JP2000067810A - 放電灯用電極および放電灯 - Google Patents

放電灯用電極および放電灯

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JP2000067810A
JP2000067810A JP10253277A JP25327798A JP2000067810A JP 2000067810 A JP2000067810 A JP 2000067810A JP 10253277 A JP10253277 A JP 10253277A JP 25327798 A JP25327798 A JP 25327798A JP 2000067810 A JP2000067810 A JP 2000067810A
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electron
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electrode
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Munemitsu Hamada
宗光 浜田
Akira Takeishi
明 武石
Makoto Takahashi
誠 高橋
Masatada Yodogawa
正忠 淀川
Hiroshi Harada
拓 原田
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TDK Corp
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J61/00Gas-discharge or vapour-discharge lamps
    • H01J61/02Details
    • H01J61/04Electrodes; Screens; Shields
    • H01J61/06Main electrodes
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
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    • H01J61/02Details
    • H01J61/12Selection of substances for gas fillings; Specified operating pressure or temperature

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱陰極型蛍光放電ランプの長寿命化をはか
る。 【解決手段】 本発明の放電灯用電極は、一端が開放さ
れた筒状の容器1と、この容器1内に収容された電子放
出材料2とを有し、容器1および電子放出材料2が、B
a、SrおよびCaの少なくとも1種からなる第1成分
と、ZrおよびTiの少なくとも1種からなる第2成分
と、TaおよびNbの少なくとも1種からなる第3成分
とを、金属元素成分として含む複合酸化物および/また
は窒素を含む複合酸化物を主成分とする。この放電灯用
電極は、容器1の開口側からみた電子放出材料2の露出
面における第1成分の含有率が、容器1の開口側の端面
における第1成分の含有率よりも高い。また、電子放出
材料2が、空隙率45〜80%の多孔体である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶ディスプレイ
装置のバックライト、電球形蛍光ランプ、ファクシミリ
やスキャナなどの読み取り用光源に用いられる小型の蛍
光放電ランプに用いる放電灯用電極と、この電極を有す
る放電灯とに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、省エネルギー、省資源の社会的要
求が高まりつつあり、それに対応して、ディスプレイや
一般照明用光源の省エネルギー化が積極的に進められて
いる。例えば、CRTから、よりエネルギー消費量の少
ない液晶ディスプレイへの置き換えや、白熱電球から、
よりエネルギー効率が高く寿命も長い電球形蛍光ランプ
への置き換えが急速に進んでいる。それに伴って、液晶
ディスプレイのバックライト光源用や電球形蛍光ランプ
用として、細管蛍光放電ランプの利用が急速に進んでい
る。
【0003】一般に蛍光放電ランプは、熱電子放出によ
るアーク放電を利用した熱陰極蛍光放電ランプと、二次
電子放出によるグロー放電を利用した冷陰極蛍光放電ラ
ンプとに分類される。熱陰極蛍光放電ランプは、冷陰極
蛍光放電ランプに比べ陰極降下電圧が小さいため、電力
に対する発光効率が高い。また、熱陰極蛍光放電ランプ
は、熱電子放出を利用するため電流密度を大きくとるこ
とができるので、冷陰極蛍光放電ランプに比べて高輝度
化が容易である。そのため、熱陰極蛍光放電ランプは、
大面積の液晶ディスプレイ用バックライト、電球形蛍光
ランプ、ファクシミリやスキャナ等の読みとり用光源な
ど、多量の光束が必要とされる光源に適している。
【0004】従来の熱陰極蛍光放電ランプ用の電極とし
ては、例えば、タングステンコイルに遷移金属の一部と
バリウムとを含むアルカリ土類金属を塗布した蛍光放電
ランプ電極が知られている(特開昭59−75553号
公報)。しかし、同公報に記載された電極は、熱電子放
出を開始するために予熱が必要であるため、冷陰極蛍光
放電ランプなみの細管化は難しい。したがって、薄型、
軽量が要求されるノートパソコン用の液晶ディスプレイ
に利用することは困難であり、また、電球形蛍光ランプ
の小型化にも不適当である。
【0005】一方、細管化するために予熱を必要としな
い構造とした電極が特開平4−73858号公報に記載
されている。この電極は、タングステンのダブルコイル
にバリウム、カルシウム、ストロンチウムの酸化物から
なるエミッター物質を付着させたものである。しかし、
この構造の電極を用いた放電ランプでは、放電中に生じ
たHgイオンや希ガスイオンが電極に衝突し電子放出物
質を飛散させる、いわゆるイオンスパッタリングが顕著
に生じてしまう。イオンスパッタリングが顕著である
と、放電中に電子放出物質が枯渇し、安定したアーク放
電を長時間にわたって維持することができない。また、
飛散した電子放出物質によりランプのガラス管内壁が黒
化する現象(管壁黒化)が生じ、光束維持率が早期に低
下してしまう。
【0006】また、米国特許第2,686,274号明
細書には、Ba2TiO4などのセラミックスを還元処理
することにより半導体化した棒状の電極が記載されてい
るが、この構造のセラミック半導体電極には、熱衝撃に
弱い、Hgイオンや希ガスイオンによるスパッタリング
によって劣化しやすい、電流密度が小さい、という問題
がある。
【0007】このような従来の熱陰極蛍光放電ランプ用
電極に対し、本発明者らは、一端が開放し一端が閉じた
円筒状の容器内にセラミック半導体を収容した構造の電
極を提案し、また、この電極について、およびこの電極
を用いた放電灯について、様々な改良を加えている(特
公平6−103627号公報、特開平1−65764号
公報、特開平2−186550号公報、特開平2−18
6527号公報、特開平4−43546号公報、特開平
6−267404号公報、特開平9−129117号公
報、特開平10−12189号公報、特開平6−302
298号公報、特開平7−142031号公報、特開平
7−262963号公報、特開平10−3879号公
報)。この構造の電極は、予熱が不要で細管化が可能で
あり、かつ、イオンスパッタリングや蒸発による劣化が
抑えられるため長寿命であるという特徴をもつ。しか
し、液晶ディスプレイのバックライトを交換不要とする
ためには、そのディスプレイが実装されている機器の寿
命よりも電極の寿命を長くする必要があり、このために
は、電極寿命をさらに向上させる必要がある。また、蛍
光放電ランプでは、オン・オフを頻繁に繰り返すと電極
の劣化が著しく進み、寿命が極めて短くなってしまうと
いう問題があるが、白熱電球を代替するためにはオン・
オフの繰り返しによる短寿命化を抑える必要がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、熱陰
極型蛍光放電ランプの長寿命化をはかることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的は、下記(1)
〜(8)のいずれかにより達成される。 (1) 一端が開放された筒状の容器と、この容器内に
収容された電子放出材料とを有し、容器および電子放出
材料が、Ba、SrおよびCaの少なくとも1種からな
る第1成分と、ZrおよびTiの少なくとも1種からな
る第2成分と、TaおよびNbの少なくとも1種からな
る第3成分とを金属元素成分として含む複合酸化物およ
び/または窒素を含む複合酸化物を主成分とし、容器の
開口側からみた電子放出材料の露出面における第1成分
の含有率が、容器の開口側の端面における第1成分の含
有率よりも高い放電灯用電極。 (2) 一端が開放された筒状の容器と、この容器内に
収容された電子放出材料とを有し、容器および電子放出
材料が、Ba、SrおよびCaの少なくとも1種からな
る第1成分と、ZrおよびTiの少なくとも1種からな
る第2成分と、TaおよびNbの少なくとも1種からな
る第3成分とを金属元素成分として含む複合酸化物およ
び/または窒素を含む複合酸化物を主成分とし、電子放
出材料が空隙率45〜80%の多孔体である放電灯用電
極。 (3) 容器の密度が理論密度の60%以上である上記
(1)または(2)の放電灯用電極。 (4) 放電面の平均曲率半径が10〜150μmであ
る上記(1)〜(3)のいずれかの放電灯用電極。 (5) 容器の開口側からみた電子放出材料の露出面お
よび容器の開口側の端面と、容器の外側面および/また
は底面とに、Ta、NbおよびTiの少なくとも1種を
含む炭化物および/または窒化物が存在する上記(1)
〜(4)のいずれかの放電灯用電極。 (6) 第1成分をMI、第2成分をMII、第3成分を
IIIで表したとき、前記容器および前記電子放出材料
が、MIII 3型結晶、MI 5III 415型結晶、MI
7III 622型結晶、MIIII2N型結晶およびMI 6
IIIII 418型結晶から選択される少なくとも1種の
結晶を含む上記(1)〜(5)のいずれかの放電灯用電
極。 (7) 前記結晶において、MIIIの一部がMIIにより
置換され、MIIの一部がMIIIにより置換されている上
記(6)の放電灯用電極。 (8) 上記(1)〜(7)のいずれかの放電灯用電極
を有する放電灯。
【0010】本発明者らは、熱陰極型蛍光放電ランプに
おける電極のイオンスパッタリングが、グロー放電のと
きに顕著に発生することをつきとめた。そして、上記本
発明を適用することにより、グロー放電からアーク放電
への速やかな移行が可能となることを見いだし、本発明
に至った。
【0011】具体的には、電子放出材料の露出面におけ
る第1成分の含有率を、容器の開口側の端面における第
1成分の含有率よりも高く設定することにより、言い換
えると、容器の開口側の端面における第1成分の含有率
を低く設定することにより、容器の開口側の端面の導電
性が高くなると共に、電子放出材料露出面において放電
が生じやすくなる。したがって、容器が導電路として十
分な働きを示すと共に、容器の開口側の端面における不
安定な放電の発生が抑えられ、電子放出材料露出面にお
いて安定したアークスポットを迅速に形成できる。この
ため、グロー放電からアーク放電への速やかな移行が可
能となる。
【0012】また、電子放出材料を空隙率45%以上の
多孔体とすれば、電子放出材料中における熱伝導性が臨
界的に低くなるので部分的に温度が上昇し、グロー放電
から速やかにアーク放電に移行することが可能となる。
一方、空隙率が高すぎると、放電中に電子放出材料が脱
落して寿命が短くなってしまうが、空隙率を80%以下
に抑えれば電子放出材料の脱落が抑えられるので、グロ
ー放電の短縮化による長寿命化を阻害することはない。
【0013】このように本発明では、点灯時に生じる電
極の劣化を著しく抑制することが可能であり、オン・オ
フの頻繁な繰り返しによってグロー放電の回数が多くな
る場合に、特に有効である。
【0014】
【発明の実施の形態】放電灯用電極 本発明の放電灯用電極の構成例を、図1に示す。この放
電灯用電極は、一端が開放された筒状の容器1と、この
容器1内に収容された電子放出材料2とを有する。放電
灯管内において、放電に伴い発生するHgイオン等のイ
オンは、対向電極の方向から飛来して電極に衝突する
が、このときイオンは容器1により遮られ、電子放出材
料2に衝突するイオンの数は少なくなる。容器1は、こ
のようにイオンによる電子放出材料2のスパッタリング
を防ぐと共に、電子放出材料2へ電流を供給するための
導電路として働く。
【0015】本発明において容器1および電子放出材料
2はいずれも、複合酸化物または窒素を含む複合酸化物
を主成分とし、金属元素成分として、Ba、Srおよび
Caの少なくとも1種からなる第1成分と、Zrおよび
Tiの少なくとも1種からなる第2成分と、Taおよび
Nbの少なくとも1種からなる第3成分とを含む。第1
成分を含む化合物は、低仕事関数の電子放出成分であ
る。第2成分は、電子放出材料の高融点化のために必要
な成分である。また、第2成分のうちのTiと第3成分
とは、後述するスパッタリング防止層構成化合物の供給
源となる。容器1を電子放出材料2と同系統の材質で構
成することにより、両者を電気的および機械的に強固に
接合することが可能となる。
【0016】第1成分、第2成分および第3成分は、複
合酸化物または窒素を含む複合酸化物を構成している。
第1成分をMI、第2成分をMII、第3成分をMIIIで表
したとき、電子放出材料および容器は、MIII 3
型結晶、MI 5III 415型結晶、MI 7III 622型結
晶、MIIII2N型結晶およびMI 6IIIII 418
型結晶から選択される少なくとも1種の結晶を含むこと
が好ましい。なお、これらの結晶において、MIIIの一
部がMIIにより置換されていることがあり、MIIの一部
がMIIIより置換されていることがある。これらの結晶
の存在は、X線回折により確認することができる。ま
た、元素の一部が他の元素で置換されていることは、X
線回折におけるピークのシフトにより確認することがで
きる。
【0017】容器および電子放出材料において、第1成
分、第2成分および第3成分の合計に対し、第1成分の
原子比をX、第2成分の原子比をY、第3成分の原子比
をZとしたとき、好ましくは 0.8≦X/(Y+Z)≦2.0、 0.05≦Y≦0.6、 0.4≦Z≦0.95 であり、より好ましくは 0.8≦X/(Y+Z)≦1.6、 0.1≦Y≦0.4、 0.6≦Z≦0.9 である。X/(Y+Z)が小さすぎる場合、放電により
第1成分が早期に枯渇してしまう。一方、X/(Y+
Z)が大きすぎる場合、放電中に電子放出材料の蒸発お
よび飛散が生じやすくなってランプの管壁黒化が激しく
なり、ランプ輝度の低下を招く。Yが小さすぎると、電
子放出材料の融点が低くなって緻密化が進みやすくなる
ため、還元性雰囲気中で焼成して電子放出材料を製造す
る際に、電子放出材料の空隙率を適切な値に保つことが
難しくなる。その結果、電子放出材料を多孔体状とする
ことが困難になるので、安定した放電の維持が難しくな
る。一方、Yが大きすぎると、電子放出材料の抵抗が高
くなりすぎるので、安定した放電の維持が難しくなる。
Zが小さすぎると、還元性雰囲気中で焼成して電子放出
材料を製造する際に、容器表面および電子放出材料表面
に炭化物および/または窒化物が形成されにくくなる。
その結果、イオンスパッタリングに対する耐性が不十分
となる。一方、Zが大きすぎると、還元性雰囲気中で焼
成して電子放出材料を製造する際に、容器および電子放
出材料の蒸発および飛散が激しくなる。
【0018】電子放出材料は、多孔体であることが好ま
しい。多孔体とすることにより熱伝導率を低くすること
ができ、部分的に温度が上昇しやすくなるので、グロー
放電から速やかにアーク放電に移行させることが容易と
なり、また、安定したアーク放電の維持が容易となる。
電子放出材料が多孔体である場合、その空隙率は好まし
くは45〜80%、より好ましくは55〜75%であ
る。空隙率が低すぎると、熱電子放出のための十分な蓄
熱効果が得られなくなり、グロー放電からアーク放電へ
の移行が困難になり、移行できないこともある。一方、
空隙率が高すぎると、放電中に電子放出材料が脱落しや
すくなるため、電極の寿命が短くなってしまう。
【0019】多孔体状の電子放出材料は、後述するよう
に、例えば、顆粒状の仮焼体を圧縮成形せずに焼成する
ことによって得られる。この方法により製造された電子
放出材料は、他の粒子と少なくとも1箇所でつながった
粒子が集合した性状を示し、各粒子の形状は、一般に、
不定形状、球状または針状となる。このような多孔体状
の電子放出材料では、容器開口側の表面(露出面)に存
在する複数の粒子のうちの1つの表面が、放電面とな
る。この放電面の平均曲率半径、すなわち、露出面に存
在する粒子の曲率半径の平均値は、好ましくは10〜1
50μm、より好ましくは20〜100μmである。な
お、粒子が不定形状の場合の曲率半径は、その粒子の外
接円の半径とする。放電面の曲率半径は、電極断面の走
査型電子顕微鏡写真から求めることができる。放電面の
曲率半径を前記範囲とすることにより、安定したアーク
放電を維持することが容易となる。アーク放電が安定し
ていないと、電圧変動が生じると共に電極に温度変動が
生じ、電極寿命が短くなってしまう。なお、曲率半径を
前記範囲内とすることは、ランプ電流が5〜500mAで
あるときに特に有効である。ランプ電流が小さいほど放
電面の好ましい平均曲率半径が小さくなるため、具体的
な平均曲率半径は、ランプ電流に応じ上記範囲から適宜
選択すればよい。なお、ランプ電流が5mA以上であれ
ば、熱電子放出には一般に十分であり、また、管径10
mm以下の細管ランプに適用する場合には、ランプ電流を
一般に500mA以下とする。
【0020】容器の形状は、一端が開放された筒状、す
なわち、底部を有する筒状であればよく、そのほかは特
に限定されないが、通常、円筒状とすることが好まし
い。容器の寸法も特に限定されず、ランプの径に応じて
適宜決定すればよいが、本発明の電極は細管ランプに特
に適しているので、容器の最大径は1〜5mmとすること
が好ましい。また、容器の長さは、0.5〜5mmとする
ことが好ましい。また、容器の側壁の厚さは、0.2〜
1mmとすることが好ましい。また、容器底部の厚さは、
0.2〜2mmとすることが好ましい。
【0021】容器の開口側からみた電子放出材料露出面
および容器の開口側の端面には、Ta、NbおよびTi
の少なくとも1種を含む炭化物および/または窒化物が
存在することが好ましい。この炭化物および/または窒
化物は、スパッタリング防止層を構成する。このスパッ
タリング防止層は、電極に飛来したイオンから電子放出
材料を保護するためのものである。ただし、電子放出材
料の露出面には、第1成分が露出している必要があるた
め、スパッタリング防止層は、少なくとも電子放出材料
表面において、多孔質膜ないし網目状膜である必要があ
る。スパッタリング防止層の厚さは、3〜10μm程度
であることが好ましい。スパッタリング防止層が薄すぎ
ると、イオンスパッタリングを防ぐ効果が不十分となり
やすい。一方、スパッタリング防止層が厚すぎると、電
子放出材料を露出させることが難しくなる。なお、上記
炭化物および/または窒化物は、電子放出材料の露出面
以外にも存在していてよく、また、容器の開口側の端面
以外にも存在していてよい。
【0022】スパッタリング防止層を構成する炭化物お
よび窒化物は、容器構成材料に比べ導電性が良好であ
る。例えば、容器表面に上記したスパッタリング防止層
を形成することにより、容器表面における比抵抗を10
〜500μΩcmとすることができるので、容器を導電路
として十分に機能させることが可能となる。本発明の放
電灯用電極への給電は、容器の開口側の端面のほか、容
器の外側面および/または底面を介して行うことが一般
的なので、炭化物および/または窒化物は、外側面およ
び/または底面にも存在することが好ましい。
【0023】スパッタリング防止層に含まれるTa、N
bおよびTiの少なくとも1種を含む炭化物および/ま
たは窒化物としては、各元素の窒化物または炭化物のほ
か、複数の金属元素成分を含む窒化物または炭化物や、
炭素および窒素を共に含むような固溶体であってもよ
い。
【0024】本発明では、容器の開口側からみた電子放
出材料露出面における第1成分の含有率が、容器の開口
側の端面における第1成分の含有率よりも高い。第1成
分の含有率にこのような分布をもたせることにより、前
述したようにグロー放電からアーク放電に速やかに移行
させることが可能となる。
【0025】第1成分の含有率にこのような分布をもた
せるための手段は特に限定されない。例えば、第1の手
段として、容器の原料組成と電子放出材料の原料組成と
を異なるものとする方法が挙げられる。また、第2の手
段として、スパッタリング防止層を容器表面と電子放出
材料表面とで異なる組成とする方法が挙げられる。ま
た、第3の手段として、多孔質膜ないし網目状膜である
スパッタリング防止層の開口率を、容器表面と電子放出
材料表面とで異なるものとする方法が挙げられる。な
お、第2の手段および第3の手段を利用する場合、容器
と電子放出材料とは同一組成であってもよい。また、第
1〜第3の手段のうちの2つ以上を併用してもよい。
【0026】なお、容器の開口側からみた電子放出材料
露出面における第1成分の含有率および容器の開口側の
端面における第1成分の含有率は、電子線プローブマイ
クロアナリシス(EPMA)により測定することができ
る。EPMAによる測定に際しては、それぞれの元素に
ついて任意のカウント数を閾値とし、この閾値以上のカ
ウントを示す領域にその元素が存在するとして、第1成
分の含有率を比較すればよい。
【0027】放電灯用電極の製造方法 次に、電極の製造方法を説明する。
【0028】図2に、電極の製造工程を示す。この製造
工程の基本的な流れは、通常のセラミックスの製造工程
と同様である。
【0029】この製造工程では、まず、容器および電子
放出材料それぞれの組成に応じて出発原料を秤量し、混
合する(ステップS1)。出発原料に用いる化合物は、
酸化物または焼成により酸化物となる化合物、例えば、
炭酸塩や蓚酸塩などを用いればよいが、通常、第1成分
を含む化合物には、BaCO3、SrCO3およびCaC
3を用いることが好ましく、第2成分を含む化合物に
は、ZrO2およびTiO2を用いることが好ましく、第
3成分を含む化合物には、Ta25およびNb25を用
いることが好ましい。混合には、ボールミル法、摩擦ミ
ル法、共沈法などのいずれを用いてもよい。
【0030】次に、混合した出発原料を仮焼する(ステ
ップS2)。仮焼条件は特に限定されないが、通常、8
00〜1300℃で30分間〜5時間程度熱処理を施せ
ばよい。仮焼は、粉末の状態で行ってもよく、粉末を成
形した状態で行ってもよい。
【0031】次いで、得られた仮焼体をボールミル法や
気流粉砕法などにより粉砕(ステップS3)し、仮焼粉
を得る。そして、ポリビニルアルコール、ポリエチレン
グリコール、ポリエチレンオキサイドなどの有機系バイ
ンダを含む水溶液を用いて仮焼粉を造粒し、顆粒化する
(ステップS4)。造粒手段は特に限定されず、例え
ば、噴霧乾燥法、押出造粒法、転動造粒法や、乳鉢、乳
棒を用いる方法などを利用することができる。この造粒
の際に添加するバインダ量によって、電子放出材料中の
前記空隙率を制御することが可能である。また、造粒後
に有機高分子化合物を添加することによっても、前記空
隙率を制御することが可能である。
【0032】次に、容器用の顆粒を圧縮成形し、容器形
状の成形体を得る(ステップS5)。このときの加圧力
は20〜500MPaとすることが好ましい。そして、こ
の成形体内に、電子放出材料用の顆粒を充填する(ステ
ップS6)。この充填の際には加圧を行わないことが好
ましい。加圧すると、造粒の際に添加したバインダや他
の高分子化合物の量によらず、必要な空隙を電子放出材
料中に形成することができなくなるので、熱電子放出の
ための十分な蓄熱効果が得られなくなる。そのため、放
電開始時に予熱が必要となってしまう。ただし、放電時
の電子放出材料の脱落を防ぐためには、容器内の顆粒は
周囲の他の顆粒のほとんどすべてと接触した状態となっ
ていることが好ましいので、このような状態を実現する
ために、必要に応じ、顆粒が変形しない程度に軽く加圧
してもよい。
【0033】次いで、容器およびこれに充填された顆粒
を同時に還元焼成(ステップS7)し、焼結体(電極)
を得る(ステップS8)。焼成雰囲気は、水素、一酸化
炭素等の還元性ガス、アルゴン、窒素等の不活性ガスま
たは中性ガス、還元性ガスをそれぞれ含む不活性ガスま
たは中性ガスとすることが好ましい。焼成後の容器の密
度は、理論密度の60%以上、特に85%以上であるこ
とが好ましい。電子放出材料に前記した範囲の空隙を設
ける共に容器をこのように緻密化することにより、本発
明の効果をより向上させることができ、また、後述する
ように、容器表面と電子放出材料表面とにおける炭化物
および窒化物の生成量を異なるものとすることができ
る。
【0034】電極表面に炭化物を形成するためには、炭
素を含有する化合物のガスをそれぞれ含む不活性ガスま
たは中性ガス雰囲気中で焼成すればよい。また、焼成の
際の脱バインダを不十分にすることにより、前記バイン
ダや前記有機高分子化合物から炭素を供給して炭化物を
形成することもできる。また、少なくとも一部が炭素か
ら構成されている焼成炉を用いたり、炉中に炭素粉や有
機高分子化合物を入れたり、成形体を炭素粉や有機高分
子化合物に埋没させて焼成したりすることによっても、
炭化物の形成が可能である。また、上記各手段の2種以
上を併用してもよい。これらのうちでは、雰囲気や炉材
料、炉内の炭素粉から炭素を供給する手段が好ましい。
一方、電極表面に窒化物を形成するためには、窒素雰囲
気中または窒素を含有する化合物を含む雰囲気中で焼成
すればよく、上記炭化物形成手段と併用することによ
り、炭化物と窒化物とを形成することが可能である。
【0035】なお、容器と電子放出材料とを同一組成と
した場合でも、容器表面の単位面積当たりの炭化物の量
は、電子放出材料表面の単位面積当たりの炭化物の量よ
りも多くなる。また、窒化物の量も同様である。これ
は、容器となる成形体が加圧されており、電子放出材料
となる顆粒が加圧されていないためである。炭化物およ
び窒化物は、容器および電子放出材料の結晶粒界付近か
ら結晶粒を覆うように成長して膜化するが、このとき、
加圧成形されている容器において成長がより迅速に進む
ため、容器では、炭化物や窒化物に被覆される面積が電
子放出材料に比べ広くなる。したがって、両者を同じ組
成としても第1成分の含有率は容器のほうが高くなるの
で、本発明では、容器と電子放出材料とを同一組成とし
て製造の手間を省くことが可能である。
【0036】本発明では、上記各手段のほか、真空蒸着
法やスパッタリング法などを用いて、電極表面に炭化物
および/または窒化物からなるスパッタリング防止層を
形成することもできる。これらの方法を用いる場合、炭
化物および/または窒化物が電極表面を完全に覆う前に
膜形成を止めればよい。
【0037】焼成温度は1400〜2000℃とするこ
とが好ましい。焼成温度が低すぎると、複合酸化物や窒
素を含む複合酸化物の生成反応が十分に進まないため、
点灯時に電子放出材料が蒸発しやすくなる。また、焼成
温度が低すぎると、上記手段による炭化物や窒化物の形
成が困難となる。一方、焼成温度が高すぎると、顆粒に
溶融が生じるため、電子放出材料を望ましい性状とする
ことが困難となる。
【0038】放電灯 図3に、本発明の電極を用いた放電灯の構成例を示す。
なお、同図には管端部付近だけを示してある。この放電
灯は、細管化が可能な構造を有するものである。
【0039】この放電灯は、内面に蛍光体が塗布され、
気密封止されたバルブ9を有する。バルブ9内には、希
ガス(He、Ne、Ar、KrおよびXeの少なくとも
1種)が封入されている。バルブ9内における希ガスの
圧力は、1330〜22600Paであることが好まし
い。希ガスの圧力をこの範囲に設定することにより、高
輝度化および長寿命化が可能となる。
【0040】バルブ9の端部には、リード線5が挿通さ
れている。バルブ9内に存在するリード線5の端部に
は、リード線拡大部6が形成されている。リード線拡大
部6には、導電性パイプ7が接続されている。なお、他
の手段によりリード線5を導電性パイプ7に接続するこ
とが可能であれば、リード線拡大部6を設けなくてもよ
い。導電性パイプ7は、電気伝導度の高い材料から構成
すればよいが、真空中においてガス放出の少ない材料、
例えばNiを用いれば、放電灯製造時に不純物を含むガ
スの発生が抑えられ、安定した放電が可能となるので、
好ましい。ただし、導電性パイプ7をセラミックスから
構成してもよい。導電性パイプ7内には、これと接して
容器1が配置され、容器1内には電子放出材料2が充填
されている。また、導電性パイプ7内の容器1とリード
線拡大部6との間には、水銀ディスペンサ材料3を充填
した金属パイプ4が配置されている。金属パイプ4は、
両端が開放された筒状体であり、Ni等の金属から構成
すればよい。導電性パイプ7の金属パイプ4を包囲する
部分には、スリット状の開口(図示せず)が形成されて
いる。水銀ディスペンサ材料3中の水銀は、金属パイプ
4に対する高周波加熱などにより蒸気とされ、金属パイ
プ4とリード線拡大部6との間および金属パイプ4と容
器1との間を通り、上記開口を経て放電空間10に放出
される。なお、上記開口は、水銀蒸気の放出が可能であ
ってかつ容器1の保持を妨げないものであれば、スリッ
ト状に限らずどのような形状であってもよい。また、水
銀ディスペンサ材料3を設けることも必須ではなく、封
止の過程で水銀をバルブ内に供給する構成としてもよ
い。
【0041】なお、本発明の電極は、図3に示す構造の
放電灯に限らず適用可能である。例えば、前記各公報に
おいて本発明者らが既に提案している各種構造の放電灯
への適用が可能である。
【0042】
【実施例】実施例1 第1成分としてBa、第2成分としてZr、および第3
成分としてTaを選択し、これらの出発原料としてBa
CO3、ZrO2およびTa25を準備した。電子放出材
料用として、Ba、ZrおよびTaの比率が Ba:Zr:Ta=1.3:0.2:0.8 となるように上記出発原料を秤量し、ボールミルにより
20時間湿式混合した。また、容器用として Ba:Zr:Ta=1.0:0.5:0.5 となるように上記出発原料を秤量し、同様に混合した。
【0043】次いで、混合物を乾燥した後、圧力10MP
aで成形した。得られた成形体を空気中において110
0℃で2時間仮焼した。得られた仮焼物をボールミルに
より20時間湿式粉砕し、乾燥した後、ポリビニルアル
コールを含む水溶液を加え、乳鉢と乳棒とを用いて造粒
し、顆粒化した。
【0044】次に、容器用の顆粒を圧力200MPaで成
形し、一端が開き他端が閉じた円筒状の成形体(密度
3.6g/cm3)を得た。この成形体内に電子放出材料用
の顆粒を充填した後、窒素ガスフロー雰囲気としたカー
ボン炉中において1600℃で2時間焼成し、表1に示
す電極サンプルNo.104を得た。サンプルの寸法は、
外径2.3mm、内径(顆粒収容部の直径)1.7mm、長
さ1.7mmとした。なお、容器の密度は6.8g/cm3
あり、理論密度の90%以上であった。このサンプルに
おいて、電子放出材料中の金属元素成分の構成比は、 Ba:Zr:Ta=1.0:0.2:0.7 であり、容器中の金属元素成分の構成比は、 Ba:Zr:Ta=1.0:0.5:0.5 であった。これらの構成比は、蛍光X線分析により測定
した。
【0045】表1において、Aは、容器の開口側からみ
た電子放出材料の露出面における第1成分の含有率であ
り、Bは、容器の開口側の端面における第1成分の含有
率である。したがって、A/B>1であるサンプルが本
発明サンプルである。なお、この場合の含有率とは、E
PMAで測定した第1成分の存在比率(面積比)であ
る。EPMAによる測定に際しては、測定対象元素につ
いてカウント数を7つのレベルに区切り、カウント数が
レベル3以上である領域にその元素が存在すると判定し
た。なお、カウント数の区切りレベル数および閾レベル
の設定をどこにするかは、A/B>1を満足するか否か
の判定には影響を与えなかった。
【0046】表1に示すサンプルNo.101〜103
は、電子放出材料の組成を異なるものとしたほかは上記
サンプルNo.104と同様にして製造した電極サンプル
であり、全金属元素成分に対するBaの比率が低いほ
ど、A/Bが小さくなっている。
【0047】A/Bの測定に用いたEPMA像を、図4
〜図9に示す。これらのEPMA像は、電極を容器の開
口側からみたものであり、図4および図5はサンプルN
o.104のBa分布およびTa分布をそれぞれ示し、図
6および図7はサンプルNo.102のBa分布およびT
a分布をそれぞれ示し、図8および図9はサンプルNo.
101のBa分布およびTa分布をそれぞれ示す。各図
において、明度が高い領域が元素濃度の高い領域であ
る。
【0048】図4は本発明サンプルであり、容器表面の
Baはわずかであり、一方、電子放出材料表面のBaは
比較的多量である。図6は比較サンプルであり、電子放
出材料表面に加え、容器表面にも比較的多量のBaが存
在する。図8も比較サンプルであり、容器表面のBaは
少ないが、電子放出材料表面のBaも少ない。一方、T
a分布については、図5、図7、図9のいずれにおいて
も、容器表面および電子放出材料表面の双方にTaが存
在していることがわかる。
【0049】表1に示す空隙率は、断面の走査型電子顕
微鏡写真から求めた各サンプルの電子放出材料の空隙率
である。この空隙率は、顆粒に加えて有機高分子化合物
(フェノール樹脂粉末)を成形体内に充填し、その充填
量を制御することにより調整した。サンプルNo.104
について、軸方向と平行な断面の走査型電子顕微鏡写真
を図10に示す。同図から、電子放出材料は針状であっ
て容器と一体化していることがわかる。なお、これらの
サンプルの放電面の平均曲率半径は、10〜50μmで
あった。
【0050】これらの電極サンプルを、バルブの全長1
00mm、外径5mm、封入ガスAr、封入圧力9.3kP
a、封入物Hg、駆動電源周波数30kHz、ランプ電流3
0mAの放電灯に組み込み、グロー放電からアーク放電へ
の移行時間TGAを測定した。結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】表1から、A/B>1であれば、移行時間
GAが0.5秒間以下と極めて短くなることがわかる。
【0053】サンプルNo.104について、粉末X線回
折を行った。また、電子放出材料の組成、容器の組成お
よび焼成条件の少なくとも1種を変更したほかはサンプ
ルNo.104と同様にして作製した電極サンプルについ
ても、粉末X線回折を行った。この結果、電子放出材料
および容器のいずれにおいても、Ba7Ta622、Ba
TaO2N、Ba5Ta415、Ba6ZrTa418およ
びBaZrO3の少なくとも1種の結晶が確認された。
また、X線回折におけるピーク位置のシフトから、各結
晶において、Taの一部のZrによる置換、Zrの一部
のTaによる置換が生じていると推定された。この測定
により得られたX線回折チャートのうち、サンプルNo.
104の電子放出材料および容器のものを図11および
図12にそれぞれ例示し、また、他のサンプルの電子放
出材料のX線回折チャートを図13〜図15に例示す
る。なお、図15はCr−Kαによるものであり、その
ほかはCu−Kαによるものである。
【0054】上記粉末X線回折では、容器表面に存在す
る炭化物の存在が明瞭に確認できなかったので、組成、
成形圧力および焼成条件を同一としてディスク状の焼結
体を作製し、これについてX線回折を行った。結果を図
16に示す。図16から、焼結体表面にTaC膜が形成
されていることがわかる。また、走査型電子顕微鏡によ
り観察したところ、このTaC膜が結晶膜であることが
わかった。このTaC膜の比抵抗を4端子法で測定した
ところ、60〜180μΩcmであった。また、このTa
C膜の厚さは、3〜5μmであった。
【0055】実施例2 金属元素成分の構成比が Ba:Zr:Ta=1.2:0.3:0.7 となるように出発原料を配合したほかは上記サンプルN
o.104と同様にして、電極サンプルを作製した。すな
わち、このサンプルでは、電子放出材料と容器とで出発
原料の配合比率を同じとした。このサンプルのA/Bは
2.0であり、本発明に含まれるものであった。
【0056】実施例3 空隙率を表2に示すものとしたほかは実施例1のサンプ
ルNo.104と同様にして電極サンプルを作製した。こ
れらのサンプルについて、実施例1と同様に移行時間T
GAを測定した。また、アーク放電が持続する時間を測定
することにより、寿命を調べた。結果を表2に示す。
【0057】
【表2】
【0058】表2から、空隙率を45〜80%とするこ
とにより、TGAが0.1秒間以下と短く、かつ、400
0時間以上のアーク放電寿命が得られることがわかる。
これに対し空隙率が40%であると、TGAが10秒以上
と著しく長くなり、寿命も著しく短くなることがわか
る。また、空隙率が85%であっても寿命が短くなるこ
とがわかる。これは、点灯中に電子放出材料が脱落した
ためである。
【0059】なお、表2に示すサンプルのA/Bは、す
べて5以上であった
【0060】実施例4 放電面の平均曲率半径を表3に示すものとしたほかは表
2のサンプルNo.104と同様にして電極サンプルを作
製した。なお、放電面の平均曲率半径の変更は、造粒後
の顆粒をメッシュで分級して顆粒の粒度を制御すること
により行った。
【0061】これらについて、ランプ電流を表3に示す
値として、アークスポットの安定性を調べた。結果を表
3に示す。なお、表3に示す評価は、 ○:アークスポットが10時間以上移動しない、 △:アークスポットが5分間以内に移動する、 ×:アーク放電せず(電極全体が放電するグロー放電の
み) である。
【0062】
【表3】
【0063】表3から、ランプ電流が5〜500mAのと
き、放電面の平均曲率半径を10〜150μmの範囲か
ら選択することにより、アークスポットの移動なく放電
を長時間持続させ得ることがわかる。アークスポットが
移動すると、電圧変動が生じてイオンスパッタリングが
生じやすくなり、また、電子放出材料に熱衝撃が加わる
ので、電極の寿命が短くなってしまう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の放電灯用電極の構成例を示す断面図で
ある。
【図2】本発明の放電灯用電極の製造工程を説明するた
めのフローチャートである。
【図3】本発明の放電灯用電極を有する放電灯の構成例
を示す断面図である。
【図4】セラミック材料の組織を示す図面代用写真であ
って、放電灯用電極表面のBa分布を示すEPMA像で
ある。
【図5】セラミック材料の組織を示す図面代用写真であ
って、放電灯用電極表面のTa分布を示すEPMA像で
ある。
【図6】セラミック材料の組織を示す図面代用写真であ
って、放電灯用電極表面のBa分布を示すEPMA像で
ある。
【図7】セラミック材料の組織を示す図面代用写真であ
って、放電灯用電極表面のTa分布を示すEPMA像で
ある。
【図8】セラミック材料の組織を示す図面代用写真であ
って、放電灯用電極表面のBa分布を示すEPMA像で
ある。
【図9】セラミック材料の組織を示す図面代用写真であ
って、放電灯用電極表面のTa分布を示すEPMA像で
ある。
【図10】粒子構造を示す図面代用写真であって、放電
灯用電極断面の走査型電子顕微鏡写真である。
【図11】電子放出材料の粉末X線回折チャートであ
る。
【図12】容器の粉末X線回折チャートである。
【図13】電子放出材料の粉末X線回折チャートであ
る。
【図14】電子放出材料の粉末X線回折チャートであ
る。
【図15】電子放出材料の粉末X線回折チャートであ
る。
【図16】容器と同条件で作製されたディスク状焼結体
のX線回折チャートである。
【符号の説明】
1 容器 2 電子放出材料 3 水銀ディスペンサ材料 4 金属パイプ 5 リード線 6 リード線拡大部 7 導電性パイプ 9 バルブ 10 放電空間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 誠 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 淀川 正忠 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 原田 拓 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 5C015 AA03 CC02 CC03 CC04 CC14 EE06

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端が開放された筒状の容器と、この容
    器内に収容された電子放出材料とを有し、 容器および電子放出材料が、Ba、SrおよびCaの少
    なくとも1種からなる第1成分と、ZrおよびTiの少
    なくとも1種からなる第2成分と、TaおよびNbの少
    なくとも1種からなる第3成分とを金属元素成分として
    含む複合酸化物および/または窒素を含む複合酸化物を
    主成分とし、 容器の開口側からみた電子放出材料の露出面における第
    1成分の含有率が、容器の開口側の端面における第1成
    分の含有率よりも高い放電灯用電極。
  2. 【請求項2】 一端が開放された筒状の容器と、この容
    器内に収容された電子放出材料とを有し、 容器および電子放出材料が、Ba、SrおよびCaの少
    なくとも1種からなる第1成分と、ZrおよびTiの少
    なくとも1種からなる第2成分と、TaおよびNbの少
    なくとも1種からなる第3成分とを金属元素成分として
    含む複合酸化物および/または窒素を含む複合酸化物を
    主成分とし、 電子放出材料が空隙率45〜80%の多孔体である放電
    灯用電極。
  3. 【請求項3】 容器の密度が理論密度の60%以上であ
    る請求項1または2の放電灯用電極。
  4. 【請求項4】 放電面の平均曲率半径が10〜150μ
    mである請求項1〜3のいずれかの放電灯用電極。
  5. 【請求項5】 容器の開口側からみた電子放出材料の露
    出面および容器の開口側の端面と、容器の外側面および
    /または底面とに、Ta、NbおよびTiの少なくとも
    1種を含む炭化物および/または窒化物が存在する請求
    項1〜4のいずれかの放電灯用電極。
  6. 【請求項6】 第1成分をMI、第2成分をMII、第3
    成分をMIIIで表したとき、前記容器および前記電子放
    出材料が、 MIII 3型結晶、 MI 5III 415型結晶、 MI 7III 622型結晶、 MIIII2N型結晶および MI 6IIIII 418型結晶 から選択される少なくとも1種の結晶を含む請求項1〜
    5のいずれかの放電灯用電極。
  7. 【請求項7】 前記結晶において、MIIIの一部がMII
    により置換され、MI Iの一部がMIIIにより置換されて
    いる請求項6の放電灯用電極。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかの放電灯用電極
    を有する放電灯。
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