JP2000084046A - 複合輸液容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 組み立て工程が簡素化でき、且つ衛生防疫
性、収納性及び易廃棄性に優れた複合輸液容器の提供。 【解決手段】 内部に液体状の薬剤を収納し、外部から
の押圧により連通可能な封止部５を有する密封された可
撓性容器１と、少なくとも一つの他の薬剤を収納する、
外圧により開封することが可能な弱シール１０で少なく
とも一辺がシールされた可撓性容器６と、前記封止部５
と弱シール部１０間を連通させる連通部材４とからなる
複室輸液容器。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は点滴注射等に用いら
れる複合輸液容器に関する。更に詳しくは希釈用または
溶解用の液体（本発明においては「液体状の薬剤」とい
う。）とこれとは別の他の薬剤（本発明においては、液
体状の薬剤に混合または溶解して使用する薬剤を「他の
薬剤」という。）が密封状態で隔離収納されており、輸
送、貯蔵の間はこれらの薬剤を分離した状態に保ち、点
滴用輸液容器として使用するに際して簡単な操作でこれ
ら薬剤を容易に溶解または混合することができる複合輸
液容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】医療分野において、点滴注射は広く用い
られており、点滴に用いる輸液の中には使用する直前に
２種類またはそれ以上の薬剤を混合して輸液をする場合
がある。例えばバイアル等の容器に入った粉末薬剤ある
いは凍結乾燥薬剤を点滴する時は、これらを液体状の薬
剤に溶解して輸液剤として点滴注射に用いるが、このよ
うな場合通常混合作業は診察室または病室などの環境下
で行われるため、異物の混入、雑菌の侵入等の可能性が
危惧されている。

【０００３】かかる危険性を避ける目的で衛生防疫性を
備えた各種の二薬剤用輸液容器が開発されている。これ
らの二薬剤用輸液容器はバイアル薬剤容器と可携性の液
体状の薬剤の容器を外気から遮断された系内に密封して
あるものであり、使用に際し系内においてこの封止を破
り、連通させ二薬剤を混合するものである。かかる輸液
容器が、特開平５−１２３３７７、特開平５−１９２３
７７、特開平７−２５５８２０などに提案されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、雑菌の
侵入の危険は回避されたが、前記のこれらの輸液容器は
従来のバイアル容器を用いているために部品数が増え容
器組み立ての工程が煩雑となること、嵩高による箱詰め
等での収納量が少ないこと、廃棄時に容器本体を分解し
て、ゴム、ブラスチック、ガラスなどに分別しなければ
ならないという問題があった。本発明は、このような問
題に鑑みてなされたものて、すなわち組み立て工程が簡
素化でき、且つ衛生防疫性、収納性及び易廃棄性に優れ
た複合輸液容器を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、［１］ 内部
に液体状の薬剤を収納し、外部からの押圧により連通可
能な封止部を有し密封された可撓性容器と、前記液体状
の薬剤と混合して使用する少なくとも一つの他の薬剤を
収納する、外圧により開封可能な弱シールで少なくとも
一辺が密封された可撓性容器と、前記封止部と弱シール
部間を連通させる連通部材とからなることを特徴とする
複合輸液容器、［２］ 封止部が狭い幅の厚肉支点部を
除き、周辺部が薄肉に成形された板材からなる上記
［１］に記載の複合輸液容器を開発することにより上記
の目的を達成した。

【０００６】

【発明の実施形態】以下、本発明の内容を図面を用いて
詳細に説明する。図１において可撓性容器１は、液体状
の薬剤を収納する可撓性の容器であり、内容物確認のた
めの透明性及びレトルト殺菌のための耐熱性を有する材
料からなる。好ましい材料としては、単一のポリオレフ
ィンフィルム、２種類以上のポリオレフィンの積層フィ
ルム、ポリオレフィンと他の合成樹脂との積層フィルム
等が挙げられる。可撓性容器１の製造方法は特に限定す
る必要はないが、例えばブラスチック成形加工において
一般的なインフレーション成形により得られる筒状フィ
ルムを切断し上下をシールして用いることが有利であ
る。液体状の薬剤としては生理食塩水、ぶどう糖液、注
射用蒸留水、その他各種の電解質含有液などが挙げられ
る。

【０００７】可撓性容器１の底部にはポリオレフィンを
主材料とした充填及び取り出し用の口部材２が筒状フィ
ルムのシール部３に接着されている。この際ヒートシー
ルによりシールすることがコスト、性能的に有利であ
る。可撓性容器１の上部にはポリエチレンを主材料とし
た連通部材４を筒状フィルムのシール部３に接着する。
これもヒートシールがコスト、性能的に有利である。

【０００８】連通部材４は、一方の端面に封止部５が、
他の端面には連通部材７に接続するためのフランジ１１
が設けられた円筒状のものであり、可撓性容器１内に連
通部材４の封止部５側が挿入され可撓性容器１に接着さ
れる。封止部５は、図２及び図３に示すように加圧時の
力点となる突起部５１、薄肉周縁部５２及び狭い幅の厚
肉支点部５３からなる。使用に際し、突起部５１を指等
により加圧すると、狭い幅の厚肉支点部５３を残して薄
肉周縁部５２が容易に破断する（図３）。連通部材４の
筒状部の形状は、円筒状以外の楕円形、矩形などであっ
てよく特に制限はない。可撓性容器１の充填は、例えば
液体状の薬剤を口部材２より充填した後ゴム栓１３で密
封する。

【０００９】もう一方の可撓性容器６は液体状の薬剤と
混合して使用する他の薬剤を収納する容器であり、薬剤
の種類によっては可撓性容器１と同材質であってもよい
が、通常は薬剤の変質を防止するために酸素及び水蒸気
バリア性を有する材料からなる。具体的には最内層をポ
リオレフィンとしてその外側にバリア層を配した積層フ
ィルムを用いる。好ましいバリア層の材料としてはエチ
レンービニルアルコール共重合体、ポリアミド、ポリ塩
化ビニリデン、ポリエステル、アルミニウム箔、ケイ素
酸化物、酸化アルミまたはアルミニウムを蒸着した樹脂
フィルム等が挙げられ、他の薬剤の性質に応じてこれら
のバリア材料を選択してあるいは組み合わせて積層して
用いる。

【００１０】可撓性容器６としては、プラスチックのフ
ィルム成形加工において使用される一般的な多層インフ
レーション成形、多層Ｔダイ成形、ラミネート成形等に
より得られるフィルムを用いることができる。可撓性容
器６の底部にはポリオレフィンを主材料とした連通部材
７を積層フィルムにヒートシールまたはドライラミネー
ト接着剤で液密に接着する。可撓性容器６の他の周縁部
もヒートシールなどにより接着される。連通部材７は容
器１の連通部材４に接続するためのフランジ１４を有す
る筒状のものである。なお、連通部材７は封止部５の付
いていない連通部材４を使用したものが好ましい。また
場合によっては、連通部材７を省略し、前記連通部材４
の筒状部をそのまま接続してもよい。口部材２、連通部
材４及び連通部材７の製造方法は特に限定する必要はな
いが、例えば生産性の良いプラスチック成形加工におい
て一般的な射出成形により得ることができる。

【００１１】可撓性容器６は、収納された他の薬剤を外
部の雰囲気から遮断するために弱シール１０により封止
されている。この弱シール部１０のシール強度は、他の
薬剤を封入後密封状態を保持し、殺菌処理、連通部材の
接続などの作業を密封状態で行え、かつ可撓性容器１及
び可撓性容器６を連通するため封止部５を破いた後可撓
性容器１を押しつぶすことにより容易に開封可能な剥離
強度を有することが必要である。この強度としては、可
撓性容器の大きさ、封入する薬剤の種類などにより若干
変更が必要であるが、一般的には該シール部に接した液
体状の薬剤を０．０２〜０．１５ｋｇ／ｃｍ² に加圧さ
れたときに剥離し始める耐圧強度とすることが好まし
い。可撓性容器６の周縁ヒートシールの上部には点滴注
射時の架台吊り下げ用穴１２を設けてもよい。なおこの
可撓性容器６の他の薬剤のための収納箇所は１個でなく
とも良く、図４に示すように収納箇所を２個あるいはそ
れ以上設けておくこともできる。

【００１２】上記のように可撓性容器１及び可撓性容器
６はそれぞれ独立の形で取り扱うことができるため、そ
れぞれの内容物の薬剤に応じた適切な殺菌条件を選ぶこ
とができる。すなわち、液体状の薬剤を入れた可撓性容
器１は高温の加熱殺菌であるレトルト殺菌を、一方他の
薬剤を入れた可撓性容器６は加熱により変質の危険ある
ような時には放射線殺菌などにより殺菌を行った後、無
菌室などにおいてこれら両者の連通部材部材４及び７を
接続用のフランジ１１とフランジ１４とを溶着連結する
ことにより一体化すれば良い。溶着の方法としては、バ
ット溶着、熱板溶着、インパルス溶着、高周波溶着、超
音波溶着等が挙げられるが、高速生産性の観点からはと
りわけ高周波溶着が好ましい。薬剤等が充填された薬剤
混合輸液容器は、貯蔵、輸送などにおいての封止部の安
全性を確保するためにこの部分を段ボールなどにより保
護する程度で良く、使用に際しては封止部５の突起部５
１を加圧し、封止部の密閉状態を破り、ついて可撓性容
器１の部分を押圧して弱シール１０の封止を破り、液体
状の薬剤と他の薬剤を混合する。

【００１３】

【発明の効果】本発明の複合輸液容器は、部品数が少な
く、製造は容易であり、生産性の良好な構造を有してお
り、薬剤充填後においても使用するまではそれぞれの薬
剤を確実に分離状態を維持し、使用に際しては簡単な操
作で無菌状態を維持したまま混合できる。更に全体がほ
とんどプラスチックであり廃棄は容易であり、衛生防疫
性を備え、使用前の収納性及び使用後の廃棄性に優れた
薬剤混合輸液容器である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の複合輸液容器の正面図。

【図２】液体状の薬剤側の連通部材封止部の拡大図。

【図３】図２の連通部材の封止部が破れた状態。

【図４】２種の他の薬剤用のための可撓性容器の正面
図。

【符号の説明】

１ 可撓性容器 ２ 口部材 ３ ヒートシール部 ４ 連通部材 ５ 封止部 ５１ 突起部 ５２ 薄肉部 ５３ 厚肉支点部 ６ 可撓性容器 ７ 連通部材 ８ ヒートシール部 １０ 弱シール部 １１ フランジ １２ 吊り下げ用穴 １３ ゴム栓 １４ フランジ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂田 明彦 神奈川県川崎市川崎区千鳥町３丁目２ 昭 和電工株式会社総合研究所川崎研究室内 (72)発明者 四ツ柳 淳二 神奈川県川崎市川崎区千鳥町３丁目２ 昭 和電工株式会社総合研究所川崎研究室内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部に液体状の薬剤を収納し、外部から
   の押圧により連通可能な封止部を有し密封された可撓性
   容器と、前記液体状の薬剤と混合して使用する少なくと
   も一つの他の薬剤を収納する、外圧により開封可能な弱
   シールで少なくとも一辺が密封された可撓性容器と、前
   記封止部と弱シール部間を連通させる連通部材とからな
   ることを特徴とする複合輸液容器。
2. 【請求項２】 封止部が狭い幅の厚肉支点部を除き、周
   辺部が薄肉に成形された板材からなる請求項１に記載の
   複合輸液容器。