JP2000039529A - 金属含有シロキサン系ポリマおよび光導波路 - Google Patents

金属含有シロキサン系ポリマおよび光導波路

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JP2000039529A
JP2000039529A JP10209772A JP20977298A JP2000039529A JP 2000039529 A JP2000039529 A JP 2000039529A JP 10209772 A JP10209772 A JP 10209772A JP 20977298 A JP20977298 A JP 20977298A JP 2000039529 A JP2000039529 A JP 2000039529A
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siloxane
metal
based polymer
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optical waveguide
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JP10209772A
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Katsuhiro Kaneko
勝弘 金子
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Original Assignee
Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シロキサン系ポリマ膜は吸湿により屈折率が
経時的に変化してしまい、それを用いた光導波路の特性
が劣化して耐環境性に劣るものであった。 【解決手段】 シロキサン系ポリマの主鎖骨格のシリコ
ンに対して原子数比で1/(金属の原子価)%以上の金
属原子を含有させ、末端基のうち水酸基の占める割合を
1%未満とした金属含有シロキサン系ポリマである。ま
た、この金属含有シロキサン系ポリマから成るクラッド
部2・8内にこのクラッド部2・8よりも屈折率が0.1
%以上大きな金属含有シロキサン系ポリマから成るコア
部7を形成した光導波路である。吸湿による屈折率の経
時的な変化が抑制され、耐環境性に優れた高信頼性のシ
ロキサン系ポリマおよび光導波路が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光通信モジュール等
に用いられる光導波路に好適な金属含有シロキサン系ポ
リマおよびその金属含有シロキサン系ポリマから成る光
導波路に関し、特に吸湿による特性劣化を抑制して耐環
境性を改善した金属含有シロキサン系ポリマおよび光導
波路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】3次元導波路形状の光導波路としては、
従来より例えば石英ガラス基板やシリコン基板上に火炎
堆積法により成膜したシリカ膜を利用して3次元形状の
クラッドおよびコア部を形成したシリカ系光導波路や、
ニオブ酸リチウム単結晶基板をクラッド部とし、この基
板上に3次元導波路形状にTiを熱拡散してコア部を形
成した光導波路等がある。
【0003】しかしながら、これらの光導波路は作製時
に1000℃以上の高温による熱処理が必要であるため、光
導波路の作製の容易さの観点から、作製時に高温処理が
必要なこれら従来の光導波路に代えて、低温での形成が
可能な有機系材料による光導波路を利用することが検討
されている。
【0004】本発明者は、特開平9−236719号公報にお
いて、金属アルコキシドを添加したシロキサン系ポリマ
膜形成用溶液を基板上で熱重合させて金属含有シロキサ
ン系ポリマ膜からなるクラッド部およびコア部を形成し
た、シロキサン系ポリマを用いた光導波路を提案した。
この光導波路によれば、光導波路材料を基板上での熱重
合という低温プロセスで作製できるとともに、クラッド
部およびコア部の屈折率を容易にかつきめ細かく制御で
き、光導波路を形成するポリマ膜の平坦性・基板との密
着性・半田耐熱性に優れた光導波路を簡単な設備で短時
間に作製することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】光導波路はクラッド部
とコア部の屈折率をそれぞれ精密に制御して設計・製作
されるものであるので、それらの屈折率が経時的に変化
すると当初の性能を維持することができなくなってしま
う。
【0006】具体的には、クラッド部とコア部の屈折率
が経時的に変化して、その変化量の違いによってクラッ
ド部とコア部との屈折率差が小さくなると、導波路によ
る導波光の閉じ込めが弱くなって、導波光のビーム径が
変化したり、光導波路の分岐部や曲がり部での損失が増
加するという問題が生じることとなる。
【0007】また、屈折率が経時的に変化して光導波路
の実効屈折率が初期値からずれることにより、光の干渉
を利用した光導波路素子では干渉条件が当初の設計値か
らずれてしまうという弊害も起こる。例えば、AWG
(Arrayed Waveguide Grating)型の高詳細WDM(Wav
elength Division Multiplex :波長分割多重伝送方
式)素子等の光通信用デバイスでは致命的な問題とな
る。
【0008】現在、中心波長間隔が1nmよりも狭く波
長多重された光信号を波長分割するAWG型のWDM素
子が開発されているが、このような素子においては実効
屈折率の0.1 %程度のずれにより、あるチャンネルの波
長の光が別のチャンネルに移ってしまい、正規の波長分
割が不可能となる。従って、後述するように光導波路の
クラッド部とコア部との屈折率差が0.09%程度変化する
と実効屈折率も同程度変化してしまい、その結果、WD
M素子としては不適なものとなってしまう。
【0009】しかしながら、シロキサン系ポリマ膜形成
用溶液を用いて基板上で熱重合させて形成した光導波路
には、高温高湿下で長時間放置すると吸湿により膜の屈
折率が変化してしまうという性質があったため、コア部
とクラッド部の屈折率が高温高湿下で経時的に変化して
しまうために光導波路の伝搬特性が初期の特性から大き
く変化してしまうこととなり、従来の高温処理による光
導波路に比べて耐環境性が劣り信頼性に乏しいという問
題点があった。
【0010】このような高温高湿下での経時的な変化の
原因としては、次のようなことが考えられる。すなわ
ち、シロキサン系ポリマ膜の形成においては、末端基に
アリール基やアルキル基などを有しシロキサン結合を骨
格としたポリマやオリゴマを有機溶媒に溶解した膜形成
用溶液を用いて、この溶液をスピンコート法などにより
基板上に所定厚みで塗布し、これを適当な条件により加
熱重合させてシロキサン系ポリマ膜を得ている。このよ
うにして得られたシロキサン系ポリマ膜には、シロキサ
ン系ポリマに本来含まれているアリール基やアルキル基
などの有機成分が末端基として存在する。また、ポリマ
の合成時に過渡的に生成された水酸基がシロキサン系ポ
リマ膜の形成後にも末端基として残留することとなる。
これら末端基としてのアリール基やアルキル基・水酸
基、中でも水酸基には、水素(H)原子が存在するため
水素結合により雰囲気中の水分子が吸着する。そして、
この水分子が吸着した末端基が多くなると、その影響に
よりシロキサン系ポリマ膜の屈折率が経時的に変化する
こととなる。
【0011】その結果、シロキサン系ポリマ膜をクラッ
ド部とコア部とに用いた光導波路においては、水分の吸
着は、恒温高湿下での使用によってはもちろんのこと、
常温常湿下であっても長期的な使用によっても、屈折率
の変化が光導波路の特性上で問題となる程度にまで生じ
ることとなっていた。
【0012】これに対し、シロキサン系ポリマ膜を基板
上に形成する際に十分な高温で熱処理を行なえば、シロ
キサン系ポリマに末端基として含まれる有機成分や水酸
基は完全に燃焼して反応してしまい、得られたポリマ膜
にはシロキサンの骨格だけが残ることになる。従って、
この場合には水分の吸着が抑えられ、屈折率の変化が抑
えられることになる。
【0013】しかしながら、このような効果を得るため
には500 ℃以上の熱処理が必要である。このことは、シ
ロキサン系ポリマを用いた光導波路の利点の一つである
低温形成が可能であるという特長を失わせるという問題
点を生じることになる。
【0014】また、高温の熱処理により末端基の有機成
分や水酸基を完全に燃焼させて反応させる際にはシロキ
サン系ポリマ膜の収縮を伴うため、得られた膜の膜応力
が増大してしまい、光導波路の製作に必要な膜厚の良好
なポリマ膜を得ることが不可能となってしまうという問
題点もあった。
【0015】これらの問題点に対し、低温プロセスによ
る膜形成が可能であるというシロキサン系ポリマの基本
的な特性を有効に保ちながら、吸湿による特性劣化を抑
制することができるシロキサン系ポリマから成る光導波
路が望まれていた。
【0016】本発明はこのような従来の問題点に鑑みて
案出されたものであり、その目的は、吸湿による経時的
な屈折率変化とそれによる特性劣化を抑制した、耐環境
性に優れた高信頼性のシロキサン系ポリマおよびそのシ
ロキサン系ポリマを用いた光導波路を提供することにあ
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明のシロキサン系ポ
リマは、シロキサン系ポリマの主鎖骨格のシリコンに対
して原子数比で1/(金属の原子価)%以上の金属原子
を含有させ、末端基のうち水酸基の占める割合を1%未
満としたことを特徴とする金属含有シロキサン系ポリマ
である。
【0018】また、本発明の光導波路は、上記構成の金
属含有シロキサン系ポリマから成るクラッド部内にこの
クラッド部よりも屈折率が0.1 %以上大きな上記構成の
金属含有シロキサン系ポリマから成るコア部を形成した
ことを特徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の金属含有シロキサン系ポ
リマによれば、シロキサン系ポリマの主鎖骨格のシリコ
ンに対して原子数比で1/(金属の原子価)%以上の金
属原子を含有させ、末端基のうち水酸基の占める割合を
1%未満としたことから、シロキサン系ポリマ中におい
て末端基の中でも特に水分子を吸着しやすい水酸基を低
減したことにより、雰囲気中の水分子の吸着が抑制さ
れ、その結果、シロキサン系ポリマの屈折率の経時的な
変化が抑えられて、特性劣化のない耐環境性に優れた高
信頼性のシロキサン系ポリマとなる。
【0020】このような本発明の金属含有シロキサン系
ポリマは、末端基にアリール基やアルキル基・水酸基な
どを有したシロキサン結合を骨格としたポリマやオリゴ
マを有機溶媒に溶解したシロキサン系ポリマ溶液に金属
アルコキシドを添加したシロキサン系ポリマ膜形成用溶
液を基板上で熱重合させることによりポリマ膜として形
成される。この際、含有させる金属原子がシロキサン系
ポリマの主鎖骨格のシリコン(Si)に対して原子数比
で1/(金属の原子価)%以上となるように添加した金
属アルコキシドが加水分解した後、さらに、その加水分
解により生成した金属原子がシロキサン系ポリマの末端
基と脱水重合あるいは脱アルコール重合することによ
り、シロキサン系ポリマの末端基のアリール基やアルキ
ル基・水酸基、中でも水酸基が有効に減少する。従っ
て、金属原子の含有により水素結合を原因とする末端
基、特に水酸基への水分子の吸着を抑制することが可能
となる。
【0021】そして、本発明者が種々の実験により得た
知見によれば、シロキサン系ポリマの主鎖骨格のシリコ
ンに対して原子数比で1/(金属の原子価)%以上の金
属原子を含有させることにより末端基のうち水酸基の占
める割合を1%未満とすることができ、水酸基を1%未
満とすることにより吸湿による経時的な屈折率の変化を
実用上問題ないレベルに抑制することができた。
【0022】このことは、シロキサン系ポリマ中にはN
MR測定によるとシロキサン系ポリマの主鎖骨格のシリ
コンに対して原子数比で1〜2%の水酸基が検出されて
おり、上記の方法によりシロキサン系ポリマ中の水酸基
と金属アルコキシドとを脱水重合させてシロキサン系ポ
リマの主鎖骨格のシリコンに対して金属原子を原子数比
で1/(金属の原子価)%以上含有させた場合、金属原
子数の原子価の価数倍の水酸基を脱水重合させることが
でき、シロキサン系ポリマ中の1%以上の量の水酸基を
反応除去することが可能となるためであると考えられ
る。従って、シロキサン系ポリマの主鎖骨格のシリコン
に対して原子数比で2%以上の水酸基が残留していると
しても、重合後の金属含有シロキサン系ポリマ中の水酸
基は1%未満となり、その結果、水分子の吸着量が減少
することによるものであると考えられる。
【0023】また、本発明の光導波路によれば、上記の
本発明の金属含有シロキサン系ポリマにより形成した光
導波路であって、本発明の金属含有シロキサン系ポリマ
から成るクラッド部内にこのクラッド部よりも屈折率が
0.1 %以上大きな本発明の金属含有シロキサン系ポリマ
から成るコア部を形成したことから、吸湿によるクラッ
ド部およびコア部の屈折率の経時的な変化を抑制するこ
とができ、耐環境性に優れた高信頼性の光導波路とな
る。
【0024】しかも、低温プロセスで作製できるととも
に、クラッド部およびコア部の屈折率を容易にかつきめ
細かく制御でき、ポリマ膜の平坦性・基板との密着性・
半田耐熱性に優れた光導波路を簡単な設備で短時間に作
製することができるというシロキサン系ポリマ膜による
光導波路としての特長も兼ね備えたものである。
【0025】さらに、本発明の光導波路によれば、クラ
ッド部およびコア部を形成するシロキサン系ポリマ膜の
吸湿量が抑制されることから、水分子の振動吸収に起因
する光導波路の光吸収損失の増加を抑制することも可能
となり、長期間にわたって良好な光伝送特性を維持する
ことができる高信頼性の光導波路となる。
【0026】本発明の金属含有シロキサン系ポリマおよ
び光導波路の形成に用いるシロキサン系ポリマ膜形成用
溶液としては、例えば、末端基にフェニル基あるいはメ
チル基を有するシロキサン系ポリマや、ブチル基やプロ
ピル基等のアルキル基・フェニル基やトリル基等のアリ
ール基・一部がフッ素で置換された官能基・水酸基等を
有するシロキサン系ポリマと、プロピレングリコールモ
ノメチルエーテルや3メトキシ−3メチル−1ブタノー
ル・エチレングリコールモノブチルエーテル等との混合
溶液を用いるが、中でも末端基にフェニル基あるいはメ
チル基を有するシロキサン系ポリマとプロピレングリコ
ールモノメチルエーテルとの混合溶液を用いると、基板
上へ塗布する際の濡れ性・平滑性・均一性が良く好適で
ある。
【0027】本発明の金属含有シロキサン系ポリマに含
有させる金属原子としては、チタン(Ti:原子価4)
・ゲルマニウム(Ge:原子価4)・エルビウム(E
r:原子価3)・アルミニウム(Al:原子価3)・タ
ンタル(Ta:原子価5)・ニオブ(Nb:原子価5)
・ジルコニウム(Zr:原子価4)・バナジウム(V:
原子価5)・インジウム(In:原子価3)などを用い
ることができる。これらの金属原子のうち、タンタルお
よびニオブは、原子価が5と価数が大きく、他の金属原
子よりも少量でより多くの水酸基と反応することが期待
できるという点で好適である。
【0028】また、これらの金属原子は金属アルコキシ
ドとしてシロキサン系ポリマ膜形成用溶液に添加されて
金属含有シロキサン系ポリマを形成する。そのような金
属アルコキシドとしては、例えば、テトラ−n−ブトキ
シチタンやテトラメトキシチタン・テトラプロポキシチ
タン・テトラメトキシゲルマニウム・テトラエトキシゲ
ルマニウム・テトラプロポキシゲルマニウム・テトラブ
トキシゲルマニウム・トリメトキシエルビウム・トリメ
トキシアルミニウム・トリプロポキシアルミニウム・ト
リブトキシアルミニウム・ペンタメトキシタンタル・ペ
ンタエトキシタンタル・ペンタプロポキシタンタル・ペ
ンタブトキシタンタル・ペンタメトキシニオブ・ペンタ
エトキシニオブ・ペンタプロポキシニオブ・ペンタブト
キシニオブ・テトラメトキシジルコニウム・テトラプロ
ポキシジルコニウム・テトラブトキシジルコニウム・ト
リメトキシバナジル・トリエトキシバナジル・ドリプロ
ポキシバナジル・トリブトキシバナジル・トリメトキシ
インジウム・トリエトキシインジウム・トリプロポキシ
インジウムがある。中でも、同じ金属種のアルコレート
においては炭素(C)の数の多いアルコレートを用いる
と、化学的な安定性がC数の少ないものよりも優れ、混
合の際にゲル化を起こしにくく容易に混合が可能となっ
て好適である。
【0029】また、金属アルコキシドを添加する方法な
らびに条件としては、例えば、十分な量のアルコールに
より金属アルコキシドを溶解・希釈し、これを環流しな
がらシロキサン系ポリマ膜形成用溶液に混合するとよ
い。なお、このときに用いるアルコールはアルコレート
のアルコキシに一致するものがよい。
【0030】そして、金属アルコキシドを添加したこの
シロキサン系ポリマ膜形成用溶液を、スピンコート法や
ディップコート法・ローラコート法等の塗布法により、
Si基板やガラス基板・セラミック基板・多層セラミッ
ク回路基板・薄膜多層回路基板・Si回路基板等の基板
上に塗布した後、例えば、オーブンやホットプレート等
により270 ℃程度の加熱処理温度で加熱処理を行なって
熱重合させることにより、Tiのアルコキシドを添加し
た場合であれば、Si−O−Siや、Ti−O−Ti・
Ti−O−Siの架橋反応が進んで、Tiを含有したシ
ロキサン系ポリマ膜が得られる。
【0031】このようにシロキサン系ポリマ膜形成用溶
液に金属アルコキシドを添加することによって、従来提
案されていたようなモノマを直接反応させる方法よりも
安定した反応によって金属含有シロキサン系ポリマ膜を
形成することができ、シロキサン系ポリマ膜形成用溶液
に金属アルコキシドを任意の割合で添加混合することが
できることから、ポリマ膜の屈折率を精密に制御するこ
とが可能となり、さらに、水分の吸着量や吸湿による屈
折率の変化量も制御することが可能となる。
【0032】なお、金属原子の種類により金属含有シロ
キサン系ポリマの屈折率を大きくするものと小さくする
もののように屈折率を変化させる効果が異なり、また、
金属アルコキシドが加水分解してそれにより生じた金属
に付随した水酸基とシロキサン系ポリマの末端基の水酸
基とが脱水重合して双方の水酸基が除去される反応にお
いて、金属アルコキシドの加水分解の反応速度や脱水重
合の反応速度が異なり、さらに、金属の原子価の価数に
より末端基の水酸基を減少させる効果にも大小があるの
で、本発明の金属含有シロキサン系ポリマに含有させる
金属原子の種類および含有量は、必要とされるシロキサ
ン系ポリマおよび光導波路の特性や仕様に応じて適宜選
定する。
【0033】本発明の金属含有シロキサン系ポリマにお
いては、金属原子をシロキサン系ポリマの主鎖骨格のシ
リコンに対して原子数比で1/(金属の原子価)%以上
含有させることが必要であり、含有量が1/(金属の原
子価)%未満では、1%未満のシロキサン系ポリマの末
端基の水酸基としか脱水重合することができず、すなわ
ち水酸基の減少量が1%未満にとどまるため、末端基の
水酸基が2%以上残留していた場合には末端基のうち水
酸基の占める割合を1%未満とすることができなくな
り、吸湿による屈折率の変化を実用上問題ないレベルに
抑制することができなくなる傾向がある。なお、金属原
子の含有量の上限は、過量の場合には金属原子によるレ
ーリー散乱損失が増大したり、屈折率が大きくなりすぎ
たりすることから、必要最小限とすることが望ましい。
【0034】金属原子の含有量はシロキサン系ポリマ膜
形成用溶液に添加する金属アルコキシドの添加量により
制御すればよい。この金属アルコキシドの添加量として
は、前記原料の組み合わせによるシロキサン系ポリマ膜
形成用溶液に対して、金属アルコキシドの添加量にする
ポリマ膜を試作してその屈折率を予め測定しておき、そ
れに基づいて所望の添加量に設定することが望ましい。
【0035】さらに、吸湿による屈折率の変化の抑制効
果を得るために金属原子をシリコンに対して1/(金属
の原子価)%以上含有させるには、{1/(金属の原子
価)}×(シロキサン系ポリマ固形分中のシリコン原子
数〔mol〕/シロキサン系ポリマ固形分の重量
〔g〕)×金属アルコキシドの分子量〔g/mol〕
(単位:重量%)以上とすればよい。
【0036】例えば、シロキサン系ポリマ固形分に対
し、シリコンが35.5重量%であり、金属アルコキシドと
してテトラブトキシチタン〔分子量 340〕を添加する場
合には、シロキサン系ポリマ固形分中のシリコン原子数
は0.0127molとなり、チタンの原子価は4であるの
で、添加するテトラブトキシチタンの重量比はシロキサ
ン系ポリマの固形分に対して1重量%以上とすることが
望ましい。
【0037】次に、本発明の光導波路は、本発明の金属
含有シロキサン系ポリマから成るクラッド部内にクラッ
ド部よりも屈折率が0.1 %以上大きな、すなわち{(コ
ア部の屈折率−クラッド部の屈折率)/クラッド部の屈
折率}×100 ≧0.1 であるような屈折率を有する本発明
の金属含有シロキサン系ポリマから成るコア部が形成さ
れたものである。ここで、コア部の屈折率をクラッド部
の屈折率よりも0.1 %以上大きなものとするのは、コア
部とクラッド部との境界面での全反射による光閉じ込め
効果を利用した光導波路を得るのに必要なことによる。
【0038】なお、通常はシングルモード光導波路にお
いてはコア部とクラッド部の屈折率差は0.25%から0.75
%程度に設定されていることから、本発明の光導波路に
ついても、コア部の屈折率をクラッド部の屈折率よりも
0.25%から0.75%程度大きくすることにより、吸湿によ
る屈折率の変化を抑制した、耐環境性に優れた高信頼性
のシングルモード光導波路となる。
【0039】金属アルコキシドを添加したシロキサン系
ポリマ膜から成る光導波路を作製するには、例えば図1
(a)〜(d)に作製プロセス毎の断面図で示すよう
に、以下のようにすればよい。
【0040】まず、図1(a)に示すように、基板1の
上面に、金属アルコキシドをシロキサンポリマ固形分に
対して例えば2重量%添加したシロキサン系ポリマ膜形
成用溶液をスピンコート法により塗布し、100 ℃/30分
+270 ℃/60分の熱処理を行ない、厚さ15μmの金属含
有シロキサン系ポリマ膜(屈折率1.4455)からなる下部
のクラッド部2を形成する。
【0041】次に、金属アルコキシドをシロキサン系ポ
リマ固形分に対して例えば7重量%添加したシロキサン
系ポリマ膜形成用溶液をスピンコート法により塗布し、
100℃/30分+270 ℃/60分の熱処理を行ない、厚さ8
μmの金属含有シロキサン系ポリマ膜(屈折率1.4490)
からなるコア層3を形成する。
【0042】続いて、RIE(Reactive Ion Etching)
加工の際のマスクとなるアルミニウム(Al)膜4をス
パッタリング法により形成し、コア部のパターンとなる
ライン幅8μmのフォトレジストパターン5をフォトリ
ソグラフィの手法により形成する。
【0043】次に、H3 PO4 /CH3 COOH/HN
3 の混合溶液によりAl膜4をエッチングして、図1
(b)に示すように、フォトレジストパターン5をAl
膜4に転写してAlパターン6を形成する。
【0044】次いで、図1(c)に示すように、フォト
レジストパターン5を除去した後、Alパターン6をマ
スクとしてフッ素ガスを用いたRIE加工によりコア層
3のエッチングを行ない、コア部7を形成する。
【0045】その後、図1(d)に示すように、Alパ
ターン6を除去して、コア部7を覆って下部のクラッド
部2と同様に上部のクラッド部8を形成する。
【0046】以上により、屈折率が1.4490で高さが8μ
m・幅が8μmの金属含有シロキサン系ポリマから成る
コア部7が、屈折率が1.4455の金属含有シロキサン系ポ
リマから成るクラッド部内に形成された、本発明の光導
波路を得ることができる。
【0047】
【実施例】以下、本発明のシロキサン系ポリマおよびそ
れを用いた光導波路について具体例を述べる。
【0048】〔例1〕シロキサン系ポリマとして、
【0049】
【化1】
【0050】で表わされる構造を持つシロキサン系ポリ
マを用意した。なお、化1においてRは−CH3 または
−C6 5 であり、このシロキサン系ポリマ膜にはSi
が35.5重量%、CH3 が18.0重量%、C6 5 が16.2%
含まれている。
【0051】このシロキサン系ポリマをプロピレングリ
コールモノメチルエーテルに35重量%混合して、シロキ
サンポリマ溶液〔1〕を用意した。また、金属アルコキ
シドとして、テトラ−n−ブトキシチタンを用意した。
【0052】次に、テトラ−n−ブトキシチタン0.7 g
とブタノール7gとの混合溶液と、シロキサンポリマ溶
液〔1〕100 g(固形分35g)とを混合して、金属アル
コキシドをシロキサンポリマ固形分に対して2重量%・
4重量%・7重量%および12重量%添加した金属含有シ
ロキサン系ポリマ膜形成用溶液を得た。また、金属アル
コキシドを添加しないシロキサン系ポリマ膜形成用溶液
も用意した。
【0053】次いで、これらの溶液をそれぞれ4インチ
径のSiウエハ上にスピンコート法により塗布し、100
℃/30分+270 ℃/60分の熱処理を行ない、厚さ10μm
の金属含有シロキサン系ポリマ膜および金属を含有しな
いシロキサン系ポリマ膜を形成した。
【0054】次に、これらのシロキサン系ポリマ膜に対
して85℃85%RHの高温高湿中に51時間放置する高温高
湿放置試験を行なって吸湿による屈折率の変化を調べた
ところ、金属を含有しないシロキサン系ポリマ膜は、屈
折率が初期値の1.44274 から1.44556 へと0.20%増加し
た。これに対し、金属アルコキシドを2重量%添加した
金属含有シロキサン系ポリマ膜では、屈折率が初期値の
1.44550 から1.44626へと、4重量%添加したものでは
初期値の1.44714 から1.44790 へと、7重量%添加した
ものでは初期値の1.44900 から1.44972 へと、12重量%
添加したものでは初期値の1.45246 から1.45316 へと、
いずれも0.05%程度の増加しか見られず、吸湿による屈
折率の変化が抑制されていた。
【0055】これら金属含有シロキサン系ポリマ膜につ
いて主鎖骨格のシリコンに対するチタンの原子数比を仕
込み量で算出することにより調べたところ、2重量%添
加したものでは0.5 %、4重量%添加したものでは0.9
%、7重量%添加したものでは1.6 %、12重量%添加し
たものでは2.8 %と、いずれも1/(金属の原子価)=
1/4%以上であった。また、これらについて末端基の
うち水酸基の占める割合を(H1 )のNMRスペクトル
測定により調べたところ、いずれも検出限界値以下であ
ったことから、1%未満であった。
【0056】〔例2〕〔例1〕と同様に、シロキサンポ
リマ溶液〔1〕をおよび金属アルコキシドとしてテトラ
−n−ブトキシチタンを用意し、金属アルコキシドを添
加した金属含有シロキサン系ポリマ膜形成用溶液を用意
した。
【0057】まず、テトラ−n−ブトキシチタン0.7 g
とブタノール7gとの混合溶液と、シロキサンポリマ溶
液〔1〕100 g(固形分35g)とを混合したTi含有シ
ロキサン系ポリマ膜形成用溶液を得て、この溶液を4イ
ンチ径のSiウエハ上にスピンコート法により塗布し、
100 ℃/30分+270 ℃/60分の熱処理を行ない、厚さ15
μmの金属含有シロキサン系ポリマ膜(屈折率1.4455)
からなる下部のクラッド部を形成した。
【0058】次に、テトラ−n−ブトキシチタン3.5 g
とブタノール35gとの混合溶液と、シロキサンポリマ溶
液〔1〕100 g(固形分35g)とを混合したTi含有シ
ロキサン系ポリマ膜形成用溶液を得て、この溶液をクラ
ッド部を形成した基板面上にスピンコート法により塗布
し、100 ℃/30分+270 ℃/60分の熱処理を行ない、厚
さ8μmの金属含有シロキサン系ポリマ膜(屈折率1.44
90)からなるコア層を形成した。
【0059】続いて、RIE加工の際のマスクとなるA
l膜をスパッタリング法により形成し、コア部のパター
ンとなるライン幅8μmのフォトレジストパターンをフ
ォトリソグラフィの手法により形成して、H3 PO4
CH3 COOH/HNO3 の混合溶液によりAl膜をエ
ッチングしてフォトレジストパターンをAl膜に転写し
てAlパターンを形成した。
【0060】次いで、フォトレジストパターンを除去し
た後、Alパターンをマスクとしてフッ素ガスを用いた
RIE加工によりコア層のエッチングを行ない、コア部
を形成した。
【0061】その後、Alパターンを除去して、下部の
クラッド部と同材料をコア部を覆うようにオーバーコー
トして、上部のクラッド部を形成した。
【0062】以上により、屈折率が1.4490で高さが8μ
m・幅が8μmの金属含有シロキサン系ポリマから成る
コア部が、屈折率が1.4455の金属含有シロキサン系ポリ
マから成るクラッド部内に形成された、コア部とクラッ
ド部の屈折率差が0.242 %の3次元導波路形状の埋め込
み型の光導波路を得た。
【0063】ここで、コア部およびクラッド部の金属含
有シロキサン系ポリマについてTi原子の含有量(シリ
コンに対する原子数比)と末端基に占める水酸基の割合
とを〔例1〕と同様にして調べたところ、クラッド部に
ついてはTi原子の含有量は0.5 %・水酸基の割合は1
%未満であり、コア部についてはTi原子の含有量は1.
6 %・水酸基の割合は1%未満であった。
【0064】そして、得られた光導波路を85℃85%RH
の高温高湿中に51時間放置したところ、コア部およびク
ラッド部の屈折率は初期値に対してそれぞれ0.1 %およ
び0.09%大きくなったものの、コア部とクラッド部の屈
折率差は0.242 %から0.239%に変化しただけであっ
た。これにより、本発明の金属含有シロキサン系ポリマ
を用いた光導波路によれば、吸湿による経時的な屈折率
の変化は実用上問題ないレベルであり、光導波路として
の特性的にも特に問題のないレベルであることが確認で
きた。
【0065】〔例3〕〔例2〕の本発明の光導波路との
比較のために、シロキサン系ポリマとしては〔例2〕と
同様のものを用いて、クラッド部にTi無添加のシロキ
サン系ポリマを用いた比較例の光導波路を作製した。
【0066】まず、〔例1〕のシロキサンポリマ溶液
〔1〕を4インチ径のSiウエハ上にスピンコート法に
より塗布し、100 ℃/30分+270 ℃/60分の熱処理を行
ない、厚さ15μmのシロキサン系ポリマ膜(屈折率1.44
27)からなる下部のクラッド部を形成した。
【0067】次に、テトラ−n−ブトキシチタン2.8 g
とブタノール28gとの混合溶液と、シロキサンポリマ溶
液〔1〕100 g(固形分35g)とを混合したTi含有シ
ロキサン系ポリマ膜形成用溶液を得て、この溶液をクラ
ッド部を形成した基板面上にスピンコート法により塗布
し、100 ℃/30分+270 ℃/60分の熱処理を行ない、厚
さ8μmの金属含有シロキサン系ポリマ膜(屈折率1.44
71)からなるコア層を形成した。
【0068】続いて、RIE加工の際のマスクとなるA
l膜をスパッタリング法により形成し、コア部のパター
ンとなるライン幅8μmのフォトレジストパターンをフ
ォトリソグラフィの手法により形成して、H3 PO4
CH3 COOH/HNO3 の混合溶液によりAl膜をエ
ッチングし、フォトレジストパターンをAl膜に転写し
てAlパターンを形成した。
【0069】次いで、フォトレジストパターンを除去し
た後、Alパターンをマスクとしてフッ素ガスを用いた
RIE加工によりコア層のエッチングを行ない、コア部
を形成した。
【0070】その後、Alパターンを除去して、下部の
クラッド部と同材料をコア部を覆うようにオーバーコー
トして、上部のクラッド部を形成した。
【0071】以上により、屈折率が1.4471で高さが8μ
m・幅が8μmの金属含有シロキサン系ポリマから成る
コア部が、屈折率が1.4427の金属を含有しないシロキサ
ン系ポリマから成るクラッド部内に形成された、コア部
とクラッド部の屈折率差が0.30%の3次元導波路形状の
埋め込み型の光導波路を得た。
【0072】このようにして得られた比較例の光導波路
を85℃85%RHの高温高湿中に51時間放置したところ、
クラッド部の屈折率は0.20%大きくなったのに対してコ
ア部の屈折率は0.06%大きくなり、コア部とクラッド部
との屈折率差は0.30%から0.16%へと大きく変化した。
この変化は光導波路の特性的には致命的な問題となるも
のであり、耐環境性に劣る結果となった。
【0073】〔例4〕〔例2〕および〔例3〕と同様に
して、クラッド部およびコア部のシロキサン系ポリマに
対する金属アルコキシドの添加量を表1に示すような組
み合わせとした、試料番号1〜3の光導波路を作製し
た。
【0074】これらの光導波路について、それぞれクラ
ッド部およびコア部の屈折率と、クラッド部に対するコ
ア部の屈折率比({(コア部の屈折率−クラッド部の屈
折率)/クラッド部の屈折率}×100 (%))と、ビー
ム径を測定して、それらの初期値を得た。次いで、これ
らの光導波路を85℃85%RHの高温高湿中に51時間放置
した後の屈折率・屈折率比・ビーム径を測定して、高温
高湿放置試験後の値を得た。これらの結果を表1に示
す。なお、試料番号1のものは、クラッド部に金属を含
有しないシロキサン系ポリマを用いた、本発明の範囲外
の比較例の光導波路である。
【0075】
【表1】
【0076】表1の結果より分かるように、試料番号1
の光導波路においては、クラッド部の屈折率が吸湿によ
り初期値の1.44274 から1.44556 へ0.20%と大きく増加
したのに対し、コア部の屈折率は初期値の1.44714 から
1.44790 へと0.05%程度の増加であった。その結果、屈
折率比は0.305 から0.162 へと大幅に小さなものとな
り、ビーム径が8.58μmから10.5μmへと大きくなって
光閉じ込め効果の劣化が大きなものであった。
【0077】これに対し、試料番号2および3の光導波
路においてはいずれの屈折率の変化も0.05%程度と小さ
なものであり、屈折率比の変化も極めて小さく、ビーム
径もほとんど変化せず、優れた光閉じ込め効果を維持し
ていた。また、実効屈折率も試料番号2で初期値の1.44
675 から1.44746 へ(0.05%)、試料番号3で初期値の
1.44982 から1.45053 へ(0.05%)と小さなものであ
り、試料番号1で初期値の1.44467 から1.44602 へ(0.
09%)と大きく変化したのに比べて良好な結果であっ
た。
【0078】〔例5〕〔例4〕と同様にして、金属含有
シロキサン系ポリマに含有させる金属原子にチタンを用
い、クラッド部およびコア部のシロキサン系ポリマの主
鎖骨格のシリコンに対してチタンの原子数比(Ti/S
i原子数比(%))を表2に示すような組合せとして、
それぞれシングルモード光導波路を作製した。
【0079】これらの光導波路について、85℃85%RH
の高温高湿中に51時間放置した後の屈折率および伝搬特
性の評価を行ない、変化が著しく不適であったものを
×、変化が小さく実用上問題がなかったものを○とし
た。これらの結果を表2に示す。
【0080】なお、表2において−で示したものはシン
グルモード光導波路のクラッド部とコア部の組合せとし
ては屈折率差が適当でないため、作製・評価しなかった
ものである。
【0081】
【表2】
【0082】表2の結果より分かるように、金属含有シ
ロキサン系ポリマとしてシロキサン系ポリマの主鎖骨格
のシリコンに対して原子数比でチタンを1/(金属の原
子価)=1/4=0.25%以上含有させたものをクラッド
部およびコア部に使用した本発明の光導波路は、吸湿に
よる屈折率の変化が小さく、耐環境性に優れたシングル
モード光導波路であった。
【0083】以上により、本発明の金属含有シロキサン
系ポリマおよびそれを用いた本発明の光導波路は、吸湿
による屈折率の経時的な変化およびそれによる特性劣化
を抑制できた、耐環境性に優れた高信頼性のシロキサン
系ポリマおよび光導波路であることが確認できた。
【0084】なお、本発明は以上の実施の形態の例に限
定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲
で種々の変更や改良を加えることは何ら差し支えない。
【0085】
【発明の効果】以上のように、本発明の金属含有シロキ
サン系ポリマによれば、シロキサン系ポリマの主鎖骨格
のシリコンに対して原子数比で1/(金属の原子価)%
以上の金属原子を含有させ、末端基のうち水酸基の占め
る割合を1%未満としたことから、雰囲気中の水分子の
吸着が抑制され、その結果、シロキサン系ポリマの屈折
率の経時的な変化が抑えられて、特性劣化のない耐環境
性に優れた高信頼性のシロキサン系ポリマとすることが
できた。
【0086】また、本発明の光導波路によれば、本発明
の金属含有シロキサン系ポリマから成るクラッド部内に
このクラッド部よりも屈折率が0.1 %以上大きな本発明
の金属含有シロキサン系ポリマから成るコア部を形成し
たことから、吸湿によるクラッド部およびコア部の屈折
率の経時的な変化を抑制することができ、耐環境性に優
れた高信頼性の光導波路とすることができた。
【0087】しかも、本発明の光導波路は、低温プロセ
スで作製できるとともに、クラッド部およびコア部の屈
折率を容易にかつきめ細かく制御でき、ポリマ膜の平坦
性・基板との密着性・半田耐熱性に優れた光導波路を簡
単な設備で短時間に作製することができるというシロキ
サン系ポリマ膜による光導波路としての特長も兼ね備え
たものであるとともに、水分子の振動吸収に起因する光
導波路の光吸収損失の増加を抑制することも可能とな
り、長期間にわたって良好な光伝送特性を維持すること
ができる高信頼性の光導波路となる。
【0088】以上により、本発明によれば、吸湿による
経時的な屈折率変化とそれによる特性劣化を抑制した、
耐環境性に優れた高信頼性のシロキサン系ポリマおよび
そのシロキサン系ポリマを用いた光導波路を提供するこ
とができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)はそれぞれ本発明の光導波路の
作製方法を説明するための作製プロセス毎の断面図であ
る。
【符号の説明】
2、8・・・クラッド部 7・・・・・コア部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シロキサン系ポリマの主鎖骨格のシリコ
    ンに対して原子数比で1/(金属の原子価)%以上の金
    属原子を含有させ、末端基のうち水酸基の占める割合を
    1%未満としたことを特徴とする金属含有シロキサン系
    ポリマ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の金属含有シロキサン系ポ
    リマから成るクラッド部内に該クラッド部よりも屈折率
    が0.1%以上大きな請求項1記載の金属含有シロキサ
    ン系ポリマから成るコア部を形成したことを特徴とする
    光導波路。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005181638A (ja) * 2003-12-18 2005-07-07 Kyocera Corp シロキサンポリマ皮膜形成方法および光導波路
WO2008010415A1 (fr) 2006-07-21 2008-01-24 Tokyo Ohka Kogyo Co., Ltd. Matériau à indice de réfraction élevé

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