JP2000071693A - 樹脂成形品及びその製造方法 - Google Patents
樹脂成形品及びその製造方法Info
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Abstract
合にはこれらの模様を天然材料に近い模様にすることが
でき、また砂目模様、カーボン調模様又は抽象模様を有
する場合にはそれらの模様に高度の立体感や光輝感をも
たせる。 【解決手段】 樹脂基材に光輝性顔料12を錬り込み、
この光輝性顔料12入り樹脂基材を成形して成形品本体
14を形成し、その上に所定模様の液圧転写層16を施
す。成形品本体14内の光輝性顔料12と表面の液圧転
写層16とが相俟って石目模様又は木目模様には天然材
料に近い立体感を付与し、また砂目模様、カーボン調模
様又は抽象模様にも深みのある立体感を付与して品質を
高級化する。
Description
車内備品、屋内調度品等の如き物品として用いられる樹
脂成形品及びその製造方法に関し、特に石目模様、木目
模様その他の表面模様を有し外観上高級感を付与するこ
とができる樹脂成形品及びその製造方法に関するもので
ある。
することができるように加飾された樹脂成形品が用いら
れるようになっている。この種の樹脂成形品に加飾処理
を施すために、種々の方法が試みられている。
脂基材内に着色用、光輝用の顔料や木粉等の模様付け用
の添加物等の添加材を単独又は併用して混入又は添加し
たり、樹脂を発泡させたりする方法である(例えば、特
公平4−27932号公報及び特開平8−39610号
公報参照)。
泡材を混入又は添加するだけで製造することができるの
で、比較的安価に製造することができるが、樹脂成形品
に石目模様(例えば大理石模様)、木目模様等を実際の
大理石又は木材に近い状態に表現することが困難であっ
たり、その他の模様に高級感を付与しようとすると作業
性が低下する欠点を有する。
形品は、このメタリック調の外観を付与するために樹脂
基材内に金属粒子を混入しているが、この樹脂の成形時
に樹脂の流れが合流する部分にウエルドラインと称する
金属粒子を含まない樹脂だけの部分が発生する傾向があ
り、これは製品の外観を悪化する。
されている樹脂成型品は、流れ模様や木材に類した模様
を形成するために樹脂基材内を発泡させたり木粉を添加
している。しかし、木材に類した模様は、単に木粉を添
加しただけでは高級感を付与することが困難であり、こ
のため、この樹脂成形品は、木粉に光輝性顔料を担持さ
せているが、これは成形前の準備作業を複雑にし、同様
に樹脂の成形性を低下する。
圧転写層を施す方法である(特開平6−166300号
公報参照)。この方法は、樹脂成形品の表面に濃色模様
の第1の転写層(下層)とパール顔料を含有する木目模
様の第2の転写層(上層)とを施して木目模様に高級感
を付与する方法である。しかし、2つの転写層を施すこ
とは作業性を低下する上に、2層であるにしても薄い転
写層のみによって深みのある高級感を樹脂成形品に付与
することは難しい欠点を有する。
石に見受けられる内部にひび割れに似た深みを付与する
と高級感が付与され、また材木を縦切り又は輪切りして
得られる木目模様は、木材特有の照り感を有すると、天
然木材に見受けられる高級感を付与することができる。
照り感とは、木質繊維が導管に沿って整列しているため
に一定の方向から光が強く反射し、このため見る角度に
よって材料の表面が強く光って見える感覚であり、これ
は製品に高級感を付与する。また、砂目、カーボン調あ
るいは銀河調等の抽象模様も、三次元的な立体感や強い
光輝感を有すると、製品に高級感を付与することができ
る。先に述べた2つの従来技術は、樹脂成形品自体に添
加された添加物又は2層の液圧転写層によってそれぞれ
これらの模様を表現しようとしているので、製品にこの
ような高級感を付与することが難しい上に製造工程が複
雑で不経済であった。
光輝感を得るためには、ラメ顔料と称される比較的大き
くて荒い成分を有する顔料を用いることが必要である
が、このような大きな成分の顔料は、液圧転写層を形成
するのに必要な転写フィルム上に模様をグラビア印刷す
る際に印刷インキに混入することが難しく、液圧転写層
のみでこのような立体感と強い光輝感とを有する模様を
得ることができない。これは、液圧転写層のみでは光輝
感が不足気味となることを意味する。逆に、成形品にこ
れらの光輝性顔料を混入しただけでは所望の模様を表現
することが難しい。
する1つの課題は、石目模様、木目模様を天然材料に近
い模様にすることができ、また砂目模様、カーボン調模
様又は抽象模様に高度の立体感や光輝感をもたせること
ができ、従って製品に高級感を付与することができる樹
脂成形品を提供することにある。
造工程を複雑にすることなく、高級感を有する模様を施
すことができる樹脂成形品を提供することにある。
造工程を複雑にすることなく、高級感を有する模様を施
すことができる樹脂成形品の製造方法を提供することに
ある。
手段は、光輝性顔料が錬り込まれた樹脂基材から成形さ
れた成形品本体とこの成型品本体の表面に施された石目
模様、木目模様、砂目模様、カーボン調模様又は抽象模
様の液圧転写層とから成っていることを特徴とする樹脂
成形品を提供することにある。
輝性顔料としてパール、ゴールド等の適宜の色の天然顔
料、合成顔料又は金属粉顔料の1つ又は複数を用いるこ
とができ、また樹脂基材は着色剤を含有することができ
る。
輝性顔料、樹脂基材は、所望の模様に応じて次のような
組み合わせとなる。 (1)石目模様 成形品本体は、パール顔料が錬り込まれた無着色又は着
色の樹脂基材から成形され、液圧転写層は、石目模様を
有する。 (2)木目模様 成形品本体は、パール顔料又はゴールド顔料が錬り込ま
れた無着色又は着色の樹脂基材から成形され、液圧転写
層は、木目模様を有する。 (3)砂目模様、カーボン調模様又は抽象調模様 成形品本体は、ラメ顔料が添加され又はラメ顔料とパー
ル顔料とが添加された着色の樹脂基材から成形され、液
圧転写層は砂目模様、カーボン模様又は抽象模様を有す
る。
料が練り込まれた樹脂基材を成形して成形品本体を形成
する工程と、この成型品本体の表面に液圧転写法によっ
て石目模様、木目模様、砂目模様、カーボン模様又は抽
象模様の液圧転写層を施す工程とから成っていることを
特徴とする樹脂成形品の製造方法を提供することにあ
る。
の製造方法に用いられる光輝性顔料、樹脂基材及び液圧
転写層の模様の好ましい組み合わせは、下記の通りであ
る。 (1)光輝性顔料は、パール顔料であり、樹脂基材は、
無着色又は着色されたものであり、液圧転写層は、石目
模様である。 (2)光輝性顔料は、パール顔料又はゴールド顔料であ
り、樹脂基材は、無着色又は着色されたものであり、液
圧転写層は、木目模様である。 (3)光輝性顔料は、ラメ顔料又はラメ顔料とパール顔
料とであり、樹脂基材は、着色されており、液圧転写層
は砂目模様、カーボン模様又は抽象模様である。
込み、この光輝性顔料入り樹脂基材を成形して樹脂成形
品本体を形成し、その上に所定模様の液圧転写層を施す
と、樹脂成形品本体内の光輝性顔料と表面の液圧転写層
とが相俟って所定の模様に高級感を付与することができ
る。即ち、石目模様又は木目模様には天然材料に近い立
体感を付与し、また砂目模様、カーボン調模様又は抽象
模様にも深みのある立体感を付与して樹脂成形品の外観
的品質を高級化する。
まれた無着色又は着色の樹脂基材から成形され、液圧転
写層は、石目模様を有すると、パール顔料の混入によっ
て形成されるウエルドラインがその上の石目模様の液圧
転写層によって恰も内部にひび割れを有するような立体
的な深みのある模様を形成し、これは天然石に近い高級
感を付与する。
ルド顔料が添加された無着色又は着色の樹脂基材から成
形され、液圧転写層は、木目模様を有すると、パール顔
料又はゴールド顔料の光輝感が液圧転写層の木目模様に
照り感を付加し、これは天然木材に近い高級感を付与す
る。
れ又はラメ顔料とパール顔料とが練り込まれた着色の樹
脂基材から成形され、液圧転写層は、砂目模様、カーボ
ン模様又は抽象模様を有すると、ラメ顔料の比較的大き
くて荒い成分が微妙に変化する角度で成形品本体内に位
置し、これが光の反射によって深みがある立体感を付与
し、これは、液圧転写層の模様と組合わさって強い光輝
感と立体感とを有する所望の模様を得るのを可能にす
る。特に、ラメ顔料とパール顔料との2種類の光輝性顔
料が練り込まれると、液圧転写層のみでは得ることがで
きない強い光輝感を得ることができる。
キを用いてグラビア印刷されて形成された転写フィルム
を液面に浮かべ転写フィルムを活性化した後、この液面
上の転写フィルムに被転写体である成形品本体を押し付
けるように液没させて形成されるが、転写フィルムに模
様をグラビア印刷することができるのは数μ程度の粒子
の顔料についてのみであり、従って樹脂基材にラメ顔料
の如き大きな成分の顔料を使用して表面模様に立体感を
付与することができることはきわめて有利である。
して詳細に述べると、本発明の樹脂成形品10は、図1
に示すように、光輝性顔料12が練り込まれた樹脂基材
を成形して成形品本体14を形成し、次いで、図2に示
すように、この成型品本体12の表面に液圧転写法によ
って石目模様、木目模様、砂目模様、カーボン調模様又
は抽象模様の液圧転写層16を施して製造される。好ま
しくは、樹脂成形品10は、図2に示すように、液圧転
写層16の上に艶のある透明なトップコート18を施
す。
ド等の適宜の色の天然顔料、合成顔料又は金属粉顔料の
1つ又は複数が用いられ、また樹脂基材は無着色のもの
でもよいし、着色剤を含有してもよい。好ましい光輝性
顔料の幾つかの例を下記に掲げる。 (1)貝殻の内部や真珠を粉砕したもの (2)雲母の微粒子に酸化チタンを薄膜状に焼き付けた
もの(酸化チタンの量に応じてパール顔料又はゴールド
顔料となる)又は雲母の微粒子に酸化鉄を薄膜状に焼き
付けたもの(玉虫色顔料) (3)銅、アルミニウム、真鍮、青銅、金(ゴールド顔
料)、銀(シルバー顔料)、亜鉛(暗灰色)等の好まし
くは1〜120μmの微粒子又は酸化鉄の鱗片状粉−こ
のうちアルミニウムフレークを主成分とする大きな粒子
はラメ顔料と称されている。 (4)プラスチック片に金属が蒸着されたもの、例えば
ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウム
等の金属を蒸着したもの(シルバー顔料)あるいはその
上に透明な黄色塗装を行って粉砕したもの(ゴールド顔
料) (5)ガラスフレークに金、銀、ニッケルーリン合金を
電解メッキしたもの
は、成形性、機械的性質及び耐熱性が高い適宜のものを
用いることができるが、好ましい樹脂成分としてはポリ
カーボネート(PC)、ポリカーボネート/ポリブチレ
ンテレフタレート(PC/PBT)、ポリカーボネート
/アクリルニトリル・ブタジエン・スチレンポリマー
(PC/ABS)、ABS、ナイロン等がある。
5〜0.8重量%の割合で練り込ませ、また樹脂基材自
体を着色する場合には、着色剤は、樹脂基材に対して
0.04〜0.07重量%程度添加される。
16の模様は、その樹脂成形品の用途に応じて適宜設定
されるが、典型的には、(1)石目模様(例えば大理石
模様)、(2)木目模様、(3)砂目模様、カーボン調
模様、その他抽象模様がある。この液圧転写層16は、
図3に示すように、所定の模様が印刷された転写フィル
ム20を活性剤塗布器22を通して活性剤を塗布するこ
とによって湿潤しつつ転写糟24内の液面26上に浮か
ばせ、この転写フィルム20上に被転写体である成形品
本体14を押し付けながら液没させることによって液圧
を利用して転写フィルム20上の転写パターンを転写し
て形成される。また、この液圧転写層16の上のトップ
コート18は、アクリルラッカー又はウレタン−アクリ
ルの2液型プラスチック用の全艶ありのクリヤ塗料によ
って施される。
図6に示されている。図4の転写フィルム20Aは、大
理石模様16Aを有し、図5の転写フィルム20Bは荒
く大きな木目模様16Bを有し、図6の転写フィルム2
0B’は、枝や節や瘤のある部分を切って得られるよう
な木目模様16B’を有し、また図7の転写フィルム2
0Cは、砂目模様16Cを有する。
宜の光輝性顔料12及び樹脂基材が選択されて下記のよ
うに製造される。尚、成形は、射出成形、押出し成形、
注型成形の適宜の方法で行われる。 (1)石目模様 成形品本体14は、光輝性顔料12としてパール顔料が
練り込まれた無着色又は着色の樹脂基材から成形され、
液圧転写層16は、石目模様を有する転写フィルム20
Aを用いて成形品本体14の表面に転写して形成され
る。 (2)木目模様 成形品本体14は、光輝性顔料12としてパール顔料又
はゴールド顔料が練り込まれた無着色又は着色の樹脂基
材から成形され、液圧転写層16は、木目模様16B又
は16B’を有する転写フィルム20B又は20B’を
用いて成形品本体12の表面に転写して形成される。 (3)砂目模様、カーボン調模様又は抽象模様 成形品本体14は、光輝性顔料12としてラメ顔料が練
り込まれ又はラメ顔料とパール顔料とが練り込まれた着
色の樹脂基材から成形され、液圧転写層16は砂目模様
16C、カーボン模様又は抽象模様を有する転写フィル
ム20Cを用いて成型品本体12の表面に転写して形成
される。
る。 (比較例1)無着色(乳白色)のABS樹脂を樹脂基材
としてその中に全く顔料を練り込ませることなく、この
樹脂基材を射出成形して所定の形状の成型品本体を形成
した。その上にベージュ色の淡い大理石模様の液圧転写
層を施し、更にその上にアクリルラッカーをトップコー
トとして施した。この比較例1では、成形品本体内に全
く光輝性顔料が含まれていないので、表面の大理石模様
が平面的に表現されているだけであり、従って立体感が
表れない。
脂を樹脂基材とし、その中に光輝性顔料として1〜10
μのパール顔料(雲母に酸化チタンを薄目に焼き付けた
もの)を樹脂に対して0.6重量%程度の割合で練り込
ませ、この樹脂基材を射出成形して所定の形状の成形品
本体を形成した。その上に図4に示す如きベージュ色の
淡い大理石模様の液圧転写層を施し、更にその上にアク
リルラッカーをトップコートとして施した。この実施例
1の樹脂成形品は、成形品本体内の光輝性のあるパール
顔料が強い光輝感を表すと共に、天然大理石に特有のひ
び割れ感が発生し、天然大理石に近い高級感が付与され
ることが確認された。このひび割れ感は、図8に示すよ
うに、射出成形時に樹脂の流れの合流する位置で生ずる
パール顔料を含まないウエルドラインと称する部分(図
8に14aで表されている)が液圧転写層16を通して
恰もひび割れであるような感覚を与えるために得られ
る。このウエルドライン14aは、外部からの光を吸収
して黒くなり、従って通常では外観を悪化させるが、実
施例1の樹脂成形品は、このウエルドライン14aを大
理石特有のひび割れに似せるのに逆利用している。特
に、パール顔料などの粒径の細かい光輝性顔料を添加す
ると、このウエルドラインが発生しやすくなる傾向があ
るので、この現象を逆に利用することができて有利であ
る。
脂を樹脂基材とし、その中に光輝性顔料として1〜10
μのゴールド顔料(雲母に酸化チタンを厚目に焼き付け
たもの)を樹脂に対して0.6重量%程度の割合で練り
込ませ、この樹脂基材を射出成形して所定の形状の成形
品本体を形成した。その上に図5に示す如きチェリー
(サクランボの木)の木目模様の液圧転写層を施し、更
にその上にアクリルラッカーをトップコートとして施し
た。この実施例2の樹脂成形品は、成形品本体内の光輝
性のあるゴールド顔料が強い光輝感を表すと共に、天然
木材(チェリー)に特有の照り感が発生し、天然木材に
近い高級感が付与されることが確認された。照り感は、
既に述べたように、天然木材の木質繊維が導管に沿って
整列しているために一定の方向から光が強く反射するこ
とによって見る角度によって材料の表面が強く光って見
える感覚であり、これは製品に高級感を付与する。従っ
て、実施例2の樹脂成形品は、天然木材の木目に近い高
級感を有する。
とし、その中に光輝性顔料として1〜10μのゴールド
顔料(雲母に酸化チタンを厚目に焼き付けたもの)を樹
脂に対して0.6重量%程度の割合で練り込ませ、この
樹脂基材を射出成形して所定の形状の成形品本体を形成
した。その上に図6に示す如き高級玉杢調の木目模様
(瘤や節のある部分の模様)の液圧転写層を施し、更に
その上にアクリルラッカーをトップコートとして施し
た。この実施例3の樹脂成形品も、実施例2と同様に、
成形品本体内の光輝性のあるゴールド顔料が強い光輝感
を表すと共に、天然木材(高級玉杢)に特有の照り感が
発生し、天然木材に近い高級感が付与されることが確認
された。また、この実施例3の樹脂成形品は、樹脂基材
の褐色と組合わさって、一層落ち着いた光輝感を付与す
ることができた。
基材とし、その中に光輝性顔料として80〜500μの
ラメ顔料(アルミニウムフレーク)を樹脂に対して0.
6重量%程度の割合で練り込ませ、この樹脂基材を射出
成形して所定の形状の成形品本体を形成した。その上に
図7に示す如き砂目模様の液圧転写層を施し、更にその
上にアクリルラッカーをトップコートとして施した。こ
の実施例4の樹脂成形品は、成形品本体内にある光輝性
があるが大きく荒い顔料成分が微妙に変化する角度で成
形品本体内に位置し、これが光の反射によって深みがあ
る銀河調の意匠を形成する。また、この銀河調の意匠
は、液圧転写層の模様と組合わさって三次元的な立体感
を醸し出す。
基材とし、その中に光輝性顔料として80〜500μの
ラメ顔料(アルミニウムフレーク)と1〜10μのパー
ル顔料(雲母に酸化チタンを薄目に焼き付けたもの)と
を樹脂に対して0.6重量%程度の割合で練り込ませ、
この樹脂基材を射出成形して所定の形状の成形品本体を
形成した。その上にカーボンクロス調の模様(炭素繊維
の織物のような模様)の液圧転写層を施し、更にその上
にアクリルラッカーをトップコートとして施した。この
実施例5の樹脂成形品は、成形品本体内にある2つの光
輝性顔料である大きな成分のラメ顔料と細かい成分のパ
ール顔料とが液圧転写層と相俟ってカーボン調の模様に
深みのある立体感と強い光輝感とを与えることが確認さ
れた。
その中のラメ顔料の大きな成分によって単なる細かい成
分の光輝性顔料や液圧転写層の印刷インキでは得られな
い著しく大きな金属感が付与されることが解った。これ
は、成形品本体の表面付近にあるアルミフレークの見え
方が着色樹脂基材への僅かな沈み方の相異で大きく異な
ることに起因している。図9(A)に示すように、アル
ミフレーク12Aが樹脂基材の表面に完全に露出してい
れば、その光輝面積が最大となって光輝感も最も大きく
なり、手前に浮き上がった状態に見えるが、図9(B)
に示すように、アルミフレーク12Aの樹脂基材内への
沈み部分が多くなれば、光輝面積が減少し、光輝感が低
下し、深く沈んだように見える。この浮き沈みの差によ
る見え方の差が立体感を付与することになる。従って、
この立体感は、着色樹脂基材とラメ顔料との組み合わせ
によって得られることが解る。
目模様及びカーボン調模様について述べたが、ラメ顔料
入りの樹脂を組み合わせて抽象模様の液圧転写層も同様
に強い立体感を有する樹脂成型品を得ることができる。
実際の樹脂成形品Aの表面状態とこの木目模様の転写層
を施す前の実際の樹脂成形品Bの表面状態とが図10に
示されており、この図10の右方の上側の物品がAであ
り、下側の物品がBである。この図からAの物品は木目
模様に光輝感が付与されているのが解る。
実際の樹脂成形品Cの表面状態と光輝性顔料を錬り込ま
ないで形成された成形品本体の表面に実施例4と同様の
砂目模様の液圧転写層を施した樹脂成形品Dの表面状態
とが図11に示されており、この図11の下側の物品が
Cであり、上側の物品がDである。この図からCの物品
はDの物品に比べて遙かに高度の光輝感と立体感が付与
されているのが解る。
が、本発明のいずれの実施例とも、基本的には、成形品
本体内の光輝性顔料によって深みのある立体感と大きな
光輝感とを付与してその上の液圧転写層の模様と相俟っ
て高級感を有する所望の意匠を有する樹脂成型品を得る
ことができたことが解る。特に、石目模様及び木目模様
は、それに立体感と光輝感とを付与して天然の素材に近
似させることができ、また砂目模様、カーボン調模様及
び抽象模様に深みのある高級感を付与して商品価値を著
しく向上することができた。
材に光輝性顔料を錬り込み、この光輝性顔料入り樹脂基
材を成形して樹脂成形品本体を形成し、その上に所定模
様の液圧転写層を施すので、樹脂成形品本体内の光輝性
顔料と表面の液圧転写層とが相俟って所定の模様に高級
感を付与することができる。
まれた無着色又は着色の樹脂基材から成形され、液圧転
写層は、石目模様を有すると、パール顔料の混入によっ
て形成されるウエルドラインがその上の石目模様の液圧
転写層によって恰も内部にひび割れを有するような立体
的な深みのある模様を形成し、これは天然石に近い高級
感を付与する。特に、パール顔料の如き粒径の細かい顔
料は、このウエルドラインの発生を促進する傾向を有す
るので、この傾向を利用して石目模様にひび割れ感を付
与するのを助長することができて有利である。
ルド顔料が添加された無着色又は着色の樹脂基材から成
形され、液圧転写層は、木目模様を有すると、パール顔
料又はゴールド顔料の光輝感が液圧転写層の木目模様に
照り感を付加し、これは天然木材に近い高級感を付与す
る。
れ又はラメ顔料とパール顔料とが練り込まれた着色の樹
脂基材から成形され、液圧転写層は、砂目模様、カーボ
ン模様又は抽象模様を有すると、ラメ顔料の比較的大き
くて荒い成分が微妙に変化する角度で成形品本体内に位
置し、これが光の反射によって深みがあり立体感を付与
し、これが液圧転写層の模様と組合わさって強い光輝感
と立体感とを有する所望の模様を得ることができる。特
に、ラメ顔料とパール顔料との2種類の光輝性顔料が練
り込まれると、液圧転写層のみでは得ることができない
強い光輝感を得ることができる。
ルムに模様をグラビア印刷することができるのは数μ程
度の粒子の顔料についてのみであるので、樹脂基材にラ
メ顔料の如き大きな成分の顔料を錬り込んで表面模様に
立体感を付与することができることは表面模様に高度の
立体感を付与するのに有利である。
成形品本体の一部の拡大断面図である。
る。
工程の概略系統図である。
様の転写フィルムの一部の平面図である。
木目模様の転写フィルムの一部の平面図である。
目模様の転写フィルムの一部の平面図である。
様の転写フィルムの一部の平面図である。
に生ずるひび割れ感を拡大断面で示して説明する説明図
である。
ブラー模様を有する場合に生ずる光輝感を説明する図で
あり、同図(A)は大きな光輝感を生ずるラメ顔料成分
の沈み具合を示す説明図、同図(B)は小さな光輝感を
生ずるラメ顔料成分の沈み具合を示す説明図である。
有する実際の樹脂成形品Aの表面状態とこの木目模様の
転写層を施す前の実際の樹脂成形品Bの表面状態とを示
す図面に代わる写真である。
有する実際の樹脂成形品Cの表面状態と光輝性顔料を錬
り込まないで形成された成形品本体の表面に実施例4と
同様の砂目模様の液圧転写層を施した樹脂成形品Dの表
面状態とを示す図面に代わる写真である。
Claims (8)
- 【請求項1】光輝性顔料が練り込まれた樹脂基材から成
形された成形品本体と前記成型品本体の表面に施された
石目模様、木目模様、砂目模様、カーボン調模様又は抽
象模様の液圧転写層とから成っていることを特徴とする
樹脂成形品。 - 【請求項2】請求項1に記載の樹脂成形品であって、前
記光輝性顔料としてパール、ゴールド等の適宜の色の天
然顔料、合成顔料又は金属粉顔料の1つ又は複数が用い
られていることを特徴とする樹脂成形品。 - 【請求項3】請求項1又は2に記載の樹脂成形品であっ
て、前記樹脂基材は着色剤を含有するものであることを
特徴とする樹脂成形品。 - 【請求項4】請求項1に記載の樹脂成形品であって、前
記成形品本体はパール顔料が練り込められた無着色又は
着色の樹脂基材から成形され、前記液圧転写層は石目模
様を有することを特徴とする樹脂成形品。 - 【請求項5】請求項1に記載の樹脂成形品であって、前
記成形品本体はパール顔料又はゴールド顔料が練り込ま
れた無着色の又は着色の樹脂基材から成形され、前記液
圧転写層は木目模様を有することを特徴とする樹脂成形
品。 - 【請求項6】請求項1に記載の樹脂成形品であって、前
記成形品本体はラメ顔料が練り込まれ又はラメ顔料とパ
ール顔料とが練り込まれた着色の樹脂基材から成形さ
れ、前記液圧転写層は砂目模様、カーボン調模様又は抽
象模様を有することを特徴とする樹脂成形品。 - 【請求項7】光輝性顔料が練り込まれた樹脂基材を成形
して成形品本体を形成する工程と、前記成型品本体の表
面に液圧転写法によって石目模様、木目模様、砂目模
様、カーボン調模様又は抽象模様の液圧転写層を施す工
程とから成っていることを特徴とする樹脂成形品の製造
方法。 - 【請求項8】請求項7に記載の樹脂成形品の製造方法で
あって、前記光輝性顔料、樹脂基材及び液圧転写層の模
様の組み合わせが請求項4乃至6のいずれかであること
を特徴とする樹脂成形品の製造方法。
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WO2005077676A1 (ja) * | 2004-02-18 | 2005-08-25 | Taica Corporation | 水圧転写品 |
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