JP2000045044A - 溶接部靱性の優れた高降伏点鋼材およびその製造方法 - Google Patents

溶接部靱性の優れた高降伏点鋼材およびその製造方法

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JP2000045044A
JP2000045044A JP10211155A JP21115598A JP2000045044A JP 2000045044 A JP2000045044 A JP 2000045044A JP 10211155 A JP10211155 A JP 10211155A JP 21115598 A JP21115598 A JP 21115598A JP 2000045044 A JP2000045044 A JP 2000045044A
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Hiroshi Iki
浩 壱岐
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来は、550MPa以上の高い降伏強さを有する
とともに溶接部靱性が優れ、大型溶接構造物に好適に使
用できる鋼材を提供できなかった。 【解決手段】 C:0.03〜0.10%、Si:0.010 〜0.5
%、Mn:0.3 〜2.0 %、P:0.020 %以下、S:0.02%
以下、Cu:0.7 〜1.5 %、Ni:0.3 〜1.5 %、Mo:0.05
〜0.3 %、Nb:0.005 〜0.03%以下、Ti:0.005 〜0.03
%、およびsol.Al:0.005 %以上0.01%未満を有する鋼
組成を有し、550MPa以上の降伏強さを有する溶接部靱性
の優れた高降伏点鋼材である。この組成を有する鋼片
を、950 〜1250℃の温度域に加熱して熱間圧延を行い、
700 ℃以上から1.0 〜50℃/sの冷却速度で室温以上の温
度域まで冷却し、その後に400 〜650 ℃の温度域で焼き
戻しを行うことにより、製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶接部靱性の優れ
た高降伏点鋼材およびその製造方法に関する。より具体
的には、本発明は、低温域で使用される海洋構造物、船
舶、ラインパイプ、さらには低温用タンク等の大型溶接
構造物において溶接を行われて使用される高降伏点鋼材
の溶接部靱性を改善するものである。
【0002】
【従来の技術と課題】例えば、低温の氷海域に設置され
る海洋構造物や低温内容物収容タンク等のような、厳し
い低温環境下で使用される大型溶接構造物では、その安
全性を確保するために、各部の靱性値に多大な注意が払
われている。このような大型溶接構造物において溶接を
行われて使用される鋼材 (以降の説明では、鋼板を例に
とる。) に関しては、従来、最も脆化を生じやすい領域
である溶接部の靱性を良好に確保することが、特に重視
されてきた。
【0003】また、このような用途に供される鋼板で
は、溶接部における破壊靱性試験 (例えば、き裂開口変
位量をCTOD値として測定するCTOD試験;英国規
格5762参照。) により評価される脆性破壊特性が優れる
ことも要求される。必要とされる脆性破壊特性は、構造
物の種類や稼働条件等によっても変動するが、例えばメ
キシコ湾や北海地域で使用される鋼板に対しては、近
年、−10℃で0.38mmのCTOD値が要求されている。
【0004】このような用途に供することができる鋼と
して、例えば特開平4−116135号公報には、C:0.03%
超0.1 %以下 (以下、本明細書においては特にことわり
がない限り、「%」は「重量%」を意味するものとす
る。) 、Si:0.01〜0.5 %、Mn:0.2 〜2.0 %、P:0.
015 %以下、Cu:0.7 〜1.5 %、Ni:3.5 %以下、Nb:
0.03%以下、Ti:0.005 〜0.03%、Al:0.01%以下、お
よびN:0.003 %超0.008 %以下およびB:0.002 %以
下を含有し、M-A(島状マルテンサイト) を低減した360M
Pa以上の降伏応力を有する高降伏点鋼が開示されてい
る。
【0005】また、(i) 特許第2690578 号には、C:0.
005 〜0.010 %およびB:0.002 %以下を含有する高降
伏点鋼が、(ii)特公平7−35538 号公報には、Al:0.01
〜0.10%を含有するB添加高降伏点鋼が、(iii) 特開昭
62−256915号公報には、Ti:0.03〜0.10%、Al:0.005
〜0.060 %およびB:3〜30%を含有し、Nbを含有しな
い高降伏点鋼が、さらに(iv)特開平6−340923号公報に
は、Cr:1.0 %以下、V:0.1 %以下およびB:0.0002
%以下を含有し、Tiを含有しない高降伏点鋼が、それぞ
れ開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、本発明者の検
討によれば、これらのいずれの高降伏点鋼によっても、
550MPa以上の降伏点を有するとともに溶接部靱性が優
れ、前述した大型溶接構造物において溶接を行われて使
用されるのに好適な鋼材を提供することはできない。
【0007】例えば、特開平4−116135号公報により開
示された高降伏点鋼では、母材強度を上昇させるために
Cuの析出硬化を図っている。しかし、鋼に要求される降
伏強さが550MPaとさらに高くなると、Cuの析出硬化のみ
ではこのような高い降伏点を確保することができなくな
り、非常に不均一な溶接部が、前述した所望のCTOD
値を確保できなくなる。
【0008】一方、これらの高降伏点鋼は、Cu等の合金
元素を多量に含有するため、溶接部の低温靱性が劣化し
てしまうという課題もあった。
【0009】ここに、本発明の目的は、550MPa以上の高
い降伏強さを有するとともに溶接部靱性が優れ、大型溶
接構造物において溶接を行われて使用されるのに好適な
鋼材およびその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するため鋭意検討を重ね、以下に列記する新規な知
見(1) 〜知見(4) を得て、本発明を完成した。
【0011】(1) Cu時効鋼において、Mo、NbおよびTiを
いずれも所定量複合添加することにより、焼戻し時に、
微細なMo炭化物やNb−Ti炭窒化物がCuの析出を促進し、
Cuを単独添加する場合に比較すると、降伏点を大幅に上
昇できる。
【0012】(2) Cu時効鋼にMoを添加すると、一部の固
溶元素により焼きが入った組織となり熱影響部が硬化し
て熱影響部の靱性の劣化が懸念される。しかし、Al含有
量を0.01%未満と低Al化することにより、Cの拡散が促
進され、Cの濃化を抑制できるために、溶接部のM-A(島
状マルテンサイト) を低減することができる。これによ
り、硬化組織を低減でき、溶接部のCTOD値を向上す
ることができる。
【0013】ただし、Alが0.005 %未満ではSi、Ti等を
添加しても脱酸が十分とならないために、介在物の生成
やピンホールの発生等により、母材や溶接部の靱性が著
しく劣化する。そこで、sol.Alの含有量を、0.005 %以
上0.01%未満と非常に狭幅に制御する。
【0014】(3) なお、このようにAl含有量を制御した
状態で、強度向上のためにBを添加する場合、B添加量
をできるだけ少なくする必要があり、B添加量が0.0004
%以上であると、Al含有量を低減してもかえって熱影響
部の焼入れ性が高まり、熱影響部が硬化してしまう。
【0015】(4) これらの知見の条件を全て満足するこ
とにより、550MPa以上の高い降伏点を有するとともに溶
接部靱性が優れた高降伏点鋼が提供される。
【0016】ここに、本発明の要旨とするところは、
C:0.03〜0.10%、Si:0.010 〜0.5%、Mn:0.3 〜2.0
%、P:0.020 %以下、S:0.02%以下、Cu:0.7 〜
1.5 %、Ni:0.3 〜1.5 %、Mo:0.05〜0.3 %、Nb:0.
005 〜0.03%以下、Ti:0.005〜0.03%、およびsol.A
l:0.005 %以上0.01%未満、必要に応じてB:0.0004
%未満を有する鋼組成を有することを特徴とする、550M
Pa以上の降伏強さを有する溶接部靱性の優れた高降伏点
鋼材である。
【0017】また、別の観点からは、本発明は、上記の
鋼組成を有する鋼片を、950 〜1250℃の温度域に加熱し
て熱間圧延を行い、700 ℃以上から1.0 〜50℃/sの冷却
速度で室温以上の温度域まで冷却し、その後に400 〜65
0 ℃の温度域で焼き戻しを行うことを特徴とする、550M
Pa以上の降伏強さを有する溶接部靱性の優れた高降伏点
鋼材の製造方法である。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる高降伏点鋼
材およびその製造方法の実施形態を、詳細に説明する。
なお、以降の説明では、「鋼材」が「鋼板」である場合
を例にとるが、本発明は鋼板以外の鋼材についても同様
に成り立つ。まず、本発明にかかる高降伏点鋼板の組成
を限定する理由を説明する。
【0019】C:0.03〜0.10% Cは、0.03%以上含有されることにより母材に所定の強
度を与えるが、C含有量が0.10%を超えると、溶接部の
CTOD特性が劣化する。そこで、本発明では、C含有
量は0.03%以上0.10%以下と限定する。
【0020】Si:0.010 〜0.5 % Siは、鋼の脱酸材として0.010 %以上含有するが、0.5
%を超えて含有すると溶接部のCTOD特性が劣化す
る。そこで、本発明では、Si含有量は0.010 %以上0.5
%以下と限定する。
【0021】Mn:0.3 〜2.0 % Mnは、0.3 %以上含有することにより鋼の強度および靱
性をともに向上させるが、2.0 %を超えて含有すると溶
接部のCTOD特性が劣化する。そこで、本発明では、
Mn含有量は0.3 %以上2.0 %以下と限定する。
【0022】P:0.020 %以下、S:0.02%以下 P、Sは、いずれも、鋼の凝固時に偏析し易い元素であ
り、この偏析を通じて溶接部を脆化させてCTOD特性
を劣化させる。よって、その含有量はともに低いほうが
望ましいが、これらの低減には相応のコストを必要とす
る。また、P含有量を0.020 %以下に、S含有量を0.02
%以下にそれぞれ抑制することができれば、P、Sそれ
ぞれによる悪影響を軽減して、所望の溶接部のCTOD
特性を確保することができる。そこで、本発明では、P
含有量は0.020 %以下に、S含有量は0.02%以下にそれ
ぞれ限定する。
【0023】Cu:0.7 〜1.5 % Cuは、0.7 %以上含有することにより、析出時効によっ
て、低炭素化に伴う強度の低下を補償することができる
が、1.5 %を超えて含有しても効果は飽和してコストが
上昇するだけとなる。そこで、本発明では、Cu含有量は
0.7 %以上1.5%以下と限定する。
【0024】Ni:0.3 〜1.5 % Niは、0.3 %以上含有することにより、鋼の強度を上昇
させるとともに低温靱性を著しく向上させるが、1.5 %
を超えて含有しても効果は飽和してコストが上昇するだ
けとなる。そこで、本発明では、Ni含有量は0.3 %以上
1.5 %以下と限定する。
【0025】Mo:0.05〜0.3 % Moは、0.05%以上含有することにより、鋼中、特にNbお
よびTiの複合添加鋼中においてその炭化物が焼き戻し時
にCuの析出サイトとして作用して、鋼の強度を顕著に上
昇させる重要な元素である。しかし、Mo含有量が0.3 %
を超えると、溶接部の靱性が劣化する。そこで、本発明
では、Mo含有量は0.05%以上0.3 %以下と限定する。
【0026】Nb:0.005 〜0.03%、Ti:0.005 〜0.03% Nb、Tiは、ともに、Moと複合添加することにより、Nb−
Ti複合析出物が焼き戻し時にCuの析出サイトとして作用
して、鋼の強度の上昇に非常に有効に作用する、極めて
重要な元素である。
【0027】Nb、Tiそれぞれの含有量が、いずれも0.00
5 %未満ではNb−Ti複合析出物が形成されず、一方、0.
03%を超えるとNb−Ti複合析出物が大きくなり過ぎ、焼
き戻し時のCu析出サイトとして作用しなくなる。そこ
で、本発明では、Nb含有量、Ti含有量は、いずれも、0.
005 %以上0.03%以下と限定する。
【0028】sol.Al:0.005 %以上0.01%未満 Alは、鋼の脱酸剤として有効な成分ではあるが、この脱
酸効果はSiやTi等によっても確保することは可能であ
る。また、溶接部のCTOD特性を確保するためにはAl
の低減が有効であり、特にMo、NbおよびTiを複合添加し
た場合には、sol.Al含有量を0.01%未満とすることによ
り、島状マルテンサイトの析出を顕著に抑制する。ただ
し、sol.Al含有量が0.005 %未満では、たとえSiやTi等
を添加しても脱酸不足となリ、酸化物の増加やピンホー
ル生成により母材靱性および溶接部靱性がともに劣化す
る。そこで、本発明では、sol.Al含有量は0.005 %以上
0.01%未満と限定する。
【0029】このように、本発明では、sol.Al含有量を
非常に狭幅に管理することにより、高い溶接部靱性を有
する高降伏点鋼板を製造することができる。上記で既に
その効果は得られるが、Bを0.0004%未満の範囲で添加
すると、強度確保を図る上でさらに有効である。
【0030】B:0.0004%未満 B含有量が0.0004%以上であると、結晶粒界にBが偏析
し、sol.Al含有量を低減してもかえって熱影響部の焼入
れ性を高め、熱影響部が硬化してしまう。そこで、Bを
添加する場合は0.0004%未満とするのが好ましい。
【0031】上記以外は、Feおよび不可避的不純物であ
るが、このような各含有元素の作用が消失しない範囲
で、上記以外の各種添加元素を含有してもよい。
【0032】組織 本実施形態の高降伏点鋼板は、微細なマルテンサイトあ
るいは下部ベイナイトを有する焼き戻し組織を有する。
粗大な炭化物を伴う上部ベイナイト組織等は有さない。
【0033】本実施形態の高降伏点鋼板は、高降伏点を
有するとともに、−60℃における板厚中心部の衝撃エネ
ルギが47J以上であって低温靱性も優れる。また、入熱
が1〜5kJ/mm という小入熱によるサブマージアーク溶
接部で溶接熱影響部のCTOD特性が−10℃で0.38mm以
上であり、溶接部靱性も優れる。
【0034】次に、本実施形態の高降伏点鋼板の製造法
を説明する。上記の鋼組成を有する鋼片を、950 〜1250
℃の温度域に加熱する。加熱温度が950 ℃未満である
と、Nbが十分にマトリックスに固溶せず、後続して行わ
れる熱間圧延においてオーステナイトの再結晶を抑制す
ることができない。このため、組織の微細化が不十分と
なる。一方、加熱温度が1250℃を超えると、加熱時にオ
ーステナイト結晶粒が粗大化し、板厚中心部だけでなく
母材全体の靱性が低下する。そこで、本発明では、鋼片
の加熱温度は、950 ℃以上1250℃以下と限定する。
【0035】このようにして鋼片を加熱した後に、熱間
圧延を行う。熱間圧延の条件は特に限定を要するもので
はないが、圧延終了温度は700 ℃以上とすることが望ま
しい。圧延終了温度が700 ℃未満であると、鋼の変形抵
抗が上昇するために圧延後の鋼材の形状を目標の形状に
仕上げ難くなる。そこで、本発明では、熱間圧延の終了
温度は、700 ℃以上とすることが望ましい。
【0036】そして、本発明では、熱間圧延終了後、70
0 ℃以上から1.0 〜50℃/sの平均冷却速度で、室温以上
の温度域まで冷却する。
【0037】冷却開始温度が700 ℃未満であると、熱間
圧延終了時から冷却開始時までに長時間が経過し、鋼に
よっては冷却時に焼入れ性が低下して、その後のCuによ
る時効硬化によっても所望の強度を確保することができ
なくなるからである。そこで、本発明では、冷却開始温
度は700 ℃以上と限定する。
【0038】また、平均冷却速度が1.0 ℃/s未満である
と、粗大な炭化物を伴う上部ベイナイト組織等が生成し
易くなり、特に鋼板の中心部における降伏点が550MPa以
上というような良好な強度を確保することができなくな
る。一方、この平均冷却速度が50℃/sを超えると、鋼板
の表層部近傍で焼きが入り易くなり、表層の靱性が低下
する。そこで、本発明では、700 ℃以上から室温以上の
温度域までの平均冷却速度を1.0 ℃/s以上50℃/s以下と
限定する。
【0039】この冷却における冷却停止温度を、室温
(15℃) 以上の温度域とするのは、冷却停止温度が室温
を下回ると、部分的に焼きが入り過ぎ、局部硬化組織を
生成し、靱性が劣化するからである。そこで、本発明で
は、冷却停止温度を室温以上の温度域と限定する。
【0040】このようにして冷却を停止した後、鋼板を
加熱して400 〜650 ℃で焼き戻し処理を行い、Cuを析出
させる。焼き戻し温度が400 ℃未満であると、Cuの析出
が不十分となり所望の強度を得られない。一方、焼き戻
し温度が650 ℃超えると、大きな軟化が始まり、所望の
強度を得られなくなる。そこで、本発明では、焼き戻し
温度は400 ℃以上650 ℃以下と限定する。このようにし
て、上述した本発明にかかる高降伏点鋼板が製造され
る。
【0041】
【実施例】さらに、本発明を実施例を参照しながら、よ
り具体的に説明する。表1に示す組成を有する溶鋼を、
連続鋳造法により幅2000mm、厚さ3000mmの鋳片に鋳造
し、表2に示す加熱温度に加熱して熱間圧延を行い、表
2に示す仕上温度で熱間圧延を終了した。
【0042】そして、表2に示す水冷開始温度で水冷を
開始し、表2に示す冷却速度で冷却した後、同じく表2
に示す停止温度で冷却を終了した。そして、表2に示す
焼き戻し温度で焼き戻しを行い、表2に示す板厚を有す
る熱延鋼板とした。これらの熱延鋼板に対して、Kまた
はレ開先のSAW 入熱3KJ/mm を行うことにより、溶接継
手を作成した。
【0043】これらの熱延鋼板からなる試料No.1〜試料
No.25 について、YS、VE-60、およびCTOD値を測定
した。YSおよびVE-60は、母材のt/2 −C方向での引張
試験、シャルピー衝撃試験を行うことにより測定し、C
TOD値は、垂直溶け込み側溶接部から英国規格5762に
規定された3点曲げCTOD試験片を採取し、−10℃でCTOD
試験を実施した際の限界値として、求めた。
【0044】結果を表2にあわせて示す。なお、表2お
いては、YS:550MPa以上、VE-60:47J以上、CTOD
値:0.38mm以上を判定基準とした。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】表1および表2において、試料No.1〜試料
No.10 は本発明例であり、試料No.11 〜試料No.25 は比
較例である。
【0048】試料No.1〜試料No.10 は本発明の範囲を全
て満足するため、YS:550MPa以上、VE-60:47J以上、
CTOD値:0.38mm以上を満足し、大型溶接構造物にお
いて溶接を行われて使用されるのに好適な高降伏点鋼板
が得られたことがわかる。
【0049】これに対し、試料No.11 は、C含有量、Mn
含有量およびNi含有量がいずれも本発明の範囲を下回る
ため、YSおよびVE-60がともに低下した。試料No.12
は、Si含有量、Cu含有量およびMo含有量がいずれも本発
明の範囲を下回るため、YSが低下した。
【0050】試料No.13 は、Nb含有量およびTi含有量が
ともに本発明の範囲を下回るため、YSおよびVE-60がと
もに低下した。試料No.14 は、Nb含有量およびTi含有量
がともに本発明の範囲を上回るため、YS、VE-60および
CTOD値がいずれも低下した。
【0051】試料No.15 は、Ni含有量およびMo含有量が
ともに本発明の範囲を上回るため、CTOD値が低下し
た。試料No.16 は、Mn含有量およびCu含有量がともに本
発明の範囲を上回るため、CTOD値が低下した。
【0052】試料No.17 は、C含有量およびSi含有量が
ともに本発明の範囲を上回るため、CTOD値が低下し
た。試料No.18 は、P含有量およびS含有量がともに本
発明の範囲を上回るため、CTOD値が低下した。
【0053】試料No.19 は、sol.Al含有量が本発明の範
囲を下回るため、VE-60およびCTOD値がともに低下
した。試料No.20 は、B含有量が本発明の範囲を上回る
ため、CTOD値が低下した。
【0054】試料No.21 は、焼き戻し温度が本発明の範
囲を上回るため、YSが低下した。試料No.22 は、焼き戻
し温度が本発明の範囲を下回るため、YSが低下した。試
料No.23 は、冷却速度が本発明の範囲を上回るため、V
E-60が低下した。
【0055】試料No.24 は、加熱温度が本発明の範囲を
上回り、水冷開始温度が本発明の範囲を下回るととも
に、冷却速度が本発明の範囲を下回るため、YSおよびV
E-60がともに低下した。さらに、試料No.25 は、加熱温
度が本発明の範囲を下回るため、YSおよびVE-60がとも
に低下した。
【0056】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
り、550MPa以上の高い降伏強さを有するとともに溶接部
靱性が優れ、大型溶接構造物において溶接を行われて使
用されるのに好適な鋼材を提供することが可能となっ
た。かかる効果を有する本発明の意義は、極めて著し
い。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%で、C:0.03〜0.10%、Si:0.01
    0 〜0.5 %、Mn:0.3 〜2.0 %、P:0.020 %以下、
    S:0.02%以下、Cu:0.7 〜1.5 %、Ni:0.3〜1.5
    %、Mo:0.05〜0.3 %、Nb:0.005 〜0.03%以下、Ti:
    0.005 〜0.03%、およびsol.Al:0.005 %以上0.01%未
    満を有する鋼組成を有することを特徴とする、550MPa以
    上の降伏強さを有する溶接部靱性の優れた高降伏点鋼
    材。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された鋼組成を有する鋼
    片を、950 〜1250℃の温度域に加熱して熱間圧延を行
    い、700 ℃以上から1.0 〜50℃/sの冷却速度で室温以上
    の温度域まで冷却し、その後に400 〜650 ℃の温度域で
    焼き戻しを行うことを特徴とする、550MPa以上の降伏強
    さを有する溶接部靱性の優れた高降伏点鋼材の製造方
    法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010202949A (ja) * 2009-03-05 2010-09-16 Sumitomo Metal Ind Ltd ラインパイプ用鋼材の製造方法

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