JP2000011966A - 電池缶 - Google Patents

電池缶

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JP2000011966A
JP2000011966A JP10205736A JP20573698A JP2000011966A JP 2000011966 A JP2000011966 A JP 2000011966A JP 10205736 A JP10205736 A JP 10205736A JP 20573698 A JP20573698 A JP 20573698A JP 2000011966 A JP2000011966 A JP 2000011966A
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Japan
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alloy layer
battery
layer
thickness
plating
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Pending
Application number
JP10205736A
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English (en)
Inventor
Nobuo Tsuchiya
展生 土谷
Shozo Ichinose
省三 市之瀬
Kazuhisa Masuda
和久 増田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Seikan Group Holdings Ltd
Original Assignee
Toyo Seikan Kaisha Ltd
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

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  • Sealing Battery Cases Or Jackets (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温保存性と長期保管性に優れ、保管後も良
好な放電特性を有する電池缶を提供する。 【解決手段】 缶内面がSn含有量が0.05〜1.2
g/mであるNiまたはNiとFeを含むSn含有合
金であり、Sn含有合金層の厚みが0.02〜0.45
μmであることを特徴とする高温保管と長期経時耐性に
優れた電池缶である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルカリマンガン
電池、ニッケル−カドミウム電池、リチウム電池等のア
ルカリ電解液を用いな発電要素を内填する電池缶に関す
る。
【0002】
【従来の技術】アルカリ電解液用電池缶としては、一般
にニッケルメッキ鋼板が用いられ、該鋼板より円筒型電
池缶の形成方法としては、特公平7−99686号に記
載されているように、円形に打ち抜いたニッケルメッキ
鋼板からなるブランクを、絞り径が異なる複数のダイス
に移送して円筒状に絞り加工して形成するトランスファ
ー絞り加工による場合と、同軸線上に多段配置されたし
ごき径が異なる複数のダイスに、パンチで加圧して連続
的に通過させて筒に絞りしごき加工して形成するDI
(draw and ironing)絞り加工方法が
用いられている。アルカリマンガン電池に代表されるア
ルカリ電解液を用いた電池は、その缶内面合金層として
はニッケル鍍金あるいはそれを熱処理した層を持つ電池
缶が用いられている。この電池缶、すなわちアルカリ電
解液に接する面がNiあるいはNi−Fe合金である缶
は、経時により作動電圧が小さくなるという欠点があっ
た。また、放電時の電池の有効容量が小さくなるという
欠点もあった。この欠点を解決するために缶体内面側に
Ni鍍金のかわりにNi−Co合金層を使用した方法
(特公平7−70320)が提案されている。但しこの
方法は、Ni−Co合金が成形性が悪く、原板から缶へ
の成形時にNi−Co合金層に割れが入り下地の鋼が露
出するため保管中に赤錆が生じ耐食性に劣るという欠点
があった。また、コバルトは高価であり、経済的にも好
ましくない。
【0003】また、缶内面のNi層による正極合剤との
接触内部抵抗を低減させる目的でNiにSnを合金化さ
せる方法(特開平7−300695、WO95/115
27、特開平7−122246)が提案されている。こ
れらはすずが比較的安価であるため経済的には好まし
く、正極合剤との接触内部抵抗は低減され作動電圧は確
保されるが、高温保管や長期保管をすると放電容量が減
少し、機器稼動に有効な電気量が低下するという欠点が
あった。この欠点は本発明者の研究によると、Snの含
有量と厚みが大きい場合に発生することがわかった。電
池缶の缶壁内面は、正極合剤との密着性を良くし、接触
抵抗を小さくするには、肌荒れが発生し、微小な割れや
凹凸が発生していることが好ましいとされ、缶内面に肌
荒れを発生させるため、鋼板の両面のメッキ層の硬度を
相違させ、電池缶形成時に硬度の高いメッキ層は電池缶
内面に、硬度の低いメッキ層は電池缶外面に用いること
が特開平9−306439号公報で提案された。しかし
ながらこの電池缶は缶内面の肌荒れを生じさせたため
に、肌荒れによる鋼面露出により錆が発生しやすいこと
や、肌荒れを発生させることを目的として鍍金層を硬質
化させるために使用する合金元素により電池の放電性能
が劣化するという欠点があった。また電池缶の鋼板表面
に肌荒れが生じると耐食性が悪くなり、錆が発生するの
で鋼板の結晶粒度を10以上の小さい粒度として、グレ
ン組織を細かくすると、絞り加工して結晶粒Xが細長い
形状の結晶粒X′になった後、絞り加工して結晶X′を
圧縮しても、表面に顕著な凹凸は発生せず、表面のメッ
キ層も追従でき、よって、表面光沢性がよく、かつ耐食
性が優れたものとなることが特開平9−30643号公
報で提案された。しかしながら、この電池缶には結晶粒
が小さくなることにより鋼板強度が上昇し、鋼板から円
筒形缶に成形する場合の成形荷重が増大し、成形が困難
になるという欠点があった。特開平7−300695号
公報にはNi鍍金層の上に耐傷付性を付与するためSn
−Ni鍍金層を設けた電池缶が提案されている。しかし
ながらこの電池缶はSn−Ni合金層の厚みやSn−N
i合金層中のSnの含有量については全く説明されてい
ない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】電池缶には前述のよう
な放電特性が重要である。放電特性には、代表的なもの
として、作動電圧と放電容量がある。作動電圧とは、電
池に電気的には抵抗で代表される機器を接続し、機器が
稼動している時に機器にかかっている電圧のことである
が、機器が正常に稼動するには機器により異なる一定以
上の電圧が必要である。作動電圧は、ある抵抗を直列に
接続したときの、抵抗両端の電圧に相当する。この抵抗
は、使用する機器の種類により異なるが、近年広く使用
されているMDプレーヤー、携帯液晶テレビ、等では
2.5Ω前後の抵抗に相当する。作動電圧は、電池内部
抵抗増大により低下する。電池内部抵抗とは、電池缶と
正極物資の界面の接触抵抗や、電池極剤の消耗(正極物
質と負極物質の消耗)により発生する抵抗を総合した電
池内部の抵抗のことである。測定にあたっては、一定の
抵抗を接続して経時的に測定する。一般に一定時間後の
作動電圧が高いほど、機器は安定的に稼動できるため、
電池性能上は好ましい。
【0005】もう一つの特性は正常に機器が稼動しなく
なるまでに放電できる容量、すなわち“放電容量”であ
る。放電容量は、ある抵抗を直列に接続したときの抵抗
両端の電圧が、電池の使用寿命の終点である0.9Vま
でに、流れた電気量の値である。電池は保管中に、基本
的に自己消耗する性質がある。自己消耗とは、電池を機
器に接続して使用しなくても、保管した場合に電池容量
が低下する現象である。自己消耗する理由は様々である
が、その大きな理由の一つは、一つの容器の内部に正極
物質と負極物質が存在し、両者はセパレータで分離はさ
れているものの、電解液で接続しているため、保管中に
徐々に正極と負極の化学物質が反応し消耗することが挙
げられる。この自己消耗度は高温保管あるいは長期間保
管した場合に程度が大きい。最近では高温保管あるいは
長期保管後も良好な放電特性を有することが要求されて
いる。本発明者らはこのような問題について研究し、こ
の自己消耗に電池の容器も影響していることを解明し
た。高温保管あるいは長期保管した場合でも、作動電圧
が高く、かつ放電容量が高く維持できる電池は、電池用
缶の缶内面に設けたNiまたはNiとFeを含むSn含
有合金層中に含まれるSnの量及びSn含有合金層の厚
みを特別の範囲にすることにより得られることを解明
し、上記の問題が解決されることを明らかにして本発明
を完成した。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、 「1. 缶内面がSn含有量が0.05〜1.2g/m
であるNiまたはNiとFeを含むSn含有合金であ
り、Sn含有合金層の厚みが0.02〜0.45μmで
あることを特徴とする高温保管と長期経時耐性に優れた
電池缶。 2. 缶内面のSn含有合金層のSn含有量が0.05
〜0.5g/mである、1項に記載された電池缶。 3. 缶内面のSn含有合金層のSn濃度が実質的に合
金層の表面から内方に向って低濃度側へ傾斜している、
1項または2項に記載された電池缶。 4. 缶内面のSn含有合金層において、外層がSn−
Ni合金層であり、内層がSn−Ni−Fe合金層の2
層構造である、3項に記載された電池缶。」に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明においては、電池缶内面は
NiまたはNiとFeを含むSn含有合金層であり、該
Sn含有合金層のSn含有量は0.05〜0.5g/m
でなければならない。Sn合金の相手の元素として
は、NiあるいはFeが主体であることが必要である。
その理由は、両元素のいずれか一方あるいは両方とSn
からなる合金が、電解液である高アルカリ性液に対する
耐食性が、上記の範囲で良好であることである。またF
eは鋼の主元素であり、鋼は容器強度を維持するために
広く用いられている。まなNiは従来から高アルカリ電
解液用の電池缶材として広く用いられてきている鍍金用
元素である。Snの含有量が0.05g/m未満で
は、経時によりニッケル表面がアルカリ電解液と化学反
応をおこし、表面に化学的に不活性な不働態皮膜を形成
する。この皮膜は電気伝導性に劣るため電池を放電した
とき、電気抵抗が増大し作動電圧が小さくなり好ましく
ない。作動電圧が低下するため、機器を正常に稼動する
のに必要な作動電圧を維持できる時間が短くなり、実質
的に電池の有効容量が小さくなり、電池の放電能力特性
としては好ましくない。
【0008】またSnの含有量が1.2g/mを超え
ると、合金層から電解液へのSn溶解量が多くなり、こ
のSn溶解の対反応でMnO等の正極剤が還元されて
しまうため、電池容量が低下し、好ましくない。この現
象は特に高温で保管した場合や長時間保管した場合に著
しい。缶内面のSn含有量はこの範囲のなかでも、作動
電圧が高くかつ電池容量が低下しない、特に好ましい範
囲は、Sn含有量が0.05〜0.5g/mである。
また、缶内面のsn含有合金層のSn含有量が0.05
〜1.2g/mであっても、Sn含有合金層の厚みが
0.02〜0.45μmでなければならない。Sn含有
合金層厚さが0.02μm未満では、缶側壁表面へのS
nの濃縮が大きすぎ、Sn溶解速度が早く、経時後電池
容量低下が速く進むため好ましくなく、また0.45μ
mを越えると表面Sn濃度が小さく経時後の作動電圧低
下が起こり好ましくない。また、缶内面のSn含有合金
層は、Sn−Ni層のみでもよく、Sn含有合金層の下
にNi単層があってもよい。Sn含有合金層がSn−N
i合金層とSn−Ni−Fe合金層の2層になっている
場合は、単独のNi層がなく、合金層組織が比較的均一
になるため比較的均質な成形となり合金層の欠陥が起こ
りにくく、好ましい。
【0009】本発明においては、鋼板の少なくとも一面
にNi鍍金を施し、その上にSn鍍金を施し、次いで熱
処理してSnをNi層中に拡散してSn含有合金層を形
成した鋼板を使用する。このときSnが完全にNiの中
に拡散し合金化するためには,Ni鍍金の量はSn鍍金
の量の約1.5倍以上が必要である。本発明に用いる電
池用鋼板は一般に缶材に用いられる鋼板に、一般的なN
i鍍金浴でNi鍍金し、その上に一般的に用いられるS
n鍍金浴にてSn鍍金し、450〜650℃で5〜15
時間加熱処理することにより得ることができる。すなわ
ち、鋼板としては、炭素が0.005〜0.15%の低
炭素鋼であり、テンパーがT1〜T5、またDR6〜D
R9材等が使われる。焼鈍方法としては連続焼鈍法、バ
ッチ焼鈍法を使用することができる。Ni鍍金浴は、ワ
ット浴・スルファミン酸浴・塩化物浴を使用することが
できる。Sn鍍金はフェロスタン浴、ハロゲン浴、アル
カリ浴等を使用することができる。この鋼板の缶内面側
となるSn含有合金層は、Sn合金層中のSnの含有量
が0.05〜1.2g/mであり、Snは実質的に合
金層の表面から内方に向って拡散しており、Sn含有合
金層の厚みが0.02〜0.9μmであることを特徴と
している。このとき、Sn含有合金層は、Sn−Ni層
のみでもよいし、Sn−Ni合金層の下にNi単層があ
ってもよい。Sn含有合金層が0.9μm以下の厚みの
Sn−Ni合金層と0.9μm以下の厚みのSn−Ni
−Fe合金層の2層になっている場合に、単独のNi層
がなく合金層組織が比較的均一になるため、比較的均質
な成形となり合金層の欠陥が起こりにくく、好ましい。
また、鍍金後の熱拡散処理で、鋼板とNi層の間にNi
−Feの合金層を設けることは、鋼とNi層あるいはS
n−Niを含んだ合金層との密着性が向上するため好ま
しいが、さらに密着性を安定させる点でNi−Feの合
金層厚さを0.5〜5.0μmにすることが好ましい。
【0010】この鋼板をSn含有合金層側を内面として
成形して円筒形電池缶を作成する。このときの成形方法
は特に限定されるものではないが、絞り加工、絞りしご
き加工、しごき加工、引き伸し絞り加工,あるいはそれ
らの組み合わせを適用することが可能である。電池缶は
原板を成形して作成するが、成形方法により缶側壁は原
板厚さより薄くすることができる。この場合次式で表わ
されるリダクション率が異なる。 リダクション率=((原板板厚−缶体側壁板厚)×10
0)/原板板厚 このリダクション率は、単なる絞り加工では0%であ
り、引き伸し絞り加工や絞りしごき加工では、50%程
度まで可能である。原板の板厚及び鍍金厚みはこのリダ
クション率に比例して薄くなる。缶体側壁の合金層厚み
を適正範囲に作成するためには原板の合金層厚みをリダ
クションにあわせて設定することが必要である。缶内面
側となるSn含有合金層が上記範囲に入っていると、原
板から缶への成形においてSn含有合金層が滑り変形を
おこすため、Sn含有合金層にクラックが入らず、鋼面
が露出しないため、高温あるいは長期間保管しても赤錆
等に対する耐食性が良好であり、好ましい。また本発明
の電池缶は、アルカリ電解液を用いた電池缶全般に適用
できる。そのサイズは、LR6、LR20、LR14、
LR1,LR44等で使用することができる。但しサイ
ズに限定されるものではない。
【0011】次に本発明の実施の形態を図面により説明
する。図1は本発明の電池缶缶壁の断面図である。1は
電池缶の缶壁の鋼板であって、内面側の4はNi−Sn
合金層である。5は4より内部に形成されたSn−Ni
−Fe合金層であって、鋼板表面に鍍金されたNi層と
その上に鍍金されたSnが鋼板中に拡散して鉄と合金を
形成した層である。このときSn−Ni合金層の下にS
n−Ni−Fe合金層がなくNi単層があっても差し支
えない。6は鋼板に接触して鍍金されたNiが鋼板中に
拡散して鉄と合金を形成した層である。3は鋼板の外面
側であり、必ずしも内面側と同一の鍍金層を形成する必
要はないが、この例では内面側と同じ鍍金層が形成され
ている。最外層7は光沢を有するNi−Co合金鍍金層
である。7のNi−Co合金層の厚みは0.5μm〜
6.0μmであり、4のNi−Sn合金層と5のSn−
Ni−Fe合金層を合せた厚みは0.02μm〜0.4
5μmであり、6のNi−Fe合金層の厚みは0.5μ
〜5.0μである。
【0012】図2は本発明の電池缶を製造する鍍金した
原材料を示す。9は鋼板1表面に鍍金したNi層であ
る。8はNi層の上に鍍金したSn層である。同一の鍍
金層が内面側2と外面側3に設けられている。このSn
とNiと鍍金した鋼板を熱拡散処理すると、Ni−Sn
合金鍍金鋼板が得られる。このNi−Sn合金層鋼板の
外面側に光沢Ni−Co合金鍍金を行うと光沢層を有す
る鋼板となる。
【0013】次に、図3〜図10により本発明の電池缶
の製造方法の1例を説明する。図3は本発明のNi−S
n合金層を設けた鋼板を絞り加工したカップを示す。元
板厚0.25mmの材料を用いた場合は板厚tは0.
25mmである。図4と5は順次絞り加工した缶を示
す。カップが縮径し、深さが大きくなることがわかる。
図6はしごき再絞りした缶を示し、側壁厚みはt
0.25mmであれば例えばt=0.22mmと少し
薄くなる。再絞り工程は3回に限られるものではない。
また図6ではフランジ部を残しているが全部絞り込んで
もよい。図7は図6の缶の開口部を残して、直径d
厚みtの小径円筒部を成形した状態を示し、しごき再
絞りにより形成される。t=0.22mmの時、例え
ばt=0.16mmで薄くなる。図8はピップ部を成
形した場合の状態を示しているが、ピップが必要なけれ
ば省略してもよい。図9は、図7で残された部分のうち
開口端側をしごき再絞りすることで直径d、厚みt
の大径円筒部が形成され、中間のテーパ筒部は厚みt
が維持される。この例ではtは0.20mmである。
図10はトリミングされた状態を示す。この後、図は示
さないが成形用潤滑剤を除去するために洗浄される。
【0014】図11は缶内面の各元素のスパッタリング
時間に対する強度曲線である。Feの始点、Sn終点、
Niの終点が示されている。図12は電池の放電曲線で
ある。放電により作動電圧が低下することがわかる。図
13は作動電圧を示す棒グラフである。各実施例は作動
電圧が高いが比較例はほとんどが低い。図14は放電電
気量を示す棒グラフである。各実施例は放電電気量が大
きいが比較例は小さい。
【0015】
【実施例】実施例1 厚さ0.25mm、テンパーT1、BA焼鈍の低炭素鋼
板を用いて、両面にワット浴を用いた電解鍍金で8.9
g/mのNi鍍金層を形成し、この上にフェロスタン
浴を用いた電解鍍金で両面に1.5g/mのSn鍍金
層を形成し、500℃で6時間のバッチ熱処理をした。
この鍍金鋼板を、ブランク径53mmにブランキング
し、カップに絞り加工しさらに再絞りをかねた引き伸し
絞り加工を3回行い、このカップにしごき加工を行い、
最終的にカップ外径13.8mmで側壁厚みが0.20
mmのカップにした。このときの側壁は20%のリダク
ションである。このカップにピップ部を成形し、開口端
部側をしごき再絞りで大径円筒部を形成し、高さ50.
0mmにトリミングし、その後洗浄・乾燥してLR6電
池用の缶を作成した。この缶の側壁内面のSn合金層の
Sn含有量は1.2g/m、Ni含有量は7g/m
であり、Sn−Ni合金層厚みは0.34μmであり、
Sn−Ni−Fe合金層厚みは0.11μmであり、N
i−Fe合金層厚みは1.2μmであった。Sn及びN
i含有量の測定は、缶側壁を切り出し内面をテープで被
覆し、外面鍍金層を酸で溶解した後、内面テープを剥が
し、一定面積試験片に切り出し内面側鍍金層を完全に酸
に溶解し、原子吸光分光分析でSn量・Ni量を測定
し、各金属の含有量を算出した。Sn−Ni合金層厚み
・Sn−Ni−Fe合金層厚み・Ni−Fe合金層厚み
の測定は、缶側壁内表面からグロー放電分光分析法(以
下GDSと略)でSn、Ni、Feについて表面からの
深さ方向の存在分布を測定し、各合金層の厚みを求め
た。スパッタリング時間に対する各元素の強度曲線を図
11に示す。図の矢印のように合金層の厚みを測定し
た。このとき各合金層厚さは各元素の強度曲線の接点の
交点で決定した。すなわちSn−Ni合金層厚さは、表
面から下層のFeがでるまでの厚みであり、Sn−Ni
−Fe合金層厚みは、Feが出現するところからSnが
なくなるところまでの厚みであり、Ni−Fe合金層厚
みはSnがなくなるところからNiがなくなるところま
での厚みである。また、Sn含有合金層厚みという場合
は、表面からSnがなくなるところまでの厚みのことで
ある。なお、本実施例ではないがSn−Ni−Fe合金
層が存在しない場合は、Sn−Ni合金層厚みは、表面
からSnがなくなるところまでの厚みであり、Ni−F
e合金層厚みは、Feが出現するところからNiがなく
なるところまでの厚みである。スパッタリングの速度
は、既知鍍金厚みのNi鍍金鋼板を用いて決定した。こ
のようにして測定したところSn−Ni合金層は0.3
4μ、Sn−Ni−Fe合金層は0.11μm、Sn合
金層の合計は0.45μmの厚みであった。この缶の内
面全体に通常の方法で、黒鉛粉を含んだ塩化ビニル樹脂
をスプレー塗装し、焼き付けを行い、黒鉛含有量50%
の樹脂皮膜を形成した。この缶に一般的な方法で電池物
質を充填し電池を作成した。すなわちMnO粉と黒鉛
粉とKOH液を混合・加圧して円筒形のペレット状にし
た正極剤を挿入し、缶ビード成形を行い、セパレータを
入れ、8M濃度のKOH電解液を注入し、Zn粉の負極
ゲルを注入し、シール剤を塗布したのち負極キャップを
クリンプし電池を作成した。このようにして作成したL
R6の電池を、70℃で3週間保管後、電池性能を測定
した。この経時は室温で約4年経時以上に相当するもの
である。測定は、電池に2.5Ω抵抗を電池と直列に接
続し、この抵抗の両端の電圧を経時的に測定した。また
この回路にクーロンメーターを直列に接続し、放電され
た電気量を測定した。この測定での放電曲線は図12の
ようになるが、特性の評価として、30分後の作動電圧
及び、初期電圧である約1.4Vから0.9Vまで電圧
が低下するまでに流れた電気量を用いた。前者は電池内
部抵抗の指標であり、大きい方が高性能である。後者
は、一般に機器が正常に可動できる限界電圧である0.
9Vまでの有効電池容量の指標である。これらの測定結
果を表1と図13、図14に示した。30分後作動電
圧、0.9Vまでの放電電気量はいずれも良好であっ
た。
【0016】
【表1】
【0017】実施例2 鋼板へのSn鍍金量を0.6g/mにし、缶側壁Sn
含有量0.5g/mにすること以外は実施例1と同様
にして、鍍金鋼板製造、製缶、黒鉛樹脂塗布、充填、評
価を行った。これらの結果を表1と図13、図14に示
す。30分後の作動電圧、0.9Vまでの放電電気量は
いずれも良好であった。
【0018】実施例3 鋼板へのSn鍍金量を0.06g/mにし、缶側壁S
n含有量0.05g/mにすること以外は実施例1と
同様にして、鍍金鋼板製造、製缶、黒鉛樹脂塗布、充
填、評価を行った。これらの結果を表1と図13、図1
4に示す。30分後の作動電圧、0.9Vまでの放電電
気量はいずれも良好であった。
【0019】比較例1 鋼板へのSn鍍金量を1.9g/mにし、缶側壁Sn
含有量1.59/mにすること以外は実施例1と同様
にして、鍍金鋼板製造、製缶、黒鉛樹脂塗布、充填、評
価を行った。これらの結果を表1と図13、図14に示
す。30分後の作動電圧は良好であるが、0.9Vまで
の放電電気量はかなり小さく放電電気量が低下している
ことがわかる。
【0020】比較例2 鋼板へのSn鍍金量を0.04g/m2にし、缶側壁S
n含有量0.03g/mにすること以外は実施例1と
同様にして、鍍金鋼板製造、製缶、黒鉛樹脂塗布、充
填、評価を行った。これらの結果を表1と図13、図1
4に示す。30分後の作動電圧が低く、0,9Vまでの
放電電気量はやや小さくなっていることがわかる。
【0021】比較例3 鋼板へのNi鍍金量を17.5g/mにし、Sn鍍金
なしで、鍍金後熱処理をしないこと、すなわち缶側壁S
n含有量0g/mにしNi含有量を14g/m
し、Ni−Fe合金層を0μmにすること以外は実施例
1と同様にして、鍍金鋼板製造、製缶、黒鉛樹脂塗布、
充填、評価を行った。これらの結果を表1と図13、図
14に示す。30分後の作動電圧は低く、0.9Vまで
の放電電気量もやや小さいことがわかる。
【0022】比較例4 鋼板へのNi鍍金量を17.5g/mにし、Sn鍍金
なしにし、缶側壁Sn含有量0g/mにし、缶側壁N
i含有量を14g/mにすること以外は実施例1と同
様にして、鍍金鋼板製造、製缶、黒鉛樹脂塗布、充填、
評価を行った。これらの結果を表1と図13、図14に
示す。30分後の作動電圧が低く、0.9Vまでの放電
電気量もやや小さいことがわかる。
【0023】比較例5 鍍金後鋼板を熱処理するときに、熱処理条件を500℃
12時間にし、缶側壁Sn含有量1.2g/mにし、
Sn含有合金層厚みを厚くしたこと以外は実施例1と同
様にして、鍍金鋼板製造、製缶、黒鉛樹脂塗布、充填、
評価を行った。これらの結果を表1と図13、図14に
示す。30分後の作動電圧が低く、0.9Vまでの放電
電気量もやや小さいことがわかる。
【0024】
【発明の効果】本発明は高温保管性と長期保管性に優
れ、このような保管後も良好な放電特性を有する優れた
効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電池缶の缶壁の断面図である。
【図2】本発明の電池缶製造用鍍金鋼板の熱処理前の断
面図である。
【図3】本発明の電池缶の製造工程の説明図である。
【図4】本発明の電池缶の製造工程の説明図である。
【図5】本発明の電池缶の製造工程の説明図である。
【図6】本発明の電池缶の製造工程の説明図である。
【図7】本発明の電池缶の製造工程の説明図である。
【図8】本発明の電池缶の製造工程の説明図である。
【図9】本発明の電池缶の製造工程の説明図である。
【図10】本発明の電池缶の製造工程の説明図である。
【図11】−缶壁の各元素のスパッタリング時間に対す
る強度曲線である。
【図12】電池の放電曲線である。
【図13】作動電圧を示すグラフである。
【図14】放電電気量を示すグラフである。
【符号の説明】
1 電池缶の缶壁の鋼板 2 内側側 3 外側側 4 Sn−Ni合金層 5 Sn−Ni−Fe合金層 6 Ni−Fe合金層 7 Ni−Co合金層 8 Sn層 9 Ni層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 缶内面がSn含有量が0.05〜1.2
    g/mであるNiまたはNiとFeを含むSn含有合
    金であり、Sn含有合金層の厚みが0.02〜0.45
    μmであることを特徴とする高温保管と長期経時耐性に
    優れた電池缶。
  2. 【請求項2】 缶内面のSn含有合金層のSn含有量が
    0.05〜0.5g/mである、請求項1に記載され
    た電池缶。
  3. 【請求項3】 缶内面のSn含有合金層のSn濃度が実
    質的に合金層の表面から内方に向って低濃度側へ傾斜し
    ている、請求項1または2に記載された電池缶。
  4. 【請求項4】 缶内面のSn含有合金層において、外層
    がSn−Ni合金層であり、内層がSn−Ni−Fe合
    金層の2層構造である、請求項3に記載された電池缶。
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