JP2000030056A - 三次元印鑑登録・照合装置 - Google Patents

三次元印鑑登録・照合装置

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JP2000030056A JP10195820A JP19582098A JP2000030056A JP 2000030056 A JP2000030056 A JP 2000030056A JP 10195820 A JP10195820 A JP 10195820A JP 19582098 A JP19582098 A JP 19582098A JP 2000030056 A JP2000030056 A JP 2000030056A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 登録印鑑と被検印影を正確に照合できる自動
印鑑登録照合装置を与えること。 【構成】 印鑑をある面からの距離によって三次元登録
し、被検印影は二次元二値化画像とし、中心位置と、回
転方向を合わせて重ね合わせ、被検印影の各朱肉画素と
対応する登録印鑑の点との距離の総和を計算し、近傍で
中心位置を変えて回転方向を合わせ距離計算を繰り返し
最小の距離を求め、その最小値がある値以下であれば正
印としそうでないときは偽印と判定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、登録印鑑のデー
タを三次元化して保存し、紙に押印された印影がこの登
録印鑑と同一か否かを判定する自動印鑑照合法に関す
る。日本や中国など主として漢字圏の国々においては印
鑑が個人識別の手段として広く使用されている。官公庁
などにおいては重要書類の取扱いにおいて、目視による
印鑑照合が行われている。銀行郵便局などでも、預金者
の同一性の確認のために印鑑が目視によって照合され
る。登録印鑑数の増加、事務件数の増加にともなって、
目視による照合が負担になってきている。その負担を軽
減するために機械による印鑑自動照合の実現が強く望ま
れている。
【0002】機械による自動印鑑照合に望まれる事は ●照合時間が目視による照合時間と相違ないこと。 ●決して偽印を正印と判定しないこと。 などである。
【0003】さらに、 ●印影の登録は一度であり、品質が経年劣化しないこ
と。 ●被検印影は様々な押捺条件のもとで紙に押印されたも
のである ●目視でも照合できないような品質の悪い印影は再度押
印を求めること などが前提となる。
【0004】これらの条件を満足するためには、押印条
件によって変化する種々の印影パターンの揺らぎを吸収
でき、照合時間を短くするために少ない特徴を用いた簡
易のマッチングが行えかつ偽印を確実に偽印と判定でき
る頑強な照合を行えることが望まれる。
【0005】本発明は、登録印鑑を印鑑計測装置によっ
て距離データとして得て、また被検印影を画像読み取り
装置によって二値データとして得て、二値データと距離
データ間の相違度を求めることによって照合を行うもの
である。
【0006】用語の混乱を避けるため定義を明らかにす
る。印鑑登録申請所に押された印鑑や預金通帳に押印さ
れた印鑑を登録印鑑と呼ぶ。登録時、紙に押印された基
準となるものを登録印影と呼ぶ。登録時より後に、照合
の対象になる印鑑を被検印鑑という。照合時に紙に押さ
れた印影を被検印影と呼ぶ。照合というのは被検印鑑が
登録印鑑と同一かどうかを調べることである。
【0007】4つの概念がある。登録時と照合時の印
鑑、これが2つ、登録時と照合時の印影これが2つで計
4つの概念がある。登録時には登録印鑑と登録印影しか
存在しない。照合時には登録印鑑は存在せず、被検印鑑
と、被検印影、登録印影しかない。目視判定は、被検印
影と登録印影を目視によって比較し、それによって被検
印鑑と登録印鑑が同一か否かを判定するものである。
【0008】
【従来の技術】印鑑を自動照合する方法としてこれらま
で提案されたものは次の二つに大別される。 (A)登録印鑑を平面データとして用いる方法。 (B)登録印鑑を距離データとして用いる方法。 これら2種類の先行技術の現状について述べる。
【0009】[(A)登録印鑑を平面データとして用い
る方法]登録印鑑を平面データとして用いる方法という
のは、現在行われている目視による印鑑照合にならい、
登録印影として丁寧に紙に押印されたものと被検印影を
二次元的に比較考量するものである。登録印鑑を押した
登録印影を基準データとして用いる。被検印鑑によって
押印した被検印影を使う。多くの場合、二値化して比較
する。登録印影も二値化し、被検印影も二値化する。二
値化された登録印影と、二値化された被検印影を重ね合
わせ一致度によって照合する。その場合登録印影も被検
印影もともに平面に押された二次元二値情報にすぎな
い。二値化でない場合もある(三値化)。その場合でも
同じ二次元のものを比較対照するのである。目視判定を
そのまま機械による自動判定に応用しただけである。人
間の動作をなぞったごく自然なアプローチである。印影
平面比較方式とでもよぶことができよう。
【0010】例えば、三重野博司「重ね合わせによる
印鑑の鑑定実験と考察」情報処理Vol.16,NO.
3、PP205−211(1975)にこの方法が提案
されている。印鑑を押した印影をメッシュに分割する。
たとえば50×50のメッシュに分ける。各メッシュに
おける光量を三値化する。D=0〜30%、D=3
0%〜70%、D=70〜100%というように光量
が3段階に分けられる。それぞれのメッシュにおける光
量を測定しD〜Dをメッシュに対応させて記憶す
る。これが登録である。被検印影についてもメッシュ分
けし、D〜Dを対応させる。同じメッシュに同じD
jがあれば重み1を、DとDというように違えば重
み0を、DとDの違いであれば重みp(0<p<
1)をつけ評価関数Eを計算する。
【0011】対応を変えて何度も評価関数を計算し、評
価関数を最小にするものを求める。二段階でなく三段階
にしたところに工夫が見られる。しかしメッシュの数が
少ないので印影の微妙な差が分からない。それに評価関
数によって照合するから計算量が膨大になる。評価関数
が最小になるような方向に相対位置を導かなければなら
ないがこれが簡単でない。メッシュ数を増やすと、計算
量がまた増える。評価関数という一般的な手法は位置合
わせや、回転角合わせなどが不要だという利点がある
が、それだけ計算量が増えるわけで決して利点というわ
けでない。
【0012】二次元印影の重ね合わせ法は、様々のもの
が提案されている。評価関数のような手数の掛かる方法
の他に、中心位置を合わせ、回転方向を合わせてから、
二つの印影の一致度を調べるという方法もある。むしろ
その方が主流といってよいかと思われる。しかしながら
この方法には重大な欠点がある。
【0013】押印条件によって被検印影には多様な品質
のパターンが生ずる。ひとつの印鑑から様々の被検印影
が発生してしまう。このような多様なパターンがあるの
で登録印影と同一であるかどうか判断できないことがあ
る。あるいは間違って判断する。二値データの重ね合わ
せに基づいた照合手法は種々考案されているが、押印条
件によってかすれたり、片打ちされた印影に対しては極
めて照合精度が悪い。常に丁寧に印鑑を押すとは限らな
いし、顧客に印鑑を丁寧に押すように求めるのは無理で
ある。
【0014】このようなわけで被検印影と登録印影の二
次元的な一致によって照合するという単純な方法では精
度の高い印鑑照合はできない。静的な二次元比較ではい
けないという観点にたってこれを越える手法が提案され
ている。しかし残念ながらそのどれも成功を納めていな
い。被検印影そのまま比較するのでなく、押印された被
検印影から疑似的にきれいな印影を推定し復元して登録
印影と照合するという方法が提案されている。
【0015】例えば信学論vol.J77−D−I
I、No.10、p2027−2035(1994)に
述べられている。登録印影を様々に修正して、修正印影
を多数発生させ修正印影と被検印影を二次元比較する。
しかし疑似的に修正するといっても修正の方向が正しい
とは限らない。劣化の方向がはっきりしないのに的確に
修正できるはずはない。誤って修正することもある。誤
って修正すれば、偽印を正印と間違うおそれもある。特
定の条件を満たす限られた印影に対してのみこの方法は
有効である。その他の多くの印影に対しては全く無力と
言う他はない。
【0016】これらの方法は全て印影を印影自体とし
て、つまり二次元的に照合しようとしている。これら二
次元法は、被検印影の無限のパターンに対して対応しき
れず、十分な照合精度を得る事ができない。本発明が解
決しようとしている課題に対しては無力である。
【0017】(B)登録印鑑を距離データとして用いる
方法 これは本発明者が初めて創案したものである。登録印鑑
の三次元形状をそのまま登録するものである。これは登
録の方法から従来のものと異なる。登録印鑑を紙に押印
するのではない。そうではなくて、窓口で、印鑑の三次
元形状そのものを計測し登録するものである。印鑑登録
自体が従来の手法と全く違う。印肉をつけて紙に押した
ものでなく、印肉を付けない印鑑の三次元形状そのもの
を登録する。左右が逆で凹凸ある印鑑自体を計測登録す
る。きわめて斬新な方法である。
【0018】例えば信学論、Vol.J80−D−I
I、No.1、p148−155(1997)によって
提案されている。この方法は、被検印影のパターンに基
づいて押印条件を抽出し、登録された印影をその条件に
よって計算機上で仮想押印し、仮想押印された登録印影
の二値パターンと被検パターンとを照合するものであ
る。三次元の印鑑を登録しているから印鑑の傾きを自在
にあたえ傾きの方向を膨張させその反対方向を細くする
ことができる。傾きの方向や押印の力をパラメータとし
て与え、様々の二次元印影を自動的に発生する。被検印
影が一方に傾いて押されているならば膨張から傾きの方
向がわかるので三次元印鑑からそれに近い二次元印影を
発生させる。これと被検印影とを二次元比較するのであ
る。この方法は、被検印影に合わせた仮想印影を生成す
るので、二値データを登録印影とする方法よりも照合精
度は高い。
【0019】しかしこの方法も未だ万能ではない。膨張
側をみつけて、三次元印鑑からその方向に傾けた印影を
作るとしても、そもそも膨張している側の山部がもとも
と膨張しているのかもしれない。一つの登録印鑑から多
数の二次元印影を仮想的に発生させるという方法は、被
検印影に近づけるための方便であるが、そのために初め
の登録印鑑の形状の範囲をぼかしてしまう。異なる二つ
の登録印鑑からこの方法で多数の仮想印影を発生させる
と、仮想印影で共通のものが生ずる可能性もある。する
と異なる印鑑を正印と誤認する可能性がある。そのよう
な訳でこの方法でも誤照合率が6〜7%ある。もっと悪
い事に偽印を正印と判定してしまうことがある。反対に
正印を偽印とすることもある。さらに様々の仮想印影を
発生し、照合できない限り仮想印影を作り続けるから終
わりがない。随分と時間がかかる方法である。
【0020】高速のコンピュータを使っても押印条件の
抽出に約1時間を要する。顧客を1時間待たせる訳にい
かないのでとても実用的とはいえない。肉眼目視で数秒
でできるものが大げさな装置を使って1時間も掛かるの
ではまったく無意味である。短時間で照合できること、
という本発明の課題をなお満たす事ができない。論文に
はなるが価値はない。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】実用に耐えるような高
い照合精度を持ち、短時間で処理できる印鑑照合技術は
これまで存在しなかった。二値登録印影法は目視の印鑑
照合を応用したものであるが、一つの登録印影と、無限
に派生する被検印影を正確に対応させることができず照
合精度は低い。登録印鑑距離データ法は精妙な方法であ
るが、計算機上で仮想押印をするための押印条件の抽出
に多大な計算時間を必要とし非実用的である。さらに照
合自体は二値パターン間で行うので、先述の方法と同じ
くかすれ部分などのマッチングが不十分である。照合精
度も高くない。
【0022】印鑑自動照合に関し二つの従来方法を説明
した。いずれも精度、時間、コストなどで不十分であ
る。いずれも試行錯誤的に多数の試行計算を繰り返す。
は評価関数を何度も何度も計算しなければならない。
とは登録印鑑から多数の仮想候補を発生させ、多数
の候補と、被検印影を比較考量するから無限に近い計算
をしなければならない。頼りない方針に従ってあてのな
い計算をするので高速コンピュータであってもなお時間
が掛かりすぎる。
【0023】従って、従来の技術では、印鑑照合をなお
自動化することができない。現在のところ自動印鑑照合
は全く実現していない。以前として目視による照合に頼
らざるをえない。本発明はこのような問題を一挙に解決
し、どのような印鑑に対しても自動照合できる装置と方
法を提供する事を目的とする。本発明の課題はつぎの通
りである。
【0024】(1)自動照合に要する時間が目視による
照合時間と変わらないこと。 (2)偽印を正印と誤って判定しない事。
【0025】熟練者によれば目視判断は数秒程度で行わ
れる。機械を使って1時間、或いは数十分もかかるよう
では話にならない。高額の対価を払い装置を導入しスペ
ースを取られながら能率が落ちると言うようでは誰が導
入するであろうか?自動判定も数秒で終わるものでなけ
ればならない。印鑑照合の従来技術がいずれも数十時間
〜数時間を要していたのであるから、よほどの革新的な
ものでなければ数秒というオーダーへ持って行く事がで
きない。
【0026】偽印と正印であるがこれは決して対称でな
い。正印は登録印鑑であるから、登録印鑑については偽
印と言う概念はありえない。被検印影は、正印であるこ
とも偽印であることもある。正印と言うのは登録印鑑と
同じものの印影、偽印は登録印鑑と異なるものの印影で
ある。間違いの場合は、正印を偽印と間違える場合と、
偽印を正印を間違える場合がある。何れも間違いである
が、偽印を正印と間違えるとより重大な問題を引き起こ
す。無権利者が動産や不動産を取得したりしてしまう可
能性がある。偽印を正印と誤認する誤りはあってはなら
ない。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明は、被検印影の朱
肉部分にはそれに対応する印鑑表面(印鑑彫刻の凸の部
分)が必ず存在するはずであるという観点に立つ。そこ
で登録印鑑と被検印影を位置合わせし被検印影の朱肉部
分と登録印鑑の距離の和によって評価する。もし正印で
あれば被検印影に存在する点甲は、かならずその対応点
を登録印鑑の山面に持つはずである。被検印影の点甲が
全て、登録印鑑の山面の点乙に対応すればそれは被検印
影が登録印鑑に等しいということである。
【0028】そのため、位置合わせして登録印鑑を被検
印影に接触させた状態を計算機上で仮想し、被検印影の
朱肉部分(甲の集合)について、被検印影と登録印鑑の
面との距離を求めその総和を計算し、総和がある一定値
より小さければこれを正印とする。もしも正印であって
正確に位置合わせされているならば、登録印鑑の山部分
は、被検印影の朱肉付着部に完全に重なるはずである。
すると山部分の全ての点における両者の距離の和は0で
あるはずである。実際には位置合わせの誤差や、滲みが
あるから距離総和は0でないが、正印であるかぎり小さ
い値であるはずである。
【0029】もしも偽印であると、被検印影の朱肉部分
甲の一部に、登録印鑑の谷面、崖面丙が対応する。する
と距離甲丙が長くなる。このような点が幾つもあると距
離の総和が長くなる。距離の総和が大きいということ
は、被検印影の朱肉部分に該当する印鑑表面がないとい
うことである。だとすればその印鑑は正印でありえな
い。距離の総和が小さいと正印であり、総和が大きいと
偽印である。だから被検印影の朱肉部分での被検印影と
登録印鑑面との距離の総和は登録印鑑と被検印影の相違
度を表すということができる。
【0030】被検印影は一つしかない。だから先行技術
のように多数の仮想印影を発生する余地がない。先行技
術が時間を浪費したのは登録印鑑から仮想候補を無限に
生成して比較するという空しい試行を繰り返していたか
らである。それはいずれも登録印鑑から出発するという
愚を犯しているのである。本発明はそうでなく一つの被
検印影から出発する。仮想候補をつくらない。比較が1
対1であり数が少ない。だから演算時間を著しく減らす
ことができる。これがひとつの逆転発想である。
【0031】本発明のさらなる特徴は重ね合わせ誤差を
測定するのでなく、被検印影と登録印鑑の各対応点間の
距離を測定し距離の総和によって照合する、という点に
もある。
【0032】反対に登録印鑑から被検印影をみるのでは
ない。これはなお一つの問題がある。被検印影の存在す
る点(甲点)についてのみ登録印鑑との距離を測って距
離和に加算する。登録印鑑には存在するが、被検印影に
は存在しない点Sは計算しない。だから登録印鑑にあっ
て、被検印影にない点Sの存在は、距離和を増やさな
い。その存在は誤差を増やさないのでこの方法では検出
できない。しかし登録印鑑にあって、被検印影にない点
Sが存在するということはそれが偽印である可能性を高
めるものであるはずである。それがカウントされないの
であるから本発明の方法はある面で片手落ちといわねば
ならない。登録印鑑の山面が、完全に被検印影を含むも
のであれば、距離和は0になってしまう。ところが登録
印鑑の山面が、被検印影を全部含んだ場合、登録印鑑の
方が太いというだけのことで、被検印影と同一とはいえ
ない。
【0033】そのような場合もあるであろう。そこで被
検印影の朱肉部の面積Cと、登録印鑑の山面の面積C
を比較し、C/Cが一定値以下ならその印鑑を棄
却することにする。単にかすれで、C/Cが1以下
のこともあるだろう。そうでなくて、登録印鑑より被検
印影が細字であり含まれることからC/Cが1より
小さいこともある。これが1より小さい一定値以下であ
ると判定を棄却するということは偽印を正印に誤認する
のを回避しているのである。
【0034】ここで印鑑の各部分を定義する。彫刻の凸
の部分を山面という。底の面(彫刻の凹部分)を谷面と
いう。山面と谷面の間にある傾斜面を崖面ということに
する。本発明の照合の方法の概略を述べる。登録印影
は、距離画像計測装置によって距離画像(三次元画像)
として登録する。山面にxy座標をとり、(x,y)点
での面高さzを求める。z(x,y)というような印鑑
面の式が得られる。計測された印鑑面に傾きがある場合
は、傾きを補正する。山の部分を1とし、谷の部分を0
というように正規化する。また押印による朱肉の滲みを
考慮し、印鑑の刻印文字部分(山面)を太らせておく。
二値化することによって平均的な印影パターンを抽出
し、印影部分の面積を求めておく。
【0035】被検印影は、光学的に二値データとして読
み込む。ここから山面の面積を求める。山面の面積が、
登録印影の山面の面積に比較して、一定割合の印鑑であ
る場合には、判定に十分な印影パターンでないとして棄
却処理を施す。朱肉が一定の面積以上をもつ被検印影に
関して照合処理を行う。
【0036】照合は、位置と回転角を変化させながら、
登録印と被検印との相違度を求め、最も低い相違度を求
めることによって行われる。相違度は、被検印の朱肉画
像から登録印鑑の凹凸面までの距離値を、朱肉画素の総
数で正規化した値であり、一般には0〜1の値をとる。
理想的には、朱肉部分と印鑑表面(山面)が全て一致す
れば相違度は0である。全て異なれば1となる。相違度
がある判定値より低ければ正印と判定される。ある判定
値より高ければ偽印と判定される。
【0037】
【発明の実施の形態】本発明は、印鑑の自動照合を可能
とするものである。図1は本発明の印鑑登録装置、およ
び印鑑照合装置の概略構成図である。本発明を用いる事
により、印鑑の形状を一度登録しておけば、紙等に押印
された被検印影をイメージスキャナなどの画像読み取り
装置で入力する事によって、その印影が正印か偽印かを
自動的に判定する事が可能となる。また、登録印も被検
印もデジタルデータ化されているので、データ通信を行
う事によって遠隔地での照合が可能となる。
【0038】本発明の骨子は、被検印影の着肉部分に着
目し、それに対応する印鑑面を探索するところにある。
従って、本発明は、被検印影の印影の品質に照合結果が
左右することはない。仮に探索に失敗しても、正印を偽
印と誤判定するのであって偽印を正印と誤判定すること
はありえない。なぜならば偽印の着肉に対応する部分が
印鑑表面のみに存在することはありえないからである。
このことはセキュリティ上、本発明が安全であることも
意味している。
【0039】本発明の新規なところは以上に述べたとこ
ろである。登録印影としては、距離画像を用いる事が望
ましいが、従来の二次元画像としても同様の照合方法に
よってある程度の照合が可能となる。また計測段階で印
鑑面に傾きがある場合には、これの補正を行う。朱肉の
滲みを考慮する必要があれば、登録印のストロークを太
らせる処理を行う。被検印影があまりにもかすれたり薄
くて判定不可能な場合には棄却処理を行う。本発明の印
鑑照合装置は以下に示すような構成を持っている。初め
に項目を列挙する。
【0040】A.登録画像計測装置 B.登録画像記憶装置 C.傾き補正機構 D.補正画像記憶装置 E.距離正規化機構 F.正規化画像記憶装置 G.形状膨張機構 H.膨張画像記憶装置 I.標準印影特徴抽出機構 J.標準印影特徴記憶装置 K.被検画像計測装置 L.被検画像記憶装置 M.棄却判定機構 N.初期値設定機構 O.最適位置・回転角決定機構 P.判定値記憶装置 Q.判定値補正機構 R.照合結果判定機構
【0041】さらにそれぞれの機構の作用を簡単に述べ
る。 A.登録画像計測装置 印鑑の凹凸形状を三次元計測し
装置に定義した三次元座標において面方向の座標x,y
ごとに距離z(x,y)を求め、距離画像として計測
する B.登録画像記憶装置 各座標点(x,y)の距離デー
タz(x,y)を格納する。 C.傾き補正機構 xyz空間の距離データをθφρの
極座標空間に投票しピーク値から登録印鑑の山面の平面
方程式z(x,y)を求め、平面方程式z(x,
y)から傾きを含む距離データzを差し引いたz
(x,y)を求め登録印鑑の傾きを0にする D.補正画像記憶装置 傾き補正後の距離データz
(x,y)を格納する。 E.距離正規化機構 登録印鑑の山面を0に谷面の最も
深い点を1にして距離z を正規化する。 F.正規化画像記憶装置 正規化後の距離データz
(x,y)を格納する G.形状膨張機構 山面の輪郭を1画素分あるいは2画
素分太らせ、太らせたAとの距離データをz
(x,y)とする。 H.膨張画像記憶装置 形状膨張後の距離データz
(x,y)を格納する。 I.標準印影特徴抽出機構 登録印鑑の距離データを二
値化し山面の画素数Cを計数する。 J.標準印影特徴記憶装置 標準印影特徴となる画素数
を格納する。 K.被検画像計測装置 被検印影を光学的に読み取り二
値画像として計測する。 L.被検画像記憶装置 被検印影の各座標点の二値デー
タw(x,y)が格納される。 M.棄却判定機構 被検印影の朱肉画素の画素数C
計数しこれを登録印鑑の山面の画素数Cで割った値C
/Cを計算し、この値が0〜1のある定数より小さ
いとき被検印影を棄却する。 N.初期値設定機構 被検印影の中心座標を求め、中
心座標を合わせて被検印影と登録印鑑印影の回転角を合
わせる。 O.最適位置・回転角決定機構 最適の中心位置と最
適の回転角を決定し被検印影の朱肉画素で被検印影と登
録印鑑の距離を求めその総和Sを朱肉部分の全画素数Q
でわった判定値Dを算出する。 P.判定値記憶装置 判定値Dを格納する。 Q.判定値補正機構 登録印鑑の山面の距離の平均値M
を求め判定値DからMを差し引いて補正判定値を求め
る。 R.照合結果判定機構 補正判定値がある閾値より小さ
い場合は正印と判定し、閾値より大きい場合は偽印と判
定する。
【0042】ここで、登録画像の計測が安定しており、
傾きの補正の必要がなければ傾き補正の過程C〜DやQ
を省く事ができる。朱肉の滲みやはみ出しなどを考える
必要がなければ過程G〜Hを省く事ができる。棄却処理
を必要としないのであれば棄却に関する処理過程I〜J
およびMを省くことができる。
【0043】図1に示したA〜Rの各装置および機構に
ついてひとつひとつ説明する。 A.登録画像計測装置 これは印鑑の形状を三次元計測装置(例えばレンジファ
インダ)によって距離画像として計測する装置である。
計測された登録印鑑の例を図2によって示す。登録印鑑
は、文字面をレンジファインダの受光器に向けて固定す
ることによって受光器(x,y,0)から印鑑面までの
距離がデータz(x,y)として計測される。座標系
はレンジファインダに固定している。レンジファインダ
の面をxy座標にとるから、zが距離となる。レンジフ
ァインダの各点(x,y)での垂直方向の距離がz
(x,y)である。印鑑の山面はxy面に平行になる
ようにするので、レンジファインダと印鑑の山面との距
離hと印鑑の深さの和が距離z (x,y)となる。だ
からz(x,y)−hは(x,y)での深さを大体表
現するものだといえる。
【0044】B.登録画像記憶装置 登録画像記憶装置には、各座標点の距離データz
(x,y)が格納される。
【0045】C.傾き補正機構 登録画像計測装置によって、印鑑表面は傾きなく計測さ
れることが望ましい。しかしながら、環境によっては、
印鑑表面が傾いて計測されるということがありうる。傾
きある場合、本機構は、その傾きを補正するものであ
る。従って、傾きなく計測される場合には本機構は必要
ない。
【0046】例えば、ハフ変換を三次元画像に適用する
ことによって三次元データの傾きの補正を行う。具体的
には、計測されたx−y−z平面に於ける3次元データ
をθ−φ−ρ空間に投票しそのピーク値(θ,φ
ρ)を求める。ρは距離、φはxy平面からの角度、
θはz軸周りのx軸からの角度である。つまりθ、φ、
ρの三次元空間において、それぞれの点を分布させ分布
の最高密度の点をピーク値とするのである。(x,y,
z)の三次元直交座標のまま投票しても分散するだけで
ピーク値がない。
【0047】三次元極座標(θ、φ、ρ)に投票して初
めて、平面上にある点の集合が点に集束する。対象が印
鑑であるから山面と谷面に応じて二つの最高密度の点が
存在する。そのうちレンジファインダーに近いほうのピ
ーク値を採用する。その点をみるベクトルは、(cos
φcosθ,sinφcosθ、sinφ
である。これと、三次元ベクトル(x,y,z)との内
積が、距離ρを与えるので、
【0048】 ρ=xcosφcosθ+ycosφsinθ+zsinφ (1 )
【0049】という式が成り立つ。これは登録印鑑の山
面の平面方程式である。このパラメータを用いて印鑑面
の傾きの平面方程式を得ることができる。
【0050】 z(x,y)=ax+by+c (2)
【0051】但し、 a= −cosφcosθ/sinφ (3) b= −cosφsinθ/sinφ (4) c= ρ/sinφ (5)
【0052】を求める。この平面が印鑑面の式である。
この平面と計測された三次元データとの差分
【0053】 z(x,y)=z(x,y)−z(x,y) (6)
【0054】を求めることによって傾きが補正された画
像が得られる。山面の式がz(x,y)であるから、
これからz(x,y)を引いたz(x,y)は、山
面において0であり、谷面では谷の深さに等しいはずで
ある。傾きを補正するのに回転させたのではなくて傾き
面からの高さを求めることによって補正している。
【0055】D.補正画像記憶装置 補正画像記憶装置には、補正後の各座標点の距離データ
(x,y)が格納される。
【0056】E.距離正規化機構 本機構では、印鑑表面の距離データは0であり、刻印の
底面に向かうにつれて距離が増えて行き、底面は1に近
い値に距離画像を正規化する(図3)。これは印鑑によ
って、彫刻部分の凹凸の深さを不変とするためである。
正規化は具体的にはつぎのようにする。まずz(x,
y)の最大値maxz と、最小値minzを求め
る。この値を用いて距離データz(x,y)は
【0057】
【数1】
【0058】によって[0,1]に正規化される。つま
りzの値は、0か1か或いは0と1の間の値になる。マ
イナスや1を越える値はなくなる。
【0059】F.正規化画像記憶装置 正規化画像記憶装置には、正規化後の各座標点の距離デ
ータz(x,y)が格納される。谷面の点は大体1
に、山面の点は大体0となるはずである。崖面は0と1
の間の値をとることになる。
【0060】G.形状膨張機構 登録画像計測装置によって計測された距離画像は、登録
印鑑の形状を忠実に表現したものである。本発明で用い
る照合は、被検印影の朱肉に対応する印鑑表面を探索す
るため、被検印影に紙による朱肉の滲みやはみ出し等が
あった場合にそれが正印であっても、それに対応する印
鑑表面が存在しないことになり、偽印と判定される惧れ
がある。特に傾いて押されたときは、傾いた方で印鑑の
山面よりやや太くなる傾向がある。
【0061】そこで本機構は予め計測された印鑑表面の
凸部分に対応して膨張処理を施す。膨張処理により朱肉
のにじみなどにも対応できるようにするものである。だ
から被検印影よりも登録印鑑の印影のほうが少し広くな
る。従って滲みや朱肉のはみ出しなどの現象が起こらな
い環境にある場合は、本機構は必要ない。
【0062】正規化画像z(x,y)の各点におい
て、その8近傍に着目する。現座標に8近傍を加えた9
つの画素の持つ正規化値の最小値をzRmin(x,
y)をz (x,y)と定義する。山面の内部に着目
座標があるとそれを含む3×3の9つの画素の値は全て
0である。だからこの処理によって、その座標の値は不
変である。谷面の内部に着目画素がある場合、9つの画
素の値は全て1である。最小値は1であるからこの処理
によってその座標の値は不変である。山面から一つ離れ
た崖面に着目画素があるとすると、それ自体のz座標
は、0と1の間であるが、8近傍に山面の画素があり最
小値はz=0である。だから崖面画素のz座標が0に書
き換えられる。山面と崖面の境界の崖面側画素が全て山
面に引上げられるということもできよう。これにより、
表面の凸部分を1画素分太らせることができる。但し、
境界部分では値を持つ画素の最大とする。これを周りの
25画素(5×5:注目画素とそのまわりの24近傍画
素)に着目すれば、2画素分太らせることができる。こ
れは用途に応じて調節すれば良い。以上の処理で形状を
膨張させる事ができる。
【0063】H.膨張画像記憶装置 膨張画像記憶装置には、形状膨張後の各座標点の距離デ
ータz (x,y)が格納された。
【0064】I.標準印影特徴抽出機構 被検印影が掠れたり、朱肉の付きが悪くて薄かったりし
た場合には、判定ができないとして棄却処理を行うこと
が考えられる。そのための比較パターンとして、完全に
朱肉がついた場合の理想的な標準印影を、登録印鑑を二
値化することによって作製し、特徴量として朱肉部分に
相当する画素数を計算する。従って、棄却処理が必要の
ない環境には本機構は不要である。
【0065】二値化画像は、印鑑の面を表面(山面)と
底面(谷面)とに分離し、山面に値1を、谷面に値0を
与えることによって行う。すなわちz (x,y)の
値をもとにその画素(x,t)を二つのクラスのどちら
かにクラスタリングする問題となる。クラスタリング
は、様々の公知の方法が存在するのでそれを利用すれば
良い。例えば、クラス内分散を小さく、クラス間分散を
大きくするようなクラスタリングを行う方法
【0066】信学論(D),vol.J63−D,N
o.4,p349−356,April(1980)を
用いることができる。二値化された画像の朱肉部分
(黒)に相当する画素数をカウントしてこれをCとす
る。
【0067】J.標準印影特徴記憶装置 標準印影特徴記憶装置には、標準印影特徴となる画素数
が格納される。登録印鑑の登録時の操作は以上で終
わりである。これ以後は随時行われる被検印影について
の操作である。
【0068】K.被検画像計測装置 印鑑の所有者等が印鑑を持ってきてこれを紙に押印す
る。これを被検印影という。紙に押印したものだからこ
れは二次元のものである。被検画像計測装置Kは、被検
印影を光学読み取り装置(例えばスキャナ)によって、
二値画像w(x,y)として計測する装置である。計測
は登録画像計測装置と同じ解像度で行われる。
【0069】L.被検画像記憶装置 被検画像記憶装置には、各座標点の二値データw(x,
y)が格納される。
【0070】M.棄却判定機構 ここでは、被検印影が掠れていたり、薄かったりするた
めに判定が困難なデータを棄却処理する。棄却された印
影は再度押印してもらうなどの処理を施す事ができる。
情報量が少ないために誤った判定をすることを未然に防
ぐ役割をする。棄却処理をしない環境においては、本機
構は設けない。
【0071】まず登録印鑑から朱肉画素(黒)の数C
を求めておく。これが標準の朱肉画素数となる。被検画
像から、朱肉画素(黒)の数Cをカウントする。そし
て登録印鑑から求めた標準的な朱肉画素数Cによっ
て、被検画像の朱肉画素数Cを割った値C/C
求める。この比の値がある一定値より小さい場合には棄
却と判定する。例えば朱肉面積が標準の6割に満たない
被検印影を棄却したい場合は、
【0072】 C/C<0.6 (8)
【0073】の場合を棄却と判定すれば良い。以上の手
続きは被検印影と登録印鑑を位置合わせする前に行う。
全体の黒画素の数を比較するのだから位置合わせしなく
てもできる操作である。
【0074】N.初期値設定機構 これからが位置合わせということになる。三次元登録し
た登録印鑑と、紙に押した被検印影を位置合わせする。
位置合わせには原理的には2点を合致させる、一点と方
位を一致させる、ということによってなされうる。2点
を合致させるといても予め2点が定まっていないといけ
ない。印鑑の場合は円形のものが多く2点を定めるのが
難しい。印鑑であるから自明の特徴点といえば中心点ぐ
らいしかない。そこで中心点を合わせ、中心点周りの方
位を合わせることにする。パラメータはだから中心点と
方位角である。一挙にこれらの値が決まれば良いがそう
も行かない。漸近的に決めることにする。初めに中心
点、方位の概略の値を与える。これを初期値とよぶ。
【0075】初期値設定機構は、本発明の照合に必要な
パラメータ(位置、回転角)を探索するための初期値の
設定を行う。この初期値設定によって照合に適切なパラ
メータ値を大局的に絞り込んでいる。
【0076】[位置の初期値設定]印影の位置ずれは、
登録印影の中心と被検印影の中心のずれに等しいと考え
られる。従って、被検印影の中心座標w(x,y
を求めこれを位置パラメータとする。だから「位置」と
いうのは中心点位置と云う意味であり一般的な相対位置
ではない。印鑑の中心だから朱肉部分の重心とは異な
る。印鑑の枠によって決まる円、楕円、矩形の中心であ
る。印鑑枠は円が多いが矩形もある。正多角形もある。
いずれにしても2回対称性、鏡影対称性はある。
【0077】位置パラメータの初期値は、被検印影に長
方形、平行四辺形などの四角形を外接させその外接四角
形の対角線交点として決める。対角線交点を印影枠体の
中心、つまり位置パラメータの初期値として設定する。
図4(a)にこれをしめす。円形枠の中に縦に山本とあ
る印鑑が示される。正方形を印鑑に外接させている。正
方形の対角線の交点が中心である。
【0078】外接四角形といってもどのような形状でも
良いということではない。長方形或いは平行四辺形でな
ければならない。方位が分からない段階であるから台形
のような非対称なものは使えない。円形枠の場合は正方
形で外接できる。楕円枠の場合は正方形だと2点でしか
接触しない。楕円は長方形によって外接できる。矩形枠
(長方形)の場合も長方形によって外接し中心点を決め
ることができる。枠がもっと複雑である場合たとえば正
多角形であっても長方形で中心を決める事ができる。
【0079】しかしながら、印影の一部が欠けていた
り、ノイズが生じている場合は、四角形が印鑑の正規の
外枠上に外接しないことも生じ得る。図4(b)にこれ
を示す。左側枠が欠けている。縦長長方形が外接してい
るが、対角線交点は中心点より右にずれる。このような
場合も考慮して、角度が45度異なる外接四角形につい
ても対角線交点として中心座標を求める。図4(c)に
しめす。求められた二つの中心座標がε以上離れていた
ら、初期値を二つ設定して、以後のパラメータ探索を平
行に行う。εは適当な定数である。図4(b)、図4
(c)の対角線交点がε以下の差異しかない場合は、何
れか一方を位置の初期値とする。のちに最適値を決める
ので初期値は任意性があっても構わない。
【0080】以上は被検印影の中心位置の初期値設定で
ある。登録印鑑は初めに中心座標を一回求めておけば良
いのである。中心座標は既知である。
【0081】[回転角の初期値設定]次に、回転角パラ
メータの初期値を設定する。これは登録印鑑と被検印影
の角度合わせ(方位を揃える)を行うものである。登録
印鑑も被検印影も酷似しておりこれを比較するのである
から方位を合わせるのは極めて重要である。被検印影と
登録印影の回転合わせの研究は精力的に行われてきてお
り有効な結果が得られている。その結果を利用すること
ができる。例えば、信学論(D),vol.J67−
D,No.1,pp133−140,Jan.1984
を用いた場合を説明する。
【0082】まずz* (x,y)の表面部分を二値化
する。二値化の方法としては、(I.標準印影特徴抽出
機構)と同様にクラスタリングの問題として行えば良
い。つぎに二値化された標準印影の周辺密度を算出す
る。周辺密度は、印影を原点周りにN等分し、各扇状の
領域に存在する朱肉部分の画素数をカウントすることに
よって算出される。図5にこれを示す。X軸からn=
0、1、…というようにN個の扇形領域に分割する。朱
肉部分の画素だけを数えそれを周辺密度とする。n=0
では山本の楕円枠の右斜め上の一部と山の字の右下隅の
折れ曲がり部分が朱肉画素である。打点の数が画素数で
ある。白地(背景:谷面)は数えない。算出された標準
登録印影の周辺密度を{fr(n)}n=0 N−1とす
る。rは登録印鑑の意味である。nはN等分された扇型
に付けた番号である(n=0,…,N−1)。fr
(n)は登録印鑑のn番目の扇型に存在する山面の画素
数である。端的に画素数であって、中心からの距離は考
慮しない。中心近くの点でも遠くの点でも1点である。
登録印鑑についてはすでに中心座標が決まっておりNが
一定値であればfr(n)は決まっている。Nは全円周
を刻む数である。以下は円形であって対称性が高いので
かなり細かく刻まないと相関関数に差異が現れない。そ
れでN=180とか360とか、かなり大きい数にす
る。これは計算量を押し上げるがやむを得ない。
【0083】被検印影についても同様にある中心の周り
に印影をN個の扇形に分割し扇形に含まれる朱肉画素数
fb(n)を計数する。bは被検印影を表現するサフィ
ックスである。n=0の扇形は何処でも良い。但し、被
検印影と登録印鑑は鏡面対称になるから、nの取り方は
反対回りになる。登録印鑑の扇形画素数fr(n)が右
回りであれば、被検印影の扇形画素数fb(n)の番号
の取り方は左回りとなる。被検印影の扇形画素数fb
(n)は中心座標が決まって初めて数えることができ
る。つまり中心位置の関数である。被検印影中心(位置
パラメータ)は様々に変わるのでfb(n)もそれと等
しい回数だけ変化する。つまりNが決まってもfb
(n)は決まらない。登録印鑑の場合とこの点でも違
う。被検印影の周辺密度を{fb(n)}n=0 N−1
とする。登録印鑑の周辺密度fr(n)とそれよりk番
ずれた被検印影の周辺密度fb(n+k)の積の総和を
相互相関関数R(k)という。相互相関関数をここで計
算する。
【0084】
【数2】
【0085】k番ずれた周辺密度の積の総和を計算する
が、n+kがN−1を越えると、fb(n+k)のn+
kは、n+k−Nと読みかえる。それがmodNの意味
である。すべてのk(=0,…,N−1)に対して相互
相関関数R(k)を計算する。R(k)が最大となるk
=kは、被検印影と登録印鑑の回転方位のズレに等し
いはずである。そこでk=kを回転角の初期値と決定
する。合致させるためどちらを廻しても良いのである
が、登録印鑑は初めから一つ決まっており中心、方位と
もに確定しているから、登録印鑑を基準にして固定し、
被検印影を廻す。回転角度は2πk/Nである。これ
だけ被検印影を回転すると、登録印鑑と被検印影の方位
が合致する。中心が合致し方位が合致するので、これで
一対一の比較ができる。
【0086】R(k)最大となるkがどうして被検印影
と登録印鑑の方位のズレを与えるのか?ということを述
べる。もしも(n+k)番の被検印影扇形領域が、n番
登録印鑑扇形領域と同一であれば、そこでの朱肉画素数
(山面画素数)は等しいはずである。つまりfr(n)
=fb(n+k)のはずである。これはnが0〜(N−
1)の全てについて成り立つことである。幾つもの数が
あってそれらの積の和を計算するとき最大になるのは同
じ数どうしを掛けたときである。2変数で簡単に説明す
ると、a+b≧2abのような不等式が成り立つ。
N個の変数があってもこれは同じ事である。Σa
Σa(k≠j)のような不等式は常に成り立つ。
等号がなりたつのは、全ての値が等しい時である。だか
ら相互相関関数R(k)を最大にするkは登録印鑑と被
検印影の回転方向のズレを表し、扇型領域k個分被検印
影を廻せば登録印鑑と同じ方位になるはずなのである。
【0087】それは正しいが、印鑑はそもそも中心対称
性が高いものである。扇形領域(k=0〜N−1)内の
朱肉画素数もほぼ似たようなものであまり変わらない。
とすると、相互相関関数にはあまり差がなく誤って方位
を決めることも有り得る。Nが小さいと差がでてこな
い。それでN=360というように刻みの数を大きく取
らざるを得ないということになる。これが計算時間を長
くする。回転方向の相互相関関数の定義自体は簡単であ
り回転角を求めるためには自然な発想である。
【0088】「山下」のような印影は周辺密度がほぼ点
対称であるため回転角が180度異なって算出され得
る。そこでR(k)の極大値の中から大きな順に二つ取
りだし、それらの回転角k,kを初期値として以後
のパラメータ探索を並列に行う。
【0089】O.最適位置・回転角決定機構 本機構は、最適位置、最適回転角のパラメータを決定し
ながら照合に用いる判定値を算出するものである。本発
明の中心部がここにある。それだけに分かりにくい。被
検印影の中心位置(位置パラメータ)と回転角(k
が前段階までの処理によって決まった。しかしこれは仮
のものであって、繰り返し計算を重ねて漸近的に最適の
位置、回転角に近づいて行くようにする。
【0090】中心と方位が仮に決まったから、登録印鑑
に被検印影を重ねる事ができる。つまり印鑑に、印影を
押した紙を接近させどこか一点で接触させる。これを図
6に示す。接触させるといっても登録印鑑も被検印影も
データになっているから実際に接触させるのでない。計
算によって接触させる。そして被検印影の朱肉画素P
と、これに(x,y)を同じくする登録印鑑面との距離
を求める。理想的には被検印影の朱肉画素Pのあるとこ
ろには登録印鑑の山面αがある。理想的には傾きなく接
触すると、Pαは重なるから距離は0である。全ての被
検印影の朱肉画素Pについて対応登録印鑑の点の距離を
求めこれの総和を計算する。距離の総和をSとする。正
印の場合傾きがなく滲みもないと、被検印影の朱肉画素
Pは必ず登録印鑑山面に接触するから至るところで距離
は0であり総和も0である。
【0091】被検印影の朱肉画素Pに、登録印鑑の谷面
が対応すると、この点で和Sは1だけ増える。被検印影
の画素が、登録印鑑の谷、崖面に対応するとSがそれだ
け増える。また登録印鑑に傾きがあると、被検印影画素
Pが登録印鑑の山面αに対応していても、傾斜による隙
間分だけSが増える。登録印鑑の山面に被検印影の白地
が対応するという場合はSは増えない。被検印影の白地
部分では距離を測らず距離に加算しないからである。こ
れも被検印影から登録印鑑をみているからである。被検
印影のすべての朱肉画素と登録印鑑の距離Sを朱肉画素
の数Qで割った値が評価尺度Dである。
【0092】被検印影の中心画素(位置パラメータ)
と、回転角が決まれば距離の総和Sと、評価尺度Dが直
ちに計算できる。しかし被検印影の中心と回転角が最適
とは限らない。初期値が先ほど決まったので、位置パラ
メータ(中心)の初期値の8近傍に中心(位置パラメー
タ)を移し、その点を中心として、先ほどの相互相関関
数をN個計算し最大値を与えるkから、回転角を決め
てさらに被検印影と登録印鑑の各画素の距離Sを求め
る。そして評価尺度Dを求める。このように初期値から
8近傍に中心を移して同じ事を行い、それぞれの点で回
転角を決め、SとDを求める。
【0093】ここで評価尺度Dは次のようにして求め
る。まず被検印影の全画素を、ひとつずつ評価する。総
和Sは初期値は0である。被検印影のある画素が朱肉部
分である(朱肉画素)場合には、その画素の座標w
(x,y)における被検印影と登録印鑑の距離データz
(x,y)を距離の総和Sに加える。この評価を被検
印影の全画素に対して行い、朱肉部分と、登録印影との
距離の総和Sを求める。図6にこれをしめす。被検印影
はどこかで登録印鑑に接触しそこでは距離は0である。
傾きがなければ被検印影平面と登録印鑑山面は同一平面
である。しかし傾きがあるので必ずしもそうでない。す
べての朱肉画素について距離をSに加えて総和をもとめ
る。各画素の平均距離を求めるために、被検印影の朱肉
部分の全画素数をQとして、距離の総和SをQで割って
【0094】D=S/Q (10)
【0095】を求める。Dを評価尺度とする。正印で押
された印影に対してDの値は低くなり、類似印で押され
た印影に対しては、Dの値は大きくなる。だからDは相
違度ということができる。
【0096】また「木」と「本」といった類似文字な
ど、ある特定の場所のパターンに着目して照合したいこ
とも有り得る。そのような場合には、座標によって、距
離Sに適宜重みを付けて相違度を求める。
【0097】[手順1]位置パラメータ値の8近傍(位
置パラメータも含めて9箇所)を評価する。9つの評価
尺度が得られる。その最小値をDminとする。最小の評
価値Dm inからDmin+Tまでの範囲内に、Dの値が含ま
れない位置パラメータを全て切り捨てる。つまりDmin
+Tを越えるDを与えるものを捨てる。これらは中心と
して不適当なのである。残った位置パラメータについて
つぎの手順に移る。ここでTは閾値である。
【0098】[手順2]回転パラメータの前後(合計3
角度)を手順1で検出されたすべての位置パラメータに
ついて評価を行い、最小の評価値Dminから、Dmin+T
までの範囲内に、Dの値が含まれていない回転角パラメ
ータとそのときの位置パラメータの組を切り捨てる。手
順1では中心、回転角を決めてDが、DminからTの範
囲にあるものを選んでいるから、その回転角にたいして
minからTの範囲にあるのは明白である。しかし最適
回転角kの前後角k±1についてもDを求めてお
り、Dの個数は3倍に増えている。回転角k±1は相
互相関関数を最大にしないが位置合わせ角としてはより
適しているという事も有り得る。それで回転角に関して
は±1だけ範囲を広げている。
【0099】[手順3][手順2]で残ったパラメータ
のうち、最小評価値Dnewminと、前反復時の最小評価値
oldminを比較する。最小評価値が改善されていれば、
Tを1/10にして[手順1]に戻る。改善されていな
ければ、最適な位置および回転角が決定できたとしてパ
ラメータ探索を終了し、そのときのDを判定値とする。
【0100】最小判定値が改善されているということ
は、前回の中心点よりもよりふさわしい中心点が8近傍
に存在したということである。だからそれより更にDを
小さくする点が8近傍に存在するかもしれない。だから
手順1〜2を繰り返す必要がある。このようにDが下が
る方向に8近傍を辿って行く。8近傍を辿るといっても
中心点が変わる毎に、回転角をも計算しなくてはなら
ず、計算量は多い。やがて中心(位置パラメータ)を8
近傍に移してもDが下がらないという点がありうる。こ
こで中心点と回転角を決定する。これが最適位置、回転
パラメータである。そのときのDによって評価する。
【0101】P.判定値記憶装置 判定値記憶装置には、照合結果の判定値Dが格納され
る。
【0102】Q.判定値補正機構 印鑑表面の傾きは、C.傾き補正機構によって補正され
ているが、その際の標本化誤差によっては、十分に補正
されない事があり得る。その場合、相違度全体が印鑑の
種別によって上下してしまう。それに印鑑の山面の一部
を被検印影に接触させるので、傾きが0であっても、山
面に凹凸があると、距離の値にオフセットが含まれる。
そのため一定の閾値で比較しても正印か偽印かの判定が
困難となる。そこで本機構では登録印影の距離値の分布
に依存した値を用いて判定値の補正を行う。正確に傾き
なく印鑑表面が計測或いは補正されていればこの機構は
必要ない。
【0103】登録印影の距離値の分布は、一般に印鑑の
表面(山面)と底面(谷面)の2つのカテゴリーにわけ
られる。そこで、これらを2つのカテゴリーにクラスタ
リングした後に、表面のカテゴリーに属する点(山面)
の距離の平均値Mを求める。この値が0でない場合、登
録印鑑の一部が被検印影から離れているという事であ
る。登録印鑑の山面に凹凸があるとしても山面の高さの
平均を0とすることによって、被検印影対応点が谷面崖
面に当たる場合だけ、相違度Dが増えるというようにで
きる。この値を用いて補正された相違度D*
【0104】D=S/Q−M
【0105】と表す。なお、クラスタリングの手法は、
二値化のときと同様に従来提案されている方法を用いれ
ば良い。
【0106】R.照合結果判定機構 本機構では、判定値をもとに照合結果を算出する。照合
結果は、判定値D*が照合閾値より小さい場合に正印、
大きい場合に偽印と判定する。閾値は、本発明者の実験
では0.046程度が適当である。
【0107】
【実施例】本発明の装置を用いた実施例を述べる。装置
のCPUとして、SUN Sparc Station
20を用いた。印鑑のデータとして、「山本」、「吉
永」、「中井」、「正木」、「吉川」の5種類の登録印
鑑を準備した。これら5本の印鑑を、登録画像計測装置
によって、印鑑1個当たり、256×256点の画像デ
ータとして計測した。すなわち計測精度は、X、Y方向
の標本化間隔が0.05mm、Z方向の距離精度が0.
005mmである。
【0108】被検印影は、被検印影計測装置であるイメ
ージスキャナ(NikonAX−1200)を用いて計
測される。スキャナは256×256点の二値データと
して計測する。登録印鑑で押印された被検印影パターン
の例を図7に示す。一つの3次元登録印影について20
0種類の被検印影パターン(正印100種類、類似印1
00種類)と照合を行った。5種類の登録印影で合計1
000パターンの照合を行っている。
【0109】1000種類の照合の結果を表1にまとめ
る。公知の方法との性能を比較するため、二次元登録印
影を用いた方法、および三次元登録印影であるが、照合
方法として信学論(D−II)、vol.J80−D−
II,No.1、pp148−155,Jan.(19
97)の方法を用いた場合についても同じ被検印影を用
いて実験を行った。実験の結果、提案手法によって照合
精度が改善されている事が示された。例えば図8のよう
な欠損の激しい被検印影についても本発明の装置は正し
く照合することができた。
【0110】
【表1】
【0111】1000回の照合のうち、8回の誤照合が
確認された。誤照合を起こした印影を図9にすべて示
す。この8回の誤照合はすべて正印で押された被検印影
を類似印(偽物の印影)と判定してしまったものであ
る。これは被検印影の朱肉部分が掠れているために、十
分な情報が得られなかったためである。これらは目視に
よっても判定が困難なものであり、仕方がないサンプル
であった。このような場合どちらかに判定するというよ
り、再度押印を求めるよう棄却処理をする。60%未満
の被検印影パターンについて棄却判定を行うように設定
すると、これらは棄却でき、誤照合を0%とすることが
可能となる。また、類似印で押印された被検印影を正印
(本物の印影)であると誤認することは一度もないこと
が確認できた。セキュリティの面からの安全性が確認で
きた。
【0112】また、本発明において、1照合あたりの平
均計算時間は、約20秒程であった。例えば信学論(D
−II)、vol.J80−D−II,No.1、pp
148−155,Jan.(1997)では、同性能の
CPU装置を用いて1照合当たり約1時間であったの
で、その優れた効果が確かめられる。このように短時間
で精度のよい照合を行えるのは大層画期的なことであ
る。そのような優れた成果をあげることができるのは本
発明だけである。
【0113】
【発明の効果】本発明は以上説明したような形態で実施
され、以下に記載されるような効果を奏する。照合にお
いて、朱肉部分のみ評価するので、通常の重ね合わせ評
価において生ずるような朱肉部分のランダムなゴマ塩状
態のパターンによる類似度低下の問題が生じない。
【0114】距離画像として登録印影の構造を保存して
おり、その構造とマッチングを行うため、印影パターン
の変化を吸収する事ができ、正しい評価を行う事ができ
る。著しく掠れた印影の場合は、十分に評価ができず、
正印を偽印と誤照合する可能性があるが、朱肉部分の占
める割合から棄却判定を行う事ができ、ユーザーに再押
印を求める事によって解決できる。
【0115】また偽印が正印と判定されるためには、正
印のストロークと一致しさらに、一定以上の朱肉面積が
必要である。このような印鑑は、目視によっても同一と
判定されるものである。従って、本装置では目視によっ
て偽印と判定されるものが正印と判定される事はない。
1画素ずつ評価しているのでむしろ目視より厳密に評価
することができる。処理の多くは、位置と回転角合わせ
に要するが、処理時間は約20秒程度であり実用的なレ
ベルである。以上によって、目視に代わる自動印鑑照合
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の三次元印鑑登録・照合装置の構成要素
の概略構成図。
【図2】三次元で印鑑登録するということを表すための
印鑑の斜視図。
【図3】三次元印鑑登録をして、山面は0に谷面の最も
深いところを1に正規化することを説明するための縦断
面図。
【図4】長方形を被検印影に外接させて被検印影の中心
を求め位置パラメータ初期値とすることを説明するため
の図。図4(a)は「山本」の丸印の輪郭線に正方形が
外接して対角線交点によって中心が決まることを示す。
図4(b)は丸印の輪郭線の一部が欠けており外接長方
形の対角線交点が中心でない場合を示す。図4(c)は
45度傾けた長方形を丸印に外接させ対角線交点により
中心を求めることを示す。
【図5】中心を通るN本の半直線によって被検印影をN
個の扇形領域に分割し、扇形領域に属する朱肉画素数を
計数し相互相関関数を計算することを説明するための扇
形分割の図。
【図6】登録印鑑と被検印影を中心と回転角を合わせ一
部で接触するように対応させ被検印影の全部の画素と対
応する登録印鑑点との距離の合計を求めることを説明す
るための断面図。
【図7】山本、吉永、中井、正木、吉川の印鑑を使って
実験を行った実施例において5つの正印と、5つの偽印
を準備し、それぞれ2つづつの被検印影を押した印影の
図。
【図8】山本、吉永、正木の正印を使いつつ、かすれの
多い印影と、山本、吉永、中井正木の偽印で押されたか
すれの多い印影。
【図9】正印であるのに偽印と誤認した場合の被検印影
の図。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 印鑑登録装置と、印鑑照合装置よりな
    り、印鑑登録装置は、 印鑑の凹凸形状を三次元計測し装置に定義した三次元座
    標において面方向の座標x,yごとに距離z(x,
    y)をもとめ、距離画像として計測する登録画像計測装
    置と、 各座標点(x,y)の距離データz(x,y)を格納
    する登録画像記憶装置と、 登録印鑑の山面を0に谷面の最も深い点を1にして距離
    (x,y)を正規化する距離正規化機構と、 正規化後の距離データz(x,y)を格納する正規化
    画像記憶装置と、を含み、印鑑照合装置は、 被検印影を光学的に読み取り二値画像として計測する被
    検画像計測装置と、 被検印影の各座標点の二値データw(x,y)が格納さ
    れる被検画像記憶装置と、 被検印影の中心座標を求め、中心座標を合わせて被検印
    影と登録印鑑印影の回転角を合わせる初期値設定機構
    と、 中心位置と回転角を合わせ登録印鑑と被検印影を一部で
    接触させ被検印影の朱肉画素で被検印影と登録印鑑の距
    離を求めその総和Sを朱肉部分の全画素数Qで割った判
    定値Dを算出し中心位置の近傍画素について中心位置を
    移してこれについて回転角を求めさらに中心位置と回転
    角を合わせ登録印鑑と被検印影を一部で接触させ被検印
    影の朱肉画素で被検印影と登録印鑑の距離を求めその総
    和Sを朱肉部分の全画素数Qで割った判定値Dを算出す
    る動作を繰り返し近傍画素での最小の判定値Dmin
    求める最適位置・回転角決定機構とその時の最小判定値
    minを格納する判定値記憶装置と、 判定値がある閾値より小さい場合は正印と判定し、閾値
    より大きい場合は偽印と判定する照合結果判定機構とを
    含む事を特徴とする三次元印鑑登録・照合装置。
  2. 【請求項2】正規化画像記憶装置に続いて、 山面の輪郭を1画素分あるいは2画素分太らせ、太らせ
    たAとの距離データをz (x,y)とする形状膨
    張機構と、形状膨張後の距離データz (x,y)
    を格納する膨張画像記憶装置とをもうけ、登録印鑑の山
    面の輪郭を太らせて登録することを特徴とする請求項1
    に記載の三次元印鑑登録・照合装置。
  3. 【請求項3】印鑑登録装置に膨張画像記憶装置に続い
    て、 登録印鑑の距離データを二値化し山面の画素数Cを計
    数する標準印影特徴抽出機構と、標準印影特徴となる画
    素数Cを格納する標準印影特徴記憶装置とを設け、印
    鑑照合装置には、被検印影の朱肉画素の画素数Cを計
    数しこれを登録印鑑の山面の画素数Cで割った値C
    /Cを計算し、この値が0〜1のある定数より小さい
    とき被検印影を棄却する棄却判定機構を設けた事を特徴
    とする請求項1または2に記載の三次元印鑑登録・照合
    装置。
  4. 【請求項4】印鑑照合装置の判定値記憶装置に続いて、 登録印鑑の山面の距離の平均値Mを求め判定値DからM
    を差し引いて補正判定値を求める判定値補正機構を設け
    たことを特徴とする請求項1、2または3に記載の三次
    元印鑑登録・照合装置。
  5. 【請求項5】登録画像記憶装置に続いて、 xyz空間の距離データをθφρの極座標空間に投票し
    ピーク値から登録印鑑の山面の平面方程式z(x,
    y)を求め、平面方程式z(x,y)から傾きを含む
    距離データzを差し引いたz(x,y)を求め登録
    印鑑の傾きを0にする傾き補正機構と、傾き補正後の距
    離データz(x,y)を格納する補正画像記憶装置と
    をもうけ、登録印鑑の傾きを補正するようにしたことを
    特徴とする請求項1、2、3または4に記載の三次元印
    鑑登録・照合装置。
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