ウエブ20の表面に横断方向へ均
一な厚みを有した塗膜を形成できるようになっている。
8のノズル端面16は、塗料供給路22の開口部22a
を基準に、基材ウエブ走行方向Aに関して上流側に位置
する第1端面部分16aと、同下流側に位置する第2端
面部分16bとに分割される。ノズル端面16上に押出
された塗料は、後述するように主として第2端面部分1
6bとバックアップロール14に担持された基材ウエブ
20の表面との間に画成される微小な空隙28(以下、
加圧空隙28と称する)を通して流動しつつ加圧、計量
され、その結果、走行する基材ウエブ20の表面に所定
厚みの塗膜が連続的に形成される。ノズル端面16の第
2端面部分16bの下流端30は、塗膜表面を高精度に
平滑化するために、真直度の高い極めて鋭利なエッジに
形成される。
とは、バックアップロール14の外周面10と塗布ヘッ
ド18のノズル端面16とが、ノズル端面16の第2端
面部分16bの下流端30において、互いに最も近接し
て配置されるような相対位置関係を有する。それによ
り、第2端面部分16bと基材ウエブ20の表面との間
の加圧空隙28は、ノズル端面16の第2端面部分16
bの下流端30において最小寸法G1を示し、かつ、塗
料供給路22の開口部22aを画成する第2端面部分1
6bの上流端において最大寸法G2を示す。このような
加圧空隙28の形状は、塗布ヘッド18のノズル端面1
6と走行中の基材ウエブ20の表面との間で流動する塗
料の流体圧を、第2端面部分16bの下流端30に近づ
くに従って上昇させるように機能し、その結果、基材ウ
エブ20の表面に長時間安定して均一厚みの塗膜を連続
形成できるようにするものである。
ウエブ20の横断方向への塗膜厚みの均一性は、塗布ヘ
ッド18の塗料供給路22の寸法精度、流路拡張部26
の形状、及び塗布作業中のノズル端面16の第2端面部
分16bと基材ウエブ20の表面との間の加圧空隙28
の形状の影響を受ける。しかし、塗料供給路22、ノズ
ル端面16及びバックアップロール表面10の機械加工
精度を向上させることは限界があり、それにより例えば
μm オーダの精密な塗膜厚み制御を行うことは一般に困
難である。また、流路拡張部26の形状を最適化するこ
とにより塗膜厚みを横断方向へ均一化しようとすると、
塗料の種類(特に粘性の相違)に対応した異形状の流路
拡張部26を有する多種類の塗布ヘッド18を用意しな
ければならず、設備コストが高騰する危惧がある。
塗布ヘッド18を、少なくともノズル端面16を含む第
1部分32と、第1部分32に隣接する第2部分34と
に構造的に分割した上で、それら第1部分32と第2部
分34とを互いに一体的に結合して構成している。そし
て、第1部分32と第2部分34とを、互いに異なる線
膨張係数を有する材料から作製することにより、塗布ヘ
ッド18をバイメタル状の構造としている。
をその加工成形時の温度から所望温度に加熱又は冷却す
ることにより、第1部分32と第2部分34とにそれら
の膨張率の差に起因してそれぞれ所望の撓みを生じさせ
ることができる。それにより、第1部分32に属するノ
ズル端面16を変形させ、その結果として加圧空隙28
の形状を変形させることができる。このような加圧空隙
28の変形作用は、塗布ヘッド18の温度制御によるも
のであり、塗布ヘッド18の各構成要素の機械加工精度
を超える水準の精密な塗膜厚み制御を、再現性良く極め
て容易に実施できる。
よれば、例えば機械加工精度や組立精度の低さに起因し
て、加圧空隙28の形状が特に横断方向に関して理想形
状から逸脱し、その結果、通常の塗布作業時に基材ウエ
ブ20の横断方向へ塗膜の厚みがばらついている場合に
は、塗布ヘッド18の温度を緻密に調節して精密な塗膜
厚み制御を行うことにより、塗膜厚みを横断方向へ確実
に均一化することができる。さらに、本実施形態に係る
塗布装置によれば、使用される塗料の性質(特に粘性)
に対して塗布ヘッド18の流路拡張部26の形状が最適
でない場合、また作業現場の温度と塗布装置の使用基準
温度との差により塗布ヘッド18のノズル端面16が微
妙に変形している場合等にも、塗布ヘッド18の緻密な
温度制御により、塗膜厚みを横断方向へ確実に均一化す
ることができる。
うに、バックアップロール14の外周面10の形状が、
横断方向に関して凸面状及び凹面状に湾曲している場
合、例えば塗布ヘッド18の第1部分32を第2部分3
4よりも線膨張係数の小さな材料から形成する。そして
図3(a)の場合、塗布ヘッド18をその加工成形時の
温度から所望温度に加熱して、第1部分32と第2部分
34との膨張率の差によりノズル端面16を横断方向に
関し凹面状に変形させる。同様に図3(b)の場合、塗
布ヘッド18をその加工成形時の温度から所望温度に冷
却して、ノズル端面16を横断方向に関し凸面状に変形
させる。このような塗布ヘッド18の温度調節により、
加圧空隙28の形状を精密に調整し、以て塗膜厚みを横
断方向へ均一化することができる。
示すように、流路拡張部26の形状に起因して基材ウエ
ブ20上に横断方向に関し凸面状及び凹面状に湾曲した
塗膜が形成され得る場合、例えば塗布ヘッド18の第1
部分32を第2部分34よりも線膨張係数の小さな材料
から形成する。そして図4(a)の場合、塗布ヘッド1
8をその加工成形時の温度から所望温度に加熱して、第
1部分32と第2部分34との膨張率の差によりノズル
端面16を横断方向に関し凹面状に変形させる。同様に
図4(b)の場合、塗布ヘッド18をその加工成形時の
温度から所望温度に冷却して、ノズル端面16を横断方
向に関し凸面状に変形させる。このような塗布ヘッド1
8の温度調節により、加圧空隙28の形状を精密に調整
し、以て塗膜厚みを横断方向へ均一化することができ
る。なおいずれの例においても、第1部分32を第2部
分34よりも線膨張係数の大きな材料から形成すること
もできる。その場合、温度調節と加圧空隙28の形状変
更との関係は、上記説明とは逆になる。
分34の好適な材料の組合せとしては、例えばタングス
テンカーバイトとステンレス鋼とを挙げることができ
る。特に、ノズル端面16を含む第1部分32の材料と
しては、タングステンカーバイトの他に、第2部分34
と異なる線膨張係数を有する異種ステンレス鋼、炭素
鋼、セラミックス等の、高精度研磨が可能な種々の硬質
材料を採用することができる。第1部分32と第2部分
34とにそれぞれタングステンカーバイトとステンレス
鋼とを採用する場合、両者の体積比率は、特に材料費を
考慮すれば1:8〜10程度であることが好ましい。ま
た、第1部分32と第2部分34とを互いに一体的に結
合する手段としては、ボルト留め、ピンの打込み、ロウ
付け、接着等、様々な手段を採用することができる。
ヘッド18には、塗布ヘッド18自体の温度を制御する
温度制御手段を設置することができる。図示の温度制御
手段は、塗布ヘッド18の第1部分34の側面に固定的
に設置された流水導管36から構成される。流水導管3
6は、塗布ヘッド18の側面上で横断方向へ延設され、
外部の供給源(図示せず)から、所望温度に調節された
水、油、エチレングリコール溶液等の媒体が流水導管3
6に供給されて循環する。或いは図6(a)及び(b)
に示すように、塗布ヘッド18の第1部分34に流水導
管38を埋設することもできる。
圧空隙28の形状を調節するという観点では、塗布ヘッ
ド18のノズル端面16の第2端面部分16bを含む部
分だけを上記した第1部分32とすることもできる。こ
の場合は図5及び図6に示すように、第2端面部分16
bを含む第1部分32に隣接する第2部分34にのみ、
流水導管36を設置すればよい。また、このような流水
構造以外の温度制御手段として、例えば電熱線等を採用
することもできるが、絶縁構造の追加、局所加熱による
塗布ヘッド18の歪み、可燃性溶剤の蒸気雰囲気での使
用安全性等の問題を考慮すれば、上記した流水構造が好
ましい。
を有した塗布ヘッドを適用可能な他の実施形態による塗
布装置を概略で示す。この塗布装置は、基材ウエブ20
の走行方向Aに関して塗布ヘッド18の上流側に配置さ
れる押えロール40と、同下流側に配置されるガイドロ
ール42とを備える。押えロール40は、バックアップ
ロール14の軸12に略平行な軸44を有し、その円筒
状外周面46とバックアップロール14の外周面10と
の間に、走行する塗布前の基材ウエブ20を挟持して図
示矢印C方向へ円滑に回転する。ガイドロール42は、
バックアップロール14の軸12に略平行な軸48を有
し、その円筒状外周面50をバックアップロール14の
外周面10から十分に離して配置される。ガイドロール
42は、走行する塗料塗布後の基材ウエブ20をその裏
面(塗膜を有しない面)で外周面50上に担持して、軸
48の周りで図示矢印D方向へ円滑に回転する。
14に担持された走行中の基材ウエブ20を、塗布ヘッ
ド18のノズル端面16に対向するバックアップロール
14の外周面10上の所定位置で外周面10から脱離す
るように作用する。図8に拡大して示すように、基材ウ
エブ20がバックアップロール14の外周面10から脱
離される脱離位置Pは、塗布ヘッド18のノズル端面1
6の第2端面部分16bの下流端30よりも基材ウエブ
走行方向Aに関して上流側で、かつ塗料供給路22の開
口部22aを画成する第2端面部分16bの上流端より
も同下流側の領域に対向する外周面10上の区画内に設
定される。
ロール14の外周面10から脱離した基材ウエブ20
を、脱離位置Pからノズル端面16の第2端面部分16
bの下流端30に至る範囲で第2端面部分16bに漸近
的に近づけるように作用する。図示実施形態では、第2
端面部分16bの下流端30において、第2端面部分1
6bと基材ウエブ20との間の加圧空隙28が最小寸法
G1を示す。他方、塗料供給路22の開口部22aを画
成する第2端面部分16bの上流端において、加圧空隙
28は最大寸法G2を示す。
とは、バックアップロール14の外周面10と塗布ヘッ
ド18のノズル端面16とが、ノズル端面16の第2端
面部分16bの上流端と下流端30との間の所定位置
で、互いに最も近接して配置されるように位置決めされ
る。バックアップロール14の外周面10上での基材ウ
エブ20の脱離位置Pは、最小間隔部52を画成するバ
ックアップロール14の外周面10上の位置Qよりも、
基材ウエブ走行方向Aに関して上流に配置される。この
ような位置関係により、バックアップロール14に担持
された基材ウエブ20の表面と、塗布ヘッド18のノズ
ル端面16の第1端面部分16aとの間の空隙は、第1
端面部分16aの基材ウエブ走行方向Aに関して下流端
で最小寸法G3を、また同上流端で最大寸法G4を示
す。したがって図示実施形態では、基材ウエブ20の表
面と塗布ヘッド18のノズル端面16との間の空隙は、
G1<G2<G3<G4の関係を有して画成される。
ノズル端面16の第1端面部分16aの、基材ウエブ走
行方向Aに関する上流側に設けられた減圧室54を備え
る。減圧室54は、ノズル端面16とバックアップロー
ル14の外周面10との間の空間に連通して形成され、
塗布作業中に、外部の減圧装置56の作動により減圧さ
れる。塗布作業中、バックアップロール14に担持され
た基材ウエブ20の表面と塗布ヘッド18のノズル端面
16の第1端面部分16aとの間には、塗料供給路22
から加圧空隙28に供給される塗料が一時的に滞留して
ビード状の溜まり部分を形成する。減圧室54を減圧す
ることにより、基材ウエブ20の走行中にこの塗料の溜
まり部分に巻き込まれる空気を効果的に低減又は排除し
て、溜まり部分を理想のビード形状に安定的に保持する
ことができ、その結果、基材ウエブ20の表面に高品質
の塗膜を安定的に形成することができる。
1の実施形態と同様に、互いに異なる線膨張係数の材料
からなる第1部分32と第2部分34とを一体に備えた
塗布ヘッド18を、その加工成形時の温度から所望温度
に加熱又は冷却することにより、第1部分32に属する
ノズル端面16を変形させ、その結果として加圧空隙2
8の形状を変形させることができる。このような加圧空
隙28の変形作用は、塗布ヘッド18の温度制御による
ものであり、塗布ヘッド18の各構成要素の機械加工精
度を超える水準の精密な塗膜厚み制御を、再現性良く極
めて容易に実施できる。その結果、前述したように、基
材ウエブ20上の塗膜厚みを横断方向へ確実に均一化す
ることができる。
分16aの長さL1=5mm、第2端面部分16bの長さ
L2=8mm、空隙寸法G1=5μm 、塗料供給路22の
基材ウエブ走行方向の内寸=250μm 、バックアップ
ロール外周面10に対する基材ウエブ20の脱離角β=
1度、及び減圧室44の内圧=−0.98kPa (−10
0mmH2O )で構成した。この塗布装置により、50m/
分で走行する厚み50μm のPET(ポリエチレンテレ
フタレート)からなる基材ウエブに、5cpsの粘度を有
する有機顔料分散塗料を塗布し、乾燥後膜厚1.4μm
の塗膜を連続形成した。
形成された塗膜の厚みを、基材ウエブの横断方向に沿っ
て示す。横軸は、基材ウエブ上の塗膜の横断方向距離で
あり、縦軸は塗膜の厚みである。図9(a)の曲線iは
塗布ヘッド18の温度制御を行わない常温状態での塗膜
の厚みを、曲線iiは塗布ヘッド18を冷却したときの塗
膜の厚みを、曲線iii は塗布ヘッド18を加熱したとき
の塗膜の厚みをそれぞれ示す。また図9(b)は、塗布
ヘッド18を最適温度に調節したときの塗膜の厚みを示
す。各図から判るように、塗布ヘッド18の緻密な温度
調節により、基材ウエブの塗膜厚みを横断方向へμm オ
ーダで高精度に均一化できることが確認された。
によれば、ダイ塗布法を実施するための塗布装置におい
て、バックアップロール式塗布装置の各構成要素の機械
加工精度を超える水準での精密な塗膜厚み制御を実施で
き、特に塗膜厚みを基材ウエブ横断方向へ確実に均一化
できる高性能の塗布装置が提供される。
塗布対象の基材ウエブと共に概略で示す正面図である。
る。
側面図で、異なる温度制御によるノズル端面の変形形態
をそれぞれ(a)、(b)に示す。
拡大側面図で、異なる温度制御によるノズル端面の変形
形態をそれぞれ(a)、(b)に示す。
実施形態の図で、(a)側面図、及び(b)正面図であ
る。
の実施形態の図で、(a)側面図、及び(b)正面図で
ある。
を、塗布対象の基材ウエブと共に概略で示す正面図であ
る。
る。
で、(a)常温、低温、高温の各状態での塗膜面、及び
(b)最適温度状態での塗膜面を示す。
Claims (2)
- 【請求項1】 所定速度で走行する基材ウエブを外周面
上に担持して回転するバックアップロールと、該バック
アップロールから離間して配置され、該バックアップロ
ールの該外周面に対向するノズル端面及び該ノズル端面
に通ずる塗料供給路を備えて、該ノズル端面上に塗料を
連続的に押出供給する塗布ヘッドとを具備し、該バック
アップロールの該外周面と該塗布ヘッドの該ノズル端面
との間で塗料を計量しつつ、走行する基材ウエブの表面
に所定厚みの塗膜を連続的に形成する塗布装置におい
て、 前記塗布ヘッドは、少なくとも前記ノズル端面を含む第
1部分と、該第1部分に隣接する第2部分とを一体に備
え、該第1部分と該第2部分とが互いに異なる線膨張係
数を有する材料からなることを特徴とする塗布装置。 - 【請求項2】 前記塗布ヘッドが、該塗布ヘッド自体の
温度を制御する温度制御手段を備える請求項1に記載の
塗布装置。
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-
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