WO2023281558A1 - 軌条車両およびその製作方法 - Google Patents

Abstract

車体の組立性向上に寄与するとともに軽量かつ剛性の高い薄型の枕梁を有する台枠を備える軌条車両およびその製造方法を提供する。床部を構成する台枠に備えられる枕梁と、前記枕梁の下方に備えられる台車を有する軌条車両において、前記枕梁は、前記枕梁の幅方向の両端部に前記軌条車両の長手方向に沿って備えられると共に前記台枠の幅方向の両端部に備えられる側梁に当接する側梁当接部と、前記枕梁の幅方向の中央部に前記軌条車両の長手方向に沿って備えられる共に前記台枠の幅方向の中央部に備えられる中梁に当接する中梁当接部と、前記側梁当接部と前記中梁当接部との間に備えられると共に前記台車に備えられる空気ばねが当接する空気ばね当接部と、を有しており、前記空気ばね当接部は、機械加工によって、前記空気ばね当接部の略中央部を起点に放射状に形成される複数のリブを有する。

Description

軌条車両およびその製作方法

　本発明は、軌条車両およびその製作方法に関する。

　一般に、敷設された軌道に沿って運行される軌条車両の構体（以下、構体と記す）は、床面をなす台枠と、台枠の幅方向の両端部に配置される側構体と、台枠の長手方向の両端部に配置される妻構体と、側構体と妻構体の上部に配置される屋根構体とから構成される６面体の構造物である。

　台枠は、台枠の幅方向の両端部にその長手方向に沿って備えられる側梁と、側梁の長手方向の両端部同士を接続する端梁と、構体の長手方向端部から所定距離の位置に端梁に沿って備えられる枕梁と、端梁と枕梁とを構体に接続するための構体長手方向に沿って配置される中梁とから構成される。

　枕梁の下面に構体上下方向に沿って備えられる中心ピンは、台車を構成する台車枠に接続される。車両の加速および減速の際、中心ピンを介して台車から枕梁に車両前後方向の荷重が伝達される。

　一方、鉄道車両の組立性向上の観点から、床下に取り付けられる配線やダクトの取付を容易化することが求められる。取付を容易化する上では、台車に枕梁を取り付けた状態で、台枠と枕梁の間に一定の空間を設けて構体に組み付けることが有効である。このような枕梁を搭載した台車構造として、特許文献１、２では、側梁とのみボルト締結する枕梁を備えた台車が提案されている。

欧州特許第２５００２３１号明細書 欧州特許第２５４０５９２号明細書

　鉄道車両の台枠構造において、枕梁を側梁のみに接続する構造の場合、台車から中心ピンを介して枕梁に伝達されるモーメント荷重により、枕梁には捩り変形が生じる。また、走行時の上下振動によって台車から空気ばねを介して伝達される垂直荷重により、枕梁には曲げ変形が生じる。

　特許文献１、２に記載の枕梁を備えた台車構造では、枕梁構造が、車両構体の幅方向に沿って板状のリブと面板から構成されるため、枕梁の重量が増大する場合や、枕梁と台枠との間の空間の大きさが制約される場合がある。

　本発明は、かかる従来技術の事情を鑑みてなされたものであり、車体の組立性向上に寄与するとともに軽量かつ剛性の高い薄型の枕梁を有する台枠を備える軌条車両およびその製造方法を提供することを目的とする。

　上記課題を解決するために、代表的な本発明の軌条車両の一つは、床部を構成する台枠に備えられる枕梁と、前記枕梁の下方に備えられる台車を有する軌条車両において、
　前記枕梁は、
　　前記枕梁の幅方向の両端部に前記軌条車両の長手方向に沿って備えられると共に前記台枠の幅方向の両端部に備えられる側梁に当接する側梁当接部と、
　　前記枕梁の幅方向の中央部に前記軌条車両の長手方向に沿って備えられる共に前記台枠の幅方向の中央部に備えられる中梁に当接する中梁当接部と、
　　前記側梁当接部と前記中梁当接部との間に備えられると共に前記台車に備えられる空気ばねが当接する空気ばね当接部と、を有しており、
　前記空気ばね当接部は、機械加工によって、前記空気ばね当接部の略中央部を起点に放射状に形成される複数のリブを有することによって達成される。

　本発明によれば、車体の組立性向上に寄与するとともに軽量かつ剛性の高い薄型の枕梁を有する台枠を備える軌条車両およびその製造方法を提供することができる。
　上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。

図１は、鉄道車両の側面図である。 図２は、鉄道車両の床面をなす台枠を下方から見た鉄道車両の斜視図である。 図３は、第１実施形態の枕梁の斜視図（上面視）である。 図４は、第１実施形態の枕梁の斜視図（下面視）である。 図５は、第１実施形態の枕梁を備えた台枠と台車の位置関係を示す断面図である。 図６は、第２実施形態の斜視図（上面視）である。 図７は、第３実施形態の枕梁の斜視図（上面視）である。 図８は、第４実施形態の枕梁の断面図（枕梁をなす空気ばね当接部のｘ方向に交差する垂直断面図）である。 図９は、枕梁の空気ばね当接部に設けられるリブの長手方向に交差する垂直断面形状を示す模式図（図８のＣ－Ｃ断面図相当）である。 図１０は、鉄道車両を製造する過程を示すフローチャートである。

　軌条車両は、敷設された軌道に沿って運行される車両の総称であり、鉄道車両、モノレール車両、路面電車、新交通システムの車両等を意味する。本明細書では、軌条車両の代表例として、鉄道車両を例に挙げて、発明を実施するための形態を説明する。

　説明に供する各方向を定義する。鉄道車両の長手方向（レール方向）をｘ方向、鉄道車両の幅方向（枕木方向）をｙ方向、ｘ方向およびｙ方向に交差する高さ方向をｚ方向とする。

　本発明の実施形態は、鉄道車両の床面をなす台枠に、台車に支持される枕梁を、ボルト等の機械締結部によって締結する構造を有する鉄道車両に係わるものである。なお、この鉄道車両は、配管および配線等を容易に固定できるように、台枠の床面と枕梁とのｚ方向の間隔（空間）を確保している。

　以下、本発明にかかる実施形態を、図面を参照して説明する。
　図１は鉄道車両の側面図であり、図２は鉄道車両の床面をなす台枠を下方から見た鉄道車両の斜視図である。鉄道車両は、床面をなす台枠１０と、台枠１０のｘ方向の両端部に立設される妻構体４０と、台枠１０のｙ方向の両端部に立設される側構体３０と、妻構体４０および側構体３０の上端部に載置される屋根構体５０と、から構成される。側構体３０には、窓および乗客等が乗降に供する側引き戸等を備える。

　台枠１０は、台枠１０のｘ方向の両端部に備えられる端梁１２と、台枠１０のｙ方向の両端部に備えられる側梁１１と、からなる周縁部と、この周縁部を外縁に有する床構体５とからなる平面状の構造体である。台枠１０は、台車２に支持される部位にｙ方向に沿って備えられる一対の枕梁１３を有する。一方の端梁１２と一方の枕梁１３とは、ｘ方向に沿って備えられる一対の中梁１５によって接続される。図示はしないが、中梁１５は連結器を備える。

　＜第１実施形態＞
　図３は第１実施形態の枕梁の斜視図（上面視）であり、図４は第１実施形態の枕梁の斜視図（下面視）である。図５は、第１実施形態の枕梁を備えた台枠と台車の位置関係を示す断面図である。

　枕梁１３において、平板状のブロック材から、複数の領域を切削工具により取り除く削り出し加工によって、上面から一段低い複数の底部２５が形成され、隣接する底部２５の間に後述するリブが形成される。底部２５における枕梁１３の板厚は、等しいと好ましい。枕梁１３は、枕梁１３のｙ方向の両端部にｘ方向に沿って備えられ側梁１１に当接する側梁当接部１３ａと、枕梁１３のｙ方向の中央部にｘ方向に沿って備えられ中梁１５に当接する中梁当接部１３ｃと、側梁当接部１３ａと中梁当接部１３ｃとの間に備えられる空気ばね当接部１３ｂと、からなる。台車の空気ばねが当接する一対の空気ばね当接部１３ｂは、中梁当接部１３ｃを挟み対称形状を有する。空気ばね当接部１３ｂは、その略中央部に、台車２が備える空気ばね４の中心部が当接する空気ばね中心部１３ｅを有する。

　空気ばね当接部１３ｂは、中梁当接部１３ｃに隣接するｘ方向縁リブ（長手方向縁リブ）１６ｘｅと、空気ばね当接部１３ｂのｘ方向の両端部にｙ方向に沿って備えられる一対のｙ方向縁リブ（幅方向縁リブ）１６ｙｅと、空気ばね中心部１３ｅとｘ方向縁リブ１６ｘｅとを接続するｙ方向直線リブ（幅方向直線リブ）１６ｙおよびｙ方向曲線リブ（幅方向曲線リブ）１６ｙｔと、空気ばね中心部１３ｅとｙ方向縁リブ１６ｙｅとを結ぶｘ方向直線リブ（長手方向直線リブ）１６ｘおよびｘ方向曲線リブ（長手方向曲線リブ）１６ｘｔと、を有する。

　すなわち、空気ばね当接部１３ｂは、空気ばね中心部１３ｅからｙ方向縁リブ１６ｙｅ（または、側梁当接部１３ａ）およびｘ方向縁リブ１６ｘｅに接続する放射状に削り出し加工された各種リブ１６等（ｙ方向直線リブ１６ｙ、ｙ方向曲線リブ１６ｙｔ、ｘ方向直線リブ１６ｘ、ｘ方向曲線リブ１６ｘｔ）を有する。

　ｙ方向直線リブ１６ｙは、空気ばね当接部１３ｂのｘ方向の中央部にｙ方向に沿って備えられる。同様に、ｘ方向直線リブ１６ｘは、空気ばね当接部１３ｂのｙ方向の中央部にｘ方向に沿って備えられる。

　ｙ方向曲線リブ１６ｙｔは、空気ばね中心部１３ｅから離れるにしたがって、徐々にｙ方向に沿う態様で、空気ばね当接部１３ｂに備えられる。同様に、ｘ方向曲線リブ１６ｘｔは、空気ばね中心部１３ｅから離れるにしたがって、徐々にｘ方向に沿う態様で、空気ばね当接部１３ｂに備えられる。

　上述した各種リブ１６等（ｘ方向直線リブ１６ｘ、ｙ方向直線リブ１６ｙを含む）は、平板状のブロック材から削り出し加工によって、枕梁１３に備えられる。各種リブ１６等で囲まれるとともに底部２５が取り残される部位は、枕梁１３のｚ方向に貫通しておらず、各種リブ１６等と底部２５とから構成されるポケット状の凹部となる。ポケット状の凹部に、塵埃や車輪が跳ね上げる雨水等が滞留する場合があるので、ポケット状の凹部に発泡材等を封入して、塵埃の堆積や雨水等の滞留を抑制してよい。

　枕梁１３は、側梁当接部１３ａのｘ方向の両端部と、空気ばね当接部１３ｂと、に跨る態様で、補強部１３ｄを備える。また、枕梁１３が削り出しで加工される際に、側梁当接部１３ａおよび中梁当接部１３ｃに、台枠１０をなす側梁１１および中梁１５に締結される平坦な締結面１７が機械加工にて形成される。図示はしないが、締結面１７には、枕梁１３を、台枠１０をなす側梁１１および中梁１５に締結するボルト等が貫通する貫通孔も合わせて、加工される。

　図４に示すように、枕梁１３の下面（空気ばね４の側）には、空気ばね４の上支持座が当接する空気ばね当接面１９が機械加工によって形成される。また、台車２が水平面内で旋回する時の軸となるとともに台車２の加減速に伴う荷重を受ける中心ピン１４の座（図４に当接位置を点線で示す）が、枕梁１３のｙ方向の中央部の中梁当接部１３ｃの下面に固定される。

　枕梁１３の側梁当接部１３ａに、台車２と構体１とを接続するとともに、鉄道車両の高速走行時の台車２の水平面内の振動（旋回）を抑制するヨーダンパの受部を備えても良い。

＜効果＞
　図５において、枕梁１３を除いて組み立てられた台枠１０の下面に、配管配線２８を固定した後、枕梁１３を台枠１０の下方から台枠１０の側梁１１および中梁１５にボルト等の機械締結部を介して固定する。台枠１０の床構体５と枕梁１３の上面との間には、ｚ方向寸法を有する空間２１が形成されるため、配管配線２８は枕梁１３と干渉することなく、小さい製作工数で台枠１０に備えることができる。

　さらに、枕梁１３を削り出し加工によって製造するため、強度低下が懸念される溶接等を必要とすることなく、各種リブ１６等を一体に備えることできる。したがって、溶接等に起因する入熱に伴う強度低下のない枕梁１３は、台車２から空気ばね４を介して枕梁１３に伝達される垂直荷重による曲げ変形、および台車２から中心ピン１４を介して枕梁１３に伝達されるモーメント荷重による捩り変形を、各種リブ１６等の曲げ剛性と捩り剛性によって低減することが可能となる。

　さらに、削り出し加工によって製造される枕梁１３は、台枠１０の側梁１１と中梁１５とに当接する側梁当接部１３ａおよび中梁当接部１３ｃの高精度の当接面を得ることができる。同様に、枕梁１３の空気ばね当接面１９も削り出し加工によって製造されるため、空気ばね４の上支持座が当接する空気ばね当接面１９、および、中心ピン１４の座が当接する高精度の当接面を得ることができる。

　このため、これら枕梁１３の各種当接面において、枕梁１３に締結される各部は面で接触するため、機械締結される各部と枕梁１３の各当接面との間に強固な摩擦力が生じるので台枠１０を備える鉄道車両を提供できる。

＜第２実施形態＞
　図６は、第２実施形態の斜視図（上面視）である。ここでは、第１実施形態と相違する構成と、この構成が導く効果を中心に記載し、第１実施形態と共通の構成に係わる記述を省略する。

　ｙ方向曲線リブ１６ｙｔは、空気ばね中心部１３ｅから離れるにしたがって、徐々にｙ方向に沿うとともにｙ方向曲線リブ１６ｙｔ自身の幅方向寸法が徐々に拡大する態様で、ｘ方向縁リブ１６ｘｅに接続する。

　同様に、ｘ方向曲線リブ１６ｘｔは、空気ばね中心部１３ｅから離れるにしたがって、徐々にｘ方向に沿うとともにｘ方向曲線リブ１６ｘｔ自身の幅方向寸法が徐々に拡大する態様で、ｙ方向縁リブ１６ｙｅに接続する。

　＜効果＞
　この構成によって、第１実施形態で記した効果に加えて、枕梁１３の重量増加を抑制しながら、各種リブ１６等の剛性を効率的に向上し、空気ばね当接部１３ｂが空気ばね４からの荷重に起因する曲げ変形、および、中梁当接部１３ｃの下面に備えられる中心ピン１４の荷重に起因する捩じり変形に、効果的に抗することができる。

＜第３実施形態＞
　図７は、第３実施形態の枕梁の斜視図（上面視）である。ここでは、第１実施形態および第２実施形態と相違する構成と、この構成が導く効果を中心に記載し、第１実施形態および第２実施形態と共通の構成に係わる記述を省略する。

　第１実施形態または第２実施形態２の枕梁構造において、枕梁１３の空気ばね当接部１３ｂのｘ方向縁リブ１６ｘｅ、または、側梁当接部１３ａに接続するｙ方向曲線リブ１６ｙｔおよびｙ方向縁リブ１６ｙｅのｚ方向寸法が小さくなるように（リブの高さが低くなるように）、切り欠き部２０を機械加工で設けたものである。すなわち、空気ばね当接部１３ｂは、ｘ方向縁リブ１６ｘｅに近い側の厚さが、空気ばね中心部１３ｅに近い側の厚さよりも薄い。

　空気ばね当接部１３ｂの切り欠き部２０が設ける部位は、空気ばね４からの荷重に起因する曲げ変形または中心ピン１４の荷重に起因する捩じり変形に対する剛性や強度に対する影響が小さい部位である。

＜効果＞
　空気ばね当接部１３ｂに切り欠き部２０を設けることによって、空気ばね当接部１３ｂが空気ばね４からの荷重に起因する曲げ変形、および、中梁当接部１３ｃの下面に備えられる中心ピン１４の荷重に起因する捩じり変形に、効果的に抗することができるとともに、枕梁１３の重量を低減して軽量化を促進できる。

＜第４実施形態＞
　図８は、第４実施形態の枕梁の断面図（枕梁をなす空気ばね当接部のｘ方向に交差する垂直断面図）である。図９は、枕梁の空気ばね当接部に設けられるリブの長手方向に交差する垂直断面形状を示す模式図（図８のＣ－Ｃ断面図相当）である。ここでは、上述した実施形態と相違する構成と、この構成が導く効果を記述する。

　第２実施形態で、各種リブ１６等の剛性を高める手段として、例えば、ｙ方向曲線リブ１６ｙｔは、空気ばね中心部１３ｅから離れるにしたがって、徐々にｙ方向に沿うとともにｙ方向曲線リブ１６ｙｔの幅方向寸法が徐々に拡大する態様で、ｘ方向縁リブ１６ｘｅに接続する構成を説明した。これに対し、第４実施形態は、ｙ方向曲線リブ１６ｙｔの幅方向寸法を徐々に拡大する態様に代えて、例えば、ｙ方向直線リブ１６ｙのｚ方向寸法を徐々に変化させた例である。このようなｙ方向直線リブ１６ｙの形状は、ＮＣ（numeral control）装置などを用いて形成できる。

　ｙ方向直線リブ１６ｙのｚ方向の寸法は、空気ばね中心部１３ｅの近傍が最も大きく、中梁当接部１３ｃ（ｘ方向縁リブ１６ｘｅ）に近づくにしたがって、そのｚ方向寸法を徐々に小さくなるように設定している。図示はしないが、ｙ方向直線リブ１６ｙのｚ方向の寸法が大きい部位のその幅方向寸法は、ｙ方向直線リブ１６ｙのｚ方向の寸法が小さい部位のその幅方向寸法より小さく設定されており、ｙ方向直線リブ１６ｙの幅方向の寸法も、ｚ方向の寸法と同様に徐々に変化する。すなわち、ｙ方向直線リブ１６ｙの高さ方向の寸法は、空気ばね中心部１３ｅの近傍が最も大きく、ｘ方向縁リブ１６ｘｅに近づくにしたがって、ｙ方向直線リブ１６ｙの高さ方向寸法が小さくなる。また、ｙ方向直線リブ１６ｙの幅方向の寸法は、空気ばね中心部１３ｅの近傍が最も小さく、ｘ方向縁リブ１６ｘｅに近づくにしたがって、ｙ方向直線リブ１６ｙの幅方向寸法が大きくなる。

　また、ｙ方向直線リブ１６ｙの長手方向に交差する断面形状（図８のＣ－Ｃ断面相当図）は、ｙ方向直線リブ１６ｙが軽量化と高剛性とを兼ね備える形態であれば良く、図９にこれらの特徴を備える各種リブ１６等の断面形状を例示する。

　図９（ａ）に示すｙ方向直線リブは、長辺を水平に有する長方形断面の下部構造部と、この下部構造物のｘ方向の中央部からｚ方向に突出する矩形断面の上部構図部を備える。

　図９（ｂ）に示すｙ方向直線リブは、ｘ方向の中央部から離れるにしたがってｚ方向寸法が小さくなる断面形状の下部構造部と、この下部構造物のｘ方向の中央部からｚ方向に突出する矩形断面の上部構図部を備える。

　図９（ｃ）に示すｙ方向直線リブは、長軸を底部２５の側に有する半楕円状の断面形状の下部構造物と、この下部構造物のｘ方向の中央部からｚ方向に突出する矩形断面の上部構図部を備える。

　図９（ｄ）に示すｙ方向直線リブは、長辺を底部２５の側に有する台形状の断面形状を備える。図９（ｅ）に示すｙ方向直線リブは、長軸を底部２５の側に有する半楕円状の断面形状を有する。以上のｙ方向直線リブは、ｚ方向下方側のｘ方向幅が、ｚ方向上方側のｘ方向幅より大きい断面形状である。さらに、図９（ｆ）に示すｙ方向直線リブは、ワイングラス状（またはＨ形）の断面形状を有する。

＜効果＞
　上述した構成の各種形状のリブ１６を備えることによって、リブ１６の軽量化と高剛性を実現できるので、空気ばね当接部１３ｂが空気ばね４からの荷重に起因する曲げ変形、および、中梁当接部１３ｃの下面に備えられる中心ピン１４の荷重に起因する捩じり変形に、効果的に抗することができるとともに、枕梁１３の重量を低減して軽量化を促進できる。

＜製作方法＞
　図１０は、鉄道車両を製造する過程を示すフローチャートである。図１０を参照して、鉄道車両の製作方法を説明する。

　ステップＳ１０において、鉄道車両の製造を開始する。
　ステップＳ２０において、枕梁１３を削り出すブロック材を準備して定盤に固定する。
　ステップＳ３０において、ブロック材から、フライス加工などにより、側梁当接部１３ａと、空気ばね当接部１３ｂと、中梁当接部１３ｃと、を削り出す。

　ステップ４０において、空気ばね当接部１３ｂに、空気ばね中心部１３ｅを削り出す。
　ステップＳ５０において、空気ばね中心部１３ｅを起点に、放射状に、ｙ方向直線リブ１６ｙ、ｙ方向曲線リブ１６ｙｔ、ｘ方向直線リブ１６ｘ、ｘ方向曲線リブ１６ｘｔを削り出す。

　ステップＳ６０において、枕梁１３を反転して、空気ばね当接面１９を削り出す。
　ステップＳ７０において台枠１０に配管配線２８を載置した後、枕梁１３を、枕梁１３を台枠１０の側梁１１および中梁１５にボルト等で固定する。
　ステップＳ８０において、鉄道車両の製造を終了する。

＜効果＞
　枕梁１３を削り出し加工によって製作することによって、各種リブ１６等を一体に備える枕梁１３は、台車２から空気ばね４を介して枕梁１３に伝達される垂直荷重による曲げ変形、および台車２から中心ピン１４を介して枕梁１３に伝達されるモーメント荷重による捩り変形を、各種リブ１６等の曲げ剛性と捩り剛性によって低減することが可能となる。

　さらに、削り出し加工によって製造される枕梁１３は、台枠１０の側梁１１と中梁１５とに当接する側梁当接部１３ａおよび中梁当接部１３ｃの高精度の当接面を得ることができる。同様に、枕梁１３の空気ばね当接面１９も削り出し加工によって製造されるため、空気ばね４の上支持座が当接する空気ばね当接面１９、および、中心ピン１４の座が当接する高精度の当接面を得ることができる。

　このため、これら枕梁１３の各種当接面において、枕梁１３に締結される各部は面で接触するため、機械締結される各部と枕梁１３の各当接面との間に強固な摩擦力が生じるので台枠１０を備える鉄道車両を提供できる。

　また、枕梁１３を除いて組み立てられた台枠１０の下面に、配管配線２８を固定した後、枕梁１３を台枠１０の下方から台枠１０の側梁１１および中梁１５にボルト等の機械締結部で固定する。台枠１０の床構体５と枕梁１３の上面との間には、ｚ方向寸法を有する空間２１が形成されるため、配管配線２８は枕梁１３と干渉することなく、小さい製作工数で台枠１０に備えることができる。

　以上の実施形態では、ブロック材から切削加工により枕梁を形成する例を示したが、例えば平板状のブロック材に対してアディティブマニュファクチャリングなどによって、リブを形成することもできる。

１…構体、　　　　　　　　　　　　　　　　２…台車、
３…台車枠、　　　　　　　　　　　　　　　４…空気ばね、
５…床構体、　　　　　　　　　　　　　　　１０…台枠、
１１…側梁、　　　　　　　　　　　　　　　１２…端梁、
１３…枕梁、　　　　　　　　　　　　　　　１３ａ…側梁当接部、
１３ｂ…空気ばね当接部、　　　　　　　　　１３ｃ…中梁当接部、
１３ｄ…補強部、　　　　　　　　　　　　　１３ｅ…空気ばね中心部、
１４…中心ピン、　　　　　　　　　　　　　１５…中梁、
１６ｘ…ｘ方向直線リブ、　　　　　　　　　１６ｙ…ｙ方向直線リブ、
１６ｘｅ…ｘ方向縁リブ、　　　　　　　　　１６ｙｅ…ｙ方向縁リブ、
１６ｘｔ…ｘ方向曲線リブ、　　　　　　　　１６ｙｔ…ｙ方向曲線リブ、
１７…締結面、　　　　　　　　　　　　　　１９…空気ばね当接面、
２０…切り欠き部、　　　　　　　　　　　　２１…空間、
２５…底部、　　　　　　　　　　　　　　　２８…配管配線、
３０…側構体、　　　　　　　　　　　　　　４０…妻構体、
５０…屋根構体、　　　　　　　　　　　　　ｘ…長手方向、
ｙ…幅方向、　　　　　　　　　　　　　　　ｚ…高さ方向

Claims (8)

1. 　床部を構成する台枠に備えられる枕梁と、前記枕梁の下方に備えられる台車を有する軌条車両において、
   　前記枕梁は、
   　　前記軌条車両の長手方向に沿って備えられると共に前記台枠の幅方向の両端部に備えられて側梁に当接する側梁当接部と、
   　　前記軌条車両の長手方向に沿って備えられる共に前記台枠の幅方向の中央部に備えられて中梁に当接する中梁当接部と、
   　　前記側梁当接部と前記中梁当接部との間に備えられると共に前記台車に備えられる空気ばねが当接する空気ばね当接部と、を有しており、
   　前記空気ばね当接部は、機械加工によって、前記空気ばね当接部の略中央部を起点に放射状に形成される複数のリブを有する、
   ことを特徴とする軌条車両。
2. 　請求項１に記載された軌条車両において、
   　前記空気ばね当接部は、
   　　前記中梁当接部に隣接する長手方向縁リブと、
   　　前記空気ばね当接部の前記長手方向の両端部に前記幅方向に沿って備えられる一対の幅方向縁リブと、
   　　前記空気ばね当接部の略中央部に備えられる空気ばね中心部と、
   　　前記空気ばね中心部と前記長手方向縁リブとを結ぶ幅方向直線リブおよび幅方向曲線リブと、
   　　前記空気ばね中心部と前記幅方向縁リブとを結ぶ長手方向直線リブおよび長手方向曲線リブと、を有する、
   ことを特徴とする軌条車両。
3. 　請求項２に記載される軌条車両において、
   　前記幅方向直線リブは、前記空気ばね当接部の前記長手方向の中央部に前記幅方向に沿って備えられており、
   　前記長手方向直線リブは、前記空気ばね当接部の前記幅方向の中央部に前記長手方向に沿って備えられており、
   　前記幅方向曲線リブは、前記空気ばね中心部から離れるに従って、徐々に前記幅方向に沿う態様で前記長手方向縁リブに接続しており、
   　前記長手方向曲線リブは、前記空気ばね中心部から離れるに従って、徐々に前記長手方向に沿う態様で前記幅方向縁リブに接続する、
   ことを特徴とする軌条車両。
4. 　請求項３に記載される軌条車両において、
   　前記幅方向曲線リブは、前記空気ばね中心部から離れるにしたがって、徐々に前記幅方向曲線リブ自身の幅方向寸法が拡大する態様で、前記長手方向縁リブに接続し、
   　前記長手方向曲線リブは、前記空気ばね中心部から離れるにしたがって、徐々に前記長手方向曲線リブ自身の幅方向寸法が拡大する態様で、前記幅方向縁リブに接続する、
   ことを特徴とする軌条車両。
5. 　請求項４に記載される軌条車両において、
   　前記幅方向直線リブの高さ方向寸法は、前記空気ばね中心部の近傍が最も大きく、前記長手方向縁リブに近づくにしたがって、前記幅方向直線リブの高さ方向寸法が小さくなる、
   ことを特徴とする軌条車両。
6. 　請求項５に記載される軌条車両において、
   　前記幅方向直線リブの幅方向寸法は、前記空気ばね中心部の近傍が最も小さく、前記長手方向縁リブに近づくにしたがって、前記幅方向直線リブの幅方向寸法が大きくなる、
   ことを特徴とする軌条車両。
7. 　請求項２に記載される軌条車両において、
   　前記空気ばね当接部は、前記長手方向縁リブに近い側の厚さが、前記空気ばね中心部に近い側の厚さよりも薄い、
   ことを特徴とする軌条車両。
8. 　請求項２に記載される軌条車両の製造方法において、
   　ブロック材の表面に、前記側梁当接部と、前記空気ばね当接部と、前記中梁当接部と、を切削加工により形成し、
   　前記空気ばね当接部に、前記空気ばね中心部を切削加工により形成し、
   　前記空気ばね中心部を起点に、放射状に、前記リブを切削加工により形成し、
   　前記ブロック材の裏面に、前記空気ばね当接面を切削加工により形成して、前記枕梁を形成する工程と、
   　前記台枠に配管配線を載置した後、前記枕梁を、前記台枠に固定する工程と、を有する、
   ことを特徴とする軌条車両の製造方法。

Images