JP2000065803A - レーザー超音波検査装置及びレーザー超音波検査方法 - Google Patents

レーザー超音波検査装置及びレーザー超音波検査方法

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JP2000065803A
JP2000065803A JP10239362A JP23936298A JP2000065803A JP 2000065803 A JP2000065803 A JP 2000065803A JP 10239362 A JP10239362 A JP 10239362A JP 23936298 A JP23936298 A JP 23936298A JP 2000065803 A JP2000065803 A JP 2000065803A
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laser beam
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mode
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Yasuaki Nagata
泰昭 永田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一台で複数のモードの板波を検査対象に発生
させて欠陥検査を実行でき、更に、その欠陥が存在する
深さに関する情報も得られるレーザー超音波検査装置及
びレーザー超音波検査方法を提供する。 【解決手段】 音響光学素子12から出射されるレーザ
ービーム17及び音響光学素子141 ,142 から出射
されるレーザービーム181 ,182 の光周波数は、元
々の光周波数からシフトされる。これらは、鋼材1の左
側の側端部近傍に所定の入射角で照射される。このと
き、レーザービーム181 のスポット311、レーザー
ビーム182 のスポット312 は、y軸方向に重ならな
いで並ぶようにし、また、レーザービーム17のスポッ
ト30は、y軸方向の幅をスポット311 ,312 の約
2倍とし、これらを全体的にカバーしてスポット3
1 ,31 2 と重なるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、検査対象に光周波
数が僅かに異なる二つのレーザービームを照射して干渉
させ、この干渉縞に基づいて検査対象に板波を発生させ
るとともに、この板波の反射エコーを観測することによ
って検査対象内部の欠陥を非破壊で検出するレーザー超
音波検査装置及びレーザー超音波検査方法に関連する。
【0002】
【従来の技術】比較的薄い鋼材の内部を非破壊で検査す
る方法として、タイヤ型探触子を用いて鋼材に板波(L
amb波)を発生させ、欠陥で反射されたこの板波の反
射エコーを観測することによって、欠陥検査を行う装置
が知られている。この装置については、例えば特開平9
−251010号公報に開示されている。なお、板波の
詳しい性質については後述する。
【0003】図9は、このタイヤ型探触子を用いた欠陥
検査装置の概略を示した図である。図9において、検査
対象である鋼材50は、厚さが約3mmで、例えば毎分
90mの速度で矢印で示した長手方向に搬送される。タ
イヤ型探触子51は、鋼材50の一方の側端部の近傍と
接するよう配置され、鋼材50の搬送に伴って回転す
る。
【0004】図10は、タイヤ型探触子51の内部を示
す断面図である。タイヤ型探触子51は、鋼材50の搬
送に伴って回転するタイヤ部60、回転するタイヤ部6
0の回転軸となる軸61、軸61に取り付けられた超音
波振動子62、超音波振動子62から発せられた超音波
をタイヤ部60まで伝達する伝達媒質63などからな
る。軸61は固定され、一方タイヤ部60を左右から閉
じる蓋64,65は、タイヤ部60と共に回転するよう
にされているため、蓋64及び65と軸61とは互いに
摺接している。伝達媒質63は、蓋64及び65によっ
て、タイヤ部60の内部に封入されている。
【0005】超音波振動子62から超音波が発せられる
と、超音波は伝達媒質63を介してタイヤ部60に達
し、更にタイヤ部60と接している鋼材50に伝えられ
る。この超音波の周波数及びこの鋼材に対する入射角が
適当な値に設定されていると、鋼材50には、板波が発
生する。板波は、鋼材50を、タイヤ型探触子51が配
置された方の側端部から搬送方向と直角な方向に向けて
伝播し、もう一方の側端部で反射されて、再びタイヤ型
探触子51のところに戻り、超音波探触子62によって
観測される。この板波の伝播経路の途中に欠陥がある
と、板波はその欠陥によっても反射され、この反射エコ
ーも超音波探触子62によって観測される。欠陥による
反射エコーは、鋼材の側端部で反射される反射エコーよ
りも時間的に先行して観測されるので、これを観測する
ことによって、鋼材の内部に欠陥のあることが検出され
る。
【0006】図9及び図10に示すような構成で、板波
超音波を伝播させ、そのエコーを観測するという動作
を、従来は、例えば5msecごとに1回の割合で行っ
ていた。鋼材50の搬送速度を毎分90mとすると、5
msecの時間に進む距離は7.5mmである。したが
って、距離にして7.5mm間隔ごとに、鋼材内部の欠
陥の検査を行うことができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、板波には様
々なモードがあり、それぞれのモードによって伝播速度
(音速)を初めとする種々の性質が異なる。特に、欠陥
の検出という観点からは、欠陥が鋼材の表面に近くにあ
るか中央部にあるかによって、板波の反射エコーの強度
が異なる。そして、近年、欠陥の位置による反射エコー
の強度の変化の仕方が、板波のモードによって異なるこ
とが分かってきた。すなわち、あるモードでは鋼材の表
面近傍に存在する欠陥からの反射エコーの強度はかなり
高いが鋼材の中央部に存在する欠陥からの反射エコーの
強度は極端に弱かったり、また別のモードでは、鋼材の
表面近傍に存在する欠陥からの反射エコーも中央部に存
在する欠陥からの反射エコーもほぼ同じ強度を有する、
といった違いが知られてきた。
【0008】このように、同じモードでも、欠陥の存在
する位置によって板波の反射エコーの強度が異なると、
そのモードだけでを用いている限り、反射エコーの強度
が弱いところに存在する欠陥については見逃す危険性が
ある。一方、これまで用いられてきたタイヤ型探触子を
用いて板波を発生・観測する装置では、鋼材に発生させ
ることのできる板波のモードが固定されており、1台の
タイヤ型探触子で複数のモードの板波を発生させること
はできない。このため、かりに複数の板波モードを用い
て検査しようとすると、同じような装置を複数用意し
て、一つの装置であるモードでの検査が終了した後、別
の装置で別のモードでの検査を行なうということが必要
となり、不経済であるとともに、検査に要する手間も余
分にかかってしまう。
【0009】更に、従来のタイヤ型探触子を用いた欠陥
検査装置では、いずれかのモードの板波を用いて、鋼材
の平面的な位置のどこに欠陥が存在するかを知ることは
できるが、その欠陥が、鋼材のどの程度の深さのところ
に存在するかを知ることはできなかった。本発明は、上
記事情に基づいてなされたものであり、一台で複数のモ
ードの板波を検査対象に発生させて欠陥検査を実行で
き、更に、その欠陥が存在する深さに関する情報も得ら
れるレーザー超音波検査装置及びレーザー超音波検査方
法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの請求項1記載の発明であるレーザー超音波検査装置
は、第一、第二、第三、第四のレーザービームを発する
レーザー発生手段と、前記第一及び第二のレーザービー
ムを、それぞれ所定の入射角で検査対象の第一の照射位
置に照射する第一のレーザービーム照射手段と、前記第
三及び第四のレーザービームを、それぞれ所定の入射角
で検査対象の第二の照射位置に照射する第二のレーザー
ビーム照射手段と、前記第一及び第二のレーザービーム
のいずれか一方又は両方の光周波数をシフトして両者の
光周波数に所定の差を設けることにより、前記第一の照
射位置において第一及び第二のレーザービームによる干
渉及び干渉縞の移動を起こさせる第一の光周波数差設定
手段と、前記第三及び第四のレーザービームのいずれか
一方又は両方の光周波数をシフトして両者の光周波数に
所定の差を設けることにより、前記第二の照射位置にお
いて第三及び第四のレーザービームによる干渉及び干渉
縞の移動を起こさせる第二の光周波数差設定手段と、検
査対象の特定の位置で板波を観測する板波観測手段とを
有し、前記第一の照射位置での干渉及び干渉縞の移動に
よって検査対象に第一のモードの板波を発生させるとと
もに、前記第二の照射位置での干渉及び干渉縞の移動に
よって検査対象に第二のモードの板波を発生させ、前記
第一のモードの板波及び第二のモードの板波の欠陥によ
る反射エコーを前記板波観測手段で観測することにより
検査対象内の欠陥を検出することを特徴とする。
【0011】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、前記板波観測手段は、検査対象の観測点に
観測用レーザービームを照射し、その反射光をファブリ
・ペロー干渉計に導き、前記反射光が前記観測点の超音
波振動によって受けるドップラーシフトを前記ファブリ
・ペロー干渉計の出射光強度の変化として捉えることを
特徴とする。
【0012】請求項3記載の発明であるレーザー超音波
装置は、第一、第二、第三、第四のレーザービームを発
するレーザー発生手段と、前記第一及び第二のレーザー
ビームを、それぞれ所定の入射角で検査対象の第一の照
射位置に照射する第一のレーザービーム照射手段と、前
記第三及び第四のレーザービームを、それぞれ所定の入
射角で検査対象の第二の照射位置に照射する第二のレー
ザービーム照射手段と、前記第一及び第二のレーザービ
ームのいずれか一方又は両方の光周波数をシフトして両
者の光周波数に所定の差を設けることにより、前記第一
の照射位置において第一及び第二のレーザービームによ
る干渉及び干渉縞の移動を起こさせる第一の光周波数差
設定手段と、前記第三及び第四のレーザービームのいず
れか一方又は両方の光周波数をシフトして両者の光周波
数に所定の差を設けることにより、前記第二の照射位置
において第三及び第四のレーザービームによる干渉及び
干渉縞の移動を起こさせる第二の光周波数差設定手段
と、検査対象の特定の位置で板波を観測するとともに、
観測した板波の強度を測定する板波強度測定手段とを有
し、前記板波強度測定手段によって、前記第一の照射位
置での干渉及び干渉縞の移動によって検査対象に発生し
た第一のモードの板波の欠陥による反射エコーの強度
と、前記第二の照射位置での干渉及び干渉縞の移動によ
って検査対象に発生した第二のモードの板波の前記欠陥
による反射エコーの強度を測定し、これらの強度から、
当該欠陥の深さを推定することを特徴とする。
【0013】請求項4記載の発明は、請求項3記載の発
明において、前記板波強度測定手段は、検査対象の観測
点に観測用レーザービームを照射し、その反射光をファ
ブリ・ペロー干渉計に導き、前記反射光が前記観測点の
超音波振動によって受けるドップラーシフトを前記ファ
ブリ・ペロー干渉計の出射光強度の変化として捉えると
ともに、前記出射光強度の変化の大きさから板波の強度
を測定することを特徴とする。
【0014】請求項5記載の発明は、請求項1,2,3
又は4記載の発明において、前記第一及び第二のレーザ
ービーム照射手段は、前記第一の照射位置及び第二の照
射位置をy軸方向に並ぶようにするとともに、前記第一
及び第二の照射位置における干渉縞の移動方向がx軸方
向(x軸とy軸は直交する)となるように各レーザービ
ームを照射するものであり、更に、前記検査対象を、y
軸方向に一定速度で移動させる搬送手段と、前記搬送手
段による検査対象の移動の速度に伴って、前記第一、第
二のレーザービームが照射される検査対象上の部位と前
記第三、第四のレーザービームが照射される検査対象上
の部位とが同一となるように、前記第一、第二のレーザ
ービームを照射するタイミングと前記第三、第四のレー
ザービームを照射するタイミングを制御する照射タイミ
ング制御手段と、を有することを特徴とする。
【0015】請求項6記載の発明は、請求項1,2,
3,4又は5記載の発明において、前記第一及び第三の
レーザービームは、単一のレーザービームからなること
を特徴とする。請求項7記載の発明は、請求項1,2,
3,4,5又は6記載の発明において、前記レーザー発
生手段は、CO2 レーザーから発生された単一のレーザ
ービームを分岐して前記第一、第二、第三、第四のレー
ザービームを得ることを特徴とする。
【0016】請求項8記載の発明は、請求項1,2,
3,4,5,6又は7記載の発明において、前記第一及
び第二の光周波数差設定手段は、光周波数をシフトさせ
ようとするレーザービームを入射させる音響光学素子
と、前記音響光学素子に電気信号を供給する発振器から
なり、前記発振器が供給する電気信号の周波数を制御す
ることによって、前記レーザービームの光周波数をシフ
トさせることを特徴とする。
【0017】請求項9記載の発明は、請求項1,2,
3,4,5,6,7又は8記載の発明において、前記板
波の第一のモード及び第二のモードは、一方がS0 モー
ドであり、他方がA0 モードであることを特徴とする。
請求項10記載の発明であるレーザー超音波検査方法
は、検査対象を伝播する板波の第一のモード及び第二の
モードについて、欠陥からの反射エコーの強度が、当該
欠陥の深さを変数としてどのように変化するを示す反射
エコー強度特性を取得し、各深さ位置での両モードの強
度比を予め求めておく第一の工程と、所定の光周波数差
を有する第一及び第二のレーザービームを実際の検査対
象の所定の照射位置に照射してレーザービームの干渉及
び干渉縞の移動を起こさせることにより、検査対象に前
記第一のモードの板波を発生させ、この板波による欠陥
からの反射エコーを観測した場合は、その強度を測定す
る第二の工程と、所定の光周波数差を有する第三及び第
四のレーザービームを実際の検査対象の前記所定の照射
位置に照射してレーザービームの干渉及び前記第二の工
程と同一方向での干渉縞の移動を起こさせることによ
り、検査対象に前記第二のモードの板波を発生させ、こ
の板波による欠陥からの反射エコーを観測した場合は、
その強度を測定する第三の工程と、前記第一及び第二の
モードの板波の反射エコーの強度比を求め、この強度比
と、前記反射エコー強度特性に基づいて求めてある強度
比から、前記欠陥の深さを位置を推移する第四の工程
と、を有することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して、本発明の
実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施
形態のレーザー超音波検査装置の全体的な構成を示す図
である。本実施形態の説明では、検査対象とされる薄い
鋼材1の幅方向をx軸方向、鋼材1の長手方向をy軸方
向、これらの軸に垂直な方向をz軸方向とする。図1で
は、図の横方向(左から右に向かう方向)がx軸方向、
縦方向(下から上に向かう方向)がz軸方向となってお
り、図1のx軸方向は鋼材1の幅方向となり、紙面に垂
直なy軸方向が鋼材1の長手方向となる。鋼材1は、紙
面の裏側から表側に向かう方向(y軸方向)に搬送され
る。搬送速度は、毎分90mとし、鋼材1の厚さは、3
mmとする。
【0019】図1において、CO2 レーザー10は、超
音波発生用のレーザー光源である。CO2 レーザーは、
高エネルギーのレーザービームを、繰り返し周波数1K
Hz以上で繰り返し発射することができるため、検査対
象が絶え間なく搬送されている工場などでのオンライン
検査に適している。CO2 レーザー10は数種類の波長
のレーザービームを発生することができるが、ここで
は、波長λ0 =10.6μmのレーザービームを用い
る。このレーザービームの光周波数をf0 とすると、f
0 =c[m/sec]/10.6[μm]となる。ここ
で、cは光速である。
【0020】図1において、CO2 レーザー10から発
射されたレーザービームは、ビームスプリッタ11によ
って、ここで反射されるレーザービームとここを透過す
るレーザービームに分岐される。ビームスプリッタ11
で反射されたレーザービームは、音響光学素子(AO
M)12に入射する。一方、ビームスプリッタ11を透
過したレーザービームは、さらにビームスプリッタ13
1 とミラー132 によって二つのレーザービームに分け
られる。すなわち、ビームスプリッタ131 によって反
射されたレーザービームは、音響光学素子141 に入射
し、ミラー132によって反射されたレーザービーム
は、音響光学素子142 に入射する。
【0021】音響光学素子12,141 ,142 は、音
響光学効果を利用した素子であり、ここでは音響光学周
波数シフタ(Acousto−Optic Frequ
ency Shifter:AOFS)として利用す
る。音響光学素子に、適当な周波数の電気信号を供給す
ると、内部に設けられた媒体が超音波振動を行い、弾性
歪みや圧力が場所によって変化する。これに起因して、
媒体には超音波の波長を周期とする屈折率変動が生じ、
この屈折率の変動領域に入射した光を回折させる。この
とき、回折した光は超音波によるドップラーシフトを受
け、一次回折光の光周波数は、入射光の光周波数から超
音波の周波数分だけシフトした値となる。すなわち、入
射光の光周波数をfi 、一次回折光の光周波数をfd
超音波の周波数(発振器の信号周波数)をfa とする
と、 fd =fi ±fa (1) となる。ここで、±の符号は、回折される方向によって
決まる。
【0022】本実施形態では、音響光学素子12には発
振器15から、また、音響光学素子141 ,142 には
発振器161 ,162 から、それぞれ所定周波数の電気
信号を供給する。したがって、音響光学素子12から出
射されるレーザービーム17及び音響光学素子141
142 から出射されるレーザービーム181 ,182
光周波数は、前述の(1)式に基づいて、元々の光周波
数f0 からシフトする。発振器15及び161 ,162
の発信周波数の具体的な値については、後述する。
【0023】音響光学素子12から出射されたレーザー
ビーム17と、音響光学素子141,142 から出射さ
れたレーザービーム181 ,182 は、適当な光学系
(図示せず)によって鋼材1の左側の側端部近傍に所定
の入射角で照射される。図2及び図3は、これら三つの
レーザービームの位置関係を示しており、図2は三つの
レーザービームを横から見た状態を示す図、図3は鋼材
1上に照射された三つのレーザービームのスポットを示
した図である。
【0024】図3に示すように、三つのレーザービーム
は、いずれも鋼材1の左側の側端部の近傍に照射され
る。そして、レーザービーム181 のスポット311
レーザービーム182 のスポット312 は、y軸方向に
重ならないで並ぶようにし、また、レーザービーム17
のスポット30は、y軸方向の幅をスポット311 ,3
2 の約2倍とし、これらを全体的にカバーしてスポッ
ト311 ,312 と重なるようにする。更に、二つのレ
ーザービーム181 のスポット311 とレーザービーム
182 のスポット312 の中心間の距離を、ここでは
7.5mmとする。なお、三つのレーザービーム17,
181 ,182 の中心軸は、いずれもx−z面と平行な
面内にあるようにする。
【0025】音響光学素子12から出射されるレーザー
ビーム17の光周波数と音響光学素子141 ,142
ら出射されるレーザービーム181 ,182 の光周波数
が僅かに異なっていると、鋼材1上のスポットで重なり
あう二つのレーザービーム同士、すなわちレーザービー
ム17と181 、およびレーザービーム17と18
2は、それぞれ互いに干渉し合い、強め合うところと弱
め合うことろが交互に現れる干渉縞を生じる。更に、こ
れらの干渉縞は、各レーザービームの中心軸がx−z平
面と平行な面内にあることから、後述のようにx軸方向
に移動する。
【0026】ところで、鋼材1にレーザービームが照射
されると、その照射点を源とする超音波が発生する。特
に、本実施形態のように、鋼材1の厚さが3mm程度と
いう十分に薄いものである場合には、板波(「Lamb
波」ともいう)と呼ばれる超音波が生じる。一般に、レ
ーザービームが照射されると、色々なモードの板波が発
生するが、前述の干渉縞の空間的な周期があるモードの
板波の波長に一致し、かつ、干渉縞の移動速度がその板
波の伝播速度に等しければ、そのモードの板波だけが増
幅され、指向性の高い板波超音波となって、干渉縞の移
動方向に伝播する。本実施形態では、レーザービームに
よる干渉縞を、鋼材1の表面上でx軸の正方向(図1の
左から右に向かう方向)に移動させるので、板波もこの
同じ方向に伝播する。
【0027】板波は、図4に示すように、薄い板の全体
が振動して伝播する超音波である。これに対して、十分
な厚さの試料に対して超音波を発生させると、その表面
だけを伝わる表面波や、表面から内部に向かって進行す
る超音波などが発生する。板波には、図4(a)のよう
に、媒質の表側の変位と裏側の変位が対称となる「Sモ
ード」と、図4(b)のように媒質の表側の変位と裏側
の変位が非対称となる「Aモード」がある。更に、Sモ
ード、Aモードには、それぞれ、多数の高調波モードが
存在する。板波のモードの表し方は、基本波には添字0
を付けてS0 モード、A0 モードのように表し、高調波
にはその次数に応じた添字を付けて表す。但し、鋼材内
部の欠陥検出には、単純な取り扱いが可能なS0 モード
及びA0モードを用いることが多く、本実施形態でもS
0 モード及びA0 モードのみを用いる。但し、これは本
発明の一例であり、他のモードを用いる場合も、本発明
の技術的範囲に含まれる。
【0028】板波の音速(位相速度)は、モードによっ
て、また、周波数f[MHz]と媒質の厚さとd[m
m]を掛けたfd積と呼ばれる値によって大きく異な
る。図5は、鋼材について板波の音速を理論的に導いた
結果を示したグラフであり、縦軸が音速(位相速度)
[m/sec]、横軸がfd積[MHz・mm]を表し
ている。図5のグラフにおいて、S0 モードとA0 モー
ドについて、fd積を徐々に大きくしていくと、音速
は、最終的に2950[m/sec]に収束することが
分かる。これは鋼材の表面波の音速に対応する。
【0029】以上の板波の性質に関する説明は、実森彰
郎「産業用超音波センシングと信号処理」((社)日本
鉄鋼協会計測・制御・システム工学部会シンポジウム
「センシングと信号処理技術の最新動向」1997年1
1月12日)によった。x軸方向に沿った板波の伝播経
路に欠陥がなければ、板波は、図1に示す鋼材1の右側
の側端部で反射される。一方、伝播経路に欠陥が存在す
ると、板波はこの欠陥でも反射される。欠陥で反射され
る板波のエコーは、側端部で反射されるエコーよりも時
間的に先行して発生源に戻る。板波の音速、鋼材の寸
法、各レーザービームのスポットの位置関係を既知とす
れば、超音波を発生させた位置又はその近傍で反射エコ
ーを観測し、かつ、超音波を発生させてから反射エコー
が観測されるまでの時間を求めることによって、鋼材1
の内部における欠陥の有無を調べることができ、また、
欠陥がある場合にはその欠陥のx−y面内での位置を特
定することができる。
【0030】本実施形態では、この板波の反射エコーの
観測にもレーザーを利用する。図1において、アルゴン
(Ar)レーザー20は、板波超音波エコー観測用のレ
ーザー光源である。Arレーザー20から発射されたレ
ーザービームは、ハーフミラー21及び適当な光学系
(図示せず)を経て、鋼材1の表面のに照射される。な
お、本実施形態では、二組の板波の観測を行うので、そ
れに対応して二つの観測用レーザービームを用いる。こ
れらのレーザービームのスポットを、図3に32 1 ,3
2 として示す。図3に示すように、超音波エコー観測
用のレーザービームのスポットの位置を超音波発生用の
レーザービームのスポットの十分近傍とする。また、ス
ポット311 の中心とスポット321 の中心はx軸と平
行な同一直線上にあるようにする。スポット312 の中
心とスポット322 の中心についても同様とする。
【0031】スポット321 ,322 に照射された観測
用レーザービームの一部はここで反射され、反射光は更
にハーフミラー21で反射されて、ファブリ・ペロー干
渉計22に入射するよう導かれる。板波の反射エコーが
鋼材1を伝播して戻ってくると、照射部位で反射される
観測用レーザービームの反射波は、この超音波振動によ
る鋼材1の表面の変位速度に基づくドップラーシフトを
受け、表面の変位速度に応じて光周波数が変位する。
【0032】ファブリ・ペロー干渉計22は、これに入
射する光の光周波数によって、出射光の強度が図6のよ
うに変化する。すなわち、出射光強度は、ある特定の光
周波数において急峻なピークを示すが、このピークの前
後では速やかに低下する。このピークを示す光周波数
は、ファブリ・ペロー干渉計22の共振器長を調節する
ことによって変えることができる。そこで、曲線の傾き
が最大となる光周波数(例えば図4のA点)がArレー
ザーの光周波数と一致するよう予めファブリ・ペロー干
渉計22の共振器長を調整しておけば、光周波数の僅か
な変位±Δνを、相対的に大きな透過光強度の変化±Δ
Iに変換できる。透過光強度は、光検出器23を用いて
電気信号に変換されるので、最終的には、光周波数の変
位を電気的な波形として捉えることができ、これにより
板波の反射エコーを観測できる。
【0033】次に、図1の発振器15から音響光学素子
12へ供給する信号、および発振器161 ,162 から
音響光学素子141 ,142 に供給する信号の周波数を
どのような値とし、音響光学素子12,141 ,142
から出射される各レーザービームの光周波数をどの程度
シフトさせるかについて説明する。図7は、図1に示し
た二つのレーザービーム17,181 と、これらの照射
部位の近傍を拡大して示したものであり、座標軸の取り
方は、図1の場合と同様である。図7に示すように、レ
ーザービーム17の入射角はz軸からx軸の負側に計っ
てθとし、レーザービーム181 の入射角はz軸からx
軸の正側に計ってθとする。このとき、鋼材1の二つの
レーザービーム17,181 の両方が照射された部位に
おける光の振幅は、
【0034】
【数1】
【0035】と表すことができる。ここで、(2)式の
右辺第1項はレーザービーム17の光の振幅の変化を表
し、右辺第2項はレーザービーム181 の光の振幅の変
化を表す。また、I1 ,I2 は、それぞれのレーザービ
ームの最大振幅を表し、k1 ,k2 は、各レーザービー
ムの波数を表し、ω1 ,ω2 は、各レーザービームの角
周波数を表す。レーザービーム17の光周波数をf1
波長をλ1 、レーザービーム181 の光周波数をf2
波長をλ2 とすると、これらの間には、 k1 =2π/λ1 ,k2 =2π/λ2 ω1 =2πf1 ,ω2 =2πf2 λ1 =c/f1 ,λ2 =c/f2 という関係がある。
【0036】(2)式に基づいて、照射部位における光
の強度を計算すると、
【0037】
【数2】
【0038】となる。ここで、K(=2π/λ0 ≒k1
≒k2 )は、CO2 レーザー10から発射されたレーザ
ービームの波数であり、またωa は、 ωa =ω2 −ω1 =2π(f2 −f1 ) である。(3)式の右辺第3項は、干渉縞が波のように
x軸方向に移動することを示している。そこで干渉縞の
進行速度をvf 、干渉縞の波数をkf 、干渉縞の波長を
λf とすると、 kf =2K sinθ (4) vf =ωa /2K sinθ=λ0 (f2 −f1 )/2 sinθ (5) と表される。なお、λ0 は、前述のように、CO2 レー
ザー10から放射されるレーザービームの波長である。
【0039】(4)式から、二つのレーザービームの入
射角θを変えることによって、干渉縞の波長(空間的な
周期)λf (=2π/kf )を調整できることが分か
る。また、(5)式から、二つのレーザービームの入射
角θと、二つのレーザービームの光周波数差を適当に調
整することによって、干渉縞の移動速度を変え得ること
が分かる。
【0040】そこで、まず、干渉縞の波長を所望の波長
となるよう(4)式からθを決める。そして、このθを
(5)式に代入し、所望の速度vf となるように二つの
レーザービームの光周波数差(f2 −f1 )を決め、こ
の光周波数差(f2 −f1 )が得られるように、音響光
学素子12,141 に供給する信号の周波数を決定す
る。
【0041】干渉縞の波長(λf =2π/kf )を特定
のモードの板波超音波の波長λaco(=2π/kaco
と一致させるには、(4)式より、 λaco =λ0 /2 sinθ (6) を満たすことが必要であり、したがって、二つのレーザ
ービームの入射角θを(6)式から求めた値に調整すれ
ば、干渉縞の波長λf が、発生させようとする超音波の
波長λaco と一致する。
【0042】また、干渉縞の移動速度を、特定モードの
板波超音波の音速と同じにするには、(6)式を満たす
よう定められたθを(5)式に代入し、更に、発生させ
ようとする超音波の音速vaco が(5)式のvf と等し
くなるように、二つのレーザービーム17と181 の光
周波数差(f2 −f1 )を設定すればよいことが分か
る。
【0043】このように、二つのレーザービームの入射
角θと、周波数差(f2 −f1 )を適当に調整すること
によって、まず、干渉縞の空間的な周期をあるモードの
板波の波長と同じくし、更に、干渉縞の移動速度が当該
モードの板波の音速(伝播速度)と同じくなるようにす
れば、この干渉縞によってそのモードの板波は増幅さ
れ、そして、ほぼこの干渉縞の移動方向にのみ伝播する
指向性の高い超音波が発生する。
【0044】以上では、レーザービーム17とレーザー
ビーム181 との干渉について説明したが、レーザービ
ーム17とレーザービーム182 (光周波数をf3 とす
る)との干渉については、これらのビームがなす角の2
分の1をθ′とし、このθ′を前述のθと置き換えれ
ば、前述の議論が、レーザービーム17とレーザービー
ム182 との干渉についてもそのまま成り立つ。したが
って、図1に示した構成のもとでは、y軸方向に7.5
mm離れた位置に、任意に選択したモードの二つの板波
を発生させることができ、これらを平行にx軸方向に伝
播させることができる。
【0045】ここで、発振器15,161 ,162 の発
信周波数として設定すべき具体的な値を求める。鋼材1
の厚さは前述のように3mmであり、鋼材1に発生させ
る板波の周波数を、ここでは2MHzとする。したがっ
て、前述のfd積は6[MHz・mm]となる。図5に
おいて横軸のfd積が6[MHz・mm]のところをみ
ると、S0 モードの音速は約3100[m/sec]、
0 モードの音速は約2900[m/sec]である。
なお、板波の波長は、どちらの場合も近似的に1.4m
mとする。また、レーザービーム17とレーザービーム
181 の干渉によってA0 モードの板波を発生させるも
のとし、レーザービーム17とレーザービーム182
干渉によってS0 モードの板波を発生させるものとす
る。
【0046】まず、最初に二つのレーザービーム17と
レーザービーム181 とを用いてA 0 モードの板波を発
生させる場合を考える。二つのレーザービームの光周波
数f 1 及びf2 を、 f1 =f0 +40MHz f2 =f0 +xMHz とする。ここで、実際の取扱いの便宜を考慮して、40
MHzというオフセットを設け、発振器15の発振周波
数を固定する。
【0047】上のf1 ,f2 の式及び(6)式を(5)
式に代入すると、干渉縞の移動速度vf は、 vf =λaco (x[MHz]−40[MHz]) となる。このvf がA0 モードの音速に一致するという
条件から、必要な発振器161 の発振周波数x[MH
z]を算出する。vf =2900[m/sec]、すな
わちA0 モードの音速と一致させるために必要なxの値
(=x2 )を求めると、 x2 =42.0714[MHz] となる。
【0048】次に、二つのレーザービーム17とレーザ
ービーム182 とを用いてS0 モードの板波を発生させ
る場合を考える。レーザービーム17の光周波数は上記
と同じf1 とし、また、レーザービーム182 の光周波
数をf3 とし、これらを f1 =f0 +40MHz f3 =f0 +xMHz とする。ここで、発振器15について40MHzという
オフセットを設けて発振周波数を固定する点は、上記と
同じである。
【0049】上のf1 ,f3 の式及び(6)式を、
(5)式に代入すると、干渉縞の移動速度vf は、 vf =λaco (x[MHz]−40[MHz]) となる。このvf がS0 モードの音速に一致するという
条件から、必要な発振器162 の発振周波数x[MH
z]を算出する。vf =3100[m/sec]、すな
わちS0 モードの音速と一致させるために必要なxの値
(=x3 )を求めると、 x3 =42.2143[MHz] となる。
【0050】ところで、発振器として、40MHzもし
くはそれ以上の周波数の信号を5KHzのステップでコ
ントロールできるものが市販されており、このような発
振器を発振器15,161 ,162 として用いれば、発
振器15の発振周波数を40MHzに固定した状態で、
発振器161 の発振周波数をx2 =42.0714[M
Hz]、発振器162 の発振周波数をx3 =42.21
43[MHz]にコントロールすることは容易である。
【0051】次に、上記のように欠陥検査に複数のモー
ドS0 ,A0 の板波を用いることによって得られる効果
について説明する。あるモードの板波を用いて欠陥から
の反射エコーを観測し、これに基づいて欠陥を検出しよ
うとする場合、欠陥の存在する深さによって反射エコー
強度が異なること、そして、この欠陥の位置による反射
エコー強度の変化の仕方が、板波のモードによって異な
ることが、最近指摘された。これについては、たとえば
「超音波板波法の数値シミュレーション」(廣瀬壮一:
平成7年度秋期大会講演概要集)において説明されてい
る。
【0052】図8は、前記論文に掲載されている数値シ
ミュレーションの結果を示したグラフであり、実線はA
0 モードを用いたときの欠陥の深さによる反射エコーの
強度の変化を示しており、破線はS0 モードを用いたと
きの欠陥の深さによる反射エコーの強度の変化を示して
いる。図8の横軸は、欠陥の深さを表しており、最も右
側が表側の表面、最も左側が裏側の表面、横軸の中間が
表側と裏側の中央部に対応する。また、縦軸は板波の反
射エコーの強度を表している。
【0053】図8から分かるように、鋼材の表面近くに
欠陥がある場合の反射エコー強度は、A0 モードの方が
0 モードよりも高い。一方、欠陥が鋼材の中心部にあ
る場合の反射エコー強度は、S0 モードの方がA0 モー
ドよりも高い。したがって、S0 モードの板波だけを用
いて欠陥検出を行う場合には、表面近くにある欠陥を見
逃す危険性があり、また、A0 モードの板波だけを用い
て欠陥検出を行う場合には、中心部の近くにある欠陥を
見逃す危険性がある。このため、S0 モードとA0 モー
ドの両方を用いて欠陥検出を行えば、欠陥を見逃す危険
性を下げることができる。
【0054】そこで、本実施形態では、発振器15の発
振周波数を前述の40[MHz]、発振器161 の発振
周波数を前述のx2 =42.0714[MHz]とし
て、レーザービーム17と181 との干渉によって、鋼
材1にA0 モードの板波を発生させる。また、発振器1
2 の発振周波数を前述のx3 =42.2143[MH
z]として、レーザービーム17と182 との干渉によ
って、鋼材1にS0 モードの板波を発生させる。このよ
うに、レーザービームの光周波数を電子的な手段でシフ
トさせるだけで、容易に二つのモードの板波を発生させ
ることができるので、板波のモードが固定されていた従
来のタイヤ型探触子を用いた装置と比べて、検出すべき
欠陥が表面近くにある場合でも、また、板厚方向の中心
部にある場合でも、これを見逃す危険性を小さくするこ
とができる。
【0055】次に、図9を参照して、実際にどのような
タイミングでS0 モードとA0 モードの板波を発生させ
るかについて説明する。図3に示したように、レーザー
ビーム181 のスポット311 と、レーザービーム18
2 のスポット312 の中心間の間隔は7.5mmであ
る。y軸方向に毎分90mの速度で搬送される鋼材1
が、この7.5mmの距離を移動するのに要する時間は
5msecである。
【0056】図3において、ある時点で鋼材1の表面の
スポット30,311 の共通部分にレーザービーム1
7,181 を照射し、これらの干渉によってA0 モード
の板波を発生させると、この点(スポット311 の中
心)を含む鋼材1のx−z断面(図3に一点鎖線c1
示す)についてA0 モードでの欠陥検査がなされる。そ
の後、7.5mm隔たったスポット30,312 の共通
部分にレーザービーム17,182 を照射し、これらの
干渉によってS0 モードの板波を発生させると、この点
(スポット312 の中心)を含む鋼材1のx−z断面
(図3に一点鎖線c2で示す)についてS0 モードでの
欠陥検査がなされる。そして、これらの時間間隔を5m
secとすれば、毎分90mで搬送される鋼材1では、
1 とc2 が一致する。したがって、5msec間隔で
連続的にレーザービーム17,181 ,182 の照射を
行うようにすれば、鋼材1の全体について7.5mm間
隔で、A 0 モードとS0 モードの両方での欠陥検査を実
行することができる。なお、反射エコー観測用のレーザ
ービームについても、同じ時間間隔で照射すればよい。
【0057】ところで、上で説明したように、本実施形
態のレーザー超音波検査装置によって、鋼材1の同じ断
面についてA0 モードとS0 モードの両方で欠陥検査を
行うことが可能になることより、更に、欠陥がどの程度
の深さに位置しているのかを知ることができる。以下
に、この点について説明する。板波は、その強度が高い
ほど、すなわち、板波の振幅が大きいほど、表面の最大
変位速度が大きい。したがって、反射エコー観測用のレ
ーザービームが受けるドップラーシフトは、板波の強度
が高いほど大きくなる。ドップラーシフトが大きくなる
と、それだけファブリ・ペロー干渉計22の出射光強度
の変化量が大きくなるので、この変化量を観測すること
によって、板波の強度を求めることができる。
【0058】既に図8との関連で説明したように、欠陥
の深さによる反射エコーの強度の変化の仕方は、板波の
モードによって異なる。例えば、欠陥検出にA0 モード
の板波を用いると、図8から、鋼材の表面近傍にある欠
陥からの反射エコーの強度は高いが、鋼材の中央付近に
ある欠陥からの反射エコーの強度は低いことが分かる。
これに対して、S0 モードの板波を用いると、鋼材の表
面近傍にある欠陥からの反射エコーは、A0 モードほど
ではないがある程度の強度があり、それが鋼材の厚さ方
向の中央部に向かうにつれて一度低下し、更に中央部で
は再び強度が高くなって、表面近傍にある欠陥と同程度
となる。
【0059】図8のグラフは、数値シミュレーションに
よって得られたものであるが、同様のグラフを、欠陥の
深さが知られているいくつかのサンプルについて反射エ
コーの強度を実測することによっても得ることができ
る。このようなグラフが得られたら、欠陥の深さdを変
数として、例えばS0 モードの曲線を表す関数u(d)
と、A0 モードの曲線を表す関数v(d)を求め、更に w(d)=u(d)/v(d) (7) という関数、並びにこの関数の逆関数 d=w-1 (8) を、予め求めておく。
【0060】そして、実際の検査において欠陥が発見さ
れたときは、その欠陥についてのS 0 モードとA0 モー
ドの反射エコーの強度を取得し、その比を求めることに
よって、(8)式から、欠陥の深さdを求めることがで
きる。本発明は、上記実施形態に限定されるものではな
く、その要旨の範囲内で種々の変更が可能である。例え
ば、上記実施形態では、図1に示すように、レーザービ
ーム17とレーザービーム181 、およびレーザービー
ム17とレーザービーム182 によって干渉を起こさせ
るようにし、両方の干渉でレーザービーム17は共通と
した。しかし、レーザービーム17に対応するレーザー
ビームを二つ用意し、これらとレーザービーム181
182 とをそれぞれ干渉させて板波を発生させることも
できる。また、上記実施形態で用いた具体的な数値やレ
ーザー光源の種類などは、はあくまでも一例にすぎず、
本明細書に記載したもの以外のもを用いた場合でも、特
許請求の範囲に記載した発明と実質的に同一である限
り、本発明の技術的範囲に属するものである。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
単一の装置で複数のモードの板波を発生・検出すること
が可能となるので、従来のタイヤ型探触子を用いた装置
のように、一つのモードでの検査しか実行できないため
に欠陥を見逃すといった危険は少なくなり、また、複数
のモードの板波で検査するために装置をそのモードの数
に合わせて複数用意する必要もなく、したがって、効率
的に、高い精度で欠陥を検出することが可能となる。
【0062】更に、本発明によれば、検査対象の同じ部
分に複数のモードの板波を用いて検査を行うことがで
き、これによって欠陥が検査対象のどの程度の深さに存
在するかを知ることができ、欠陥に関するより詳しい情
報を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のレーザー超音波検査装置
の全体的な構成を示す図である。
【図2】三つのレーザービームの位置関係を説明するた
めの図である。
【図3】三つのレーザービームの照射位置を示した図で
ある。
【図4】板波の性質を説明するための概略図である。
【図5】鋼材について板波の音速を理論的に導いた結果
を示したグラフであり、縦軸が移送速度[m/se
c]、横軸がfd積[MHz・mm]を表している。
【図6】入射光の光周波数の変化によって出射光強度が
どのように変化するかを示したファブリ・ペロー干渉計
の特性図である。
【図7】二つのレーザービームの照射部位の近傍を拡大
して示した図である。
【図8】欠陥の位置によって反射エコー強度がどのよう
に変化するかについて数値シミュレーションを行った結
果を示したグラフである。
【図9】タイヤ型探触子を用いた欠陥検査装置の概略を
示した図である。
【図10】タイヤ型探触子の内部を示す断面図である。
【符号の説明】
1 鋼材 10 CO2 レーザー 11,131 ビームスプリッタ 12,141 ,142 音響光学素子(AOM) 132 ミラー 15,161 ,162 発振器 17,181 ,182 レーザービーム 20 アルゴン(Ar)レーザー 21 ハーフミラー 22 ファブリ・ペロー干渉計 23 光検出器 30,311 ,312 ,321 ,322 レーザービ
ームのスポット

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一、第二、第三、第四のレーザービー
    ムを発するレーザー発生手段と、 前記第一及び第二のレーザービームを、それぞれ所定の
    入射角で検査対象の第一の照射位置に照射する第一のレ
    ーザービーム照射手段と、 前記第三及び第四のレーザービームを、それぞれ所定の
    入射角で検査対象の第二の照射位置に照射する第二のレ
    ーザービーム照射手段と、 前記第一及び第二のレーザービームのいずれか一方又は
    両方の光周波数をシフトして両者の光周波数に所定の差
    を設けることにより、前記第一の照射位置において第一
    及び第二のレーザービームによる干渉及び干渉縞の移動
    を起こさせる第一の光周波数差設定手段と、 前記第三及び第四のレーザービームのいずれか一方又は
    両方の光周波数をシフトして両者の光周波数に所定の差
    を設けることにより、前記第二の照射位置において第三
    及び第四のレーザービームによる干渉及び干渉縞の移動
    を起こさせる第二の光周波数差設定手段と、 検査対象の特定の位置で板波を観測する板波観測手段と
    を有し、 前記第一の照射位置での干渉及び干渉縞の移動によって
    検査対象に第一のモードの板波を発生させるとともに、
    前記第二の照射位置での干渉及び干渉縞の移動によって
    検査対象に第二のモードの板波を発生させ、前記第一の
    モードの板波及び第二のモードの板波の欠陥による反射
    エコーを前記板波観測手段で観測することにより検査対
    象内の欠陥を検出することを特徴とするレーザー超音波
    検査装置。
  2. 【請求項2】 前記板波観測手段は、検査対象の観測点
    に観測用レーザービームを照射し、その反射光をファブ
    リ・ペロー干渉計に導き、前記反射光が前記観測点の超
    音波振動によって受けるドップラーシフトを前記ファブ
    リ・ペロー干渉計の出射光強度の変化として捉えること
    を特徴とする請求項1記載のレーザー超音波装置。
  3. 【請求項3】 第一、第二、第三、第四のレーザービー
    ムを発するレーザー発生手段と、 前記第一及び第二のレーザービームを、それぞれ所定の
    入射角で検査対象の第一の照射位置に照射する第一のレ
    ーザービーム照射手段と、 前記第三及び第四のレーザービームを、それぞれ所定の
    入射角で検査対象の第二の照射位置に照射する第二のレ
    ーザービーム照射手段と、 前記第一及び第二のレーザービームのいずれか一方又は
    両方の光周波数をシフトして両者の光周波数に所定の差
    を設けることにより、前記第一の照射位置において第一
    及び第二のレーザービームによる干渉及び干渉縞の移動
    を起こさせる第一の光周波数差設定手段と、 前記第三及び第四のレーザービームのいずれか一方又は
    両方の光周波数をシフトして両者の光周波数に所定の差
    を設けることにより、前記第二の照射位置において第三
    及び第四のレーザービームによる干渉及び干渉縞の移動
    を起こさせる第二の光周波数差設定手段と、 検査対象の特定の位置で板波を観測するとともに、観測
    した板波の強度を測定する板波強度測定手段とを有し、 前記板波強度測定手段によって、前記第一の照射位置で
    の干渉及び干渉縞の移動によって検査対象に発生した第
    一のモードの板波の欠陥による反射エコーの強度と、前
    記第二の照射位置での干渉及び干渉縞の移動によって検
    査対象に発生した第二のモードの板波の前記欠陥による
    反射エコーの強度を測定し、これらの強度から、当該欠
    陥の深さを推定することを特徴とするレーザー超音波検
    査装置。
  4. 【請求項4】 前記板波強度測定手段は、検査対象の観
    測点に観測用レーザービームを照射し、その反射光をフ
    ァブリ・ペロー干渉計に導き、前記反射光が前記観測点
    の超音波振動によって受けるドップラーシフトを前記フ
    ァブリ・ペロー干渉計の出射光強度の変化として捉える
    とともに、前記出射光強度の変化の大きさから板波の強
    度を測定することを特徴とする請求項3記載のレーザー
    超音波装置。
  5. 【請求項5】 前記第一及び第二のレーザービーム照射
    手段は、前記第一の照射位置及び第二の照射位置をy軸
    方向に並ぶようにするとともに、前記第一及び第二の照
    射位置における干渉縞の移動方向がx軸方向(x軸とy
    軸は直交する)となるように各レーザービームを照射す
    るものであり、更に、 前記検査対象を、y軸方向に一定速度で移動させる搬送
    手段と、 前記搬送手段による検査対象の移動の速度に伴って、前
    記第一、第二のレーザービームが照射される検査対象上
    の部位と前記第三、第四のレーザービームが照射される
    検査対象上の部位がが同一となるように、前記第一、第
    二のレーザービームを照射するタイミングと前記第三、
    第四のレーザービームを照射するタイミングを制御する
    照射タイミング制御手段と、 を有することを特徴とする請求項1,2,3又は4記載
    のレーザー超音波検査装置。
  6. 【請求項6】 前記第一及び第三のレーザービームは、
    単一のレーザービームからなることを特徴とする請求項
    1,2,3,4又は5記載のレーザー超音波装置。
  7. 【請求項7】 前記レーザー発生手段は、CO2 レーザ
    ーから発生された単一のレーザービームを分岐して前記
    第一、第二、第三、第四のレーザービームを得ることを
    特徴とする請求項1,2,3,4,5又は6記載のレー
    ザー超音波検査装置。
  8. 【請求項8】 前記第一及び第二の光周波数差設定手段
    は、光周波数をシフトさせようとするレーザービームを
    入射させる音響光学素子と、前記音響光学素子に電気信
    号を供給する発振器からなり、前記発振器が供給する電
    気信号の周波数を制御することによって、前記レーザー
    ビームの光周波数をシフトさせることを特徴とする請求
    項1,2,3,4,5,6又は7記載のレーザー超音波
    検査装置。
  9. 【請求項9】 前記板波の第一のモード及び第二のモー
    ドは、一方がS0 モードであり、他方がA0 モードであ
    ることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7
    又は8記載のレーザー超音波検査装置。
  10. 【請求項10】 検査対象を伝播する板波の第一のモー
    ド及び第二のモードについて、欠陥からの反射エコーの
    強度が、当該欠陥の深さを変数としてどのように変化す
    るを示す反射エコー強度特性を取得し、各深さ位置での
    両モードの強度比を予め求めておく第一の工程と、 所定の光周波数差を有する第一及び第二のレーザービー
    ムを実際の検査対象の所定の照射位置に照射してレーザ
    ービームの干渉及び干渉縞の移動を起こさせることによ
    り、検査対象に前記第一のモードの板波を発生させ、こ
    の板波による欠陥からの反射エコーを観測した場合は、
    その強度を測定する第二の工程と、 所定の光周波数差を有する第三及び第四のレーザービー
    ムを実際の検査対象の前記所定の照射位置に照射してレ
    ーザービームの干渉及び前記第二の工程と同一方向での
    干渉縞の移動を起こさせることにより、検査対象に前記
    第二のモードの板波を発生させ、この板波による欠陥か
    らの反射エコーを観測した場合は、その強度を測定する
    第三の工程と、 前記第一及び第二のモードの板波の反射エコーの強度比
    を求め、この強度比と、前記反射エコー強度特性に基づ
    いて求めてある強度比から、前記欠陥の深さを位置を推
    移する第四の工程と、 を有することを特徴とするレーザー超音波検査方法。
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